機動戦艦ナデシコ 新たなる目覚め
  第四章 正義も悪も嫌いです


「さてと、予想より大分遅くなったけど、ナデシコにおける初戦闘。行くよアーサー」
『イエスアテナ!我らの力、今此処に示しましょう!』
 示しましょうって、
「分かっているとは思うけど、ルリとラピスはいないし、フルモードは使わないよ?」
『理解しています』『アテナ、ノリ悪い』
 AIにノリが悪いって言われる日が来るとは思わなかったな。
「まあいいけどね」
 一度大きく息を吸って、
「アテナ・グリフィス。カリバー、参ります!」
 聞く相手はいないけど、発進前にはこれを言わないといけないらしく、私は毎回ちゃんとこれを言っている。なんでもパイロット間での『お約束』というものらしいのです。
「アーサー、状況は?」
 クロッカスとパンジーは見当たらないから、もうチューリップに呑み込まれたんだろうけど、人的被害とかは分からない。
『チューリップはクロッカスとパンジーを呑み込んだみたい』『現在トビウメに向って進行中』『人的被害は零』
 良かった。
「それじゃあ、行くよアーサー!」
『イケイケ、ゴーゴー!!』
 一気に加速してチューリップを眼前に捉えます。
「行きます!」
 イミディエットナイフを両手に持ち、アーサーが示してくれたある一点を狙います。
「我流 疾風」
 その一点だけをこれでもかって位に斬りつけます。普通なら大きなチューリップに対してこれぐらいじゃ何も意味を成さないのですが、私の場合はちゃんと意味はあります。
 ピシッ
 始めにしたのは軽く何かが割れる音。
 ピシッ、ピキピキ
 続いてそれが連続したものとなり、最終的には、
『チュ、チューリップが割れる!?』
 その誰かの言葉通り、たった一ヶ所を斬りつけただけでチューリップは粉々に割れました。
「アーサー」
『チューリップの完全破壊を確認』『カリバー、トビウメ、ナデシコ、全て被弾無し』『人的被害零』
 そう、なら、
「技の精度はどう?」
『前のデータとの比較でいいの?』
「うん、お願い」
『了解』『射程±0、速度+0.5%、威力+1%、正確性−0.3%』『総合して問題無し、ちょっぴり強くなったかな?と判断』
「ありがとう」
 シートにたいしてない体重をかけて、空を仰ぎ見ます。
「『戦乙女』か…………」
『どうしたのアテナ?』『帰還しないの?』
 帰還。ナデシコに帰還。でも、それは。
「艦内の様子分かる?」
『ちょっと待って』『オモイカネに聞いてみる』『リンク中リンク中……』
 芸が細かね。まさかこんな成長するなんて。
『どうしたのアテナ?』
「艦長達は何してるの?」
『さっきの崩壊音で皆状況を理解』『自分の持ち場に戻っています』『テンカワ・アキトさんも五体満足でエステバリスにて待機中』『結局逃げ切った』『ちっ』『気付かなくってごめんなさい』
 あの体で逃げ切ったんだ。凄いな彼。
「ありがとうオモイカネ。後気にしないで。私との約束を守ってくれただけでしょ」
『でも…………』
 もう、この子も頑固なんだから。
「それ以上言うと嫌いになるよ?」
『了解』『もう気にしない』『嫌いにならないで(泣)』
 こういう反応は可愛いいいんだから(苦笑)
「ならないよ。今から帰還するから待ってて」
『分かった』『又後で』
『リンク終了』
 さて、オモイカネにああ言ったし、帰還しますか。カリバーをナデシコに向けて進めさせながら、私はアーサーに声を掛けます。
「ねえアーサー。もし、私が自分で言うのもなんだけど、私が美少女じゃなくって、普通の女性だったらなんて言われたと思う?」
『『戦乙女』の代わりに、という事?』
「うん、そう」
 なんて答えるかな?
『分からない』『想像つかない』
「そっか」
 残念。まだそこまで成長が至ってないのね。
『どうして?』
「ただちょっとね」
 そこで言葉を切ってアーサーの反応をみてみる。反応は無し。続きを促す事もしない。こんな所はAIだなって思う一方、心地よく思えるのです。
「多分ね『化け物』って呼ばれていたんだろうな」
 わざわざウィンドウに『………………』って出して考え中ってアピールするAIって。オモイカネもそのうちこうなるのかな?
