「俺の名前はガイ、ダイゴウジ ガイだ」

「私の名前はアクアです」

「何、君はアクアマリンなのか?

 違う、俺は天空 ケンではない」

「は?」

「俺にゲキガンガーに乗る資格は無いんだ」

「あ、あの〜」

「そ、そうか、これは俺の与えられた試練だ。

 君を悪のキョアック星人から助け出し、この試練を乗り越えたとき、

 俺はゲキガンガーに乗る資格を得るのか」

「もしもし?」

「おお、この建物はまさしく研究所!!

 博士もここにいて、俺にゲキガンガーに乗る資格があるかを見てるんだな!!」





ブロスとディアの正しいアキト君の育て方
 第二十二話 孤島





「アキト〜!!どこに行ってたの?」

「あ、ああちょっと散歩にね?」

森から出てきた俺に、

まるでどこから出てくるかを知ってたような位置に立っていたユリカが、

素早く駆け寄ってきた。

「あれ?アキト、どうしたのそのあざ?」

といってユリカが俺の足を指差す。

見ると、確かにあざが出来てる。

これは・・・ナオさんの蹴りをブロックしたときのものだな。

「ああ、さっきぶつけちゃってさ、

 それより昼飯にしないか?

 ルリちゃんも皆も呼んでさ」

「え〜〜、アキトと二人だけで食べたいな・・・」

ナデシコクルーの協調性が大事なんじゃなかったのか?

「駄目だ。

 浜辺でバーベキューだからな・・・全員参加が当たり前だろ?」

「う〜ん、それもそうね!!

 じゃあ皆を呼んで来る!!」

そう言って、元気にクルーたちに向かって走り出すユリカ。

「さて・・・準備をするか」

「・・・艦長には秘密なのか?」

「皆楽しんでるんです。

 あえて怖がらせる事もないでしょう」

「そうか・・・まあ、もう手を出してくる事も無いだろうからな」

その通りですよ、ゴートさん。

と、俺がバーベキュー用の道具を持って向こうに行こうとすると、

ルリちゃんがやってきた。

「あ、アキトさん。

 大丈夫でしたか?」

「ああ、全然問題ないよ」

「そうですか、良かった。

 そうですよね、アキトさんがあの程度の相手で怪我するわけありませんものね」

「・・・ホシノ ルリは知っているのか?」

「ええ、見れば解るでしょう?

 じゃ、お先に。

 あ、ゴートさん、肉はたくさん用意しましたが・・・

 ちゃんと椎茸も食べてくださいよ」

「ムム、それは・・・どうしても食べないと駄目か?」

「昼食抜きでいいのならかまいませんが?」

「むう・・・」





さて、いない人は・・・またガイか・・・

タイミングの悪い奴だな。

・・・俺に言われたくは無いか。





「最近になってこの島は、個人の所有になったみたいですね」

パクパク・・・

「へ〜だれのだい?」

「あ、イズミ!!

