(ササミの航海日誌「第一話」)

西暦2195年10月、火星ユートピアコロニー地下シェルター

チューリップ落下による衝撃はおさまったが、シェルター内は騒然としていた

「本部、本部っ!!」

職員が地上の本部と連絡を取ろうとしているが一向につながらない、考えたくはないが・・・・・・

「駄目なんじゃない?」

「はあっ!?」

「地上がだよ、地下がこれじゃ地上は全滅だよ・・・」

考えたくない可能性をあっさりと指摘する爺さんに思わず顔をしかめる職員たち
この酔っ払いめ、とでも思っているのだろうか、だが

確かに地上はチューリップの落下で全滅していたが、地下にいる彼らには何が起こったのか未だに正確な事はわからない

その事が、地下に避難した市民や職員達を、より不安にさせていた

これからどうなるのであろうか・・・・・・と







機動戦艦ナデシコ

砂沙美の航海日誌



〜第一話「気が付けば地球」〜



By 三平





「ねえ、アキト兄ちゃん・・・ママたちきっと無事だよね?」

「ああ、きっと無事だよ、きっと・・・」

不安そうなササミの問いかけにそう答えるアキト、それは自分にも言い聞かせているように

本当は、状況が許せばすぐにでも地上に出て、自分でホノカ母さんたちの無事を知りたい所だが
今はそんな状況になく、一緒にいるササミを危険な目にあわせる訳にも行かず、今はじっと我慢しているのだ

「母さんは、ネルガルの研究所の方に行ってるのだろう?、だったら無事の可能性は高いよ、きっと・・・・・・」

この近くのネルガルの研究所はユートピアコロニーから少し離れた所にあり、そこもシェルター完備である
ひょっとしたらここより安全かもしれない・・・だが、それはそれでアキトはある複雑な心境なのではあるが

ちなみに、いつもならホノカがネルガルの研究所に行く時はササミも一緒に連れて行く事が多いのだが
この日は、たまたまササミはアキトの仕事場に遊びに来ていて、今回の件に巻き込まれた(?)のである

ちなみに、この時カワイ・アキトは17歳、カワイ・ササミちゃんは10歳である
(この頃のアキトは、多分見習いコックと学生の両方なんだろう、きっとそうだそうに決めた、笑)

「みゃう」

「あ、リョウちゃんどこ行くの?」

リョウちゃんと言うのは、ササミがつれて来ていた黒い子猫である(正式名はリョウオウキというらしい)

もっとも、ネコと言うには耳が大きく後ろ足も大きくて、何やらネコとウサギの相の子の様な趣があるが
どうやらネルガルの研究所で遺伝子の実験か何かで生まれたらしい(汗)
ササミに懐いているらしく、一緒について来たらしいが・・・・・・

その問題のリョウちゃんだが、隣の母子の所に遊びにいったらしい

「かわいい」

その隣の女の子は、七歳〜八歳くらいの子であろうか
どうやらリョウちゃんが気に入ったのか、抱っこしたりなでたりリョウちゃんと遊んでたりする

ササミちゃんも始めはリョウちゃんをその子に貸していたのだが・・・

「お兄ちゃん、あの子リョウちゃん返してくれないよ」

さすがに弱ってアキトに言ってきた・・・ネコくらいでなあ

「リョウちゃん人気あるんだよ,研究所でも特にイネスさんがリョウちゃんのこと気に入ってるし、ちょっと意外に思うけど」

ちなみに、アキトは話の人物イネスさんとは面識がない
アキトはあまりネルガルの研究所に行かないから
うわさ話でくらいなら聞くけど、だからその事をどう意外に思うのかピンと来ないのであるが・・・

それはともかく・・・

「はいこれ」

「わあ、お兄ちゃんありがとう」

どういう事かと言うと、アキトがリョウちゃん返してくれるようにその女の子に交渉し
なぜだかすんなり返してくれたので、お礼の意味も込めてその子にみかんをあげたのだが・・・

「どうもすみません」

その子の母親がすまなそうにお礼を言ってきた

「いえ、たいしたことじゃないですし」

答えるアキト、そのアキトに女の子が

「お兄ちゃんデートしよう」

と、言ってきたので母親とアキトは顔を見合わせて苦笑い・・・と
アキトの目に、なぜだか不機嫌そうなササミの顔が見え、おもわず固まってしまうのであった(苦笑)

