火星軌道上での戦いから帰還したパイロット達は格納庫で一休みしていた

「ふう・・・・流石に疲れたな」

「確かにねーー、敵さん凄い量だったよねーー」

「それだけナデシコを恐れてるってことでしょう」

「はあ・・・・リョーコさん達が羨ましいです」

「私とお姉ちゃんなんて熱血馬鹿のせいで必要以上に動き回るはめになったもんね」

その熱血馬鹿ことヤマダ『ダイゴウジ・ガイ』はすでに自分の部屋に戻ってアニメを見ていたりする



「おいアキト、あれの使い心地はどうだった?」

「ソフト面に少し不安がありますね、ハード面では問題ありません

まあ『ソード』を使う場合にはなんら影響はありませんけどね」

「流石の俺もソフトは無理だからな・・・・まあ詳しいやつに頼むしかねえだろうな」

「こんなことならネルガルの本社に預けてるデータを持ってくるべきでしたね」

アキトとセイヤは今回使用した兵器『DFW』のことについて話し合っていた

「しかしあの武器は危険すぎるだろ・・・・防御に三割しかフィールドを残してねえってのは無謀だぜ」

「それは『ソード』の時だけです、他にも『ランス』、『ハルバード』、『アックス』の三形態があって・・・・・うわ!!」

アキトが急に悲鳴を上げたわけ・・・・それは・・・・・・

「ユリカーーー!!ブラストを打つときはちゃんと重力制御をしろーーー!!」

火星表面の敵に向けてグラビティブラストを撃つ際に重力制御が忘れられていたからである・・・・・



機動戦艦ナデシコif
『新たなる刻の歌』
第六話 運命の『選択』in火星

「ところでまずどこに向かうんですか、高空から見た限りコロニーは全滅してるようでしたが」

「まずはオリンポス山に向かいます」

「そこになにがあるんですか?」

「そこには我が社の研究施設がありまして、研究施設は一種のシェルターのような物になっておりまして

一番生存確率が高いと思われるのです。はい」

「では、研究施設に向かう部隊をメンバーを発表する」

「すいません、俺にユートピアコロニー方面の調査をさせてほしいんですが」

ゴートの言葉をアキトが遮る

「アキト君、どうして全滅したユートピアコロニーの調査をしようと言うのですかな?」

「実は・・・俺がいきなり火星から地球に移動していた・・・・と言うのはプロスさんも知っていますよね?」

「ええ、にわかには信じられませんが・・・貴方が最後まで残ったと言う人は多くいましたからね」

「その移動する前に・・・・俺はイネスさんと会ったんです」

「なんですと!!」

「イネスさんは『ユートピアコロニーに向かう』と俺に言ってくれました」

「なぜイネス博士ともあろうお人が全滅したコロニーに?」

「ユートピアコロニーには地下シェルターがあります。

それに敵は無人兵器、一度占領したところを何度もしらみつぶしに探したりはしないはず

そう考えたのでないのでしょうか」

「なるほど・・・・・・しかしアキト君一人では危険すぎるのでは?」

「ええ・・・しかしDFWも一応完成したし、あくまで調査だけですから

あとオリンポス山の調査が終わっても、コロニーの方にはなるべくこないでください」

「ええーーーーーアキトどうしてそんな事言うのーーーーー」

「艦長!!・・・・・しかし私もその理由は知りたいですな、ナデシコと合流した方が確実に生きて帰れると言うのに」

「・・・・・おそらく、敵は今、俺たちの戦力の再分析をおこなっているでしょう。

となれば元々チューリップのあるコロニーにナデシコを近づけるのは危険・・・・・

後もう一つ・・・調査が終わったらすぐにでも高度を上げておいてください」

「相転移エンジンの出力の向上のため・・・・・ですね。アキトさん」

「そう、その通りだよルリちゃん。

敵が数で押してきた場合、少しでもまともに戦える状況にしておいた方がいいからね」  

「ふむ・・・・できる限り性急に調査を終わらせる必要あり・・・・と言うわけですな」

「ええ、どうしても合流しなければいけないときだけコロニーの方に来てください

もちろん、高度は揚陸艇『ヒナギク』が降下できるギリギリの範囲以上を保っておいてください」

「しかしいくらなんでもテンカワ一人では無謀だろう、誰かついていったほうが・・・・・・」

「はいはいはーーーい!!
ユートピアコロニーはユリカとアキトの故郷だもん。
だからユリカが行きます!!」


「ユリカ・・・・君・・・・艦長だろ?艦長が艦をほったらかしにしてどうするの」

ジュンが呆れながら言う・・・・百年の恋ももう冷めてしまったのだろうか?