 そのイカちゃんは私が大切に焼いていたのに〜〜〜!!」

ハグハグ・・・

「ヒカル・・・隙があった貴方が悪いのよ」

「はいはい、イカだったらこれが焼けてるから・・・」

「流石アキト君、気が利くね〜」

ムシャムシャ・・・

「世界有数の複合コンツェルン、クリムゾン・グループです。

 あ、アキトさん・・・」

「トウモロコシだろ、ハイどうぞ」

「ありがとうございます」

「クリムゾン、グループ!!知ってるわ!!」

ガシガシ・・・

「テンカワ・・・」

「好き嫌いはいけませんよ、アレルギーでもあるのならともかく」

「むう」

ハムハム・・・

「バリア関係ではトップの兵器メーカーね。

 あのバリア衛星もこのクリムゾン・グループの製品ね。

 ま、ここ二年位は色々と変なうわさが耐えないんだけど・・・」

「はい、イネスさん。

 ホイル焼き出来ましたよ、レモンは要りますよね?」

「あら、有難うアキト君。

 レモン?もちろん要るわ」

バリバリ・・・

「なんでもクーデターを企んでるとか、

 正体不明のテロリストと、大規模な取引をしているとか・・・

 事実帳簿におかしいところがあるしね」

ハフハフ・・・

「アキト〜!!私のお肉はまだ焼けないの?」

「生肉だとお腹を壊すぞ・・・仕方ないな、

 この肉を食べとけ」

「アキトさん・・・」

「ン?何、ルリちゃん、ホイル焼き?」

「いえ、焼いたり取り分けたりばかりしてないで、

 アキトさんも食べたらどうですか?」

「ああ、大丈夫、ちゃんと食べるよ」

「正体不明のテロリストって?」

ハミハミ・・・

「うわさでは木星蜥蜴だとか・・・」

「そんな!!」

「うわさようわさ。

 でも・・・一つ造るのにかかる費用はそんなに変わらないはずなのに、

 異常に安いの、クリムゾンの製品・・・得にバリア関係は。

 木星蜥蜴と取引してバリア発生装置を買ってるとか・・・

 一部を木星蜥蜴に売っているお陰で薄利多売が可能だとか・・・

 裏付けになるデータもあるし・・・そこそこ信憑性はあるのよ」

「ウリバタケさん、海老焼けましたよ」

「おお、サンキューな」

「他にも、用途不明の支出が多いのよ、

 特に戦争が始まってからは・・・というより、始まってから突然現れたというべきかしら?

 うわさも帳簿のおかしなところも・・・

 ネルガルの妨害工作ってうわさもあるけど・・・

 実際のところ、クリムゾンが一人で騒いでるだけね」

バクバク・・・

「ま、軍としては怪しかろうと安ければ良いんでしょうけどね。

 そういえばそこの一人娘も悪い話が絶えないわよね」

「ウリバタケ!!何ビールなんて飲んでるの!!」

「会長秘書はお堅いね〜

 心配しなくてもノンアルコールのビールだよ。

 気分だけでも飲んでるんだよ」

「・・・本当かしら、テンカワ君」

「ま、そのせいで整備をミスったら俺は許しませんから

 それに・・・ウリバタケさんは信用できる人ですよ、そういうことに関しては」

「なるほどね」

「で、その一人娘なんだけど・・・社交界にデビューする時に、全員の料理に痺れ薬を混ぜたり。

 自分だけの少女漫画を描かせるために、漫画家の誘拐未遂を起こしたり。

 ま、財閥にとっては汚点よね。

 ただでさえ変なうわさが多いのに・・・

 モグモグ・・・

 あ、アキト君このホイル焼きもう一つ頂戴」

「アキトさん、私も欲しいです」

「ご注文承りましたよ、ルリちゃん、イネスさん」





そして、楽しい昼食後・・・

俺は新型のチューリップの探索をはじめた。

「ご馳走様です、アキトさん」

「お粗末さまでした」





「・・・あれが新型チューリップか?

 さっそく破壊しますか」

「待て!!・・・あれはバリア発生装置?」

「しかも・・・クリムゾン家の紋章入り?

 やっぱりうわさは本当だったのかね?」





「アクアマリン・・・君の不幸は俺が知っている!!

 だが大丈夫!!俺が必ず君を守って見せる!!」

「え、あの、私はただ悲劇のヒロインに憧れた・・・」

「そうだ、君は悲劇のヒロインだ!!

 今の俺では役者不足かもしれん!!

 だが、この俺が必ず君を救って見せる!!」

「でもまだ不幸にはなってませんけど?」

「もう君に戦いを強いるキョアック星人に怯える事は無い!!

 自らの不幸に絶望して自ら死を選ぶ事も無い!!

 俺が必ず君を自由にしてあげよう」

「は、はぁ」

「俺は悟った!!

 俺に足りなかったのは努力だ!!

 ヒーローたるもの常に努力を怠ってはならなかったのだ。

 君も努力すればいつかきっと幸せになれる!!

 あきらめては駄目だ!!」

「あの・・・身体が痺れません?

 実はさっきの料理には痺れ薬が・・・」

「何?薬だと!!

 キョアック星人め!!卑劣な真似を!!

 しかーーーし!!そんなもの努力と根性で何とかなる!!

 さあ行くぞ!!俺が必ず君を守ってやる!!」

「・・・とんでもない人を拾っちゃた」





「くっ!!バリアが邪魔で攻撃が届かない!!」

やっぱり無理か・・・

「しかも、チョーリップ自体、バリアを張ってやがるしな!!」

「あ〜ん、固いよこのバリア」

「ほんと、やっぱり木星蜥蜴と繋がってるのかしらね、クリムゾンは」

ふう、クリムゾンへの工作はうまく行ってるみたいだな。

このデータを送れば、クリムゾンは・・・どうなる事やら・・・

「ま、そんな事は置いといて、どうするんだ?

