< 時の流れに >

 

 

 

 

 

第三話.早すぎる「さよなら」!・・・なんて言わせない!!

 

 

 

 

 

 さて・・・この戦闘でガイの運命が決まる。

 ・・・俺もルリちゃんもその事で悩んでいた。

 が・・・

 

「・・・全治二ヶ月だそうです。」

 

「・・・惨めだな、ガイ。」

 

 ナデシコに乗ってから一回も戦闘に参加する事なく、医務室にガイは入院した。

 原因は前回の反撃時の転倒・・・

 ではなく、クルーの皆に踏まれたからだ。

 何と言うか・・・未来を知る身としては有り難いが。

 

「・・・お見舞いにでも、行って来ますか?」

 

「そうだな。」

 

 俺達が見舞いに行くと、ガイは泣いて喜んだ。

 

 ・・・まあ、騒がしい奴だからな皆敬遠してるんだろう(汗)

 

 しかし・・・俺達は何も干渉をしていないのに未来は変わりつつある。

 何故だ?

 いや・・・何もしてないが故、か?

 俺はあのムネタケ副提督の叛乱時の反撃に、過去と違い音頭を取らなかった。

 それだけで・・・既に未来は変わりつつある。

 

 

 そしてナデシコは、連合宇宙軍の地球防衛ラインの突破を開始した・・・

 

 

 

 

 

 ドォォォォォォォ・・・

 

 ナデシコのディストーション・フィールドに、ミサイルの着弾する音が微かに聞こえる。

 

「第4防衛ラインを突破・・・」

 

 残りは第3、第2、第1だな。

 だが確か第3防衛ラインには・・・

 

「絶対に来ますよアキトさん。」

 

「ああ、来るだろうな・・・出来れば穏便に、ナデシコに同乗して欲しいんだが。」

 

「・・・だいたい、ユリカさんに置き去りにされた時点で諦めませんか、普通?」

 

 結構、キツイ事言うなルリちゃん。

 多分、本当にユリカはジュンの事を忘れてただけだと思うぞ。

 悪気は無いんだって。

 

 ・・・そっちの方が酷い、な。

 

 

「そう言えば・・・プロスさんから、火星に行く説明を聞いた訳だが。

 今考えると、無謀な事を考えたもんだよな。

 過去では単純に火星に行ける、と喜んだものだが。」

 

 敵の占領下の星に、たった一隻の戦艦で乗り込む。

 確かに軍人が聞いたら、呆れるような話だよな。

 

 ・・・普通の人が聞いても呆れるか。

 

「それでも・・・今回もアキトさんは、ナデシコに乗って火星に行くのでしょう?」

 

「当たり前だよルリちゃん。

 ・・・火星にはアイちゃんが待ってるんだから。」

 

「・・・やっぱりアキトさんは変わってませんよ。」

 

「・・・そうか、な。」

 

 そこで俺とルリちゃんの会話は・・・乱入者のお陰で途絶えた。

 

「ア〜キ〜ト〜!!

 もう!! 幾ら知り合いだからって、ルリちゃんとばっかりお話しして!!

 私もアキトとお話しがしたい、したい、したい!!!」

 

 ・・・まあ天真爛漫と言えば聞こえはいいが。

 見かけは11才のルリちゃんに、本気で嫉妬するなよユリカ・・・

 でも、実際に俺はユリカを無意識の内に避けている。

 側に・・・ユリカの側にいるだけで苦しいんだ。

 胸が焼けるように、痛いんだ!!

 後姿を見る度に・・・走り寄って抱き締めたくなるんだ!!

 そんな、自分を抑えるのが・・・惨めで・・・嫌、なんだ。

 

 俺は、ユリカとは・・・

 

「何を話すんだよ・・・昔の事も今までの事も、全部話して聞かせただろ?」

 

 内心の葛藤を顔に出さず、俺はユリカに質問をする。

 

「う〜〜〜!!