「ううう・・・・・・そうだ!!ジュン君艦長代理やってくれない?」

「だーーーめ!!」

「それじゃあ私が行きます、たまには外の風景もこの目でじかに見たいですし」

「ルリちゃん・・・・ルリちゃんがいないときにナデシコが襲われたらどうするんだい?」

「通信士は要りませんよね、だったら私が行きます!!」

「オリンポス山の部隊との連絡をおろそかにするつもり?」

それぞれ自己主張をするユリカ、ルリ、メグミの三人だが・・・・・・

(メグミは先程の火星軌道上での戦い振りを見てアキトに惚れつつある〔爆])

それぞれジュン、アキト、ムネタケの三人にそれを阻止される

「戦力面から考えると・・・・・リョーコちゃん達の部隊ははずせないし

ガイは性格から考えてチューリップに特攻しそうだからパス

となるとパイロットではイツキかサツキちゃんになるのか・・・・」

「ふむ、パイロットなら戦力的にも申し分ないか・・・・」

アキトの言葉を受け、ゴートがパイロット同行でよしと考えていた矢先・・・

「いけません!!ナデシコを守る戦力が低下します!!」

暴走状態にしては比較的まともな意見でユリカが抵抗した

「イツキ、サツキ姉妹がナデシコ防衛に廻れば。

ナデシコの被撃墜率はどちらかがコロニーに向かった場合の半分になります」

ユリカの意見を肯定する形でルリが報告をする

「それじゃあ俺一人で向かうか・・・・・」

「私も連れてってくれないかしら」

「「「「「「副提督!!」」」」」」

ムネタケの急な提案にブリッジクルーは驚いた

「ユートピアコロニーは私の主力部隊がいたところだからね・・・・一度見ておきたいのよ・・・・・」

「・・・・そうですな、副提督は事実上指揮権もありませんしな」

「しかしエステは一人用だが・・・・・」

「ああ、その事なんだけど。

私IFS持ってるから陸戦用のエステ一機貸してもらえないかしら?」

「はあ・・・・確か予備があったがはずですからそれでよろしければ・・・・」

「これで編制は完了しましたね」

「オリンポス山にはミスターと私、スバル、アマノの四名で向かう」









火星、ユートピアコロニー近辺

「テンカワ、もうそろそろね・・・・」

「はい、・・・・・・覚悟していたとはいえ・・・辛い物ですね」

「ええ・・・・ここまで何も残ってないとはね」

「これじゃあコロニーには・・・・・」

アキトとムネタケはコロニーまでの道にあった色々な物を思い出しながら

今のこの地の状況に絶望を抱いていた・・・・・

「まあ・・・・地下シェルターなら何とかなるでしょう」

「ええ・・・・必ず残ってるはずです」





一方そのころ、ナデシコブリッジ・・・・・・

「ううーーーーー、まだ調査は終わらないのーーーーーー」

「現在ヒナギクがオリンポス山研究施設に到着して三分、まだまだ終わりません」

「ユリカ・・・・・君は火星にいる人たちを助ける為にここまで来たんじゃないのかい?」

「うっ・・・・それはそうだけど・・・・」

「ルリちゃん、敵の反応は?」

「まだ特にありません、イツキさん?」

「うん?・・・・・何ルリちゃん?」

「・・・・本当にアキトさんとはキスしかした事がないんですか?」

「え・・・・・・き、急にどうしたの?」

顔を赤くしながらルリに質問し返すイツキ

「・・・・イツキさんとアキトさんは契約書の男女交際の部分を変更していました

つまりアキトさんと手を繋ぐ以上の接触をする為に変更した・・・・ということです

そのことから考えたのですが・・・・本当にキスだけなんですか?・・それも一回だけ・・・・」

「そう言えばそうですよね・・・・・お姉ちゃん・・・・本当のところどうなの?」

「いや・・・あの・・・・それは・・・・」

「艦長命令です!!質問に答えなさーーーい!!」

「も・・・・黙秘権を行使させていただきます!!」

「黙秘権は認めません・・・・・正直に言ったらどうですか、イツキちゃん?」

