File.01『あの忘れえぬ、始まりの日 −撫子、大地に立つ!−』

 

 

 


満月の夜に、少女が歩いていた。

ふらりふらりと、砂浜に足を取られ。

よろりよろりと、薄絹の髪を揺らして。

その華奢な身体から、零れ落ちる光の飛沫。

その黄金の瞳からは、被い切れぬ安堵と絶望。

果てなき海から、少女は歩く。

何かを求め、少女は彷徨う。

そう、それは始まりの日−−−−−−−−−

 

 

GEAR戦士 撫子

File.01『あの忘れえぬ、始まりの日 −撫子、大地に立つ!−』

 


宇宙の果てから、『それ』はやって来た。

「火星軌道上に、未確認物体多数発見! 数、3000! 尚も増加中!」

そばかすに三つ編みの女性オペレーターの声が、緊張に上ずる。

「・・・・・・来たか。遂に・・・・・・」

汎地球防衛組織「GEAR」長官、渋谷ジンは皺と髭に埋もれている顔をしかめた。

そろそろ退役してもおかしくない年齢だが、そう思わせないだけの「何か」が、彼にはあった。

それはひどく単純で、もっとも強力な理由。

真実を知り、守りたい物が出来た。

そう。こんなヤクザな商売が存在する理由など、そんなもので十分だ−−−−−−

「未確認物体は現在、月に向けて進行中! 到達予想時間、およそ170分!」

緊張感溢れる通信士の声に、ジンは埒もない思考から浮上した。そう、今時間を費やすべきは、哲学ではなく戦術だ。

何しろ奴等は、「敵」なのだから−−−−−−

 

          ◇          ◇          ◇


「・・・・・・北斗ぉ? この段ボール、部屋まで運んでちょうだ〜い?」

若々しく、艶のある声が青空に抜けてゆく。

空はどこまでも蒼く、白く刷かれた雲はどこまでもゆるやかだった。

誰もが優しく、柔らかくなれる春のある日。

そんな引っ越し日和に、草薙一家はこの地にやって来た。

「・・・北斗? ほくとー? おーい、北ちゃ〜〜〜ん?

草薙舞歌は、振り返りつつ呼びかけを続けた。首の後ろで無造作に束ねられた長い黒髪が、僅かに揺れる。

その視線の先には、新居の喫茶店舗部が、薄暗い空虚な姿を晒していた。真新しいリノリウムの床や中途半端に運び込まれた新品のテーブルが、其処が廃屋でないことを主張してはいた。が、人気というものが感じられない空間は、どうしても空虚と無縁ではいられない。

要するに、彼女の目当ての人物は、其処にはいなかった。

んー? 北斗ならさっき、ケンを散歩に連れていったぞ?」

いぶかしむ彼女に、段ボールを抱えて上がってきた夫のシュンが、のんびりと声をかけてきた。たちまちふくれる、舞歌の頬。

「んもー、逃げたわね? あの子ったら!」

ふんわりした美貌を持つ舞歌だから、こういった仕草をするとやたら幼く見える。コレでピンクハウス系の服なんぞ着た日には、補導されかかること請け合いである。

もっとも今の作業用繋ぎ姿でも、学校サボってバイトする女子高生にしかみえないが。

どちらにしても『実は四捨五入して三十路』、には到底見えない。

「・・・ま、車に乗ってた時間長かったからな。あの子にゃ結構、キツかったんだろ」

段ボールを持ったまま、肩をすくめるシュンである。

オールバックにメガネを掛けた容貌は、如何にも「お気楽モノ」といった雰囲気を醸し出しているが・・・・・・見る者が見れば、何気ない動作にも隙のなさが伺えるだろう。

「だからって・・・・・・もー、ホンットしょーがない子!」
「まあ、いいじゃないか少しくらい。で、コレは何処に持ってきゃいいんだ?」
「あ、それはリビングに運んでくださいな。ついでに・・・・・・」

若々しい声たちが、青空に抜けてゆく。

誰もが優しく、柔らかくなれる春のある日。

このどこまでも続くはずの平和な日々が『今日』終わるなど、一体誰が思ったであろうか・・・・・・


          ◇          ◇          ◇


「左翼、弾幕薄いぞ!」
「ガルファ機獣3機、レーザー衛星に取り付きました!」
「中央、突破されます! 持ちません!!」
「・・・・・・くっ! 後少しで、全ての準備が整ったというのに・・・・・・!」


          ◇          ◇          ◇


「ん? どうしたケン?」

草薙北斗は不意に、愛犬・ケンが自分の隣にいない事に気がついた。

振り返ってみると・・・・・・ケンはじっと、天空の一点を見上げていた。

「どうした? はやくこいよ!」

もう一度呼びかけると、ケンはおとなしく走り寄ってきた。適当な距離で、再び走り出す北斗。

「・・・全く、まごまごしてたら舞歌に追いつかれるじゃないか」

等と呟いてみるが、現実に母親が追いかけてくるとは思っていない。

育ち盛りの肉体とアグレッシブな性格、そしてうららかな日差しが、北斗の身体をどうしようもなく動かすのだ。

ただそれを、ストレートに他人に押しつけようとは思わない。どんな些細なものであれ、理由が必要であることを、北斗は知っている。

もっとも、それが妥当かどうかまで、考慮しないのが常ではあったが。

「・・・へーえ、じゃあイズミはケン×ジョー派なんだ?」
「・・・・・・そう・・・・・・漫画を誰かに上げるときは特に・・・・・・ケン、ジョー(献上)するから・・・・・・プックククククク・・・・・・」
「・・・・・・・・・あ、そお・・・・・・・・・」

赤いランドセル背負った女の子たちが、姦しく(?)北斗の横を通り過ぎる。

ふと見あげると、似たような一団が続々と、前方から坂を降りてくる。

「・・・・・・この先に、学校があるのか・・・・・・」

どうせ目的もないし、覗いてみるのもいいか。

北斗は気の向くままに、坂を駆け上がっていった。

 

          ◇          ◇          ◇

 

「・・・・・・ふぅうぅぅぅぅぅぅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ・・・・・・」

校庭の片隅で少年が、息吹を吐いていた。

7、8歳くらいだろうか。黒くて固い髪を無頓着に跳ねるに任せ、細身の身体を空手着に包んでいる。だが「かっこいい」と呼ばれるより「カワイ〜」と呼ばれることが圧倒的に多いであろう、そして、そう呼ばれるのを嫌がるであろう事もなんとなく想像出来る。そんな少年だった。

もっとも、この年頃の男の子は大抵、可愛くなど見られたくはないだろうが。

「・・・・・・・・・ハッ!!」

暫しの瞑目の後、彼はカッ、と目を見開き、両腕を跳ね上げた。

受け、突き、捌き、払う。

メリハリの効いた、流れるような動作は、彼が締める黒帯が伊達ではないことを示していた。一連の動作が単なる『型』ではなく・・・・・・仮想敵を設定した、言わばシャドゥボクシングのようなものであることもその一端だ。

「・・・ふぅうぅぅぅぅぅぅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ・・・」

1セットを終え、再び瞑目する少年。そんな彼に、同級生らしき一団が声をかけてきた。

よぉアキト! 今日も精が出るな・・・・・・また負けたのか?」
「・・・・・・昨日は、不覚をとった」
「昨日、だろ?」
「すっごく強いもんねえ〜。アキト君のお母さん」

不機嫌に沈黙してしまった少年−−−−−−出雲アキトを暫し面白そうに見やると、一団は笑いながら去って行った。「まぁテキトーに頑張れよ〜」なんぞと、暖かい言葉を投げかけながら。

「・・・・・・・・・すぐに勝てるなんて、思ってないさ」

渋い顔で一人ぽつりと、アキトは呟く。

実際、母・出雲ホウメイの強さは桁外れであった。超人的といってもいい。少なくともアキトは、母より強い者を見たことがない。自分の3倍はありそうな筋骨隆々の男を、一撃で道場外に叩き出した光景は、今でも脳裏に焼きついている。

だが、同じ負けるにしても負け方、と言うものがある。

全く手も足も出ないまま終わったのでは、自尊心が傷つかない訳がない。

しかも5日連続である。

道場は日曜休みなので、次負ければめでたく1週間連敗だ。

あまりそうは見えないが、アキトは結構焦っていた

「・・・ハッ!!」

再び、仮想敵に対して攻撃を仕掛けはじめる。

受け、突き、捌き、蹴り、突き、払い、蹴り、突き、払い、払い。

先程に比べて、防御が減っている。やはり先程の会話が、焦りを助長したようである。

だからだろうか。

鼻先で唸られるまで、この犬の存在に気が付かなかったのは。

 

          ◇          ◇          ◇

 

「ぅわんっ!!」
「どわわわわわわわわわわ〜〜〜〜〜〜っ!!?」

噛付かんばかりに吠えられて、アキトはあたふたと手近な木に登った。

別段犬にトラウマあるワケではないのだが、噛付かれそうになれば誰だって逃げる。

「はははははは・・・・・・こら、ケン。そのくらいにしろ」

白い手が、唸り上げている犬の背に置かれる。するとピタリ、とうなり声が止った。

実によく躾られている。

「すまんな。お前の演武を見て、興奮してしまったらしい」

落ちついてはいるがやや高い声に、アキトは改めて、多分飼い主であろう人物を見た。

鮮やかな紅玉の髪と瞳。背は自分より少し高いかもしれない。シャープな容貌だから、実際よりも大きく見えている気もする。肌は白いが、不思議と生っちろい感じがしない。例えるならそう、漫画に出てくる白豹。そんな感じだ。

