第一章〜新しい世界へ〜
(五)

 どれくらい経ったかは分からない。一言も発する事無く、僕とデニーは顔を背けながら立っている。

 気まずい空気の流れをどうやって断ち切るか。僕には到底考えることが出来なかった。

 それでも自然に気まずい空気は断ち切られた。忘れてはいけない人によって。

「う……うぅ……」

 消え入るような呻き声が耳に入る。

「あっ……!」

 そもそも僕は何故、無謀にも賞金首と戦ったのか。思い出してみれば、一人の怪我した男の人を助けるためだった。
そのくせ、男の人の事を忘れていたとは言えない。

 お腹を右手で抑えながら、重くなった足を引き摺って男の人に近づこうとしたが、今ごろになってお腹が激痛を発し、
呻き声を上げながら膝をつく。

 膨れっ面で黙っていたデニーが、傍についてくれた。

「おい、大丈夫か?」

 川のように穏やかに、大量の汗が僕の顔を流れる。喋ることも出来ないで、呻き声だけを流す。

 デニーの顔が眼前に迫っていた。なんとか苦笑いを作ったが、意味は無い。

「指輪、嵌めているよな?」

 突然投げられた質問を理解出来ず、とりあえず頷いて右手に視線を送った。

 デニーは真剣そのものの顔で指輪に目をやり、次いで僕の顔を見る。

「右手を痛むところに当てろ。目を閉じて、怪我が治るとこを想像するんだ」

 激痛の渦の中で、指輪を貰うときにデニーが言ったことをやっと思い出した。

『指輪の力は傷を癒したり、光を出したりすることだ』

 魔導は緑術に通ずるところがある。僕はデニーの蒼雷の斧を見てそう感じた。

 もしかしたら聖光の指輪の力で傷を癒せるかもしれない。デニーはそう言っているのだろう。

 言われたとおりに一番痛い場所に右手を当てて目を瞑る。
どんな怪我かは痛みからして骨折、もしくはひびが入ったに違いない。
ひび割れた骨が、折れてしまった骨が再生していく様を想像する。

