暗く、寒く、何も無い場所。

 360° 視界を遮るものは何も無く、有るのは虚無と空気と蠢き変わる『闇』。

 それだけが広大なこの空間に横たわっている。

 あえて形容するならば、ココは・・・『混沌』だろう。



 と、それまでただうねるだけだった『闇』に、光が出現した。

 虹色の光彩。それを撒き散らしながら何かがこの場所に出でようとしている。



 専門家―――いや、あるいはそうでなくても―――が見ればそれはすぐに看破されるだろう。



 それは『ボゾンジャンプ』だった――――





  Hell and Heaven 〜天国と地獄の狭間〜  第一話

                               作者 ベルゼブブ





 『逆らうな、逆らうな、『混沌』に逆らうな。

  逆らえば逆らうほど『混沌』はお前を苦しめる。

  お前に選択肢は一つも無い』

                         ――――『混沌』を信望した者の残した言葉

 

 ドガッ!!



 ジャンプアウトと共に凄い勢いで通常空間に投げ出される。

 ロクに受身を取れないまま、俺―――テンカワアキトは地面に叩きつけられた。



 「ッ――――かはッ」



 目の裏に火花が散った。頭とそれから背中を打ったか。グラグラと視界が揺れる。

 意識だけは失わなかったのは鍛えた成果だろうか?

 お陰で少し―――いや、かなり苦しいが。

 「(クッ・・・こんなんじゃ、北斗に笑われるな・・・)」

 

 何とか動く頭を動かして辺りを見回す。

 ここはどこだろうか?辺りはただ、暗いだけ。

 ひょっとして地獄だろうか?ならば、俺は死んだのだろうか。

 少なくとも俺の愛機『ブローディア』のコックピットではないことだけは確かだった。



 ディアとブロスは・・・?



 そこまで考えたところで、辺りを包む『闇』が震えだした。

 思わず腰のDFSに手を伸ばそうとする。しかし、ピクリとも動かない。

 仕方なく頭だけを動かす。

 

 闇がよりいっそう震えた。

 と、突然、目の前に二人の人間が現れた。ボゾンジャンプも使わずに。

 二人の人間は、一人はヴェールを被っていて、喪服を纏った老婆。

 もう一人は同じく喪服を纏った10代位の金髪の少年。

 その二人は手を繋いでそこに立っていた。

 

 少年が老婆の手を引っ張り、老婆の耳に口を寄せ何事かを喋り出す。

 何を話しているのか、ココからでは聞こえない。 

 老婆が口を開いた。

 

 「・・・・・・」

 「・・・坊ちゃまのお言葉です。よくお聞きなさい。異界の者よ。

  ここは『ボルテクス界』。貴方の住まう世界とと一線を隔す場所」

 「・・・・・・」

 「人間が、『悪魔』達に喰われ」



 ・・・悪魔だと?いきなり何を・・・いや、そもそもココは・・・

 ・・・おかしい、声が出ない・・・



 「それか、『受胎』により、命を落とし、滅んだ世界」



 ・・・『受胎』・・・?



 「そして『受胎』によって、世界は、生まれ変わるために、死にました」



 何も理解できない。

 老婆が続ける。



 「貴方は『ヒト』に過ぎません。ボルテクス界では到底生き残れないでしょう。

  悪魔達のエサとなるだけです。

  ・・・そこで、坊ちゃまは貴方に特別に贈り物をあげようと申しておられます」



 音も無く老婆と少年は消える。

 それからほぼ一瞬で倒れている俺の両隣に現れた。



 一体、何を―――?



 ガシリと俺の体をつかむ老婆。

 その力は意外と強く、まったく動けない。



 「・・・動いてはなりません」



 老婆がそう言うと同時に、少年が今までポケットに入れていた手を出す。

 

 その手にはムカデの様な虫が握られていた。

 いや、果たして虫と表現していいのだろうか?

 『それ』は鉄のように光り輝く甲殻に覆われており、一見ムカデの様に見える。

 しかしムカデのように足が多くない―――せいぜい7〜8本だった―――し、アキトの知っているどのムカデとも形が違っていた。



 「・・・・・・痛いのは一瞬だけです・・・・・・」

 「・・・・・・」



 少年が指を離す・・・

 物理法則にしたがってムカデもどきが俺に向かって落ちてくる。

 僅かな音すら立てずに『それ』は俺に着地した。



 モゾリ・・・



 『それ』が身じろぎする・・・

 その直後いきなり『それ』は俺の口の中に入っていった!



 「――――――!!!?」



 灼熱。

 『それ』が俺の口の中に入ったとたんに体中が焼き尽くされるような痛みに襲われる。

 神経の一本一本を丁寧に丁寧に焼きごてで引きちぎられる様な痛み。



 「―――!!――――!!!!」

 激痛から逃れようと体を動かそうとするも、老婆が押さえつける。

 「動いてはなりません・・・」

 

 痛みが続く。

 こんな痛みを味わうのは己の罪故だろうか?

 ならば、コレは罰か?



 「―――――――――!!!!!!!



 最大級の激痛が身を走る。

 決定的な何かが変わった。

 俺は急にそう思った。



 その痛みを境に急速に意識が遠のいていった。





 「コレでキミもアクマになるんだ・・・・

 



 朦朧とする中、喜色を含んだ少年の声が聞こえた気がした。



 俺は意識を完全に手放した。











 あとがき



 アキトくん実験編(ぇ

 痛そうだなぁ(自分で書いたんだろうが



 どうもベルゼブブです。二回目の投稿です。

 さぁ、これからアキトくんはどうなるんでしょうか?

 作者にもわかりません(待たんか



 御意見御感想お待ちしております。

 それでは、またの機会に・・・。



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代理人の感想

話になってないので、起承転結が出来たところで区切って一話二話と分けるのがいいかと。

正直、今のままではただダラダラと文章が連なってるだけですよ。