黄昏の空の下に集いし者達






昔、神と人間、そして魔族による戦争があった。

その長きにわたる聖戦の末、壊滅的な打撃を受けた3つの種族は

滅亡を避けるために長い休戦状態へ入るしかなかった。




1000年のいつわりの平和・・・・・

この長い平和は、ミドガルド大陸で生活している人類から悲惨な

戦争と、過去に受けた傷を忘れさせてしまっていた。

彼らは過去の過ちを忘れ、己の欲望を満たすために自らの文明を

発展させていった。




そしてある日、

少しずつその平和のバランスが崩れる異常気象がミドガルド大陸の

所々で現れ始めた。




人間界と神界、魔界を隔離する魔壁から響いて来る轟音、

凶暴化する野生動物、頻繁に起こる地震と津波。

そして、いつの頃からか広まっていった魔物たちの噂。

平和の気運が崩れて行くなか、この世界の平和を支えているという

イミルの爪角の噂が少しずつ冒険者たちを中心に広がって行く。

だが、人々はその本質を忘れ、それぞれの利益のため、

その正体と富を求めて冒険へと旅出っていった・・・・





プロローグ  旅立ち


魔法都市 ゲフェン





マジシャンギルドへと続く広場で私は頭を抱えていた・・・そもそも今日はなにをしにここへ来ていたんだろうか。



白色の髪にモノクル(片眼鏡)、背は平均より高く引き締まった痩せ型の体躯・・・顔は通り過ぎる女性たちの視線

が集中する位の美形、しかし、それをぶち壊すかの様な服装、それは幾重にも巻きつけられた革で出来たベルトに黒色のゆったりとしたウェア、同色のマントだ、腰にはナイフが挿されている、典型的な冒険者とは一線を引く特徴的な刃物、

それは暗殺者の証であるカタールと呼ばれる両手にはめる短剣のような武器だった。そう、彼はアサシンだった。




「ねえねえレゼ〜、おなかすいたよ〜」



「ご主人様、ご飯・・・」




彼の後ろには人間の天敵ともいうべき種族、最下級不定形モンスター『ポリン』、形は・・・一言で言うと丸い(笑)

ピンク色の水玉のようなモノを想像していただければいい、と山林都市フェイヨンのダンジョン奥に生息しているはずのムナックと呼ばれる赤い胴衣に赤い帽子その帽子には顔を隠している大きな札がある、(ちなみに顔は愛嬌があって可愛い、特に目がたれ目)腰の下まで伸びた髪を三つ編みにしてリボンでとめている女性が・・・もとい少女がいた。


私はゆっくりと二人(?)に向き直る。


ここは自制心でゆっくりと少女のほうに話しかける。




「ねえ、籐華?さっきそこの喫茶店で散々サンドイッチ食べてましたよね?それからまだ二十分しか立ってないんですよ?」




次にポリンの方に話しかける。




「レン?君もさっきりんごジュース三杯もおかわりしましたよね?」


『うん』




即答・・・まだまだ自制心は必要そうですね。





「もう少し我慢してください、今日はギルドの正式承認の手続きなんですから」




はぁ・・・、今日すでに六回目のため息だった。

二人は退屈そうに広場で噴水を眺めている、おおむね今日も平和みたいです。

私の名前はレゼリス、アサシンでありながら魔法都市でギルドを営むギルドマスターです。

ギルド名は・・・「聖銀の雪」



「ふーっ、籐華お姉ちゃん。ご主人様おそいですね〜」



僕は今マジシャンギルドの門の前で雑草を息で揺らして暇つぶししながら隣にいるムナックの籐華お姉ちゃんにたずねます。



「そうだねーレン君、レゼの事だから案外待ってる間にそのまま寝ちゃってたりするかもね(苦笑)」


「あはは、そうかもしれませんね」


でも、そんなご主人様が僕は大好きです、何も出来ない僕を拾って今までずっとそばにいてくれました。


「まあ、こういう手続きって面倒くさいから時間がかかってると思うのよ、もう少し待ってよう」


「はい、籐華お姉ちゃん」




今日はおおむね平和みたいです。


案の定レゼリスは面倒くさい手続きに翻弄されていた(笑)



