牙持つ乙女

02

 

 

「そして雨、、、」

血で赤く染まった絵本を、撫でながらつぶやくマーガレット。

愛しそうに眺めるのだが、突然その瞳に力ある光が宿り、両手を天井へと向け、叫びだす。

「そう、血の雨がこの地に降る!そしてすべては紅く染まる!!

怯えるが良い!愚民たちよ!!そして!」“スパーーーーン!!”

“ドサッ”

心地よい音とともに、ベッドから転げ落ちるマーガレット。

その背後には、ハリセンをバットスイングで振りぬいたエリノアが立っていた。

「、、、イタイ、、、、、、」

「お嬢様、それは役が違います」

「、、、そう?」

「はい」

「そっか、、、」

「はい」

「、、、」

「、、、」

「、、、、、、」

「、、、、、、お嬢様」

「なに?」

「お風呂の用意が出来ています」

「うん、分かった」

横になった状態から起き上がり、着替えを取りに動き出す。

そして、、、

「じゃあ、いっしょにはいろう、ヒカ(パシーーーーーーーーーン)、、、痛い」

人形を手に取りつぶやくがそこにエリノアのツッコミが入る。

あまりの痛さに、涙を浮かべながら、後ろに立つ彼女へと視線を向ける。

「お嬢様」

「なに?」

「確かにお嬢様と似ていますが、違います」

「そうなの?」

「はい。お嬢様はもっとボケていますから」

「、、、そっか」

「はい。それよりも早く入ってきてください。でないと明日の朝、起きれなくなりますよ」

「うん、わかった」

エリノアに促され、風呂場に向かうマーガレット。

気だるそうな瞳の奥に、恐怖を浮かべて。

「変わってないわねマーガレット、、、」

扉の隙間から眺めていたヴァネッサがつぶやく。

、、、少しは変わった方がいいと思うぞ。