 じゃ、ルリちゃんと何を話してたか教えてよ!!」

 

「プライバシーの侵害です。」

 

 あの冷めた目でユリカを見詰めながら、ルリちゃんが言い放つ。

 

「う!! ルリちゃん恐い。

 でもでも!! そう!! 艦長命令ですよ!!」

 

 それは、本当に職権乱用だぞユリカ。

 

「黙秘権を行使します。」

 

 ルリちゃんの冷静な反撃に・・・

 

「え〜〜〜ん!!

 ル、ルリちゃんが私を苛めるの、アキト〜〜〜〜!!!」

 

 ・・・そこで俺に頼るのか?

 凄く意図的なものを感じるのだが。

 

『敵機確認』

 

「有難うオモイカネ・・・艦長、第3防衛ラインに入りました。

 同時に敵機デルフィニウムを9機確認。

 後、10分後には交戦領域に入ります。」

 

 どうしますか? と目でユリカに問うルリちゃん。

 

「う〜ん、ディストーション・フィールドがあるから大丈夫だと思いたいけど。」

 

「今のフィールドの出力では、完全に敵の攻撃を防ぎ切れません。」

 

 こっちを見てるなユリカの奴。

 まあ最終的には、俺が出るしかないんだけどな。

 

「でも・・・あ、ヤマダさんがどうしてエステバリスに乗ってるんでしょう?」

 

 メグミちゃんの呟きに全員の返事は一致していた。

 

 

「うそ?」  (ブリッジ全員)

 

 

 おいおい・・・そうだよな、そういう奴だったよな確か。

 

 ルリちゃんが慌てて表示した通信ウィンドウには・・・

 全身包帯男が、エステバリスに乗って飛び立とうとしている姿が映っていた。

 

 一応確認

 

「・・・ガイ、何をしてるんだ?」

 

「決まってるだろうが!!

 俺のこの熱い魂で!! 俺達の行く手の邪魔をする奴達を叩きのめ〜す!!」

 

「ヤマダ機、ナデシコから発進。

 ・・・どうします?」

 

 さすがに黙って見殺しには出来ない、よな。

 ウリバタケさんちゃんと止めたんだろうか、ガイの奴を?

 

「ユリカ・・・俺が出て連れ戻してくるよ。」

 

「・・・仕方ないよね、許可します!!

 アキト、でも無茶はしないでね。」

 

 その言葉はガイに言ってくれ、ガイに!!

 

 ガイの発進から遅れる事10分、俺もナデシコを発進する。

 頼むから、自分で自分の首を締めるような事をしないでくれよ、ガイ・・・

 

 

 

 

 

 一応ガイは回避行動に専念していたみたいだ。

 無事な姿で必死に攻撃を避けている。

 ・・・自業自得なので暫く放置しておこうか? と、考えていたら。

 

 

「何してるんだアキト!!

 親友のピンチだぞ!! 早く助けろ!!

 身体中が痛くて、気が遠くなる〜〜〜!!」

 

 

 と、俺に言い放った・・・

 親友だったら、余計な手を焼かすなよな。

 最初から無理してまで、戦闘に出なければいいのに。

 

「はいはい・・・俺が到着次第、牽制するから早くナデシコに帰艦しろよ。」

 

「おう!! 俺の囮としての役目はまっとうした!!

 後はお前に任せるぞアキト!! イテテテテ・・・」

 

 ゴォォォォォォォ!!

 

 フラフラと、見るからに危なそうな状態で、ガイはナデシコに帰還していく。

 

 本当に無事に帰れるのか、ガイ?

 だいたい囮にすらなってないよ・・・

 

 

 

 その頃ナデシコのユリカとジュンが通信をしていた。

 

「ユリカ!! 今ならまだ間に合う!!

 ナデシコを地球に戻すんだ!!」

 

「・・・駄目なのジュン君。

 ここが、ナデシコが私の居場所なの。

 ミスマル家の長女でもなく、お父様の娘でもない・・・

 私が、私らしくいられる場所はこのナデシコにしか無いの。」

 

「・・・そんなに。

 解った、ユリカの決心が変わらないのなら。」

 

「解ってくれたの、ジュン君!!」

 

 

「あの機体をまず破壊する!!」

 

 

 ジュンの目線の先には、ふらつく様に逃げるガイのエステバリスがあった。

 

 

 

 そして俺の目の前で、ガイの機体に向けて複数のミサイルが発射された。

 

 

「くっ!! だから無茶をするなと!!!!」

 

 

 俺は実力を隠す事を一時忘れた。

 

 

 ドンドンドンドンッ、ドドンッ!!!