ルリだけでなく、サツキ、ユリカ、メグミまでもがイツキを追い詰め始める

「う・・・・ミナトさん!!助けてください!!」

「私も興味あるなーーー、イツキちゃんとアキト君との本当の関係♪」

「はあ・・・・・ここは敵地の真っ只中なのだぞ・・・・・」

「提督・・・・その気持ち・・・・よくわかります」

女性クルーが全員色恋沙汰の話をはじめている時、まじめな二人は頭を抱えていた・・・・









「本当に・・・・・何も残ってませんね・・・・・」

「ええ・・・・・・一番思い出が詰まってる地だけに・・・・・・悲しいわね・・・・」

「シェルターの入り口を探しましょう」

「そうね。いつまでも悲しんでる場合ではないわね」

アキトとムネタケはエステから降りると地面の状態を見つつ、歩き回っていた

「!!テンカワ、ここの地盤が緩くなってるわよ」

「本当ですか!!」

アキトはムネタケの隣にジャンプする

『ボコッ・・・・ガラララララララ!!』



アキトが着地するとともにその辺りの地面が崩れ落ちた・・・・・

「副提督・・・大丈夫ですか?」

「大丈夫よ、ちょっと肝を冷やしたけどね」

ムネタケとアキトは無事に着地していた

「ようこそ、火星へ」

全身をローブで覆い、バイザーのような物をつけ、手に9:00の札を持った人が暗闇の中から現れる

「招くべきか招かれざるべきかは別としてひとま「その声・・・イネスさんですね!!」」

アキトがその人の声を聞き、その人物が誰か、予想を立てた

「・・・・・その声・・・・アキト君?・・・アキト君なの!!」

バイザーとローブがはずされその人の姿、イネス・フレサンジュが現れる

「よかった・・・・・無事だったんですね」

「それはこちらの台詞よ・・・・まあこんなところで立ち話もなんだからこっちに来て頂戴」

アキトとムネタケはイネスに連れられ、避難者が多くいるブロックに移動する

「しかしよく無事だったわね、・・・・・後その隣の方は・・・まさか・・・・」

「ムネタケ・サダアキ、火星では大佐だったけど今では少将になってるわ」

「そう・・・貴方が・・・・でも何故火星に?最後の民間人を連れ地球に帰還したと思っていましたが」

「・・・・ナデシコを飛ばしたんですよ」

「・・・・・なるほど、奪還などではなくあくまで離脱最優先ならあるいは・・・・ってわけね」

「さてと、ここにいる人は果たして乗ってくれるかしら・・・・無駄足はご勘弁願いたいところなんだけど」

「ふふふ・・・・まあ大丈夫だと思うわよ、なんといっても火星の『白騎士』と『孔明』が助けにきてくれたんですもの」

「・・・・そんなことで考えが変わる物なんですか?」

「ここにいる人はきっかけがほしいだけよ、地球に戻れるのならすぐにでも戻りたいはず

でも地球の軍人に裏切られたって思いはとても大きいわ

でもあなた達は別だった。危険を顧みずに限界まで火星に住む人たちの救助に当たってくれた・・・・

ここにいる人のほとんどは最後の救助船となった『コブシ』に家族を託した人たちばかりなのよ」

「なるほど・・・・だから私を好感のまなざしで観てるってわけね・・・・・・

非難されても仕方のない人間なのにね」

「ムネタケ少将・・・・・」

「思い上がりね・・・・・人は全知全能なんかじゃないわ、

貴方は戦いで散っていった部下のことで責任を感じているんでしょうけど

私から言わせてもらえば偽善でしかないわね。

人が何の犠牲もなく何かを守ることなんてできはしない

貴方の部下達は貴方が守りたい物をともに守る為に戦い、散っていったはずよ

誰も貴方を責めるために散っていったわけではないのよ」

「ふ・・・・貴方の言う通りね・・・・・」

「さて・・・・みんな、もう聞いているかもしれないけど救助が地球からきたわ
そしてその救助隊に火星が誇る『白騎士』と『孔明』もきてくれたわ
彼らが乗ってきた艦の性能ではこの火星から出れる可能性は五分。
それでも構わないって人は乗り込む用意をしなさい、私は乗る予定よ


