終わり無き旅

 

第五話 「絶たれる絆、紡がれる絆」

 

 

 

※前話より一週間経過しております

 

 

 

「ぐ・・・・・・・・・があっ、ぎ・・・・・・・・」

ぽたぽたっと汗が床に流れ落ちる。

ユーチャリスに在るアキトの自室。

アキトは日増しに間隔が狭くなる発作に苦しんでいた。

「・・・・・・・・・」

ミズキはその様子を壁にもたれかかりながら見物している。

「がはっ、はあ、はあ、はあ・・・」

発作が収まりアキトが平静を取り戻していく。

「・・・・・もう話せる?」

「ああ・・・・大丈夫だ。続きを話してくれ」

ミズキがアキトの部屋を訪ねた理由、それはアキトとラピスとのリンクについてだった。

イネスは、恐らくアキトとラピスのリンクを解くことは無いだろう。

それがアキトをこの世にとどめている数少ない絆であることにイネスが気付いているからだ。

それゆえ、アキトはラピスとのリンクを解くことなく別れた。

ラピスとのリンクは体内にあるナノマシンを利用した特殊なもので、専門の、それもかなり

高度な知識を持った者と、充実した設備が必要だった。

設備のほうはユーチャリスの医療室で充分だったが、肝心の人間のほうが居なかった。

リンクが繋がったままだと、最悪ラピスに見つかる危険性がある。

だが、無い物ねだりをしても仕方が無いと諦めていたのだが・・・。

「ナノマシン同士のリンク?う〜ん、できないことも無いだろうけど・・・」

駄目もとでミズキに相談したところそんな返事が返ってきた。

そしてミズキが、手術についてアキトの部屋を訪ね、説明も終盤に差し掛かったところで

アキトの体に異変が起きた。

 

発作。

アキトの発作は、生態バランスが崩れた体を様々な目的を持ったナノマシンが

過剰反応を示すことで現れる。

これらのナノマシンは、アキトが火星の後継者に捕らわれていた時に投与されたもので

今だその半数以上の働きがわかっていない。

その上、常人ならとっくに死んでしまう・・・いわゆる致死量をはるかに超えた量をアキトは投与されていた。

すでに体の隅々まで行き渡ったナノマシンを取り除くのは不可能に近かったし・・・・

内臓までぼろぼろになっているアキトの体をなんとか持たせるためには、皮肉にもその

ナノマシンの力が必要だった。

「詰まるところ、手術は可能。五感の補助もエニアにしてもらえば問題無し。

 ただ・・・・アキトの体が持つかって事ね」

「俺は大丈夫だ。とりあえず火星の後継者を根絶やしにするまでは生き長らえて見せるさ」

「自己犠牲はあんまり好きじゃないけど・・・アキトの場合はそれだけ生きていられれば

 御の字だからね。で、いつにするの?」

「できるだけ早くしてくれ。何なら今からでもかまわない」

「それは私がかまうわよ。準備はできてるけどアキトの体調が万全のときに手術はしないと・・・」

「なら明日でかまわないか?」

「OK。じゃ、ゆっくり休みなさい」

そう言うとミズキはアキトの部屋を出て行く。

 

ドサッ

アキトはベッドに仰向けに寝転がる。

バイザーを通して映る天井は、ナデシコ時代のものを彷彿とさせた。

他人が見ればただの無機質な天井にしか見えないだろうが、何となくアキトにはそう思えた。

(ラピスの奴、大丈夫かな・・・)

ふと、薄桃色の髪をした少女のことを思い浮かべる。

ラピスを救出して間も無い頃は、うなされて目覚めてしまうラピスを寝かしつけるのが

アキトの日課だった。

何しろ、アキトとエリナにしか懐かなかったために世話をできるものが限られていたからだ。

おかげで睡眠時間はろくに取れなかったが、偶に見せるラピスの健やかな寝顔は、そんな

アキトの疲れを吹き飛ばすのに充分だった。

そんな辺りはアキトもしっかり親ばかをしているかもしれない。

(親父もお袋も・・・・・こんな感じだったのかな・・・)

今は無き肉親を思い浮かべるとアキトはなんだかおかしくなった。

こんな俺でも親はいたんだな、と・・・・・・。

波のような眠気がアキトを襲い始め、アキトもそれに逆らおうとはしない。

(もう・・・・・・・・・、何年も墓参りに行ってないな・・・。

 怒ってるかな・・・・・親父と・・・・・・お袋。

 そういや・・・・自・分の・・墓・・・・・・・・・・・・)

