<アドバイス>





 俺は不貞腐れていた。
 何に?
 先程喧嘩した少女の態度にたいしてさ。

「何であんたはそう鈍くさいのよ!!」

「仕方無いだろ・・・寝起きだったんだから。」

 朝、一番に街角でお互いに衝突した。
 お互いが全力で走っていた為かなりの一撃を貰ってしまった。
 ・・・それでも無傷な俺も凄いが。
 どう見ても俺に比べて華奢な体つきのあの少女が、何故無傷なのかが謎だ。

 そしてお決まりの口喧嘩が始まる。

 今日も一方的に悪者にされてしまった(泣)
 くっそ〜、どうしても口ではアイツに勝てんぞ・・・

 そして不機嫌な顔をして俺は港に向かう。
 今日は大陸に向かう大きな商船が船出する日だ。
 何時か船乗りになりたいと思ってる俺は、船を見るのも好きだった。
 しかし、今日は朝から幼馴染の少女に口喧嘩に負け最悪の気分で港に着いた。
 そこで、あの人達と出会った・・・

「こんのクラゲ〜〜〜!! 何でそう普段の生活では鈍くさいのよ!!」

「仕方無いだろうが・・・寝起きなんだからな。」

 ・・・聞いてて親近感を覚えてしまった。

「どうするのよ!! もうあの船は全部予約で一杯よ!!」

「じゃあ明日の船に乗れば・・・(バコッ!!)」

「・・・あの船に乗らないと、次ぎの大陸行きの船は三ヶ月後なの!!」

「・・・さいですか。」

 長身を屈めて卑屈に連れの少女に謝る男性。
 ・・・ますます親近感が湧いて来る。
 周りには見た目にも目立つ二人だけに人だかりが出来ている。
 恥ずかしく無いのか?

「もういい!! 何とか船長を脅して来るわ!!」

 普通・・・何とか頼み込むと言わないかな?
 関わり合いになら無い方がよさそうだな(汗)
 そう思ってる内に少女は商船に向けて歩き出していた。
 何気なく男性を見ていると、港に積んである品物に座って少女を待っているみたいだ。
 見物客ももう何もないと判断して散り散りになっていく。

 ふと、男性に目がいく・・・
 遠めに見ても凄いハンサムだ。
 長い金髪と碧眼の男性だった。
 格好から見ると傭兵なのかな?

 いろいろと推測している俺の前でその男性は口笛を吹き出した。
 ちょっと心引かれる音律についつい声をかけてしまった。
 ・・・多分あの親近感が多大な働きを俺の心理にもたらしたからだと思う。

「・・・珍しい旋律の歌ですね?」

「ん? そうか? まあ俺の故郷の歌だからな。」

 俺の問いに何の警戒心も抱かずに答える男性。
 大物なのだろうか?
 それとも馬鹿か?

「坊主はこの街の子だろ?
 何か辛気臭い顔してるな。
 何か悩みがあるなら聞いてやるぞ。」

 一応大物らしい・・・

「でもさ〜何であいつはあの船にこだわるんだ?」

 ・・・やっぱり馬鹿らしい。
 あの船に乗り遅れれば、三ヶ月の間この港に足止めを食らうと言われただろう?
 神様はこの人をハンサムにしても、脳味噌は大きくしなかったのか。
 天はニ物を与えず・・・格言って正しいんだな。

 まあいいや愚痴の聞き役としては後腐れが無いし。

「今日幼馴染と喧嘩したんだ・・・一方的に悪者にされちゃって。」

「ふ〜〜〜ん、ま、男だろそれ位我慢しろよ!!」

「貴方はあの女性にあそこまで言われて何とも思わないんですか?」

「慣れてるからな・・・それにあいつなりの照れ隠しとかでもあるしな。」

 頬を人指し指で掻きながらそう答える男性。

「・・・でも、皆が見てる前であんな事言われたら。」

 それは突然に始まった・・・

 My baby you don't know how much I love behind of you
 Cause (you) always look (at) the front to get your dream in future
 My baby you don't know whether you meet with an accident
 It's (a) lonely like a bird but it's a really free like (a) bird

 I know I just a fair wind, it's OK
 You can go to everywhere
 I believe my love and believe your love
 Go across ocean and blue sky

 Baby don't be afraid
 If you try to fly away with a tiny shiny wing,
 I'll be follow(ing) you everyday and everynight
 Baby don't be afraid
 If you stay by breaking heart through the lonely sgady night
 I'll be hug your pain whenever and forever

 My baby keep in mind how much I love beside of you
 This way is hard like hill but it's a really sweet like kiss

 I know I just a fair wind, it's OK
 You can go to everywhere
 I believe my soul and believe your soul
 Go catch exciting chance and dream

 Baby don't be afraid
 If you try to fly away with a tiny shiny wing,
 I'll be follow(ing) you everyday and everynight
 Baby don't be afraid
 If you stay by breaking heart through the lonely sgady night
 I'll be hug your pain whenever and forever

(訳)

    おまえは知らない 密かに募って行く俺の気持ちを
    いつも前だけを見て未来の夢に向かっているから
    おまえは知らない どんな困難がこの先待ちうけているかを
    鳥のように孤独で鳥のように自由なおまえは…

     俺はただの追い風でもいいさ
     どこへ羽ばたいてもいい
     俺は俺の愛をそしておまえの愛を信じている
     海を越えそして空の彼方まで

    ためらわずに
    小さな光る翼でおまえが飛び立つなら
    俺はいつだって風になってやる 朝も昼も夜も
    こわがらずに
    もしおまえが壊れそうな心で暗い夜に立ち止まるなら
    俺がその痛みを抱いてあげよう これからも永遠に

