月攻略作戦から時間が流れ、コスモスで修理されたナデシコは地球へと戻っていた

そして最新の機体を渡された二人は・・・・

「おいしい、・・・・・やっぱりアキトにはかなわないな・・・」

「そうかな?イツキの方が上手だと思うんだけど」

二人仲良く朝食をとっていたりする



機動戦艦ナデシコif
『新たなる刻の歌』
第九話 奇跡の『策』戦

「ふう・・・・ごちそうさま」

「はい、お茶」

「あ・・・・ありがと」

ちなみに二人はアキトの部屋で朝食をとっていたりする

実はアキト、まだ一度も食堂を使った事がないのである

食材を分けてもらいに行く事はあっても食堂で食事をした事がないのだ

最初に食材を分けてもらいに行った時、ホウメイに何か作ってみろといわれた事があった

その時にホウメイもアキトの腕を認めたので食材を分けるようになったのである



「アキト君、こんな所にいたの、早くブリッジに来て頂戴」

「あ・・・ちょっとまってください、これ飲み終わったら行きますんで」

アキトは自分が持っている湯飲みを通信してきたエリナのほうに向ける

「はあ・・・・仮にも副提督なんだから急いで頂戴」

エリナはやや呆れたようにそう言うとコミュニケを閉じた





それから約五分後、メインクルーがブリッジに集合した

「それじゃあ軍からの命令を伝えるわよ」

「ちょっとまってください、確かにネルガルが軍との共同戦線を張りましたが

理不尽な命令には、拒否権は認められているはずです」

「一応・・・ね」

「本艦クルーの総意に反する命令に関してはこの、ミスマル・ユリカが艦長として拒否させていただきます」

「立派ね・・・・でもそう簡単に拒否しない方がいいわよ、ナデシコの為にもね」

「どういう・・・意味ですか?」

「先に今回の作戦の内容を伝えるわね、今回の作戦は救出作戦よ」

「救出作戦?」×ブリッジにいるムネタケ以外のクルー

「そう、北極海域ウチャツラワトツスク島にとり残された、親善大使を救出するのが目的よ」

「質問ーーーー」

「なに、艦長?」

「どうしてこんな所に大使は取り残されたんですか?」

「平たく言うと・・・・・大使は白熊だからよ」

「白熊ぁーーーー!?」×ムネタケ以外のクルー

「つまり俺達に熊を拾ってこいってか・・・・冗談じゃないぜ」

「確かに、そんなことをするのは不経済ですな」

「・・・・・ユリカ、この作戦受けた方がいいよ」

「ほえ?ジュン君どうして受けた方がいいの?」

「副長はわかってるみたいね・・・テンカワもわかってるんでしょう?」

「ええ・・・・相変わらず好きになれないやり方ですね」

「ふぅ・・・・・・それは私も同じよ」

「なになに、どういうことなのアキト?」

「・・・今回の作戦はナデシコを試しているんだよ」

「どういう意味ですかアキトさん、ナデシコの力は十分に示してきたはずですが」

「今試されているのはナデシコの忠誠心さ」

「忠誠心?」×三人以外のクルー

「平たい話がナデシコが軍の言うことを聞くかどうかってわけよ

もし聞かないようなら『ネルガルのナデシコは地球の敵だ』とでも情報を流せばいいだけ

そうすればナデシコは自然と孤立し最後に軍にやられてお終い、ってわけね」

「そんな・・・軍とは共同戦線を張るはずじゃあなかったの!?」

「エリナさん、落ち着いてください、・・・・・しかしどういうことですかな提督?」

「・・・・軍はナデシコを恐れているのよ。

ナデシコ単体だけならまだしも、クルーの腕は超一流。さらに軍が手放したくなかった人間が二人も乗っている

しかも前回見せた最新の機動兵器の力・・・・あの機動兵器を守るのだけで精一杯だったのよ」

「軍が手放したくなかった人間・・・・アキトさんとお姉ちゃんですね?」

「そうよ、テンカワとイツキちゃんがいるだけで軍のバランスは大きく変わるわ

士気も確実に高まるでしょうしね・・・・・」

「しかし・・・アキト君もイツキさんも軍を辞めているはずなのですが・・・・」

「ええ、テンカワが抜けたときの軍はものすごかったわよ。

『白騎士』が生きていると思ったらすぐにいなくなったんだもの、どれだけ士気が下がったことか・・・」

「つまり、アキトくんがいるナデシコを軍の傘下に入れることができれば・・・・

間接的とはいえアキト君を軍に入れる事ができる・・・・そういうことだね」

「ま、そういうわけね、今回の作戦は決して失敗できないわよ、わかったわね艦長!!」

「はい!!絶対成功させましょう!!」







「といっても、現場に着くまでは俺達は暇だよな」

「今回は簡単な仕事みたいだしね」

アキトを含めたパイロット達は食堂でだらけていた

「けどアキトよ、お前ブリッジにいなくていいのか?」

「どっちにしてもやることないんだよ」

