終わらない明日へ・・・

 by ACE



 
 C.E.70年。『血のバレンタイン』の悲劇によって、地球、プラント間の緊張が爆発的に高まり、遂に武力衝突へと突入した。
圧倒的技術力で押すプラント、一方圧倒的物量で押す地球。誰もが地球の勝利を信じて疑わなかった。

 しかし、事態は思わぬ方向へと進む。

 プラントの技術力が生んだ『ジンシリーズ』という、機動兵器に地球軍のデルフィニウム、クーゲル、戦車、戦闘機は全くもって歯が立たなかった。
数では優位な地球軍だが、プラントの技術の高さはそれをはるかに上回る脅威なのだ。
 戦局は疲弊したまま11ヶ月というときが過ぎようとしていた・・・・・・・




 第一話 偽りの平和 〜再会〜



 ―L5宙域 ヘリオポリス周辺 ZAFT軍所属ナスカ級高速戦闘艦『ヴェサリウス』

 「中立国オーブ所有の資源衛星ヘリオポリス。例のアレはこんなところに隠してあるというのか?」
 「へ、建前上中立でも実はナチュラルの味方ってわけだ」

 ブリッジでは赤い軍服を身に纏う二人の青年が、何かについて話している。
 地球とプラントの戦争の最中、戦争に介入せず、中立を保つ国も多く見られた。
 今、モニターに移る砂時計を思わせるコロニーもその中立国が所有するものだった。
 
 「ふっ、もはやこの時代に中立などとほざくのは弱者のすることよ・・・」

 と、そこへ今度は褐色の軍服を着た男がブリッジへと入ってくる。
 二人の青年はほぼ反射的に敬礼する。
 よく見るとこの男、片方の目が瞬き一つしていない。つまり、義眼だ。
 この男、名を「北辰」という、軍の内部でも気味悪がれる佐官である。
 実績は有り余るほどにあるが、その性格ゆえ煙たがわれる、忌むべき存在・・・

 「今宵の任務は敵秘密兵器の奪取。作戦開始は1500・・・」
 それだけ言うと彼はブリッジから出た。

 「しかし、俺達の始めての任務がこんな大事になるなんて想像もしなかったな。」
 「うむ。ホントにな。」
 この二人、まだ若いながらもその素質から赤服に袖を通すことの出来たエリートだ。
 通常のZAFT軍(プラント自衛軍)の軍服は緑を基調としているが、優秀な者にはその経験、年齢を問わず赤い軍服に身を包む。
 赤服とはそういった意味で優秀なものの称号といえよう。
 また、白やパーソナルカラーの軍服はかなりの高官であることを示唆する。

 「奪取か・・・ナチュラルの兵器なんて必要なのか?源八郎、どう思う?」
 「今の戦況を見る限り、必要ではないな。しかし、こちらの戦力が上がるに越したことはないだろう?九十九よ。」
 「だからと言って、中立のコロニーを襲撃するのは・・・」
 「気が退ける、か?」
 「ああ・・・」



 平和なコロニーに、黒い影が迫っていた。
 もちろん、そんなことはコロニーに住む人間は誰も知らない。





 ―ヘリオポリス内部 ネルガル付属工業カレッジ 庭園

 カレッジの授業が終わったのか、何人かの生徒の姿がそこには見られた。
 このコロニーは戦争の被害をほとんど受けず、いたって平和なコロニーである。
 いくら中立とは言えど、被害を全く被らないコロニーは数少ない。



 「アキトさ〜ん、さっき教授が呼んでましたよ。」

 アキトと呼ばれた青年は庭園にいた。彼を中心に幾人かの生徒が屯っているとき、そんな声が掛かった。

 「わかった。今行くよ、メグミちゃん」

 まだ幼さの抜け切れない、そんな顔で微笑して返事をし、アキトは立ち上がった。

 「お、なんだぁ?なんかヤバイことでもしたのか、アキトォ?」
 皮肉たぁぁぁっぷりにアキトに問いかける青年。

 「なんでそんなにうれしそうなんですか?ヤマダさん。」
 と、もう一人の青年(見た目は少年)が言う。

 「うるさいぞ、ハーリー!第一、俺をヤマダと呼ぶな。
  俺の名はダイゴウジ・ガイだ!!!