「・・・ところでお前、ここの生徒か?」

そいつは校舎を見やりながら、そんな事を聞いてきた。その言葉でアキトはようやく、目の前の人物が、見かけない顔である事に気がついた。

「・・・・・・ああ、そうだが・・・・・・ところで、お前何処の奴だ?」

警戒心モロ出しで聞き返すアキトに、そいつは笑みを含んだ声で答えた。

俺か? 俺は今日引っ越してきたんだ。俺の名は、草薙北斗。お前は?」
「・・・出雲アキト
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「「変な名前。」」

期せずして、同じ本音が同じタイミングで漏れた。きょとん、とお互いを見返す二人。
片方は空手着で木の枝に抱きついており、片方は犬を従えてそれを見上げている。

傍から見ると、きっぱり間抜けな図である。

その事に気付いているのかいないのか、暫くその状態で固まる二人。

とある国ではこの手の空白を「天使が通った」と言うらしいが、今回は別のモノが通っていった。

突風と轟音を伴うその巨大な影は、二人のはるか上空を市街に向けて飛び去っていった。


          ◇          ◇          ◇


「・・・・・・・・・・・・・・・・何だアレ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・さあ?」

別の意味で唖然として、その異形を見送っていた二人だったが・・・・・・街に火の手が上がりはじめるのを見て我に返った。

行動は、アキトの方が速かった。

一息に枝から飛びおりると、猛然と坂を降りていった。少し遅れて、北斗がそれに続く。

「ちょっとアキト君!? 学校に避難命令出てるわよ!?」
「家がどうなってるか見るのが先!!」

途中すれ違った女生徒の悲鳴のような声を一蹴すると、アキトは更にスピードを上げた。

「おい、何処に行くんだよ?」
「家だっつったろ!? お前こそ避難しろよ!」

それにも関らず、北斗はあっさり並んできた。アキトは内心驚きつつも怒鳴り返した。

だが北斗は飄々と答えた。

「俺の方も、家が気になる。・・・急ぐぞ」
「あ、おい!?」

北斗は更に加速する。それを追いかける形になったアキトは、我知らず呟いた。

「ったく、何がど〜なってンだよ?」


          ◇          ◇          ◇


「指示に従って、落ちついて避難してください!」

大パニックの中、警官や自衛官が必死に呼びかける。

だが、落ちついてようが何をしてようが、死の恐怖は容赦なく降り注いでいた。

空に浮かぶ、異形の巨体

そのパラボラアンテナのような顔から光が奔るたび、最新鋭の戦闘機がなす術もなく墜とされていく。

何十発もの対空ミサイルが火を噴くが、奴には全く効いている様子がなかった。

ガルファ機獣。

「GEAR」でそう呼ばれている怪物は、あらゆる機械と融合し、その能力を戦闘力に転化することができるのだ。

このガルファ機獣は、元より戦闘用のレーザー衛星と融合している。その破壊力は、想像するだに恐ろしい。

ある程度の知能はあるらしく、今のところ戦闘能力のある物体を優先的に攻撃しているようだが・・・・・・脅威対象が無くなれば無差別攻撃に移行することは、既に初動で明らかだった。

だからこそ防衛軍は、勝ち目のない戦いを続けているのだ。

一つでも多くの命が逃げられるよう、文字通り命をかけて。


          ◇          ◇          ◇


「・・・くそっ、こりゃダメだ!」

吉良国ガイは、拳を愛車のハンドルに叩き付けた。

周囲は、どうしようもないくらい大渋滞である。

1kmほど前方でハデにドンパチやってるのだから、当たり前であった。

「こうなったら!!」

ガイは車から飛び出した。長身を躍らせ、ガードレールを一息に乗り越える。

と、その時。

「うわきゃぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
「ぐぁっ!?」

ちょうど避難してきた群衆に、ガイは見事に轢き逃げされた。

間の悪い男である。


          ◇          ◇          ◇


「隊長! 事件です!!」
「・・・カズシ。いい加減でその呼び方、直す気はないのか? 見ろ。ご近所の皆様方がお前『何者?』って顔で見ているぞ」
「そんな事言ってる場合じゃないんですってば! それになんで自分だけなんですか!?」
「決まってるだろうが。お前が一番目立つからだ」
「たいちょお〜〜〜〜〜〜ぅ・・・・・・」

幅広の肩をがっくりと落として、カズシは日本海溝よりも深いため息をついた。

シュンの部下である彼は、街の騒ぎを取材するため、上司を呼びだしに来たのだ。

是非とも来たかった、と言えば大嘘なのだが。なんだかんだ言っても、シュンは社内一の敏腕記者である。其処は純粋に尊敬していたし、何より自分一人でこんな大事件を扱える自信はない。そんな訳で、カズシは上司を呼びに行くことを、そんなには嫌がっていない。

もっとも毎度毎度自分で遊ぶのは、正直勘弁して欲しかったが・・・・・・ないものねだりなのは間違い無い。

「・・・ま、来るだろうなぁ、とは思ってたんだ。全く、引っ越しもゆっくり出来ンとは因果な商売選んだもんだぜ。・・・と言うワケだから、すまんが舞歌・・・舞歌?

シュンが振り返ってみると・・・・・・ついさっきまでカウンターにいたはずの妻の姿は、何処にもなかった。

 

         ◇          ◇          ◇

 

へくちゅ! ・・・・・・誰かしら? 私の美貌を噂するのは♪」

赤いバイクを駆る女性が、自意識過剰なことを呟いた。

ライダースーツにしては生地の薄い服からは、確かに見事なプロポーションが見て取れる。

だが、その顔はフルフェイスのヘルメットに阻まれてみえない。たとえ覗きこんだとしても、見えるのは顔上半面を覆うバイザー状の仮面だけであろう。大した念の入れようだが、それだけの理由が彼女にはある。

「さて・・・・・・そんな事より、っと」

片手を離して前面のコンソールを操作。すぐさま仮面に内蔵された通信機が連動し、秘密回線が開く。

そして女性は、簡潔に言った。

「ベガです。・・・状況は?」


          ◇          ◇          ◇


「ベガ君か! 今何処だ?」

ジンは『待ち人』からの連絡に、勢い込んで応答した。

「現在K−22エリアです。ポイント"N"には10分ほどで到着できると思います」
「そうか・・・・・・現在ガルファ機獣は、16機が防衛ラインを突破。各地で防衛軍が交戦中だが、そう長くは持たん! 急いでくれ!
「了解」

冷静かつ簡潔な返答を残し、ベガはスクリーンから消えた。

ジンは机上の地図に目を落とし、呟いた。

「後は吉良国か・・・・・・吉良国からの連絡はないか!?」
応答ありません。周辺道路の状況から考えて、徒歩に切り替えたものと思われます」
「くっ! この肝心な時に携帯通信機を忘れていくとは・・・・・・奴は何をやっている!?


          ◇          ◇          ◇


「心配すンな、ハカセよォ! ヒーローは、最後にバシッと決めりゃあいいのさ!!」

当の吉良国ガイは、何やら狭い路地を這い進んでいた。

小学生ですら、普通には歩けない狭さである。かなりの長身であるガイでは、入り込むことすら相当に困難であっただろう。

実際、両側から壁に擦られて、彼の服は真っ白である。

「・・・ふっ。ロボットに乗込むまでに苦労するのは、無敵過ぎる主役メカに乗る者の定め! 今オレが苦労してるのがその証拠だぁッ!!」

・・・何やら先程から一人で喚いているようだが、そこはかとなく自分に言い聞かせているような節がある。

まあ、そうでもしなけりゃやってられないのは確かだろう。

・・・・・・それ以前に、この男は何だってこんなところに入り込んだのであろうか?

「ふっふっふっ・・・・・・見てろよォ、まずはゲキガンパンチの一撃で雑魚一匹始末してびびらせて、そこで口上! 『正義と熱血の無敵ロボ! ゲキガン』」ぼちゃん
「わーっ!? 誰か川に落ちたぞーッ!?」

どうやら白昼夢に浸っているうちに、路地が終わっていたようだ。

彼も終わっていそうだ、とは思っても言わないのが、武士の情けというものである。


          ◇          ◇          ◇


「・・・え〜っと、草薙・・・君?」
「北斗でいい。・・・で、なんだ?」

既に避難が完了したのか、誰もいない大通りの交差点。

アキトは、突然立ち止まった北斗の背に声をかけた。

「じゃあ北斗・・・・・・君の家って、どこら辺なの?」

アキトがこんなことを聞くのも当然で、この辺は所謂オフィス街なのだ。住むようなところではない。

その問いに対し、北斗は簡潔に答えた。

「知らん。」
「・・・・・・・・・」

絶句するアキト。そんなアキトの様子を見て、北斗はやや言い訳がましく付け加えた。白皙の頬に、うっすらと紅が差している。

「・・・・・・俺は、今日越してきたばっかりだ、と言っただろう? 誰だって、初めての道が解らないのは仕方がないだろう?」
「・・・だったら、何しにこっちに来たんだよ!? しかもあんな自信たっぷりに突っ走っちゃってさ!?」
「・・・そ、そういうお前こそ、何だって付いて来た? お前の家こそ、何処にある?」
「お、俺はお前が変な方に行くから、なんだか勢いで付いて来ちまったんだよっ! 文句あッか!?」
「な、なんだお前だって人のこと言えないじゃないか!? そもそも変だと思ってたんなら、どうして言わない!?」
「お、お前が迷ってたなんて解るワケ無いだろ!? 大体お前、
迷子だっていう自覚あるのか!?」
ま、迷子って言うなぁッ!! 遊園地で泣いてるガキみたいじゃないか!?」
「今の状況、それと
何処が違うんだよ!? 放送してもらえれば何とかなるだけ、そっちの方がなんぼかマシだっ!!」
「な、なんだとーーーーーーッ!!?」
「なんだよっ!!」