「なるほどね・・・それじゃあちょっと付き合ってくれないか?」

「訓練なら付き合うぞ」

「それなら話は早い、トレーニングルームに行こうか」

「俺も行くぜ、このままいても暇なだけだしな」

「あっ、私も行く」

「久々に個人戦をやってみるのもいいかもね」

「私も参加させてもらおうかしら」

「あ、私も参加しますよ」

「このガイの真の力、見せてやるぜ!!」

アキトとアカツキの発言に一斉に活気付くパイロット達

「ははは・・・男同士の話がしたかったんだけどね・・・・」

アカツキ・・・・哀れなり







そしてトレーニングルーム

「ちくしょう、どこに隠れやがった!!」

「リョーコ後ろ!!」

「なに!!うわああああ!!」

すでに個人戦は終わりアキト対他パイロット達の戦闘がおこなわれていた

ちなみに機体はアキトは高速戦フレーム堰月刀装備、他のパイロットは改良型エステである

いくら性能差があるといってもアキトの不利は揺るがない・・・かに思われたが単独の強みを生かし逆に追い詰めている

「後、四人」

ちなみに現在残っているのはイツキ、アカツキ、ヒカル、サツキの四人である

ガイは真っ先に脱落。イズミはガイが落とされた約一分後に撃墜された

ちなみに戦闘がはじまってまだ三分とたっていない

「くっ、仕方ない、危険だが密集陣形をとろう」

「個々に撃破されるよりはマシですね」

アカツキの指示で密集陣形を取り全方向に気を配る・・・・・

「いい戦法だ・・・・・だが!!」

「レーダーに反応!!」

「一斉射撃だ!!」

反応があった岩場のほうに一斉にラピッドライフルを撃つ

『ドッゴーーーン!!』

「やったか!!」

「残念・・・斬舞『白虎爪襲斬』!!」

白い機体が四色の機体の間を通り抜ける



『カッ、ドッゴーーーーーン!!!!』





『プシューー』





「はあ・・・勝ったと思ったんだけどねえ」

「油断大敵、もう少しだったね」

「でもアキト、さっきの爆発なんだったの?」

「ライフルの予備弾薬だよ、その爆発に気を取られている隙に一気に接近したのさ」

「さて・・・・今度は僕ともう一度一騎打ちをしてくれないかい?」

「あ、おもしろそう」

「おや、僕に期待してくれるのかい?」

アカツキがどこか嬉しそうに言う

「ううん、アキト君の技をもう一回見れるかもしれないじゃない?」

「技を出すまでやられんなよ、ロンゲ」

「ま、死に水は取ってあげるわ」

「無謀と知っていながら挑戦する、くうーーーお前も漢なんだな!!」

「アキトさん、がんばってください」

「アキト、少しは手加減してあげなさいよ」

散々ないわれように酷く落ち込むアカツキ

「・・・・・とっととはじめるぞ」

「・・・・・わかったよ」







アキトとアカツキの勝負は以外に長引いた、アキトが手をぬいているのかアカツキが奮闘しているのかはわからないが・・・

「はあ・・・はあ・・・さすがだね、まるで当たりやしない」

「どうも」

ちなみにアカツキの機体はアカツキ用のエステバリス、アキトは0G戦フレームである

「2、3質問していいかい?」

「ギャラリーもいるから答えられるような質問をしてくれよ」

ちなみにアカツキはアキトからの通信をたどりアキトがいる位置を攻撃している

しかしアキトはそれを容易くかわしながらまた別のところに隠れているのだ

「まず一つ、なぜ君は軍を抜けたんだい、君ほどの実力があれば今ごろ大活躍してるだろうに」

「・・・俺は火星を、大切な人たちを守る為に軍に入った。

軍が火星を放棄した以上俺は軍に戻るつもりはない」

「なるほど、その意見から言うとナデシコを抜ける確率は少ないわけだ!!」

「まあな、今のナデシコは俺にとって『家』のような存在だからな」

「へえ『家』ね・・・それじゃあもう一つ聞くよ、君は本当に誰が好きなんだい?」

「はあ?・・・なんでわざわざそんなことを聞く」

動じていないようだが、アキトの乗る0G戦の動きが僅かに悪くなっていた

「いや、君のナデシコでの状況を聞いてたら、なにやら艦長が君の事を『王子様』とか言ってたからね

他にも君の事を話す時に赤くなってる子や目を潤ませたりする子がいたり・・・君の本命は誰なんだ? 」

「・・・・・イツキだよ

「おや、なんていったんだいアキト君♪」

「イツキに決まってんだろ!!」

叫んだと思ったらアキトの乗る白色のエステがアカツキに向かって突撃する



「ほえーーー速い速い」

「リミッターを解除したのか?」





「死ねアカツキ!!白虎爪襲斬『零式』!!」

「ち・・ちょっとそれはうわあああ!!

ここで簡単な解説、白虎爪襲斬とは全方向に斬撃を繰り出す技で、

虚実があり相手に当たらない攻撃が多く(虚)それによって生じた隙を突いて急所を攻撃する(実)