 ・・・・・・・・・・・・沈黙、いや一瞬意識が飛ぶ一同。

 たった今、騒音とも言える巨声を発したのは、本名:ヤマダ・ジロウ。魂の名をダイゴウジ・ガイという。
 そして、この起爆スイッチを踏んだのは、マキビ・ハリ(通称:ハーリー)。
 アキト、ガイ、メグミは同年齢だが、ハーリーは彼らよりも一つ年下だ。

 「こらぁ!うるさいぞ、ヤマダァ!!!」
 いち早く意識を取り戻した、薄桃色の髪に金色の瞳を持った少女がいう。
 彼女はラピス・ラズリ。年齢はハーリーと同じ。ハーリーとはれんa・・・・・・・・くぁwせdrftgyふじこlp;@:「」
 ごほん、とにかく、誰よりも早く意識を取り戻すとは、彼女は意外とタフだ。

 「違う!俺はダイゴウ・・・「うるさい!」・・・ひでぶ」
 セカンドインパクトはラピスの手によって未然に回避された。・・・・・・・・・・・・・ラピス、GJ!

 「と、とりあえず、俺行ってくるわ」
 アキトはその場から逃げ出した・・・・・・





 コロニー内は本当に平和であった。しかし、そんな平和が突然崩れ去ることになるなど、いったい誰が想像できただろう・・・・





 「失礼します」
 先の一件から命辛々逃げ延びたアキトは彼の教授の実験室へとやってきた。
 しかし、彼が部屋に入ったとき、意外なことにそこには先客がいた。
 アキトには見覚えのない娘だった。艶のある黒い髪、長さはさして長くもなくやや男勝りな感じの女性だ。
 仏頂面をしているのが減点対象だが、紛れもない美女。アキトはこの女性に、何故か親しみを感じた。

 「・・・なんだ?」
 気がつけばアキトはその女性をマジマジと見てしまっていた。
 「い、いや、なんでもないよ。」
 突如として現実に引き戻されたアキトはおろおろしてしまったが渇いた笑いで誤魔化した。
 このアキト・スマイルで墜ちない女はいない!
 なんてことはないのでご注意を。


 ここでふと思い出した。と、いうか気付いた。
 アキトは教授に呼ばれてここに来たが、肝心の教授がいないのだ。
 おかしいと思っていた矢先、思わぬところから声が掛かった。
 

 ダダダダダダダダダダダダダダダダダ!!!!!

 「アキトォォォ!!!助けてくれぇぇぇぇぇ〜〜〜〜〜!!!」

 と、一瞬人にして人の形をしていない外道を見た気がするが無視。





 ―ヴェサリウス内部
 「時は来た・・・事を起こす。」
 北辰の言葉に連動し、艦内が一挙に慌しくなる。

 『総員、第一戦闘配備!各パイロットは発進位置へ!』

 オペレーターの声が艦内に響く。

 先に搭乗している二人も含めて五人の赤服が格納庫に揃っていた。そこには北辰の姿も見られる。
 「今回の任、汝らの腕に全て掛かっている。心して任に就くがよい。出撃せり。」
 「「「「「はっ!」」」」」
 五人は敬礼し、それぞれの機体へと向かった。

 『テツジン九十九機、源八郎機、元一郎機、三郎太機、アララギ機、発進を承認!』

 悪夢のカウントダウンが始まった。





 ―ヘリオポリス
        どごごごごごご・・・
 突然、激しい振動と共に爆音が聞こえ始めた。
 「な、な、なんだ?!」
 予想だにしなかったことにアキトは大慌てだ。一方、女性の方はというと・・・
 「くっ、戦闘か!でも、これだけは確かめないと・・・」
 そう言うと彼女は部屋から出て行った。
 アキトはこのことには気付いてはいない。と、半ば呆けている彼のところにはメグミがやってきた。
 「アキトさん!ここは危険です!早くシェルターに!!!」
 「め、メグミちゃん!?シェルターって、まさか戦争?!!!!!」
 アキトはパニックを起こしそうになるが、このときやっと気付く。

 「あれ?あの娘は?」
 「え?」
 「あの娘がいない!メグミちゃん先にシェルター行って。俺も後から追いつくから!」
 「ちょ、ちょっと・・・アキトさん!!!」
 アキトは先ほどの女性を探して飛び出した。



 女性は以外にも早く見つかった。
 見つけた場所はネルガルの格納庫である。企業の格納庫であるが、アキトのカレッジはネルガル付属ということで、このネルガル社はカレッジと中で通じているのだ。
 そして、問題の彼女は・・・・絶句していた。そこにある五機の機動兵器を見て―――
 「親父・・・んの大馬鹿ヤロォォォォォ!!!!!」
 泣きながらそう叫ぶ彼女の姿に、彼は彼女と意識を共有するかのように、同じような悲しみを受けた。

 「君!ここは危険だ!早くシェルターへ!!!」
 放心状態の彼女を抱え、アキトはシェルターへと向かった。




 ―ヘリオポリス内 ネルガル社
       ババババババババ          チュン
  チュン               ドドドドドドドド
        ズギュンズギュン