「っと、この書類とこの証明書と・・・、あれ?この書類はなんだっけ?うーん思い出せない・・・」


私はざっと辺りを見回す、このマジシャンギルドはこのミドガルド大陸全てをカバーしているカプラサービスの窓口もかねている

今私はようやく承認が通ったギルドの手続きをしにここを訪れているのだがいかんせん書類は十枚近くあり、正直言ってどうしたらいいのかぜんぜん分からないでいた・・・。

その時目の前を通り過ぎるエプロンをつけたメイドさん?に声をかけた、ポニーテールの愛嬌のある娘だ。


「すみません、ギルドの手続きに来たのですがちょっといいですか?」


「はい?どうかなされましたか?」


「ええ、ちょっとこの書類をどこに出せばいいのか分からなくて」


そう言いつつ私は手に持っている書類の束を彼女に渡す。彼女は数度書類を読み返すとうなずいてぱらぱらとめくる。


「ふむふむ、今度立ち上げたギルドさんですね、マスターはレゼリスさん、職業はアサシン、ギルド名は聖銀の雪・・・


趣味は・・・料理?なるほど、全てそろっていますね、ではこのまま私のほうから出しておきましょうか?」


「あ、いいんですか?ありがとうございます、後はもういいんですか?」


「ええ、後は提出するだけですのでよろしいですよ、後でギルドエンブレムがをお渡ししますので・・・」


二、三言葉を交わしたあと私はマジシャンギルドを後にした、さて、もう一時間も経ってしまった、二人とも退屈しているだろうな・・・




門をくぐるとやっぱり二人は不貞腐れて・・・無かった。二人ともベンチで寝ていた今は初夏、昼寝にはもってこいの天気でしょう

なんとなく起こすのをためらい私も籐華の隣に腰掛け気疲れを癒す事にした・・・



一時間後・・・



「んあ?あれ?」


「おや?籐華おきましたか?」


「んー、もう終わったの?手続き」


「ええ、かれこれ一時間ほど前におわりましたよ」


一時間も経ってたんだ・・・いつの間にか寝てたらしい、レゼが気を使ってそのままにしてくれてたみたい、レンはレゼのひざでゆっくりと寝息を立てている。

ふと思い出して聞いてみた。


「レゼ、エンブレムは?」


レゼは微笑を浮かべながらあたしの左腕を指差した、そこには・・・


「わあ・・・きれい・・・」


あたしは思わず感嘆した、剣に翼が生えてるマーク、青を基調とした落ち着いた感じがするエンブレムだった。


「そういってもらえると徹夜した甲斐がありますね」


そういって恥ずかしがるレゼ、でも本当に良く出来たデザインだった。


「ふふ、そうだね、きっと皆も喜ぶよ」


「それは良かった、さて、もう夕方ですしそろそろ帰りましょう。今晩はお祝いに豪華な食事にするんでしょう?」


「あ!!そうだった、よし!!いこう」


今日もおおむね平和みたい・・・

夕日が差してくる広場であたしはレンを抱いて一足先に大通りへと向かう、その後をレゼがゆっくりとついてくる

その左腕には発行されたばかりの蒼いエンブレムが輝いていた・・・




同時刻・・・ゲフェン西の商店街





「っらあ、ざけてんじゃねーぞ?こら、いい加減借りたモンかえしてくれねーと俺が路頭に迷うだろうがっ!!」


ガシャァァ!!


「す・・・すみませんでも後三日、いえ二日あれば都合がつきますのでどうか店を壊すのだけは・・・」


「あ?二日?なに寝言ほざいてんだ?てめえは!!」


俺様は手近にあったりんごが並んだ棚を蹴り倒す。


ゴシャア!!


通りを囲むようにして取り巻いている野次馬にりんごが転がっていく。


「もう一ヶ月もまえに返済期限過ぎてんだろうが!!!」


「も、申し訳ありません・・・ですが、いまはこの通り魔物が増えてまして商品がなかなかとどかなく・・・」


「アア!!?知ったこっちゃねーんだよ!!」


ついでに牛乳の並んだ棚も引き倒す。



ガシャ!!