 ちょうどいいから、実戦で試してみたい技も有るんだけど・・・」

「いや、テンカワ、お前は今回は休んでろ」

「え?」

「ああ、前回はテンカワ君が一人で目立ってたんだから、

 今回は僕たちにも出番をくれないかい?」

「そうだよ、私たちも訓練してるんだよ」

「フフフ、訓練の成果・・・見せてあげるよ・・・」

・・・仕方ないな、ここはリョーコちゃんたちに任せるか。

そして、リョーコちゃんたちの機体が、バーストモードに突入した。

「いくぜ!!」

リョーコちゃんの機体の手に簡易型DFSが出現する。

・・・よく造ったな、あの短時間で。

流石はウリバタケさんといったところか。

しかし、流石の簡易型DFSといえど、

二重のバリアの前には太刀打ちできないらしい。





「効かないね」

「あの剣ってディストーション・フィールドでも簡単に切れるんじゃなかったっけ?」

「説明しましょう!!」

「・・・イネスさん、いつもいつもどうやってブリッジに入ってくるんですか?」

「それは秘密です艦長。

 ゴホン!!

 あのDFSは、アキト君以外には使えません」

「だって使ってるじゃないですか、実際」

「まあ待ちなさい・・・さて、何故アキト君しかDFSを使えないのか?

 それは単純に他のパイロットでは、DFSを使用しながらの移動が出来ないからです。

 あのDFSはIFSのイメージを通して刃を出現させます。

 実は機動戦を制御しつつ、ライフルを撃つのは比較的簡単です。

 これにはエステバリスに搭載されたコンピューターが、サポートをしてくれるからです。

 パイロットは"撃つ"の意識だけでライフルを撃つ事が出来ます。

 が、DFSのサポートはまだ完全には完成してません」

「どうしてですか?」

「余りに複雑すぎるのよ・・・システム自体がまだ機械に追いついていないの。

 それにIFSを通して同時に二つの事を制御するのよ?

 例を上げると、全力疾走をしながら裁縫をするみたいなものね。

 実際、リョーコさんやその他のパイロットでは、エステバリスを機動させながら刃を出せ無かったわ。

 言ってみればDFSは強力な武器だけど・・・通常兵器としては欠陥品ね。

 ・・・そう、アキト君専用の武器ともいえるわね」

「まさに一撃必殺、ってことね」

「そうね、今リョーコさんたちが使っているのは、簡易型DFS.

 一応完成したサポート用のプログラムを使ってるけど、

 高出力でのDFSのコントロールはまだ不可能なの。

 低出力・・・とは言っても護衛艦クラスなら十二分に戦えるけど・・・

 それくらいでしか作動できないから、

 チューリップ・・・しかもバリアつきにはどう考えても出力不足なのよ」

「はぁ」

「さて、このまま待ってても埒があかないわ。

 どうするの、艦長?」





「全く、嫌になるぐらい丈夫だね」

「ち!!いい加減に壊れろってんだこいつ!!」

「う〜っ、無意味に固いよこれ」

「フフフ、全然手ごたえが無いねぇ」

はぁ、やっぱり簡易型DFSじゃ出力不足だな。

プシュゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!

そう思っている俺の目の前でリョーコちゃんたちの機体が、

目に見えて遅くなる。

そうか、もう三分経ったのか。

「あ、あれっ」

「ち、時間切れかよ」

「ゲーム・オーバー・・・ゲーム・オーバー・・・」

「イズミ、無理して駄洒落を考えなくてもいいぜ」

そのとき、チューリップに反応があった。

「ちっ!まさかこのタイミングで・・・」

全く、何もバーストモードが終わった時を、

見計らうように出てこなくても良いじゃないか。

「あ、チューリップが動くよ」

驚いている俺たちの目の前でチューリップが開き、

中から巨大ジョロがその姿をあらわす。

「ゲ、でっかいジョロ」

話には聞いてたが、実物をみるのはこれが初めてだな。

そして、俺たちの目の前でバリアが内側から破壊される。

「ち、今迄亀みたいに閉じこもってた分際で、今ごろになってお出ましかよ。

 馬鹿にしやがって」

ピッ!!