「す〜、す〜・・・・・・」

意識が闇に沈み眠りにつく。

癒える事の無い体を休め、晴れることの無い心の闇を落ち着かせる一時。

 

 

 

 

 

アキトは気付いていないが、まだラピスがアキトと共に寝ていた頃。

ラピスの何よりの楽しみは、普段とはまるで違う穏やかな表情を見せる

アキトの寝顔だったそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日






「ん?準備はできてるわよ。じゃ、始めよっか」

いつものように食事をレーションで済ませると、アキトは早速医療室へと向かった。

「どれくらいで終わる?」

「そうね、大体四時間って所かしら。もっともアキトには麻酔をするから目覚める迄に・・・

 半日ぐらいかな?」

アキトはしばしの間思案顔になると、ミズキの方に顔を向ける。

「・・・・・その間ユーチャリスは頼んだ」

「任せなさい」

ミズキは微笑しながら答えた。

そして、アキトの手術が始まる。

 

 

 

 

 

 

アキトの全身に麻酔が回ると、死んだようにぐったりとする。

「さてと・・・・・・・・始めるか」

先ほどとは打って変わって真剣な表情になる。

実のところ、手術そのものはエニアのサポートがあれば左程困難なものではなかった。

ユーチャリスのデータバンクにはイネスが研究していたナノマシンのデータが残っており

エニアだけでもかなりの治療が可能だ。

実際、先日のミズキの治療のときはエニアが治療の殆どを行った。

しかし、今回の懸念材料はアキトの今だ働きが解明されていないナノマシンにあった。

最悪、手術の際に何らかのナノマシンの働きでアキトが死ぬ可能性もある。

データを信用するなら直接人体に害を与える目的のナノマシンは無いらしいが、だからと言って

無条件に信用はできない。

第一、そうであればそもそも発作など起きはしない。

未知の症状に対し、専門の知識を持つものが必要なのだ。

「エニア、始めるわよ」

『了解』

ミズキは、手早くチューブをアキトの体に繋げる。

『血液循環、開始します』

人工心臓により、血液を一端体の外に出し再び体に戻す。

その際、微弱な信号を流し目的のナノマシンを見つける。

そこからがミズキの本領発揮だった。

「・・・・・・・・・・・・・・・見つけた」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふう〜〜〜〜〜〜〜。疲れた・・・・・・・」

『お疲れ様です、ミズキ様』

手術は成功した。

途中の発作にはさすがのミズキもひやひやしたが。

ガチャガチャガチャ、キュイ。

「お、ありがと。気が利くわね」

エニアが艦内用のバッタにドリンクを持ってこさせた。

普段は気に掛ける事の無いバッタだが、こうして見ると結構かわいいとミズキは思う。

「しかし、アキトの体も大した物ね。結構体力は落ちてるはずなのに」

『・・・・・・それはミズキ様もです』

「私なら平気よ。経験者なもんでね」

『どうであれ、もう少しご自分の身体をいたわって下さい』

「べっつにあれぐらい・・・・」

『もう少しでパルス逆流を起こすところでした』

「・・・・・・・・まじ?」

体温が下がったように思えたのは冷えたドリンクのせいだけではなかっただろう。

「まあ、終わったことだし別段問題無いわね。それじゃあ、私は疲れたから部屋で眠るわ。

 アキトが目覚めたら起こして頂戴」

『了解』

 

 

 

 

 

 

 

 

ピーーーーーー!

『マスターの体温低下。これ以上下がると生命維持に問題が生じます』

「チッ、エニア!内臓摘出準備、私が指示した部位を切りとって!」

途中まで手術がうまくいったものの、状況は一変した。

恐らく環境適応ナノマシンの一種だろう。

アキトの体温が急激に下がり始め放って置けば零度近くまで体温は下がる。

まさに一分一秒を争う事態だった。

『内臓摘出、開始します』

「一々報告するな!さっさとやれ!」

ミズキのIFSの輝きが増し、黒瞳から光が溢れる。

と、新たにナノマシンが反応する。

「今度は一体・・・・・・新陳代謝の高効率化!?くっ、次から次へと!

 体温の急激な変化はまずい・・・・!他のナノマシンが・・・!」

『ナノマシン密集部位の摘出完了』

「だったらさっさと止血する!!!!」



ナノマシンのデータ書き換えは迅速に行われたが他のことに時間を取られ始め追いつかなく

なっている。

(過剰投与されて無ければすぐに終わるのに!)

