いつか信じあえる日まで
 
 
 第一話   明日を信じて

 

 

 

 

 

 

 

 わたしはずっとふてくされていた。
 
 住み慣れたコロニーから離され、自分のしたことを頭の中で整理してみる。
 
 
 「やっぱりセクハラをしたとはいえ、上官の部屋を爆破したのはやりすぎだったかしら?」
 
 
 わたしの中ではセクハラと痴漢と下着泥棒は死刑にしてもいいと考えている。
 
 
 「一応上官だから部屋を爆破だけにしたのに。脅しをこめて。
 
 それなのに軍基地をわざわざ移動なんかさせて。軍も厳しいわね。」
 
 
 本来なら軍で裁判を開かれてもおかしくはなかった。
 
 部屋を爆破された上官はひどく混乱し、
 
 あの部屋には、息子がかいた絵があるだの、妻の形見があるだの、作成中のSSがあるだのほざいていた。
 
 だが、そこの責任者はイツキと仲が良かったため、この程度ですんだのであった。
 
 
 「どうしよう。バスが来るまで後一時間もある。約束の時間に遅刻しちゃう〜。」
 
 
 「よし、配達終わりっと。」
 
 
 若い男の人の声が耳に届く。バギーに乗って行こうとする彼に待ったをかける。
 
 
 「そこの人、ちょっと待って。お願い。」
 
 
 「え?俺っすか?」
 
 
 「そう、あなた。わたしを軍の基地に連れてって欲しいの。バスを待っていると間に合わないの。 
 
 移動初日に遅刻しちゃうとさんざんな目に合わされるから。ここはか弱い女性を助けると思って。ね?」
 
 
 必死にお願いした。ここで遅刻すると今度は火星の極冠部地区に行けと言われても仕方がなかった。
 
 
 「え〜と・・・まあいいっすよ。配達も終わりましたし。軍基地の手前まででいいですよね?」
 
 
 「ありがとうございます。それじゃすぐにでも行ってもらえないかしら?早く着くに越したことはないし。」
  
 
 「はい。わかりました。」
 
 
 そう言って二人を乗せたバギーは走り出した。
 
 わたしがとなりを見ると男性はIFSをつけて運転をしていた。
 
 頭の中でこんな公式がでてきた。
 
 IFSをしている=パイロット=軍の人=軍では副業は禁止されている=けどこの人は働いている=軍法会議物
 
 
 「あなた!こんなところで何しているの?パイロットがバイトなんて。
 
 お金に困ってしたことなのね。軍ではまずまずの給料が払われているのに。わかったわ。親の借金が・・・・・・」
 
 
 「な、なんなんですか?いきなり。パイロットじゃないっすよ。俺は。」
 
 
 「え?ちがうの?でもそのIFS・・・・・・」
 
 
 「これは小さいときからありました。」
 
 
 目の前の男性は、のほほんとした顔できっぱりと言い放った。
 
 子供の頃からIFSをつけた人なんて聞いたことが無い。
 
 軍で正式に採用されたといってもまだ幾年もたっていなかったし、
 
 それでなくても軍は安全だと言っていたが、不安要素がまだ残っていると専門家は言っていた。
 
 そんなものを子供、それも本人が物心つく前に付けるなんてあまりにも非人道的だった。
 
 
 「失礼ですが誰に?」
 
 
 「両親ですよ。二人ともIFSの研究をしていまして・・・・・・」
 
 
 「ですがそんなもの付けて不安じゃないんですか?地球でもいろんなことが・・・・・・」
 
 
 「みんなと違うことには戸惑いはありましたけど・・・・・・両親を信用していたんですよ。
 
 絶対安全だって聞かされていましたし、それに今となっては形見みたいなものなんです。」
 
 
 悲しそうな表情をしながら、しかしその瞳は強く前を見ながらそう言った。
 
 やぶへびだったかしら?そう思いつつも踏んだものは仕方ないと割り切った。
 
 
 「そうですか。ご両親はお亡くなりに・・・・・・」
 
 
 「はい。十年前にテロで・・・・・・」
 
 
 バギーはアスファルトの上を順調に走っていった。 
 
 もう目的地までそう遠くないようだ。
 
 
 「あなたは地球から来たんですか?」
 
 
 「いえ、あちこち引越ししていますけど、生まれは火星ですよ。あなたもですよね?」
 
 
 「はい。そうですよ。生まれたときからずっとこのユートピアコロニーです。」
  
 
 わたしはあまり他人に興味を持たないため自分のことは話しても、相手のことはほとんど聞かなかった。
 
 だが目の前にいる男性に惹かれていた。はっきりとわかる。何故だろう?
 
 そうこうしているうちにもうすぐ目的だった。
 
 
 「ここら辺でいいですよね?」
 
 
 「え?ああそうね。」
  
 
 そう言ってバギーは音を立てて止まる。考え込んでいたわたしはその声にびっくりしたように声をあげる。 
 
 
 「どうもありがとうございました。おかげで助かりました。
 
 わたしはイツキ・カザマといいます。あなたの名前を聞いていいですか?」
 
 
 「あ、はい。テンカワ・アキトといいます。」
 
 
 「このあたりに知り合いがいなくて・・・・・・その・・・・・・またお会いしていいですか?」
 
 
 驚いた顔をするアキト。やっぱりむりがあったかなあ?
 