 ひび割れた部分が徐々に白い塊に埋め尽くされる。
折れた骨はゆっくりと切断面を合わせ、白い粒子が僅かな隙間を埋めていく。

「……」

 目を瞑っていても分かる。今、僕の右手と痛む場所とが暖かい光に包まれている。お母さんの抱擁にも似た暖かさだ。

 痛みが次第にひいていく。右手の光が消えるのを実感するのと同じくして、さっきまでの激痛は跡形もなく吹き飛んでいた。

「……驚いた。まさか完治させちまうなんて。やっぱお前、凄い魔力秘めているよ」

 目を開けると、膨れっ面ではなく、目を見張っているデニーの顔が映し出される。

 なんとなく僕が微笑むと、デニーも微笑みを返してくれた。

 自分の傷を治せたのだから、人のだって治せるはずだ。と、意気込んで僕は見るからに重症な男の人の上に右手を差し出す。

 頭部からは地面を真っ赤に染めるだけの量の血が流れ、両腕は力なくどうにか肩についているようだ。

 自分の時と同じく目を瞑り、傷が癒えるイメージをする。

 上手く想像出来ない。体の至る所に傷があり、全てを治そうとすると難しい。

それに加えて僕の体力――魔力というべきかもしれない――がついていっていなかった。想像する度に気だるくなっていく。

「……すみません」

 それだけ言って、僕は最も重症な頭部を治すことに決めた。

 顔の上に右手を差し出し、傷が治って行く様を想像し、血が止まった様を思い浮かべる。

 右手に光が戻る。行ける、と確信して今度は右手に力を入れる。右手は呼応して光の輝きを強め、一気に傷を治す。

 男の頭部から流れる血が止まり、力を入れた事で両腕の骨折の方もほとんど治っていた。
力なく肩に繋がっていた両腕は力を取り戻し、意識を取り戻した主と共に動く。

 呻き声を上げるだけだった男は目を覚まし、上半身だけをゆっくりと起こす。

 両手を顔の前まで上げてじろじろと見ている。瀕死とも言える状態だったのが、
不自由なく動かせるまでに治っていて驚いているようだ。

 両手、腕を一通り見た後に、首を忙しなく動かして周囲を見渡す。

 そして、間近にしゃがんでいた僕と、その後ろで立って一部始終眺めていたデニーに気が付いた。

「そうか……。君が僕を助けてくれたんだね?」

 元気というには少し力の弱い、それでも温かみのある声で男が言った。僕は微笑みながら頷くだけで何も言わない。

 男は小さく、そうか……、と呟いた後、微笑んで言った。

「ありがとう。危うく殺されるところだった。君みたいな小さい子が、よくアームの奴を追い払ったね。凄いよ。
僕の傷を治してくれたのも君なのかい?」

 驚きと喜びとが均等に混ざった表情だった。助けたのは僕だけでは無いし、結局のところ僕も助けられた側だった。
とはいえ、今の状況で説明するのも何かと面倒なので、僕は頷いた。

 均等が崩され、驚きが色濃く現れる。声の調子もあがり、一瞬だが元気を取り戻したように見える。

「あれだけの傷を治せるなんて……。君はやはり魔導士なのかい? いや、そうだよね。そうでなければあれだけの傷……っ」

 言い終わる前に、男は全身に残る痛みに襲われて体を竦める。

「無理しないで下さい。治したといっても全てではありません。すみませんが、僕にはこれが限界で……。
後はご自分でお願いします。お大事に」

 微笑を崩さずに言ってから、僕は立ち上がり先に歩み出していたデニーの傍につく。

 すぐ近くの酒場兼宿屋の扉を開いた時、無理やりとしか思えないほどの大声で男が叫んだ。

「ありがとう! 本当に助かった! ありがとう!」

 男の言葉が嬉しかった。それだけ無理を押して助けた甲斐があったな、と思う。
別に、この言葉を望んでいたわけではないが、いわれて嬉しいのは当然だ。

 酒場の扉を開き、中に入ると現実に引き戻されたような気がした。

 酒場に入ってようやく、まだ叱られていないことを思い出す。大親友であるバドは突如割り込んで来た騎士団の後を追っていない。
僕一人で試練を越えなければならない。
 カウンターに御馴染みの睨みを利かせたマスターが、様々な色の液体が入った瓶を丁寧に磨いている。