そんな空気にお構いなくその女の子自己紹介

「わたしねアイっていうの」

が、その時、鈍い音と共に壁が崩れ・・・

「!?あぶない!!!」

閃光、そして爆発、アキトはとっさにアイちゃん親子とササミをかばうように押し倒した
(考えてみれば器用な、それに微妙なシチュエーションだな、苦笑)

爆風があたりをなぎ払った後には、無人の機動兵器バッタが一機そこにいた


「「「「うわあああああっ!」」」」
「「「「きゃあああああああっ」」」」


パニックに陥った避難民達は一斉に閉じたままの出入り口に殺到する

「ただ今手動で扉を開けています、慌てないでください」

「市民の安全を確保せよ」

危険なこの状況下で職員達は良くやっていると言えるだろう

避難を誘導するもの、応戦してバッタの足止めをするもの、それは生き残るための戦いだった



「!?お兄ちゃん、何をするつもりなの?」

ササミは自分の目を疑った、アキト兄ちゃんがそこにあった作業用トラクターに乗り込んで何をしようとしているのか

「僕があいつを抑えておくからその隙に逃げるんだ」

「嫌だよお兄ちゃん、逃げるならお兄ちゃんも一緒に・・・」

だが、止めるまもなくアキトの動かすトラクターがバッタに向かって行き
勢いのついたトラクターはそのままバッタに体当たりをしてそれを押さえつけた

バッタは動こうともがくが後ろの壁とトラクターの間に挟まれ身動きがとれずにいた


「おお〜〜っ」そこにいる市民達は感心する
「お兄ちゃん、すごいすごい」アイちゃんも無邪気に喜んでいる

でも、ササミは気が気では無かった、心配で
今すぐアキト兄ちゃんの所に行きたいと思う
でも、いまお兄ちゃんの邪魔をするわけにはいかないし・・・・・・


その反対側では、市の職員たちにより閉じたままだった扉が手動で開かれ

「よし、扉が開くぞ」その瞬間


どごおおおおお〜〜ん


爆発音が鳴り響き爆風が辺りをなぎ払った



「う〜〜っ、何?何があったの!?」

ササミは目を覚ました、だが一体何があったのかとっさの事で判断できないでいた
何か間接的に爆発や爆風を感じ、一瞬気を失ったようだが

判断力が回復してきて周りを見回すと・・・

そこは死屍累々屍の山があり
目の部分が不気味に赤く光らせ、うごめく大量の無人兵器たち

「うそ・・・何でどうして?、ササミわかんないよ・・・」

そうだ、お兄ちゃん、アキト兄ちゃんは?


「うわああああああ〜〜〜っ」


見るとアキト兄ちゃんはトラクターの上で叫んでいた
お兄ちゃんの胸元のいつも身につけていた青い石がまぶしく光り始めている

「お、おにいちゃん、おにいちゃ〜ん」

気が付いたら、ササミはお兄ちゃんの所に向かって走っていた
理由はよくわからないけど、このままお兄ちゃんがどこか遠くに行ってしまうような気がしたから・・・

この時、ササミはただひたすらお兄ちゃんのことを想っていた

『お兄ちゃん、お兄ちゃん』・・・と

だからササミは気が付かなかった、ササミの少し後ろにアイちゃんがいて、やっぱりお兄ちゃん目指して走っていた事を



やがて光が激しくなり、あたり一面が光に包まれたかと思ったら、そこにいた命すべてが唐突に消えた



光が収まった後、残された無人兵器たち以外、そこには生きて動くモノは何もなかった・・・そう何も・・・・・・





あれから一年、西暦2196年雪谷食堂にて

「アキト、ラーメン追加だ、それと嬢ちゃんこれ奥のテーブルへ」

「「はいっ!!」」

雪谷食堂にサイゾウの威勢の良い指示の声が響き
アキトとササミの返事の声も負けじと続く

ここではアキトは厨房に立つ機会が多い
サイゾウという新しい師匠に付いて中華という新しいジャンルを開拓中のようだ
腕の方は・・・まあこれからだが、アキトは新しいことに挑戦する楽しみがあるようだった

ササミはたまに厨房の手伝いもするが、主にウエイトレスの真似事のような事をしているようだ
明るくて、笑顔が可愛いので人気もでてきたようだ

最近では、すっかり仕事にもなれたのか足取りも軽やかである

と、言ってもとてとてとてとてでは決してない(ヲイ)

(ラピスのとてとて、最近良く見かけるな、何か普及しちゃったようで結構な事です、笑)





