ズドォォォォォォン

爆音。

「その年で、ACをそこまで使いこなすとはな…」

聞き覚えのある声。

そうだこれは…

「認めよう君の力を…今、この瞬間から君はレイヴンだ」

初めて、人を殺した記憶。

初めて、一人前の、ヒトゴロシになったときの、記憶・・・

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「なんで、いまさらこんな夢を…」

目が覚める。ハッキリ言って、最悪の部類の目覚め方だろう。

レイヴン…金次第で何でもやる戦場の烏。アリーナの英雄。この世界で、何者にも縛られず生きる傭兵。

そもそも、何で俺はこういう、日常、非日常の混在する生き方を始めたのか?

ヒトゴロシになる。ソレを決意した理由は何であったか…

HIRO願望?あこがれ?金?復讐?

遠い記憶、さび付いた記憶が思い起こされていく。

・・・・・吐き気がする。

紛らわすために、視線を時計に向ける。4時半。

「そうだ、仕入れに行かなきゃな…」

汗だくになった自分の顔を拭い、布団から出る。



ガチャ



クローゼットから、普段着を取り出す。

見慣れた服。硝煙の臭いのしない服。日常の…証。

俺は、さっと着替えると、部屋から逃げるように立ち去っていった。












車を走らす。今日は、割と良い物が手に入った。こういう日は気分がいい。

朝の夢のことは忘れられそうだ。


ウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥ

『……します。住民の皆さんは、速やかにシェルターへ非難してください…繰り返します。』

「非常警報?…ついてないなぁ」

コロニー全体に、避難勧告が鳴り響く。

また、どっかの誰かがドンパチを始めたのだろう。迷惑なことだ。

ここで、俺の向かうべき道は二つ。

ここで避難所に向かい、コックとして、日常を選ぶか。

ガレージに向かい、レイヴンとして、非日常を選ぶか。

「俺は…コックだ」

俺は日常を選んだ。

朝の夢のこともある。とにかく、今は、日常に身を委ねたかった。




避難所についた俺を待っていたのは、何時にない、物々しい雰囲気。

気になって、俺は近くの人に尋ねることにした。

「あの、いったい何事ですか?」

「ああ、ソレが、こっちにもよく解らないんだ。無人兵器がどうたらこうたらで…」

無人兵器?いつもの、企業間のドンパチじゃないのか?

「ん?」

ふと、視界に不安そうな表情をした、10歳前後の少女が映った。

この雰囲気に耐えられないのであろう。

俺は先ほど仕入れたミカンを持って、少女の元へ向かう。



「ほら、不安そうな顔しない。そんな顔してると美人が台無しだぞ」

そういって頭を撫で、ミカンを渡す。

「甘くておいしいよ。食べてごらん」

少女は一切れ、口に入れる。

少女の顔に笑みが戻る。

「ありがとう。お兄ちゃん!!」

「すみませんねぇ…オレンジいただいちゃって」

ミカンなんだけどな・・・

「お嬢ちゃん。名前は?」

「アイっていうの!大きくなったらお兄ちゃんのお嫁さんになる!!」

顔がほころぶ。

「期待して待ってるよ」

そういって、立ち上がる。

何時の間にやら、兵士達が隔壁の方へ集まっていた。どうやら開けようとしているようだ。






バスン!




ズン!






「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

劈く悲鳴。どうやら、ここまで無人機が突破してきたらしい。

「もうだめじゃぁぁぁ!!」
「上は何をやってるんだ!!」

パニックになる周囲。それに対し、冷静になっていく自分。

アレは、それほどパワーがある訳じゃなさそうだな。なら!

「コイツで、動きを止める!」

俺は車に乗り込み、体当たりを仕掛ける。



     ドゴゥ


無人兵器は、車により壁へと叩きつけられる。が、まだ、完全に動きを封じられたわけではない。

「しつこいのは嫌われるぞ!」



   ガキン



持っていたナイフで、カメラアイに斬りつけた。ソレにより完全に機能を停止する無人機。

周りからは驚きと、賞賛の声が挙がる。

「たぶん、これが来た通路から、また新しいのが来ます!

脱出路の確保を急いで!」

「あ、ああ!」

こっちの隔壁、ひらいたぞー

誰かが、そんな声をあげた。瞬間、





ズドオォォォォォォォン








爆音と閃光。次に目を開けたとき見たのは、見る影もないシェルターと、無人機の赤い瞳。


子供の頃に見た…赤い・・・うつぶせになったまま、動かない両親。



「・・・・うおおおおおぉぉぉぉぉ!!!」



慟哭。
思い出したくない記憶が掘り起こされる。



瞬間。世界が虹色に塗りつぶされた。





あとがき

初めまして、アモー(AMMO)というものです。
クロス再構成モノで挑戦するという無謀をかましております
アマコア2やっているときに「これ、ナデシコとすりあわせられるよなぁ」とか思ってたのですが
そういうSSを一つも見なかったのでやってみた次第です。

やってみると、ACとエステバリス、両方の折り合いをどうしようかと、アキトをどうするかの二点が異様に難しいことを知りました。
結局、ナデシコの世界観をベースにACキャラを出す形にしていくつもりです。
アキトだけはACの世界観に染まりそうですが…


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代理人の感想

これが、若さか・・・・・・・。

いやなんとなく(爆)。