「遅くなっちまったが、これ」

 デニーはカウンターの前で足を止め、ポケットの中からビッグ・ワームの死骸が入った袋を取り出し、マスターに向けて放り投げた。

 無言無表情でそれを受け取ったマスターは、袋の中から死骸を取り出し、親指と人指し指で押してみたり、
目の近くまで持って来てじろじろと眺めたりしている。

「確かにビッグ・ワームのものだな。これが報酬だ」

 カウンターの下に手を入れると重量のある袋がカウンターに乗せられた。

 どさっ、じゃり、という音が中に銀貨、あるいは銅貨が幾枚も入っているのを感じさせる。

 デニーは袋を手に取って、中を確認する。一瞬だけ不満そうな顔をして、何も言わずに、宿屋に通ずる扉を開き、宿屋に入っていった。

 遅れること数秒、マスターに睨まれないうちに宿屋に逃げ込み、先に部屋に戻ってしまったデニーの後を追って部屋に戻る。

 部屋に入ると、相棒である斧を机の横に立てかけ、デニーはベッドに座っていた。
その表情は決して明るいものではなかったが、そこまで沈痛なものでもない。

 多少怯えながらも、デニーが予め僕を座らせるために置いたであろう椅子に座る。

 まず僕の第一声。何かを言われる前に謝るしかなかった。

「勝手に部屋を出て行って、人の喧嘩に首を突っ込んで、痛い目にあって……。本当にごめんなさい……」

 顔を上げることが出来なくて、僕の視線はデニーの足首に言っている。

 返答は無く、嫌な雰囲気が部屋を覆い尽くす。

「ふぅ……。怒る気失せちまったよ」

「えっ?」

 デニーが溜息混じりにいった言葉に対して、一秒の間も置かず僕は声を上げて、デニーの顔を見た。

「俺が言ったことを守る必要は無いだろう? 俺はお前の兄でも、なんでもない。俺は忠告しただけだ。
でもまあ、怒る気ではいたけどな」

 デニーの声と表情が一変して、明るいものに変わった。明るい光が顔を照らしている。

「結果的に、お前は一人の人間を救った。それでいい。それでいいんだよ。結果良ければ全てよし、だ。な?」

 デニーが声を上げて、陽気に笑った。

 僕もつられて笑った。

 嫌な雰囲気は、陽気な風によって吹き飛ばれ、僕の気持ちはすっかり落ち着いた。

「全く、着いたばかりだってのに色々起こり過ぎだぜ。そうだ、とにかくお前はもう寝ろ。
慣れない魔導を使ったんだ、疲れているだろ?」

 優しい笑みと共に投げ掛けられた質問に正直に答えた。

「はい、もうだいぶ……」

 認めた途端に睡魔が僕の脳を支配し、体が前に倒れる。

 意識が途絶える寸前、デニーが僕を支えてくれていた。



「さてと、路銀稼ぎにでも行くか」

 極度の疲労で倒れたエリウスをベッドに寝かせ、相棒を担いでデニーは部屋を出た。

 足早に廊下を進み、階段を降りると酒場に入っていく。
カウンターでは相変わらずグラスやボトルを磨いているマスターが立っていた。

 デニーはカウンターを隔ててマスターと向い合う。

一瞬の沈黙を経て、デニーが口を開いた。

「少し路銀を稼ぎたいんだけど、いい賞金首はないか?」

 デニーの発した言葉がマスターの手を止める。グラスを後ろの棚に綺麗に並べると、無機質な声で答えが返された。

「ないな。もうほとんどの賞金首は狩られている。路銀にもなるか危うい小物でもいいなら残っている」

「そいつでいい。情報は?」

 デニーが言うよりも早く、マスターは賞金首の顔と賞金、特徴等が書かれた一枚の紙をカウンターに置く。

「こいつはさっきの……」

 紙の中心に写っている顔は、禿頭で岩のような形をしていて、目と口は大きく、不快な笑みを浮かべている。

 デニーはその顔を知っていた。ほんの少し前に会ったばかりの顔を忘れるはずがない。

 デニーの軽い舌打ちが鳴った直後にマスターが詳しいことを話し始めた。

「名はアーム・ストング。身長二メートル程の巨体で筋肉の塊だ。
これといった武器は持たず二つの腕だけで何人もの犠牲者を出した。ただ、誰一人殺していない。
犠牲者の数が多いだけで、賞金をかけられている。額は一万銀貨(ギフラム)だ」

「一万ギフラムだと? マジで正真正銘の小物だな。今まで見た賞金首の中でも最低額だぜ」

 心の底から、という表現がよく合う豪快な笑いが空気を振るわせた。
一度も表情を変えたことが無いのではないか、と思われるマスターでさえ、薄っすらと笑みを浮かべている。

 笑いの風が止まると、デニーは突然とご自慢の斧を肩で回す。

「よし、行ってくるわ。そいつ、何処にいる?」

「サルーン・ストリートにある、バッド・サルーンという店だ。とくに大きいから行けば分かる」

 ありがと、デニーはそう言うが早く酒場を抜けて外の通りに出た。

 さっきまでの騒動が嘘のように、大通りは平静を保っていた。人通りも少ない。
果物や野菜を売っている幾つもの出店にも人は見えない。

 熱気を帯びた風が頬を撫で、地面の砂を舞い上げる。

 デニーは半ば走るように大通りを進み、四つの大通りが交わる噴水広場まで行く。

 噴水広場を中心に北がレストラン・ストリート、南がメイン・ストリート、
東がフード・ストリート、そして西がサルーン・ストリートとなっている。

 デニーが通って来たのは東のフード・ストリートだった。
デニーは一度足を止めると、迷った挙句走り出し、西のサルーン・ストリートに入っていった。

 サルーン・ストリートは他の三つのストリートとは異なる点があった。
それは他のストリートに比べて治安が悪く、店もほとんどがボロボロで客の入りは全くない。
路上で寝ている者も多く、普通の人が入っていけばどうなるか容易に想像できる場所である。

