「さて・・・針路は大丈夫ね?」

「ふぁーーー、ええ、・・・けどどうしてテニシアン島に向かうの?」

「何でも新型のチューリップが落ちたらしくてね、その調査よ

まあしばらくの間遊んでもいいかもしれないわね」

「へえーーー。っと、交代の時間だ」

「あらそう、ゆっくり休んでおきなさい」

「はーーい、じゃ、あと宜しく」

『パァン』

「はぁい」

ミナトと入れ替わりで入ってきたエリナは操舵席に座ると目的地について確認しだした

「針路は大丈夫そうね。

・・・青い海、白い砂浜・・・灼熱の太陽・・・・これは例の物がいるわね」

「到着したらしばらくの間は休憩を取らせてあげてもいいかしら?」

ムネタケはエリナに向かって訊ねる

「提督権限を行使なされるのなら構いません」

そういうエリナの顔もどこか嬉しそうだ

二人共完全に『ナデシコ』色に染まっているらしい・・・・・・



機動戦艦ナデシコif
『新たなる刻の歌』
第十話 『女らしく』が危ない!?



「ああ、ここはこういう原理で成り立ってるんですよ」

「ふんふん、なるほどな。しかしとんでもない技術の塊だなこいつは」

「ははは・・・火星ではロストテクノロジーを研究してましたからね」

「オーパーツってやつか?・・・・っていうかそんなこと話しちまっていいのか?企業秘密とかに入るんじゃねえか?」

「セイヤさんは今はネルガルの社員でしょう?何を言ってるんですか」

「うん?がはははは、そういやそうだったな。ずっとナデシコに乗ってたから忘れかけてたぜ」

アキトは自室でセイヤにDFWの詳しい説「説明!!」・・失礼、解説をしていた

「しかし何で俺に聞くんですか?ソフト面はイネスさんの方が詳しいんですけど?」

「おいおい・・・あのイネスさんに聞いてあっさりと教えてくれると思うか?」

「・・・・・・ごめんなさい」

アキトは喜々として何時間も説明を続けているイネスの姿を想像して、思わず謝ってしまった

「そうだろ・・・・・ま一応これで完成するはずだな、後は微調整ってとこだろうけど・・・お前はどうやって調整してたんだ?」

「基本的に使いながらでした、結構調整が難しいんですよねDFWって

アーサーに積んでるやつはエクスが調整してくれてますけど」

「ああ、あの支援用のAIか。・・・・あれはかなりの技術が必要だと思うんだが・・・・・・

ネルガルは一体どんだけの技術力を持ってんだ?」

「さあ・・・俺も技術前線を離れて結構たちますからね、今どれだけかはわかりませんよ」

「そうか、あと起こしちまって悪かったな」

「いえ、ちょっと考え事をしてましたから別にかまいませんよ」

「そう言ってくれるとありがたいぜ、じゃあな、お前はパイロットが本職だからもう寝とけよ」

「セイヤさんはまだ起きてるんですか?」

「ああ、DFWの簡易型、DFSを完成できそうだからな、一気に作っとく」

「無茶はしないでくださいよ」

「あんがとよ」

そう言うとセイヤはコミュニケをきった

「さてと・・・俺もそろそろ寝るかな?」

そう言ってベッドに入ろうとした矢先

『プシューー』

急にアキトの部屋のドアが開かれた

「アーキート♪ユリカね、アキトのためにお夜食作ってきたんだよ!!」

「艦長・・・俺は今から寝るつもりなんだが」

アキトは基本的にユリカのことを艦長と呼んでいる、迂闊にユリカと呼ぶと暴走しだすからだ

「えへへ!!、ユリカの自信作だよ!!」

しかし見ての通りまるでその効果は現れてない(元々人の話を聞かない人だから・・・・・)

