時の流れに after story
 
『ダブル』とは関係ありません。
 
ピコン、ピコン、ピコン、ピコン、ピコン。
「・・・ウーン、どうやら気を失っていたようだな」
【気が付かれましたか?アキトさん。通常空間に復帰しました。現在位置判明、火星ユートピアコロニーのセントラルブロック跡です】
「オモイカネ、時間軸は判るか?」
【我々が月近辺のチューリップからボソンジャンプしたときから1秒も経過していません】
「ということは、時間の経過だけ見れば俺達はチューリップからここにジャンプしたということになるのか?」
【ま、そういうことですね。でも、どうします?この艦】
「艦?・・・あーーーーーー!!!!!」
俺の大絶叫に漸くブリッジクルーが意識を回復した。
「アキトさん、どうしたんですか?」
「アキト、どうしたの?」
「テンカワさん、ジャンプ・・・失敗だったんですか?」
オペレーターズが聞いてきた。この3人は再起動までの時間が短かったようだ。
他のクルーはまだ微睡みの中にいる。ユリカに至っては未だ爆睡中だ。
「ジュン!どんな方法を使っても良いからユリカを起こしてくれないか?」
「無茶を言うなよテンカワ!こうなったユリカを起こすのはお前の役目だったじゃないか?」
「・・・そうだな、なら・・・最終手段を使うか」
その瞬間ブリッジの体感温度がマイナスになった。
「アー君、それはやっちゃダメ。枝織が最終手段を使って起こすよ」
枝織ちゃんが朱金の輝きを纏いながら言った。
「ファーア、よく寝た」
その瞬間ユリカは飛び起きた。
「さて、みんなが起きたところで状況をあらためて説明してくれ、オモイカネ」
【了解しましたアキトさん。先ず、ここは火星ユートピアコロニーのセントラルブロック跡です。
 ただジャンプできなかったわけではありません。
 現在の時刻は我々が月近辺のチューリップからボソンジャンプしたときから1秒も経過していません。
 つまり、ジャンプの事故で元の時間軸に帰ってきてしまったわけです。】
一応、みんな理解できたようだが、
「なーんだ、なら問題ないじゃない」
「ユリカ、もう少し考えてから発言してくれ」
「ん?どうしたの?」
【艦長、よく考えて下さい。幸い私は移植されてましたから問題ありませんがこの戦艦はプロトタイプナデシコCなんですよ。
 本来なら地球によって、ナデシコAに戻ってからジャンプするはずだったのに、そこをすっ飛ばして帰ってきてしまったわけです】
「そして、困ったことに再度ジャンプしたからといってあの世界に行けるとは限らないし、
 もし仮に行けたとしても今度は帰ってこられるという保証がない」
「で?アキト君の結論は?」
「それなんですがミナトさん、俺の考えではこれからのことを考えると今までのナデシコよりこっちの艦の方がルリちゃん達の負担が減るんでこのままいこうと思うんですが」
【アキトさん!いまだ有効射程圏外ですが木連無人兵器群、接近中です。これも索敵範囲が広くなったおかげですね】
「よし、総員戦闘配備!ナデシコ前方は俺。右翼にナデシコ中隊、左翼は優華中隊。後方に北斗、枝織ちゃん。・・・行くぞ!」
「…「了解(した)」…」
 
