GEAR戦士撫子外伝

 

 

「は〜〜、やっぱり今月も赤字だわ、、、」

店の帳簿を見ながら、ため息をつく舞歌。

「まあ、ガルファが攻めて来る度にお店を閉めてたから、しょうがないんだけど、、、」

仕入れは平常営業するだけの物を入れているので、売上が出なければしょうがないだろう。

「よ〜〜し!ここは一発勝負で赤字を解消するわよ!!」

そして、数十万の赤字を埋める為の作戦が始まった。

 

 

 

「良し!稼ぐわよ!!」

行きつけのパチンコ店の、魚がいっぱい泳いでいる台の前に座り、

カードを差し込んで打ち出す舞歌。

しかし、中々揃わず、すぐに一枚目のカードを使い切ってしまう。

「まだまだよ!!」

そしてまた、新しいカードを差し込む。

ちなみに手元にはカードが十枚ほどあった。

そしてその頃、舞歌の打つ台を挟んで、反対方向にあるスロットコーナーでは、、、

「頼む、アキト君、北斗君!君達の目押しの技術が必要なんだ」

「て、、、言われても、僕達子供なんですよ、ガイさん」

「そう言わずに、今月使いすぎて、ピンチなんだ!頼む北斗君〜〜!」

北斗とアキトに泣きついている、吉良国ガイが居た。

どうやら今月の給料を使い込み、生活費に困って一山当てようと言う考えらしい。

何に注ぎ込んだかは、あえて言わないが、、、

「俺はかまわないぞ。俺達に儲けの半分をくれるのならな」

「おお!サンキュー北斗君!!」

子供を頼りにする方も何だが、それを受ける北斗もなんだか

「まあ、それなら良いかな」

「よ〜〜し、頼むぞ二人とも!!」

そしてこちらの戦いも始まった。

 

 

一時間後、、、

「だ〜〜〜!!!もう、何ででないのよ!!」

貧乏ゆすりを始める舞歌。

すでに手元のカードは残り4枚になっていた。

「くそ〜〜〜!いい加減に出ろ〜〜〜〜!!!」

そして、彼らは、、、

「ふん、意外と簡単だな」

「けっこう、面白いんだね、これ」

すでにコイン山盛りの箱が2つずつ、アキトと北斗の台の前に置かれていた。

しかも、機械には目一杯コインが蓄積されていた。

「おお〜〜、すごいぞ二人とも!リーチ目にはしっかりと目押しで止めて外さないとは!!

たった二千円から、こんなに増えるなんて、信じられね〜〜!!」

涙を滝のように流し喜ぶ、ガイ。

しかし、、、二千円で挑戦するなよ、、、

 

そして二時間が経過

彼女は、、、

「ちっ!何で釣れないの!!」

すでに始めに買ったカードは使いきり、新たに十枚ほど買ったカードも残りは一枚となっていた。

「くそ〜〜〜!負けられないのよ、私は!!!」

地団駄を踏みつつも、打ち続ける舞歌。

その裏では、、、

「ほっ!はっ!やっ!」

「ふむ、リーチだな、、、そこだ!」

「す、、、すごいぞ、こいつらは、、、く〜〜〜!さすが『選ばれし者』だ!!」

彼tらの周りには箱が7つずつ、積まれていた。

ちなみに、店員から文句を言われないのは、ここがガイたちの所属する組織の

ダミー会社の一つで、店長が彼らの事を知っていたからだった。

だからと言って、アキトや北斗がやっている台が甘い設定ではなく、

むしろ難しい設定になっているのだった。

それでも、これだけ出すとは、、、

 

さらに一時間が経過して、、、

「ど、、、どうしよう、、、」

店の外でぼうぜんと佇む、舞歌。

「ぎゃ、、、逆に○万円も負けるだなんて、、、

今月の生活費、どうしましょう、、、」

青ざめた顔で、つぶやく。

「こうなったら、、、長官に前借しようかしら、、、でも、貸してくれなかったら、、、

いえ、それよりも店の赤字どうしよう、、、

ああ、、、もう、『人妻専門』とかのお店でバイトするしかないのかしら!!」

なにやら、怪しいことを言い出している。

「ヘンなオヤジ達が来て、あんなことや、こんなことをさせられるんだわ!!

そしてその事が、あの人にバレて、『この、売○め!!そんなのとは別れてやる!!!』

とか言われて、離婚されてしまうのよ!!

ああ〜〜〜!なんて不幸なの、私って〜〜〜〜〜!!!」

もう、負けた事より、他の事で頭が一杯になっているようだ。

そしてその時、、、

 

「いや〜〜〜、ありがとうございます、北斗さん、アキトさん!」

「でも、良いんですか、こんなに僕達もらっても?」

「ああ、俺達にくれたの、、、儲けの半分以上じゃないのか?」

「どうぞ貰って下さい!!先生方のおかげで、○十万も儲かったんですから!!

給料日まで、一週間もないんで、私はその三分の一もあれば十分です!!

その代わり、また今度頼むかもしれませんので、その時はよろしくお願いします!!」

もみ手をしながら、腰を低くして出てくるガイ。

もう彼らの事を、『君』ではなく『さん』づけで呼んでいる。

しかも『先生』と呼んでいるし、、、

多分『バカ弟子』と彼らに言われても、喜ぶだろう。

 

「はっ!あれは北斗にアキト君!!それにガイ君!?どうしてここに??」

とっさに物陰に隠れ、彼らの話に耳を傾ける舞歌。

 

「まあ、これだけあれば、『P○』シリーズの新しいハードも買えるし

ソフトも、沢山買えるから良いか」

「俺もこれで、新しいCDでも買うかな!特大ポスターも買って、グッズもそろえられるな!!」

 

「そ、、、そんな、あの子達に出て、私には出ないなんて、、、

パチンコ歴10年の私が、、、」

 

「それでは、ご自宅まで俺の車で、お送りいたします!さあ、どうぞ!!」

「ああ、頼む」

「お願いします、ガイさん」

「はい、お任せください!!」

車のドアを自ら空け、二人を招き入れるガイ。

もう、プライドも捨てているのか?

そして二人はガイの車で帰っていった。

 

「あはははは、、、」

夕方の冷たい風が身にしみる。

「、、、帰ったら、、、二人から借りようかしら、、、」

トボトボと、家路につく舞歌。

空しい敗者の、、、悲しい帰路だった。