テンカワアキトの女難体験記L

 

 

 

誰にでもある勘違い

 

 

この話は1人の男の、女心を解さない軽率な行動が起こした女難体験のお話・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

「あー!!、もう!!、あの人ったらホント頭に来る!!(怒)。」

 

タクシーの中で1人の女性が怒りの声を上げた。

運転手はびびってシカトを決め込んでいる。

その女性の名はウリバタケオリエ。

ナデシコ整備班長、ウリバタケセイヤの糟糠の妻である。

趣味を重視する夫の仕事ぶりに悩んでいた時期が懐かしい、そう思えるほどに彼女は夫と会っていない。

それもそのはずスキャパレリプロジェクトのためナデシコが飛び立ち、その後8ヶ月もの間行方知れず、

一年以上がすでに経過しているのだ。

だが連絡くらいできるはずだ、オリエはそう思っていたのだが連絡も一切よこさない。

そんな状況に苛立ちを感じていた時、ナデシコがこの近くのドックに戻ってくることを聞いた。

こうなったら直接会いに行くしかない、そう思って連絡したところ、そちらから出向いてほしいとの返答が

ネルガルの方からかえってきたのだ。

 

「どういうつもりよあの人!!

 そもそもこのドック入りって家族のところへ一時帰宅するのが主だそうじゃない!!(怒)。」

 

月で木連のことが露見して後、クルーのほぼ大半が和平という共通の目的のため一致団結を決めた。

だがそれだけですぐに木連と交渉する、という具合に事が運ぶわけがないのはあたりまえである。

ナデシコの総意は、すなわち地球に住む全ての人間の総意でなければならない。

地球連合の抗戦派、クリムゾングループ、そして木連の主戦派、解決しなければならないことはやまほどある

のだ。

計算高さと浪花節が同居する人事担当プロスペクターは、長期の休暇を予定として組み込んだ。

再び戦いが始まればよほどのことがない限り故郷や家族の元へは戻れない、だから今のうちに一時的に心の

静養を兼ねて降艦を許可したのだ。

もちろん狙いはそれだけではない、ナデシコで人間どうしで戦いたくないと乗艦を拒否する人間を見つけようと

しているのだ。

和平のために人間どうしで戦うことを一度は決めはしたが、周りに飲まれたとかその場の雰囲気でというのもあ

りうる話である。

ここで怖気づくようならこの先ナデシコに乗りつづけても長続きしないだろう、プロスはそこまで計算しているのだ。

 

「まさかあの人、浮気してんじゃないでしょうね!!(怒)。」

 

もちろん中に降艦しない人間もいる。

例えばテンカワアキトはその1人である。

彼にはすでに両親はいないし、別段会いたい人もいない。

そういう人間は少なからずいる、ホシノルリ、ラピス・ラズリ、マキビハリ。

アキトも含めて精神のみ5年前に戻ってきたこの3人のマシンチャイルド達に艦を降りる理由はない。

ルリは一応両親がピースランドにいるが、以前あったばかりである。

オオサキシュンにはこの先養うべき家族はいない、ヤガミナオに関してはミリア・ティアに未練が残るが、

彼女との約束、アキトの行く末を見守る使命があるため艦を降りてないない。

だがウリバタケは一家の長として家族の元へ戻る義務があるはずである。

なのになぜか彼は降りようとはしなかった。

そもそもナデシコに乗りこんだ理由が女房から離れたいだからある意味当然かもしれない。

だが、オリエは自分はともかくとして子供のことは心配ではないのだろうか、いや、顔を見たいとは思わないの

だろうか、彼女が納得いかないのは浮気うんぬんよりも親としての無責任さだった。

 

「全く!!、この子ももう幼稚園年長だってのに!!。」

 

そう言って、傍らにいる小さな女の子の髪をオリエはなでた。

黒髪で目もとがぱっちりとしたかわいらしい女の子。

成長すれば美人になるだろう。

憂鬱なオリエとは対照的に、女の子は目を輝かせていた。

 

「ママ〜、パパにあえうの〜?。」

 

間延びした天然のようなしゃべり方でオリエに無邪気な質問をした。

女の子の名はウリバタケキョウカ、セイヤとオリエの間にできた長女である。

 

「そうよ、あなたをほったらかしの悪いパパにね。」

 

オリエは再び娘の頭をなでた。

タクシーの運転手は静かになったのでほっとした。

だがそんなに甘くなかった。

 

「ちっとも帰ってこない悪いパパにお仕置きしにいくのよー!!(怒)。」

 