「ぐ・・・これ・・・・なんだ」

ユリカの自称夜食を見たアキトが唯一声にできた言葉がそれだった

「なにって・・・見ればわかるでしょ、スパゲティだよ」

・・・ちなみにそのスパゲティなる物は色が主体で他にの物体があった

『グオオオオオオン!!』

「・・・・・・なあ・・・・今それ鳴かなかったか?」

「やだなあ、スパゲティが鳴くわけないでしょ。ほらあーーーん♪」

アキトは必死に逃げようとしたが部屋の区切りの壁がそれを阻止する





「ぐわあああああああ!!」

ナデシコはその男性と思わしき叫び声によって何故か一瞬傾いた

「あ・・・アキトさん!!大丈夫ですか!!」

「み・・・・水を・・・」

「はい、これをどうぞ!!」

『ゴクゴクゴク・・・・・・・・・・』

・・・・アキトはメグミが手渡してきた液体をよく見ていなかった、見ていたなら飲もうとは思わなかっただろう・・・・

どこの誰が好んで飲もうとするだろうか・・・・・虹色に輝く液体など

「ぐはあああ!!」



「アキト!!どうしたのアキト!!」

その後、イツキが部屋に来るまでユリカとメグミは言い争っていた





「医療班!!急いで患者を運んで、消毒班、警備班は急いで食堂を処理して!!」

「グオオオオオオオオン!!」

「その物体を身体に取り入れないように!!気をつけて戦いなさい!!」

食堂では動き出していたユリカの作った料理の残りを相手に戦いがくりひろげられていた

「敵完全に沈黙!!食堂の消毒に移ります!!」

「ご苦労様、その物体は後で私が分析するから医療室に体の一部をもっていって頂戴」

「おやおや・・・・ジュンも本当に気の毒だね・・・・・」

「木星蜥蜴の新しい生物兵器かしら?」

「いや、・・・・恋の劇薬・・・・・かな?」

「・・・・・何それ?」



「いいですかお二人共!!アキト君はこの艦の中でももっとも優秀なパイロットなのですよ!!

