時を翔け抜く双天使


第1章 第3話 the view of AYANO



























幾度となく願ったあの方との再会・・・


それは奇跡だったのかもしれません・・・


ですが、それが全ての始まりとなったのです・・・


私の人生で一番の輝きをはなった日々の・・・


私・・いえ、私たちに輝きを与えてくれた2人・・・


時には雄々しく、時には傷つきながら時を翔け抜けていった2人・・・


テンカワ アキトという名の少年と・・・


・・あの方・・・アオイ ジュンという名の少年・・・













えーと、あの食材は買いましたし、これで今日のお夕飯が作れますね。


今日は、あの子が来る日ですし豪華なお夕飯にしましょう。


そんなことを考えながら歩いていましたら人とぶつかってしまいました。



ドンッ!!



「キャッ!?」



・・痛いです・・・


でも、お尻から落ちましたし怪我はありませんね。


ぶつかった人・・


すごく綺麗な顔立ちをしていますね・・・


美人です・・・


でもお洋服が男性用なのは何故でしょう?


たぶん女の子(?)が申し訳なさそうに謝ってきました。



「大丈夫ですか?すいません前を見ていなかったものですから・・・

 怪我はありませんか?」



「ええっ、どこも怪我はしていませんよ。」


「そうですか。それはよかった。」


女の子(?)はそう言うと安心したように微笑まれました。


・・・?


この笑顔は見覚えがあります。


・・・!?


ジュンちゃん!?ジュンちゃんに違いありません!!


という事は・・女の子ではなく、男の子ですね・・・


今日来る事は聞いていましたが、まさかこんな所で出会いますなんて・・・


心の準備が出来ていなかった私は焦りました。



「こちらも申し訳ありませんでした。では・・・」



そう言って私は足早に立ち去りました・・・













ドックン、ドックン・・・


心臓の鼓動が驚くほど大きく聞こえます。


このままではあの子とまともに会うことはできませんね・・・


そう思った私は近くにある公園で落ち着くまで休むことにしました。


思い出されるのは2年前のあの数日間・・・


閉ざしていた私の心を再び開いてくれた優しい笑顔・・・


今日会ったあの子はあの頃の優しさ、純粋さを残したままでした・・・


私はそのことを嬉しく思いました・・・













数時間後、やっと落ち着いたので家に帰りました。



「ただいま帰りました。」


「おお、帰ったかアヤノ。ジュン君がきておるよ。」


「ええ、知っていますわ、お父様。今日お会い致しましたもの。」



あの子は驚いたような表情になり・・・



「君は駅前でぶつかった・・・」


「ええ、あの時はすぐに逃げ出してしまって申し訳ありませんでした。

 あなたが突然現れたものですから心の準備ができていなくて・・・」


「本当にすみませんでした。アオイ ジュンです。

 アヤノさん、お久しぶりです。」

「お久しぶりです。これからもよろしくお願い致しますね、ジュンちゃん。」



そう言いましたら、ジュンちゃんは何か思い悩んでいるような表情になりました。


私、変なことを言いましたっけ?


それはともかく、先程会った時も思いましたが、随分と大人っぽい雰囲気ですね。


2年間でこんなにも成長するんでしょうか?



「アヤノ、お夕飯の準備にとりかかるわよ。」


「わありました、お母様。」


「ああ、ジュン君とアキマサさんはそちらの部屋でくつろいでてね。」



そう言って買い物袋を台所に運び、エプロンを着け、お夕飯を作り始めました。



「ジュン君、10才なのに随分と大人びていたわね。それに可愛いし。

 アヤノ、彼の心をゲットするには即行動あるのみよ!

 母さんのみた所、あなたも彼に好意を持っているみたいだし・・・

 母さんも手伝っちゃうわよ!」



お母様の言葉に顔が真っ赤になるのがわかりました。



「お母様、やめてください!私はそんなことは・・・」


「本当かな〜?顔、真っ赤っ赤よ?

 ・・あ、でも彼、修行で3日に1度位しか帰ってこないっていってたわね。」


「えっ、本当ですか?」


「うん、本当よ。確か友達と2人で山ごもり、とか言ってたわね。

 ああ〜アヤノったらもしかして残念〜?」


「お母様!!」


「ふふふっ、はいはい、ごめんなさいね。」



ショックでした・・・


これからは一緒にいられると思ったのですが・・・


その日の夜はなかなか寝付けませんでした・・・













それから、ジュンちゃんはお母様の言った通り、3日に1度しか帰って来ませんでした・・・


帰ってくるたびに、より強く優しくなっていくのがわかりました。


しかし、ボロボロで立っているだけでも辛そうなのに、家に帰ってきた時は優しい顔のままで、


辛そうなそぶりも見せずに、私たちの前で楽しそうにしていました。


初めての山ごもりを終えて帰ってきた時、ジュンちゃんは1人の男の子を連れてきました。



「アキマサさん、彼が僕の修行での師匠です。」


「テンカワ アキトです。よろしくお願いします。」


「おお、そうかそうか、わしはクオン アキマサ。

 こっちが妻のサクエと娘のアヤノじゃ。」


「よろしくね、アキト君。」


「よろしくお願い致します、アキトさん。」



この子の意思の強そうな瞳には深みが見えます・・・


・・それは未来への希望?


・・それは消すことのできない闇?


