神社は街から少し離れた小高い山の上に建っていた。

周りは木々に囲まれ、人々は特別な日以外は寄り付かず、町の喧騒とは無縁。

神社には日本独特の雰囲気がある。

その世界にただ一つ異質があった。それは葬式に白服を着ている人間がいるような異質。

ただそこだけが浮いている。

そいつの肌は濁った黒色、口元には異様に長い角、目は四つありどれもが充血している。

それは獣の姿をしているが、どちらかというと化け物といった名称のほうが似合う。

そいつは獲物を探していた。







「疲れた〜」

本当に疲れた。街から急いできたのはいいけど、想像以上に体力をすり切らしてしまった。

とくに階段。使う筋肉が違うためだろうか、疲れ方が半端じゃない。

「なのは。あと少しだから。」

「うん。もう鳥居も見えてきたしね。」

終わりの目途がたつことはいい事だよね。そこを通り過ぎれば物事に一段落着くんだもん。

「ゴ〜ル。やっとついた〜」

達成感で一杯だ。物事をやりとげるって気持ちいい。

「なのはお疲れ様。すごく言いにくいんだけど、次の課題に取り掛かってもらわないといけないんだ。」

「うん、分かってる。けどアレは?」

神社に来た目的がマラソン大会では無いもんね、けどアレはどういうこと?

前見たのはもっと形が不安定で、あえて言うなら毬藻、なのに今回のは姿見がしっかりしている。

分類は難しいけどお父さんが犬でお母さんが猪だった子供かな。名前はイヌシシかも。

「現地の生物を取り込んだんだ。実体があるぶん前より手ごわくなってる。」

たしかに前のジュエルシードとは違う。そこにいるだけで空気が重くなった感じがする。受ける怖さも前とは違う。けど、

「たぶん。大丈夫。」

嘘や虚栄心でなく、本当にそう思えた。根拠は無いけど、どうにかなりそうな気がする。

「なのは。レイジングハートの起動!!」

「えっ?起動ってどうやってするんだっけ?」

ユーノ君が呆けてる。フェレットの呆けた顔って珍しいな。

じゃなくて、レイジングハートの起動ってどうやるんだっけ?

さっきの自信は勘違い?

「グオオオ」

ユーノ君が私の体を伝ってランドセルまで上がってくる。

「我は使命を から始まるパスワードだよ」

「ええ〜。そんなの覚えてないよ」

一回であんな長いのは覚えれるわけないよ〜。せめてあと10回くらいの練習はしないと。

けれど、イヌシシは待っては待ってはくれなかった。こっちに突っ込んでくる。体は大きいのに凄い速い。

全身に盛り上がった筋肉を無駄なく駆使し、口から生えた角で口ざしするんだろう。

このままじゃあ死んじゃう。

「あれ?」

手のひらが熱い。握り締めたレイジングハートが朱色の光を放ってる。

「スタンドバイレディ。セットアップ」

手のひらで光が弾けた。一瞬目が眩んだけど、それもすぐ回復。

自身の手の中に杖が出現している。

「なのは。防御服。」

ユーノ君が驚きと焦りを含んだ声をかける。イヌシシとの距離が1mを切ってる。

私は杖を盾にして、吹っ飛ばされるしかなかった。






「なのは!!」

なのはがジュエルシードに吹っ飛ばされた。鳥居から20段ほど下の階段に、吹っ飛ばされたせいで、土煙がひどい。

杖を認証なしで出せたのは幸運で、ジュエルシードが想像以上の素早さだったのが不幸だった。

防護服を着る間もなく、吹っ飛ばされたんだ。小学三年生の女の子が無事でいるわけがない。

神社に来る前に、なのはが僕に、協力してくれると言った。

自分一人では到底不可能な事は理解していた。誰かの力が必要だった。

それをなのはが買って出てくれた時は安堵と、それに加え喜びがあった。

なのはがいることで一人でいる寂しさを拭える。なのはの優しさは心に癒しをもたらす。

けれど、そのなのはは今ジュエルシードに吹っ飛ばされた。

死なしてしまったかもしれない。運良くても重症だろう。

体が思い。心臓付近がとても重い。心が潰れてしま

「ふう。危なかった。」

・・・・・・・・

土煙が晴れる。なのはは尻餅をついていた。見た感じ怪我はなく、『びっくり箱の被害にあっちゃた』みたいな雰囲気。

ビックリはこっちが言いたい。無事でいてくれたの嬉しいけどさ。

「ガアアアア」

ジュエルシードが再度攻撃をしかける。鳥居の上からなのはに向かって跳躍。大砲のごとき勢いだ。

「きゃあああ」

なのはが反射的に杖をジュエルシードに向ける。赤い盾が展開。ジュエルシードを空中におしとどめた。

「すごい。」

手放しぬきで驚きの一言だ。ジュエルシードの攻撃は生半可ではない。

鳥居の上からの攻撃は脚力、高さ、質量、重力、が合わさった威力をもつ。ジュエルシードは巨体で質量は相当なはずだ。

それをなのはは防いだ。純粋魔力でだ。

これは異常だ。

例えるならプールで、クロールと走りでの競争。

クロールは術式を用いた防御。走りは純粋魔力の防御。

どっちが勝つかは目に見えている。術式をつかったクロールだ。一般的にはクロールが負けるはずが無い。

ただなのはの場合は違う。走りは走りだが全身が強力な筋肉(魔力)。それは仮面ライダーやウルトラマンレベルの筋肉(魔力)。

あまりに強力なためただの走りで、クロールに勝ってしまう。

僕はすごい才能の子とめぐり合ったのかもしれない。

「いたた。っていうほど痛くないか。この後は封印ってのをすればいいんだよね。」

なのはの中では何事も無かったように物事を進めていく。

「レイジングハート。お願い」

「シューティングモード セットアップ」

なのはの一声でレイジングハートから無数のリボンが現れ、ジュエルシードに絡め取る。

それらは柔らかく絹糸のようにイメージを受けるが、捕らえられたジュエルシードは暴れることすらできない。

もの凄い量の魔力なのだろう。

「スタンドバイ レディ」

「リリカルマジカル ジュエルシード シリアル16封印」

ジュエルシードが本来の姿に戻されていく。化け物だった姿は色を失い小さな子犬に戻る。

後には蒼い底の見えない宝石が地面に落ちているだけ。

「ユーノ君。これでいいの?」

「うん。これ以上ないくらいに・・」








感想

文が流れない。難しい





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代理人の感想

パスワード長いよな(笑)。

それはさておき、やっぱり第三話分はここまで全部かきあげてから投稿するべきだったかと。

一つの話の中に起承転結がないとやっぱり読んでてつまらないんですよ。

最近はそこらへんを勘違いしたプロの脚本もゴロゴロしてるんですけどね。

井上とか井上とか井上とか・・・げふんげふん。