笑顔と口調が全然あってない、バックミラー越しにオリエを見ていた運転手はその常軌を逸した眼に再び

震え上がった。

 

 

 

 

 

 

「せ、1200円です・・・・・・・・・・・・・・・。」

 

「?、はい。」

 

運転手の口調が震えている、オリエはその意味を解しかねたがとりあえずお金を払った。

タクシーは速攻で消えた(笑)。

 

「なんなのかしらあれ。

 まあいいわ。行くわよ、キョウカ。」

 

「は〜い!!(はぁと)。」

 

なんとも無邪気な返事である。

顔立ちそのものはほとんどオリエ似である。

後にキョウカを見たクルー達は、

 

「ウリバタケさんに似なくて本当によかった!!」

 

 

と言い合ったそうな、おかげでセイヤは一時落ち込んだらしい(笑)。

そしてテンカワアキトに対するに嫉妬もより大きくなったらしい(注:関係ありません)。

オリエはとりえあずキョウカの手を繋いでドックの中に入っていった。

だがドックは広い、すぐに迷ってしまった。

 

「あ、あら?、さっきもここ通ったような・・・・・・・・・・・・・・・・(汗)。」

 

どうもぐるぐると同じ所を歩き回っているらしい、オリエが悩んでいると後ろから誰かが声をかけてきた。

 

「あれ、何してるんですか?。ここは一般人は立ち入り禁止ですよ。

 それともネルガルの関係者・・・・・・・・・・・・・・じゃないですよね。

 お子さんがいっしょにいますし。」

 

オリエに話かけたのはもちろんテンカワアキトである。

降艦しないとはいっても出入りくらいのことはする。

本当はオリエよりも後にドックに戻ってきたのだが、彼女が迷っていたため前後したのだ。

 

「(まあ、なんかかわいらしい青年ね)。え、ええ、夫に会いに来たんだけど道に迷ってしまって。」

 

「あ、そうなんですか(あれ?、どこかであったような)。

 じゃあ案内しますよ。」

 

「あ、お願いするわ。

 一応、応対はプロスペクターって人がするって言われたの。」

 

「プロスさんですか、じゃあコミュニケで連絡を・・・・・・・・・・・・・・・・ん、なんだい、お嬢ちゃん。」

 

アキトの左側の腰あたりをひっぱてるのはキョウカだった。

 

「こ、こらキョウカ!!、ごめんね。

 もう!!、いたずらしないの!!。」

 

「う〜、いたずらじゃないもん〜。

 あたし〜、きょ〜かっていうの〜。

 おに〜ちゃん〜、なまえ〜なんていうの〜。」

 

キョウカは無邪気な笑顔でアキトに質問してきた。

アキトはまだ5歳の女の子に禁断の奥義、アキトスマイルを放ちながら名乗った(もちろん自覚はない)。

 

「お兄ちゃんはアキトっていうんだよ、キョウカちゃん(アキトスマイルつき)。」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、おに〜ちゃんあそぼ〜(はぁと)。」

 

そう言ってキョウカはおもいきりアキトにしがみついた。

ナデシコでこの抱きつき攻撃に対して慣れっこのアキトはさして驚きもせず、苦笑しながらキョウカを抱き上げた。

一方驚いたのはオリエである。

別に娘が目の前にいる温厚そうな青年になついたことに驚いたわけではないし、必殺アキトスマイルに落とさ

れたわけでもない(笑)。

アキトと名乗ったことに驚いたのだ。

 

「あ、あなたがテンカワアキト・・・・・・・・・・・・・・さん、最強のエステバリスライダー。

 漆黒の戦神と呼ばれる人・・・・・・・・・・・・・・・。」

 

オリエの反応にアキトはうなずくことで答えた。

あまり有名人扱いされるのをアキトは好まなかったので少し影をつけた答え方だった。

だがそんなシリアスも次の一言で地に落ちた。

 

 

「10人以上の女性を手玉にとってる

 稀代の女たらし!!。」

 

 

「それは誤解です!!(汗)。」

 

 

誤解じゃねーだろ(BY作者)。

 

 

 

 

 

 

「いやいや、これはこれはようこそおいでくださいました。」

 

プロスペクターがいつもの営業スマイルでオリエに挨拶をした。

 

「申し訳ありません。

 いろいろとたてこんでおりまして、すっかり忘れてた次第でして。

 いやぁ、面目ない。」

 

「い、いえ(正直な人ね)。

 ところで夫は元気にしてますでしょうか。」

 