一年前のあの日、ササミとアキト、二人は気が付いたらこの食堂近くの草原に倒れていた

二人並んであお向けに、何故か手をつないで・・・

「みゃ〜う」ああ失礼、リョウちゃんもササミのすぐ側にいたんだっけ

何が起きたのか二人にはわからない、気が付いたら地球のここサセボにいたのだから

二人は雪谷食堂のサイゾウさんに拾われて、ここに住み込みで働くことになったのだが・・・

(また、雪谷食堂です。サイゾウさんにお世話になるのはお約束かもしれませんね、少なくとも書いてて安心できます)



始めのうちは二人はトラウマとの戦いだった

アキトは無人兵器が襲ってくるたびに怯えて震え

ササミはあの時の光景のショックか、しばらく口が利けなかったのだ

だけど、今ではたった二人きりになってしまったが、二人は家族だった

お互いにいたわり合い、支えあい、励ましあううちに少しづつ心の傷が癒されていったのだろうか

怯えるアキトをかばいなだめるササミ

落ち込んで元気がなく、すっかり無口になったササミをはげますアキト

やがて、アキトは無人兵器に怯えなくなり
ササミもやがて持ち前の明るさを取り戻し、以前のようによく笑い、よくおしゃべりもするようになった

心の傷は完全には治らないかもしれないが、それでも癒されやがて目立たなくなるのかもしれない

ともかくも、この一年で二人は成長した

特にアキトは兄として家族として、ササミに対する責任感から

「今の僕があるのは、あの時僕を引き取って育ててくれたギンジ父さんやホノカ母さんが居たからなんだ
 今のササミはあの時の僕と同じだ、だから僕が支えなくちゃ・・・でないとホノカ母さん達にあわせる顔がない」

ササミもアキトが自分のことを気にかけてくれていることは感じており
だからこそ自分がお兄ちゃんの負担にならないように頑張らなくっちゃ、と、ササミはササミで思うのであった

「みゃ〜う」

ああ、君も居たね(笑)

子猫だった(?)リョウちゃんことリョウオウキ君も成長して大きくなったようである
すっかりササミに懐いており、やはりササミの心の傷を癒すのに貢献したようである



ともかくも、この一年で二人は立ち直り、どうにか新しい生活をこなしていた

何事もなければ、このささやかな生活を維持して終戦まで行ったのかもしれない

だが、トラブルと言う物は常に向こうからやってくるものらしい

「だからさあ、君は僕のイメージする魔法少女のイメージにピッタリなんだ、ぜひ僕の作らせた衣装を着てさ・・・」

仕事中のササミにこういう非常識なアプローチを試みているのは、ホソイ・ヒョウスケという名のボンボンである

いわゆる、おたくと呼ばれる人種のなかでもコイツは非常識な部類の人間らしい

「そんな話駄目だよ今仕事中だよ、それによくわかんないけど
 そんなおかしなカッコしてたら、ササミ恥ずかしくてご近所さまを歩けないよお」

まあ、ササミとしては当然の反応だろうか、だがこのボンボンはもっと非常識なこと言ってのけたのだ・・・

「けっ、遺伝子細工の人形のくせしやがって人並みに恥ずかしいだあ、笑わせるな・・・」

「!?・・・・・・!!!」

「大人しく下手に出てりゃ付け上がりやがって、どうせどこかの研究所から脱走でもしてきたんだろう
 俺が有意義にかわいがってやろうというのに人形のくせにえらそうな事言いやがって・・・」

