< 時の流れに >

 

 

 

 

 

第十四話.「熱血アニメ」でいこう・・・其の壱

 

 

 

 

第壱話  使徒、襲来

 

 

 

 

 第三都市新東京市の駅に、一台の電車が止まる。

 

 

 プシュー!!

 

 

 そして、その電車の中から一人の線の細い少年が降りて来た。

 

「ここが・・・僕の呼ばれた街?」

 

 少年は手に持つ手紙に再び目を通す。

 そこには・・・

 

 

『来い』

 

 

 と、一つの単語だけが書いてあった。

 

「・・・今更、何だよ。」

 

 少年・・・碇 ハリは悔しげに、そう呟いた。

 

 

 

 少年が駅の周りを見渡しても・・・

 周囲には誰も人は居なかった。

 

「あれ? 平日の昼に誰も居ないなんて。

 ・・・嫌な予感がするな。」

 

 ハリはここで人を待っているのだったが・・・

 肝心の待ち人は一向に来る気配が無い。

 

「本当に失礼だな!!

 人を呼び出しておいて、待ち合わせの時間に遅れるなんて!!」

 

 ハリは手に持つ一枚の写真を眺める。

 そこには、かなりの美人がピースサインをして写っていた。

 そして、マジックで『私が迎えに行くから♪』と書いてある。

 

「・・・綺麗なお姉さんに会えるのは、嬉しいけどさ。

 何時まで待てばいいんだよ。」

 

 そう呟いた時、ハリの頭上を戦闘機の編隊が飛んで行く。

 

 

 キィィィィィィンンンン!!

 

 

「な、何だ?」

 

 その爆音に驚くハリの視線の先には・・・謎の巨大生物の姿があった。

 理解不能な出来事に息を呑むハリ。

 

「な、何だよあれは!!」

 

 そして、巨大生物に果敢に攻撃を繰り返す戦闘機。

 しかし、ハリにはその攻撃が効いている様には見えなかった。

 

 

 

 

 

 

「・・・十五年ぶりだね。」

 

「ああ、間違い無く使徒だ。」

 

 

 

 

 

 

 ドガァァァァンンンンン!!

 

 

 それ所か敵の攻撃を受け、一機の戦闘機がハリに向けて落ちて来る。

 

「う、うわぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 叫び声を上げて逃げ出すハリ!!

 間一髪で直撃を免れたものの、墜落の衝撃波によって吹き飛ばされる。

 

「・・・し、死ぬかと思った。

 ん? あの子は?」

 

 埃塗れになりながら、顔を上げたハリの視線の先には一人の少女の姿が・・・

 薄桃色の長い髪に、金色の瞳を持つ少女。

 

「君は?」

 

 ハリが声を掛けようとした時、その少女は蜃気楼の様にその場から消えた。

 

「・・・何なんだ、一体?」

 

 

 キキキィィィィィィィ!!

 

 

 謎の現象に驚いているハリの隣に、ドリフトをしながら一台の車が停まる。

 そして、一人の女性が後部座席から降りて来る。

 

 それはハリの持つ写真の女性だった。

 

「ごっめ〜ん、遅れちった♪」

 

「はあ?」

 

「さ、早く車に乗ってハリ君。」

 

 訳も判らず勢いで車に乗るハリ。

 ハリと女性が乗った瞬間、車は弾かれた様に走り出す。

 

「ねえ、カズシさん逃げ切れる?」

 

「さあ、半々かな?」

 

 女性が運転席の男性・・・カズシにそう話し掛ける。

 そして、その質問に苦笑をしながら応えるカズシ。

 

 その会話を呆然とした表情で聞いているハリ。

 暫くして我を取り戻す。

 

「あ、あの貴方が僕を迎えに来る予定だった・・・」

 

「そ、葛城 ユリカだよ。」

 

 明るくハリの質問に応えるユリカ。

 

「えっと、葛城さんは運転をされないんですか?」

 

「あ、ユリカでいいよハリ君。

 そうそう、学校ではハーリー君って呼ばれてたんだよね?

 じゃあ、私もそう呼ぶね。

 それと・・・私、実は凄く運転苦手なの。」

 

「はあ、解かりましたよ・・・ユリカさん。」

 

(じゃあ、どうしてこの人が迎えに選ばれたんだ?)

 

 ハーリーは心の中でそう思った。

 

「でも大丈夫!!