もはや愚痴っている暇も無かった。

ギリギリのところで暴走を止め、目的のナノマシンにのみデータ書き換えをし、

また暴走を止め・・・・。

神経をすり減らしながら、ミズキは時間と戦っていた。

 

そして――――――

『心拍数上昇。発作です』

「言われなくても分かってる!」

目の前のベッドに横たわるアキトの身体が、強力な麻酔をしているにもかかわらず

痙攣を起こしている。

「・・・・っが・・・・ぎぃ・・・・!!!!」

アキトが呻き声を上げる。

無意識下での行動。

アキトは身体中を駆け巡る激痛と、どうにも出来ないもどかしさと戦っていた。

「エニア!アキトの体を拘束して!」

『了解』

アキトの身体がベッドの四隅に固定される。

しかし、アキトは激痛から逃れるかのように身体をひねる。

「ぎっ・・・・・あああぁ!!!」


ミシッ


アキトが暴れ、ベッドが軋む。

「麻酔もう一本!鎮静剤も!」

すぐさまアキトの身体に無針注射で麻酔と鎮静剤が投与される。

しかし、すぐにまたアキトは暴れ出す。

「がはっ・・・・・・があああああああああ!!!!」

口の端から泡を吐く。

瞼の裏の瞳はすでに白目を向いている。

神経を伝うことの無い、脳に直接伝わる激痛。

逃れることを許されない、地獄の業火。

(アキトがショック死するのが早いか、気が狂うのが先か・・・・)

「ひぎっ、があああっ!!!ああああああああ!!!」

アキトの悲鳴がICUに響き渡る。

先ほどから何度も麻酔と鎮静剤を打つが、効果は大して挙がっていない。

それどころか、間隔がだんだんと短くなっていく。

ギッ、ミシ!

一トンまで耐えられる筈のベッドが悲鳴を上げ、アキトはさらに苦しむ。

先ほど内臓を摘出した部分から血が滲む。

筋肉が傷を塞ぎ、それを上回る力で筋が千切れる。


ミシィ!!!!


ベッドの軋みと似たような音を、今度はアキトの身体の中から聞く。

(ナノマシンの暴走・・・・。この際、仕方が無い・・・か)

ミズキの決断。それは――――――――

「エニア!私とアキトの脳を直でリンク!!!」

『ミズキ様、それは・・・・』

「マスターが死んでもいいのか!!!エニアのスペックじゃ捌き切れない!」

『・・・分かりました』

控えているバッタが、ミズキとアキトの頭に同じコードを繋ぐ。

それは蜘蛛の糸か、戒めの鎖か。


ドスン!


アキトの身体は、突然暴れるのを止めて深い呼吸をする。

対照的に、ミズキは自分の拳を血が出るほどに握り締めた。

「ふ・・・・が、あああああああああ!!!!!!」


ダン!!!


ミズキがコンソールを叩きつけ、そのまま硬直する。

「さっさと・・・・・・・終わらせるわよ・・・・・・・!!!!」

脂汗を床に垂らしながらも、ミズキはコンソールに手を置きナノマシンを働かせる。

掌から滲み出る血が手の跡を残す。

ナノマシンが光る。

身を引き裂く激痛に耐えながら。

「ああああああああああああああ!!!!!!」

(負けないわよ、父さん!!!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う・・・・・・・・・・ん・・・・・・・・・」

目覚めるとそこはいつもの見なれた天井だった。

『おはようございます、マスター』

「エニア・・・・・・。そうか、成功したんだな」

『体温脈拍共に正常。何処かおかしいところは在りますか?』

「体がだるい・・・・・」

右手を軽く挙げるが、何処と無く反応が鈍い。

『麻酔と手術のせいでしょう。しばらく休めば治ります』

「俺が寝ている間、何かあったか?」

『何もありませんでした』

ふう・・・・、と一息つく。

別段力が入っているわけではないが、張り詰めていたものが取れたように感じられた。

自分が寝ている間に、ユーチャリスが沈んでいたなど洒落にもならない。

そういえば・・・・と。

「ミズキは?」

『ミズキ様はお部屋でお休みになられています。マスターが目覚めたら

 起こすようにと仰せつかっていますがいかがいたしましょう』

「しばらくは寝かせておいてやれ」

『了解』

頭の芯がぼぉっとするが眠くは無かった。

何となく横に体の向きを変えるとかすかな痛みが脇腹に走る。

「エニア?少し脇腹が痛いんだが・・・・」

『予想外の事態が起こったため内臓摘出を行いました。一部ですので機能に問題はありません』

「そうか」

大して気になるほどのものではないが、わざわざ痛がることも無いので再び仰向けになる。

ぼ〜っと天井を見つめていると手術の目的を思い出した。

成功したのは聞いたが、やはりこういうことは試してみるものだ。

(・・・・・・・・・・ラピス・・・・・・・・・・)

