(砂沙美の航海日誌「第九話」)

前回の話で、例のシャトルはナデシコと合流を果たす事ができたが

被弾などの損害も大きく、またこのあと敵襲を受けずに帰還できるのか心もとなかったので

乗員はこのままナデシコに同乗する事となったようである



そんなわけで、格納庫にて・・・



「初めまして、パイロットのイツキ・カザマです。

 訳あってしばらくこの艦でお世話になる事になりましたが、皆さんよろしくお願いします。」



根が生真面目なのか、びしっと敬礼までして非の打ち所のない自己紹介であったが・・・



「うおおおおおおぉぉぉ〜〜〜っ!!」



直後に整備のメカニックたちの熱い叫び声を聞いてイツキはあっけにとられてしまった

ハッキリ言って、軍隊とはノリが違う・・・というか、軽くて緊張感が無さ過ぎる

イツキは頭痛がしてきたような気がした・・・私はここでやっていけるのだろうか?

ひょっとして、私は場違いな所に来てしまったのではないのだろうか?

(もっともこの時点でイツキは考えもしなかった事だが、火星に行って帰ってきた頃には
 彼女自身もすっかりナデシコのノリに染まっていて、堅苦しい軍隊に戻る気などかけらも残らなかったりするのだが・・・)



「まあ、そんな固い顔すんなよ、ここは軍隊じゃないんだからもう少し気楽にやろうぜ

 オレはパイロットのスバル・リョウコだ、よろしくな」


「よ、よろしく・・・先ほどは援護ありがとうございました。おかげで助かりました」


「いいってことよ、当たり前のことだろ、あの程度の事・・・」


堅苦しいことが苦手なリョウコには、かえってナデシコのノリは合っていたのかもしれない

それはともかく、リョウコは先輩のパイロットらしくイツキを歓迎した。礼も言われて少し照れくさそうでもある

・・・まあ、先輩と言っても、イツキより半日ばかり早く着任しただけなんですけどね

ともかくこれを機に、ヒカルやイズミなどの他のパイロットもイツキとの自己紹介やあいさつを交わし・・・最後にこの人



「初めまして、僕はコックをやっているカワイ・アキトです。

 臨時でパイロットも掛け持ちしているから、一緒に仕事をするかもしれないけど、よろしく」


「えっ!ええっ!? パイロットでコックさん!!?」


さすがイツキはにアキトの自己紹介には驚いたようだ・・・ここではそういうのもアリなの?


「そんな半端な奴の事なんか気にしなくていいぜ・・・」


リョウコがそう言って口を挟む・・・急に口調が不機嫌そうだ

アキトはと言うと、寂しそうに笑っていた

パイロットのイツキさんはやっぱり他のパイロット達のように、自分が掛け持ちでパイロットやる事気が入らないだろうと思うから

もっとも、今はそう思われても仕方が無いか、ともアキトは思っていて心中思うところがあるのであるが・・・でも


「あの時はありがとうございました。カワイ・アキトさんでしたよね?」


「えっ!あ、ああっ・・・でもなんでありがとうなんて?」


「あの時、カワイさんが助けてくれなかったら私はここには居ませんでした。お礼を言うのはおかしいですか?」


あの時というのは、最後の一機のバッタがシャトルに攻撃を加えようとして、直前にアキトが撃破したアレである


「でもあれはまぐれだし・・・」


「まぐれでも何でも、そのおかげで私たちは助かったのだからお礼を言うのは当然です

 それに、カワイさん自身がどう思っているのか知りませんけど、本当ならまぐれであそこまでやれませんよ

 私はもっと自分に自信をもっても良いと思いますよ。」


「・・・ありがとう・・・僕はそんな風に言ってもらえるとは思わなかったから・・・・・・」


出会うタイミングが良かったのだろうか?

この時点で二人はお互いに対して良い印象を与えていた

この時点では、ただそれだけの事だったはずなのだが・・・・・・



そんな様子を、リョウコは苦虫を噛み潰したような顔をして、面白く無さそうに見ていたのであった。







機動戦艦ナデシコ

砂沙美の航海日誌



〜第九話「だから僕は強くなりたい」〜



By 三平









ブリッジでは、予備のオペレーター、マキビ・ハリことハーリーくんの自己紹介が行われていたようだ

性格的にそうなのか、緊張も手伝って表情も硬かったが、

ここにいる人たちの中で、ハーリーにとって一番なじみのある人はミナトさんであろうか?

