テンカワアキトの女難体験記A

 

 

 

人並みの料理

 

 

この話は1人の男の、女心を解さない軽率な行動が起こした女難体験のお話・・・・・・・・

 

 

今日も木星蜥蜴と闘い続ける機動戦艦ナデシコ。独立愚連隊なんていうクレームにもめげず(笑)

艦長ミスマルユリカをはじめとした個性的な面々の活躍で勝利をもぎ取りつづけているというのは前回と同じ。

そしてやはり悩める若者が1人、その名はテンカワアキト。

ナデシコのエースパイロットにしてナデシコいちの、世界でもまれに見る女たらし。

そのあまりの無節操さにクルー達は彼を希代の女たらしと呼ぶ・・・・・・・・・・

 

 

 

 

「おい!、またこの台詞回しかよ!(怒)。俺は女垂らしなんかじゃ・・・・・・」

「はっきり言って説得力ないよねぇ〜♪」 

「うっ、ヒッ、ヒカルちゃん・・・・・・・お、俺は別に女垂らしじゃ・・・・・、あーーーもう早く話先に進めてよ!(怒)」

 

 

 

 

彼、テンカワアキトは悩んでいた。

それは女難体験@の時のような安易な悩みではない(笑)。

かといってこの先の未来を知る者としてどのように闘っていこうなどというシリアスな物でもない

(時の流れにを参照)

彼にとって命に関わる大きな悩み。

以前の世界でも解決できなかった致命的な悩みなのだ。

その悩みの種、いや、すでに花となっているものの正体は・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 

 

 

 

 

「ユリカはどうしてあんなに料理が下手なんだ!」 

 

 

 

 

 

 

ミスマルユリカは機動戦艦ナデシコの艦長であると同時に、地球連合軍の重鎮(だと思う)ミスマルコウ

イチロウの一人娘である。

目に痛くないほどかわいい娘ではあるが、同時に良家の娘として恥ずかしくない教育もしているはずである。

それは大学で主席の卒業や艦長としての能力からも推して知るべしと言い切れるだろう。

にも関わらず、料理の教育だけはさせなかったのかという見識を越えて異常ともとれる味覚オンチかと

つっこみたくなるほどに料理が下手なのだ。

いや、下手というより作る料理は料理には見えないのである。

当然味も料理ではない。材料からは信じられない見てくれと味になるのだ。

前回の世界でアキトはユリカの殺人料理(以後このユリカの料理はこの名称となる)に撃沈している。

そして今回も前回と同じ殺人料理で撃沈している。

過去に戻ってきた彼もこの運命だけは変えようが無かったようだ(笑)。 

今回は自室であぐらをかきながら真剣に悩んでいる。 

 

 

 

 

「そ、そりゃぁ俺は過去を捨て去った男だ。けどそれでもユリカには人並みに食べられる料理を作ってもら

 いたい。

 それがまがりなりにも夫だった者の切なる想いだ。

 いや、それ以前にあんな殺人料理を毎回持ってこられたら俺はナデシコでゴーゴーヘブンになってしまう!。

 そんな思いは1回で・・・・・・・いや、すでに同じ場所で2回か・・・・・・・・・・(涙)」

 

ブルーになりながらもアキトはある計画を練っていた。

もちろんちゃんとした考えだ。だが根が優柔不断な彼はまだ自身が持てなかったようで、閉店後の食堂でホ

ウメイとウリバタケに相談していた。

アキトが悩み事を打ち明けるのは大抵この2人である。

この2人が頼りになるのもそうだが他の人間は自分の事で精一杯らしく(本人達自覚なし)あてにならないのだ。

 

 

 

「・・・・・・・・というわけなんスよ。素直に聞いてくれるかどうか分からないけど・・・・・・・」

 

「なるほどなぁ。たしかにあの殺人料理食いつづけてられる奴なんていねーしなぁ、やってみる価値は 

 あるんじゃねーか」 

 

いつもはアキトのもてもてぶり(死語)に嫉妬と羨望の念を禁じ得ないウリバタケだがこの件に関してだけは

同情していた。

自分なら同情してほしいと思うからだ。

なんと力になってやりたいが思い込みが激しいユリカにおまえの料理はまずいといっても意味が無いだろう。

それどころかムキになって殺人料理をアキトに食べさせようとさえするかもしれない。

やっぱりなんとかするのはアキト自身だろう、ウリバタケはそう思っていた。 

 