 カズシさんが今は運転してるからね!!」

 

「・・・そのカズシさん、運転席で顔を引き攣らせていますけど。」

 

「へ?」

 

「・・・伏せろ!! N2地雷を国連軍が使用しやっがった!!」

 

 そのカズシの叫びと同時に、衝撃波が三人の乗る車を襲った。

 

 

 ドズゥゥゥゥゥゥゥゥンンン・・・

 

 

「くっ!!」

 

「きゃぁぁぁぁぁ!!」

 

「うわぁぁぁぁぁ!!」

 

 

 

 

 

 

 

「目標は?」

 

 ノイズだらけのモニターを見ながら、一人の軍人が質問する。

 

「電波障害の為、映像では確認出来ません。」

 

 その報告を聞き、別の軍人が口を挟む。

 

「あの爆発だ、ケリはついてるよ。」

 

「爆心地にエネルギー反応!!」

 

「何だと!!」

 

「映像、回復します。」

 

 モニターでは炎の中で活動を再開する、巨大生物の姿が映っていた。

 

「我々の切り札が・・・何て事だ。」

 

「化け物め!!」

 

 

 

 

 

 ボロボロの車が国道を走っている。

 

「いや〜、死ぬかと思っちゃった。」

 

「だからって、ハーリー君をクッションにしなくても。」

 

「騎士道精神が旺盛な子よね♪」

 

 気絶しているハーリーを見て、今後の彼の運命を確信するカズシだった。

 

 

 

 

 

「今から本作戦の指揮権は君に移った。

 ・・・お手並みを見せてもらおう。」

 

 悔しげに、目の前にいる男性にそう告げる軍人。

 

「了解です。」

 

 そんな軍人の感情など無視し、無感情に報告を受ける男性。

 

「碇君、我々の通常兵器では、目標に対して迎撃手段が無い事は認めよう。」

 

「だが、君なら勝てるのかね?」

 

 複数の軍人の視線に晒されながら。

 男性は眼鏡を人差し指で押し上げながら応える。

 

「その為のネルフです。」

 

 

 

 

 車はトンネルに設置されたカートレインに乗っていた。

 

「で、手紙と一緒にIDが入ってなかったか?」

 

 ユリカに任せていては話しが進まないと、カズシは判断をし。

 自分でハーリーに質問をしている。

 

「えっと・・・これですか?」

 

「そうそう、それだよハーリー君!!」

 

 やたらと元気なユリカに、ハーリーは疲れ気味だった。

 

「やっぱり・・・あの人の所に行くんですか?」

 

「ま、そうなるよな。」

 

 カズシの返事を聞いて、無言になるハーリー。

 

「そう、あの人が苦手なんだハーリー君は。」

 

 ユリカの質問にハーリーは返事を返さなかった。

 

 そして、カートレインはジオフロントの施設内へと消えて行った。

 

 

 

 

 

 

 コツコツコツ・・・

 

 

「・・・ココさっきも通りましたよ。」

 

 何処かの廊下の途中でハーリーは立ち止まり。

 自分の先を歩くユリカに声を掛ける。

 

「だって、原作だと道に迷わないと駄目なんだもん。

 ユリカは記憶力はいいんだからね!! プンプン!!」

 

 ユリカに怒られて慌てて謝るハーリー。

 

「ご、御免なさい。」

 

 その時、近くのエレベーターのドアが開く。

 

 

 プシュー!! 

 

 

「ユリカ、フラグが立ったわ次のシーンに行くわよ。」

 

 エレベーターから降りて来たのは、長い金髪と抜群のプロポーションを持つ女性だった。

 そして、その女性はユリカを見るなりそう言い放った。

 

「あ、イネスさん!!

 ハーリー君、この人は技術部責任者の赤木 イネスさんよ。」

 

「何だかロゴが悪いですね。

 それに年齢の設定は幾つなんですか?」

 

 

 ゴン!!

 

 

 ハーリーの台詞と同時に、イネスの鉄拳がハーリーの頭頂(急所の一つ)に落ちる。

 その一撃で意識不明になるハーリー。

 

「で、この子が例の男の子ね。」

 

「そ、そうですぅ(汗)」

 

 今のイネスに逆らう勇気は・・・ユリカには無かった。

 そして、意識の無いハーリーを連れて二人は何処かに消えて行った。

 

 

 

 

 

 

 

「では、後を頼む。」

 

 そう言い残して、何処かに歩いて行く碇。

 

「ああ、解かった。

 ・・・3年ぶりの対面か。」

 

 

 

 

 

 

「・・・はっ!! ここは一体何処なんだ!!」

 

 気絶から復活したハーリーが、最初に目にしたモノは・・・

 巨大な顔だった。

 その顔は鬼を連想させる。

 

「こっ、これは!! ・・・あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

 ボチャン!!

