福音の向こうへ

第一楽章 異界からの来訪者

 

西暦2015年
サードインパクトと呼ばれる大災害が起こった。
人類の大半は死滅。40億しか居なかった人口は更に減り、5億にまで落ち込んだ。
被害が一番少なかったのは、ネルフ本部やネルフアメリカ支部、ドイツ支部など、
対AntiATフィールドの研究がもっとも進んでいたネルフ関係施設の周辺であった。

西暦2016年
第三世代国連を主導として、地球の復興作業が始まった。
それと共にネルフには、S2機関を効率的に使用できるエヴァ細胞を利用した宇宙船の
開発に取り掛かるよう辞令が下った。
地球だけでなく、月、火星まで人類の生息圏を増強する事が目的だった。
ネルフは、現存するエヴァを元にエヴァ細胞の増殖を開始させるとともに、赤城博士を
中心とした開発グループを発足させた。
しかし、開発は意外な事で方向性を変更せざるを得なくなった。
辞令から半月がたった頃、ネルフの人工衛星が木星方面にパターン青、即ち使徒を発
見した。
このために、ネルフはこの宇宙船を、宇宙戦艦へと急遽仕様を変更する事とした。
それだけではなく、宇宙空間戦闘用の新型エヴァンゲリオンの開発も急がれる事となった。

新たに開発される事となった新型エヴァンゲリオンに要求されたスペックは、開発中の
宇宙戦艦に搭載できるよう、最大全高7.5mと以前に比べてかなり小さく、又補助AIを利用する
事によってチルドレン以外の人間にも使えるようにする事であった。
さらに、チルドレン専用機体にはS2機関を標準搭載し、それ以外の機体も無線式のエネルギー
補給装置の実装が要求された。

仕様が変更となった宇宙戦艦に対する要求スペックは、スーパーコンピューター『Magi』の改良型
『Magi-3』の搭載を要求し、チルドレン以外の人間によるオペレーティングを可能とさせる事だった。
それだけでなく、擬似的なATフィールド(擬似ATフィールド)を発生させるために、現在平行して
開発が進められているロンギヌスシステムを搭載させた。
これは、攻撃用に擬似ATフィールドを利用すると言う意見を生み出し、武装として擬似ATフィールド砲
の採用と言う結果を生み出す事となる。

西暦2017年、火星軌道に侵入した第十九使徒を特務機関ネルフは、宇宙艦隊を持って迎撃した。
ただ、新型エヴァンゲリオンの開発は間に合っていなかったため、チルドレンは各艦のオペレーティング
という慣れない仕事をさせられていた。
それでも、第十九使徒は、擬似ATフィールドキャノンの滅多打ちにあって何とか殲滅できた。
しかし、重要な事が発覚したのはこの戦いの後であった。
採取された第十九使徒と、過去の使徒の血液パターンを比較した結果、第十九使徒は第三使徒サキエルと
認定された。
地球中に衝撃が走った事は当然の事である。人類は、再び滅亡の影に怯えなくてはいけなかった。

そして、そのきっちり三週間後に第二十使徒が襲来した。
今回は、新型エヴァンゲリオンが投入されたため、戦闘は比較的スムーズに行われた。
そして、この戦いにおいて、チルドレンにも階層があることが確認された。
第二十使徒、つまりは第四使徒シャムシエルが行った攻撃は、前回とは少し異なるものであった。
触手の周りに虚数空間をまとわりつかせて、敵に当ててそれを跳ばしたのである。
これによって、チルドレンではない普通のパイロットが操縦する新型エヴァンゲリオンは、機体こそ
回収されたものの、パイロットは消滅していた。又、サードチルドレン以外のチルドレンは生存こそ
していたが、重症を負い、当分は戦線に復帰する事が出来ない状況にあった。
ネルフは、これを受けてシンジ専用エヴァンゲリオン『エデン』を開発した。
エデンは、他の機体とは異なり、虚数空間への自由な出入りを実現させたディラックシステムを
搭載することによって自立展開を可能とした初めての機体である。

