予告編


「貴様が忘れても!! 俺は一生忘れんぞ!!」

 男の亡骸を抱きながら、青年は宣言した。


「やはり・・・私を選んでくれないのですね。」

 少女は、長い髪で顔を隠す様にうつむいて、俺の背中にそう言った。


「何が不服なんだい、あんた。
 男が望む物を、全て手にいれたじゃないか。」

 相棒がなじる様な眼差しで、街を出て行く俺を睨む。


 捨てた筈の過去が・・・俺を責め立てる・・・




「はっきり言ってよ!! あんたにとって!! 一体あたしは何なのよ!!!」

 少女が、炎の瞳で俺を追い詰める。


「・・・又、逃げるのかね? あの時の様に。」

 男が、煙草の煙を吐きながら、俺に呟いた。


「見損なったぜ、旦那!!」

 俺の頬に、仲間の拳がめり込む。


 緩やかな現在が・・・急速に加速し始める・・・



「これで・・・最後だ!!」

 全ての因縁を断ち切るべく、剣の切っ先が・・・俺の頭上に落ちてくる。


「おい!! ・・・・の手を見ろよ!! バラを持って来ているよ!!」
「えっ!! 本当ですか!! まあっ、一体どなたに差し上げるのかしら?」

 男女の声で、俺の緊張は高まる。


「後悔はしない?」

 ああ、俺の全ての過去を、清算しよう・・・


 そして、今だ開かぬ未来の扉へ・・・



連載小説 「剣士がささげる花束は・・・」(全5話)

6月中旬からの連載予定!!です。(たぶん・・・)  By Ben

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