 デニーもその事はよく知っていたが、関係無いとばかりに道の真ん中を疾走する。

 噴水広場から大分奥に入ったところに、一際大きい建物があった。
大きな入り口の上には"バッド・サルーン"と書かれた看板がついている。
文字を囲む様に美女の絵が描かれていたが、長年放置されていた為にどれも薄れていた。

 バッド・サルーンの前で一度足を止め、看板を見上げた後に堂々と酒場に入っていく。

「ああ、ウゼェ! 今日はついてねぇぜ、ちくしょう!」

 広い室内には多数のテーブルと椅子とが置かれている。内装はボロボロで壁には所々に穴があいている。

 幾ら室内が広く、多数のテーブルと椅子とがあっても使っている者が一人では意味が無い。

 客といえば部屋の中心の席に座っている禿頭の大男だけだった。
それも苛立っていて周りのテーブルや椅子、グラスなどを容赦無く破壊している。

カウンターの奥で苦虫を噛み潰したような表情をしているマスターが、新たな客を視界に捕えた。
ただ、マスターには青い頭髪を持つ、男前な顔立ちの青年が客では無い事を分かっていた。

「お、いたいた。小物のアーム・ストングが」

 馬鹿にした口調に、見下したような視線。名指しされた禿頭の大男、アーム・ストログはテーブルを突き飛ばし、
椅子を派手に倒して振り向く。

「てめぇは……さっきの……。そうか、わざわざ俺様に殺されに来たのか」

 平静を保っているのも口調だけで、アームの顔は真っ赤になっていて、手を合わせてボキボキと痛々しい音を鳴らしている。

「違うね。てめぇを捕まえに来たんだよ。"小物"のアームさん」

 にやっ、デニーの笑いがアームの平静を切り崩し、今まで馬鹿にされたことの無いアームは咆哮を上げた。

「いい度胸だ……。 ぶっころしてやるぜぇ!」

 巨体が跳び、デニーの前方に現れると豪腕が繰り出される。

 デニーはご自慢の斧を床に突き刺すと、左足を軸にし、右足で半円を描くように動いただけで豪腕を避ける。
突然標的を失った豪腕を木の床を拳大にぶち抜いた。

「へぇ……中々いい動きするじゃねぇか。でも、それだけだな」

 デニーがわざとらしく驚き、結局馬鹿にする。それと同時に細い精練された右足が、アームの筋肉で固められた腹部にめり込む。

「ぐぇっ……」

 だらしなく声を漏らし、巨体は見た目からは想像できないほど軽く宙に舞い、カウンターに突っ込んだ。

 それでも一応は賞金首、というわけか、アームはすぐに立ち上がる。顔には戸惑いを浮かべていた。

「何故だ……何故こんなやつにぃ! 俺様は一万ギフラムの賞金首だぞ! それがこんな生意気なガキ一人にやられるなんてぇ!」

 単純と言うべきか、戸惑いの色は十秒と持たずに怒りに変わり、デニー目掛けて突進する。

 デニーは眼前で繰り出される豪腕の連打を掠りもせずに余裕たっぷりで避け続けていた。

右、左、また右。単純に繰り返されるだけの攻撃など、三流のハンターにでも軽く避けることができる。
ましてやデニーは名の知れたハンターだ。赤子の手を捻るよりも簡単な動作なのである。