先程までとは違う意味で真っ赤になって、アキトに詰め寄る北斗。アキトも負けじと、至近距離でにらみ返す。

と、その時、声が聞こえた。


          ◇          ◇          ◇


「・・・・・・泣き声、か?」
「・・・・・・泣き声、だよな?」

声のする方を向き、呟く北斗とアキト。

「・・・・・・行って、見るか?」
「・・・・・・行って、見っか?」

何故かそのままの体勢で会話する二人。

どうも出会ってから、この二人の会話には妙な呼吸というか空気があるようだった。

だが当人たちは全く気にすることなく、とゆーか気付きもしないで駆け出していった。


          ◇          ◇          ◇


「うわあぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん、ママぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!」

果たして、確かに泣き声であった。

アキトは泣いている少女を見つけると、駆け寄ってその前にしゃがみこんだ。

「どうしたんだい? 大丈夫?」

目の高さを合わせて、優しく聞く。その女の子−−−−−−小学校にも上がってないだろう、小さな娘−−−−−−はしゃくりあげつつ、涙と鼻水でぐしゃぐしゃの顔を上げた。

が。

アキトと目が合った瞬間何故か女の子は凍りついた。

「・・・おい。この娘、大丈夫か? 顔が真っ赤だぞ?」
「ああ、大丈夫だろ? よくわかんないけど。

隣で所在無さ気にしていた北斗が聞くが、アキトはあっさりと言いきった。・・・もしかしてこの現象、アキトにとっては日常茶飯事なのだろうか?

「・・・ねえ、君、名前は?」
・・・・・・・・・メティ

指で涙を優しく拭いつつアキトが訊くと、女の子は夢見心地の体で答えた。・・・・・・しかし、この手慣れた手際・・・・・・本当に小学生なのかアキト?

「どうしてこんなところに居るの? お母さんとはぐれちゃった?」
・・・・・・・・・うん
「そっか・・・・・・よし、兄ちゃんが連れて行ってやるからな。ほら、乗んなよ」

言って背を向けるアキトの肩に、手が置かれる。振り仰ぐと、どことなく柔らかい表情の北斗がいた。

「・・・俺が運ぶ。お前は道案内を頼む」


          ◇          ◇          ◇


「・・・長官。『GEAR戦士』はまだかしら?」

司令室に入ってくるなり、白衣の女性はそう言った。

「・・・・・・イネス君か。今、吉良国とベガ君が向かっている。恐らく、後10分ほどで起動するはずだ」

ジンはちらり、と振り返ると、呟くようにその女性−−−−−−技術部長・イネス=フレサンジュに答えた。

「それは楽観的に過ぎる、と言うものではないかしら? 敵は既に、秘密地下格納庫に接近しつつあるわ。コレがどう言うことか解る? 時間がないから一言で説明するけど、敵は防衛隊の動きから、こちらがもっとも近づいて欲しくない場所、つまり高価値目標を突き止めたのよ。敵の知能は、非常に高いと見るべきね。そんな連中が、避難する人々と逆行する人間を見つけたらどうするか? 恐らく、潜在的脅威を排除しようとするでしょうね」

随分と長い一言を一気に言い放つと、彼女は冷然と胸をそらした。首の後ろで束ねた金髪と、切れ長のアンバーの瞳が、研究者然とした風貌にベストマッチしている。彼女ほど『博士』の呼び名に相応しい女性は、そうはいないだろう。

「・・・・・・・・・だが、我々の勝ち目は『GEAR戦士』以外には有り得んのだ」

苦渋の表情で、ジンが言う。

「我々に残された最後の希望、『GEAR戦士・撫子』以外にはな・・・・・・」


          ◇          ◇          ◇


「うわやべえ! こっち来やがった!!」
「・・・隠れるぞ! こっちだ!!」

避難所とはまるっきり別方向をうろちょろしていたアキトと北斗、それからメティはガルファ機獣に見つかってしまった。

奇しくも某所の地下で、某女史が(当人にとっては)極めて短い説明をした途端、であった。

だがそんな事は取り敢えず、数百トンの圧倒的質量に、ひょいと飛んでこられている3人には関係ない。あたふたと近場で一番大きな建物、『星見市民体育館』へと逃げ込んだ。

だが、既に彼らを発見していた機獣は、哀れで脆弱な人間たちを見逃そうとはしなかった。

体育館の近くまでのし歩く。ゆっくりと、肉食獣が獲物を追いつめるように。

「・・・ちくしょう! 追ってくるぞ!?」
「走れ走れ走れ走れッ! とにかくひたすらなによりすなわち、何でもいいからとにかく走れーーーーーーッ!!」

必死になって逃げるアキトたち。だが、そんな彼らをいたぶり楽しむかのように、機獣は無造作な−−−−−−机に手を置くような手軽さで、その鋼鉄の翼を振り下ろした。

只の一撃で、鋼鉄製の梁が折れ、強化グラスファイバーの天井が砕けた。

1個数百キロもあるライトが爆弾のように落下し、瓦礫と鉄骨の破片が雨霰と降り注ぐ。

「「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」」

3人と一匹の姿は、圧倒的質量のシャワーの中に消えた。


          ◇          ◇          ◇


・・・・・・いっつつつつつつつつつ・・・・・・おい、生きてるか?」
「・・・・・・ああ、たぶんな」

耳をつんざく落下音が収まってから、アキトと北斗はお互いに声をかけあった。

「ちっくしょー、むっちゃくちゃしやがって・・・・・・死んだらど〜すんだよ? まったくもう」
「・・・どうもしないと思うぞ? そもそもあんな奴が菓子折持ってきたって願い下げだ。大体あのサイズでは門前払いするしかないしな」
「・・・・・・何バカなこと言ってんだよ、こんなときに・・・・・・」

どうやら本格的にセンスがズレているらしい北斗に、呆れ果てるアキトである。

「・・・あ、ところでメティちゃんは!? 無事か!?」
「ああ。気絶しているだけだ。瓦礫の類いも多分当たってないはずだ」
「多分って・・・・・・まあ、しゃーないけどさ。ってそーいやあのバケモンは!?

今更ながらに思い出し、慌てるアキト。身体を起こそうとするが、ほとんど動かせない。どうやら、積み重なった瓦礫の隙間に填まってしまったらしい。北斗の方を見ると、似たような状態のようだ。

ズシーン・・・ ズシーン・・・

凄まじい重量が大地を踏みしめる音に、二人は戦慄した。なんとか脱出しようともがくが、所詮は小学生の力である。まるで抜け出せる気配がない。

ズシーン・・・ ズシーン・・・

音は容赦なく、一定のリズムで迫ってくる。見ることのできない恐怖が、絶望と名を変えて二人の心臓をわしづかみにする。

「ちくしょう! ちくしょう! ちくしょう!! なんなんだよ!! なんだってんだよっ!!!」
「くそっ! くそっ! くそぉっ!! 抜けろ! 外れろ! うごけぇえぇぇぇぇぇぇっ!!!」

ズシーン・・・ ズシーン・・・

音は一定のリズムを刻みつづける。圧倒的な響きと単調なリズムが、《ちっぽけなお前らごときが何をしようが、オレを揺るがすことなど出来ん》とあざ笑っているかのようだ。

「ちくしょうっ! あっち行きやがれバケモンっ!!」
「・・・くっ! こうなったらこの娘だけでも! ケン! 頼む!!」

胸に抱きかかえていたメティをケンの背中に載せ、北斗は出口を指差した。

「行け! 行くんだケン!!」

北斗が困惑したように鳴くケンを叱り飛ばすと、ケンは弾かれたように駆けていった。

それを安堵と諦観の混じった目で見送ると、二人は再びじたばたと暴れだした。

「このっ! くのっ! ふんぬぅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
「うりゃっ! おりゃっ! でぇやぁ〜〜〜〜〜〜〜〜!!」

だかやはり、小学生の力ではいかんともしがたく。

遂に二人の上に、巨大な影が落ちてきた。

「「ちっくしょう! こんの馬鹿野郎ーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!」」


          ◇          ◇          ◇


その瞬間。

何処かで、何かが目覚めた。


          ◇          ◇          ◇


最初は、バケモノがまた力任せの一撃を、見当外れな所に叩き付けてきたのかと思った。

次に思ったことは、モグラ戦車か何かが、自分たちを助けに来たのかと思った。

ここ数十分はハリウッド並みのスリルアクションだったから、そんな展開もアリだろう。



だが現実は、もっと荒唐無稽だった。



「うわわわわわわわわわわ、ななななななんだこいつ!?」
「手!? 腕!? こいつ、ロボットか!?」

そう。

突如として大地が裂け、轟音と共に白い「巨大な何か」が迫り出してきたのだ。

デカい。

アキトと北斗が並んで手を広げたよりもなおデカい、白い盾のような顔。

その下には大きく迫り出した胸が続き、左右には鉄球のような肩がくっついている。

バキバキと床を破壊しつつ二人をすくい上げた掌は、小学生とは言え、ひと一人をすっぽりと握りこめてしまうサイズだった。其処から続いている筒状の腕は、ライトバン一台を丸々入れて未だ釣りが来る。