 

 

「じゃあ、とりあえず艦長にそう言っときなテンカワ。食堂は閉店後ならいいから」 

 

「はい」 

 

ホウメイからなんらかの許可をもらったアキトは覚悟を決めたというような顔で食堂を後にした。

 

 

 

 

「しかし、テンカワも災難だねぇ」

 

前にもどこかで言ったような言葉をホウメイが呟く。

おおらかで人の事を悪く言わないホウメイもさすがにアキトの悩みには同情したようだ。

 

「なんで艦長ってあんなに料理がドヘタなんだ?。普通は誰だってある程度料理は作れるだろ。

なのに出す料理はなんかねんど細工のようなだったぞ」

 

「さあ、あたしも最初から料理がうまかったわけじゃないけど・・・・・・・・。

 生まれつき向いてなのかもねぇ」

 

なにか虚脱したようなうつろな目をしてホウメイが言った。

一流の料理人である彼女の態度が余計にユリカの料理の腕が絶望的なものだと思わせた。

ウリバタケは冷や汗を流したが、まあ仕方ないかとも思った。

 

「まっ、がんばれよアキト・・・・・・・・。だめだろうなぁ・・・・・・・・。」 

 

 

 

 

 

アキトが自室に戻るとラピスがアキトの布団の中で眠っていた。

アキトの帰りを待ちきれず眠ってしまったようだ。

彼女の髪をなでると自分も布団に入って目を閉じる。

 

「(よし、明日この計画を成功させるぞ!。ユリカのためでもある!。なにより俺の今後のためでもある!)」

 

心の中で本音を暴露しつつも決心を固めてる内に彼は深い眠りに就いた・・・・・・・・・・・・。

翌朝なぜか隣でルリが眠っておりラピスと口論していたのは言うまでもない・・・・・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夕方、日も暮れ定時になろうかと言う頃、アキトはブリッジを訪れた。もちろんユリカに会うためだ。

 

「ユリカ、ちょっといいか?。」

 

コミュニケで通信すればいいものをわざわざブリッジにまで足を運ぶ律義さがアキトをアキトたらしめている

所以であり、多くの女性に慕われている所以である。だがこの律義さが彼を女難の道へと引きずり込んでいる

ことに彼自身が気付いていないのはなんとも哀れなことである。

 

 

 

「うん?、アキトなぁにぃ〜」

 

一日の労働で疲れているのか気の無いへなへな返事でユリカが答えてきた。

アキトは少し緊張した面持ちで口を開いた

 

「ああ、ユ、ユリカ・・・・・・・。実は大事な話があるんだ。

 

「えっ!・・・・・・・・・・」

 

ユリカの顔色が見る見る変わる。それもそのはずアキトは誰の目から見ても思いつめたような顔をしていた

のだ。それ以上に顔色を変えたのがルリ、メグミ、エリナ、サラらアキトに恋焦がれる面々である。よもや

告白でもするのではないか、そんな焦燥感がブリッジ内に立ち込めていた。

その居心地の悪さにプロスぺクターやゴートが渋い顔をしている(ゴートは元々渋い顔しているが)。

オオサキ副提督やタカバ補佐は楽しそうに眺めておりジュンにいたっては顔面蒼白になっていた。

さすがにこの雰囲気を読み取ったのかアキトはここでの発言をやめることにした

 

「今日、閉店後の食堂に来てくれ、その時に話すから。じゃあ・・・・・・・」

 

そう言ってアキトはブリッジを出ていった。だがここで彼はまたミスを犯した。純粋にユリカに料理を教える

つもりならここで言うべきだった。にもかかわらず思わせぶりな態度だけとって出ていった事が彼の女難道へ

と向かわせることになる。早くもユリカがトリップ状態になっている

 

「アキトったら照れ屋さんなんだから。別に私はここで告白してくれたって全然構わないのに(はぁと)。

あっ、そうだ。早めにお父様に連絡とっとかなきゃ。最高の披露宴にしてもらうんだから!」

 