ディラックシステムとは、虚数空間との出入り口を作り出す事によって、一種の瞬間移動を行うため
の装置である。
これより後の事となるが、強力な擬似ATフィールドを展開できれば、誰でもディラックジャンプに耐えうると
実験で立証されたために、新型ロンギヌスシステムを搭載する改ゼーレ級宇宙戦艦が建造される事となった。
これは、理論上は、虚数空間を無事に移動できるだけの擬似ATフィールドを張る事が出来るため、
新戦力として期待された。
又、改ゼーレ級宇宙戦艦には、擬似アンチATフィールド砲を搭載して、使徒を簡単に殲滅しようという
意見が出され、これも艦首埋め込み式で、搭載することとなった。
この、改ゼーレ級宇宙戦艦は、第九使徒戦時に竣工した。

その後、特務機関ネルフは、火星方面特務艦隊ネルフに名を変えて第十一使徒までを殲滅する事に
成功した。

そして、物語は始まる。

 

「未確認飛行物体、接近します」

「パターン青、使徒です」

「未確認飛行物体を第十二番使徒レリエルと認定」

「全艦隊、擬似ATフィールド砲用意」

「エデン、セラフィム出撃」

「擬似ATフィールド砲、てぇー!」

赤い光を帯びた巨大な鉄隗が一直線にレリエルに向かっていく
レリエルに吸い込まれていったそれらは、ただそれだけで終わった。

「擬似ATフィールド砲効いていません」

「いかんっ、機動兵器部隊を戻せっ」

「エデン、セラフィム、緊急帰還モードへ」

敵に攻撃が効かないことを悟った上層部は、機動兵器の帰還を命令した。
機動兵器が帰還し終えた瞬間だった。
旗艦、改ゼーレ級航空宇宙戦艦一番艦“サイネリア”が擬似アンチATフィールドキャノンの
チャージに移ったとき、レリエルがサイネリアを包み込んだ。
それと共にサイネリアの周囲に闇の光、ディラックフィールドが展開された。
レリエルの特殊能力、ディラックの海。それが使えるディラックフィールドの
容量は、けた違いに大きく、サイネリアの擬似ATフィールドと言えども、艦内に居るチルドレン
以外の人間は全て死んでしまうのである。

「いけないっ、擬似ATフィールド最大出力、擬似アンチATフィールドキャノンのチャージはとめて。」

「擬似ATフィールド出力114パーセント、ディラックジャンプに何とか耐えられます。」

「僕が、オペレーティングをします。」

その時だった。
一人の少年が駆け込んできた。
そして、何時もは空席となっているS級チルドレン専用オペレーティングチェアに
座ると、接続を開始した。
接続が終了すると、ATフィールドの展開にかかろうとする。
しかし、それより早く闇の光が、サイネリアを包み込んだ。
外部では、収容が遅れたセカンドチルドレン、惣流アスカラングレーと、
ファーストチルドレン、綾波レイが、ゼーレ級宇宙戦艦“ゼーレ”に収容されている。
その顔に一筋の涙が滴り落ちていくのに、気付いたものは居なかった、当人も含めて。
そして、第三世代国連の最新鋭艦は奈落の果てに落ちた。
数百名の乗組員を一瞬で引き裂いたディラックジャンプ、そんな中たった一人の
少年のみが生き残ることに成功した。S級チルドレンで有ったがために。

To the other side of the Evangelion

First Movement : Visitor from another world

無の空間。
何も存在しない所。
そのはずの空間に闇の光が表れた。
それは次第に戦艦の形へと移っていった。
“サイネリア”、竣工後僅か1ヶ月で消滅した第三世代国連軍最新鋭宇宙戦艦。
それが、姿を現した。

「ちっ、虚数空間内部か・・・」

シンジは、その時初めてブリッジが静かな事に気付いた。
あたりを見回してみると、周囲に赤い液体―LCL―が散らばっている。

「LCL?アンチATフィールドを受けたはずが無いし・・・」

ディラックジャンプの影響だった。S級チルドレン一人では荷が重すぎたのだ。
あと一人A級チルドレンが居たら・・・そう言う思いがシンジの心を満たした。

『左舷前方に高エネルギー体を確認。』

その時、Magi-3から警報が入った。
レーダーを見てみると、確かに左舷前方に何らかの反応がある。
シンジは、一瞬戸惑ったものの艦をその方向へと進ませた。
S級チルドレンのオペレーティングシステムは、エヴァと同じでシンクロシステムを
利用している。とは言っても、エヴァと違い人型ではないので、イメージするのは
若干難しい所があるので、マニュアル操縦も可能ではある。