『分からない』『何で容姿でそんなに違うの?』『アテナはアテナでしょ?』
 そう言ってくれるから嬉しくもあり、悲しくもある。でも、そんな事は表に出しません。
「ありがとうアーサー」
『お礼はいらない』『ただ思った事を言っただけ』
「それでもありがとう」
 さて、もうすぐ格納庫だね。質問攻めは覚悟しておきましょうか。


「オーラーイ!オーラーイ!よーし!そこでOKだ!」
 ウリバタケさんの声に導かれてカリバーを所定の位置に戻します。
「アーサーお疲れ様」
『アテナこそお疲れ様』
 そのAIらしかぬ返事に少し苦笑を零して、私は外に出ました。
「お疲れ様アテナちゃん。それとアテナちゃん一人に全部任しちゃって悪かった」
 最初に声を掛けてきたのは彼じゃなくってウリバタケさんでした。
「確かにいつ何が起こるか分からない環境で持ち場を離れるのは感心しません。もし、カリバーの整備がしっかりしていなかったら私は死んでいたかもしれません」
「面目ねえ」
「けど、流石ウリバタケ・セイヤさんとその部下達です。普段から整備を怠らずやって下さっているので、私は安心してカリバーに命を乗せる事が出来ましたし、カリバーもそれに応えて下さいました。その点は感謝してもし足りない位です」
「へへ、なんかアテナちゃんにそう言われると照れくさいな」
 なんでそうなのですかね?
「にしても、よくエステでチューリップ落としたな。アテナちゃん用に色々と設定はしてあるようだけど、能力は殆ど変わりは無い筈なのに一体どうやったんだ?」
「あれは私が凄いのではなく、アーサーが凄いのです」
「アーサーって、カリバーに搭載されているAIの事だよな」
「はい。彼女さえいれば他のナデシコパイロットもチューリップ位なら落とせます」
 これは本当。皆さんの能力は書類等で確認済みだから言える事。黒い人に関しては確かめるまでも無いでしょう。
「アテナ」
 あ、噂(?)をすればなんとやら。
「あ、はい。何でしょうかアキト様?」
 少しばかりか頬を赤く染め、後ろにいた黒い人を見上げます。
「っ…………」
 一度何かを言おうとして口を開きましたが、何か諦めた様に溜め息と共に肩を落としました。
「どうしました?」
「いや、気にするな。ユリカが呼んでいる。ブリッジに行くぞ」
 そう言って彼は先に歩き出しました。
「あ、はい。
 それではウリバタケ・セイヤさん。カリバーの事お願いします」
 一言だけ声を掛けて、私は黒い人をおいかけました。


「映像と音声を「カットしてあります」…………どういうつもりだ?」
「何がでしょう?」
 主語を抜かないで下さい。こっちには心当たりが幾つもあるのですから。
「ブリッジでの態度だ」
 ああ、それね。
「恋する乙女」
 少し殺気が漏れていますよ。
「本当の事を言え」
 とは言われましてもね。
「ただの悪ふざけです」
「何?」
「すみませんでした。まさかあそこまで大事になるとは思ってもいなかったもので」
「いや、もういい」
 こんな少女に謝られたら、怒りも持続しませんか。
「それにしても、よく逃げ切りましたね」
「ああ、俺も驚いた」
 右手を掲げて、握ったり開いたり。
「火事場の馬鹿力というやつなのかな」
「貴方でしたら一ヶ月ほどで未来と同等かそれ以上の身体を作れる筈ですよ」
「どういう事だ?」
「私の経験からの推測です」
 一度言葉を切って、意味も無く隣を歩く人の顔をちらっと見ます。
「この身体では木蓮式を使ったとしましても、相手が同じ遣い手だった場合リーチ差等で私が負けるのは目に見えています。だから違うものを考える必要がありました。それを考えるのに一ヶ月、さらにそれを修正しながら習得するのに一ヶ月半掛かりました」
 そこで口を閉じ足を止め、隣の人と目を合わせました。
「だから知識と経験を持っている貴方ならそれ位で出来ると思うのです。仮にその期間で出来なくても火星に着くまでには完成する筈です」
「なるほど。その情報は助かる。
 それで、さっきチューリップを落としたのは君のオリジナルか?」
 やっぱり気になりますか。
「詳しい事はブリッジで話しますが、それは正解でもありますが不正解でもあります」
 どうせブリッジでも同じ事聞かれるのですから、余計な説明は省きましょう。
「正解であり不正解?」
 この人は身体よりも頭を鍛えた方がいいのではないでしょうか?
「まあいい。それより、ムネタケが反乱を起こしていないようだが何故だか分かるか?」
 分かりますよ。私の下準備のおかげですから。
 止めていた足を前に向けて進めながら口を開きます。
「貴方が来る前から色々やりましたからね。その一つが実を結んだ結果です」
「何をした?」
 それ位の時間はありますね。
「私は目覚めてからネルガルに身を寄せていました」
 彼は余計な事は言わずに黙って聞き手に回ります。そうですよね。彼にとってアカツキさんは親友でしたね。相手が知らないとはいえ、気になるのでしょうね。
「アカツキさんならなんら変わりありませんよ?」
「…………そうか」
 ……何で私……?