いつものようにリンクに働きかける・・・・が、返ってくるものは何も無かった。

(すまない、ラピス)

今度はリンクにではなく自分の心に残るラピスに語りかけた。

 

 

プシュッ


圧縮空気が開放される微かな音と共にミズキが部屋に入ってくる。

「断りも無しにいきなり入ってくるな」

「ふ、何を言ってるか病人。患者は医者の言うことを聞くものよ」

「その事と部屋にいきなり入ってくることに因果関係は無いだろうしそもそもお前は

 医師免許なんて持ってないだろう」

「エニア、麻酔用意」

『・・・・・・・』

「エニアが困ってるぞ」

まったくこれが患者の姿かとミズキは思ったりしているが、そのミズキ自身

似たような姿を見せている辺りどっちもどっちだった。

むしろ肉体的なダメージが大きい分、ミズキの方が性質が悪い。

「ふう・・・で、具合はどう?悪くても恨むのはエニアにしてね」

「なら言う必要無いだろう」

即答。



沈黙。


「・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・」

「で、具合は?」

「銃を突き付けながら聞くのは脅迫と言わないか?」

何処から取り出したのかネルガル社製の銃をアキトの額にポイントする。

ミズキ曰く、精度は良いがサプレッサーの性能がよすぎて手応えがいまいちの代物だ。

「脇腹が少し痛むが後は問題無い。体がだるいぐらいだ」


チャッ


再び銃が何処かに消え失せる。

「ん、よろしい。アキトだしもう動き回っても大丈夫。ただし保証はするけど保障はしないわ」

聞いただけでは理解できないが、エニアが気を利かせて文字で表示する。

それをアキトが見つめる。

「責任は取らないってことか・・・・?」

「ユーチャリスはアキトのものだし、エニアの責任はアキトの責任ね」

「確かに頼んだのは俺だが・・・・」

何か違う、と思いながらも反撃できない。

とりあえず動いても大丈夫だと言われたわけだし、ベッドから抜け出す。

一瞬立ちくらみがしたが、とりあえずブリッジに向かった。

 

「さて、残党狩りを続けるか・・・・」

「一昨日みたいにうまく行けば良いけどね」

一昨日の戦闘では、完全に奇襲作戦が成功したためこちらに被害は殆ど無かった。

無論、アキトの腕があったからこそだが。

ミズキはラピスの代りのような事をしていたが、戦闘そのものには手を出さなかった。

「今度は私がサレナで出ようか?」

「俺には、サレナは動かせてもユーチャリスは無理だ」

「つまんないわね〜」

「ならバッタでも操れば良いだろう」

「う〜ん、ま、考えとくわ」

アキトは艦長席に、ミズキがオペレーター席についた、その時だった。

『ボース粒子増大、戦艦サイズの物体がジャンプアウトします』

「何!?」

「・・・」

 

 

 

 

 

 

 

「やっと見つけましたアキトさん!さあ、一緒に帰りましょう!!!」

「アキト!見捨てないで!」

 

 

 

 

 

 

 

後書き

藍染児:今ふと思う。アキトの両親の呼称は『父さんと母さん』だったような気がする。 
ミズキ:あ〜、ま、いいんじゃない。
藍:それにしても手術シーンなんて誰が見るのかね?
ミ:ナノマシンのリンクを切った。の一行でこの話は終わっちゃうわよ。
藍:それは言っちゃいかん。
  それに、あまりにグロかったんで書きなおしたら内容が半分ぐらいになったし。
  う〜ん未熟未熟。
  おまけにアキトはあんだけ麻酔やら鎮静剤やらを打ったというのに・・・化け物だ。


特別コラム<ナデシコワールドにおける、技術的釈明>
ミ:釈明?
藍:元々机上の空論の技術ばっかりだし矛盾してても許してねって事だ。
ミ:確かに、ボソンジャンプなんて典型だしね。でも、無いと作品が成立しないし。
藍:と言うことで今回はナノマシンについてだ。
ミ:これに関してはあんた専門外でしょ。
藍:う〜ん、でも手術シーンを書いた以上説明しないわけには・・・。
  ただ長いしうざいし読まなくても全然問題無いです。矛盾だらけだし。
  手術シーンが激減したための、行数稼ぎに見えなくも無い。
  