やや控えめにオリエは質問した。

プロスは営業スマイルのまま笑顔で答えた。

 

「ええ、ウリバタケさんはとっても元気でいらっしゃいますよ。

 少々元気過ぎて困っているくらいですから。

 ねえ、アキトさん。」

 

横でキョウカを抱っこしているアキトにプロスは話をふった。

 

「え、ええ。

 確かに元気すぎますねって・・・・・・・・・・・・・・・ウリバタケ?、

 セイヤさんの奥さん!?。」

 

アキトはびっくりしてオリエを見つめた。

だが意外にオリエはアキトに見つめられても変化がない。

さすがのアキトスマイルも人妻に効果はなかったようだ(未亡人は別)。

 

「(あ、そういや確かにオリエさんだ。

  忘れるなんて失礼だよな、俺とユリカの仲人してくれたんだもんな)。」

 

昔を思い出してアキトはちょっとブルーになった。

抱っこされて間近でやや暗い顔をしたアキトを見て、キョウカは泣きそうな顔をしていた。

 

「どうしたの〜?(うるうる)、おなかいたいの〜。」

 

「ん、いや、なんでもないよ、キョウカちゃん。」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・、うん〜!!。」

 

アキトが笑顔を見せるとキョウカも嬉しそうににこにこ顔でアキトに甘えはじめた。

 

「(なんと、幼稚園児まで落としますか、恐るべしですな)。

 ところで奥さん、ご主人のことなんですがこちらでも一度帰るよう説得はしたのですよ。

 ところがその・・・・・・・・・・・・・・・言いづらいのですが、どういうわけか帰ろうとしないのですよ。」

 

 

ビキ!!(怒)

 

 

その瞬間オリエのこめかみに青筋が浮いた。

うつむいたため表情はよく見えないが怒っているのは明らかである。

アキトは愚かにもばればれのフォローを入れた。

 

「あ、いや違うんですよ(汗)。

 セイヤさんきっと照れてるんですよ。

 よく家族の話されるんですよ。

 照れまくりで、こっちが赤くなっちゃうんですよ、ハハハハハハハ・・・・・・・・・・・・・・ハハ・・・・・・・・・・・・・・(汗)。」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・若いのに気の使い方がうまいのね。

 でもいいのよ、心配しなくても。

 もう処刑決定だから!!(怒)。」

 

その目に正気という言葉は露ほども感じられない。

オリエは道もわからないのに勝手にどんどんドック内を歩き出していく。

しかもどういうわけかナデシコへ向かっていた(女の勘?)。

 

「ちょ、ちょっとオリエさん落ち着いてください!!。

 穏便に行きましょう。」

 

「テンカワさん、娘をよろしくね(怒)。」

 

すでにクレイジー状態に陥っていたオリエはキョウカをアキトに任せたようだ。

すでにそこに母親はおらず夫に怒りを見せる妻だった。

プロスも止めに入る。

 

「お、奥さん!!。

 とりあえずですなぁ、仏の慈悲を持って言い訳を聞きましょう、言い訳を!!。」

 

「仏の慈悲はこの一年で3度以上つかってるわ!!(怒)。」

 

母親の怒り狂う姿を見て、アキトになついてたキョウカもさすがに不安になり始めた。

そして・・・・・・・・・・・・・・・・、

 

「・・・・・・・・・・・う、う、う、ママがこあいよ〜〜〜〜〜〜!!(泣)。」

 

ついに泣き出してしまった。

この状況に3人は我に帰った。

 

「キョ、キョウカちゃん・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 オリエさん、娘さんだってそんな怖い顔されたら不安になりますよ。

 落ち着いてもらえませんか。」

 

アキトは泣きじゃくるキョウカの頭を優しくなでた。

キョウカは泣くのを止めて頭をなでるアキトの優しい顔を見て再び笑顔を見せた。

 

「ほら、キョウカちゃん、もうママは怒ってないから。

 ね、安心して。」

 

「・・・・・・・・・・・・・・ほんと〜だ〜。

 えへ〜。」

 

娘の笑顔を見てオリエも少し恥じ入ったようだ。

 

「ご、ごめんなさい。

 ちょっとカっとなっちゃって・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 ごめんね、キョウカ。」

 

「うん〜。

 ママ〜、はやく〜、パパに〜、あいにいくの〜。」

 

「いやぁ、わかってくださってよかった。

 では参りましょうか。

 確かにご主人にはなかなか困らされるところもありますが、根がいい人なのはご夫人のあなたがご存知

 のはず。

 決して貴方方のことを軽んじてはいないということを信じてあげてください。

 せっかくですから私とテンカワさんで艦内も案内いたしましょう。」

 