「私はそこでパイロットととして軍と共同作戦を何度かやりました。詳しい過程は飛ばしますが、結果私は嬉しくない二つ名付きになりました。けど、私はこんな容姿ですから大半の方は信じていなく、信じているのは実際に私を見た一般兵の方と一部目が確かな上層陣だけです」
 それは別にいいのですけどねっと息を吐きます。
「腐っているのか」
 その呟きは怒りを押し殺すあまりにひどく無機質なものに聞こえました。
「ええ。ドロドロのぐちゃぐちゃです」
 例えとしてこれでいいのかよく分からないですけど、まあ、言いたい事はきっと伝わったでしょう。
「それでその腐った上層部が貴方の知っている通り副提督にナデシコの監視・拿捕を命令、私が乗っている事を知っていたミスマル・コウイチロウさんが絶対の失敗を副提督に保障、副提督やる気を無くすっていう流れです。まあ、やる気を無くしたと言いましても一人でブリッジには来ているのですけどね」
「一人で?あのムネタケがか?」
 納得できる驚き方ですね。
「他の方達は鬼ごっこに参加していたようで」
「……どうりで妙に玄人らしい人がいた訳だ」
 それから逃げた貴方は凄いですよ。
「とりあえずここまでですね」
「ああ」
 もうブリッジまで距離はありません。
「あ、そうです。今度からこういう話をしたい時は普通に呼び出して頂いて大丈夫ですよ」
「何故だ?」
 察しが悪いですね。
「皆さんは私達の事を恋人関係にあると思っている筈ですからね」
 なら相手を呼び出しても、二人っきりで話をしても問題は無い筈です。彼が色々と妬まりたりするでしょうけど。
「…………悪ふさげじゃなかったのか?」
「使えるモノは使わなきゃ損ですよ」
 本当にただの偶然なのです。
「………………なあ、君は俺の事が大嫌いと言ったな?」
「?言いましたが?」
 何を言い出すのでしょう?
「なら何故ここまで色々な事を教えてくれる」
 不思議な事ですかね?
「情報、要らなかったのですか?」
「いや、そんな事は無い」
 なら気にしなくていいじゃないですか。まあ、言う分には問題なんか無いのですけど。
「貴方を嫌う事と自分の運命を変える事の手伝いをする事は別な事です。貴方の事が大嫌いだからと言って不正確な情報を渡したりなんかはしません」
 その言葉に彼は何も言ってきませんでした。
「後付け加えるのでしたら」
 ……何で私はこんな事言おうとしているんだろ?
「私も貴方と同様、心が弱いのです。先を知っているのが一人だけというのは思った以上に辛いです」
 その言葉に立ち止まってしまった彼を置いて、私は先にブリッジに入りました。
「お帰り!ってあれ?アテナ「お姉ちゃーーん!!」」
 何か言いかけている艦長の声を押しのけて、ラピスが私に飛びついてきました。
「わ、わ、どうしたのラピス?って、そんな顔したら可愛い顔が台無しだよ。ほら、顔上げて?」
 ハンカチで涙を拭いてあげながら、ラピスが泣き止むように髪の毛を撫でてあげる。
「一体何があったの?誰かに苛められた?」
「ちが、ヒック、ごめ、ざい、ック」
 ごめ、ざい?…………ごめんなさい?何で?
「何かラピスが謝らなきゃいけない事あったっけ?」
「私もありますよ姉さん」
 ルリも?
「私とラピスがここにいなかった所為で姉さんは一人でカリバーを操縦する事になったじゃないですか。私もラピスもそれを気にしているんです。どちらか片方でもいればって」
 まったく、何を謝るかと思ったら。
「あのねルリ、ラピスも。もともとカリバーは私一人で動かすものだよ?二人がいれば戦略としての幅は広がるけど、私はあまり二人にあのシステムをお願いするつもりはないんだよ?だって、オペレーターの仕事しながらあれやるのって凄く負担が掛かるんだよ?そんなのを私が二人に頻繁に頼む訳無いじゃん。
 それにね、チューリップ一つ位に負ける私じゃないよ?私の事もう少し信用してほしいな」
 二人の髪の毛を優しく撫でながら話しかけます。
「うん、わがっだ」
「すみません姉さん」
「ん、素直でよろしい」
 二人にニッコリ笑いかけてから、私は艦長の方に向きます。
「私に用事と言う事なのですが、その前に報告します。
 艦長以下乗務員全員でテンカワ・アキト氏を追いかけている間に、連合軍極東方面軍司令ミスマル・コウイチロウ氏率いるトビウメ、クロッカス、パンジーに遭遇。間もなく活動を再開したチューリップにクロッカス、パンジー両艦が呑み込まれるも、乗務員全員の脱出を確認。私は直ぐにカリバーで出撃、チューリップを撃破。以上です」
 思いっきり堅っ苦しく報告します。
「は、はい、ご苦労様です」
 思いっきり腰が引けてますね。
「それで、一体なんの御用ですか?アキト様によればミスマル・ユリカさんが私を呼んでいるとの事なのですが」
「え、えっと、その、あ、アキト〜」
 はい?あきと?