「うわーーーーーーっ、はなせぇーーーーーーーーーっ!!」
「なんだこいつ!? なんだこいつぅっ!?」

そしてその『巨人』は何を思ったか、四角い胸を開けると、パニックの人を中に放り込んでしまった。


          ◇          ◇          ◇


「・・・・・・な・・・・・・なんで起動してやがる!?」

吉良国ガイは、目の前で起こっていることが信じられなかった。

ようやっとで辿り着いた目的地にはガルファ機獣が居座っているわ、決死の思いで飛び込んでみれば女の子を乗せた犬に押し倒されるわ。

極めつけが、自分の相棒となるべき『巨人』、『GEAR戦士・撫子』がその勇姿を白日の下に晒しつつある。誰も乗ってないのに。

否。

誰も乗っていなかった、と過去形にすべきだ。

『撫子』が、子供二人を胸のコックピットに放りこむのを見たからだ。

「・・・・・・ちっくしょう! 一体全体何がどうなってやがる!? 誰か説明しやがれッ!!」


          ◇          ◇          ◇


「説明しましょうっっっ!!」

何故かは知らないが、ものごっつ嬉しそーにイネスが宣言した。

ちなみにこれまた何故かは不明だが、オペレータの一人が頭を抱えて突っ伏しており、イネスを除くその場の全員が冷たい眼差しを突きたてていた。

「そもそも『GEAR戦士・撫子』は我々の知らない技術、所謂オーバーテクノロジーの産物。故に何が起こっても不思議じゃない、とあっさり思考停止してもいいんだけど、この非常事態にそれは愚の骨頂。今までの研究の範疇で当たり障りのない部分で説明すると、『撫子』には一種のプロテクトもしくは安全装置のようなものがあるらしい、と言うことが解っているわ。つまり、兵器である『撫子』にはある判断基準がプログラムされていて、それに適合しない人間では動かせないような仕掛けがある。それを一歩進めて考えると、自らにとっての重要人物、即ちパイロットを可能な範囲内で護衛するようになっていても不思議じゃないわ。ここから先は学術的推論になるんだけど、そもそも『撫子』が運用されていた環境が・・・・・・」

「・・・メグミ君。済まんがもう少し詳しく状況を報告してくれ」

いつの間にやらイネスの側から避難してきたジンが、おさげにそばかすの女性オペレータに声をかける。予想していたのか、メグミと呼ばれたオペレータは、淀みなく報告を開始した。

「はい。『撫子』が格納されていた地下研究所の直上に、ガルファ機獣が来襲。地上施設である市民体育館を破壊。その際『撫子』が起動、地上に出現。現場にいた民間人の子供3名の内2名を内部に取り込み、その後沈黙しています。なお、残りの子供1名は吉良国さんが保護しています」
「・・・・・・ううむ。マズイな・・・・・・」

ジンは、思わず唸り声を上げた。

何しろ、最後の切り札が事実上「使えなく」なってしまったも同然なのだ。

ほぼ立ちあがった『撫子』のコックピットは、地上十数メートルの高さだ。ただでさえ乗込むのが困難なのに加え、ガルファ機獣のビーム攻撃が雨あられと浴びせかけられている。

どんな超人でも、近づくだけで即死間違いなしである。

それでも、司令官たるもの何か方策を立てなければならない。たとえ万策尽きてもだ。

と、そんなとき。

「私が話をします。『撫子』に通信を繋いでください」

天恵が、金髪美人の姿でやって来た。


          ◇          ◇          ◇


「ちっくしょぅっ!! なにがどうなってる!? なんでこうなんだよっ!?」
「・・・・・・無駄に暴れるな。いざという時疲れて動けなくなるぞ。それより何より、うるさくて敵わん」

アキトと北斗は、放り込まれた『撫子』内部で対照的な状態であった。

『撫子』コックピットは右胸と左胸に仕切られており、内部で片方へ移動することはできない。仕切りにはディスプレイが付いており、それでお互いの顔を見ることくらいは出来るのだが・・・・・・それが幸か不幸かは、今現在においては微妙であった。

「なんでお前はそんなに落ち着いてられンだよっ!? オレ達バケモンに捕まっちまったんだぞッ!? 解ってんのかお前!?」
「・・・お前お前とがなるな。普通の声でも十分聞こえる。・・・今のところ、こいつはオレ達に危害を加える気はなさそうだ。いやむしろ、守ってくれてるようだぞ?」

そう言って北斗は、正面に目を向ける。大画面のメインディスプレイには、ひっきりなしにビームを打ち込んでくる機獣の姿が、小さく映し出されていた。ほんの僅かに伝わってくる振動が無ければ、特撮でも見ている気分になってくるだろう。

「だからってなあ!! ヤバい状況には変わんないだろうが!? オレ達閉じ込められてて逃げらんないンだぞ! いつまで持つか解んないんだぞッ!! 神経付いてんのかお前!?」

ここまで言われて、流石に北斗もかちんときた。

「・・・・・・お前お前と、うるさいと言っただろう? 喚くしか能がないんだったら、俺の聞こえないところでやれ」
「ほーぅ。何処で? どうやって?」
「そんなこと知ったことか。自分で考えろ」
「言ったのお前だろ!? だったらお前が考えろよ!」
「・・・いい加減、うるさいぞ。放り出されたいか?」
「やれるもんなら是非ともやってみやがれ、この馬鹿!!」
馬鹿!? 馬鹿だと! 貴様、俺のこと馬鹿だといったな!!」
「おー、言ったがど〜した。
ばーかばーか
「また言いやがったなしかも2回も!!」
「ほー何時言った〜? 何年何月何日何曜日何時何分何秒?
知るかそんな事!! そもそもそんなこと解ったからなんだというんだ!?」

果てしなく低レベルにヒートアップして行く二人。このまま延々と、不毛な言い争いへと突入するかと思われた矢先に、何処からともなく仲裁者が現れた。

『二人とも、聞こえる!?』


          ◇          ◇          ◇


「「誰?」」

全く同時に、声のする方を向くアキトと北斗。仲がいいのか悪いのか、よく解らない二人である。

「私の名はベガ。地球防衛組織『GEAR』に所属する者よ」

二人の視線が注がれる正面ディスプレイには、小さく通信ウィンドゥが開いていた。其処に、舞踏会で付けるような仮面をした、金髪の女性が映っている。

「ベガ・・・・・・さん?」
「ギア・・・・・・だと?」

とまどう二人に構わず、ベガは言葉を続ける。

「さぞ驚いたことでしょうね? でもそれはこちらも同じだわ。理由は正直解らないけれど、『撫子』があなた達を選んだのだから、あなた達にやってもらうしかないの・・・・・・まずは、姿勢正して!
「「はいっ」」

二人は半ば反射的に、ベガの号令に応じて背筋を伸ばす。

すると二人の周囲に張り巡らされたパイプに手足が当たり、僅かに動いた。


ギィンッ!!


おお、見よ! 『撫子』の盾のような顔のスリットの奥に、力強い輝きが灯ったではないか!

体育館の屋根に預けていた背を起こし、ゆっくりと、完全に立ちあがる。床から足を抜き、地上を踏みしめるその勇姿よ!

胸から続くシンプルな腰回りは、あらゆる戦闘においてもっとも重要な、体重移動と柔軟性を保証し。それを支える大木のような脚には、腕と同じような、巨大なタービンシリンダーが填まっている。

嗚呼、何と言う圧倒的な存在感か。

手足のタービンと鉄仮面のような頭部のせいで、その姿は一見ローマの奴隷戦士を思い起こさせる。だが全身を支配する、気高き調律。それがこの鋼鉄の戦士を『闘神』と呼ばわしめるに足ると、誰もに納得させるであろう。

そう、ガルファ機獣でさえ怯ませる、鋼鉄の迫力!

その名は『撫子』!

人類最後の切り札!!

『GEAR戦士・撫子』、大地に立つッ!!!


          ◇          ◇          ◇


「次は、あなた達の周りに、健康器具みたいなものがあるでしょう? それに手足を通して」
「・・・・・・これか?」
「・・・・・・こうかな・・・・・・っと」

ベガの指示の通りに、先程身体に当たったパイプ−−−−−−モーショントレーサに手足を通す。

「はい、それでオーケーよ・・・・・・次は、いち、にの、さんで右足を踏み出して。二人同時にね?」
「「いち、にの・・・さん!」」

ギュオゥゥゥゥゥゥッ・・・・・・ズシィン!

二人の動きそのままに、『撫子』は右足を上げ、再び大地を踏みしめる。

「次は左足よ」
「「いち、にの・・・さん!」」

ギュオゥゥゥゥゥゥッ・・・・・・ズシィン!

またも二人の動きに追従し、『撫子』は左足を振り上げ、降ろす。

「そう、その調子よ!」
「「いち、にの・・・さん!」」

ギュオゥゥゥゥゥゥッ・・・・・・ズシィン!

『撫子』はゆっくりと、しかし確かな足取りで歩いてゆく。

「「いち、にの・・・さん!」」

ギュオゥゥゥゥゥゥッ・・・・・・ズシィン!

目の前の敵、ガルファ機獣に向かって。

「「いち、にの・・・さん!」」

ギュオゥゥゥゥゥゥッ・・・・・・ズシィン!

機獣はというと、初めて現れた、自分と同格、あるいはそれ以上の存在に警戒しているのか、身構える素振り以外は何のアクションも起こしてはいない。

「「いち、にの・・・さん!」」

ギュオゥゥゥゥゥゥッ・・・・・・ズシィン!