「何故、何故あたらねぇ!」

「てめぇが雑魚だからだよ」

 大きく振りかぶり放たれた豪腕は、デニーが体を前に少し曲げただけで避けられた。
デニーはそのままアームの懐に潜り込み、右手で鳩尾に一発、辛い一撃を見舞った。

 嗚咽の声を漏らし、アームは両膝をつく。顔を上げようとした瞬間、つま先が顎を蹴飛ばし、アームは無残にも仰向けに倒れる。

「一つ、良い事を教えてやる。ここら辺の賞金首の平均的な賞金額は約八万ギフラム。
王都に行けばもっと高くなる。この意味がわかるよな?」

 床に突き刺した相棒を引き抜く、仰向けに倒れたまま動かないアームの顔を覗き込む。

 勝利の笑みを浮かべ、トドメの一撃を放った。

「一万ギフラムなんざ問題外なんだよ。勘違い野郎」

「うるせぇぇぇぇぇぇ!」

 負け犬の遠吠えが鳴り、何度目かの豪腕がデニーに迫る。

「折角無傷で連れて行ってやろうと思ったのによ……」

 アームの豪腕の半分程しかない、デニーの細腕が軽々と豪腕を掴み。そして……

「がぁぁぁぁぁっ……!」

 小枝を折るようにあっさりとアームの右腕は折られ、絶叫の言い終えた後にアームは気を失った。

「迷惑かけたな。迷惑ついでに縄かなんか、縛れるものないか?」

 壊れたカウンターの奥から覗いていたマスターを見つけ、デニーは声をかけた。
エリウスが寝ている宿屋の主人に比べて、豊かな腹を持つマスターはびくっと、体を震わせ、
数秒もしないうちにデニーに太い縄を投げてよこした。

 ありがとよ、とだけ言って、デニーはアームの折れた右腕と左腕を縛り、斧を左手に、
アームの巨体を右手で担いでバッド・サルーンを後にした。

「……修理代……」



 左手には持ち主の長身程の長い斧、そして右手には持ち主の体の二倍近くある巨体の男。
何事も無いようにデニーはストリートを進むが、道行く人々は珍獣を見るような視線をデニーに集中している。

 人々の視線はデニーが馴染みの酒場に戻るまでの間、デニーに集まっていた。
酒場に入ることで無数の視線は一つの鋭い視線だけになった。

「よっと。連れて来たぜ」

 そう言いながら、テーブルとテーブルの間に巨体を放り投げる。
さすがに外の熱気と、重たい荷物を担いでそれなりの距離を歩いただけあって、デニーの額には幾つもの汗が流れていた。

 マスターはお決まりの無言無表情でアームの体と顔とをカウンター越しに眺める。

「確かにアーム・ストログのようだな」

 それだけ言って、予め用意されていたであろう賞金の入った袋をデニーは受け取る。

 中身を確認した後、笑顔で「貰っていくぜ」と言い、デニーは再び酒場を後にして、フード・ストリートに出た。



 デニーが姿を消してから数分後の事。

「……う、うぅ……。ぶ、ぶっころ、ぶっころぉぉぉす!」

 今まで気絶していた巨体が勢いをつけて立ち上がり、左手だけで縄を引きちぎると間近にあったテーブルを砕いた。

 目は完全に怒りに支配されていて、周りが見えていない。また間近にあったテーブルを破壊し、次には椅子を蹴り砕く。

「……」

 一言も発すること無く、マスターは軽々とカウンターを飛び越し、アームの背後に音も無く着地した。

「少し、黙れ」

 無事だった左腕はマスターが繰り出した、恐ろしく早い手刀によって破壊される。再び絶叫を上げて、アームは虚しく崩れ落ちた。

 気絶した巨体を片腕で、軽々持ち上げるとカウンターの奥にある物置に、ゴミを捨てるのと同じようにして投げ入れる。

「デニーの奴に修理代を請求しなくてはな」

 マスターの微かな声を聞いたものは誰も居ない。





〜あとがきのようなもの〜
 今回はありません(笑)

 

代理人の感想

ああ、やっぱり怖い人だった(笑)。

手刀だけで人の腕を折るし、アームが暴れだした責任を転嫁するし(爆)。

 

それとは関係ないけど、金貨(キフラム)=銀貨(ギフラム)の換算レートってどのくらいなんでしょうか。

2万金貨で「人が一生遊んで暮らせる」額だとすれば金貨の価値が銀貨の十倍、

あるいは史実のヨーロッパに倣って十五倍程度としても、1万銀貨は結構な賞金の額だと思うんですよ。

そこらへんちょいと気になりましたので。

 

 

それはさておきちょっと気になった文章がいくつか。

 

>大親友であるバドは突如割り込んで来た騎士団の後を追っていない。

文末、「追いかけていってしまい、ここにはいない」とでもしたほうがよろしいかと。

このままだと「追いかけなかった」という意味に取れてしまいます。

 

>それは他のストリートに比べて治安が悪く、店もほとんどがボロボロで客の入りは全くない。

「それは」が余計でしょうか。「それは〜〜事」という形にしないと不自然です。