     おまえに言っておく 俺がすぐそばにいる
     崖のように険しく ときにキスのように甘いこの道 

    俺はただの追い風でもいいさ
    どこへ羽ばたいてもいい
    俺は俺の情熱をそしておまえの情熱を信じている
    かけがいのない夢とチャンスをその手で掴めばいい

     ためらわずに
     小さな光る翼でおまえが飛び立つなら
     俺はいつだって風になってやる 朝も昼も夜も
     こわがらずに
     もしおまえが壊れそうな心で暗い夜に立ち止まるなら
     俺がその痛みを抱いてあげよう これからも永遠に
 


 突然男性が歌い出した。
 ・・・とても低くて澄んだ声。
 周りにいた人達も驚いて男性を見ていた。

 最後の歌詞を歌ったた後、男性は軽く会釈をして・・・周りの拍手を浴びながら去って行った。
 ・・・俺の手を掴んで引き摺りながら(怒)

「・・・どうして俺を引き摺って行くんですか?」

「いや〜、さすがにあそこに居続けるのは恥ずかしくてな。」

 今度は頭を掻きながら俺にそう言う男性・・・
 この人の考えてる事が全然理解できないや。

「さっきの歌にはなこんな意味があるんだ。」

 そう言って俺に歌詞の内容を教えてくれた。

「・・・俺は彼女に何と言われようと付いて行くさ。
 意地っ張りで照屋で不器用なやつだけどな。
 それも・・・まあ惚れた弱みか。」

 そう言って綺麗な笑顔を俺に見せる。
 楽しくて仕方が無いという顔だった。

「でも、俺は・・・」

「結構気にしてるんだろその子を?
 だから往来で馬鹿にされて怒ってるんだろう?」

 悔しいが・・・人生経験では一日の長が向こうにあるらしい。

「・・・だからと言ってあそこまで言わなくても。」

「はははは、怒るなよ何もお前さんだけが悪いとは思ってないさ。
 向こうの不注意も確かにあるんだろうな。
 けどな惚れた弱みってやつで大きく構えていろ!!
 少しは違う視点から彼女を見て見るのも新鮮だぞ。」

 アドバイスにしてはあやふやだった。
 でも、この男性があの女性に対してどれだけの想いを持っているかは何故か理解できた。
 それだけ真剣な目で俺に話しをしていたんだ。

「ご忠告有難うございます・・・でも彼女は俺の事どう思ってるんだろう?」

「それこそ口に出して聞いて見ろ。
 まあ俺もその事に関しては何も言えんがな。」

 ・・・おいおいここまで言っておいて自分も告白してないのか?
 やっぱりいい加減な人なのか?

「まあな、今回大きな仕事を終えた所だからな。
 もう少し・・・そう、もう少し落ち付いてからはっきりさせるさ。」

 だからお前さんも・・・って目で俺を見ないでほしい(汗)

「まあ・・・確認だけしときます。」

「結構面白いやつだな。
 でも何もしなくて後悔するよりはいいだろう?」

「・・・後悔するような事があったんですか?」

「無いね!!
 俺は自分に正直に行動してるからな!!」

 ・・・だったらさっさっと告白してるよな。

「お前さんが何を考えてるか解るが・・・
 アイツにはアイツの事情があってな。
 多分、今回の件でカタはついたと思うがな。」

 そう呟く男性の顔は真剣そのものだった。
 ・・・俺はますますこの人が解らなくなった。
 ふざけているようで実は真面目な人なのか?
 真面目を装って実はからかわれているのか?

 それからこの男性は「これは秘密だからな・・・」
 と言って途方も無い話を俺にしてくれた。
 その男性の話しを信じるなら・・・世界は3度あの女性に救われたらしい。
 まあ嘘八百と考えても面白い話しではあった。

 ただ、男性が女性に出会った時に感じた事は彼女を守ってやりたい・・・
 それだけだったらしい。
 そして幾つもの冒険をえて・・・今の彼女のへの想いは。

「これも秘密だぞ。」と言って教えてくれた。

 なら軽軽しく俺に話すな(笑)
 やはり良い人ではあるらしい。
 俺はすっかり打ち解けてこの男性との話しを楽しんだ。
 例の歌も教えて貰った。
 ・・・何時か彼女に歌ってやれ、とからかわれたが。

 そして楽しい時に終わりが来る・・・

「お!! 話しが付いた見たいだな・・・」

 男性の視線の先には例の女性の姿があった。
 どうやら男性を探している様だ。

「じゃあな・・・また、会う事もあるだろうさ。」

 そう言って男性は俺に手を振りながら女性に向かって歩き出した。
 ・・・着いたとたん女性に殴られてた。
 ・・・まあ人の好みにまで口を挟むのは失礼だろう。

「あ、名前・・・聞いて無かったな。
 でもさよならじゃなくて、また会う事もあるって言ってたし。」

 二人して騒々しく騒ぎながら商船に乗り込んで行く。
 それは俺には結構お似合いのカップルに見えた。

「・・・俺もアイツに会いに行こうかな。」

 俺は港を出港する商船を見ながらそう思い・・・
 街に向かって走りだした。
 何時かまた・・・あの二人に彼女と一緒に会って見たいな、と思いながら。

copy right
FAIR WIND
作詞・鮎川めぐみ 訳・有森聡美 作曲・佐藤英敏 編曲・今泉洋



<アドバイス>          END
								1999.10.22
								By    Ben
後書き
一言・・・Benは音痴です(笑)
と、この話題はおいといて。
一応9000Hit記念のリクエスト小説です。
出来れば感想が欲しいです。
・・・最後に。
著作権問題に触れるもの書いちゃった(笑)

 

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