< 時の流れに >

 

 

 

 

 

外伝   ラピスの「夢」

 

 

 

 

 

 フミ・・・

 

 夜中に目が覚めた私は。

 寝惚けた頭で自分の周囲を見る。

 

 ここ・・・どこ?

 

 見慣れない風景が、薄暗い部屋の中に浮かび上がっている。

 

 私、お布団で寝てる? どうして?

 

 そして隣に人の気配を感じて・・・記憶が蘇った。

 

「へへへ・・・」

 

 心の底から嬉しい気持ちが湧いて出て来る。

 私は隣に眠る人の布団に潜り込み、思いっきり腕に抱き付いた。

 

 

 ギュッ!!

 

 

 あの人達も同じ事をしてたんだし・・・文句は言われないよね?

 ・・・それ以前に私の保護者だもんね、今は。

 

「アキト〜♪」

 

 心地よい温もりに包まれながら、私は再び眠りに落ちた。

 この場所は私にとって、世界で一番落ち着ける場所だから・・・

 

 

 

 

 

 

 過去に戻って来た事を知った時。

 私には大きな喪失感しか無かった・・・

 

 アキトとお話しが出来ない。

 

 幾らリンクから呼び掛けても、アキトは応えてくれなかった。

 そもそも、この時点では私とアキトは繋がっている筈が無く・・・

 その事実が私を人形にした。

 

「今日は何時にも増して無表情だな。」

 

「それでも別に実験には支障はありませんよ。」

 

 私の前で白衣を着た研究者がそんな事を話している。

 別に・・・私にはどうでもいい事。

 

 でも、私は何時かまたアキトに会えるのだろうか?

 またあの暗い瞳をしたアキトと・・・

 

 もう、あんなアキトの顔は見たく無い。

 だけど、今の私は余りに無力だ。

 このまま時が過ぎれば・・・あの男に連れ去られて、またあの実験を!!

 ・・・でも、あの実験が無ければ、私はアキトには出会えない。

 

 アキトに会いたい、と言う心と。

 もう、アキトを苦しめたく無い、と言う心が私の中で責め合う。

 

 

 その日、私は研究所の自室で声を殺して泣いた・・・

 

 

 

 

 

 

 

 それは突然だった。

 私は意識の端に見慣れた信号を感知した。

 そう、この信号は・・・

 

(アキト!!)

 

(ラピスか!!)

 

 あの日から二日しか経っていないけど。

 その声に私は堪らない懐かしさを感じる。

 

(うん!! 今、私は昔いた研究施設にいるの・・・どうしてなの?)

 

 自分の現状をアキトに告げ。

 アキトに今後の指示を仰ぐ。

 ・・・今のアキトが私の知っているアキトなら。

 私はアキトの為に頑張れるから。

 

 アキトに五感が戻っているらしい。

 じゃあ・・・私のサポートはもう必要無いの?

 もう、私とアキトの間には絆が・・・無いんだ。

 

 でも、そんな事を考えている私にアキトは優しく話し掛けてくれた。

 自分には私が必要だ、と。

 前の世界で幸せになれなかった分、この世界で幸せになろう、と。

 アキトは言ってくれた。

 

 私はその言葉に頷いた。

 断る理由なんて何処にも無い。

 それに私はアキトさえ側にいてくれれば・・・

 

 そして、アキトは私にある計画を示した。

 その計画は確かに、私達の今後の為に必要な計画だった。

 それに私の深層意識に記憶されている、ブラックサレナ等の武器を作る工場も必要だ。

 アキトは・・・過去を変える事が出来るのだろうか?

