_こんにちわ、どうもです。

 

「まともな挨拶も出来んのか、貴様は?」

 

_いや、これはどうも済みません(平身低頭)

 

「まあ良い、所詮は下賎な・・・いや、そんな事を言うべきではないな」

 

_同僚の皆さんも不思議がられていましたが、かなり性格が丸くなったそうですね?

 

「・・・それは誉めてるのか?

 それともこの私を愚弄していると、受け取っていいのか?」

 

_・・・誉めてるんですよ(汗)

  ですからその痛そうな斧は仕舞ってください(大汗)

  では、お名前をお願いします。

 

「私の名前はグリシーヌ・ブルーメール

 巴里に住む、誇り高き貴族だ」

 

 

 

漆黒の戦神 アナザー

グリシーヌ・ブルーメールの場合

 

 

 

_え〜では早速ですが質問をさせて頂きます。

 

「うむ」

 

_まず、どういった経緯であの「漆黒の戦神」と遭遇されたのですか?

  言っちゃあ何ですが、あの人は放浪癖の塊ですからね。

  今までも考えもつかない状況と場所で、幾多の女性と出会っているんですよ。

 

「・・・それはそれで実に興味深い話だが、私が彼と出合ったのは森の中だった。

 キツネ狩りに出たのは良いが、運悪く猟師の仕掛けた罠に私が囚われてしまい。

 そこを通りかかった彼が助けてくれたのだ」

 

_それはまた・・・何故彼は森の中を徘徊してたんでしょうか?

 まさか、女性の存在を第六感で察知したとか?

 ・・・凄く納得出来そうな例えですけど。

 

「いや、何でも自分の部隊の補給が滞っているらしくて、獲物を探していたらしい。

 実際、仕留めた熊を引き摺っていたからな。

 しかも彼が言うには弾薬が勿体無いので、素手で倒したそうだ」

 

_自給自足に熊?

  ま、まあ個人戦闘でも伝説となった人ですからね〜

  しかし、熊をね・・・

 

「・・・うむ、身長が2mを超える熊だ」

 

_・・・

 

「・・・」

 

_ま、まあ今更この程度で彼の事を驚いても仕方が無いでしょう。

  で、その後はやはり彼に助けられて街に帰られたのですか?

 

「不本意だったが、乗っていた馬にも逃げられてしまったからな。

 彼の背中に背負われて、我が屋敷まで送って貰ったのだ」

 

_熊、どうしたんですかね?

 

「サングラスをした怪しい男に手渡してたぞ?

 彼の頼みを聞いて呆れた顔をしながら、その男も軽々と熊を引き摺って山に消えたがな」

 

_ああ、ヤガミ ナオさんですね。

  本当、いたるところに顔を出しますね、あの人も。

  で、彼とはそのまま屋敷で別れたのですか?

 

「いや・・・その・・・屋敷のメイド長であるタレブー婦人が、実は彼の正体を知っていてな。

 これ幸と、私との縁結びをしようと画策をしたのだ」

 

_それはまた・・・まあ、どうしてそのタレブー婦人が彼の事を知っていたのか不思議ですが。

  う〜ん、その時は彼の正体をグリシーヌさんは御存じ無かったんですよね?

 

「ああ、まあな。

 しかし、身のこなしから私を背負って運んだ筈なのに、一向に疲れをみせない彼に興味を持ってはいたな。

 それに刺々しい態度で、平民と侮る私の言葉を苦笑をしながら聞いていた。」

 

_・・・素手で熊、倒してますしね。

  そんな人相手に、よく罵る事が出来ましたね?

 

「わ、私も今考えてみると馬鹿な事をしたと思ってる!!

 ただ、うら若き女性としては男性とダンス以外で、あれほど長時間一緒に居た事は無かったのだ!!」

 

_足に怪我を負ってて、背負われてては逃げられませんからね・・・

  不安とかは無かったんですか?

 

「・・・私もブルーメール家の当主として、人を見る目はそれなりにあるつもりだ。

 少なくとも、あの時の彼の目には心底私を心配している感情しか無かった」

 

_後からジワジワと効いて来る毒薬みたいな人ですからね、あの人

 

「結構言うな、お前?」

 

_そりゃあ、あの人を追っ掛けて美人の惚気ばかり聞かされれば・・・って、今はそんな話じゃなくて!!

  それで、彼はその後どうしたんですか?

 

「まあ、私も貴族として受けた恩は返さなければならんと思っていたからな。

 そのまま彼を山に返すつもりは無かったし」

 

_山って・・・野生動物じゃないんですから(汗)

 

「ある意味、希少価値の高い動物だろう?」

 

_ひ、否定出来ませんね確かに。

 

「そうこうしているうちに夕食の時間になり、彼と一緒に食事をしていたのだが。

 実は・・・この時に、初めて彼の名前を聞いたのだ」

 

_え、それまでは何と言って彼を呼んでいたんですか?