『撫子』は進む。

全身にパワーを漲らせ、あらゆるモノを圧倒して。

「「いち、にの・・・さん!」」

ギュオゥゥゥゥゥゥッ・・・・・・ズシィン!

そして『撫子』は、ガルファ機獣の横を素通りして行った。


          ◇          ◇          ◇


『・・・・・・・・・は・・・・・・・・・?』

目が点になる地球防衛隊一同。

時が止ったよ〜な感覚に囚われるが、勿論それは錯覚でしかない。

『撫子』はずんずん突き進んでいる。もう機獣からは100m以上離れたところにいて、その距離は尚も拡大中である。機獣の方もあっけにとられたのか、只『撫子』の後ろ姿を眺めているだけだった。

「・・・・・・はッ!?」

そんな固まった空気の中、最初に我に返ったのはベガだった。

「ち・・・ちょぉーーーーーーっと待ちなさいッ!!
「・・・ん?」
「・・・はい?」

『撫子』の二人は、突如何やら叫びだした金髪の女性を見やった。同時に、大分慣れてきた二人三脚も一時中断する。

あなた達! 一体なぁぁぁぁぁぁにやってんのよ!?
「何って・・・・・・
こうやって逃げろってことじゃないの?」
「・・・うむ。それ以外に思い付かんな」

彼女が何をエキサイトしてるんだかさっぱりわからないアキトは、正直に思うところを言った。横では北斗が、したり顔でうんうん頷いている。

「何いっちゃってくれちゃってるのよッ!? 『撫子』は戦士なのよ! アレと戦わないでどぉぉぉぉぉぉすんのッ!!」
「「・・・・・・・・・えぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!??」」

いきなり無体なことを言いだす女性に、二人は全身で悲鳴を上げた。

「・・・・・・ちょ・・・・・・ちょっと待てい!!」
「そんな無茶な! 見たことも聞いたこともないのに出来る訳ないよっ!!」
「そうだッ! そもそもマニュアルは何処にあるんだ!? いやそれより何よりここを開けろッ!!」
「そうだそうだっ!! ら、ら、らち・・・そう、
ラチカンキンで訴えるぞッ!!」
「・・・あ、あのね、あなた達・・・」

二人がかりの嵐の抗議に、ベガはややひるんだ。

だが、ここで二人を降ろせば却って危険だ。

そう判断し、二人を説得しようと口を開いた刹那。

業を煮やしたのか、ガルファ機獣が『撫子』に飛び掛かって行くのが、視界の端に見えた。


          ◇          ◇          ◇


「右腕振り上げてッ!!」
「「はいっ!」」

反射的にでた、有無を言わさぬ叫び声に、二人はこれまた反射的に従った。

ブゥンッ!!

瞬間、『撫子』の鋼鉄の拳が振り上がり、飛び込んできたガルファ機獣に驚天動地のカウンターパンチが叩き込まれる。

命中!

ドグシャァッ!!

「ギシャアァァァァァァァァァッ!!」

機獣は奇怪な叫びを上げ、ひとたまりもなく吹き飛ばされた。

優に500mは宙を飛び、地面に接触しても未だ止まらない。

そのままアスファルトを削り瓦礫をまき散らし、半壊した市民体育館にぶつかって漸く止った。

何と言う凄まじいパワー!

「す・・・・・・すげぇ・・・・・・」
「・・・・・・ああ、まったくだ・・・・・・」

自分たちが操る巨神の超絶パワーに、ロクに言葉がでない。

「コレで解ったでしょ? その中が、一番安全なのよ・・・・・・さて。正面のコンソールの上に、ゲーム機みたいなものがあるでしょ? 手にとってみて?」

二人が無事だったことにほっとしつつ、ベガはここぞとばかりに指示を続けた。半ば呆然としている二人は、素直に言われた通りにした。

それは、確かに携帯ゲーム機ほどの大きさだった。

ただ、金属ともラバーとも付かない質感があり、妙に手に馴染む。ずっしりとした手応えの割には、ずっと持っていても余り疲れる気がしない。

「それに、これから言うコマンドを打ち込んで。コマンドの入れ方は、真ん中のリングを動かして選択、横のボタンで決定よ。いい?」

他にどうしようもないので、黙って頷く二人。ベガは一つ頷くと、予告していたコマンドを言った。

「Aが1回、LRが2回、LLが1回、ENTER!」


          ◇          ◇          ◇


「・・・A、LR、LR、LL、っと」
「・・・・・・むう。何だ? この
『FILE SAVE』だの『SP1』だのは?
 それにリングが大きすぎて動かしにくいぞ?」

手際よくコマンドを入れて行くアキトに比べ、北斗はもたもたとあちこち弄り回している。

「・・・え〜っとENTERは・・・これだなっ、と」
「・・・・・・なあ。
間違えて入れた場合はどうなるんだ?」

ベガはそんな二人−−−−−−何故か北斗の方を見て盛大に溜め息をつくと、気を取り直したかのように表情を引き締める。

「・・・・・・えっと、それじゃあ入れ終わったキミ。中央のパネルの穴にそれを押し込んで。それから北・・・・・・じゃなくて其処のぶきっちょなキミ。リングは本体を右手だけで持って、親指で操作するとやり易いわ。それから間違えた時は『CLEAR』を選択してボタンを押せばやり直せるわ。他に質問は?」
「・・・・・・えっと・・・・・・ああこれだな」
「・・・・・・む。こうか?」

ガキュン!

アキトが手のゲーム機もどき−−−−−−ギアコマンダーをパネルに押し込む。
するとリング中央の小型ディスプレイに「COMMAND UP」と表示され、きちんと接続できた事が示された。

一方の北斗はと言うと。

「・・・・・・むう。いつまで廻せば『A』が出てくるんだ?」
「こらこら、あなた廻しすぎ! もっとソフトに、丁寧に!」
「そうは言ってもな・・・・・・む、
今一瞬でたぞ」
「こらこらこらこらぁっ! だからそんな一遍に廻すなって言ってるでしょぉっ!?」
「大丈夫だ。こいつに表示されるものは大体覚えた。後は其処を狙って廻すだけだ」
「それが出来てないんでしょうがそれが!!」

謎の金髪女性と漫才していた。

「・・・・・・・・・ナニやってんだか。」

アキトは呆れ返って視線を正面に戻した。そしてディスプレイの片隅に開いているウィンドゥを何気なく見やって。

そして、凍りついた。

いつの間にか立ちあがったガルファ機獣が、今まさにジャンプしてこようとしていたのだった。


          ◇          ◇          ◇


「おい!! ヤバいぞ! あいつ復活しやがった!!」

一瞬で我に返ったアキトが、あらん限りの声で叫ぶ。

間に合わない!? 二人とも、衝撃に備えて!!」

ドガァン!!

「「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」」

ベガが叫んだ瞬間、二人を猛烈な衝撃が襲う。

機獣が『撫子』の背中を殴り付けたのだ。

『撫子』の巨体は木の葉のようにきりきりと空を舞い、背中から落下した。

ズドォン!

「「ぐっ!」」

轟音を上げる『撫子』にのしかかり、ビーム砲を突きつける機獣。

その目の前に迫った恐怖に、アキトは悲鳴を上げた。

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! もうダメだぁ!!」
「やかましい! 気が散る!!」

隣では、北斗があの衝撃でも取り落とさなかったギアコマンダーに、必死でコードを打ちこんでいる。相も変わらず豪快にリングを廻していたが、ヒット率は何故か格段に上昇しつつあった

そして、機獣のビーム砲が最大パワーに達した刹那。

「これでどぉだあっ!!」

北斗のコマンドが完成し、コマンダーをパネルにねじ込んだ。


          ◇          ◇          ◇


刹那、アキトは妖精を見た。

上部ディスプレイに一瞬、少女が映ったような気がしたのだ。

長い黒髪に金の瞳。ひとに在らざるその瞳がアキトの黒い瞳と交錯し、微笑む。

遠い遠い昔−−−−−−ひとの一生が終わり、生まれ変わり、国が興り亡ぶ。そんな果てしない時と空間を越えて、ようやっと巡り合えた。

そう思わせるような、万感の篭った笑みだった。

「・・・君は・・・いったいぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!?

既に何も映してはいない画面に、アキトが語りかけようとした刹那。

猛烈なGが、横殴りにアキトに襲いかかった。


          ◇          ◇          ◇


「わあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!?」

突如、『撫子』が横滑りに動きだした。

機獣の片足を払い飛ばし、放たれたビームが見当違いの大地を灼く。

「今よ! 立ちあがって!!」

ベガの指示を受けて、二人はなんとか起き上がろうと試みる。上半身を起こし、片ひざを付いた瞬間、Gのベクトルが変化する。

『撫子』がその場で回転を始めたのだ。

「うわーーーーーーーーーっ、なんだこりゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
「ぐぅっ!? 一体なにがどうなってる!?」

北斗は足元が見えるよう、上半身を更に折り畳む。

『撫子』がその動きを再現し、ディスプレイに足元が映し出される。

「これは・・・回転している!?」

そう。

映し出された『撫子』の足に填められたタービンが、目にも留まらぬ速さで回転しているのだ。同じ速度で大地も・・・・・・否『撫子』も回転しているので、あんまり見続けていると吐き気を催しそうだ。

「そうか・・・・・・さっきの操作は、こいつを動かすためのものだったのか」
・・・うげぇぇぇぇぇぇぇぇぇ・・・如何でもいいから止めてくれえぇぇぇぇぇぇぇぇぇ

青い顔でうめくアキトをしりめに、うんうんと納得顔で頷く北斗である。

「・・・まあ、原因が解れば対処は簡単だ。アキト、完全に立ちあがれば回転は止るはずだ」

だが、何時までもこの状態と言う訳にも流石に行かない。北斗はアキトを横目で見ると、いつもの落ち着いた声で語りかけた。脱水機もかくや、なシェイク状態で大したものである。

・・・・・・お・・・・・・おう・・・・・・
「それじゃ行くぞ・・・
いち、にの、さん!