「おおおおーーーーーーー!!!!」

イネスは急にスピーカーを取り出し、そのブロックにいる人たちに声をかけた

その声を聞いた人たちは雄叫びを上げたと思うとすぐに動き始めた

「どうやら全員乗り込みそうね、ところで今ナデシコはどこなの?」

「さあ・・・たぶんまだ「アキトーーー、迎えにきたよーーー♪」・・・コロニーの真上辺りのようです」

「艦長、揚陸艇ヒナギクを降下させて頂戴、火星の人たちが乗り込むわよ」





その後、揚陸艇ヒナギクを何度か往復させ、

エステを利用して(コンテナで)民間人を全員収容することに成功した



ナデシコ、ブリッジ

「(・・・どういうことでしょうか。本来ならイネスさんしか乗り込んでいないはずですが・・・)」

「まずははるばる火星まで救助にきてくれたことに対し礼を言うわ。ありがとう」

「いえいえ、私達は自分の意思でここまで来たんですから」

イネスの礼に、ユリカが遠慮で返す

「つぎに・・・急いで高度を上げなさい、このままじゃあ落とされかねないわよ」

「ほえ?・・・・・急にどうしたんですか?」

「急いだ方がいい!!もしこの高度で敵の大部隊と会ったりしたら相当の損害を受けるぞ!!」

「もう遅いみたいです、前方のチューリップの再起動を確認、敵出現します」

チューリップから戦艦と駆逐艦、バッタが大量にでてくる

「グラビティブラスト、最大出力!!」

「はいはい。・・・・・準備完了♪」

「グラビティブラスト、発射!!」

グラビティブラスト・・・漆黒の光が全てを飲み込み、これで決着がついた・・・とほとんどの人が思っていた

「敵、約3パーセント減少」

「そんな・・・・・グラビティブラストを耐え切った!?」

「敵もデイストーションフィールドを備えているのは以前の戦いからしってたろ

お互いに一撃必殺とはいかないさ」

「しかし相手のフィールドとて無敵ではない、グラビティブラストを連射すれば!!」

「むりよ!!」

ゴートの言葉にミナトが悲鳴に近い声をあげる

「相転移エンジンは真空に近ければ近いほどその力を発揮する。

大気圏内では連射は愚か二発めを打つのにも時間が大きくかかるわ」

「敵、チューリップより続々でてきます」

「何あれ・・・・・あれだけの量が一体どうやって入ってるの?」

「入ってるんじゃない、でてくるのよ。

それこそ途切れることなく、別の宇宙からチューリップを通して送り込まれてくるのよ」

「・・・・フィールドを強化しつつ上昇、このまま戦域を離脱します」

「・・・・・あれ・・・なにこれ、敵正面にボース粒子反応・・・?」

「なんですって!!それは本当なの・・!?」

イネスの言葉は目の前に広がっているボース粒子の光によって遮られた

『恵み無き、滅びの園に降りつもる、粉雪の如し、ボースの光・・・・・まあまあだね』

「な・・・・何だこの声は!!」

「わかりません、・・・・何者かによるハッキングのようです」

「ハッキング!!、防げないのですか」

「それが・・・・・オモイカネのどこに侵入しているのかわからないんです・・・・

もしかすると・・・・・侵入すらしてないのかも・・・・」

「な・・・・・・なにあれ・・・・エステバリス・・・・なの?」

ボース粒子の光がなくなった後に・・・・一体の機動兵器が浮かんでいた

『さてと・・・かつての同胞を壊すのは気が引けるんだけど・・・・・ま、許してくれよ』

「前方、未確認兵器、木星蜥蜴の部隊に攻撃を開始しました」

「・・・・・・はっ!!今のうちに上昇してください!!」

「・・・・なんだ・・・・・この感覚・・・・・体が・・・・熱い」

「どうしたの、アキト・・・・・何かあったの?」

「・・・・艦長、俺は念のために出撃する・・・許可をもらいたい」