「あ!!うう、すみません本当に後二日でお金が都合できるんです、ですから今日は、今日は勘弁してください・・・」



ふと、俺様の頭にこの目の前で泣くこの店の娘、確かエフィリアとかいったけか?を使う事を思いついた、案外ぼろもうけできるかもしれない・・・


「じゃあ、フィリア?お前で今回は勘弁してやろう、それどころか借金をゼロにしてやってもいい・・・」


「え・・・?」


「ただし、二度とでられねえだろうけどよ・・・よく見ればそこそこにいい女じゃねえか」


俺様の顔に嫌でも笑みがこぼれる、野次馬の中には俺と同じ答えに行き着いた奴がいるらしく顔をしかめていやがる・・・

まあ、何か言ってきたらここの馬鹿店主と同じくぶっ殺すだけだけどな・・・


「ひ・・・、い、いや・・・」


どうやらこの女も気づいたらしい、だが恨むんなら自分の親を恨むこった、借りたモンを返さないほうが悪い・・・

少しづつにじり寄る、あえてこの女を泣かせて喚かせて屈辱に落してから連れて行くのもいい、ほか客への見せしめにもなるしな。


「おら?逃げねえのか?つめてえもんだよなあ?ご近所の皆さんなんてのはなぁ?」


わざとらしく振り返るとばつの悪そうにうつむく野次馬がいた・・・こんなもんだよな


「さてまずは・・・その服から担保にしてやるよ」


俺の顔に気色がうかぶ、ここでむいた後に自宅でしつけてやるのもいい、どうせ兄貴はここには返済能力はないって言ってたんだそこの一人娘ぐらいもらったってなんの文句もないはず・・・ちょうど最近彼女に振られてむしゃくしゃしていたからな。

今日は少しいい日になりそうだ・・・




何でこんな事になったんだろう・・・私は今日もいつもの通り配達をおえて店に立っていただけなのに、何でこんながさつで乱暴な取立て屋に店を壊されて、お父さんを傷つけられて、今こうして辱められようとしている、お父さんが少しの借金をしたことも知っている

でも、ほんの20000zほどなはずで返済も明後日の筈だった、何で?こんな強引な取立てにあわなければいけないんだろう?

そんな事を考えてる間に男が迫ってきた!!周りの野次馬の人達が疎ましく思える・・・私は無意識に叫ぶ!!


「いやぁあああああああああ!!!!!」


「・・・よっと・・・」


ごめぎゃっ!!


・・・?あれ?



ジェムズストア、看板娘フィリア・ジェムズ・トワイライトはおおむね今日は不幸だった。



反応は一瞬だった、友達であるフィリアの叫び声が聞こえた、だからとりあえず蹴ってみた二メートルほど跳躍して。

我ながら惚れ惚れするほどの滞空をして目の前の・・・なんというか悪者っぽい男につま先はめり込んだ。

とりあえずレゼの背中に足跡つけたのは・・・愛嬌よね(はーと♪)



「と、籐華ちゃん?何で・・・え?・・・あれ?、ふぇ・・・」



泣きじゃくるあたしの友達にピースする♪破れたブラウスは先週あたしとバザーに行ったとき気に入って買ったものだ・・・

理由は良くわかんないけどあたしが蹴り倒した男に何かされていたのは間違いないと判断する。

ならこの後の行動は一つ!!



