<真実への路>


第一部 第一話「始まりの別れ」

(12)

 

 あたしとガウリイはいつもの如く向かい合って座っている。
 あたしがベットの上に座り。
 ガウリイは部屋の椅子を後ろ向きにして、背もたれに手と頭を置いて座っている
 何時もの風景・・・
 何時ものガウリイとあたし・・・
 この三年間変わる事の無かった・・・距離。
 しかし、ガウリイのいつもの笑顔は無く。
 何事かを真剣に考えている。
 こんなガウリイを見るのは稀だな・・・普段は、のほほ〜んとしてるだけだものね。
 でも、ガウリイの考えている事はあたしには解らない。
 ガウリイはあたしの事をよく理解していてくれるのに・・・
 この差ってどうしてだろう?
 年齢?
 性別?
 経験?
 どれも違う様に感じる・・・
 年齢差は確かにあるだろう。(ガウリイの本当の年齢は知らないけど・・・)
 だけど今までのガウリイの言動を見てると・・・年齢差なんて関係無いと思う。
 性別これは違うのは当たり前。
 だいたいあたしにガウリイの年代の男の考えが、解る筈が無い。
 それを言えばあたしの考えをガウリイが解る筈・・・無いと思う、多分。
 経験は・・・あたしはガウリイの三年前を知らない。
 でも、ガウリイもあたしの三年前を正確には知らない筈だ。
 決して楽をして世間を渡ったつもりは無い・・・むしろ過酷な旅だったと思う。
 それを上回る経験をガウリイはしてきたのか?
 ・・・それは解らない。
 それにそんな苦労話をガウリイがするとは思えない。
 だからこれもパス。
 ガウリイには何時も余裕が見られる。
 その余裕は何処から来るのだろう?
 何時も側にいてくれる。
 何時も助けてくれる。
 何時も・・・あたしを見ていてくれる。
 自分の事よりあたしを優先してくれる。
 始めはそれが重荷だった・・・何時かはいなくなる人を頼る事が。
 信じられなかった・・・自分よりあたしを優先的に考える所が。
 そして知ってしまった・・・何時の間にかガウリイが自分にとって、大切な人になっている事を。
 でも、ガウリイにとってあたしの存在は・・・
 考えても答えの出ない事だとは知っている。
 それはそうだろう、ガウリイはあたしに何も言って無いし。
 ・・・あたしも何も言わないし。
 何より今の関係が一番心地よいから・・・
 お互いが傷つく事もないし、傷付けたくない・・・これは臆病だからもしれない。
 でも少なくとも今より関係が悪くなる事もない筈。
 ・・・あたしは逃げてるのだろうか?
 現実から?
 ガウリイから?
 あたしらしくないかもしれないが・・・これだけは別だ。
 そんな自分の考えに沈んでいると、ガウリイが不意に声をかけてきた。
「なあリナ・・・一つ頼みがあるんだが。」
「何よ珍しいわね? ガウリイが頼み事なんて。」
 確かに珍しい事だ、ガウリイは物に固執しない。
 時には、コイツには執着心が無いのか? と思う時がある位だ。
「・・・あ〜っとだな・・・実は、その・・・何て言えばいいんだ?」
「・・・あたしに解るわけないでしょう。」
「「・・・・・」」
 何をしたいんだコイツは・・・
「俺とリナが出会ってから三年経ったよな?
 もうリナも18才だもんな。」
「ええそうよ。もう子供じゃないんだからねあたしは。」
 あたしの答えに首を激しく上下に降るガウリイ・・・
 ・・・ほっんきで解らんぞ、あんたの考えが。
「よし!! ここはやはりストレートだ!! それしかない!!」
「はあ? どこかで頭でも打ったのガウリイ。」
 もう何がなんだか訳が解らない。
「リナ!! 俺はお前の保護者をやめる!!」
「えぇぇぇ〜〜〜〜!!」

 


 ・・・・
 ・・・
 ・・
 一瞬思考が停止した・・・
 ガウリイが何を言ったか思い出してみる。
 保護者をやめる・・・それって・・・
 そうよね・・・こんなあたしと旅をしていたら、いつ命を落とすか解らないものね。
 それに光の剣の替わりも見つかったんだし・・・もう・・・
「これからは、こ、恋人になっていいか?」
 もう恋人・・・へ?
「な、何〜〜〜!! 恋人!!」
 再び激しく首を振るガウリイ。
 しかし、その目は本気の色を宿している・・・
「どうしたの・・・急にそんな事言い出して・・・」
「訳は・・・後だ、今はこの問いの答えが欲しい。」
 椅子から立ちあがり、あたしに詰め寄ってくるガウリイ。
 あたしの頭はフル回転していた。
 答えは・・・嫌な筈はない、どこかで望んでいた事だもの。
 でも、このガウリイの性急さと自分の何かがその答えを止める。
 もう自分で自分が解らなくなってきた。
 でもガウリイは止まらない・・・
 ガウリイは・・・
「・・・何を焦ってるのよガウリイ?
 あんたらしくないわよ・・・」
 その言葉に前進を止めるガウリイ。
「・・・焦ってる・・・か、俺が。
 そう・・・見えるんだな。」
 その問いかけにあたしが静かに頷く。
「そうか・・・リナには解るのか。
 やっぱり、リナじゃないと駄目なんだな俺は・・・」
 そう言ってあたしからガウリイが退く。
「なあリナ・・・今から答えは出せないか?」
「・・・解らないよ・・・今の状態から、まだあたしは踏み出せない。」
「そうか・・・すまんな無理な事言って。
 でも俺の気持ちは・・・・あれが本当なんだ。
 それだけは覚えておいてくれ。」
 背中を向けあたしの部屋を出ながらガウリイがそう呟く。
「・・・うん、有難うガウリイ。
 ごめんね、直ぐに答えてあげられなくて・・・」
 あたしの言葉に一瞬だけガウリイがこちらを向く。
 そして、何故か忘れられない程の力を瞳に込めて、あたしを凝視する。
「・・・ああ、おやすみリナ、良い夢を。」
「・・・おやすみガウリイ。」
 そしてガウリイはあたしの部屋から出ていった。
 部屋に残されたあたしは・・・
 今更ながら顔を赤らめて現実を認識していた。
「ど、どうしようかな。
 少なくともガウリイはあたしの事好きだって・・・」
 悪い気はしない、それどころか舞い上がりそうな気分だった。
 いままでの悩みが嘘の様だ。
 もちろんあたしの答えは決まったいる・・・だけど何故それをガウリイに伝えなかった?
 それは解らない・・・ただ現状を考える間が欲しかったからかも。
 あのまま流されて告白するのが嫌なだけだったから。
「まあ明日には気持ちも落ち着くだろうし。
 ガウリイは逃げ無いもんね。
 今日は良く眠れそうだわ。」
 そう・・・これからは何時でもあたしはガウリイに気持ちを伝えられる。
 そう思いながらあたしは幸せな眠りに落ちて行った。

 

 そして次の日の朝を迎え・・・

 

 

(13)へ続く

 

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