「いいえそれは違うわ!!」

・・・イネスさん、貴方が説明に命をかけてる事は知っています。

だから説明を止めろというつもりは有りません。

しかし!!戦闘中に正面に大きくウインドーを開くのは止めて下さい!!

「あの巨大ジョロは、偶然今になって出てきたのではなく、

 今になったからこそ出てこれたとみるべきね。

 これはこちらの攻撃により、バリアの出力が、

 ジョロもしくはチューリップのエネルギー係数を・・・」

はいはいはいはい・・・

俺はウインドーを押しのけると、皆に通信を入れた。

「皆、無事か!!」

「ああ、バーストモードが終わったばっかしで調子は悪いけどね」

「んにゃろ!!ちっ、普段ならこんな奴楽勝なのによ!!」

「うえ〜ん!!エステちゃんの反応が鈍いよ〜」

「フフフ、どうやら私たちは打ち止めみたいね・・・」

「というわけだ、テンカワ、後は任したぜ!!」

「フフフ、ごめんね、また貴方に頼らせてもらうわ・・・」

「後でちゃんとお礼するからね〜〜」

「今回も君に譲るよ。全く君も運がいいというか・・・

 無欲の勝利って奴なのかね〜」

「解りました、

 バーストモード・スタート!!」

フウ、全く・・・チューリップに閉じこもったままなら、

ちょうどいい技の実験台だったのに・・・

結局、巨大ジョロは俺のDFSによって、

見事一刀両断された。

しかし・・・木連の人間は、何を考えてこれを送ってきたんだ?

木連軍の強みは、肉を断たせて骨を断つ戦法と、

人(?)海戦術、チューリップを使った高速進軍だろうに・・・

意味があるのか、巨大ジョロには・・・





その後、アカツキがアクアの屋敷を調べ、俺たちは一足先にナデシコに帰還する事となった。

俺が食堂で休んでいると、帰還したアカツキが話し掛けてきた。

「・・・テンカワ君」

「どうしました?」

「・・・彼を見つけて連れて帰ってきたんだが。

 なんでもアクアマリンって子を救うんだーーーーって叫んでたと思ったら・・・

 急に眠ってしまったんだ。

 一体彼は何がしたかったんだい?」

「・・・さあ、俺にも解りませんよ」

「そうかい?しかし・・・彼はあんなに元気な人だったんだねぇ」

ガイの奴、元気になったんだな、結構な事・・・なのか?





その頃例の彼女は・・・

やっぱり飛び去るナデシコに向かって

「ガイさ〜〜〜〜〜ん!!

 二度とこの島に来ないでね〜〜〜〜〜〜〜〜!!」

と、叫んでたらしい。

なんだかなぁ。





そしてその夜・・・

「アキト!! 私頑張ってまたお夜食作ってきたの!!」

「テンカワ・・・俺、初めて料理してみたんだけど。

 味見、してくれないかな?」

「あれ?」

「なにやってるんだ?艦長」

「いや、アキトの部屋開けようとしてるんだけど・・・」

「貸してみろ!!」

カチャ!!カチャ!!

「何だ?鍵が違うんじゃないのか?」

「え?だってこれマスターキーだよ」

「本当か?」

カチャ!!

シュッ!!

「わ!!」

「この部屋は開くか、ならこの部屋は・・・」

カチャ!!

シュッ!!

「どわ!!」

「ちゃんと開くでしょ?確かにこれマスターキーだもん」

「テンカワの部屋が開かなきゃ意味ねーだろうが!!」

「アレー?おかしいな〜」





カチャカチャカチャカチャ・・・

ふう、ブロスに頼んで部屋の鍵にリアルタイムで、

スクランブルをかけてもらってるからな、

このドアを開けられる人は・・・ルリちゃんたちぐらいだろ。

ルリちゃんには事情を話してあるし・・・

フィリスさんが人の部屋のドアを無断で開けるとも思えないから・・・

ま、もうあの料理を食べる事にはならないだろう。

あの料理は・・・ある意味"おしおき"より怖いからな・・・

ドンドンドンドン・・・

ついでに防音材も付けといてよかったな。

ピッ!!

「アキト〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」

・・・しまった、コミュニケを忘れてたな。

しかし・・・緊急通信を入れるか、普通?