 

 

 後ろに後退した為、橋から落ちるハーリー。

 そのまま水の中でもがいている。

 

 

「説明しましょう!!」

 

 

 カカッ!!

 

 

 突然、スポットライが灯り。

 その光りの先にはイネスがいた。

 

「人の創り出した究極の汎用人型決戦兵器人造人間エヴァンゲリオン!!

 その初号機。

 建造は極秘裏に行なわれた、我々人類最後の切り札よ。」

 

「ぶくぶく・・・」

 

 どうやらハーリーは泳げない様だ。

 そのまま力尽き、ゆっくりと水底に沈んで行く。

 それを見ながらイネスは・・・

 

「ふっ・・・無様ね。」

 

 と、発言した。

 

「ハ、ハーリー君!!」

 

 それを見て慌てるユリカ。

 ・・・しかし、ハーリーを助ける為に水に飛び込もうとはしない。

 

 

 結局、たまたまケージに立ち寄ったカズシによって、ハーリーは救出されたのだった。

 

 

 

 

 

 

「ゴ、ゴホッ!!

 こ、これが、あの人の仕事ですか?」

 

 驚異の生命力で黄泉路から帰って来たハーリー。

 多少青い顔をしながら、イネスに質問をする。

 

「いいえ、これは私が趣味で創ったのよ。」

 

 

 シーン・・・

 

 

 ハーリーの質問に、そう応えるイネス。

 そして、ケージ内に沈黙が満ちる。

 

「・・・じょ、冗談ですよねイネスさん?(汗)」

 

「あら、私は冗談なんて言って無いわよ。」

 

「国家予算レベルの資金を注ぎ込んだ趣味か・・・コメントのしようが無いな。」

 

 上からユリカ、イネス、カズシの台詞だった。

 ハーリーは会話に付いて行けず、オロオロとしている。

 その時、ハーリーの頭上の管制室に人影が現われた。

 

「久しぶりだな、ハーリー。」

 

 

「と、父さん!! ゲフッ!!」

 

 

 現われた人物に父さんと呼びかける途中で、ユリカの左アッパーで殲滅されるハーリー。

 

「あ・れ・は貴方の実の兄、碇 アキトさんでしょハーリー君!!」

 

「そ、そんな無茶な設定なんですか? ギャウ!!」

 

 驚きの声を上げるハーリーに、更に背後からイネスが肘で攻撃を加える。

 

「ハーリー君、設定うんぬんは口外しちゃ駄目よ♪」

 

「ふぁい(涙)」

 

 瞬時に復活したハーリーは涙目で頷いた。

 

「ふっ、出撃。」

 

 下の惨劇に少し引きながら、そう命令を出すアキト総司令。

 

「了解、アキト♪」

 

「解かったわアキト君。」

 

 

「ねえ!! 僕の意志は?」  

 

 

 ユリカとイネスの二人に、問答無用で連れ去れるハーリー。

 

 

 ズルズル・・・

 

 

「・・・諦めろ、ハーリー。

 骨は俺が拾ってやる。」

 

 そう言って、ユリカとイネスを止め様としないカズシだった。

 

 

「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんんんん!!」 

 

 

 引き摺り込まれた暗闇からは、ハーリーの泣き声だけが響いていた。

 

 

 

 

 

 そして、エントリープラグ内・・・

 

「・・・どうして、僕じゃないと駄目なんだよ兄さん?」

 

「ふっ、俺も詳しい事は知らん。」

 

 

「おい!!」

 

 

 ハーリーの問いに即答するアキト。

 その予想外の返事を聞いて、思わず突っ込みを入れるハーリーだった。

 

「ほ、他にパイロットはいないの?」

 

「もう一人、ラピスって女の子がいるけど・・・」

 

 今度はユリカがハーリーの質問に応える。

 しかし、その口調は寂しげだった。

 

「な、何か問題でも?」

 

「今、お気に入りのアニメの放送時間だから、ここに来てくれないの、テヘ♪」

 

 

「テヘ♪・・・じゃないでしょ!!」

 

 

 エントリープラグ内で暴れまわるハーリー。

 しかし、ふと正気に帰る。

 

(まてよ・・・ラピスがファーストチルドレン、僕がサードチルドレンの役だったら。

 まさか、セカンドチルドレンは!!)