 でも、アキトはもうその為に動き出してる。

 私は、私に出来る事をしてアキトを助けるだけ。

 

 

 

 

 

 

 今、私は実験中。

 私は白衣を着たオジサン達の言う事を適当に処理しながら、アキトの為に行動を開始しようとしていた。

 ・・・しかし、ここで重大な問題が起こる。

 

 お金・・・無い。

 

 現在の私は勿論、給料など貰ってはいない。

 かと言って下手に電子マネーを流用すれば・・・混乱が起きるだけだろう。

 ・・・それも、面白いかもしれないけど。

 後で、アキトに怒られそうだから駄目。

 でも、どうしても、まとまったそれなりの額がいる。

 それがあれば、後は幾らでも増やす手はあるのに。

 

 悩んでる私にタイミング良く、アキトから通話が入る。

 

(ラピス。)

 

(あ、アキト!!)

 

(時間が無いから簡単に伝えるが、ハーリー君がラピスの補佐をしてくれる事になった。)

 

(ハーリー? 誰それ?)

 

 ・・・アキトが足を滑らせる光景が、何故か私には想像出来た。

 

(そ、そう言えばルリちゃん以外は面識が無かったよな。

 俺もネルガルの資料でしか見た事が無いんだが。

 本名はマキビ ハリ、あの時ナデシコCに乗っていたんだ。

 ハーリー君も・・・過去に跳んだらしい。

 ラピスやルリちゃんと同じ力を持つ子だよ。)

 

(ふ〜ん、そうなんだ・・・女の子?)

 

(いや、男の子だけど?

 年齢はラピスと同じだ。)

 

(じゃあ、いい。)

 

 私はハーリーを敵リストから削除した。

 ・・・後日、彼は別の意味の敵リストに名を連ねるけど。

 

(じゃ、そう言う事だから。

 余り無理するんじゃ無いぞ、ラピス。)

 

(うん。)

 

 そして、アキトからの通話は途絶えた。

 

 あ、資金の事を聞くの忘れてた・・・

 

 私がその事に気が付いたのは、通話が切れてから2時間後だった。

 

 そして、私のネットワークに接触する誰かが現われた。

 それが・・・

 

(こんにちわ・・・)

 

(・・・貴方、誰?)

 

(ぼ、僕の名前はマキビ ハリ、テンカワさんから話しは聞いてるんだろ?)

 

 緊張した声が私に伝わる。

 

(そう、じゃあ手伝いの前に・・・)

 

(前に?)

 

(お金、出して。)

 

(へ?)

 

 私は間抜けな返事を返すハーリー(同い年だし、呼び捨てで十分)に、今後の計画を話した。

 

(だから、足掛かりになるお金がいる。)

 

(と、言われても・・・)

 

(無いの?)

 

(・・・うん。)

 

(・・・甲斐性無し(ボソッ))

 

 

(う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんんんん!!)

 

 

 私のその一言でハーリーはネットから抜け出た。

 ・・・苛めると面白い子かも。

 

 結局、その問題はルリの給料を使用する事で決着が付いた。

 後でアキトも資金の事については謝ってくれた。

 これで、今後の計画も大丈夫ね。

 

(クスン・・・僕はまだ6才なんだから。)

 

(ハーリー・・・煩い。)

 

 

 

 

 

 それから、アキトの乗るナデシコが火星に向って・・・

 予想以上の実験結果を出す私に、研究所の人達はオモイカネシリーズのコピーを私に与えた。

 どうやらルリの後継者に、と私に目を付けた様だ。

 

 でも、そんな事はどうでもいい。

 私の大切な友達にやっと逢えたのだから・・・

 

「なあ、このオモイカネシリーズの名称はどうする?」

 

「そうだな〜、オリジナルのオモイカネの名称はナデシコで使われているしな。」

 

 私の目の前で二人の研究員がそんな話しをしている。

 ・・・後で幾らでも変更が出来るけど、この子の名前は決まってる。

 だから、それをこの人達にも認めさせたかった。

 

「・・・ダッシュ。」

 

 私の呟きに二人は驚く。

 

「ん? こいつが喋ったのか?」

 

「おいおい、自分の名前も無いくせに、自分が使うコンピュータに名前を付けるのか?