「ええ、お世話になります。」

 

「おに〜ちゃん〜、あったかい〜。」

 

よほどアキトが気に入ったのか、キョウカはアキトにほおずりを始めた。

アキトは苦笑しながらなすがままにされている。

 

「こ、こらキョウカ!!。

 ごめんね、テンカワさん。」

 

「いえ、これくらい慣れっこですよ。

 それより早くセイヤさんの所へ行きましょう。」

 

ようやく落ち着いてセイヤの元へ4人は向かった。

だが、アキトとプロスの苦労もウリバタケは見事に水の泡にしてしまう、そして更にアキトには女難と言う名の

悲劇が待っていた。

ナデシコに向かいはじめた4人を見ている人物がいた。

ナデシコで副長補佐をしている、有能なるニューハーフ(?)、ユキ・キクノ(久々の登場)である。

 

「あら、あれはプロスぺクターさんにテンカワさん、それに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・誰かしら。

 大人の女性に女の子、テンカワさんが抱きかかえて・・・・・・・・・・・・・・ほおずりされてる。」

 

ユキは声をかけようと近寄っていった。

だが会話を聞いてストップした。

 

「それにしてもこんなかわいらしい娘さんがいらっしゃったとは。」

 

「え!?(汗)。」

 

「い、いえ、そんなこと(でも嬉しい)。」

 でもに会うの久しぶりだからこの子もご機嫌で。」

 

「ええ!?(焦)。」

 

「えへへ〜、きょ〜か、か〜い〜(はぁと)。」

 

「うん、とってもかわいいよ。じゃあ後でご馳走しようか。

 君だけのとっておきのメニューをね。」

 

「うそ!?。」

 

アキト達の会話を聞いてユキは完全にフリーズしてしまった。

 

「娘?、夫に会うの久しぶり??、娘にしか作らない料理???。

 あ、あの女性はテンカワさんの奥さん?、え、あの抱きかかえているのは娘さん?。

 テンカワさんって結婚してたの?。」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・会話だけ聞けば確かにそうかもしれないが、完全に勘違いをしている。

ユキはアキトは一人身だと聞いていたので非常にショックを受けたようだ。

あれだけ女性をものにしておきながらなんと家族持ちだったとは。

 

「どういうこと?、さっぱりわからないわ、テンカワさんって一夫多妻制のある国に国籍でもおいてるのかしら(汗)。

 そうだわ、他の方に聞いてみましょう。

 

こうしてアキトの女難は決定した・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・勘違いのために(不幸な)。

 

 

 

 

昼時の食堂、だがかなりの人間が一時的帰郷のためあまり人はいなかった。。

そんな中でもいる奴はいる。

そう、ウリバタケセイヤである。

カツ丼をほおばりながら横で座っているヒカルとひまをもてあましてるホウメイと話こんでいた。

 

「ねえ、うりピー、本当に帰らなくていいの?。」

 

ヒカルが質問するとウリバタケはぶっきらぼうに答えた。

 

「いいのいいの、帰ったってあいつに怒鳴られるに決まってるし。」

 

一応自覚はあるようだ、なにせ一年以上も連絡しないのだから。

呆れ顔のホウメイは一応忠告した。

 

「何甘えたこと言ってんだよ!!。

 いくら和平ったって戦いは続くんだよ。

 ナデシコが沈まないって保証はないんだし。

 後になって会っとけばよかったって後悔しても遅いんだよ!!。」

 

「そん時はそん時。

 だいたいあんたもヒカルちゃんもあいつのことよく知らないからそんなこと言えるんだよ。」

 

不服な顔をするウリバタケを見て、ヒカルは質問した。

 

「そんなになの?。」

 

「ああ、そうとも。

 日ごろのうるささといったらもう!!。

 やれ働けだの、やれ余計な改造をするなど文句のオンパレード!!。

 こっちにしてみたら改造分はただにしてやってんだから感謝してほしいくらいだってのによ。」

 

ウリバタケの文句を聞いて二人は呆れた。

どう考えてもオリエの方が正しいからだ。

 

「あんた子供だっているんだろ。

 会ってやらないと父親失格だよ。」

 

「あん、何いってんだ。

 男子たるものいつまでも父親に甘えてちゃいかん!!。」

 

「そうじゃなくて娘のほうだよ。

 いるんだろ?。かわいい子が。」

 