サイネリアが、反応のある場所を目視圏に捕らえられる所までに迫った。
そこにシンジが見たのは、四角い箱のようなものであった。
敵味方の区別はつかない、しかし、何か災いの元になりそうであった。

「擬似ATフィールド砲、照準OK。てぇー!」

紅い矢が砲身から放たれる。
しかし、そのモノの前で何かに弾かれた。
シンジは、それにかまうことなく擬似ATフィールド砲を連射しつづけた。

そのモノがいきなり発光し始めた。
それと共にシンジの頭の中に何かのイメージが入り込んできた。
不定形のあやふやなイメージ、それは次第に形を整えていった。

「だれだ、あなたは!!」

『わたしは遺跡、全てを統べる者。』

シンジは、怒りをその声に含ませつつ怒鳴った。
その怒りがモノにも感じられたのだろうか?発光は一時的に弱まっていく。
しかし、次の瞬間には更に強く発光していく。
シンジは、入り込んでくるイメージに自己を流されないようにするので精一杯であった。

イメージが収まった。それと共にシンジの記憶も途切れた。
そして、サイネリアが闇の光に包まれ、その空間から消え去った。

 

赤い大地
あちらこちらから立ち上る煙
逃げ惑う人々の叫び声
赤い惑星、火星その大地は謎の無人兵器に侵され
地下は侵略に怯える人々に埋められた
宇宙空間では連合軍が、敵チューリップから出てきた敵艦隊を相手に戦闘を繰
り広げていた。

その宇宙空間に白銀の戦艦が、漆黒の闇の光を纏いつつ出現した。
その漆黒の闇は、すぐに紅い壁へと変わっていった。
その戦艦を脅威と感じたのだろうか?木星蜥蜴の艦隊はグラビティーブラストを、
白銀の戦艦に向かって撃ってきた。
紅い壁に全てのグラビティーブラストは弾き返されていく。

「くっ、攻撃は・・・耐えられるか。Magi-3、現在西暦何年か参照して。」

『現在、西暦2195年』

「はぁ・・・」

シンジはため息を返す事しか出来なかった。
彼に残されたのは、あの不定形であやふやなイメージだけ。
そこに見たのは木星と、そこに追いやられた人々。
他にも大量にイメージは送られてきたのだが、余りに大量すぎて自己を流されないようにするのに
精一杯であったため、思い出す事が出来ない。
ただ、知らない間に誰かの道具にされたと言うのはうすうす感じ取れた。

知らない間に誰かの道具にされているのは面白い事ではない。
それも、事情の良く知らぬ異世界の事であるのならば尚更である。
だが、その事情を知るためには、木星に行くしかないようであった。
そして、木星に行くためには、今自分達に攻撃を仕掛けようとしている二つの艦隊を
殲滅して、サイネリアの安全を確保しないといけない。

白銀の戦艦の上甲板に装備された二連装砲塔四基が、地球連合軍の艦隊の
方向へと旋回を開始する。
旋回が終了し、射角調整も終了した後、紅い光が、砲身から放たれた。
僅か八発しか撃たれていないとはいえ、対使徒戦を前提として建造された
だけのことはある。艦隊の外郭を構成する艦に五発が命中した。
命中率は実に65パーセントである。
戦艦はひとたまりも無く爆散して行く。
そして、堕天使の戦闘が始まった。
二つの艦隊の真ん中を、直進していくサイネリア。
今度は上甲板のみならず、下甲板に取り付けられた二連装砲塔四基を、反対側の
木星蜥蜴の艦隊の砲に向けて合計十六発の擬似ATフィールド砲を連射し始めた。

