時を翔け抜く双天使


第1章 第4話 the life of MARS








ジュンが火星に来てもう5年。連日修行の日々の中、俺は知りうる限りの技術をジュンに教えた。
今日はジュンの、両親との約束の日だ。ジュンともう一人、アヤノさんは地球に行くことになる。
ジュンだけなら心配だが、アヤノさんがついていくなら安心だ。あの人には俺も色々お世話になっているし。
・・・まあジュンも心配しなくていいほど強くなっているがな。
ふぅ、出発までまだ時間はあるな。何気なくジュン達のほうを見てみると・・・・
・・・なぜかアヤノさんが暴走していた。そして暴走の原因であろうジュンは・・・
・・・アヤノさんに振り回されている。ご愁傷様・・・・・・


私の希望で、私はジュンちゃんに付いて地球に行くことになりました。一度行ってみたかったんです、地球。
それに・・・ジュンちゃんのことが心配ですからね。いっ、いえいえいえいえ、変な意味じゃなくってですね(汗)
と、ととととりあえず落ち着くためには深呼吸が一番ですね。
すうぅぅぅっ、はあぁぁぁっ、すうぅぅぅっ、はあぁぁぁっ・・
ふうっ、落ち着きました。と思いましたら・・・
ひょこ!
「何してるんですか?アヤノさん。」
いきなりジュンちゃんの顔がどあっぷで!?
ジュンちゃんはこの5年でさらに綺麗になっています。今も周りの人たちがこちらを見ていますし・・
はっきりいって男の子に見えません。思わず見惚れてしまいまして・・
「へっ、いい、いえいえ別に何でもありませんよ。ただ深呼吸をしているだけです。
 ええ本当にジュンちゃんもどうです深呼吸。健康にいいですよっ。さあさあ、れっつ深呼吸とぅぎゃざあ!」
「はっ!?はぁ・・・」
すうぅぅぅっ、はあぁぁぁっ、すうぅぅぅっ、はあぁぁぁっ・・・
「はい、落ち着きましたね。ところでジュンちゃんはお土産は買いましたか?えっ、まだ買っていない。
 それはいけません。お土産というものは古来から帰郷の際には必需品、あって当然、なければ唖然。
 礼儀正しく生きるため、近所づきあいを円滑にすすめるため、そして親孝行の第一歩として重要な役割を果たすのです。
 いいですかジュンちゃん、平和な日常らいふを楽しむためにはまずお土産なんです。こすとの大小は関係有りません。
 重要なのは気持ちです。そう真心なんです。あの人に喜んでもらいたい、この心が重要なんですね。
 しか〜し、かといってあんまり安すぎてもいけません。100円らいたーなどは言語道断なんです。
 選ぶぽいんとはその土地独特の雰囲気を持つもの!その土地でしか手に入らないもの!この二つです!!
 たとえてみますと花火をするなら絶対に欠かせない線香花火!みたいな感じのものがいいですね。
 このユートピアコロニーにも特産品はいっぱいあります!さいわい時間もまだあるみたいです!
 さあジュンちゃん、れっつごおしょっぴんぐとぅぎゃざあです!」
「はっ、はいぃっ!!」
「いい返事ですね。では行きましょう!!」 
「はあっ・・・・・」


「あっ、これはいいですね!あれもかわいいです。むぅ、なやみますねー。ジュンちゃんどっちがいいと思いますか?」
「あ、こっちのほうが・・・」
「こっちですか?私もそう思います、思いますけど・・・
 でもでもでもあれも捨てがたいですよね!どうしましょう・・」
ずっと思っていたんだけどアヤノさんはどうして買い物となると子供っぽくなるんだろう? 
一ヶ月前一緒にデパートに行った時も、亀のぬいぐるみととうさぎのぬいぐるみのどちらにするか悩んでいたし・・
まあ結局僕が買ってあげることで収集がついたんだけど・・・
ちなみに今アヤノさんが選んでいるのは熊の置物と鳥獣戯画の模様が描かれた扇子。
なぜに火星で熊と鳥獣戯画なんだろう?
しかし、アヤノさんも扇子はいいとしてもなぜ熊の置物!?
と考えこんでいた時、じいぃっと僕を見つめる視線に気付いた。
「困りました・・・ジュンちゃん私どっちかなんて選べません。だからジュンちゃんが選んでください!」
「はあ、じゃこっちを・・・」
扇子のほうを指差して、アヤノさんを見ると・・・涙目でこちらを見ている。
まいったな、アヤノさんのこの表情には弱いんだよなー。
しかーし、負けるな僕の自制心!頑張れ僕の自制心!衝動買いに立ち向かうんだ!!
「じゃ、じゃなくてこっちかな。」
熊の置物のほうを指差すとまたしてもアヤノさんが涙目でこちらを見ている・・・
しかも、両こぶしを胸の前に持ってきてそこはかとなく上目遣いだし・・・
うぐっ、負けました。さらば僕の自制心、可愛いアヤノさんに乾杯(完敗)です(涙)。
「僕が両方買いましょう!!」
「ありがとうございます、ジュンちゃん!」