アキトは少し身体を前屈みにしたかと思うと急に元の体勢に戻り、出撃の許可を申請した

「ほえ?・・・・どうしたのアキト、敵はあの機動兵器に集中してるんだよ?」

「・・・あの兵器・・・・おそらく俺達の味方じゃない。

念のために、出撃しておきたいんだ」

「・・・・わかった、気をつけてねアキト」

アキトはかすかに笑うとすぐにブリッジから退出した

「・・・・・・私も出ます」

「お姉ちゃん、急にどうしたの?」

「・・・・・なんだか・・・嫌な予感がするの」

「・・・・わかりました、イツキさんのほかにも希望する人がいたら出撃してください!!」

ユリカの言葉にパイロット達は行動で各自の答えを示した

イズミ、ガイ、ヒカル、リョーコの四人はナデシコに残り

イツキ、サツキの二人はアキトについて格納庫に向かった

「リョーコちゃん、アキト君の後をついてかなくてよかったの?」

「・・・ついていきたいのは山々だけどな・・・・ナデシコ防衛の面を考えるとな」





それからナデシコは少しずつ上昇していった・・・・・その途中

「!!・・・ナデシコ上方にボース粒子反応・・・・・・敵、未確認兵器の存在を確認」

『はーい、そこまで。悪いけどこれ以上行かせるわけにはいけないんだよね』

「・・・・・貴方は一体誰なんですか?」

『これから二度と会わないだろう人達に名乗っても意味が無いと僕は思うから名乗らないよ。じゃあお休み「そうはさせん!!」

ナデシコの下部を守っていたアキトが敵機動兵器に向かって斬りかかる

『おおっと、危ない危ない、もう少し反応が遅れてたら斬られてたね』

「よく言う・・・・あそこまで完全にかわしておいて」

「・・・・なんてやつなの、狙撃の暇も与えない回避速度・・・・化け物ね」

「・・・お姉ちゃん・・・・私・・・怖いよ・・・」

『・・・なんだ、誰かと思えばデュミナスじゃないか

君ともあろう者がこんな連中と一緒にいるなんて・・・・・』

「・・・・だれのことだ?」

『とぼけちゃって、君のことだよデュミナス』

敵の兵器はアキトの乗る純白のエステを指差す

「・・・・悪いが人違いだ、俺はテンカワ・アキトだ」

『あれ?・・・・おっかしいなーー、僕が間違えるわけ無いんだけど・・・・』

「・・・・これ以上話をしてる暇はない、いくぞ!!」

再びアキトが斬りかかる・・・・が

『ガッキイイイン!!』

『はいはい、わかったよ、どうやら記憶の混乱が起きてるんだね』

敵はアキトの攻撃をいとも容易くかわし、羽交い絞めにする

「なっ!!」

「そんな・・・アキトがああも容易く捕らえられるなんて」

『さてと・・・・僕が上書きしてあげるからちゃんとその『アキト』ってプログラムを消してよデュミナス』

「う・・・・ぐわあああああああああああああああああああ!!!」

「な・・・なに、なにがおきてるの!?」

「アキトさんの脳波が著しく乱れています!!」

「ちょっと見せて、・・・そんな・・・ここまで乱れてたら人格崩壊を起こしかねないわよ!!」

「アキト!!アキト、しっかりして。アキト!!」

「ぐ・・・う・・・う・・・・」

『上書き完了♪さて・・久々に君の力を見せてくれないかデュミナス』

「ふ・・・ふははははははははは!!」

「アキト、どうしたのアキト!!」

『アキト・・・誰だそれは・・・我が名はデュミナス・・・全てを破壊せしもの』

アキト・・・いや、デュミナスは敵の兵器から離れたかと思うと

イツキ達に向かって突撃を開始した

「え・・・アキトさん!!どうしたのアキトさん!!」

「二人共!!今の彼はアキト君じゃないわ、ただの敵よ!!」

「・・・・了解!!」

イネスの言葉に苦々しそうに承諾の意を告げるイツキ

「ヒカル、イズミ。俺達も出るぞ!!あいつを・・・・・・殺す!!」