オモイカネの演算結果でも彼が抜けた場合こちらの戦力は三十パーセント近く落ち込むのです

それをあなた達は・・・・もしこんな時に敵の総攻撃を受けたらどうするおつもりですか!!」

ユリカとメグミはプロスから怒りの説教を受けていた

プロスが怒るのも無理はない、今、すぐに出撃可能なのは既に整備を終えているアーサーとアルテミスだけなのだ

他のエステは久しぶりの大整備中のためアサルトピットの整備をしている最中なのだ

これはアーサー、アルテミスの両機が出撃すればエステ発進までは十分に時間を稼げると見たから行っているのだ

それを・・・主力になるアキトを出撃不可能にされたのだ・・・・怒るなというほうがおかしい





「・・・・・生きてるって・・・・素晴らしい」

アキトが目覚めての第一声はそれだった

「・・本当に・・・・素晴らしいことだよね」

アキトの隣で寝ていた人がそれに応えた

「・・・・ジュンはどうしてここにいるんだ?」

「・・君と同じ理由さ・・・・僕は食堂で夜食を作ろうとしたら襲われたんだけどね・・・」

「・・・・・・・・そうか、無事でよかったな」

「お互いに・・・・ね」

「そうだな・・・もう二度とあんな目には会いたくないな」

「ああ・・・・それは激しく同感だよ」

二人は身体を少し起き上がらせると固く握手をした

それを見て涙していた人間がいたのはあまり気にしないでおく









「ビーチ手前で着水♪、各自、上陸用意させてちょうだい」

「はーーい♪」×ブリッジクルー

「ルリルリ、貴方肌白いんだから日焼け止めはこれを使いなさい」

「すみません」

「サツキも、肌弱いんだからちゃんと日焼け止め使いなさいよ」

「そういうお姉ちゃんも日焼け止めを使った方がいいんじゃないですか?」





そして、ナデシコはテニシアン島に到着した・・・・・

「パラソル部隊急げーーーー!!」

「おーーーう!!」

リョーコ達女性パイロットが我先にと突撃していく

「女子に負けるなーーー!!」

「おーーーう!!」

アカツキ率いる男性クルーも遅れまいと走っていく

「さて・・・私も遊ぶとしますか」

エリナは軽く伸びをしたかと思うと着ていた制服を脱ぎ走り出した

「ほう、やりますな提督」

「そういう貴方こそやるじゃない」

「これで・・・王手です」

「ぬう・・・・・投了だ」

プロスはムネタケと碁を、アキトはゴートと将棋をしていた

「おいおいアキト君、わざわざこんなところで将棋をしなくてもいいだろう。

ビーチバレーに参加しないかい?」

「ははは・・・今の俺にはパートナーがいないぞ?」

『ピキィィン!!』

・・・・急に空気が凍りついた・・・・・・

「だったら俺がパートナーになってやろうかアキト?」

「私が一緒に組んであげるよ、アキト♪」

「アキトさんの運動神経はクルーの中でもずば抜けています、

ここは一番動きが鈍い私と組んだ方が各チームの戦力差がほとんどなくなると思いますが?」

「アキトさん、久しぶりに私と組みませんか?」

「私がアキトさんのパートナーになるんです!!」

「うーーーー!!」×5

上からリョーコ、ユリカ、ルリ、サツキ、メグミの順である

アキトはこれ幸いと他のところに逃げてたりする



「アキト君、ちょっと聞きたい事があるんだけど・・・・・・

アキト君は最後まで火星に残ってたはずよね?」

「ええ、それは確かです。コブシが発進するまで地上にいたのは確実ですから」

「そう・・・・なのに地球に戻ってきていたのよね・・・・これが可能なのは・・・・」

「ボソンジャンプ・・・・そういいたいんでしょう?」

「ええ・・・・でも生体ボソンジャンプをするにしても少なくともナデシコクラスのフィールドはいる様だし・・・」

「まだ謎が多いですからね・・・・そう言えばアーサーに正体不明の装置がついていたんですけどあれはなんですか?」

「さあ・・・細かいところは私も知らないわ」

「そうですか・・・ジャンプユニットとかだったら凄いんですけどね」

「あははははは・・・・・流石にそれはないでしょ。

第一、相転移エンジンを小型化しただけでも革命的な事なのにジャンプユニットなんかできたらそれこそ本当の技術革命よ」

「はははは・・・それもそうですね、でも・・・意外にその革命が起こってるかもしれませんよ?」

「ふふふ・・・そうかも知れないわね、そうだったらネルガルにとってはありがたい事だけどね」

どこかほのぼのとした空気のなか話をする二人、アーサーの装置・・・本当はアキトはそれが何なのか知っている

ホップから渡された情報の中に全く同じものがあったのだ。それは・・・・ダークネスサレナのジャンプユニット

そしてアキトもその使い方は充分すぎるほどに知っている、ボソンジャンプ研究を昔イネスとしていた事もあったし

なにより・・・ホップに教えられた並行世界の自分がたどった道で幾度となく自分は使っていたから・・・・

「アキト(さん)は誰と組むんですか(だ)!!」

女性五人はまだそのことで争っていたらしく、アキトの姿を見つけると包囲するようにしていってきた

「ははは・・・・御免、急用ができたから参加できないよ」

アキトはそう言うとその場から逃げ出した

「ああ!!アキト(さん)」

「はいはい、皆早く勝負を開始するわよ」

アキトを追いかけようとした五人をイツキが捕まえてビーチバレーの準備ができているところまで連れて行く





『ガンッ!!』

「くっ・・・・予想以上に強いな・・・」

敵の銃弾を避け、大木の後ろに隠れるゴート

「でしょうね・・・相手はクリムゾンの中でも精鋭のSS(シークレット・サービス)