「あ、ああ、どうしたんだ?ユリカ」

「アキトの部屋の鍵が開かないの、何で?」

「・・・なんで俺の部屋の鍵をあける必要がある?」

「えへへ・・・それはね、私がお夜食を作ってきたからで〜す!!」

そうだよな、こいつがそんな事で引き下がるはずも無いか・・・

「俺の部屋の鍵が開かないのは・・・ま、癖だな」

「癖?」

「ああ、部屋の鍵は俺にしか開けられないように細工してるんだ。

 そうしないと不安で眠れないんだよ」

「そう・・・ま、いいから開けてよ」

・・・今開けたら意味が無いじゃないか。

〔どうしようか?ディア・・・〕

『う〜ん、ここは一つ・・・』

〔一つ?〕

『口移しで食べさせてもらうってのはどうかな?』

〔く、口移しってそんな・・・〕

『あのね、アキト兄・・・あの料理を口に入れて平気な人がいるわけ無いでしょ?

 ユリカさんもアキト兄に食べさせる前に倒れちゃうって』

・・・そう言われてみればそうかもな。

〔でもリョーコちゃんは?〕

『まじめに料理を教えるってのはどうかな?

 料理の基本は味見でしょ?

 まず自分で味見をしてもらって、自分ではどう思うか聞いて、

 その後食べて、正解を教える・・・

 初めから人に頼ってたら、料理はうまくならない・・とか言えば、いいんじゃない?』

〔う〜ん・・・うまくいくかな?〕

『そうだね・・・リョーコさんから始めればうまくいくと思うよ。

 ものを食べた後に味見をしたら正しい判断が下せないとか言えば、

 ユリカさんも待ってくれると思うし・・・』

〔そんなもんか?〕

『そんなものなの』

ま、確かに最初の時は最終的には、

ユリカも自分の料理の腕に気が付いたしな、

意外とうまくいくかもしれん。





数分後、ナデシコに二人の悲鳴が響き渡った・・・

これに懲りたら次に料理をもってくるのはもうちょっと腕が上がってからにしてくれ・・・





ちなみに今回はユリカの超音波攻撃のせいでムネタケが埋められることは無かった・・・

「はぁ〜〜、何でだれも私と死んでくれないのかしら。

 そうよ、私はたった一つの望みさえ叶えられない不幸な少女なのよ。

 はぁ、私は不幸な少女・・・自らの境遇に絶望して一人静かに死んでいくの・・・」

・・・・・・・・・・・・

「どうする、おい?」

「どうするも何も・・・お嬢様を溺れさせる訳にはいかんだろ」

「それもそうだが・・・」

「はあ、俺本気で転職しようかな・・・」

「できたらな・・・」

「今回はけが人も結構出たしな」

「でも・・・強かったなあの二人」

「ああ、特に若い方がな・・・

 一体何者だ?

 ネルガルのゴートは、名の売れたエージェントだから知ってたが」

「さあな・・・だがあいつは俺たち全員を相手にしても、勝てたんだろうな」

「生き残っただけ、ありがたいか・・・」

「そういうことだ」

「しかし・・・このロープは一体どうなってるんだ?」

「さあな、身動き一つ取れんな、これは・・・」

「俺も一応縄抜けの術を心得てはいるんだが・・・」

「一見ただ縛ってあるだけなのにな・・・」

「仕方が無い、ナオの奴だけ姿が見えんからな、

 うまく逃げたのか、なんなのか・・・

 いずれにしろあいつに期待しよう」

「ああ」





「おい!!この状態をどうしろというんだ!!

 マジで死ぬぞ、このままじゃ!!」

ピシッ!!

「ゲッ!!指先すら動かせないし、少しでも揺らそうものなら枝が折れる・・・

 マジでどうすりゃ良いんだ?」

キラキラキラ・・・

「ふう、星がきれいだ・・・

 あいつ・・・よりにも寄って一番高い木の天辺に吊るさないでもいいじゃないか!!」

ヒュ〜!!

「南国とはいえ夜は流石に冷える・・・

 へ、ヘックション!!」

バキッ!!

「あ・・・」





第二十三話に続く





あとがき

と、いうわけで「育て方」の第二十三話です。

今回のメインはヤマダ君の復活です。

と、言う割にほとんど出番はありませんが・・・

次回からはそこそこ出番を作らせてもらいます。

一つレベルが上がったヤマダ君の活躍をお楽しみください。



しかし・・・ディアたちの出番が少ないです・・・

非常に書き難いです、あの二人(?)・・・

ここに投稿されている先輩方が書かれていないのには、

訳が有るのですね・・・