ルリさんがとても信頼していた人で、ハーリーもこの人には色々はげまされたりしたっけ・・・

と、その時のこと思い出したりもしたりしていた

日々平穏を飛び出してきた時の事とか、極冠遺跡でルリにナデシコのすべてを任された時の事とか


『そうか、やっぱりね。・・・ルリルリからの手紙でね、君の事いっぱい書いてあったからね、ピピンときたの』

『甘えちゃえよ、弟くん』

『ハーリーくん頑張れ、甘えた分まで男になれよ!』


だから、ミナトさんの自己紹介の時は、つい懐かしい気分になって表情が緩んだりしたようだ

自分の知っているミナトさんではない、過去のミナトさんだと知りつつ・・・

だが、おかげでハーリーの緊張は解けたのだった


そんな様子を、ミナトは見逃さなかった

何だろう、ハーリー君は私の事知っているのだろうか?

まるで、私の事を懐かしい人を見てるみたいに見ていたけど

この子とは初対面のはずだけど、どこかで会っていただろうか?

(六歳の子供に知り合いはいなかったと思うのだけど・・・)

とはいえ、この子の知り合いのだれかに似ているだけかも知れないし、そのうちそれとなく聞いてみるかな

ともかくこの場では追求などする事無く、ミナトはさらりと流したのであった


ちなみに、他にハーリーが知っていると言えば、アオイ・ジュン(未来では少佐)やプロスペクターあたりだが

まあ、それほどこの方たちと親しかった訳で無いので、気にしなくてよいだろう


ほかに、ハーリーには初対面の、初対面のはずだけど、とても気になる人もいた

カワイ・ササミさん。ルリさんのかわりにオペレーターの代行をしているとか言う少女

・・・なぜか初対面な気がしなかった

ふと気が付く、あの夢に出てきたナデシコCの艦長とササミさんは髪の色が同じ濃い水色なのだ・・・まさか!?

でも雰囲気がまるで違う・・・なんと言うか、ササミさんは子供っぽくてノリが軽いんだよね、明るくて人が良さそうだけど

夢の中の艦長のような、知的で落ち着いた大人の雰囲気とか、ある種の風格とかそういう物は感じられないし・・・・・・


「どうしたのハーリーくん? ササミの顔になにかついてるの?」


ハーリーがササミの事を見て、何事か考え込んでいるようなので、ササミも気になったのであろうか?


「えっ、何でも・・・たいした事じゃないですよ・・・ははっ・・・・・・」

気にしすぎだな・・・あれは夢なんだから、気のせい気のせい・・・ハーリーはこれ以上気にしない事にした


『何か気になるなあ・・・』

ササミのほうは、そんなハーリーの態度に逆に好奇心を刺激されたようだ

でもまあ、この場はそれ以上追求しなかったが・・・あくまで自己紹介の場だし


そんなこんなで他のブリッジ要員やササミなどともお互いの紹介がおわったが、ハーリー君何か物足りないようだ


「あの〜、ここにホシノ・ルリさんがいると聞いていたんですけど、どこにいるんですか?」


その言葉にブリッジ要員たちは急に沈黙する

なにかまずい事でも聞いたのだろうか?

おもわずそんな気分になるハーリー君


「おや、ハーリーさん、ルリさんの事を知っておられたのですか?」


プロスペクターが確認もかねて聞いてきた


「え? あ、はい、噂だけで会った事はないけど、会って見たいと思ってたんです」

「ふむ、なるほど・・・」


ハーリーの答えに、考え込むそぶりを見せるプロスペクター
でもそれ以上追求しようとはしなかった・・・確認したかっただけなのだろう


「ルリルリだったら寝ているわ・・・いつ目が覚めるのかわからないけど・・・」

「!!それってどういう意味ですか!?」


ミナトの歯切れの悪い答えに、思わず力を込めて聞き返すハーリー

結局ハーリーが知る事が出来たのは
ルリがなにか精神的ショックで寝込んでしまい、以来ずっと目を覚まさないでいる、という事であった


「・・・そんな」


「もし良ければ、ハーリー君、今からでもお見舞いに行く?」


「・・・行きます」


落胆しているハーリー君を見かねてミナトは誘いをかけ、ハーリーは即答したのだった

ところで、サツキミドリ到着後、ルリは降ろされるハズだったのであるが

サツキミドリが敵の攻撃を受け、ハーリー達の乗ってきたシャトルも帰還不能で

結局ルリは、眠ったままだがナデシコに残ることになったようであった

そして、ミナトはそんなルリの様子を毎日欠かさず見に行くのが日課になっているのであった





「オレたちに用てのは何だ? オレたちはそんなに暇じゃないんだ、用なら早く言ってくれ・・・」


どんな場面かと言うと、アキトがパイロット達に頼みがあるという事で、彼女達を呼び出した所でありますが・・・
のっけからリョウコさん、随分ないいぐさですね・・・でもアキトそんな態度にも負けずに話を切り出した