 「へ、ナチュラルごときにやられるかよ!」
 ネルガルの工場では激しい銃撃戦が行われていた。
 侵入したZAFT軍の五人は言わずとも知れた彼らだ。彼らが目指すのは連合軍の新型兵器。
 ナチュラルとコーディネイターの差は歴然としている。あっという間に防衛ラインは突破され、彼らは辿りつく。
 「これは・・・機動兵器!ナチュラル共め、小癪な真似を!」
 そこにあるのは全長6mほどの機動兵器であった。数は五つ。事前に情報を得ていたため、人数的には丁度の数だ。
 そして今、二機がZAFTの手中に落ちた。

 「三郎太!そっちはどうだ?」
 『感度良好、問題ないッスよ。っと、ナチュラルは何考えてんのかね?こんなOSでこれだけのもの動かそうなんて。』
 まったくだ、といわんばかりに元一郎は鼻で笑った。
 「愚痴は後でゆっくりときいてやる。さっさと撤退するぞ!」
 『リョーカイ。』
 二機の機動兵器が立ち上がった。これと同時に機体の内部では三郎太と元一郎がものすごいスピードでOSを書き換えていた。
 「九十九!取り残しを作るなよ!!!」
 そう言うと、二機は飛び立っていった。


 「アララギ!!!」 ナチュラルとコーディネイターの実力差は明白。しかし、それは一対一のときであって、いくらコーディネイターと言えど、多人数相手に圧勝することは難しかった。
 銃弾が彼らの一人を貫いた。
 「アララギ!アララギィィィ!!!」
 仲間の死に感情が高ぶる九十九。しかし、それでいて隙はまったくなかった。
 後方ではもう一機、機動兵器が立ち上がっていた。
 『九十九!アララギのことは諦めろ!お前まで死なれては困るのだ!!!』
 「くぅ、すまない、アララギ・・・」
 戦友の亡骸を後に九十九は四機目の機動兵器に向かう。
 『俺は先に行く。必ず帰って来い、九十九!』
 三機目の機動兵器も飛び立ってゆく。

 九十九が四機目の機動兵器に取り付こうとすると、一人の女性が防衛に入った。
 「この機体までは渡しません!!!」
 藍色の長い髪、それはまた美しい女性であった。



アキトは走っていた。いつか走った草原を
 彼女をシェルターに入れるまでは順調だった。しかし、彼女で丁度シェルター内は満員となり、アキトが入ることは出来なかった。
 アキトは近辺のシェルターを全て回ってみたが、どこも満員であった。
 彼はどこか安全な場所を求め、走っていたがいつの間にかネルガルの中に迷い込んでしまった。
 力の限り走り、開けた場所に出た。
 そこはまさに地獄絵図を再現したような光景が広がっていた。
 屍の山にまだ一人生きている人がいるのがわかる。女性だった。
 「大丈夫ですか!?」
 アキトが駆け寄る。
 「くっ、アレを渡さないで・・・」
 彼女が指差す先には人影があった。
アキトは無意識のうちに体が動いていた。恐怖は感じなかった―――
 「やめろぉ!」
 アキトは飛び掛り、押さえつけようとするが逆に締められてしまった。

 そして――――――――

 「「っ!!!!!」」
 組み合った二人は同時に驚愕する。

 「アキト?」「・・・九十九?」








 あとがき

 どうも〜、はじめまして、ACE(エース)と申します。 恥ずかしながらSSというものを書いてみました。
 ナデシコを知ったのが最近のことでして、思いっきりはまりました。劇ナデ、A→Bを突破し、たどり着いたがこの世界。

 まぁ、見てわかる方がほとんどでしょうがこのSS、ガン○ム種のストーリーにナデシコを組み込んでみました。
 一番苦労したのは配役ですね、はい。
 こうしてみて初めて気付いたのですが、ナデシコってメインキャラが意外と少ないんですねぇ(種が多いのか?)。

 このSSの目標としては・・・最後まで書ききること!
 至らないところは多々あると思いますが、読んでくださり、少しでも興味を持った方がおりましたら、
 感謝!感動!感激!の三段攻撃(?)です。
 では、またの機会に・・・・・乞うご期待!!!!!!!

 

 

 

感想代理人プロフィール

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代理人の感想

アララギいきなり死亡!にまず大笑い(爆)。

もう少し長生きすれば間違いなく彼の妖精に・・・・・

あ、ひょっとしてラクスクライン(相当キャラ)の信者だったのかな?

なんにしてもキャラクターの割り振りがちょいと気になるとこですねー。

九十九とガイの関係も気になるし。

 

ではまた。