 

 

 ガイに向かったミサイルを、手に持つライフルのピンポイント射撃で全て叩き落す!!

 撃ちもらしなど、今の俺には有り得ない!!

 

「ガイ!! 今のうちに逃げろ!!」

 

 俺の射撃の腕前に・・・敵味方が戦慄する。

 

「お、おう!! しかし凄い腕前だなアキト。

 お前本当にコックか?」

 

「・・・今はそんな事言ってる場合じゃないだろ!!

 俺が敵を牽制するから、早くナデシコに!!」

 

 その言葉を証明するかのように、一瞬の内に三機の敵を落す!!

 

 

 ドドン!!  ドン!!

 

 

 俺の射撃から、逃れる事も出来ず。

 背後のブースターを破壊され、地表へ向けてゆっくりと降下していく。

 

 ・・・まあ、あの損傷では死ぬ事は無いだろう。

 

 

「わ、解った!!」

 

 そう言い残してガイはナデシコに向かう。

 敵は俺に恐れを抱き、迂闊に動けないようだ。

 

 ・・・ある意味、取り返しのつかない事をしてしまったかもしれん、な。

 先程の行動に悩んでいる俺に、ルリちゃんから通信が入る。

 

 

 ピッ!!

 

 

『でも、あの場合にアキトさんがヤマダさんを見捨てる事は、絶対無理だと思います。』

 

「有難うルリちゃん・・・まあ、今更仕方が無い事だけどな。

 さて、後はジュンの説得か。」

 

 ルリちゃんに気を使わせる事になるとはな・・・

 本当に、今更起こした事を気に病んでも仕方が無い、という事だ。

 

『では、頑張って下さいね。』

 

「ああ、でも俺は口下手なんだけどな。」

 

『それでも、アキトさんじゃないと納得しませんよ・・・ジュンさんは。』

 

「了解。」

 

 そしてルリちゃんと入れ替わりにジュンから通信が入る。

 

 

 

 

 

 ピッ!!

 

 

『・・・テンカワ アキト!!

 正直に言おう、僕はお前が憎い!!』

 

「これは・・・随分ストレートにきたな。」

 

 俺はジュンの第一声に、思わず苦笑をした。

 

『お前の一体何が、ユリカを魅了したんだ!!

 特別な物など何も持っていないお前が!!』

 

 ・・・お坊ちゃんが。

 まあ、過去のこの時点の俺も、似たり寄ったりだったがな。

 

「じゃあお前は何を持っていれば・・・ユリカに相応しい男だと思うんだ?」

 

『!! そんな事・・・

 僕が聞きたいくらいだ!!』

 

 叫ぶように俺に話すジュン。

 そうだよな、俺も誰かに聞きたいくらいだ。

 

「・・・ジュン、お前はユリカの為だけに、ここまで来たのか?」

 

『違う!! それも理由の一つだが・・・

 僕は正義の味方になりたかった!!

 だけどその正義の象徴だと思っていた連合宇宙軍も、決して正義だけの存在じゃなかった!!

 そして、ここでナデシコを見逃せば、ユリカとナデシコには帰る場所が無くなるんだ!!』

 

 なるほど、連合宇宙軍の裁判にかけられる・・・という事か。

 命令違反には煩いからな、軍人と言う職業は。

 

 それにしても・・・まるで迷子みたいだな、ジュン。

 何も信じられなくなったか?

 まあ、足掻く事を覚える良い機会だとでも思え。

 

「心配しなくても、ネルガル本社が上手く立ち回るさ。

 それよりも、ユリカをサポートする人材の方が不足してるんだがな。」 

 

『・・・僕に、ユリカのサポートをしろと言うのか!!』

 

 お互いに無言で睨み合う。 

 今、ジュンの中では軍人のプライドが、大きく揺らいでいるんだろうな。

 

 命令の遵守か、ユリカの側に居る事か、で。

 

 そして、ジュンの出した答えは・・・

 

『ならば・・・テンカワ アキト!!