          ◇          ◇          ◇


ギュウン!!

二人の動きを受けて、『撫子』は立ちあがった。

回転エネルギーが方向を変え、400トンの巨体が宙を飛ぶ。

ズドォン!!

そして、着地!

ガッ・・・キャンッ!

おお、見よ!

盾のような鉄仮面が跳ね上がり、その下から顔が現れたでは無いか!

アメフトのヘルメットのような紅いフェイスガードの下には、ギリシア彫刻のような精悍な顔があった。

これこそ、『撫子』の真の姿!

完全戦闘モードの闘神だ!

ゆけ! 戦え! 『GEAR戦士・撫子』!!


          ◇          ◇          ◇


「二人とも! 大丈夫!?」
「ああ。問題無い
・・・・・・な、なんとか。」

ベガは二人からの元気(?)な返事に、一安心した。

「そう、良かったわ・・・・・・さて、これで一通りの操作は解ったでしょ? そのゲーム機みたいなもの『ギアコマンダー』は、『撫子』の手足のタービンに指示を与えるモノなの。Aが腕、LLが左足・・・・・・」
「大丈夫だ。
もう解った。

ベガの補足説明を遮って、北斗が自信ありげな表情で言った。しかし言われたベガは、何故かジト目であった。

「・・・ホントにぃ〜〜〜〜〜〜?」
「ああ。要するに、さっきのが
当たり目なんだろう? フィーバーすると、横滑りのアクションが発動する・・・・・・パチスロの『えふぇくと』も、遂にここまで来たのだな」

したり顔でうんうん頷く北斗である。

一方、ベガは何かに耐えるように、ふるふる震えていた。

「・・・・・・ちっっっっっがぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁうっ!!!
 一体何処からそんな発想が出てくるのよっ!?
 それにパチスロは自分で廻すもんじゃないでしょ!?
 そんなことができたらもっと早く『開店』できてたわよッ!
 そもそもおかーさんはそんな考え方する子に育てた覚えはありませんっっっ!!」
「・・・・・・誰が母親だ、誰が。」

魂の叫び(そこはかとなく私情入りっぽい)を上げるベガを、呆れた目で見やる北斗である。理不尽な事に。

泰然自若もここまで来ると、ほとんど単なる天然ボケである。

ところでさっきから全然喋らないアキトはと言うと。

「・・・あいつ、完全に警戒してやがるな。どうやら武器は、顔のビーム砲だけみたいだし、動き自体も結構単純のようだ・・・連射してくるビームは当たっても大丈夫みたいだし、懐に入り込めば何とでもなりそうだ。」

さっきの不意打ちに懲り、注意深く敵を凝視していた。

『己を知り、敵を知らずんば百戦危うからず』

母であり師でもある、ホウメイの口癖の一つである。

『戦いなんてモンはね・・・・・・いやどんなことだって、結局は想像力の勝負なのさ。だからアキト、何時でも相手のことを考えな。その時すぐに見返りがなくても、そうすることは決して損にゃならないよ・・・・・・』

耳にタコができるほど、聞かされた言葉。

上っ面だけ捕らえればこの場にそぐわない言葉だが、何故かアキトは、今、この母の言葉を思い出す事に意義があるように感じた。

そう。

考えなくちゃならない。ガルファとやら言う敵の事、今さっき知り合って成り行きで『戦友』となっている北斗の事、今乗っている『撫子』のこと、何処の誰かは知らないけれど『撫子』のことは良く知っているベガの事。

そして、無事であると思いたいメティや家族、ついでに友人たちの事。

だから。

だから、アキトは言った。

目一杯の勇気と、少年らしい無謀さ。それにちょっとだけ冒険心を乗せて。

「・・・・・・なあ、北斗。やろうぜ。アイツをやっつけよう!」


          ◇          ◇          ◇


「・・・・・・・・・なんだと?」

信じられない事を聞いた、と言わんばかりの表情で北斗が振り向く。

「・・・・・・済まんがもう一度言ってくれ。どこぞの金髪女の妄言を聞きすぎて、耳がどうかしてしまったようだ」
「こらっ! 何が妄言よなにがっ!」

女性のツッコミ、聞こえないフリしてる北斗の目をまっすぐに見て、アキトはもう一度繰り返した。

「・・・北斗。俺とお前で、あのバケモンをやっつけよう」
「・・・・・・
正気か!? こんなワケの解らんモンで、今日知り合ったばかりのお前と組んで戦えと? ハッ! 馬鹿も休み休み言え。兵法の『ひ』の字も知らんのかお前は。『天の時・地の利・人の和』と言ってだな・・・・・・」
「そんな事は問題じゃない!!」

呆れはてた顔で講釈をはじめようとする北斗を遮って、アキトは強い口調で言った。思わぬ気迫に、口を閉ざす北斗。

「・・・なあ、北斗。お前は強い奴だと思う。今日知り合ったばっかりだから良くわかんないけど、そんな気がする。そのお前が反対するんだから、ほんとヤバい状態なんだと思う。でも・・・いやだからこそ、今戦わなくちゃいけないんだ! この『撫子』なら、きっとあのバケモンとも戦える! でないと、みんなやられちまうぞ! メティちゃんも、お前も、お前の家族も!!
「っ!!」

アキトの真摯な言葉が、心に突き刺さる。その傷口から、暖かい想い出があふれ出していった。

眠れない夜に、舞歌の唄った子守り歌。

シュンと一緒に、声を嗄らしたW杯。

ケンと初めて出会った、雪の降る街角。

これらが全て、炎の中に消えてゆく。

それは、身の毛もよだつ未来図だった。

・・・・・・許さない。

そんな事が、許されていいはずがない!!

だから。

だから、北斗は言った。

今の自分の全てを賭けて、大事なものを守るため。

「・・・・・・いいだろう。俺とお前で、あの化け物をぶちのめすぞ!」


          ◇          ◇          ◇


「よおっし!! んじゃあいっちょやるか!」
「応!!」

アキトの檄に応え、北斗が吼える!

「「コマンド・インストール!」」

ガキュン!

二人のギアコマンダーがセットされ、『撫子』のタービンが全力回転を開始する!

キュゥイィィィィィィィィィィィィィィィィン!

「「・・・はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・ッ!」」

息吹と共に両腕をかざし、左半身となって構えをとる。タービンの回転によって暴れる手足を押さえつけ、全身のバネをたわめて力を溜める。

『撫子』の周囲は、タービンによって作り出された気流が渦を巻き、近寄るもの全てを飲み込む激流と化していた。

その脅威を見て取ったか、ガルファ機獣が三度飛び掛かる!

今度は単なるジャンプではない。飛行用の推力をも使った全力攻撃だ。

だが!

「「ふんっ!!」」

ドグワシャッ!!

機獣必殺の一撃は、『撫子』の左腕にあっさりと受け止められ、タービンのパワーでへし折られた。

「ギシャアァァァァァァァァァッ!!」

またも奇怪な叫びを上げ、崩れ落ちるように落下するガルファ機獣。

その隙を逃す二人ではない!

グゴォォォォォォォォォォォォォォォォッ!

タービンによって加速された右足払いが、機獣の足元に迫る!

ズドォン!

ギシャーーーーーーーーーッ!?

予期せぬ方向からの攻撃に、機獣は無防備にふっ飛ばされる。

そして!

「「うぉおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!」」

一回転した『撫子』は、その勢いを殺さず、伸び上がるように下からフックを叩き付ける!

ドゴォンッ!!

未だ攻撃は終わらない! そのまま身を捻り、豪快な上段後回し蹴りを叩き込んだ!!

ズガァァァンッ!!!


見よ!! その技、まさに疾風!

息をもつかせぬ連続攻撃、轟く火花の大瀑布!!

名付けて!


「「疾風!! 三!連!撃!!!」」


ドガァンッ!!

ガルファ機獣は、なす術もなく大地に叩き付けられた。僅かに間を置いて、着地する『撫子』。

そして、『撫子』の残心!

機獣の爆発!

ドガァアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!

押し寄せる爆炎に背を向け、胸前で拳と掌を合わせる『撫子』。

それは、強敵への手向けか。

「・・・・・・やった・・・・・・!」
「・・・・・・すげぇ・・・・・・!」

ベガとガイの感歎を巨体で受けて、『撫子』は夕陽の中に雄々しくそびえる。

まさに、鋼鉄の救世主!

無敵の守護神、ここに光臨!!


          ◇          ◇          ◇


「・・・・・・No.11がやられたようですな」

月面・ガルファ前線基地『螺旋城』。

その最深部、中枢ともいえる部屋で、巨大な影が呟いた。

「・・・ほう? この星のレベルで、機獣共を倒せる兵器が存在するのか?」
「現場の画像をこちらに廻せ」

同じ規模の影たちが、口々に言う。

ほどなく、ガルファ機獣が倒された現場−−−−−日本国星見町の映像が影たちの前に映し出された。

当然、倒した『撫子』の姿もある。

「・・・・・・これは!?」
『騎士GEAR』ではないか!?」
「バカな・・・・・・こんなところに
『騎士GEAR』があるはずがなかろう?」

その『撫子』の姿を見て、驚愕する影たち。

だが、『撫子』は『GEAR戦士』。影たちの言う、『騎士GEAR』とは一体?