ホウメイの言葉を聞いてウリバタケはちょっと黙り込んだ。

ウリバタケにはすでに長男がいるのだが、やはり男親は娘のほうがかわいい。

キョウカの笑顔を思い出してどうしようか迷ったようだ。

 

「・・・・・・・・・・・・・い、いいんだよ!!。

 とにかく帰らん!!。

 全く、ヒカルちゃんが奥さんだったらもうボソンジャンプ並みの早さで帰っちゃうのに。」

 

「わおっ!!、ウリぴー問題発言(はぁと)。

 でもぉ、浮気する人は嫌いだぞ!!。」

 

「それだけ君が魅力的なんだよっ、フ!!(ださ!!)。」

 

似合いもしない台詞で盛り上がるセイヤ。

ホウメイは呆れながら見ていたが、出入り口の方から女性が音もなくセイヤの後ろにたった。

それが誰であるか、その表情で理解し、そしてその表情を見て硬直してしまった。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ま、またまたそんなこと言って。

 知ってるんだよ?、あんたがホントは家族思いなのを。

 ね、ヒカル、ね、ね、ね!!。」

 

ホウメイが大声で怒鳴りながらあごでジェスチャーしている。

ヒカルはすぐ気づいて後ろを向いた。

 

 

「!?

 う、ウリぴー(汗)、ホントのこと言ってよ、

 ホントは家族に会いたいのに無理してるんでしょ・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

 

急に真顔になって話に乗らなくなったヒカルにセイヤは怪訝な顔をした。

そして後ろに立つ人物の存在にも気づかず自ら処刑宣告を始めた。

 

「会いたくないって!!。

 それよりも、こうしてヒカルちゃんと楽しくおしゃべりする方が!!。」

 

 

「だったら離婚でもしてその子と一緒になったら(怒)。」

 

 

「あぁん?、どっかで聞いたような声が・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ゲッ!?。」

 

後ろを振り向くと、そこには紛れもなく妻、オリエの姿があった。

そして全てを悟った、今までの会話が全て聞かれたことを。

オリエの怒りは肩を振るわせ、拳をにぎりしめ、青筋を何本も浮かべ、ラリっているのに限りなく近い目を

している。

いいわけなどもはや焼け石に水なのにセイヤは言い訳した。

 

「ち、違うんだよ!!、今のは軽いジョーク、ジョークに決まってんだろ!!。

 帰るのだってちょっといろいろとあって、そろそろ帰ろうかって思ってたんだよ!!。

 あ、うちの娘を抱きかかえているアキトにプロスさん、あんたらはわかるよな!!。」

 

セイヤは必死に目でジェスチャーをした。

すると2人ともうなずいたので、セイヤは安心した。

だが運命は家長としての責任を放棄したセイヤを許さなかったようだ。

 

「ええ、そうなんです奥さん。

 実はヒカルさんとセイヤさんはそういう仲なんじゃないかって噂が絶えなくて。

 2人ともまんざらじゃない表情をなさるんですよ(怒)。」

 

「な!?(汗)。」

 

「俺も何度か忠告したんですが聞く耳をもってくれなくて。

 それに言いにくいんですが・・・・・・・・・・・・・・・・・・他の女の子にもなにかと声をかけてるらしくて。

 キョウカちゃんがあまりに不憫で・・・・・・・・・・・・・・・(怒)。」

 

「そりゃテメーだろーが!!。

 大体なんでそんな・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・なんで怒ってんの?(汗)。」

 

セイヤは無神経にも腑に落ちなかったらしく質問した。

2人が怒るのも無理はなかった。

せっかく一生懸命フォローしたのにあの言い回しである。

頭にこないわけがなかった。

 

「あんた、いいわけ無用ね!!(怒)。」

 

近寄ってくるオリエに恐怖を覚えまた言い訳し始めた。

 

「ば、ばか!!、今の発言は冗談だって言ってんだろ!!。

 ヒカルちゃんはそんな軽い子じゃないんだよ!!。

 キョウカ、娘のおまえならわかるよな?。」

 

わかるはずないのに娘に期待を寄せ始めたセイヤ。

 

「ぱぱ〜、ど〜してかえってこないの〜・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 きょ〜かのこときらいになったの〜(涙)。」

 

キョウカは泣き顔になってセイヤを見つめる。

 

「そ、そんなわけないだろ。

 俺はおまえがかわいくて、あ!?。」

 

会話の途中でアキトが向こうを向いてキョウカを隠してしまった。

 

「キョウカちゃん、

 これから悪いぱぱがお仕置きされるからねぇ。

 ちょっとあっちいってようねぇ。」

 

「あ、こらアキト。

 いや、アキトさん、大統領(?)、俺が悪かったからフォローを!!。」

 

「あんた!!、こっち向きな(怒)!!。」

 

 

グキ!!