「見せモンじゃないのよ!!!!!何も出来ないならこの店の前でたまるんじゃないわよ!!!」



ザワッ・・・




あたしの一喝で野次馬がばつの悪そうな顔をして散っていく、これ以上フィリアを傷つけるような好奇の視線にさらしてたまるか、久々にぶちきれそうだ・・・

その時あたしの良く知る澄んだ声が響いた。



「さあ、もうそろそろ夕餉の支度なんですからそれぞれ用事があるんじゃないんですか?」



野次馬の一人おばさんがわざとらしく



「あ、まだ買い忘れてたのがあったんだ買いに行かないと・・・」



それを合図に皆それぞれ散っていく。

後に残ったのは新ギルド『聖銀の雪』マスターのレゼリス。そしてレン。

歩み寄るその足取りにあたしは少しほっとする、さすがに怒鳴って乱入したのである程度緊張してたらしい




「フィリアさん?もう大丈夫ですよ」




そう言ってフィリアに話しかけるレゼ・・・任せるのが吉、だろうやさしいからね・・・レゼは。


「ひっく・・・レゼリスさん?・・・あ、ありがとうございます」


「怖かったね、さ、これをかぶっててください」


そういって私は自分のマントを彼女に羽織る、親父さんが倒れているのが心配だ。


「レン、彼女を頼みます、私は親父さんを」


「分かりましたご主人様、フィリアお姉ちゃん僕が守りますから・・・もう泣かなくていいんですよ?」


彼女はレンに任せて私は親父さんに歩み寄る、・・・うっ。

そこには冷たくなった親父さんの体があった・・・打ち所が悪かったのか、呼吸はもう止まっている。

どうやら相当殴られたらしい、所々に痣がある。

最後まで手を出さなかったんだろう、そんな人だった、私もそうなりたいと思っていた。

今日は最悪の日になっちまったな・・・


「籐華・・・フィリアを俺たちの家に連れて行って何か食べていてくれ、明日には戻る」


俺はそう宣言した


「え?明日って、それに親父さんだって・・・」


「いいんだ、もう」


その一言で察したらしい


「レン君、親父さんのそばにいてあげて、自警団の人呼んでくるから・・・」


「うん・・・フィリアお姉ちゃん?」


どうやら緊張の糸が切れたんだろう、フィリアちゃんは眠っていた、言い知れない悲しさが俺の中にわだかまる。


「・・・レン君、ごめんやっぱりフィリアをお願い」


「籐華!!」


「ごめんレゼ、やっぱり納得いかない」


「ちっ、わかったよ・・・」


「ご主人様、籐華お姉ちゃん、任せてください・・・ね?」


「ああ、レン頼んだよ」



そのころようやく自警団の連中がついた、事情説明はレンに任せよう、ギルドエンブレムを見せれば俺の家族だという事が

分かるはずだ、早々酷い事にはならないだろう隊長は俺のことをよく知っているだけに・・・

さて、俺は籐華の一撃で伸びているこのクソヤロウの始末をつけるために片手で引きずる。籐華も憮然とした表情・・・

もしかしたら泣いているのかもしれない、で俺の後ろをついてくる。






数十分後・・・俺は町外れの街道まで来ていた。







「ここらでいいか、おい?てめえいつまで寝てる気だ?」


そういいつつ蹴り上げる


ドコッ!!



けして殺さないくらいの威力で蹴った、その甲斐あってかくぐもった声を上げてゲス野郎は目を覚ました・・・



「ぐはっ、て、てめえ何しやがる!!!俺は正式なギルド、グラッツランナーのメンバーだぞ!!」


「しったことか・・・俺には下衆にしか見えねーんだが?」


「・・・しんだわ」


「あ!!?しんだ?てめえこそ死体の癖になにしゃ・・」


男の喉元にはいつの間にか出現していた刃物・・・カタールが突き立てられていた、ほんの数ミリ突き出しただけで盛大に血が吹き出る、そんな感じだ、男の台詞は寿命を縮めるだけだろう。