 こいつは傑作だぜ!! いいだろう、こいつの名前はダッシュで決まりだ!!」

 

 ・・・後日、私の復讐リストにこの二人の名前が載ったのは言うまでも無い。

 ちなみに、リストのトップには何故かハーリーの名前がある。

 

 

(どうしてだよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!)

 

 

 何やら叫んでいるお子様は無視。

 

(・・・久しぶり、ダッシュ。

 と、言っても今はまだ白紙だよね。

 私の名前はラピス。

 これからヨロシクね。)

 

『了解しました、こちらこそ宜しくラピス。』

 

 そして、私の大切な友人が帰って来た。 

 

 

 

 

 

 

 

 それからの作業は驚く程のスピードで進んだ。

 私とダッシュにとって、今のネットワークセキュリティなんて意味が無い。

 手持ちの資産は雪ダルマ式に増えていった。

 経済情報を全て押さえている私達には、本当の意味でマネーゲームにしかならない。

 こちらから情報操作もした。

 まあ、二、三の銀行が泣いたみたいだけど。

 その銀行にも、隠しプールが十分ある事は調査済みだったし。

 

 ・・・一番悪ノリしていたのはハーリーだけど。

 

(嘘だ!! ラピスの方が陰険な手を使ったじゃないか!!

 あのシステムエンジニアのオジサン、泣いてるよ絶対!!)

 

(ハーリー・・・煩い。)

 

『そうだよ、ハーリー。』

 

(ううう、ダッシュまで〜〜〜〜〜)

 

 近頃はダッシュも話し易くなった。

 大分、私の記憶にあるダッシュに・・・近づいた、かな?

 ・・・まあ、いいか楽しいし。

 

 

 

 

 そんな事をしてたら余裕で億万長者になってしまった。

 別にお金には興味が無いし。

 早くネルガルの買収でもしよう。

 

(・・・ハーリー、ダミーの人物がどうして全員女性なの?)

 

(うっ!! ・・・別にいいじゃないか。)

 

『・・・ダミー映像がホシノ ルリに似てるのは何故ですか?』

 

(ダ、ダッシュ!! それこそ言い掛かりだよ!!)

 

(・・・ダッシュ、そのデータ全部削除。)

 

『了解、ラピス。』

 

 

(あああああああああああ!! 僕の30時間の大作が〜〜〜〜〜!!)

 

 

 ・・・その情熱をもっと違う所で発揮して欲しい。

 

 

 

 

 

 

 作業も大詰めに入った頃・・・

 私はアキトと話せなくて憂鬱だった。

 今、アキトは火星から地球に向けてボソンジャンプ中。

 後、七ヶ月はお話し出来ない。

 ・・・残りの作業は慎重にしないと駄目だけど、後四ヶ月程で確実に終る。

 その後で、直ぐにBプランを始めてもいいけど。

 

(ねえ、ラピス。

 昔、ナデシコCのオモイカネに聞いたんだけどね。

 この頃のテンカワさんは、良くアニメを見ていたそうだよ。

 ・・・気晴らしにダッシュに何か見せて貰ったら?

 今日の残りの作業は僕がやっておくよ。)

 

 それが切っ掛けだった。

 私とダッシュは見事にその世界に魅了されてしまった。

 感情移入が出来たからかもしれない。

 私に似た境遇の登場人物も沢山いたから。

 ダッシュと二人で、色々とアニメの内容を論議するのが楽しかった。

 アキトと一緒にユーチャリスに乗っていた時は、こんな時間は無かった。

 今思えば・・・

 アキトが私に過ごして欲しかった、普通の女の子の生活とはこんなものだったかもしれない。

 

(・・・絶対に違うと思うよラピス(汗))

 

(ハーリー・・・煩い。)

 

 アニメを見る様になって。

 私は感情の表現方法を学んだ。

 ハーリーは何故か青い顔をしてたけど。

 今は・・・毎日が楽しい。

 私は些細な事で笑える様になった。

 そして・・・

 

(一番楽しいのはハーリーを苛める事。)

 

『あ、僕も。』

 

 

(うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんんんん!!)