「わかった・・・・てかげんは無しでいいんだね」

「ついに・・・この時がきたのね・・・・・できるなら永遠に来てほしくなかったけど」

「え・・・何を言うんですか。アキトを殺すつもりなら出撃は認めません!!」

「アンタに・・・・何がわかるって言うんだ・・・・アキトの・・・あいつの何が・・・・」

リョーコはそこまで言うとすぐにブリッジから出る、そのあとにヒカル、イズミが続く

「あ!!ルリちゃん艦内放送を、あの三人を止め「おやめなさい!!」」

ユリカの言葉をイネスが遮る

「貴方はアキト君のことを何もわかってないわね、

アキト君と交友を深めると言うことは何を意味するのかも・・・・」

「「「どういう・・・・意味ですか」」」

ユリカ、ルリ、メグミの三人が声をそろえて言う

「テンカワと交友を深める時にはね・・・・あることを決意しなくちゃいけないのよ

テンカワが今のようになったときに・・・その手でテンカワに引導を渡す決意を・・・ね」

「そ・・・・そんな・・・・なんでそんなことを・・・・」

「・・・・テンカワは恐れているんだよ・・・自分の手で・・・大切な人を殺めることを・・・

だから・・・大切な人を殺めるくらいなら自分が死んだ方がいい・・・そう思ってるんだ」

「だけどアキトくんは自ら死のうとはしなかった、最後の最後まで抗い続ける覚悟があった

それでも抗いきれなくなった時・・・・私達の手でアキト君に引導を渡してあげる事が・・・・

私達にできる・・・・唯一の・・・・・情けなのよ」



『ふはははは、どうしたその程度か!!』

「くっ!!流石は・・・・」

「完全に遊ばれちゃってるね、私達」

「くそ、わかってはいたけどなんて強さだ・・・まるで当たりやしねえ」

「・・・・これでもたぶん本気じゃないんだろうね」

「全く・・・・とんでもないわね、獅子は兎を狩るのにも全力を尽くすと言うけれど・・・・

私達は五人がかりでも兎以下・・・・ってわけなのかしら」

イツキ、リョーコ、ヒカル、イズミ、サツキの五人はDFW『ソード』を振り回す『デュミナス』 に圧倒されていた

『デュミナス、そろそろお遊びは終わりにしなよ』

『そうだな・・・・それじゃあそろそろ消えてもらおうか!!』

デュミナスは恐ろしいほどの速度で一体のエステめがけて突撃する・・・・そのエステの色は・・・・

「お姉ちゃん!!にげて!!」

「イツキ!!急いでそこから離れろ!!」

「そんな・・・間に合わない!!」

「くっ・・・速すぎる!!」

・・・・・紫色だった・・・・・・・・・

『死ね』

デュミナスがDFW『ソード』をかまえ、とどめをさそうとした・・・・・

「(・・・・・アキト・・・・・)」

イツキは・・・回避するでもなく、迎撃するでもなく・・・その場で両手を横に広げた・・・・

その光景はまるで・・・・・十字架に貼り付けにされた・・・キリストのようだった

『ぬ・・・う・・・・ぐ・・・・!!』

『ズシャアアアア!!』

DFW『ソード』は・・・・・イツキの乗るエステの・・・頭部へと突き刺さった・・・

「お姉ちゃん!!」

「くそ!!イズミ!!ヒカル!!イツキの機体を回収するぞ」

イツキの乗るエステは・・・糸が切れた操り人形のように・・・・ゆっくりと・・・・落ちていった

『ぐ・・・う・・・う・・・・・うあああああああああ!!!!!』

「なに・・・何があったの!!」

「アキトさん・・・いえ、デュミナスの脳波が著しく乱れ始めました」

『我は・・・「俺は・・・『このような力など・・・「こんな力なんて・・・・

『望んでは・・・・「欲しくなんか・・・・『「なかった!!」』

アキト・・・いやデュミナス・・・・どちらとも取れぬ状況で純白のエステは謎の機動兵器に突撃を仕掛けた