「なにか、いったか?俺の妹について」


「ひ・・・い、いや何でもねえよ、なんでもねえからどけてくれ!!」


「その必要はない、答えろ、お前のギルド本拠はどこだ?」


「な、なんでお前に言わなきゃなんねんだよ!!」


「お前はあの店主を殺した、その償いをさせているんだ、素直に答えるんだ」


籐華はもう限界までこらえている・・・そろそろ吐かせないと暴走しかねないな・・・


「あ、まさかアレで死んだのかよ?本当に?」


「そうよ・・・アンタが殺したのよ!!!あんなにやさしい親父さんを!!フィリアのお父さんを!!!」


青い顔をしている、籐華の激昂と俺の殺気で本当だと知ったらしい、哀れなもんだ。



「そんな・・・アレぐらいで・・・」


「お前に二つの選択肢をやる、ここで何も言わずに俺に嬲り殺されるか、全部吐いて籐華に引き裂かれるか、えらべ・・・」


「なっ!!じょ、冗談じゃねえ!!たかが爺一人殺したくらいで・・・あれ?」


「もういい、最初から当てにした俺がおろかだった・・・」


俺はためらい無く愛用のカタールを腰に収めた・・・もう振り返る気は無かった・・・収穫はあった最近強引な取立てで有名なギルドだ、自殺に追いやったり、暴行なんかは序の口と聞いていた、標的は決まった。最初の仕事は届け物、それもとびっきりきつい届け物だ・・・


「お、おいまさかこのままギルドに乗り込むつもりじゃねえよな?たかが二人でなにができんだよ!!」


「俺は聖銀の雪、ギルドマスター、称号は「星空に捧ぐ祝賛歌」レゼリス・グリッド・ハーテッド、アサシンだ」


「同じく聖銀の雪、ギルドメンバー、称号は「木漏れ日の協奏曲」籐華・グリッド・ハーデッド、ムナックよ」


「な!!アサ・・・シン・・・」


どうやらいまさら気づいたらしい、まあ後の祭りだがね・・・


「そうよ、誰にけんか売ったか重い知らせてあげる・・・」


「ただで済むことはありえない、覚悟しておくんだな」


男の顔が青から白くなっていく、どんな理由があっても失った命は戻らない、こんな形で失う事が俺にはどうしても納得

行かなかった、代償は大きいだろう、それがたとえ何十人の命でも俺は納得してやるつもりは毛頭無かった。

それは籐華も同じだろう、普段はただの少女でも有事の際にはかなり頼りになる、伊達に魔の波動に対抗できてるわけじゃない籐華の意志力がそれを物語っている。


「しばらく自分が何をしたのか考える事だな・・・」


そう吐き捨てて俺と籐華はまちにむかって歩き出す、ふと、籐華が立ち止まる。


「ねえ、アンタに家族は居る?」


そう尋ねる籐華に男はこう答えた


「いねえよ、それがどうした?」


「そう、運がなかったわね・・・」

シュッ!!


次の瞬間男は何が起きたか理解できなかっただろう、頭がなくなっていたのだから・・・籐華を止める気には俺には無かった

そして籐華がやらなかったら俺がやっていたからだ。


「ついでに、俺は嘘をつかない」



その声が男に届いていない事は分かっていたがつぶやいた、涼しい夜風に血臭が混じる・・・名前も知らない愚か者の最後はそいつにふさわしくあっさりとしたものだった、最後の慈悲とばかりに籐華は一瞬でかたをつけた・・・




「ごめん、レゼ兄・・・・」


「俺がやってた、お前がやらなかったらな・・・」


「それでも、ごめん」


町へ向かう道筋で籐華は声を殺して泣いていた・・・守れなかった悔しさと、一瞬心に封印していた激情を抑えられなかった事、そして自分もまた、命を奪った事について悔やみながら・・・

そして俺は涙すら流せなかった・・・・






一ヵ月後・・・




「おおー、よく似合ってるじゃない、フィリア♪」


「うんうん、よく似合ってますよフィリアお姉ちゃん♪」


「いやー、これで金銭関係はたすかりますねぇ♪」


上から順に籐華、レン、レゼリスの言葉


「あはは、ありがとうみんな♪、でも本当にいいんですかレゼさん?私なんかギルドに加えてしまって」


そう、わたしは今商人として再スタートするべくギルドに入った、もちろんレゼリスさんのだ、父が死んだと聞かされたとき

わたしは自殺を考えた、何せ父が死んだ理由は向こうの勘違い、ほかの取立て名簿と間違い家を襲ったらしい、それでもこうしてこの場に立つことが出来たのはひとえに親友である籐華、可愛いレン君、そして今回の事で混乱していたわたしに変わって全ての事を行ってくれたレゼリスさん、この三人のお陰である、特にあのギルドがその日の深夜に壊滅した・・・そのウラでこの三人がかかわっているのを知ってるのはほんの数人だろう、わたしを襲ったあの男は次の日に首なし死体として発見された。