こうなると手をつけられない事を全員が知っている。なので誰も声をかけようとしなかったが、女性陣の怒りは

半端ではなかった。とりわけルリの怒りはすごかった。普段がポーカーフェイスなだけにその表情には明らか

に怒りで歪んでいる。下手をするとスーパーサイヤ人となってフリーザを滅殺してしまうかもしれない(笑)。

 

「いっ、一度ならず2度までも・・・・・・・・。

アキトさんはぜーーーーーーーーーーーーーーーーったいに渡しません!(怒)

 

「当然よ!。なにが哀しくてこんなノー天気娘にアキト君を譲らなきゃならないわけ!(怒)」

 

エリナ・キンジョウ・ウォンがユリカがトリップしているのをいいことに好き勝手をいっている

 

「アキトったら、私達は同じベッドで夜を共にした中なのに!(怒)」

 

勝手にアキトの布団に潜り込んだくせにサラが既成事実をでっちあげている。

 

「姉さん!、アキトさんは私の物よ!。勘違いしないで!(怒)」

 

偶然ブリッジにいた妹のアリサが姉の言動に文句をつけている。

そして怒りの表情から麻薬患者のような顔となったルリがオモイカネに願い、ではなく命令を下す

 

「オモイカネ、今の映像をナデシコ中に流して・・・・・・・・・」 

 

もはやこの情況を止められる人間は誰もいなかった。オオサキ副提督が締めの一言を呟いた

 

「こんな楽しい事止める手はないだろう(楽)」 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな事とはつゆ知らずアキトは閉店後の食堂で待っていた。思い込みが強く自分の料理はおいしいと

錯覚しているユリカに、おまえは料理が下手だから料理を教えると納得させるのは極めて困難だろう。

だがこれをやりとげずして世界に平和はない(?)、そう決心してアキトはすっと立ち上がった。

しばらくすると足音が聞こえてくる。ユリカか・・・・・・・?、それにしては足音が多い。

食堂に姿を現わしたのはホウメイガールズだった。全員怒っているようにアキトは見えた。

 

「アキトさん、酷いです!」

 

「えっ・・・・・・・」 

 

タナカハルミの言葉の意味を図りかねてアキトは呆然とした。つづけざまウエムラエリやサトウミカコが

非難の声を上げる

 

「ちょっ、ちょっと待ってよ。なんでみんなそんなに怒ってるんだ?」 

 

「アキトさん、ユリカさんに告白するんでしょ!(怒)。」

 

ミズハラジュンコの言葉に最初は戸惑ったアキトだったがだんだんなんでこんなことになったのか分かって

きた。もしかしてブリッジでのことが告白だと勘違いされたのでは・・・・・・・・。

 

「今更遅いよなぁ」

 

いつのまにか自分のとなりにいたヤガミナオが楽しそうに呟いた。 

 

「だって俺はそんなつもりじゃ・・・・・・・・・」 

 

「なにがそんなつもりじゃないの、アキト君!(怒)」 

 

イネス・フレサンジュが呟いた。その目は完全にすわっている。

 

「アキト、どういうことか説明しろよな・・・・・・(怒)」

 

スバルリョーコが肩を震わせながら言葉を発した

 

「アキト君・・・・・・(怒)」

 

レイナ・キンジョウ・ウォンが目だけ器用に怒らせながら微笑んでいる。もはやどうにもならない自体だと

アキトは絶望した。しかしどうしてこれだけの人間がこの事を知っているんだろう。

だれかが話を広げたのかあるいはあの映像を流したか・・・・・・ん、映像・・・・・・・。 

 

「私が流したんですよ、アキトさん(怒)」 

 

「ルリちゃん、やっぱり・・・・・・・・」 

 

「アキトーーーーーーーー(はぁと)。早くユリカに愛の告白を・・・・・・・・」

 

そのノー天気なセリフが彼の中のタガをはずした。 

 

あーーーーーーーーーーーーーーーーもうみんないいかげんにしろ!。

 俺はただユリカに料理を教えようとしただけなんだぞ!(怒)」

 

えっ!