戦闘開始から5分
粗方の無人機は撃墜しましたが、リョーコさんとアリサさん、アカツキさんのエステバリスの動きが悪いです。
「イヤー、参ったねぇ。なんかこっちに戻ってから妙に機体の動きが悪いんだよねぇ」
「機体の動きが悪いと言うよりは・・・」
「オレたちの入力した動きに機体が付いてこれないって感じだよな」
そんなことを言っている3人を見る私達の表情がきついものになっていくのがわかります。
個人用にカスタマイズされたエステバリスのシステム管理は私達の仕事であり、今回はその仕事量が倍に増えてはいますし、特別な仕事が入っているのも確かなことです。
しかし、私達がその程度でミスなどするはずがありません。
表情険しくアカツキさん達を見ている私達に助け船を出したのは北斗さんでした。
「フッ、遂にその機体すら物足りなくなったのか」
「どういうことです?北斗さん」
私は堪らず声を挙げました。北斗さんの口調から考えるとどうやら私達のミスではないようですが。
「ホシノ=ルリ、こいつらはな、カスタム機を乗りこなしてしまったんだよ。
 乗り換えた頃は機体に振り回されていたようだが、それぞれが修行した結果、こいつらの実力がエステを追い抜いたと言うことだ」
正直な話、驚きました。確かにリョーコさんとアリサさんはもともとアキトさんに次ぐ攻撃力の持ち主と言われていましたし、
アカツキさんは隠してはいるようですが昂気を使えます。しかし、だからといってこの3人の実力がカスタム機のスペックを凌駕してしまうなんて。
「しかし、カスタム機にこれ以上のスペックアップは無理です。」
「そうだ、だがしかしカスタム機以上のスペックを持つ機体ならあるではないか」
「ですが!ブローディアやダリアをこれ以上開発するのは無理です」
「おいおい、俺達の機体をこれ以上作る必要はない。しかしブローディアの前身ブラックサレナ、こいつをカスタム機にあわせて制作すれば機体はレベルアップできるはずだ」
「ですがナデシコ艦内にパーツがありませんよ?」
「俺が今から行って、下にいる連中を助け出してくる。そうしたら戦線を突破し、極冠にあるネルガル基地を奪還。そこでパーツを制作すれば問題なかろう?」
「解りました。しかし、北斗さん独りでは収容できる人数に限界があります。こちらがヒナギクで出ることにしましょう」

ヒナギクで収容されたのは結局イネスさん、フィリスさん、タニさんとイネスさんの説得で乗艦を決めたイリサさんの4人だけだった。
かくしてボク達のナデシコはネルガル所有の極冠遺跡基地に到着した。
到着前にはここまでのボク達の戦闘を驚異に感じた木連軍無人兵器部隊の熱烈なる歓迎を受けたわけだけど、イリサさんが最終調整をして完璧に仕上がったカスタム機に敵うはずもなく、あっという間に殲滅してしまった。
そして、整備班の突貫作業によって、前衛3機のエステはサレナタイプに換装された。
ま、換装されたわけではあるんだけどねェ・・・カラーリングも変わらなければ、名前も変わらない。
かえってガイアと合体出来なくなった分、汎用性は下がったのかも知れない。
しかし、単機の性能を考えればその差は歴然だね。出力、機動性、装甲いかなる条件下においてもサレナがカスタム機に負ける要素は無い。
只一つ、水中での戦闘を除いては・・・。
「さて、テンカワくん今回はどうやって地球まで戻るんだい?
 このナデシコCなら単独ボソンジャンプが可能なんだし」
「いや、ここは大人しくチューリップからジャンプすることにしよう。単艦のジャンプはジャンパーへの負担が大きいからな」
「了解、艦長もそれでいいのかい?」
「アキトが考えた作戦は最善のモノです。私もそれでいいと思います」
「では、ワシは艦を降りることにしようかな」
「提督、前回は生き残れたのかも知れませんが今回も同様に行くとは限りません。どうかナデシコで地球へお戻り下さい」
「そうだな漆黒の戦神と呼ばれる君がいうなら、そうすることにしようかな」
「よし、ルリちゃん!付近にあるチューリップで使用可能なモノに向かってくれ!」
「了解しましたアキトさん、2時方向にあるモノが使用可能です。そちらに向かいます」
 
 
「ラピス、チューリップにハッキング。入り口を開かせろ」
「了解、アキト」
チューリップが開いていきます。
「各員、最終チェック、よろしく」
「光学障壁展開、通信回線閉鎖、生活ブロック準備完了」
「エネルギー系統,OK!」
「艦内警戒態勢、パターンBへ」
「フィールド出力も異常なし。そのほかまとめてオールOK!」
「フェルミオン=ボソン変換順調」
「艦内異常なし」
「レベル上昇中、6,7,8」
「ジャンプするぞ」
俺の号令の元、ボソンジャンプに入るナデシコ。
そういえば、元の世界のアカツキってなにしてるんだろう?
ジャンプ直前に俺は邪念を混ぜてしまった。
 
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<次回予告>
今度のジャンプはいったい何処へたどり着くのか。
 
「前方チューリップより大型物体が出てきます!」
「総員戦闘配備!」
「識別完了・・・・・・ナデシコです、いえ、ナデシコCです」
 
「やぁ、テンカワくん久しぶりだねぇ」
 
「「相転移砲、発射!」」
 
以上、次回予告でした。
 
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