 

「カラテカ(空手家)」

 

_・・・

 

「だって熊殺しだろ?」

 

_・・・

 

「いや、私も確かに失礼だと思ったが・・・どうにも素直に名前を聞けなくてな。

 もし聞いていれば、あそこまで意地を張らずに彼に身を委ねたと思うが」

 

_いや、身委ねるって・・・あ〜た(汗)

  背負われてた時に、どんな事をしたんだか・・・

  しかし、ご友人のエリカ嬢に勝るとも劣らない「日本人」への認識の仕方ですね。

  正確には彼の生まれ故郷は何処か判明しておりませんが。

  外見は日本人そのままですからね。

 

「まったくその通りだ。

 だいたい、私が思い付きでつけた渾名を、笑って受け入れる方が可笑しいのだ。

 だが・・・彼にとっては些細な事だったんだろうな、そんな渾名を付けられる事など」

 

_いまや、時の人ですからね。

  称える言葉も多ければ、誹謗中傷も凄いものです。

 

「・・・食事が終った後、街に火の手が上がった。

 私は急いで現場に駆け付けたかったが、足の怪我が邪魔をして動く事は出来なかった。

 そんな私に彼は「夕御飯のお礼を兼ねて、君の代わりにこの街を守ろう」

 そう言って屋敷を飛び出して行った」

 

_その成果が、街の外に積まれているチューリップの山ですか?

 

「ああ、屋敷から全てを見ていてが・・・感動したぞ。

 私も街の自衛を兼ねて開発された、エステバリスとは違うタイプの機体を持っているが。

 あれ程の戦果は到底望めん。

 実際、今までもなんとか無人兵器達を追い返すのが精一杯だったのだ。

 それを一夜にしてチューリップごと破壊するとは、な」

 

_ま、まあ非常識が服を着て踊ってる人ですからね。

 

「それ以来、街には無人兵器すら近寄る事は無くなった。

 本当に彼は夕食と引き換えに、私の成すべき義務を代りに成し遂げたのだ。

 あれだけ平民平民と馬鹿にした私に代わってな・・・

 正直、悔しい気持ちもあったが・・・今では感謝の気持ちの方が強い。

 それ以来だな、変な偏見を捨てようと思ったのは」

 

_えっと、では最後に彼に何か一言お願いします。

 

「タレブー婦人も諦めていなし、私もあのままでは良い所無しだ。

 一度正式に我が家に招待したいと思っている。

 勿論、親類縁者も揃った上で『紹介』させてもらうからな」

 

_はい、有り難う御座いました!!

  それでは、以上でグリシーヌ・ブルーメールさんとの会見を終らせて貰います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

某戦艦の某部屋

 

 

「ふ〜ん、あの名家のお嬢さんとね〜

 まあ、ハーテッド家と実は縁があるなんて事は、流石にアキトも知らなかったみたいだけど。

 ついでに言えば、お爺様とタレブー婦人が茶飲み仲間と言うのも、初耳かしらね?」

 

 ・・・当然、初耳だろう。

 

「姉さん、確かにこの日が熊鍋でしたよね?」

 

 過去の日記帳に付いているカレンダーでその日の献立を確認していたサラとアリサ・・・

 例の出版本を片手に、自分達の記憶を呼び起こしていた。

 その背後では、他の女性陣がギラギラした目でお縄についたアキトを見ている。

 

 アキトは引き攣った笑みを浮かべたまま、しきりに左右を見ていた。

 当然、助いの手など現れるはずも無い・・・

 

「あの時の野営地から逆算すると、あの時のアキトならブルーメール家まで約30分かしら・・・

 でも、グリシーヌさんを背負っていたと考えると・・・三時間の道のりかな?」

 

 サラが何故か楽しそうに微笑みながら、アキトの側に歩いてくる。

 その隣ではアリサが日記帳を片手に微笑んでいる。

 

「あの日はナオさんが苦労して熊を解体してましたからね、良く覚えていますよ。

 でも味付けをカズシさんとシュン隊長が失敗してしまって・・・大変だったんです。

 ええ、良く覚えていますよ」

 

 酒飲みの二人に、味付けを任せる方が悪い・・・とは言えないアキトだった。

 

「あ、あのさ・・・ほら、出撃には間に合ったんだし。

 その後、ちゃんと食べられる様に味付けもし直したしさ?」

 

「「だから?」」

 

「「「「「「「「「「「「「何ですか?」」」」」」」」」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――ご、御免なさい」

 

 正面から女性陣の顔を見れないアキトであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 5時間後―――

 

「お〜い、元気かアキト〜?」

 

 何時もの如くアキトを迎えに現れるナオ

 既に気分は宅配便のお兄さんだ。

 

 場慣れしている彼は、部屋の隅でいじけているアキトを直ぐに発見する。

 そんな彼の耳に、アキトの呟きが聞えてきた。

 

「背中に後頭部にまだ感触が・・・って、どうして皆ノーブラなんだよ〜」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・男として、お前を殴っていいか?」

 

 どうぞ、好きなだけ殴ってくれ。

 いや―――殴るんだ、ナオ!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

END

 

 

後書き

どうも、托塔天王です。

え、某魔王じゃないのかって?

嫌だな〜、そんな人は知りませんよ(エヘラエヘラ)

私はそれにこのHPには初投稿の投稿者なんですよ?

こんな駄文ですが、最後まで読んで頂き光栄です。

 

では、また機会があれば投稿をしたいと思います。

 

ではでは。