 

「ハーリー・・・そんなに嫌なら、別に俺は強制しないぞ?」

 

 流石に気の毒になったのか、プラグ内で俯いてブツブツと言っているハーリーに、アキトが声を掛ける。

 

「兄さん!! もうパイロットはいないの?」

 

「いや、ドイツに弐号機パイロットのセカンドチルドレン、惣流 ルリ ラングレーが・・・」

 

 

「是非、僕をパイロットにして下さい!!」

 

 

「そ、そうか。」

 

 突然、元気になったハーリーに圧倒されるアキト。

 

(ふふふふ・・・ここは、アレだね。

 原作通りなら僕はセカンドと同居して、更には恋人同士に!!

 目指せLASならぬ、LRH(ラブラブ ルリ アンド ハーリー)だね!!)

 

「ふ、ふ、ふ、・・・はぁはっはっはっはっ!!」

 

「大変だ!! パイロットが何もしていないのに、初号機から精神汚染をされてるぜ!!」

 

 突然笑い出したハーリーに驚いて、オペレーターをしていたショートカットの女性が報告をする。

 

「リョーコ、落ち付きなさい。

 ハーリー君は重度の妄想癖があるのよ。」

 

 その報告に冷静に対処するイネス。

 

「え〜、危ない子なんだ。」

 

「ふふふふ、私と気が合いそうね。」

 

「・・・イズミ、自覚があったんだ。」

 

 眼鏡をかけた日向 ヒカルと、ウクレレを抱えた青葉 イズミが楽しそうに話しをしている。

 しかし、発令所でそんな会話をしている間にも、発進の準備は着々と進んでいた。

 

「LCL注水」

 

「はぁはっはっはっ!! ・・・ゴボゴバゴベ!!?」

 

「・・・何だか溺れていないか?」

 

「問題は無い、シュン・・・・・・・・・・・・・多分な。」

 

 自分の隣に立つ副指令の冬月 シュンの指摘を聞いて、額に汗を流しながらそう応えるアキト。

 

 

 

「あ〜、もうその他の手順はどうでもいいわ。

 私の創ったモノだから完璧よ。」

 

 イネスのその言葉に。

 

 

(・・・本当か?) 発令所全員の心の声

 

 

 全員が心の中で突っ込みを入れていた。

 

「・・・何よ?」

 

 獲物を狙う肉食獣の視線で周りを見まわすイネス・・・

 

「シンクロ率、45%で固定したぜ。」

 

「了解、リョーコちゃん!!

 ・・・いいですね?」

 

 その時、タイミング良くリョーコのフォローが入り。

 それに飛び付くユリカ。

 そして真顔になり、頭上にいるアキトに発進の許可を問う。

 

「もちろんだ。

 使徒を倒さぬ限り、我々に未来は無い。」

 

 机に肘を付き腕を組んだ姿で座っているアキトが、ユリカの問いにそう応える。

 

「んじゃ、初号機発進!!」

 

 

 バシュ!!

 

 

「あ、僕の戦う敵って、何ですかぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・

 

 ドップラー効果を残して、地上に射出されるハーリー。

 

「・・・敵の事を話して無かったのか、ユリカ?」

 

 アキトの問いに。

 

「えっと・・・ゴメンちょ(汗)」

 

 頭をかきながら応えるユリカ。

 

「・・・減棒3ヶ月だな。」

 

「・・・ああ。」

 

「そんなぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 シュンの提案を受け入れるアキト。

 そして、その判断にクレームを付けるユリカ。

 

「・・・無様ね。」

 

  発令所は概ね平和だった。

 

 

 

 

 そして、地上に出る初号機。

 目の前には使徒が迫って来ている。

 

「ハーリー君・・・死なないでよ。」

 

 しかし、肝心のハーリーは射出時のショックで気絶していた。

 

 

 

 

 

 

 

続く、か?

 

 

 

 

作者後書き

 

ま、何ですね。

一言で言えば電波を受けました(爆)

こんなモノをHPに載せていいのだろうか?

・・・ま、いいかせっかく書いたんだし(苦笑)

続きは・・・考慮中です。

ですから書かないかもしれません(爆)

まあ、本編第十五話とこの第十四話の続き・・・どちらが気になりますか?

出来れば掲示板かメールで教えて下さい。

・・・それによって、次に書く作品を決めます(爆)

ではでは〜♪(作者逃走)

 

 

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