 

 

「い、いでー!!、

 首がもげるだろ・・・・・・・・・・・・・・・・・・つめ立てるなよ、な、な、な。」

 

強引にセイヤを自分の方向へ向けたオリエは、長く伸びたつめをこれ見よがしに見せつけた。

そして・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、

 

 

「この浮気者!!(怒)。」

 

 

ガリ!!

 

 

「ぎ、ぎえーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

 

 

セイヤの悲鳴が艦内を駆け巡った・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

ぎえーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー・・・・・・・・・・・・・・・

 

「な、何今の悲鳴?(汗)。」

 

ナデシコ艦長ミスマルユリカが遠くから聞こえる絶叫に気づき、びびっていた。

 

「ウリバタケ君の声か?。」

 

「そうみたいですね。

 あれ、めずらしいな。

 アキト関係でやられたんじゃないみたいですね・・・・・・・・・・・・・・・・。」

 

シュンとカズシは遠い目でジュンとハーリーを見つめていた(笑)。

 

「「ど、どうして僕達を見るんですか!?(怒)。」」

 

「いや、なんとなくそんな気がしてな。」

 

「まさか単独で聖戦(?)は起こさないだろう。」

 

2人は今度はアカツキを見ていた。

アカツキは何か言いたそうだったがせめてジュン、ハーリーと同レベルに見られないよう知らん不利で

ごまかした。

 

負け犬のお2人はおいとくとして、今後の予定を話合いましょう。」

 

 

「「がーーーーーーーーーーーーーーーーーん」」

 

 

ルリの石化魔法に近い(笑)一言であえなく撃沈した2人は無視されて、今後の予定が話し合われようとしてた。

ゴートが司会を担当する。

 

「うむ、では現状況を正確に把握してもらいたい。

 キクノ中尉(ユキのこと)、頼む。」

 

書類を持っているユキに説明を託したゴート。

本来ならジュンがやるはずだがすでに石化しているため、またユキの方が優秀なので誰もフォローを入れな

かった。

 

「では現状況の説明を・・・・・・・・・・・・・・・・・・・の前に皆さんにお聞きしたいことがあるのですが。」

 

「な〜に、ユキさん。」

 

全員を代表してユリカが問い掛けた。

そして次の一言で全員の思考が停止する。

 

 

「テンカワさんってご結婚なさってたんですか?。」

 

 

「はあ?。」×ブリッジ全員

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5秒後。

 

「な、なんだその質問は?。

 なんでそんなこと言い出す。」

 

最初に我に返ったシュンが聞き返した。

ユキはドック内で見た光景をそのままはなした。

アキトが5歳くらいの女の子を抱きかかえていたこと、プロスが娘だと言ってた事、母親らしき女性が夫に会った

ので娘がご機嫌だといったこと、アキトがその女の子にしか作らないメニューがあるということ。

 

「テンカワさん結婚してるって全然話してくださらないから。

 もしかして知らないの私だけかと思いまして。」

 

ユキの説明を聞いてシュンもカズシも黙り込んでしまった。

現段階を考えるとありえる話だからだ(笑)。

 

「どう思います隊長?。」

 

「う、う〜ん。

 正直言って初耳だ。

 だがアキトがあれだけの女性に言い寄られても1人にしぼらないのは奥さんがいるからという説も成り立つな。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ん。、なんだ、さっきから周りが曇るな?。」

 

気がつくとブリッジ内がなにか曇っている。

どす黒い。

そしてその発生源は・・・・・・・・・・・・・・・・・・・人間だった。

 

「け、結婚?、

 アキトが?。」

 

「しかも子持ち?。」

 

「私というものがありながら(怒)。」

 

「う、うそよ。」

 

「わざわざ会いにきたってこと?。」

 

「アキト・・・・・・・・・・・・・・・・。」

 

ユリカ、メグミ、ルリ、サラ、エリナ、ラピスが瘴気の出所である(笑)。

怒りで我を忘れ、事情を確かめようともしない。

 

「ルリちゃん、リョーコちゃん達に連絡(怒)。」

 

「了解です(怒)。」

 

「エリナさん、例の部屋スタンバらせといてください。」

 

「任せて(怒)。」

 

迅速に行動を開始するユリカ達。

今回は怒り度がケタ違いである。

妻子持ちが事実ならお仕置きじゃすまないかもしれない

他の連中は恐怖で声も出せなかった。

 

「アキトさんの位置特定できました。

 食堂です・・・・・・・・・・・・・・・・・・女の子に料理を食べさせてます!!(怒)。」

 

「きーーーーーーーーー!!、あーーーーーーーーーーーーきーーーーーーーーーーーーーーと!!(怒)。

 アキトを見守っていたいからお父様にも会いにいかなかったのに!!。

 これ以後の方針決定権をパラディン参謀に委ねます。

 よろしく!!(怒)。

 ん、邪魔よジュン君!!。」

 

 

ボカ!!