「俺にどうしろと」
 ああ、彼の事ですか。
「だって、だって〜」
 ああ、うるさい。あの人は本当に二十歳の成人女性なのですか。
「いい加減になさい艦長。貴方がそんなので一体どうするのよ」
 おお、副提督が艦長に対してそんな事を言うなんて。
「艦長がああだからあたしから言うわよ。
 アテナ・グリフィス。皆聞きたい事はおそらく一つだけよ。貴方が本当に『戦乙女』なのか、てね」
 ああ、それですか。
「貴方やフクベ・ジンさんから言ったらどうなのですか?」
「ここは本人の口から言わせるのが筋ってものでしょ?」
 まあ、そうなのですが。
「はあ、まあいいのですけどね。
 で、一体どうすればいいのですか?」
 ブリッジにいる方全員、いえ、艦内の人全員に聞きます。
「アテナちゃん、どうすればって?」
「聞き返しますがハルカ・ミナトさん。一体どうすればそれが私だと信じてくださるのですか?」
「え?それは……」
「私の口から肯定すれば信じますか?カリバーを見せれば信じますか?多分見たと思いますが、先程の戦闘記録にあるチューリップ撃墜の所を見せれば信じますか?」
 結局は信じるかどうかはその人次第という訳なのです。その人が信じないと思えば私は『戦乙女』じゃないし、その人が信じると思えば私は『戦乙女』なのです。
「あの、姉さん」
「ん?どうしたのルリ?」
「『戦乙女』ってなんですか?」
 それを知らない人もいたんだ。
「え!?ルリちゃん知らないの!?今一番有名なパイロットの二つ名だよ?」
「メグミ・レイナードさん!!」
 そこは触れちゃダメ!!
「大丈夫です姉さん。そんなに心配しないで下さい。
 それでメグミさん。私はずっと研究所にいましたので、そういうのには疎いのです」
「研究所?」
「それ以上は聞かないで下さい」
 好奇心が旺盛なのはいいですけど、これはダメです。
「それ以上はルリが許しても私が許しません」
「そうねメグちゃん。アテナちゃんの言うとおりよ。それ以上は好奇心だけで聞いていいものではないわ」
 流石ハルカ・ミナトさん。ルリや白鳥ユキナさんのお姉さん代わり成り足りた人だけはあります。
「ごめんルリちゃん、アテナちゃん」
「大丈夫です」
「私は別にいいです。
 それで、『戦乙女』の事ね。まあ、簡単に言えば軍の人が私に付けた二つ名。今地球上で唯一確認されているエステバリスでチューリップを落とせるパイロットの二つ名。正式には『聖剣を携えし戦乙女』。私自身はあまり好きじゃないんだけどね」
 軽く肩をすくめて見せます。
『何!!??嬢ちゃんが『戦乙女』だと!!!!????』
 うるさいです。
「さっきから皆さんそう言っている筈ですがヤマダ・ジロウさん?」
『ちっがーう!!それは仮の名前であって、魂の名前はダイゴウジ・ガイだ!!!!!!』
「足を骨折して出撃出来なかった人が魂の名前だなんて言わないで下さい」
『うぐっ、だ、だが』
「その名前で呼んで欲しいのであれば、それに相応しい働きをして下さい。ただの熱血バカは普通の名前で十分です。それから声が大きすぎます。少しは周りの事を考えて下さい」
 結構怒気を籠めて言いました。
『はい、すみません』
 ん、ようやく静かになったね。
「え、えっと、姉さん、何でそんな二つ名が付いたのですか?」
 あー、あまり憶えておきたくない事なんだけどね。
「お姉ちゃんが綺麗だから!」
 そんなに元気一杯に言わないでラピス。
「綺麗だから?どういう事かな?」
「あー……」
 周りを見渡して味方を捜すものの、そんな人は一人もいやしません。
「何でも私がカリバーから降りた時、日の当たり具合から汗とかが輝いて見えてひどく幻想的だったとかで。そこで戦う女神と言う事で『戦乙女』。カリバーの由来を知っていた方がおりまして『聖剣を携えし戦乙女』となったそうです」
 ひどく皮肉じみていますよね。もともと『女神』である私が『戦乙女』だなんて。
「カリバーの由来って?聖剣?」
 やっぱり知っている人はいませんか。何であの人は知っていたのでしょうね?
「やっぱり知りませんよね。アーサー王伝説という話があるのですよ。それに出てくる聖剣の名前がエクスカリバー。そこから名前を頂きまして機体名はカリバー、AIの名前をアーサーにしたのです」
 そして、ルリとラピスの力によって発揮されるのが“円卓(サークル)”、フルモードが……
「へ〜、でも何でそこから名前持ってきたの?」
 何で?……何でだっけ?
「えっと、特に理由は無かったと思います。多分その時に読んでいた書籍だったからじゃないでしょうか?」
「そ、そんな理由なんだ(汗)」
 今考えると色々と都合がいい偶然ですけどね。
「グリフィス君。一ついいかい?」
「はい、何でしょうかアオイ・ジュンさん?」
「あ、ごめん。二つに増えた」
「はあ、それは構いませんが」
 一体何でしょうか?
「まず、何で君はフルネームで呼ぶんだ?どう考えても面倒だし、コミュニケーションが上手くいかないんじゃないのか?」
 あれ?