 

 

 

 ・・・クス

 

 

 

 

 

 アキトが無事に地球に帰って来て・・・

 私達は久しぶりに話しをした。

 明るくなった私にアキトは最初驚いていたけど。

 

 最後に・・・嬉しそうに笑ってくれた。

 

 

 

 

 

 

 それから暫く。

 アキトはナデシコと一緒に戦場を転戦していた。

 私は買い取った工場で、ブラックサレナのテストタイプの作成に入った。

 

(でも、ラピス。

 こんなスペックのマシン・・・

 良くテンカワさんは操縦する事が出来るね。)

 

(え、それが最終形態じゃないよ、ハーリー。)

 

(へ?)

 

『ふふふふふ、まだまだ秘密があるって事さ♪』

 

(そうだよね〜、ダッシュ♪)

 

 

『(ふふふふふふ・・・)』

 

 

(・・・恐いよ、二人共(汗))

 

 

 

 

 

 あれから二ヶ月・・・

 

 キノコ(ルリに教えてもらった)の陰謀でアキトはナデシコから降ろされた。

 出向と言う名目で軍に入るらしい。

 ・・・アキト、軍人が嫌いだから。

 大丈夫かな?

 

 出向中に一度、アキトが驚いて悲鳴を上げた事あった。

 私が不安になってアキトとリンクすると・・・

 

 

 怒!!

 

 

 これしか頭には浮かばなかった。

 さり気無くルリに情報をリークしようか? と思ったけど・・・

 もっと劇的な効果を狙う為に詳細を秘匿。

 小出の情報で、ルリを仲間に引き込む事に成功した。

 ・・・何故かハーリーが喜んでいたけど。

 

 

 そして、私の不安は・・・別のカタチで当った。

 この時のアキトの事は、余り思い出したく無い。

 ただ、まだ未完成のブラックサレナを使用する程に、アキトは本気だった。

 

 私には・・・見守る事しか出来なかった。

 

 

 

 

 

 この研究所で目覚めてから、一年と数ヶ月・・・

 ほぼ、やるべき事は終った。

 後はアキトと合流するだけ。

 

 ・・・でも、アキトは迎えに来てくれない。

 その代わりに、サングラスをした怪しいオジサンが来るらしい。

 名前は・・・えっと、ナヤ? ナミ? あれ?

 

「ハーリー、今日迎えに来る人ってどんな名前だった?」

 

 私はダッシュに、あるプログラムをしながらハーリーに質問する。

 

「う〜ん、確か・・・ナヤ? ナミ? あれ?」

 

 ・・・私ってハーリーと同レベルなの?

 

 

 ピッ!!

 

 

 落ち込んでる私の目の前に通信ウィンドウが開く。

 

『ナオ・・・ヤガミ ナオさんだよ。』

 

「あ、そうだったね。

 有難うダッシュ。」

 

『どういたしまして。

 ・・・それとラピス、シャワールームより休憩所の方がいいと思わない?』

 

 ダッシュの通信ウインドウが、私にそう提示する。

 今、私はネットではなく現実の世界にいる。

 

 う〜ん・・・でも余り派手にやると、アキトに後で怒られそうだし。

 

「ダッシュ、それなら僕は宿泊施設がいいと思うな。

 もしくは所長の部屋とか、さ。」

 

『・・・宿泊施設は、人が居なくなる時間が無いよハーリー。

 それに、所長もずっと部屋に篭ってるしね。』

 

「・・・ちぇっ!!」

 

 その返事を見て凄く悔しがるハーリー。

 ・・・結構、この子も恐い所がある。

 でも、所長に恨みがあるのは私も一緒だし・・・

 ここはハーリーの責任にして。

 

「ラピス・・・また悪巧みをしてない?」

 

「気のせいよハーリー。」

 

 近頃、勘が鋭くなったわね。

 苛め過ぎたかな?