「頼む、僕にロボットの操縦を教えて欲しい・・・昨日の事でよくわかったんだ

 このままじゃ駄目なんだって、今のままじゃ僕はパイロットとしては足手まといにしかならない・・・だから」


アキトが昨日から悩み続けた事はこれだったようだ

パイロットをするには自分は実力不足だとハッキリ気づいたのだ

だから、もう恥も外聞もない、出来ないならそれを認めて教えてもらうしかないと決意しての事だった


「・・・人に教えを請う態度じゃないよな・・・人に物を頼む時にはそれなりの態度ってものがあるだろう?」


「リョウコ!!」

「リョウコさん!!」


ヒカルやイツキはそのリョウコの態度にやや非難の声をかけるが、リョウコは無視した


「・・・お願いします。僕に操縦の仕方を教えてください。」


アキトは土下座してお願いをした

恥や外聞所ではなく、プライドもかなぐりすてて・・・


「カワイさん・・・」


イツキはそんな様子を感じ入って見ていた・・・一体あなたはなぜそこまでして・・・


「やなこった・・・」


リョウコの答えは簡潔だった


「リョウコ、ここまでやらせておいて、いくらなんでもそれはあんまりだよ」


さすがにヒカルは非難のトーンを上げた、対するやリョウコはすぐ反論した


「付け焼刃で教えたってすぐ上手くなるわけじゃねえ、

 トーシローがウロチョロしても邪魔なだけなのはヒカルもわかってるだろ!!

 だったらパイロットなんか辞めてコックに専念するように勧めるのが親切ってもんだ」


ここで一旦言葉を切り、リョウコはすぐ次の言葉を吐き出した


「中途半端にやっても死ぬだけだ、だったら死ぬ前に止めちまえ

 もしオレたちの目の前で死なれたら迷惑だからな! 戦闘は俺たち本職に任せておけばいいんだ!!

 それに、オレはああいうプライドのないヤツや中途半端なヤツは大嫌いなんだ・・・それだけだ!!」


リョウコはそこまで言い切ると、プイッと行ってしまった

リョウコに続いてイズミも部屋を出て行く・・・出て行くとき一言


「リョウコは言いすぎだけど意見は正しい、素人が中途半端にやってたらいつか死ぬよ・・・」


イズミ、いつもの(笑えない)冗談のでない珍しくマジモードのようだ・・・

さすがに人の生き死にの話が出たときはこうなるようですね

そして、二人が出て行ったあとも辺りは重苦しい空気に包まれたままだった

二人にそう言われ、カワイ・アキトくんはがっくりと落ち込んでいるままで、言葉も出ないようだ・・・


「「はあ〜〜っ」」


ヒカルとイツキはそろってため息をついた・・・リョウコやイズミの言いたいこともわかるのだけど・・・

そのうち、ヒカルが言いにくそうに話を切り出した


「ごめんね、私はあの二人ほどこだわっていないから何とかしてあげたいけど・・・リョウコは意地っ張りだからねえ・・・」


二人に義理立てしてたら、ヒカルもアキトにエステの操縦などを、教える訳には行かないのだろう


「そんな訳だから、イツキちゃんあとよろしくね」


「えっ?」


「えっ、じゃないよ、イツキちゃん。

 イツキちゃんならリョウコたちに遠慮せずにアキトくんに教えられるでしょ・・・私と違って付き合いが浅いから

 フォローは私がしておくからお願いね・・・それともイツキちゃんもイヤなのかな?」


「そんな事ありません・・・ただ話が突然だったのでビックリしただけです」


ヒカルにそう話を振られ、イツキは戸惑ったようだ

でもそう言いつつ、イツキは自分がカワイさんに教えるしかないな、と思い始めていた

少なくともイヤじゃない・・・それどころかイツキはなぜか心躍るモノを感じていた

でも、それなら一つだけカワイさんに聞いておきたいことがあるかもしれない・・・それは


「どうしてなんですか? カワイさんがそうまでしてパイロットを続けようとするのは・・・」


「どうしてって? それは・・・」


イツキの問いにとっさに言葉の出ないアキト・・・イツキは言葉を続けた


「カワイさんは元々コックさんですよね?

 誰もパイロットがいなかった時ならともかく、今は私を含めて何人かいます

 辛い思いをしたり、さっきみたいに土下座をしてまでどうして続けようとしているのか?