「説明しませんでしたか?その人の名前の省略化は私の信頼の証。信頼していない人はどんなに長くてもフルネームで呼びます」
「ええ!?それじゃあ、アテナちゃんは私達の事信頼していないって事!?」
「この短い期間でどの様に信頼しろと?」
 聞いてきたメグミ・レイナードさんに冷たく返します。
「それじゃあ、アテナちゃんが信頼している人ってどれ位いるの?」
「ルリとラピスを除いて二人です。ちなみにアキト様は特別なので数えていません」
「あら?たったの二人なんだ」
 まあ、普通は意外に思いますよね。
「そういう事なので「嘘はダメだよお姉ちゃん」……ラピス」
 何でここでそういう事言いだすかな?
「どう言う事かなラピラピ?」
「お姉ちゃんが「ラピス」」
 普段はやらないけれども、かなり強めにラピスの名前を呼んだ。ラピスならこっちの意図は分かってくれると信じて。
「イヤ」
 意図は分かったみたいだけど、拒否されるとは。
「何で?」
「お姉ちゃんが孤立するのはイヤ」
 しかも私を心配して、ですか。これじゃあ、もう何も言えないじゃない。
「勝手にしなさい」
「えへへ、ありがとうお姉ちゃん」
 そんなに嬉しそうな顔をして笑わないでよ。
「い、いいのですかラピス?姉さんかなり怒っている様に見えますけど」
「大丈夫だよルリ姉。あれはお姉ちゃんの照れ隠しだから」
 別に知られて困る事じゃないけど(いや、恥ずかしいから困るかな)少し声を落とすとかしてくれないかな?
「照れ……隠し…………ですか?あれで?」
「うん!お姉ちゃん恥ずかしがり屋さんだから」
「姉さんが?」
 はい、そこで疑問に思わない。
「ルリ、ラピス。丸聞こえだよ。少しは声を潜めたりしなさい」
「はーい!」
「す、すみません」
 お互いに“らしい”んだから(苦笑)
「ねえラピラピ。一体どういう事かな?」
「えっとね、お姉ちゃんはフルネームで呼ぶ人の事を信頼していない訳じゃないんだよ。名前の省略化は、えっと、友達の上ってなんだっけ?」
「親友」
 聞こえるか聞こえないか微妙な感じでポツリと零します。
「ありがとお姉ちゃん」
 聞こえてましたか。
「えっと、その親友みたいに信頼の最上級を分かりやすくしたものなんだよ」
「それならそうと言ってよアテナちゃん!」
 メグミ・レイナードさんの言葉に私はそっぽを向きます。
「アテナちゃん?」
「さっきも言ったけど、お姉ちゃんは恥ずかしがり屋さんだからね」
 うるさいラピス。
「頬が赤いですよ姉さん」
 ルリ、貴方もなの。
「ふふふ、アテナちゃん可愛い」
「ええ、本当に」
 多勢に無勢です!ここは話を変えなければ!
「そ、それでアオイ・ジュンさん。もう一つの質問は何ですか?」
「え?あ、ああ」
 何を呆けているのですか!
「君はどうやってエステでチューリップを落としているのか聞きたいんだ」
 その質問によって和んでいた空気が緊張を孕んだものになりました。
「どうやってっと言われましても普通にですよ。戦闘記録は見ていらっしゃるのでしょう?」
 とりあえずは試してみます。
「君にとって普通でも、他の人からみればありえない事なんだよ」
 ありえないっね。
「どういう事なのジュン君?」
「ウリバタケさんにグリフィス君のエステの性能データを見せてもらったんだけど、彼女のエステは彼女用にカスタマイズされているけど基本性能は普通のエステと殆ど変わりないんだ。なのに彼女はチューリップを落とせる。これは異常じゃないのかな?」
 さて、どうしようかな?素直に答えようかな?
「副艦長」
 ルリ?
「副艦長といえども言ってはいけない事があります」
「なの!」
 ラピスも?…………あ、もしかして。
「言ってはいけない事?一体僕が何を言ったのだい?」
「姉さんは異常なんかじゃありません!」
「ないの!」
 あーやっぱりだ。
「速やかに前言撤回を要求します!」
「後、お姉ちゃんに謝るの!」
 なんて姉想いなんだろう。私も何かで二人の想いに応えなきゃね。
「あ、ああ、すまなかったねグリフィス君。異常って言ったのは取り消すよ」
「はい、確かにその言葉承りました。
 二人とも。ありがとうね」
 想われた事は純粋に嬉しかったので、自然と笑顔になります。
「い、いえ、私達が勝手にやっただけなのでお礼は……」
(こくこく)
 ふふ、本当に可愛いな。
「えっと、それで、チューリップを落とした方法ですよね?でも、私は本当に特別な事はしていないのですよ」
「ならどうやってやっているんだ?」
 ん〜もうちょっと注意して見れば気付いたんだろうな。
「アーサーがいるかいないか。これが他の方が落とせなくて、私が落とせる原因です」
「アーサーってAIだっけ?」
「ええ。
 オモイカネ。さっきのチューリップ出して」
『了解』
 眼前にチューリップを映したウィンドが開かれます。
「アーサー。ここに内部構造と攻撃位置を」
『はいな!』
 変な返事と共に、チューリップの映像が変わっていきます。
「これで何か気付きませんか?」
 気付きそうな人は何人かいるけど、実際は誰が分かるかな?