・・・出発の時間が迫り、やっと戻ってきたジュン達を見ると両手いっぱいに買い物袋をぶらさげている。
あの荷物の量、そしてアヤノさんの満足そうな笑顔・・やはりジュンの完敗か・・・
まあしょうがないといえばしょうがないな。過去に戻って初めて判ったが、アイツ極度の可愛いもの好きだし・・
それを抜きにしても、あれは反則だ・・・
俺も何度負けたことか・・・
しかし、ジュンはいつみても男に見えない。アヤノさんと並んでいると美人姉妹という感じだ。
周りの注目浴びてるしな。
「・・ア、アヤノさんちょっと買いすぎじゃ・・・」
「いいえ〜、まだまだ全然ですよ〜。ねっ!」
「はい、そうですね・・・」
満足そうなアヤノさんとは裏腹にちょっとブルー入っているジュン。かける言葉が見つからない・・


そして出発まであとわずか
「ジュン、アヤノさん。地球に行っても元気でな。」
俺は二人を見送る。ジュンとアヤノさんは微笑みながら言う。
「アキトも元気にね。風邪には気をつけて。」
「また今度、ですね。」
「ああ・・」
船に乗り込んでゆく二人。俺はそれを見ながら少しだけ過去を思い出す。
弱かった、何も出来なかった自分。ただ連れ去られるのを見ているだけ、自分も連れ去られるだけ・・・
抵抗らしい抵抗も出来ず、広がっていたはずの未来は暗く閉ざされる・・・
再び誓いを立てた。今度はあんな未来にはさせない、と・・・・・





・・・・to be continued








<後書き>
お久しぶりです暁の明星です。
書き方変えてみましたがどうでしょう。
前回から3ヶ月以上経っちゃいました。
前回感想くれた方ありがとう、そしてごめんなさい。
嘘つきすぎました。本当は12月中には出すはずだったんですが・・・
気がつけば2月。本当に申し訳ないです。
しっかし内容のほうは前回の予告どおりほんとに短いですね〜。
書き忘れていたんですが、ジュン君の髪型は劇場版な感じです。
今後の展開を見越したうえで言っておきますが私はブラックキャ○トが好きです。
なのでけっこうネタをパクッたりします。そこら辺はどうぞお許しを。
そしてここで大報告!!ジュン君推進委員会になんと入会者が2名!!
う〜ん、嬉しいですね。皆さんどんどんジュン君を活躍させましょう。
なんかこう会報とか作りたいんですが余裕ないので却下して・・・
今入会すると、なっ、なんと私のSSの人物設定やらなにやらが手に入る(かも)
たぶん誰もきませんね、とか思いつつこのSSを読む上での注意書きなんぞを一つ
このSSのジュン君は作者の想像、もしくは思い込みなどが激しく反映されています。
故に原作のジュン君とかけ離れてしまうのは必至です。
なので、原作のイメージを壊したくない人は読まないほうがいいかも。
でも読んでくれると嬉しいです。感想もらえるともっと嬉しいです。
ではまた次のお話で・・・・・

 

 

 

代理人の感想

>あんな未来にはさせない

・・・・・・「未来」とは連れ去る人間が違うだけで、

ただ連れ去るのを見ているだけと言う状況は変わらないような気もしますが(核爆)。