 と思っていると、次にアキトの顔にあったのは微笑みだった。
 
 
 「この道をずっと行った所に楽園っていうお店でだいたい働いています。
 
 他にも配達とかバイトをしていますけど・・・・・・暇があったらぜひきて下さい。」
 
 
 と言われ、わたしはすぐに、
 
 
 「はい!喜んで!」
 
 
 って言っちゃった。本当にうれしかった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 アキトは今はアパートを借りて住んでいた。
 
 両親はアキトが八歳の時に亡くなっており、それから孤児院の世話になっていた。
 
 孤児院にいるとからんでくる奴らがいたので自然とケンカも強くなっていった。
 
 ただし素人レベルだったので、格闘術を学んでいたわたしにはかなわなかったが。
 
 わたしは暇を見つけては楽園に行って食事をとっていた。
 
 本当は毎日でも行きたかったが、
 
 度重なる戦闘訓練で週に一、二回のペースしか行けなかったが
 
 打ち解けていくのに時間はあまりいらなかった。
 
 プライベートでも知り合って半年のうちに幾度となく遊びに行った。
 
 ・・・・・・ただし、あくまでも友人という立場であったが。
 
 
 チンピラにからまれた後、いろんな所に遊んだ帰りにファミリーレストランで夕食をとった。
 
 他の人から見たらデートなのになあ、と考えていたらアキトはいきなりこんな質問をしてきた。
 
 
 「前から聞きたかったんだけど、火星になにかあるの?」
 
  
 わたしは食べるのをやめて、アキトの方に視線をやった。
 
 
 「どうしてそんなことを聞くの?別に何も聞いていないけど。」
 
 
 アキトはまだその目をわたしから離してはくれなかった。
 
 
 「軍の人たち・・・・・・やけに多いと思わない?
 
 何かあるんじゃないかってみんな言っているんだ。どうなの?」
 
 
 「わたしはただの合同訓練だと思うけど・・・・・・」
 
 
 確かに街のみんながそう思うのは無理なかった。
 
 火星には住んでいる人はまだほんのわずかなのに軍の割合が多すぎた。
 
 そもそも訓練は地球のと比べると激しすぎるし、反対に上層部がどんどん引き上げていった。
 
 まるで戦争がくるかのようだった。
 
 ・・・しかしこれは自分の憶測に過ぎなかった。
 
 むやみにアキトの不安をあおる必要はないと思い、
 
 
 「ただの思い過ごしだとおもうよ。考えてもみてよ。
 
 世界はいたって平和だし、宇宙人が攻めてこない限り大丈夫だよ。
 
 今回は訓練の規模を大きくしただけだと思うなあ。わたしは。」
 
 
 「う〜ん。・・・やっぱり考えすぎかなあ?
 
 街のみんながいろんなこと言ってたから。不安になってたんだよ。」
 
 
 「そうだよ。考えすぎだってば。
 
 そんなことよりもさ・・・・・・」  
 
 
 わたしはすぐに地球で話題になっている映画のことに話を変えた。
 
 
 「それでね、その映画のタイトルがアクション大魔王っていうんだよ。」
 
 
 「なんすか?それ?」
 
 
 「なんかねー。二百年前の実在した話なんだって。
 
 人に化けた地球外生命体が信者を集めていって世界を征服しようするんだって。
 
 そのときの合言葉はダークっていうんだよ。」
 
 
 「・・・聞いててもよくわかんないや。」
 
 
 「じゃあさ、今度行ってみない?楽しいんだって。」
 
 
 「う〜ん・・・じゃあいってみようかな?そこまでいうんだったら。」
  

 わたしの顔は一気に輝いた。またアキトと出かけられる。それだけで幸せだった。
 
 
 「ただし、ワリカンですけどね。」
 
 
 「え〜?甲斐性なし〜。」
 
 
 「・・・・・・昼間にいっぱい食べたのはどこの誰だったかな?」
 
 
 「いつにしようか?来週の日曜日ぐらいがちょうどいいんだけど・・・・・・」
 
  
 そう言ってお互い屈託無く笑った。まさに幸せだった。
 
 
 だが次の日、街は戦場になった。

 

 

 

 

 

 

 

後書き
 
 
 「果たしてこんなに短い話があっていいんだろうか?」
 
 いきなり現れるな。くそ親父。あっどうも十二の翼です。
 
 「後、誰かさんに謝ったほうがいいと思うぞ。」
 
 すみませーーーーーーーーーーん。こんなことを書いてしまって。許してください。心当たりのある人。
 
 「それを言っている時点でケンカを吹っかけているような・・・・・・」
 
 こんなに長い文を書くのがつらいとは・・・・・・挫折する奴が多いわけだ。
 
 「挫折する?」
 
 いや、がんばる。途中で終わらせるのはあんまり良くないと思うし。
 
 「でもこんな稚拙な文を読むなんていねえぞ。ホントに。やめちまえ。」
 
 ううっ。本人にとっても大事なことなの。
 
 「だったらもっと長いの書きな。短いぞ。」
 
 はい。すみません。長く続けられないんだったら、数で勝負を・・・
 
 「なんかやだな。その言い方。聞き間違ったら変な方向にいくぞ。
 
 それにしても素直だな。どうした?」
 
 二年ぐらいであんな量の文を作成しているBenさんはすごいなって思って。
 
 私もがんばろうという気持ちをもたせてくれる・・・・・・
 
 「そんなこと言ったってたぶん先方はおこっているぞ。
 
 今回といい、前の後書きといい、きっと載せてくれないな。」
 
 許してーーー!!!あっこの文章のここがへんとか、ここを直したほうがいいとかのメールください。
 
 次の文の糧になりますんで・・・・・・
 
 「来ないって。だから。」
 
 (無視)それでは次回までさようならーーーー。
 
 「あればの話だがな・・・・・・」
 

 

 

代理人の感想

 

い〜のかな〜(笑)。

一応私は彼の人の代理人であるわけで、

彼の人の代弁をしなくてはならない立場でもあるのですよね〜。

まあ、そういったなんやかやを吹っ切ってそのまま載せてしまうあたり、

まことに男らしいと言えましょう(笑)!←本気にしないよーに