(アキト)

(ラピスか?)





ブロスとディアの正しいアキト君の育て方
第四話 発進





「今、ラピスから連絡が入った」

「じゃあ予定通りに」

「ハーリー君にくれぐれもラピスを頼むっていっておいてくれよ」

「はい、アキトさんも気をつけてくださいね?」

「大丈夫だよ、バッタやジョロ如きに負けないって」

「じゃ、またあとで」

「ああ、今度はちゃんと帰ってくるから」

「約束・・・ですよ」

「ああ」





『やっぱりみんなに会うのは怖い?』

〔まあな・・・〕

『でも無視すればいいって問題でもないし、

 前回もアキト兄は無意識では、気づいてたんだから・・・』

〔ああ、俺なりの答えを出さないといけない・・・それはわかってるんだ・・・

 でも・・・な〕

『ま、大丈夫だって、何せここはナデシコなんだから』

〔ああ・・・そうだな〕





「ガイ、スゥーパァーナァッパァァァァー」

ドガッシャァァァァァン

俺が格納庫にくると、計ったようなタイミングでガイの奴がこけた。

『さすがヤマダさんだね』

・・・はぁ・・・

「おーい、そこの少年・・・」

ハイハイ、わかりましたよ、言われなくてもやるつもりですしね。





「囮ならもう出てますよ」

「おや、テンカワさん、そこで何を」

「囮ですよ、必要なんでしょう?」

「しかしコックに危険手当は・・・」

「コック?何でコックが俺のエステバリスに乗ってんだ?」

「もしもし、危ないから降りたほうがいいですよ」

「テンカワ、操縦の経験はあるのかね?」

「すいません、どこかでお会いしたことありませんか?」

「ユリカ、今はそんな場合じゃないだろ」

・・・ジュン、なぜそれをコミュニケを開いて俺のコックピットに送る必要がある?

『ま、ナデシコだからね』

・・・それで納得してしまう自分が怖い。

「テンカワ機、地上に出ます」





(さて、予定通りここは囮に徹して、ナデシコを連邦軍にPRするか)





結果は・・・楽勝だったとだけ言っておこう。





第五話に続く





あとがき・・・・・・・・・・・・ネタが思いつかない

短い上にあとがきで書くこともありませんね・・・

まぁ、重要なイベントもありませんので・・・

次回の「ジュン君説得イベント」にご期待ください。

では今後とも・・・・・・

・・・いくらなんでも短すぎですね。



では、私如きの文才では言いたいことが伝わらなかったようですので、

前回の補足説明を・・・

「代理人の感想」に書いていただいたことは大体あっているのですが、

重ねているのが、同時期の同一人物だということが重要なのです。

昔の恋人と重ねているのなら怒ることも自分色に塗りなおすことも可能でしょうし、

同一人物でも、昔の自分と重ねているのであれば、

今の自分を主張することで、変化があるでしょう。

多重人格の場合は多少ややこしいものの、要は他人のようなものなのですから、

そこまで問題ではありません。

しかし、この場合自分を主張すればするほど、もう一人の自分を強めることになりかねませんし、

要は自分を見てるのですから、なんとも言いにくい状況です。

まぁ、「被逆行者」はあまり重要ではありません。



アキト君は、要は家族と親友、その他を一度になくしたようなものです。

しかも周囲にはどうしたってその人を思い出させる人が大量にいるのです。

これはなかなかきつい状態だと思います。

さらに、相手を見ていないということを自分自身が認識し、

さらにそれで傷つけていることを自覚していることが重要なのです。

さらにそれは、親しかった人ほどその傾向が顕著なのです。

ルリ君は特に親しかった人はユリカとミナトさん位でしょうから、

そこまで悩んでませんし、比較的割り切ってます。

またそれ以上にアキト君を支えることに必死です。



しかし、アキト君はかなり悩んでいます。

そこでルリ君に甘えているのですが、同時にルリ君を恐れています。

そのあたりのわだかまりをこれからどう取り除いていくかが、この話のメインですね。

また、ルリ君はアキト君を少なくとも自分といるときぐらいは苦しみから開放するため、

二回目の自分を自己と同一化しようとしています。

しかし、二回目のルリ君と近くなるということは、

二回目のルリ君との思い出がないことで、

よりアキト君を苦しめることになるのです。

このことにいつ気が付くか、

二回目の自分を認めた上で、二回目の自分との違いを見出し、

二回目の自分と決別する。

それが唯一のアキト君の救い方なのですが・・・

この辺もうまく書ければいいのですが・・・うまく伝わらないような気もします。



ちなみにこの「逆行者の苦悩」は「時の流れに」を見て、一番最初に思った感想です。

まぁいずれにしろアキト君の苦しみがわかるのはルリ君だけでしょう。

ラピスはアキト君が、ハーリーはルリ君とあとは高杉さんがいれば問題ない、というより

ラピスには、アキト君以外親しい人はいなかったでしょうし、

ハーリーもあの二人意外に特に親しい人がいたのか?という雰囲気です。

高杉さんは・・・悩んでる光景が思いつきませんから問題外ですね。

というわけで「時の流れに」のヒロインはルリ君か?と思ったのですが、

この問題は完璧に無視されていますし・・・

この辺のことをメインに書きたかったのです。

しかし・・・このテーマでルリ君以外、特にユリカをヒロインに・・・

難しそうですね。

逆行してそこでもう一度同じ人と恋仲に・・・というものを書くには、

この問題は無視するしかないようですね。

 

 

 

代理人の感想

 

ん〜、言いかえると今まで築いてきた人間関係が片方だけからリセットされたようなもので

ユリカやリョーコたちからすると今の時点では結びつきもしがらみもないのに

アキトからは「千切れた人間関係」がぶらぶらとぶら下がってるんですね。

そして、記憶という形でいまだにアキトに繋がっているしがらみが

新しい関係を結ぶ事を更に難しく(あるいは不可能に)している、と。

正直割り切ってしまうしか方法はないんじゃないかと思いますが

出来るかどうかはまた別ですよね。