 

全員の声がかぶった・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぁんだ。ま、んなこったろうと思ったよ」

 

ナオがあきれながら言った。事情を説明された全員がまた好き勝手を言い出した

 

「そうですよね。アキトさんが告白なんてするはずないですよね。私最初から信じてましたもん」

 

メグミ・レイナードの言葉にすかさずミナトが反応する

 

「ほんと〜〜〜?。ブリッジでの顔なんかはんにゃみたいだったよ」

 

「リョーコもすごかったよねぇ」

 

「顔から湯気が・・・・・・。ゆーげっとばーにんって感じで・・・・・・ひっひっひ」

 

アマノヒカルとマキイズミがいらぬチャチャを入れている。一方収まらないのはユリカである。

それもそのはず告白ではなくあろうことかこの人数の前でおまえの料理はまずいを言われた

も同じなのだから。アキトをすごい目で睨んでいる

 

「あ、あのなユリカ。俺はおまえに料理をうまくなってもらおうと・・・・・・」

 

最後まで話したか話さないか、ユリカの大怒号が食堂に響いた

 

アキトの馬鹿ーーーーーーーーーーーーーーーーーー!(怒)

 

そう言って走り去っていった。しばらく呆然としていたアキトはルリを見て睨んだ。

さすがのアキトもルリの仕打ちには寛大ではいられなかったようだ

 

「・・・・・・・・・・・・(怒)」 

 

「あ、アキトさん。じゃあ私に料理を・・・・・・・・」

 

よせばいいのにルリの一言でアキトはキレタようだ。仏頂面をして自室に帰っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからしばらくユリカはアキトと口をきかなかった。アキトはアキトでルリと口をきかなかった。

それが一週間ばかり、アキトに無視され続けるルリを見てラピスが勝ち誇った態度をとっためつい

にルリは泣き出して仕事をボイコットしてしまった。

さすがにやりすぎたかと反省したアキトだが時既に遅くミナトにめちゃくちゃ怒られプロスぺクターには

小言をいわれる始末だった。

結局ルリの部屋へ謝りに行った。だがルリは甘くはなかった。なんとそれはフェイクだった。

地球連合在籍中大人のエゴを見続けた彼女は精神もそうとうタフになっていた。

泣きまねして根が優しいアキトが自分の部屋まで来る事を待っていたのだ。

なんだかんだ文句をつけてアキトを監禁状態にして意味も無く抱き着いてアキトを困らせていた。

これに頭に来たのはユリカである。自分にあやまり来ずあろうことかルリといちゃついている。おかげでア

キトはユリカにもフォローをいれなければならなかった。

ユリカになびけばメグミが黙ってない。メグミになびけばリョーコやサラ、アリサが黙ってない。

彼女たちになびけばレイナやエリナが・・・・・・・・・・・・・・うーん、リングもまっつぁお。

 

 

 

 

 

 

作者よりの教訓 用件は誤解の無いよう最初のうちに言いましょう 

もう一言 一夜にて 天津国まで延びゆくは アキトのごとき女難の螺旋・・・・・・

 

 

 

「北辰のパクリじゃないですか!・・・・・・・・・byハーリー」

 

 

 

 

 

 

 

作者の話(たわいないけど)

どうも、3104でございます。就職先の研修に疲れつつも充実感を感じている今日このごろです。

さて、女難体験第2弾人並みの料理、いかがでしたでしょうか。前回はテラサキサユリで今回はユリカ

がメインです(メインか?)。とりあえずアキト君に恋焦がれる女性1人1人にスポット当てたいという

のがテーマでして。最も、ルリだけは常にメインに入れてますが(えこヒーキだ!by女性陣)

よけいな横槍(笑)が入ったのでそろそろ終わりにしたいと思います。実は話の内容が他の投稿作家さん

達とかぶらないように気を使ってます。特に影竜さんのと話の流れがにてるんで(私影竜さんの小説

大好きです。影竜さん、これ読んだならメールください。待ってます)

みなさんの感想ききたいです。お待ちしてます。ではBenさんに御渡しします(笑)

 

 

 

 

 

 

管理人の感想

 

 

3104さんから二回目の投稿です!!

今度もほのぼのですね〜

でも。ユリカ以外にも味音痴っていません(苦笑)

彼女達はどうするんでせうね(笑)

でも、今回はハーリー君突っ込みだけでしたね。

今度は是非全部を通して出て欲しいですね。

・・・そして不幸に(爆)

 

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