しかし零式は全てが実として放たれる為、少なくともアキトと同等の腕前でない限り防ぐことは非常に難しい。

ちなみにこの技は一対多数の白兵戦用であり、一対一でしかも零式を受けたアカツキの被害は相当のものとなる

『プシューー』

「・・・・・・アカツキ、起きろ!!」

アキトはすぐにマシンから出ると隣のマシンから気絶していたアカツキを引きずり出す

「あ・・・アキト君、いくらなんでもあれは酷いだろ?」

「まだ元気そうだな、久々に身体を動かしたい」

「・・・僕に拒否権はないんだね?」

「当然」

「お気の毒、俺達は食堂に戻ってるぜ」

「ああ、身体を動かし終わったら俺も向かうよ」







ナデシコブリッジ

「目的地の北極海域に入ります」

「凄いブリザードね・・・・確かに白熊じゃないといれないかもね」

「目視に変えて支障はないと思うよ、ユリカ」

「視界0・・・まさに極寒の地獄ね」

「逆にそれがこちらの有利ともなる」

「レーダーは使えませんけどね」





トレーニングルーム

「はあっ、せいや!!」

「ぐっ!!うわ!?」

「どうした、腕が落ちたんじゃないかアカツキ」

「くっ、冗談きついね!!これでも鍛錬は欠かしてないんだよ!!」

「・・・・囮か!!」

「はあ!!・・・って今のを受けるかい?ほんとに強いね君は」

「今日はこれぐらいにするか、アーサーの調整もしないといけないしな」

「ははは・・・元気だね・・・僕はもうしばらくここで休んでるよ」







ナデシコ格納庫

「お!!ちょうどいいところに来たな、ちょっとこっちに来い」

「なんですか、セイヤさん」

「実はな・・・プロスのだんなにはもう話したんだがな・・・・・

お前とイネスさんの合同作品であるDFW、あの簡易型を作ろうと思ってな」

「DFWの簡易型?」

「一番収束しやすい形は剣・・・DFWモード『ソード』だって話はイネスさんのほうから簡単に聞いた。

そこでその剣状態でもチューリップを斬れるだけの出力を持たせた方がいいと思ってな・・・

上手くいけば別の形状にもできるだろうしな」

「・・・使っている本人が言うのはなんですが・・・危険ですよ。

アーサーは相転移エンジンを直接搭載しているから二本のDFWを同時に使う事が可能になっています

しかし・・・今のエステでチューリップを切れるだけの出力を持たそうとしたら・・・・・」

「守りは限りなくゼロに近づく・・だろ、俺もそれぐらいはわかってるさ。

だから使用させる時はあくまで安全を確保、平たい話がチームで使うようにさせるつもりだ」

「なるほど・・・・わかりました、ちょっとまってください」

アキトはそう言うと急にコミュニケをいじりだした

「オモイカネ、ちょっと用事を頼みたいんだ、そうそう・・・・大丈夫、本人が取りにきただけなんだからさ」

アキトはそう小声で呟き・・・・しばらくすると設計図らしき物がセイヤの目の前に出てきた

「これがDFWの基本設計図です、これを応用してくれれば大丈夫だと思います」

「ふんふん・・・・なるほど、ここはこうしてるのか・・・・ありがとよ、

後はこの俺にまかせといてくれ、こんだけ詳細があれば完成するさ」

「どうしてもわからないところは俺かイネスさんに聞いてください」

「ああ、まあ大丈夫だろうけどな、設計図たしかに借り受けたぜ」

「ええ、後は頼みます『グラグラグラ』な・・なんだ!!」







ナデシコブリッジ

「フィールドを張りつつ後退!!」

「後、十分後に敵の攻撃範囲を抜けます!!」

「どこまで逃げるのーーー」

「それは敵に聞いてくれ」

「こちらテンカワ、ブリッジ、何事だ状況を教えてくれ」