連合軍艦隊に紅い矢が降りそそいだ。
旗艦こそ攻撃を受けていないが、外郭に近づけば近づくほど被害は大きくなっている。
ある艦など、艦首から艦橋まで続く装甲が丸々裂け、空気が外部に漏れていた。
別の艦は、左舷部がささくれている。又、艦首が丸まる消滅している艦もあった。
一方的な虐殺としか形容できない光景である。

木星蜥蜴の艦隊にも紅い矢が降り注いでいる。
しかし、ディストーションフィールドに阻まれているものも多く、被害は連合軍艦隊ほど
大きいわけではない。

『ロンギヌスシステムに無理がきています、戦闘の中止を具申します。』

Magi-3の報告が入った時には、連合軍艦隊の八割が、擬似ATフィールド砲の攻撃で
既に轟沈しており、残りの艦の大半も何らかの損傷を受けていた。
しかし、常に事が上手く行くはずが無い。
ディラックジャンプに耐えるために強制的に作り出された114パーセントの出力の擬似ATフィールドに
よって作り出された無理が、ここに来てロンギヌスシステムに悪影響を及ぼしつつあった。

「ちっ、何がどうなっているのかわからないけど木星に行ってみるか。
ディラックシステム起動。目標、木星。」

『ディラックシステム起動、システムオールグリーン』

サイネリアが、戦闘を中止したため連合軍艦隊は辛くも壊滅を免れた。
フクベ提督は、残存艦艇を率いて一路地球を目指した。
一方、木星蜥蜴の艦隊は、艦隊を再編するべく定められたパターンに従って行動を
開始し始めた。

「ジャンプ」

初めてディラックジャンプをした時は、正直精神が崩壊しそうだった。
時は西暦2015年、第十二使徒レリエルとの第三新東京市での戦いに辛うじて
勝利できたのは、僕のおかげではなかった。暴走した初号機のおかげだった。
その後、サードインパクトが起こった。そこから目覚めてみたら、又使徒と
戦わないといけなくなった。それも宇宙空間で。っと、昔を思い出すのはよそ
う、気が狂いそうになる。

そうして、再びサイネリアは闇に包まれた。
この世界で自分のなすことを知るために。


彼らが巻き起こす災厄を
この世界の住民は知らない

逆行者といえども知る術は無い

紛れ込んできたイレギュラーが
この世界に何をもたらすのだろうか

To Be Continued


後書き ByBlackCherubim

始めまして、BlackCherubimと言います。

今回ナデシコと、エヴァのクロスオーバーに挑戦してみました。
と言っても、エヴァの方は、人名だけで他はほとんどオリジナルですけど・・・

ただ、エヴァにそのままATフィールドを使わせたらナデシコ側のメカが勝てるはずが無いので、
擬似ATフィールドと言う形で、性能を数段落としたものを急遽創造しました。

後、文中に頻繁に登場する「闇の光」は、ディラックジャンプ(虚数空間を利用した時空間移動)のさいに
発生させるディラックフィールド(虚数力場)の事です(因みに、ディラックジャンプも、ディラックフィールドも、
原作には出ていません。ディラックの海なら出ましたけど)。

 

では、次回後書きで。

後書き ByBlackCherubim:改定にあたって。

代理人さんが指摘してくださったように、説明不足な感が多量にありましたので、
エヴァ世界のサードインパクト後の歴史を簡単に乗せると共に、横文字をカタカナに
変えたりして読みやすいように努力しました。
もちろん、オリジナルの単語に関しても説明を載せました。
これが一番わかり難い事なので。
自分の考えている事は、他人にもわかるはずだ、と無意識に考えているんでしょうね(草壁中将みたいに)。
今後は改めさせていただきます。
代理人さん、本当に参考になりました。

 

 

 

感想代理人プロフィール

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代理人の感想

・・・いや、なんと言うか・・・。説明不足にも程があります。

ラーゼフォンとかファフナー前半みたいな、謎単語だけ羅列しておけばいいやって手抜き感。

横文字がやたらに多いのも読みにくさに拍車をかけてます。

話のほうも遺跡の前に出てきたシンジが、何の説明も無く状況を完全に理解してしまっているとか、

手抜き感がかなり濃厚に匂います。

まずはそこを直してからですね。