私には、それをうかがい知ることはできません。


この人はジュンちゃんの対極にいる人かもしれません。


ジュンちゃんが光なら、アキトさんは闇・・・



私はそんな印象をうけました。



「アキト君、君は強いな。おそらくわしよりも。」


「いえ、そんなことはありませんよ。」


「いや、謙遜することはあるまい。どうかね、今度ぜひ手合わせしてくれんかね?」


「ええ、よろこんで。」



ふと気付くと、お父様とアキトさんはそんな会話をしていました。


私はジュンちゃんに話し掛けました。



「ジュンちゃん大丈夫ですか?あちこちを怪我されているようにみえますけど。」


「大丈夫ですよ。どうしても強くならなければいけませんからね。」



優しく微笑みながらそう言います。



「いえ、それでも傷を放っておいてはいけませんよ。

 私が傷の手当てをしましょう。」


「いえ、いいですよ。自分でできますから。」


「いいえ、私がやらせていただきます。」



そう強く言い放った私に、苦笑を浮かべ、



「では、お願いしますね。」



その時から、私はジュンちゃんの手当て担当になりました。













そんな日から1ヶ月程経ったある日、私は2人の修行を少しだけ見せてもらいました。


それは想像を絶する過酷なモノでした・・・


私はジュンちゃんに、前々から疑問に思っていた事を尋ねました。



「ねえ、ジュンちゃん。何故あなたは強くなろうとしているのですか?」


「・・そうですね・・・僕は、力が足りなかった為に大切な人を守れなかった・・・

 そんな人を知っています。大切な人を取り戻すため、その人は力を追い求めました・・・

 力を手に入れたその人は、復讐の念に取り付かれていました・・・

 たくさんの人を殺し、全てが終りました・・・

 残ったのは壊れかけた心と罪の意識だけ・・・

 僕が強くなりたいのはその人を救う手助けをしたいから・・・

 そして、大切な人達を守りたいから・・・

 だから僕はつよくなりたい。」



ジュンちゃんの決心を聞き、私は思いました・・・


・・強くなりたい、身体的にも、精神的にも・・・


胸を張って、この方の隣に立つことができるように・・・













そして、私はお父様にお願いしました。



「お父様、私に久遠流鉄扇術を教えてください。」


「どうしたのじゃ、いきなり?」


「・・・・。」


「まあよい。言っておくが修行は厳しいぞ。

 それに修行中は、男も女も関係ないからな。」


「はい!!」


「よかろう。では教えよう。まづ、これに着替えてきなさい。」



そう言われ、急いで渡された服・・・巫女服・・・に着替えました。



「今着替えてもらったその服は、少々特別な材料、製法で織られておる。

 故に普通の服より、はるかに丈夫でな。真剣でも切ることはできん。

 それをふまえた上で久遠流の特徴について話すぞ。

 我が久遠流では、裾や袴を武器に防具にと頻繁に用いる。

 もちろん、その服を着ていなくても充分に戦える。

 が、その服を着て初めて真価が発揮できる・・・」



こうして厳しい修行の日々が始まりました。













そして、5年の月日が流れ・・・


ジュンちゃんが地球に戻ることになりました。


ジュンちゃんは士官学校に入ることになるそうです。


そして私は・・・



「お父様、お母様、私も地球に行ってよろしいでしょうか?」



「・・ううむ。・・どうする、サクエ?」


「私はいいと思いますよ。地球にいる間はジュン君の家でお世話になりなさい。

 連絡しておくから・・・ジュン君、アヤノをよろしくね。」


「はあ、いいですけど・・・」



お母様が耳元で囁きました。



「いいチャンスじゃない。この機会にジュン君の心をゲットしちゃいなさい。」



ポッ!



顔が真っ赤っ赤になりました。


横では・・・



「アキト、アキマサさんとサクエさんのことよろしく頼むよ。」


「ああ、まかせろ、ジュン。必ず助けるさ。」



という会話があったみたいですが私の耳には届きませんでした。


そして、私は地球に向かいます・・・


ジュンちゃんと共に・・・









・・・・to be continued







後書き





こんにちは、こんばんわ。暁の明星です。


やっと3話・・・死ぬる・・・


すいません、時間あいてしまいました。


たぶん、次も時間あきます。


だって、自宅でインターネットできないし(泣)


さて、第1章は後3話で終わりです。


次の4話目、下書きしてみたところ・・・


すんごく短いです。ええ、びっくりするほどに。(汗)


まあそれはともかくアキトほとんど出て来ませんねえ・・・


ジュンは頻繁に出てくるのに・・・


まあ、このSSはある意味ジュン君中心ですから・・・


後書きになると暴走気味な作者・・・


ジュン君推進委員会なんか設立しそうな勢いです。


ジュンを漢に、を合言葉にあなたもSSを書いてみませんか?


連絡先はsorkman@hotmail.com


いいんでしょうか?勝手にこんなことまでしちゃって(大汗)


ていうかメンバーは集まるんでしょうか?


あっ、それとアヤノが使っている「私」は「わたくし」と読んで下さい。


感想のメール出してくれると嬉しいです。


でも、何故に巫女服とか突っ込まないで(汗)


では、次のお話の後書きで・・・

 

 

 

代理人の感想

 

特別製の服を着て最大の威力を発揮する武術・・・・・・・・・・・。

ひょっとして久遠流武術って火星人殺法の流れ(核爆)?

だとすれば最終奥義は間違いなく「巾着!」ですね!?

・・・・・ジュンやアキトも身につけてくれないかなぁ(超爆)。

 

 

 

なお、火星人ネタがわからない人は集英社ウルトラジャンプYJCから絶賛発売中の

安永航一郎著「火星人刑事(デカ)」1〜5巻を読もう!

代理人のお勧めだ!