 僕と一騎打ちで勝負しろ!!』

 

『隊長!! そんな勝手な行動は・・・』

 

『黙れ!! お前達はステーションに戻っていろ!!

 もう直ぐ第2防衛ラインだ・・・ミサイルの雨が降ってくるぞ!!』

 

『!!

 了解しました!!』

 

 

 ゴォォォォオオオオオ!!

 

 

 そう言い残して、部下達はジュンを残して全員去っていった。

 変わり身の早い奴等だな。

 

 そんな部下達を、寂しそうな目で見送るジュン。

 

『・・・僕の人望なんてこんなもんさ。

 それでもユリカは、ナデシコは僕を必要とするのか?』

 

「ああ、そうだ。

 お前が必要なんだよジュン。」

 

『ふっ・・・君には敵わないのかもな。

 だが、もう遅いんだ。』

 

 ジュンは何かを悟った様に呟く。

 何を・・・言っているんだジュン?

 

『第2防衛ライン浸入、ミサイル発射を確認』

 

 突然、オモイカネから警告が表示される。

 

 くっ!! 間に合わなかったのか!!

 ガイは・・・無事に帰艦するところだな。

 

「ジュン!! 直ぐに物事を諦めるのが、お前の悪い癖だ!!

 もう少し、ユリカに見せる執念を他に活かせ!!」

 

 

 ドゴッ!!

 

 

 俺はそう言いつつ、ジュンの乗るデルフィニウムをナデシコに向けて蹴り落す!!

 その反動で、俺はナデシコから更に距離を広げてしまう!!

 

『な、何をする!!』

 

「黙ってナデシコに向かえ!!

 ・・・ルリちゃん!!」

 

 

 ピッ!!

 

 

『はい、アキトさん。』

 

「俺はミサイルを破壊しつつ、回避行動に出る!!

 ナデシコのエネルギー供給フィールド内での回避行動だからな、かなり制限されるだろう!!

 それでも、ディストーション・フィールドは解除しないようにと、ユリカに伝えてくれ!!」

 

 

 ピッ!!

 

 

『そんな!! アキト無理だよ!!

 今直ぐにディストーション・フィールドを解くから、早く帰って来てよ!!』

 

 突然ユリカの通信が、俺とルリちゃんの会話に割り込みをしてくる。

 

「今からでは間に合わない。

 ここでディストーション・フィールドを解けば、ナデシコが撃沈されるぞ。

 ・・・大丈夫だ、俺を信じろユリカ。」

 

 無言の時間を、お互いが感じる・・・

 ユリカ、真っ直ぐな瞳は変わらないな。

 

『・・・私、信じたからねアキト。

 だから、だから、もし嘘だったら怒るからね!!』

 

「ああ、ブリッジで待ってろ・・・バリア衛星に突入する前には、ちゃんと合流するさ。」

 

 俺は笑いながら、ユリカにそう宣言をした。

 

『うん、うん・・・絶対だよ。』

 

『ミサイル・・・来ます。

 アキトさん、私も信じてますから。』

 

 ルリちゃんは微笑んで、ユリカは泣きながら俺を送り出してくれた・・・

 

「さて、と・・・リハビリがてらに、真剣にやるか!!」

 

 俺は頭上から降って来る、ミサイルの群れを睨みつけた。

 

 

 ゴワァァァァァァアアアアア!!!

 

 

 そして、俺と雪崩のようなミサイルとの戦いが始まった。

 

 こちらは、ナデシコのディストーション・フィールドに接触したらアウト。

 ナデシコからのエネルギー供給フィールドから出れば、何時か地球に落ちてアウト。

 勿論、ミサイルの直撃を貰えば即アウト、だ。

 

「久しぶりの緊張感だな・・・楽しめそうだ。」

 

 昔、この過去の時点での俺は、戦いが嫌で仕方が無かった・・・

 今は・・・

 無力な俺は、逆に存在価値が無いんだ!!