 

「何あほ面してるんですかハーリー君!!」

 

 

バキ!!

 

ユリカやルリ達はいっせいに駆け出した。

目の前で石化していたジュンとハーリーをご丁寧に殴り倒していった。

瘴気が消え、再びブリッジの人間達が動きだした

 

「わ、私質問してはいけないこと質問したのかしら。」

 

ユキがようやく過ちに気づいたが時すでに遅し。

ゴートが渋い顔をしている。

 

「その女性は本当にテンカワの妻子だったのか?。

 他のクルーの家族をテンカワとミスターが案内していたともとれるのだが。」

 

「あ、わ、私の勘違いかもしれませんね。」

 

今ごろ言うなよとブリッジの誰もが思った。

 

「では艦長の指示に従い、パラディン少佐に今後の方針を決めてもらう。

 よろしいな。」

 

「は、はあ。

 いいんですか、止めなくて。」

 

「いいんじゃない?、止めなくても。

 そのうち冷静になるわよ。」

 

ミナトが楽天的に締めくくったが、血の海になることは明らかだった。

 

アーメン、アキト。

 

 

 

「へックシュ!!。」

 

アキトがくしゃみをした。

誰かに噂でもされてるんだろうかと単純に結論付けたが、すでに悲劇の兆候はでていた。

 

「おいしいかい、キョウカちゃん。」

 

傍らでキョウカが食事をとっていた。

メニューはアキト特製お子様ランチ。

アキトの言うキョウカにしか出せない料理とはお子様ランチのことだったのだ。

 

「う〜ん!!。

 と〜てもおいし〜(はぁと)。」

 

 

自分をそっちのけでアキトの料理をほおばる娘を見て、ウリバタケは少し複雑な気分になった。

彼の両頬には三つづつの爪あとがなまなましく残っていた(笑)。

 

「アキトの奴俺の娘まで落としたのかよ。

 老若男女問わずだな。

 おい、オリエ、いい加減機嫌直せよ。」

 

怒りながらもオリエはセイヤの横にいた。

ホウメイとヒカルが必死に言い訳したので少しは機嫌もいいようではある。

 

「別に怒ってないわよ。

 あんたが不倫相手じゃあのメガネの子もかわいそうだと思っただけ。」

 

「だからジョークだって言ってるだろ!!。

 それより、勇太郎は元気か。」

 

セイヤは長男のことをオリエにたずねた。

 

「元気にきまってるでしょ。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・心配なら帰ってきなさいよ。」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・戻るかな。」

 

「熱いっすね、班長!!。」

 

「こんな綺麗な奥さんがいるなんて聞いてないっすよ!!。」

 

「ば、馬鹿!!、くだらねーこと言ってんじゃねーぞ!!(真っ赤)。」

 

お互い赤くなってようやく本音を言い合った2人に周りからひやかしの声が飛ぶ。

やじうまはセイヤ達を見てひやかしていたが、ホウメイガールズはアキトを睨んでいた。

 

「う〜、アキトさんたらあの子ばっかりかまって!!。」

 

「そりゃあかわいいけど。」

 

「まさかあの子を未来にお嫁さん候補とか?。」

 

「まさか!!。」

 

「そんなことしたらアキトさん許さない!!。」

 

ホウメイが呆れ顔でぼやいた。

 

「あ、あんた達ねえ・・・・・・・・・・・・・・・・。

 なに5歳の女の子に嫉妬してんだい。」

 

「「「「「愛に年齢は関係ありません!!。」」」」」

 

「そ、そうかい・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ん、なんだいこの音は。」

 

どこからか”ドドドドドドド”という音が聞こえる。

当然足音であるのは明白である。

そしてそこには般若の顔をした美女達がおり、すさまじい早さでアキトとキョウカを取り囲んだ。

 

「な、何みんなして(汗)。」

 

全員を代表してユリカが口を開いた。

 

「アキト、今なら間に合うよ。

 離婚して!!。」

 