どうやらゲスの本性を現したようである。
それにしてもどこから遺伝子操作された人間の情報など知ったのだろうかこいつは・・・

ササミは今までそんな事言われた事は無い、そんなあつかいを受けた覚えもない(その辺もルリやラピスと違う)
だから、この男のいう事に激しく傷ついていた

「さあ、わかったら一緒に来な、俺が人形にふさわしい扱いをしてやる」

そう言ってこのボンボン、ヒョウスケはササミの手を掴んで連れて行こうとする

「!やめろ、いいかげんにしろ!!」

この騒ぎに奥から出てきたアキトがこの男とササミの間に割ってはいる

「関係ないやつは引っ込んでろ、これはお前のモノじゃねえだろ」

「関係なくなんかない、ササミは僕の大事な家族なんだ、それを人形やモノ呼ばわりされて黙ってられるか」

さっきからこの男の言い草には頭に来ていた
だいたい本当なら関係ないのはこの男の方なのだ、だが男の方はそんなアキトを嘲笑する

「はあ?、家族だあもっとましな事いえないのか?この人形は俺の所有物だとかな、もっとも・・・」


バキッ


最後まで言わせなかった、これ以上こいつの口で大事な家族のこと、妹のことを汚されたくなかったから

「ぶっ、ぶったな、パパにさえぶたれた事なかったのに・・・覚えてろ、思い知らせてやる」

と、捨て台詞を言おうとした男に「うにゃ〜あ」

リョウちゃんの引っかき攻撃が追い討ちとしてかけられたのだった

そんなわけで、このボンボンは逃げるように去っていった

その瞬間、店内はどっと沸いた

この場に居合わせた客達も、あの男にはいやな気分にさせられていたのだろう・・・はっきり言って浮いていた

「あのバカ息子殴っちまったか・・・まあいい、二人とも今日はもういいから奥で休んでな」

「え、でも・・・」

サイゾウの進めに反論しかけたアキトだが

「いいから休んどきな、このままタダじゃすまないかもしれないからな」

サイゾウに強く言われ、アキトはササミをともなって奥の部屋に行った

「・・・ごめんササミ、僕がもっと早く来ていればあんないやな思いしなくてもすんだのに」

「ちがうよ、アキト兄ちゃんは何も悪くないよ、ササミの事守ってくれたし・・・
 ササミの方こそお兄ちゃんに謝らなきゃ、お兄ちゃんがあんなヤツ殴らなきゃならなかったのだってササミが・・・」

ササミは基本的にいい子で人のことをあまり悪く言わない
それがあんなヤツ呼ばわりするのはそれだけ今回の件で傷ついたということだろうか

そう考えたら余計痛々しく思えてきた
『ササミもホノカ母さんもモノでも実験動物でもない、人間なんだ・・・誰がなんと言おうとも』

アキトは今回の件で改めてそう思うのだった



と、そこへ

刑事と警官らしき男達が部屋に入ってきた

「カワイ・アキトだな、暴行の容疑で訴えが出ている、署までご同行願えますかな」



「なんでアキト兄ちゃんが連れて行かれなきゃなんないの?、悪いのはあいつなのに!!」

ササミは珍しく激昂していた

「そうは言うが、あんなでもこの辺じゃ有力な顔役の息子だからな」

サイゾウさんも納得いかないがどうしようもないと言ったところか

「正論だけではどうにもならない、こういう場合、もっと力のある誰かに何とかしてもらうしかないが・・・」

「もっと力のある・・・・・・」

サイゾウの言葉に何やら考えていたササミだが、意を決したようだ

「サイゾウさん、電話貸してください」

上手くいくかわからない・・・だが、やらないよりやってみる価値はあるだろう





「親父、なんであいつが釈放されるんだ、あいつは俺のこと殴ったんだぜ、せめてムショにぶち込んでやらなきゃ気が済まないぜ」

この馬鹿な息子に父親としては失望するしかない
勝手な事して勝手にトラブルをおこし勝手に警察まで動かす

馬鹿な息子だがそれでもかわいい息子である。
いままでわがままを黙認してきたがそのツケが回ってきたのだろうか
さすがにネルガルを敵にまわしてまで庇う訳にはいかないのだ
その場合、潰されるのはこっちの方なのだから

さいわい向こうから言ってきたのは穏便な和解だったので受ける事にした
だが、事情を理解していないこの息子はそれが気に入らないらしく食って掛かってきたのだ

「いいかげんにしろ、今までお前のわがままを黙認してきたが、もう許すわけにはいかん、勘当だ」

声を張り上げるでもなく、疲れたように宣言した。

「おい、だれかこのバカ息子をつまみ出せ、しばらく反省して頭を冷やさせるんだ・・・」

「な、何言ってるんだよ親父、おやじ〜ぃ」

連れ出されるバカ息子(三男坊)を見届けた後、父親はぽつりとさみしそうにつぶやいた

「どこで子育てをあやまったのだろうな、末っ子だから甘やかしたのがいけなかったのか・・・・・・」





数日後、一年間お世話になった雪谷食堂のサイゾウに別れを告げ

アキトとササミはネルガルの車に乗ってサセボドックに向かっていた

「お兄ちゃんごめん、お兄ちゃんがネルガルの世話になりたくないってわかってたけど、でも・・・」

「・・・いいさ、結局ササミにいらない心配させちゃったし、どっちにしてももう世話になっちゃたしな・・・・・・」

火星にいたとき、ササミがホノカママに言われていたことがある

もし、こまった事があった時、その時ママたちが居なかったら
火星でなら谷博士を、地球でならプロスペクターさんを頼りなさい、と


でも、何故だかアキト兄ちゃんはネルガルを頼りたがらない
というか、関わりあいたがらなかったから誰も頼る人のいない地球でもこれまで連絡することはなかった

だけど、この間のトラブルの時、ササミには何もできなかった
プロスさんに連絡したのは藁にもすがる思いだったのだ

効果は覿面だった、プロスさんはササミたちが地球にいることに驚いたけれども、すぐに手を打ち
たちまちアキトは釈放されたのだった
(ネルガルの名前だけでも大きいが、プロスはその辺駆け引きをうまく使ったらしい)