 

 ドウッ!!  ドゥ!!

 

 ミサイルをライフルで撃墜し・・・

 ディストーション・フィールドを張った拳で、直接叩き落し・・・

 ミサイルの隙間と隙間を、縫う様に回避する・・・

 

 至近距離でのミサイルの爆発に、俺のエステバリスは木の葉の様に舞い。

 回避行動の急激なGに身体が軋む。

 だが・・・その苦痛も、今の俺には全てが懐かしい感覚。

 あの、復讐に焦れた時の・・・

 そして・・・

 

 

 

 

「第2防衛ライン突破・・・」

 

「ルリちゃん・・・アキトは・・・」

 

「テンカワ機・・・テンカワ機、応答願います!!」

 

「メグちゃん・・・アキト、応答が・・無い。」

 

「艦長・・・残念ですが、あのミサイルとディストーション・フィールドの板挟みです。

 一流・・・いや連合軍のエースパイロットでも、生存は不可能ですよ。」

 

「・・・そんな、プロスさん。」

 

「僕が、僕が変な意地を張ったばっかりに!!」

 

「ジュン君・・・アキトはそんな事・・・」

 

「アキトさんが信じられないんですか、艦長?」

 

「ルリちゃん?」

 

「アキトさんは強い人です。

 約束を必ず守る人です。

 私はアキトさんを信じています。」

 

「・・・私も。私もアキトを信じてる!!

 それはルリちゃんにも負けないんだから!!」

 

「・・・それでこそ、艦長です。」

 

『テンカワ機発見!!』

 

「オモイカネ!! 何処?」

 

『ナデシコより更に上空にて発見』

 

「なんですと!!

 ・・・信じられん人ですな。」

 

「・・・ナデシコを待ちきれずに、上空に逃げ出したって事?」

 

「そうですよミナトさん。

 エネルギー供給フィールドを突破して、先にミサイルの包囲網から脱出されてたんです。」

 

「良かった・・・アキト。

 やっぱり約束を守ってくれたんだ!!」

 

 

 歓声に包まれるブリッジ・・・

 俺はルリちゃんの誘導に従い、ナデシコに帰艦・・・

 そして着艦した直後に、極度の集中と疲労の為気を失った。

 

 この身体にまだ慣れてない分、無理が祟った様だ。

 これは、早く鍛え直さないと駄目だな。

 

 と、そんな事を考えながら、俺の意識は闇に包まれた。

 

 

 

 気が付くと俺は、ガイの隣のベットで寝ていた・・・

 

 気持ちよさそうに、寝息をたてているガイ。

 それを見て、俺もさすがに少し腹が立った。

 

 お前・・・もう少し落ち付いてくれよ。

 こっちの身が持たないぞ。

 そう思いつつ、俺は再び意識を手放した・・・

 

 

 暫くして、見舞いに来たユリカとルリちゃんに、バリア衛星の突破とムネタケの脱走を聞いた。

 隣には大鼾をかくガイがいる・・・という事は。

 

 ・・・取り敢えず、未来は変わった様だ。

 

「アキト!! やっぱりアキトは私の王子様だね!!」

 

「・・・そんなの俺の柄じゃないよユリカ。」

 

「でも、本当にお疲れ様でしたアキトさん。」

 

「ああ、有難うルリちゃん。」

 

「それでねアキト!! 私が・・・」

 

「御免、ユリカ・・・

 ちょっと眠らせてく、れ・・・」

 

 何かを言いかける二人を制して、俺はまた眠りに落ちた。

 ・・・今日一日くらい休んでも、誰も文句は言われないだろう。

 これから先の事を考えれば、休める時に休んでおきたいしな。

 

「お休みなさい、アキトさん。」

 

「・・・お疲れ様、お休みアキト。」

 

 大切な・・・二人に見守られながら。

 俺は深い眠りについた・・・

 今後の難解な問題を、少しでも忘れる様に・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

第四話に続く

 

 

 

 

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