凶悪モンスターの凶行として扱われていたがその記事を読んだ籐華が一瞬沈んだから、きっと籐華が・・・いや、そんなことは関係ない!!とにかくこの人達はわたしを必要としてくれた、もともと商店を経営していたから商談は得意だし、何よりここまでしてくれた親友にいつまでも甘えるわけにはいかない!!そう思って返事をした。

そして自分の質問が杞憂だった事は次のレゼさんの言葉で・・・ものすごく納得した。


「いやあ、ほんとーに助かります、家の家計は火の車なんです二人の食費のせいで・・・」


確かによく食べるからね・・・籐華とレン君・・・


「なるほど・・・」


思わず同意してしまった(笑)


「ちょっと、フィリア!!なに真剣にうなずいてるのよ!!レゼ!!妹に向かって食いすぎとは何事よ!!稼げないアサシンなんてただの役立たずでしょうが!!」


「な、籐華!!仮にも兄に役立たずは無いだろうが!!」


「ご主人様・・・」



レン君はあきらめたみたい会話に加わるのを・・・確かにこの兄妹げんかには加われないよね(苦笑)



「まあまあ、その辺でやめてください二人とも」


「む〜、失礼なんだからぁ」


「事実でしょうが・・・(汗)」



レン君は我関せずを貫いてりんごジュースを飲んでいる♪やっぱり可愛い♪



「さ、ギルマスさん?どこにむかうんですか?」


わたしは目いっぱいの笑顔でレゼさんに問いかける。


「ん〜、まずは中央都市プロンテアです」


「なるほど・・・あそこか・・・いいね♪」


「初めてです〜♪」



なるほど、拠点を中央に定めておけば活動しやすいですしね。

さすが冷静なレゼさんです。



「たのしみですね・・・これから」


「ええ、これからどんどん忙しくなりますよ!!頼みますよ、皆!!」


【おおー!!】一同


お父さん、わたしに新しい道と仲間が出来ました、まだ完全には吹っ切れないかもしれませんが・・・

それでもわたしは笑えます、皆が居るから♪




「ねえ、レゼ・・・今思い出したんだけど路銀はどうするの?フィリアの転職の用立てで全額きえたよね?」



・・・やっぱりまだ笑えないみたいです、お父さん・・・ついでにこの町で暫らく野宿です。




第一話に続く・・・








あとがき

始めまして、いつもは読む側でしたが今度は投稿させていただきました トリックオブレインといいます(笑)

実はこのレゼリスと籐華、レンは実在します!!W

まあ、自分の持ちキャラが動かしやすかったもので・・・Wですが!!

世界観や設定など元のゲームより拝借させていただいたのですが多分にオリジナル要素が混じりつつありますW

何分初めてな投稿なもので勝手が分からず未熟ではありますがよろしければふらっと立ち読み感覚で読んでいただければ幸いかと思います。イラストもそのうち投稿させていただくかもしれませんのでよければそちらのほうもよろしくお願いいたします

最後に、こんなへっぽこ小説を掲載させていただき管理人さん達には感謝の言葉もありません。これからもよろしくお願いいたします。


なんかお願いばかりですが少しでもああ、いいなーと思ってくれたら感想いただけるとレゼたちも喜ぶと思います(笑)

それでは次のお話は・・・二週間後くらいに?投稿したい(希望)と思います♪


P.S もしRO内で見かけたら・・・W

 

管理人の感想

トリックオブレインさんからの投稿です。

ラグナロクオンラインですか。

・・・一人で二匹もペットは飼えんでしょ、システム的に(苦笑)

ところで籐華はやはりムナック飛びで移動しているのでしょうか?

想像すると、かなり笑えますw

今後の彼らのギルドの活躍が楽しみですね。