「はあ?。」

 

わけがわからないアキトに次はメグミが叫ぶ。

 

「とぼけないでください!!。

 その子、アキトさんの娘さんなんでしょ!!。」

 

その発言に周りは時が止まった、そして悟った、彼女達は勘違いをしていると。

もちろん誰もつっこまない(笑)。

 

「酷いです!!、妻子持ちだったなんて、私達をもてあそんだんですか?。」

 

アリサが切れ気味にアキトに言い寄る。

だがその気に先に落ちたのはキョウカだった。

 

「う、う、う、うわ〜ん、ぱぱ〜、このおばちゃんたちがこあいよ〜(涙)。」

 

 

「ぱぱ!?、おばちゃん!?(怒)」×TA同盟

 

もちろんキョウカはセイヤに助けを求めたのであってアキトに求めたわけではない。

だが彼女達に真実を察する正気さはなかった。

 

「ちょっと、皆、本当に誤解だよ!!、この子はセイヤさんの子供で・・・・・・・・・・・・・・・・。」

 

「言い訳?、最低ね、テンカワ君!!(怒)。」

 

「おばさん呼ばわりまでさせるなんてこれは本気でお仕置きしないとね(怒)。」

 

エリナとイネスがキレてる、だがイネスには該当してるかも。

 

「テンカワアキトを連行します!!。」

 

「了解!!。」×TA同盟

 

「だ、誰か事情を説明しろーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

オリエは事情を察したようで、ばつが悪そうにセイヤを見た。

 

「ね、ねえ、何か完全に誤解してるわよ。いいの?。」

 

「ん、ん〜、いいんだよ、だってキョウカは5歳だぜ。

 ということはアキトは13で父親になったってことか?。

 彼女達がそれを不思議がらないのは日ごろから子供がいても不思議じゃないって思われてんだよ。」

 

「そ、そう、やっぱり稀代の女たらしってほんとだったのね。」

 

 

 

 

結局誤解がとけるのはお仕置きされた4日後のことであった。

ホウメイガールズが事情を説明してようやく事が収まった。

ちなみにセイヤは一時帰宅をしていたが、アキトはめずらしく根に持ってしばらくセイヤを恨めしそうな目で見て

いたらしい。

 

「おいし〜(はぁと)。」

 

嵐の去った食堂で、泣き止んだキョウカがお子様ランチをおいしそうにつまんでいたのがやけに印象的だったと

目撃者達は語った。

 

 

作者からの教訓・発言は前後の事情を確認してからにしましょう(マジで)。

 

 

 

 

作者の話(たわいないけど)

 

3104でございます。

神威氏のご提供第4弾となりますオリジナルキャラ、ウリバタケキョウカ。

実はかなり前に戴いていたのですがナデ三などにはまっていたのでかなり出番が遅れました。

神威さん、申し訳ないです。

ようやく出せました。ここにお詫びとお礼もうしあげます。

モデルはPIA○ロット2に出てくるかおるちゃんです。

間延びした口調が印象的な女の子、ある意味天然でしょうね。

私もプレイしたことあります、はい。

仮の題は”王子様の隠し子”だったんですが、どうも方向性が違ってきそうなので(苦笑)普段どおりのごろの

よさそうに題にしました。

キョウカは5歳という設定なのですが、しゃべり方のせいでもっと幼く感じますね。

そのうえぱぱ、ままって呼ばせたから上品な家庭にも見える。

TV版を見る限りではとうちゃんとかかあちゃんっていいそうです(笑)。

ちなみに勇太郎って名前は適当につけました。

別に太郎でもよかったんですけどあまりにもべたすぎるので上にもう一文字加えました。

他のキャラをメインっぽくしたり、なにかっていうと待機状態にしたりとブランク(笑)が長かったせいかネタが

決まってきてます。

もっと想像力を働かすよう努力いたします。

キョウカの人気がでることを期待しつつこの辺でお別れいたします。

 

 

 

 

 

 

 

 

管理人の感想

 

 

3104さんからの投稿です!!

おお、今回は大作でしたね〜

でもアキトの不幸は相変わらずか(苦笑)

よく考えてみたら、一応キョウカちゃんはラピスと同い年ですね(あと、ハーリーもか)

そりゃあホウメイガールズも警戒するか(笑)

でもウリバタケ・・・良い味だしてるよな〜、うん。

・・・オリエもなかなかだけど(笑)

 

では3104さん、投稿有り難う御座いました!!

次の投稿を楽しみに待ってますね!!

 

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