そう簡単に勝てる相手じゃないでしょうね」

「な!!テンカワ!!どうしてここに・・・・それ以前になぜ敵の正体を知っている」

「ここは最近クリムゾングループが買い取ったようですからね、

しかも孫娘のために・・・SSがいないほうが不思議でしょう、ネルガルとは敵対関係ですしね」

「その通りだ、しかしこちらとしても何もしてこないなら見過ごすつもりだったんだが・・・・」

「上陸した時から監視の目は感じていましたからね・・・・何か変化があったんですか?」

「ああ、何でもナデシコのクルーの誰かがその会長の孫娘と接触したらしい

それでやつらは俺に仕掛けてきたんだ」

「なるほど・・・多分それガイですね」

「ガイ・・・・ヤマダか?」

「ええ、上陸した後、いきなり森の中に突っ込んでいきましたから・・・・」

「・・・・・・・なるほど」

「・・・・さて、原因がわかったところでどうしましょうか?」

「・・ひとまず片付けるしかあるまい、手伝いを頼めるか?」

「わかりました」

そう言うとアキトとゴートの姿はその場から消えた

「な・・・どこにいった!!」

「なんだ、二流もいるんだな」

「なに!グハァ!!」

「これで後三人、・・・なるほど、そう来るのか」

アキトはそう言うと再び姿をけした、それからしばらくした後、二人の男が木の上から落ちてきた

「残念、俺は一時期五感の大半を失ってたからね、その程度の気殺じゃあ俺は騙せないよ」

「やれやれ・・・とんだ化け物だね」

「自分から出てくるとはね・・・・」

「俺はどちらかというと武術家タイプでね、どうせやられるんなら真正面から闘いたいんでね」

「そういう考え嫌いじゃないな・・・相手しよう」

「では、お言葉に甘えて・・・・いくぜ!!」

『ヒュン、ガッ、ドシッ、・・・バッ、バッ、ドスッ!!』

男とアキトは無言のまましばらく打ち合っていたがアキトの一撃が男の腹部にめり込んだ

「ぐっ・・・、頼むから・・・少しぐらい手加減しろよ、な」

「悪いね、ちょっと急ぎの用があるんでね」

アキトがそう言うと相手の男は倒れた

アキトは倒した男達を一箇所に集めてロープでグルグル巻きにするとそのままゴートのところに向かった

「これで終わりだ!!」

『ガァン!!』

「くっ・・・・・」

『ドサッ』

「さすがゴートさんですね」

「テンカワか・・・・そういうお前の方が俺より力は上だろうが」

「ははははは・・・・まっ、ひとまず帰りましょう、厄介な連中は片付きましたし」

「そうだな・・・・流石の俺も腹が減った」

「ははは・・・・・今日はバーベキューらしいですよ」

「むう・・・・シイタケがなければいいんだが・・」

「そう言えばゴートさんシイタケ嫌いでしたっけ?」

アキトとゴートはそんな何でもない会話をしながらビーチへと戻っていった







その後、昼食をとったナデシコクルーの面々は本来の目的を果たそうとチューリップの調査に向かっていた

「・・・あれが新型のチューリップか?早速破壊するか!!」

「待て!!・・・・あれは・・・バリア発生装置か?」

「クリムゾンの紋章までありますね・・・・何を考えているのでしょうか?」

「下手な攻撃は無意味ね・・・・・かといってバリアを壊したらチューリップが起きるでしょうし・・・」

「・・・・皆、ちょっとさがってて、試したい事があるんだ」

「試したいこと?・・・何をするつもりなの?」

「まあ見てのお楽しみさ・・・・、衝撃が来るだろうからもっとさがって。

エクス、ベルセルクモードスタンバイ」

『了解、ベルセルクモード、スタート』

『グゥルゥオオオオオオオオン!!』

「な・・・なんなんだこの音は!!」

「ああ、アーサーのベルセルクモードだな」

セイヤが急に通信を入れる

「べるせるくもーど?なんなんですかそれは?」

「ああ、リミッターを解除して三分間の間約三倍近い能力を引き出させるんだ。

これを使えば防御のフィールドを張りつつG・Bを使う事が可能なんだ

ただその後、一時間近くは冷却のために出力が半分以下になっちまうけどな」

「G・Bにフィールドの七十パーセント、残りを防御に・・・行くぞ!!」

漆黒の刃がその色をより深い・・・闇のごとき黒色に変える

「・・・・・・斬!!

その一言と共にG・Bが振り下ろされ、バリアごとチューリップが破壊される

「全フィールドを広域展開。衝撃を押さえ込む!!」

『ドッッゴーーーン!!』

「くうううううう!!広域展開してるといっても凄い衝撃だな!!」

「くぅ、ナデシコのフィールドも広域展開、エステバリスを守ります!!」

「了解!!」

そして・・・・大きなクレーターだけを起こしてチューリップはこの地から消えた・・・

「ふう・・・・一応これで任務完了・・・後はガイを探すだけか」

「ああ、彼ならレーダーに反応したから僕が拾ってくるよ」

「そうか・・・・頼む、俺は帰って休ませてもらうよ」

「ははは・・・大活躍だったからね、少し休んでいるといい」

その後、ガイを回収したナデシコはテニシアン島を後にした・・・・・・

今回は休暇に近い任務を楽しんだナデシコクルー、次はどんな任務が任されるのか・・・まだ誰も知らない















あとがき

ええーーー今回もまた簡単に流しました、多分オモイカネ叛乱か西欧辺りまでこの調子で行くと思います

さて、今回出てきたダークネスサレナですが、誤字ではありません。

この世界にきた並行世界のアキトの乗っていた機体の名前がそれなのです

エステバリスの追加装甲ではなく、反火星の後継者の組織から得た夜天光の情報をもとに再設計された機体です

(ここから下はダークネスサレナの設定です)

武装はDFWとイミディエットソード(このDFWは今のDFWと同じ物、無意識の内に記憶から設計書を引きずり出していた)

白兵戦を重視した機体で、ネルガルの協力により、より高性能なジャンプユニットを搭載

しかし、独立行動を前提とした為八メートル近い大きさになった。

あと、高機動用ユニットがあり、それを装備すればそのユニットに装着されているビームガンで攻撃可能

ビームガンのある場所はリ・ガズィのHWS(ハードウェポンシステム)を想像していただけるとありがたいです

しかし・・高機動ユニットを装備した場合大きさは十メートル近くなる(爆)

一応一体多数が前提である為装甲などはそれなりに厚い

以上がダークネスサレナの設定です、色々とぼろはありますがお許しください

 

 

代理人の個人的な感想

だから、盛り上がり盛り下がりに欠けるんですってば。

後「溜め」が無いのも減点対象。

ギャグならそこで笑いがとれますし、

シリアスならカタルシスが発生します。

取合えず「ハレのちグゥ」でも見て勉強するよーに。