『あ!』
「自重か」
「ご明察」
 真っ先に気付いたのは、予想通りウリバタケさんと黒い人でした。
「ああ!」
「なるほどね」
 そして言われて気付く何人かの人々。
「え?どういう事なの?」
 で、言われても気付かない人も。って言うか大半がここなんですけどね。
「分かった方もいらっしゃるようですが、分からない方が大半なので一応説」
 言いかけた所で何故かひどく寒気がしました。見れば黒い人も辺りを見渡しています。
「どうしたのお姉ちゃん?」
「ううん。なんでもないよ。気にしないで」
 寒気を覚えたのは一瞬ですが、一体なんだったのでしょう?
「とりあえず解説しますね」
 今度はなんともありませんね?
「物体には当たり前ですが重量というものがあります。そしてそれは大体が精密なバランスの元で釣り合っています。
 さて、それでは、そのバランスを崩してしまったらどうなるでしょうか?それも全ての重量が掛かる中心部が」
『!』
「答えは皆さんがご覧になったとおり、重さを支えきれず崩壊します」
 オモイカネとアーサーが協力してウィンドのチューリップを動かし、崩壊までのプロセスを分かりやすく見せてくれます。
「ありがとう二人とも」
『いーえー』
『モーマンタイ』
 ホントAIなのに人間くさいんだから(苦笑)
「さて、こういう事なので、チューリップと相対した時はアーサーに計測を行って貰い、私はその結果出た箇所を斬っているだけなのですよ」
 これだから私は特別な事は何一つしていないのです。
「グリフィス君。それはそのAIがあれば誰でも出来る事なのかな?」
「チューリップに近づける度胸。正確にそこを撃てる技量。ある程度壊せる威力。それがあるなら可能です。少なくともナデシコパイロットなら出来る筈ですよ?」
『なら俺にも出来るんだな!!!???』
 み、耳が。
『なあ嬢ちゃん!どうな「黙りなさい」はい』
 なんでこの人はこんなにもうるさいかな。
「二人は大丈夫?」
「はい、なんとか」
「耳が痛いの」
 後でお仕置きです。
「それでヤマダ『違う!ダイゴウ』黙れ『済みません』」
 お仕置き、追加しますかね?
「で、ヤマダ・ジロウさんでも出来る筈ではありますが、アーサーのサポートは付けさせません」
『な「黙って」すみません』
 ワンパターンと言いますか学習能力が無いと言いますか、はあ。
「ねえアテナちゃん。理由聞いてもいいかな?戦力は多い方が良くない?」
 確かにそうではあるのですが。
「まず一つ。勝手に行動して勝手に骨を折るパイロットなんか信用出来ません。今回はたまたまアキト様がいらっしゃいましたからどうにかなりましたけど、本来ならもっと大変な事になっていた筈です。
 二つ目。アーサーがヤマダ・ジロウさんを苦手としています。アーサーの意見は尊重してあげたいと思います。
 そして、三つ目。私がヤマダ・ジロウさんが崇拝する正義とかヒーローとかが嫌いなのです。
 質問どうぞ」
 何か言ってくれると嬉しいのですがね。
『やいやいやい!何で嬢ちゃんはそれが嫌いなんだ!!あんな素晴らしい』
 殺気まではいかない怒気を叩きつけながら、期待通りの発言に感謝半分後悔半分の複雑な気持ちを抱きました。
「あー、あの人大丈夫かな?」
「どうしたのですラピス?」
「お姉ちゃん本気じゃないけどだいぶ怒っているの。こんな時のお姉ちゃんは容赦しないの」
「容赦?」
「見てれば分かるよ」
 こう言われちゃったら仕方ないよね?
「貴方がどの様なものを嗜好しようが貴方の勝手ですが、それを他の人に押し付けるのは止めて下さいませんか?全員が全員貴方と同じものに心を動かす筈が無いのですから。
 それで嫌いな理由ですか?自分を正当化する様な事が嫌なのです」
『なんだと!?』
 分かってはいたのですが、やっぱり分かっていないみたいですね。
「では聞きますが、貴方にとっての正義と悪を語って見て下さい」
『おうよ!
 悪は木星蜥蜴のような巨大な力で弱い奴等を蹂躙していくような奴等だ!