「・・・あれは、『騎士GEAR』ではない」
「「「お館様?」」」

不意に、部屋の奥から声がした。

今まで騒ぎたてていた影の3倍はある、とてつもなく巨大な「何か」

その「何か」は、ずしりと重い口調で語り始めた。

「・・・あれは、『騎士GEAR』ではない。失われた、もう一つのGEAR。我らが探し求める、鍵となるGEARだ」
「では、伝説の
『データウェポン』も!?」
「『データウェポン』は、GEARと共にある・・・・・・現在惑星表面に展開している、全ての機獣共を差し向けよ! 取り戻すのだ! 全てのGEARと『データウェポン』を我らの手に!」
「「「ははっ!!」」」

巨大な「何か」に、かしずく影たち。

果たして、『騎士GEAR』とは?

『データウェポン』とは、一体何か?

そして、この影たちの正体は?

これらの謎は、今は語るまい。

いずれ否応なく、白日の下に晒されることになるだろう・・・・・・

          ◇          ◇          ◇


「・・・・・・ふ〜。全くどーなるかと思ったけど、何とかなったな」
「・・・・・・ああ。そうだな」

お互い、安堵の笑みをこぼしあう。

アキトと北斗。

今この二人には、一緒に何かを為し遂げたものだけが持つシンパシーがあった。

大きな達成感に満たされた人間は、とても輝いてみえる。

その輝きは、周囲の誰をも幸せにしてくれる。

例えば、某そばかすにおさげのオペレータ。

(・・・・・・かわいい・・・・・・可愛いわーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!
 あっちの赤髪の子もワイルドでいい感じだけど・・・・・・こっちの黒髪の子の、どうしようもなく愛らしいくせに一寸わんぱくっぽい
この笑顔!
 おねーさん、もう
ショタに走りそうよっ!!!)

・・・・・・・・・何気に幸せのベクトルが異なっているようだ。

ちなみに、外見上は「微笑ましく見守るお姉さん」完璧に維持している。見ただけでは、こんなデンジャーな思考をしているなど誰にも解らないだろう。

浅野メグミ18歳。オペレータなんぞやらしておくより、他に天職がありそうである。

「・・・とにかく、二人ともお疲れさま。本当、良く頑張ったわね。」
「・・・・・・へへっ」
「・・・・・・ふ。どうってことのない相手だったな」

柔らかく微笑みかけるベガに、それぞれのリアクションを返す二人。

どこぞのオペレータが、アキトの少年らしい仕草に内心転げ回っていたのは余談として。

「それじゃあ、最後に『撫子』を格納庫に入れてくれ・・・・・・!?」

言いかけて、ベガの笑顔が凍りついた。

10を越える光点が、空の彼方から向かってきたのを見てしまったのである。

          ◇          ◇          ◇

「二人とも!! 気をつけて、新手よっ!!」
「なんだってえ!?」
「・・・来るぞ! 数が多いっ!」

緊張みなぎるベガの叫びに、二人は再び身構えた。

間を置かず、『撫子』を取り囲んで15機の機獣が降り立った。

「ちっくしょう、マジかよ!?」
「まずいな・・・・・・囲まれた。」

油断なく構えつつも、冷や汗を押さえきれない二人である。

どんな達人であっても、同時に複数を相手にすることはできない。威力のある攻撃と云うものは人体の構造上、どうしても1回ずつに限定される。ベクトルが分散してしまったら、その破壊力は半分以下になってしまうだろう。

「・・・どうする?」
「・・・とにかく、一点突破しかないな。今の状況は、限りなく最悪だ。」
「そうだな・・・・・・で、どいつにする?」
「正面のでいいだろう。どれが弱いかなんて、見ただけでは解らん」
「りょーかい・・・・・・んじゃ
先手必勝!
「応!」

手早く方針をまとめ、二人は『撫子』を突進させた。正面の機獣2体が迎撃すべく飛び掛かってくる。

「「おりゃあ!!」」

ズドォン!

「「もう一丁!!」」

ドゴォン!!

『撫子』の鉄拳が唸り、中段回し蹴りが火を噴く!

カウンターでクリーンヒット!!

ドガァァァァァァン!!

2体の機獣は軽々と吹き飛ばされた。その間隙を縫って、包囲網からの脱出を試みる『撫子』!

だが!!

ズビィーーーーーーーーーム!
ドババババババババババババババッ!

背後の機獣が、一斉射撃を開始した!

ズガァァァン!
ドゴォォォン!

「「うわぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」」

ビームのみならず、ミサイルやグレネード弾をも発射する機獣も居る。

さしもの『撫子』も、絶え間なく炸裂しつづける爆炎に翻弄されてしまう。

「・・・・・・く、くそぉっ! これじゃラチが空かねえッ!」
「何か、武器はないのか!?
 
ビームとか剣とか弓とかミサイルとかヨーヨーとかッ!?

進退窮まって、悲鳴を上げるアキトと北斗。

が、少しは期待したベガからの一言は無情であった。

「ないの。」
「「なにぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃッ!?」」

危うし、『GEAR戦士』!!


          ◇          ◇          ◇


「・・・じっ・・・ジョーダンじゃねえぞッ!?」
「全くだッ!! 丸腰で何が『戦士』だッ!?
 いい加減にしないと、本気で俺もぶち切れるぞ!!」
「そーだそーだ!!
 じ・・・じ・・・ジドーギャクタイで訴えんぞ!!?」
「そんなまだるっこしいことせんでも、俺が引導渡してくれるッ!!
 其処の女!! 今すぐここに来いッ!!!」
「二人とも、一寸落ちついて!!」
「「コレが落ちついていられ・・・うあぁぁぁぁぁぁっ!?」」

キレまくる二人を宥めようとするが、状況はそんな悠長な事をやっている場合ではなかった。

ベガは素早く現状を整理すると、ある決断を下した。

それは一種の賭けではあるが、今取りうるベストの選択肢なのだ。

「二人とも! ギアコマンダーにSP1を打ち込んで!!」
「わ、わかった!!」
「お、おう!!」

大地震もかくや、の揺れの中で、二人は必死にコマンドを打ちこむ。

そして。

「「SP1ッ! コマンド・インストール!!」」


          ◇          ◇          ◇


「「SP1ッ! コマンド・インストール!!」」

二人の声が揃い、『撫子』に力がよみがえる!

旋風を纏った腕が爆炎を吹き散らし、ミサイルを叩き落とし、ビームすらも跳ね返す!

オーバードライブするタービンが、空間をも巻き込んでいるのだ!

そして!

グォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」

『撫子』の巨体が舞い上がる!
機獣たちも追って飛び上がる!

ガギィン!

おお、見よ!

バックパックの上部が開き、高温の廃熱が放出される!

リミッターが外れ、莫大なエネルギーが解放されたのだ!

ヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァッ!!

とてつもないパワーは両腕のタービンに流れ込み、周囲に展開された歪空間がオーバーロードで火花を散らす!


そして、見よッ!!

二つの腕を、振り上げて呼ぶ!

裁きの雷、怒りの刃!!

あらゆる敵を打ち砕く、無敵の巨神の究極奥義!


その名も!!


「「閃光ッ!! 雷!刃!撃ッ!!!」」


ヴァオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!

鋼鉄の腕から凄まじい稲妻が迸り、包囲しているガルファ機獣に襲いかかる!

ズガァン!
ズガァン!
ズガガガァン!!

稲妻はなんの抵抗もなく機獣を貫通し、その後ろにいた仲間をも次々と串刺しにしていく!

更に!

「「でぇやぁっ!!」」

ブゥオン!!

『撫子』が腕を、稲妻を振るうたび、機獣が次々と輪切りにされる!

ズバゥッ!
ズバゥッ!
ズバババゥッ!!

青白い電光の照り返しが、『撫子』を凄絶に美しく彩る。

ひとは、そこに伝説の雷神を見た。

荒ぶる伝説が鋼を纏い、東洋の地に今よみがえる!!

「「おおりゃああああああああああああああああああああああああああああああああッ!!!」」

そして『撫子』自身も回転をはじめ、当るを幸い次から次へと薙ぎ倒す!

ドシュッ!
ズドッ!
ガギュギュギュゥン!!

嵐だ。

巻き込まれたら助からない、閃光と鋼の大時化だ。

ほとんど一瞬で、ガルファ機獣が粉砕される!!


そして。


バシュウゥゥゥゥゥゥゥゥゥ・・・・・・・・・

全ての機獣をぶった斬り、『撫子』が動きを止める。

切り裂かれた機獣と、夕暮れと、電光の余韻。

それは、刹那の絵画であった。





瞬転!!

爆発!
爆発!!
また爆発!!!

15の機獣が一斉に火球と化す!

ズガガガガガガガガガガガガガガドガァアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァンッ!!!!!

炎の衝撃波が波紋のように広がり、人々に戦いの終焉を告げてゆく。

それは、勝利の鐘の音!

文句なしの大勝利!!

人類最後の希望、『GEAR戦士・撫子』!

圧倒的に、強しッ!!