 もし、さしつかえが無かったら教えてくれませんか? カワイさんの想いを・・・」


イツキの問いにアキトは少し考えたが、その答えに当たったのだろう・・・静かに話し始めた


「僕は大切な人を、大切な家族を守りたい、守れるようになりたいんだ・・・・・・自分の手で・・・」


それが、アキトの想い・・・


正直、ナデシコに乗り込むまでは、アキトはどうしていいかわからなかった

自分と、唯一残された妹の身を守るだけで精一杯だったから

だけど、ナデシコに乗り込み、その目的地を知った時、はっきりと自分のやりたい事が見えた


『火星に残っている家族を助けたい』 そして 『火星に残されている人たちを助けたい』


はっきりと言ってこれである。

だが、現実にはアキトはいまだに非力なままであり

今のままでは他人を助けるどころか、足手まといにしかならないかもしれない


「このままじっとしてはいられないんだ、僕は火星の人たちを助けたい・・・できれば自分の手で

 そのために少しでも強くなりたい、みんなを守るための力が欲しい、自分勝手な思い込みかもしれないけれど・・・」


短い沈黙・・・でも、すべてとはいわないが、イツキにはカワイさんの事が少しわかった気がする


「・・・わかりました、カワイさんのコーチ役は私が引き受けます」


「ほんとうに!」


「はい、飾り気なしのカワイさんの気持ちがよくわかりましたから・・・」


助けたい人が居る、守りたい人が居る、だから強くなりたい

イツキはそんなカワイさんの想いが好ましい物のように思えたから・・・もう迷いは無かった


「ありがとう、ありがとうイツキさん!」


アキトはそういって、イツキの両手をとってお礼を言った


「えっ!、え、あの・・・・・・その!」


急なことだったので、とっさにどう反応していいのか戸惑うイツキ・・・ドギマギしていて顔も赤くなってるかも


「お〜お、御暑いことで・・・」


その様子に、ヒカルは表情をニヤリとさせながらチャチャを入れるのだった

今後の展開におおいに期待をこめて・・・







ハーリーの加入で、ナデシコのメインコンピューターのオペレーターの編成であるが、暫定的に変更が決まったようである

どのように決まったかは、この後説明するとして・・・

ハーリーは張り切っていた・・・えっ? ルリが寝ていて起きる気配が無いのにどうしてかって?

それはね・・・・・・


「これはこうするんです・・・これも基本的なことですよササミさん」


「あはははは、メンゴメンゴ、ササミこういうのやってなかったからよくわからなくて・・・」


「だとしても限度ってものがありますよ・・・これでよくオペレーターやってられましたね?」


ハーリーはオペレーターとして基本のなってないササミの再教育をやっているようだ・・・
にしても、何かえらそうだねハーリーくん


「わあ〜っ、すごいすごい、ハーリーくん六歳なのにこんな事できるんだ・・・ササミとはえらく違うんだね・・・」


まあ、ササミもササミでハーリーのやる事にいちいち感心してるものだからねえ・・・彼が増長するのも致し方なしかな

ササミは自分がまだ満足にオペレーターを出来ないと自覚しているから、六歳のハーリーに劣っていても気にしてはいないようだ

でも、やる気は充分、貪欲にハーリーの教えてくれる事を学び取ろうとしている・・・まだやってる事は基本的な事なんだけどね


『ササミは、強くならなくちゃ・・・お兄ちゃんを守ってあげられるように・・・いつまでも守られてばかりじゃ駄目なんだ』


どうやら、先日おかしな夢を見てから、ササミちゃんは向上心というか、こういう意識をもつようになったようである

いつまでもお気楽なだけではいられないと・・・切実にササミは強くならなくちゃ、と、思いはじめていたのだ

そんな時に、ハーリーがナデシコにやってきたのはササミにとってはある意味渡りに船だったのかもしれない


で、最初の話だが、現在はナデシコのメインオペレーターがササミ、その補佐がハーリーと決まったようだ

実力と配置がアンバランスのようだが、これは六歳のハーリーをメインにするわけにいかないのでこうなったのであり

今、ナデシコの実質的なメインオペレーターはハーリーだろう

ちなみに、ルリはいまだ目を覚まさず、今の扱いは予備のオペレーターとなっている

(ルリが目を覚ましたらまた状況が変わるだろうが、今は致し方あるまい)



ともかく、この状況下でハーリーは・・・


[ルリさんの留守は僕が守るんだ!!

 ササミさんはへっぽこ・・・もとい未熟で頼りにならないし、僕が頑張らないと・・・]


とまあ、やる気は充分みたいですね

目を覚まさないルリの事を、お見舞いに行ってからハーリーくん、決意を新たにしているようで・・・

まあ結構結構・・・うん?