『マルス!!貴様だけは・・・「お前だけは・・・『「絶対に殺す!!」』

純白のエステがマルス・・・と呼ばれた人物が乗る兵器に襲い掛かった

『バキィ!!グシャ・・・・・ドッゴーン

しかし・・・いとも容易く攻撃はかわされ、逆に頭部を握りつぶされた

「ばかな!!エステの装甲を握りつぶすなんて・・・・」

「あの機体は・・・どれほどの性能を持っているというのでしょうか」

ネルガルの兵器、エステバリスの頭部をいとも容易く握りつぶされた現状を見て

ゴート、プロスの二人が敵の能力に恐れを抱く

『やれやれ・・・少しは賢くなるようにプログラムの修正をしといたのにな・・・・

それにあの時のことまで忘れたのかいデュミナス?

君じゃあ永遠に僕には勝てはしない、所詮欠陥品の君じゃあね』

そこまで言うとマルスはエステを投げ捨てた

「アキトさん!!」

それをサツキが受け止める

『さてと・・・それじゃあそろそろ落とすかな・・・・といいたい所だけど別のお客がきちゃったみたいだね』

「え・・・・・ルリちゃん、周囲に敵の反応は?」

「あの機体以外はありません」

『ああ、ここじゃあないよ、・・・・ま・・いいかこれくらいで』

『ド・・・ドッゴドッゴーーン!!』

マルスが乗る機体から光弾が放たれ、ナデシコを直撃する

「く・・・・・ルリちゃん被害は?」

「ディストーションブレードに損傷、相転移エンジンの出力低下・・・

単独での大気圏離脱は不可能です」

『ま・・・これくらいでいいね、君達を落とす正当な理由も今はまだないし。

君達がこの状況をどうやって乗り切るか・・・・見物させてもらうよ』

そう言って、再びボソンの光に包まれ始めるマルスの乗る機体・・・・

「貴方の名前・・・教えてくれてもいいんじゃないんですか?」

『そうだね・・・僕の名はマルス、この機体の名はオメガ

身分は・・・君達の言葉を借りれば遺跡の守護者かな?つい最近目覚めたばかりだけどね』

「遺跡の・・・・・守護者?」

『そういうこと、お客さんが待ってるから今日はこの辺で、じゃあね♪』



ボソンの光が収まった後、その場には何も存在しなかった

「こちらリョーコ!!なんとかコックピットは外れてるみたいだけど気を失ってやがる、

救護班の準備をしといてくれ!!」

「こちらサツキ!!アキトさんの機体の回収に成功しました、こっちも気を失っています」

「わかりました、救護班の皆さんは格納庫に急いでください!!」

「私も医師の資格は持ってるから手伝うわ」

・・・他の面々はこの戦いを思い出していた・・・・・・

アキトの暴走・・・・イツキの撃墜・・・フィールドを無視した敵の攻撃・・・・

今まで連戦連勝を続けていたナデシコクルー達にはあまりにも重く、苦しい戦いだった・・・・・

単独での大気圏離脱を封じられたナデシコは・・・これからどのような道をたどるのであろうか・・・・













あとがき

さて・・今回第六話ですが・・・今ひとつ最強の敵『マルス』を活躍させられませんでした

ちなみにマルスの現在での戦力ですが・・・機動兵器の差を差し置いても

マルス=デュミナス×3.5=北斗(昂気無し)×4.0=アキト『白騎士』×5.0といった所です

次回・・・デュミナスとアキトとの会談を考えております

あと・・・お遊びで三国志inナデシコを書こうかな・・・と考えている今日この頃・・・・っとそれは置いといて

それでは見てくださっている皆さん、また次回お会いしましょう!!

 

 

代理人の個人的な感想

デュミナス・・・・・・キャラクター造形やネタの参考にするのはいいにしても、

ネーミングが「まんま」ってのはあんま良くないんじゃないかなぁ・・・・と。

スパロボのクロスオーバーとしてそれそのものを出すなら別ですが。