〜アキトの手術方法〜

今回ナノマシンの手術シーンが出てきていますが、実際にはこんなことしないでしょう。
っていうか知りませんし。・・・いきなり躓いてるな。
以下の文は、無知な作者の妄想によるものです。
決して信じたりしちゃいけません。
大嘘です。

アキトの体には大量のナノマシンが投与されており目的のナノマシンだけを
選択するためには、血液を一旦外に出す必要があったんです。
ただし、この時データを変更したナノマシンは直接ラピスとリンクしているものでは
ありません。ナノマシンを制御するためのナノマシンです。
意識を伝達する・・・、つまり電気情報を伝えるためには脳にナノマシンがなくてはなりません。
これは、ラピスが五感のフィードバックを行っていることからも推察できます。
ならそれを摘出すれば良いじゃないか、そんな簡単にはいきません。
作中でもミズキが愚痴っていましたが、アキトは異常といえるほどのナノマシンが
投与されている、そしてそれは脳も同様でしょう。
ナノマシンはその構造上、大量のデータを保持することは不可能です。
何しろサイズの単位がナノですから。
単純な目的しか果たせない、そういった欠点を改善するために
この作品では、ナノマシンはいくつかのグループに分かれており、組み合わせのパターン
によって様々な働きをします。その中の一つに自己防衛プログラムも含まれていることにしときましょう。
とにかくプログラムを分散させたために、容量を(擬似的に)増やすことには成功したが、
その分ナノマシンの欠損が多くなると目的を果たせなくなる可能性もあるのです。
それを防ぐために自己防衛プログラムが存在し、データの引継ぎをするのです。しかも無理やり。
こうなると、後は回りの関係無いナノマシンがその引継ぎに巻き込まれ次々と誤作動を起こし始め、
最終的に発作が起こるわけです。
発作が定期的に起こる理由に付いては、ナノマシンには自己診断プログラムが存在していて、
これは、先ほどの強引な引継ぎ作業をもとどうりにするためにあります。
ええ、無理やり。
後は悪循環が始まり発作の周期が短くなっていくというわけです。
話が逸れましたが、脳にあるナノマシンを摘出しようとすると一体何が起こるかわからないのです。
他の場所でも同じですが、脳は人体の中でも特に複雑な器官であるためそこまでのリスクは犯せない、
と言うわけです。
ちょっと待て、内臓摘出してたじゃないかって突っ込みはあるでしょうが、あくまでこれは
最終手段だったのです。
本来なら使わないほうがよかったのですが、原因を根本から改善するためには仕方ない処置でした。
勘がいい方ならお気づきになられるでしょうが、この処置はもちろんアキトの命を縮めます。
アキトはミズキに説明をきっちり受けましたから事前に承知してるんです。

要はナノマシン投与は不可能だということで。

それで、血液を一時的に体の外に出しグループをまとめる司令塔の役割をしているナノマシンの
データを書き換えたと言うわけです。摘出よりははるかに安全ですから。
ナノマシンによってナノマシンのデータの改竄、もしくは消滅をさせるという手も在りますが、
アキトの体にこれ以上ナノマシンを投与するのは死んでくれと言ってるようなものです。
イネス博士も散々悩んだようですが結局は五感を取り戻すためにナノマシンの投与をしてしまったのです。

 

 

 

藍:嘘八百億。
ミ:そう思うなら発表しなけりゃよかったのに。
  こういう無駄なことばっか考えてるんだから・・・。
藍:ん〜〜〜〜、この説明は、この作品のみ有効ですのでああそうなんだで終わらせてください。
  そんなに深く考えないでもいいです。
  ボソンジャンプについてもそのうちやるかもしれません。
  ・・・・え?どうせ読まない?
ミ:無駄な物好きの作者ねえ・・・・・。

 

 

 

代理人の感想

 

しっかり読みましたよ〜(笑)。

こう言う風に理屈をこねくり回すのは私も好きなので楽しませてもらいました。

手術のシーンですが、まあグロくてもそれはそれで良かったんじゃないかと思います・・・・・

R指定にはなったかもしれませんけど(爆)。

 

 

・・・・しかし、最後の最後にアレとは実に卑怯なヒキですな(笑)。

まあ、同時投稿ですから事実上前後編みたいなものですが(^^;