「あっ、ルリちゃん?久しぶり」

「えっ、アキトさん?何でこんなところに・・・」

予定通りルリちゃんを見つけた俺が声をかけると、

ルリちゃんはかなり驚いた様子で聞き返してきた。

「おやテンカワさん、ルリさんとお知り合いですか?」

「ええまあ、昔ちょっと・・・

「久しぶりだね、ルリちゃん」

「あ、はい。お久しぶりです、アキトさん」

「どうやら本当にお知り合いの様で・・・私は邪魔者みたいですからここから去りますか。

 テンカワさん、ルリさんにナデシコの案内をお願いします。」

「わかりました。」





ブロスとディアの正しいアキト君の育て方
 第三話 act1 別人





「で、案内は必要かい?」

「そうですね・・・せっかくですから案内してもらいましょうか」

「そ、そう?わかった、じゃ、こっち・・・」

〔何で?〕

『何で?って・・・十分予想できるじゃん』

『ブロス、それができないからアキト兄なんだよ』

〔?・・・どういうことだ?〕

『ハイハイ、アキト兄はルリ姉を案内していればいいから』

〔??〕





「それより・・・アキトさん」

「ん?何、ルリちゃん」

「何でもうナデシコに乗ってるんですか?


 ユリカさんも劇的な再会だったって喜んでいたではないですか?」

「・・・・・・・・・・・・

 俺にユリカと付き合う資格はないよ」

「!?

 まだそんなことを言ってるんですか?

 言ったじゃないですか、それはアキトさんが決めることじゃないって」

「じゃあルリちゃんが決めることなのか?

 そりゃ、ルリちゃんやユリカたち・・・旧ナデシコAのクルーは許してくれるだろう。

 でも俺に殺された人の家族が俺を許してくれると思うのか?

 俺は消えるべきだった、消えるしかなかったんだ」

「・・・・・・・・・・・・

 でも、この時代にはまだその事件がおきていないじゃないですか?

 ユリカさんをさける理由にはなりません」

「・・・・・・・・・・・・

 そうだ、まだおこっていない。

 あの事件も、何もかも。

 俺の知ってるミスマル・ユリカは死んだ。

 俺が愛していたのはあの時代のユリカだ。

 サツキミドリの人たちの葬式の最中に艦長の意義について悩み、

 自分のミスで火星の人たちを殺してしまい、そのことで悩み、

 木星蜥蜴の正体が同じ人間と知らされて悩み、

 それでも必死に生きていた。

 戦後は、何かにつけて俺の屋台を手伝ってくれて、

 親父さんとけんかしたって言ってルリちゃんと一緒にうちに転がり込んできて、

 親父さんとラーメン勝負をする前日に、一晩かけて屋台を磨いてくれた、

 あのユリカだ。」

「・・・・・・・・・・・・」

「俺にはユリカを愛することはできない。

 俺はこの時代のユリカを見ることはできない。

 多分・・・あの時代のユリカと重ねて見ることしかできないだろう。

 わかんないか?ユリカや、ミナトさんは俺たちの事を知らないんだ。

 覚えてないんじゃない、知らないんだ。

 この時代の人は、俺たちの知ってる人じゃない。

 限りなくそっくりな・・・別人なんだ」

「・・・じゃあ、なぜナデシコに乗ったんですか?

 ナデシコに乗る必要はないじゃないですか。」

「・・・・・・・・・・・・

 地球と、木連のため・・・

 違うな。結局、単なる自己満足のためかな。

 さっき言ったのは理屈だ。別人みたいなもの・・・そうわかっていても・・・

 助けたい。そう思ってしまうんだ。

 みんな助けて見せる、ガイ、サツキミドリの人たち、ムネタケ提督、白鳥九十九

 みんなね。(あと、メティちゃんや、カズシさん、チハヤさんもね)」





「・・・・・・・・・・・・

 何でですか」

「え!?」

「何で、あの時話してくれなかったんですか?

 私じゃ・・・頼りにならないんですか?

 アキトさんがそんなこと考えているって知っていたら・・・

 もう少し手の打ちようがあったはずです。

 アキトさんが消えようとしていたのは・・・私たちのため・・・

 それを知っていたら・・・

 私は少女です。

 話してくれないと・・・アキトさんが何を考えているかなんて、わかりません。

 でも、子供じゃないんです。

 見た目は・・・11ですけど、もう16になったんですよ?少しは・・・私に頼ってください。

 みんな助けるっていいましたよね?

 なら・・・私も手伝います。

 から・・・私のやりたいことも手伝ってください。」

「ルリちゃんのやりたいことって?」

「私は・・・アキトさんに幸せになってほしいです。

 アキトさんは・・・あの時代に・・・私と、ユリカさんを守るために、

 必死になって戦ってくれました。

 この時代でも・・・みんなを守るために・・・幸せにするために戦うんでしょう?

 がんばった人のほうが、より幸せになる権利があるはずです。

 アキトさんは、あの時代では・・・幸せになる権利はなかったのかもしれません。

 なら・・・その分・・・この時代で幸せになってください。

 私もお手伝いします。だから・・・私のために戦ってくれるのなら・・・

 私のアキトさんが幸せになるためのお手伝いを・・・手伝ってください。」

「・・・・・・・・・・・・

 わかったよ、もともと・・・ルリちゃんには、手伝ってもらうつもりだったからね。」





それから俺のことを話した。

一年前に戻ったこと・・・

ブラックサレナや、ブローディアについて

ネルガル、連合軍、クリムゾンにわたってさまざまな工作をしていること

また・・・ブロス考案による新型機について

俺が三回目だということも含めてすべてを話した。





act2に続く





あとがき・・・・・・・・・・・・あとがきっていったらあとがきなんだ(逆ギレ)

というわけで「育て方」の第三話act1です。

長いので二つに分けました。

とりあえず「どうしても書きたかった会話その1part1(逆行者編)」です。

自分が人を通して、別の人を見ていることに気づいたとき、人はどうするでしょう?

ユリカは・・・気にしないような気がしますが・・・

ほかの人はだいたい気にするのではないでしょうか?

特に、アキト君は気にするでしょう。

しかしすべての逆行ものを否定する台詞ですし・・・

この話自体書きにくくなる台詞なのですが・・・

どうしてもいいたかったのです。

では、act2も見てください。

テーマは「どうしても書きたかった会話その1part2(被逆行者編)」です。

 

 

 

代理人の感想

 

・・・・・なかがき?(爆)