 そして、正義はそんな弱い奴等を守って敵を倒す事だ!これ以外にありえねえ!!』
 馬鹿。
「我に正義あり。故に相手は悪也。話になりません」
 私は呆れていますよと言わない代わりに、溜息一つ零します。
『なに!どういう事だ!?』
「一つ喩え話をしましょう。
 ある二つの国、仮にA国とB国にしましょうか。がありました。ある日A国が突然戦争を仕掛けてきました。この場合は正義はどちらにありますか?」
 黒い人に一瞬だけ視線を送ります。これで全てを理解したでしょう。
『そんなのB国に決まってんじゃねえかよ』
「では、戦争を始めた理由が、数十年前にB国が行った無謀な実験の所為で被った食料不足が原因だとしましたら?」
『む。それなら』
「では貴方はB国の兵だったら、相手に正義があると無抵抗に殺されますか?自分の国が蹂躙されていくのを黙って見ていますか?家族、恋人、親友、その他知人が殺されていくのを黙って見ていますか?その実験が生まれるよりもずっと以前のものにも関わらず?」
『………………』
「一体にどちらが正義でどちらが悪なのか教えて頂けませんか、正義のヒーローさん?」
 誰も何も言いませんね。
「他の方はどうですか?私に教えて下さる方はいらっしゃいませんか?」
 周りを見るようにしながら、黒い人に目で問い掛けます。貴方はどの様な結果を望むのかって。
「誰も答えられないようですね」
 期待はしていなかったけど、少し残念ではありますね。
「ヤマダ・ジロウさん。答える事が出来ないのでしたら貴方の想いはそこまでです。今は良くてもそのうち躓きます。早めに自分の答えを出す事をお勧めします」
 そこまで言って、私は出口に向けて足を進めます。
「おや?アテナさんはどちらに?」
「少し疲れたので休ませて貰います」
 振り向きもしないで返します。
「待て」
 この人の場合は無視出来ないですね。
「なんでしょうかアキト様?」
 振り向き見上げ聞きます。
「君ならどう答える?」
 やはり気になりますか。
「正義も悪も相手の主張もこっちの言い分も関係ありません。私は私の守りたい大事な人達の為に力を振るいます。ただそれだけです」
 ただその人達の為だけに。
「…………そうか」
 彼がどの様な答えを出すかは分かりませんが、早めに出して頂ければ色々と動きやすくはあるんですけどね。
「では、私はこれで失礼します」
 軽く頭を下げてブリッジを出ました。


「休憩ありがとうございます」
「おや?もうよろしいのですか?」
「はい大丈夫です。それでこれは?」
 仮眠から戻ってみれば女性陣が全員振袖姿に。ルリとラピスまでも?
「おねーちゃーん!」
 慣れない格好で走り辛そうだけど一生懸命なのは分かる。
「どうしたのラピス?」
「似合う?似合う?」
 両手を広げて期待に顔を輝かせて聞いてきます。
「うん。とっても似合ってるよ。勿論ルリもね」
 ラピスの頭を撫でながらルリにも言葉を掛けます。
「えへへ」
「あ、ありがとうございます」
 うん、無邪気な笑顔も、照れた顔も、可愛い可愛い。
「それで、これはなんなの?」
「艦長が交渉するんだって」
「それでお正月だからと」
 交渉?お正月?…………ああ。
「ビックバリアですか」
「当たりです」
 でも、彼の記憶通りなら…………
「大丈夫なのでしょうか?」
 プロスさんの顔を見上げて聞きます。
「おそらくは……」
「汗、流れてますよ」
「…………万が一の時はお願いします」
「……了解」
 ついっと艦長に視線を向けます。
「明けましておめでとうございまーーーす」
 ………………
「止めますか?」
「い、いえ、もう少し様子を見ましょう。何か考えがあるのかもしれません」
「あるとはとても思えません」
『うんうん』
 ルリとラピスだけじゃなくオモイカネとアーサーも揃って肯定していますね。
『君はまず国際的なマナーから学ぶべきだな』
「ほえ?そうですか?
 ところでお願いがあったりするんですけど?」
『……言ってみたまえ』
 プロスさんに視線を向けますと頷いてくれました。私は足音を消して艦長の背後に近付きます。
「ナデシコはこれから火星に向います。そこで途中にあるビックバリアを解除して貰えると」
 軽く叩き、気を失わせる事に成功。あらかじめ騒ぎそうな副艦長はプロスさんが処理してくださってますから問題無しです。
『ん?どうした?』
「失礼しました。どうやら艦長は日頃の疲れが溜まっていた様で気を失ってしまいました。ここからは私が変わります」
『君の様な少女では話にならん。大人を出せ』
 失礼ですね。
「フクベ・ジン提督から直々の指名です」
『…………聞こう』
 この辺は物分りがいいですね。
「とりあえず自己紹介しておきます。私はアテナ・グリフィス」
 一度言葉を切ります。本当にこれは口にしたくはないのですけどね。
「『聖剣を携えし戦乙女』と呼ばれる者です」
 会場の人々がざわつく中一人動じませんね。
『その様な者の報告は無い」
「そうですか。まあ、それはどうでもいいです」
『そうだな。本題を聞こうか』
「火星に行きたいのでビックバリアを解除して下さい」
 要求は明白に伝えます。
『……出来ると思っているのかね?』
「可能です」
『…………やはり君では話にならないようだな』