その後、プロスさんはササミとアキトのこと面倒みてくれるという事で、新しい職場に連れて行ってくれることになったのだが
先の件で借りがあるので断るわけにもいかなかったのだ

「ところでササミ達、どこにいくんですか?」


「着いてからのお楽しみ、と言いたい所ですが、サセボドックのナデシコです」

「ナデシコ?」ナデシコって何なのかな

「それこそ着いてからのお楽しみです」

プロスペクターさんはそう言ってしめくくった





サセボドックに到着したあと、プロスさんに案内されてササミ達はナデシコの案内を受けていた
ナデシコというのはネルガルが開発した新型の宇宙船なんだって
変な形しているけど大丈夫かな?

でも、これからササミたちがお世話になる船だし、どんななのか少したのしみかな?





ふと見ると、デッキにササミと同じくらいの年の女の子がササミ達を出迎えるように立っていた

よく見るとその子は蒼銀の髪で、何よりもササミやホノカママと同じような金色の瞳をしていた
一体どんな子なんだろう?
なぜだか知らないけど、何か嬉しそうに見える


「こんにちは、プロスさん」


「おや、ルリさんどうしてデッキなどにおられるのですか?」

この子の名前ははルリちゃんか、ササミこの子と仲良くなれるかな?
でも、ルリちゃんササミやプロスさんじゃなくアキト兄ちゃんの方が気になるのか、そっちばかり見ているみたいだけど


「・・・こちらはどなたですか?」

「ああ、この方達は先ほどナデシコに就職された・・・」

「今日は・・・アキトさん」

一瞬時間が止まったような感じがした・・・ルリちゃんお兄ちゃんのこと知っているの?
だとしたら何時どこで知り合ったのかな?
表情も何か楽しそうで、これからいたずらを仕掛ける子供みたいにも見える


ふと気になってお兄ちゃんの方を見てみたら
お兄ちゃんの方はルリちゃんのこと知らないみたいで戸惑っているみたいだった・・・どういうことだろう?


「おやルリさん、アキトさんとお知り合いですか?」


「ええ、そうなんですよプロスさん」


ルリちゃんって子はそう言っているけど、お兄ちゃんは知らない人を見ているみたい、じゃあどうして?
どこで食い違っちゃってるのかな???


「えーっと、あのさあ、僕の方は心当たりがないのだけど、勘違いとか他人の空似とかそんなことないかな?」


お兄ちゃんは申し訳無さそうにそう言ったのだけど


「!!そ、そんなはずありません、そんなこと・・・・・・


ルリちゃんの顔色が変わりました、さっきまでと違い雰囲気も不安そうで、声もだんだん消え入りそうで・・・・・・

何か意を決したのか、ルリちゃんはまた口を開きました


「アキトさんは、私の知っているテンカワ・アキトさんですよね?」


「「「!!?・・・はいっ!?」」」


何だかよく分からないけど、その瞬間ササミとおにいちゃんとプロスさんの声が見事にハモッちゃいました



ところでテンカワって・・・・・・?





つづく



あとがき

うーん、砂沙美ちゃんたちをマシンチャイルドに設定してしまったために、過酷な境遇を与えてしまったかなあ

はたしてこれで良かったのか?

でも始めてしまった以上、責任もって何とかしてあげないとね・・・頑張ってみますか

今回でナデシコ発進までいくはずだったのだが・・・いいや次回こそ(また後半手抜きぎみだし・・・はあっ)



ラスト近くにルリが登場しましたが、はて?様子がおかしいですがどうしたのでしょうね?

どういうことか答えはバレバレな気もしますが、まあ次回のおたのしみということで(お楽しみか?)

それでは今回はこんな所で

(なんか今回うまく書けなかったところは次回フォローしとかないとな・・・)


 

 

代理人の感想

まあ、そこはお約束と言うことで一つ(笑)。

しかし、てっきり「アイちゃん」も一緒に飛んできて三すくみを形成するかなと思ったんですが、違いました(笑)。