[ルリさん、目を覚ましたら僕の事褒めてくれるかなあ・・・

 『良く頑張りましたね、やっぱりハーリーくんは頼りになります』

 とか何とか言ってくれたりして・・・

 それともこれをきっかけに、僕の事見直してくれたりして・・・くふふふふふ・・・]



駄目だこりゃ・・・妄想が入り始めているよこいつ

事実上ナンバーワン状態のせいで増長しているのかな?

あるいは、いっそハーリーらしいと言えるのかもね


『どうしたのかなハーリーくん・・・さっきから一人でニヤニヤしてるけど? 何かいい事でもあったのかな?』


まだハーリーの性質をよく理解していないササミちゃんは、そんな様子に首をかしげているのだった





あれから数日が経った

アキトはコックを続けながら、その合間にイツキにパイロットのコーチを受けていた

どの程度上達したのかは、本人達以外には今の所わからないが、うまくやっているようである

少なくとも、イツキはまだパイロットとして経験は不足ぎみだが、

決して技術的に実力が不足している訳ではないのであり (それどころか、テクニックはかなりのものである)

かえっておかしな操縦のクセなどもっていないため、コーチ役としては最適だったのかもしれない

(その成果については、次回以降のお楽しみという事でね・・・)



それはそれとして、その副産物とも言えるだろうか?

はたから見ると、二人の仲は急速に親しくなっているように見えるようだ

まあ、実際親しくなっているようでありますし

どの程度進んでいるのか微妙な所かもしれませんが、

二人が仲良さげにしている所など、

なかなか微笑ましいシーンとして、ナデシコクルーに認識され始めているようであった



もっとも、誰かさんの妹などのように、それを見て不機嫌になる人もいるようですけどね(苦笑)

そして、ここにももう一人・・・

ナデシコ艦長のミスマル・ユリカさんであった


「どうしてカワイさんがイツキちゃんと仲良くしているの?

 どうして二人が仲良くしている所を見るのがこんなにイヤなんだろう?

 どうしてカワイさんの事がこんなに気になるんだろう・・・」


ユリカは自分の気持ちに戸惑っていた

そもそも、他人にこんなにじれったい気分にさせられる経験は今まで無かったから・・・


そんな気分のせいであろうか?

ユリカは気分を変えるために、自分の部屋の模様替えをしているようだ・・・


ガタッ・・・


ユリカさん、部屋の隅っこに置いてあったトランクを落っことしてしまったみたいで


「あ〜あ、やっちゃった・・・これいろいろ入っていてかたずけるのが大変・・・あれ?」


その荷物のなかにフォトスタンド(写真立て)がひとつ


「わあ〜っ、なつかしいなあ、こんな所にあったんだ。これ探してたんだよね・・・」


写っているのは、子供の頃のユリカと幼馴染の男の子

幼馴染の名前は・・・


「えっ?、この写真、この写真に写っているのは・・・アキト!?」


写真の男の子の名前はテンカワ・アキト

そして、写真の男の子とカワイさん・・・カワイ・アキトとの姿がダブる


まさか!!


ユリカはようやく答えにたどり着いたようだ

さてこの件どうなるかは次回のお楽しみとして・・・







つづく



あとがき

お久しぶりです・・・約半月ぶりに続きが書けました

先月の末には風邪ひいて死んでたりしてその分遅れたのもありますが

もう一つのシリーズの『月の女神』第二話書いてて詰まっていたのもあるかなあ(七割くらいは書けてるのだけどね)

こっちのシリーズのほうが楽に書けたなあ(苦笑)

とは言えしばらくぶりなので、少し手抜き気味になってしまった気もしますが

その辺は次回にフォローしたいと思います

(今回が前編としたら、次回はその後編と言った感じの話になるとおもいますしね)

さらにその次には、いよいよ舞台は火星に移りそうです

なんにせよ、来週には続きを書きたいと思ってますので、よければ次回をお楽しみに



久しぶりなので疲れたなあ・・・



 

 

代理人の感想

威張るハーリー。

偉そうなハーリー。

しかも六歳のまま。

 

ひょっとしてActionでは前代未聞ではないでしょうか(爆笑)!?

頑張れハーリー、この幸せを噛み締めて。

・・・まぁ、その内(読者から)天誅を食らうんじゃないかと言う気がしますが(爆)

 

 

後、今回リョーコちゃんが物凄く嫌な女になってたんですが、

不思議と違和感は感じませんでしたねぇ。

これを自然に思わせる腕はさすがです。