「話にならないのは貴方です」
『何?』
 ここからが本番です。頑張らなきゃ。
「もし、ナデシコが無理矢理ビックバリアを突破したらどうなるかよく考えて下さい」
『…………』
 この沈黙が彼がただの無能ではないという証拠ですね。
「分かっているとは思いますが、地上に尋常な被害を与えますよ?」
『なら、途中で』
「出来ないと分かりきっている事を口にするのは、無能相手にして下さい」
 最後まで言わせません。
「さあ、答えをどうぞ」
『………………』
 そんなに悩む事ではないでしょうに。
『……君の方が艦長に向いているのではないのかな?』
「さあ。私には艦長みたいに空気を和ませたりは出来ませんからなんとも言えません」
『ふん。いいだろうアテナ・グリフィス。『聖剣を携えし戦乙女』。君の存在を認めよう。好きに通るがいい』
 これは意外ですね。
「感謝します。
 ついでなので忠告しておきます」
『なんだね?』
「貴方達が何を目指しているかは知りませんが、私は私の目指す場所があります。必要なら全てを光に晒す事もします」
『何!?』
「それをお忘れ無きようお願いします。それでは」
 通信を切り、大きく息を吐きます。これで又一つ変わりましたね
「いやー、流石はアテナさん。助かりました」
「別に。大した事はしていません。
 それよりフクベ・ジン提督」
「分かっておる。君に任せる。君が指示をしたまえ」
「…………いいのですか?」
「構わん。好きにやりたまえ」
 周りの困惑を無視して、私と提督で会話を進めます。
「では、アテナ・グリフィス。艦長の変わりに一時的ですが指揮を採ります。許可を」
「許可する」
 さあ、やりますか。
「メグミ・レイナードさん。整備班にエステを空戦で準備させて下さい。パイロットはエステ内で待機。
 ハルカ・ミナトさんはこのままナデシコを上昇。
 ルリは各防衛ラインの動きを見ていて。
 ラピスはフィールドの出力を見ながらグラビティーブラストをチャージ」
『は、はい!』
「グリフィス君?」
「すみません。少し待って貰えますか?」
 アオイ・ジュンさんに一言だけ返し、前を見据えます。
「メグミ・レイナードさん。艦内放送、戦闘態勢に移行」
「は、はい」
「ルリ。第三防衛ラインまでどれ位?」
「このまま行けば後10分以内には捕捉されます」
 ん、問題ないね。
「ルリはそのままお願い。
 ラピス?」
「フィールドはまだ50%ぐらい。グラビティーブラストは1回が限度かな?」
 全部想定内だね
「アテナちゃん。私は?」
「何があってもそのまま上昇し続けて下さい」
「了解」
 ふう。
「それで何でしょうか?」
「突然の戦闘態勢の理由を教えてくれないか?」
 ああ。
「簡単な事です。あの人はビックバリアは通して下さるとは言いましたが、第二第三については何も言っていません。だからそこで仕掛けてきますよ」
「そうなのかい?」
「そういう人です」
 っと、そろそろですね。
「メグミ・レイナードさん、パイロットに繋げて下さい」
「あ、はい、どうぞ」
「おふた方に作戦を伝えます。質問は最後に承りますので、最後まで聞いて下さい。
 ヤマダ・ジロウさん。貴方はライフルのみでデルフィニュウム、おそらく10機前後だと思われますが、撃退してください。
 アキト様はヤマダ・ジロウさんのフォローののち、第二からのミサイルの排除お願いします。
 質問どうぞ」
『なんで俺「うるさい」すみません。なんで自分がデルフィニュウムでテンカワがミサイルなのか教えて頂けませんか?』
『それに君が出た方が早いのではないのか?』
「ヤマダ・ジロウさんは信用出来ないのでそこからのスタートです。
 私が出ないのは今は艦長代理で指揮をしているからです。
 そしてアキト様。私はこの艦の誰よりも貴方の実力を信じています。それではダメですか?」
 少しの沈黙を挟んで、
『任務了解。君の期待に応えよう』
 それだけ言って通信は切れました。
「それでは行きましょう、火星へ」


〈あとがき〉
 ようやく書き上げたーと一安心している所の蒼月です。
「なんでか又ここにいるアテナ・グリフィスです」
 さて、今回は
「その前に一つ聞きたいのだけど?」
 はいはい。一体なんでしょうか?
「何でこんなに時間掛かった訳?」
 …………黙秘権を
「ダメに決まってるでしょ?」
 ……正直に言ってしまえば、原作の事柄が使えないのでどうしようかと悩みまして…………
「それは貴方が完璧に悪い」
 面目無い
「それにあのチューリップ理論に正義の喩え話。一体何がしたいの?」
 …………ノーコメント
「さらに言うなら戦闘もお粗末」
 ………………
「ま、もう言っても仕方が無いことなんだけど。
 で、次はサツキミドリ2号?」
 一応は。
「そう。まあ、適当に頑張りなさい。少なくとも今月中にあげなさいよ」
 善処します
 という訳で次に取り掛かりますか。

 

 

 

感想代理人プロフィール

戻る





代理人の感想

意図してやってる分ユリカよりタチが悪いなぁ。w

下手すると原作以上にネルガルが敵視されそうなこの展開、果たしてどうなるやら。

アテナ(及びルピラリ)は相変らず子供の論理でナデシコを振り回してるし、ジュン達も大変だw