          ◇          ◇          ◇


「・・・・・・やった、のか・・・・・・?」
『ええ。地上に降りて来たガルファ機獣は、今ので全部よ・・・・・・お疲れさま』

警戒を解かずに呟くアキトの前に、新たにウィンドゥが開かれる。

如何にも『年上のお姉さん』然とした微笑みを投げかけるその女性に、アキトは疑いの眼差しを向けた。

ホントにィ〜? ・・・・・・てゆーかおねーさん、誰?
『私? 私は浅野メグミ。GEARの通信オペレータよ。・・・・・・ところで、
キミの名前を教えてくれないかなあ?』
「あ、俺は出雲アキト。この隣の
無愛想っぽいのは草薙北斗。ついさっき知り合ったばっか」

にこにこと、一見邪気のなさそうな笑みを浮かべながら、さり気なく名前を聞き出すメグミであった。そつがないというか抜け目がないというか。

「・・・そう言えば、未だ名前聞いてなかったわねえ」
「「『おいおい。』」」

唐突にボケるベガに、思わず全員の突っ込みが唱和した。が、ベガは特に気にした風もなく、あくまでもマイペースに言葉を続けた。

「とにもかくにも、コレで本当に全部よ・・・・・・二人とも、ありがとうね。皆に代わって、お礼を言うわ」

やんわりと微笑うベガを見て、二人の身体から緊張感が抜けていく。

そう。

終わったのだ。

自分たちは、勝ったのだ。

「・・・・・・やったな、アキト。」

振り向くと、北斗が微笑みながら親指を立てていた。

アキトは満面の笑みを浮かべると、北斗に向かってサムズアップを返した。

「イエィ!!」

ぶつん。

その途端、北斗の姿が消えた。

同時に全ての明かりが消え、完全な暗闇に包まれる。

「・・・・・・・・・お、おい?(汗)」
「・・・・・・・・・今度は、なんだよ?(大汗)」

不安げに周囲を見まわす二人。が、事態は悠長に不安がってるヒマすら与えなかった。

ヒュウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ・・・・・・・・・・・・・・・・

落ちる!
墜ちる!
『撫子』が墜ちていく!!

「うあぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
「お、おねーさーーーーーーん!? さっきのおねーさーーーーーーーーーーーーーーーーん!?」

パニックに陥る二人。

が、パニックになっているのは二人だけではなかった。

「ど、どうして!? 計算では、本部に帰り着く位のエネルギーは残るはずなのに!」

ベガが慌てて叫ぶ。と、何かに気が付いたように目を見開いた。

「・・・しぃまったぁぁぁっ!? 今装備されてるのは待機用電池だって事忘れてた!!」

頭を抱えて、OH! MyGOD!!

「・・・なんてやってる場合じゃない!! 司令! 回収ビーコンを!!」
了解! 回収ビーコン、照射します!」

メグミが応えると同時に、海が割れ、巨大なコンテナが浮上する。

コンテナの上部が開き、四隅から光条が放たれる。

4筋の光は『撫子』を支えるように当たり、コンテナの中へと無事誘導した。


          ◇          ◇          ◇


「・・・はい皆さん。今日は、転校生を紹介します」

一夜開けた朝。

あんな騒ぎがあったにもかかわらず休校にならなかったありがたメーワクなほどに教育熱心な星見小学校で。

担任の女教師が、入るなりそんな事を宣言した。

ぼんやりと窓の外を眺めていたアキトは、ある予感をもって教壇の方を見やった。

すると、案の定。

「・・・草薙北斗だ。よろしく、頼む。」

気のせいでなく、鳶色の瞳はアキトに向かって言っていた。


          ◇          ◇          ◇


さて、読者諸君!

遂に物語は、幕を切った!!

突然飛来した謎の敵『ガルファ』

対するは汎地球防衛組織『GEAR』

運命のいたずらで巻き込まれた少年少女たち!

様々な想いをはらんで、開幕のベルは鳴り響いたのだ!!

その中心に在るは、鋼鉄の守護神『GEAR戦士・撫子』

人類の命運や如何に!?

次回の講釈を、刮目して待て!!

(ナレーション:小林清志(推奨))

 

 

 

次回予告

 

「・・・・・・あー、僕は草薙北斗。『GEAR戦士・撫子』のパイロットだ。僕と一緒に、ガルファ機獣をやっつけよう。」
「・・・オイ、北斗。何、
棒読みしてるんだよ? おまけにキャラに全く合ってないし。」
「し、仕方ないだろう? 台本にそう書いてあるんだから
(赤面)
「まあ、元ネタの名前と同じからなあ、お前」
「ああ。しかも名字も一字違いだ。もっとも、本編の方では名字は捨てた事になっているがな」
「ついでに枝織が出て、お前の正体解った辺りだよな確か。元ネタ始まったのって」
「そうだ。作者の奴、
『コレは運命に違いない!』とか喚いていたぞ」
「・・・で、ActionHPが100万ヒット近くて、
『100万ヒット記念に書きます!』とか言っちまった、と。記念すべき、第一回Off会の時だったな〜」
「・・・・・・おい、一寸待て。第一回Off会って
三月ごろじゃなかったか?」
「四月だったかも知んないけど、まあその辺だったよな」
「・・・・・・・・・今
何月だ?」
「6月末。
載る頃には七月になってンじゃないの?」
「・・・・・・何やってやがるんだ、あの
馬鹿作者は。」
「・・・ま、移転とかイロイロあったからなあ。そもそもマトモにモノ書くのって、
1年ぶりらしいし」
「・・・まったく、そんな奴に書かれて大丈夫なのか? 俺達」
「・・・・・・言うなよ。不安になるから・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「おい。黙るな。何か言え」
「何か言えッたって・・・・・・大体、
お前の番だろ?」
「そんなもの知るか。言いたい事がある奴だけ喋ればいいんだ」
「ちぇっ、あいかーらずワガママな奴」
「誰が我儘だ誰が。人聞きの悪いことを言うな」
「おまけに自覚ねぇし」
「おい、人の話を聞け」
「その上天然だしなー」
「・・・・・・
ケンカ売ってるなら買うぞ?
「おもしれー。やれるもんならやってみろ!」
「上等だ!!」

《しばらくおまちください》


「・・・・・・ぜーっ、ぜーっ、ぜーっ、ぜーっ、さ、さすがにやるな」
「・・・・・・はーっ、はーっ、はーっ、はーっ、お、お前もな」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「なあ。」
「なんだ?」
「ここって、
次回予告コーナーだよな?」
「ああ。それがどうした?」
「何か俺達、ぜんっっっっっぜん
カンケーないことやってねえ?」
「まあ、そうだが・・・・・・元ネタの予告も、
似たようなもんだったぞ?」
「そうだったっけ?」
「そうだぞ」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「まあ、いーやもう。とっととタイトル行こうぜ」
「そうだな。
『次回、GEAR戦士・撫子! 《遺産継ぎし者たち −出現! ユニコーンドリル−》にファイナルフュ・・・』
「わーっわーっわーっ!」

《つづく》

 

 

 

不定期予定のあとがき


はいど〜も。後書きでお会いするのはえれェしばらくぶりの気がする(爆死)プロフェッサー圧縮でございます。

で、まずは一言。

「Action100万ヒット達成、おめでとうございます!!」

・・・ネタ古ッ!(自爆死)

ま、まあ週刊小出し連載をSSBBS間借りしてさせてもらってたので、忘却の彼方ッて〜事はないと思いますが・・・・・・

とにかく、今後もこの方式で行きたいと思いますのでよろしくです(おい待て)

まぁ大分勘を取り戻しつつあるんで、一度にUpする量を増やしたり減らしたりで対処する事もあるかもないかも。このままだと、本編並みの規模になってしまふ(核爆)

もっともなるよーにしかなりませんが。ねえ奥様(誰や)

・・・さて。だらだら長ったらしいのも見苦しいだけなので、そろそろ切り上げます。

何かやりたくなったら予告コーナーででも(迷惑)

ンではまた来週〜。

                By プロフェッサー圧縮

 

 

 

代理人の感想

 

 

 

『GEAR戦士撫子』、遂に立つっっ!

 

 

 

などと恥知らずにも表現をパクっておりますが、これが嘘偽りない実感ですな〜。

あの妙に生暖かい早春の夜、プロフェッサー圧縮氏ご本人からこの話をお聴きして以来、

私がどれだけこの日を楽しみにしていたかっ!

毎週の連載をどれだけ楽しみにしておったかっ!←だったらもっとこまめに感想を書け。

そして丁度一クール後の現在(笑)!

『GEAR戦士撫子』、遂に立つっっ!

僕等はこれを待っていたっ!

・・・まあ、あの時同じく話題に上っていた「熱血クーデター・ミンメイアタック」はすっかり忘却の彼方ですが(爆)

そっちの方は忘れておいてくれると何気に嬉しいかな〜と(核爆)。

 

 

 

管理人の感想

 

 

プロフェッサー圧縮さんからの投稿です!!

おお、とうとう教授から作品を頂いてしまいました!!

実は私は原作を知らないのですが・・・燃えますね、展開が(笑)

しかし、タービンで攻撃しかも電池稼動(爆笑)

これから先の話が実に楽しみですね〜

 

ではプロフェッサー圧縮さん、投稿有り難う御座いました!!

次の投稿を楽しみに待ってますね!!

 

感想のメールを出す時には、この プロフェッサー圧縮さん の名前をクリックして下さいね!!

後、もしメールが事情により出せ無い方は、掲示板にでも感想をお願いします!!

出来れば、この掲示板に感想を書き込んで下さいね!!

 

 

ナデシコのページに戻る