「こちらブリッジ、グラビティブラストの誤射により敵に発見されました!!」

「なるほど・・・・俺が敵を殲滅してくる、出撃許可を」

「え・・・無茶ですよ!!」

「こいつの力があれば可能さ」

『そうです、アーサーの力とアキトの技量を持ってすればあの程度の敵十分に葬れます」

「そう・・・提督権限で承諾するわ、他のパイロット達は敵が減り次第出撃しなさい!!」

「了解!!」×パイロット全員

「そう言えば艦長どこにいっちゃったんでしょうか?」

「どこかで一人泣いてたりして」

「ま、失敗は誰にでもあるものよ、あとはそれを乗り越えられるかどうか・・・ね」

「提督にも失敗はあったんですか?」

「当然よ、テンカワと会うまでは『パラサイト』って異名をつけられてたぐらいよ」

「今の提督からは想像もつきませんな」

「まあ無駄口はこれくらいにしておきましょう」

「テンカワ・アキト、アーサー・・・出る!!」

その言葉とともに純白の機体が白い悪魔が踊る戦場へと出撃した







「エクス、敵の王将はどれだけいる」

「前方に小型のチューリップが一つ、他、金将がその周辺でたむろしてます」

「アキト!!」

アキトがナデシコ近辺でバッタ達を葬りつつ情報を収集していた時イツキのアルテミスも出撃した

「イツキか、俺はこれからチューリップを叩いてくる、周りに戦艦がたむろしてるみたいなんだが・・・」

「OK、それは私が担当するわ」

「頼む、しばらくはこの辺の雑魚を掃討しよう」

「了解」



それからしばらくして青、赤、桃、黄、水、緑色の順番でエステが出撃した

「よし、これでナデシコの方は大丈夫だろう、イツキ、いくぞ!!」

「了解、その前にちょっと大きいのをいくわよ!!」

『ギュオオオオオオオン』









ナデシコブリッジ

「アルテミスよりグラビティブラストの発射を確認、敵戦力15パーセント消滅、

アーサー、アルテミスが前方の敵に向かって突撃を開始しました」

「なるほど、王将を倒そうってわけね」

「エステバリス部隊に伝令、敵が側面より接近中、全部バッタクラスです」

「こちらアカツキ、了解した、安心して任せてくれたまえ」





チューリップ周辺

「意外に多いな、エクス、G・B起動」

『了解、G・B起動します』

「エルフ、チャージまで後どれ位かかる?」

『後一分半はかかります』

「さて・・・いくぞ!!」









ナデシコブリッジ

「アーサーとアルテミスの交戦信号を確認」

「ま、後はあの二人に任せて白熊さんを救出に行きましょうか」

「アカツキさん、大使救出をお願いします」

「了解、餌の準備をしてあげてくれたまえ」

「ホウメイさん、アカツキさんから伝言です『大使のご飯の用意をしておいてくれ』とのことです」

「あいよ、まかせな」

ナデシコブリッジのクルーは現在戦闘中だというのにどこか落ち着いていた

それは絶対的な信頼なのだろうか・・・それとも・・・・依存なのだろうか・・・・・・





今回の作戦はアキトとイツキの大活躍により無事成功した。

特にアキトはチューリップを叩き切るというとんでもない活躍をした

それからしばらくの間・・・ナデシコは一時の休息をとる・・・・・

(ちなみにユリカはムネタケに励まされ元に戻っていたりする)















あとがき

今回、さらっと流しました(爆)

なんかこのあたりは書く事が少ないんですよ・・・ネタが思いつかないだけですけど(核爆)

次回は・・・やや壊れ気味になるかと思います。

それでは・・・次回お会いしましょう(逃亡)

 

 

代理人の個人的感想

アップダウンがありませんね〜。

「来た見た勝った」は手紙だけでじゅーぶんです(爆)。