 

『・・・ラピス、ナオさんが研究所に到着したよ。』

 

「解かった。

 ・・・ダッシュ、ちょっとの間だけお別れだね。」

 

 私は親友に暫しの別れを告げる。

 まあ、ナデシコに乗れば何時でも通信が可能なんだけど。

 でも、ダッシュが私の所に来てから、こんなに長時間離れるのは初めてだし。

 ちょっと、不安なのかな?

 

「ダッシュ、僕が責任を持って、ラピスをテンカワさんの所に送るよ!!」

 

『・・・だから不安なんだよ。』

 

「うん、私も。」

 

 

「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんんんん!!」

 

 

 一日に一度は聞く、ハーリー泣きだった。

 

 それから私達は無事にナオさんと合流した。

 ナオさんは・・・思ったよりも良い人だった。

 アキトが私達の迎えを頼むだけの事はあった。

 研究員(仕返しリストに記入されてる)を叩き伏せてくれた事には感謝。

 

 ・・・でも研究所の一部を爆破した時には、ちょっと顔が引き攣っていたけど。

 もう、可愛い仕返しじゃない。

 

 あ、爆破した所はヒミツ(ハート)

 アキトに聞かれたら、ハーリーの仕業にするけど。

 

 

 

 その後はちょっと事故になりそうになったり。

 アキトのお仕置のアイデアを教えてくれたり。

 楽しくドライブをしながら、私達は打ち解けあっていた。

 

 結論 ナオさんは良い人で、面白い人

 

 男性の優先順位から言うと・・・アキトとダッシュの次位かな?

 ちなみに最下位は現在ハーリーだったりする。

 

 

「どうしてだよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」 

 

 

「ははは、嫌われたなハーリー。」

 

 だから現在でしょ、現在。

 私の男性の知り合いは、アキトとダッシュ(男性だよね?)とハーリーだけなんだから。

 ナデシコに着けば絶対変動するわよ。

 ・・・多分、ね。

 

 後、女性の優先順位は秘密ね。

 

 

 

 

 昔、ダッシュに見せて貰ったナデシコの姿が見えて来た。

 あそこにアキトが・・・

 この一年と数ヶ月は私にとって長かったのかな?

 ハーリーと一緒に馬鹿な事をして。

 ダッシュとアニメを見て。

 その合間に実験をしてきた。

 アキトの存在は何時でも感じる事が出来たから、慌てる事は無かった。

 

 そして、これから私はナデシコに乗る。

 

 アキトが過去で捨てた思い出の場所。

 今は全てを掛けて守ろうとしている場所。

 ・・・私の新しい場所。

 

 今まで、私は大人数の人達と共同で生活をした経験は無い。

 それが不安と言えば不安。

 でも、アキトは私にはその経験が必要だと言う。

 私も・・・興味はある。

 幾つものアニメで見た風景の様に。

 私はナデシコに受け入れられ、笑う事が出来るのだろうか?

 

 ・・・ナオさんは、私をちゃんと見てくれた。

 ナデシコにはあのミスマル ユリカも、ホシノ ルリもいる。

 それに一応ハーリーもいる。

 

「・・・呼んだ?」

 

「ハーリー・・・煩い。」

 

「何だよ・・・ブツブツ。」

 

 そして何よりも・・・アキトがいる。

 

 

 

 私はナデシコで私の「夢」を掴む。

 だって、一番若いのだから一番有利よね。

 そう、あのルリにも負けないんだから!!

 

「・・・ルリさんがどうかした?」

 

「・・・ナオさん、ハーリーを車から降ろして。」

 

「おいおい。」

 

 そう、負けないんだから!!

 だから、取り敢えずは・・・浮気のお仕置ねアキト!!

 

 

 

「パパ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」

 

 

「お父さ〜〜〜〜〜〜〜〜ん!!」

 

 

「何ぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」

 

 

 

 予想していたよりナデシコは居心地がよかった。

 それに私の隣には、大切な人が何時もいるから・・・

 

 

 私の「夢」は始めの一歩を刻んだ。

 

 

 

 

 

 

 

第十五話へ続く

 

 

 

 

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