北斗とアキトがダリア、アレスで初の手合わせをしてしばらくたった・・・・・



火星

そこには・・・・火星圏に落とした全戦力を結集した木連軍が何者かと戦っていた

「あははは・・・・・・その程度じゃあ僕は永遠に倒せないよ」

木連軍の全戦力は・・・・・・以前ナデシコと戦った機動兵器・・・オメガに見事に蹴散らされていた

「くっ・・・・・ジンタイプを全機戦線に投入しろ!!」

その・・・・仲間が蹂躙されていく光景を見て、艦隊の旗艦を指揮していた男性が怒りもあらわに叫ぶ

現在温存しているジンタイプは約六十、これだけあれば追い散らす事くらいは出来ると予想していた・・・しかし

「僕ばっかりだと不公平だね・・・・・皆、そろそろ起きて」

オメガに乗っているパイロット・・・・マルスがそう言うと・・・・オメガの前方に光が生まれ・・・十体の機動兵器が出現する

「むぅ・・・・・・久しぶりの戦だな」

「ああ・・・・しかも相手は人間か・・・・・面白い」

「敵機確認・・・・・・・殲滅行動に移ります」×八

そのうち二機が別々の反応をし、残る八機が全く同じ言葉をいい木連軍に突撃していった・・・・・・



木連軍旗艦『かぐらづき』艦長室

「それで・・・・・どうなった」

「・・・・その謎の機動兵器たちの手により・・・・火星に落としたチューリップ約五百・・・全て破壊されました」

「そうか・・・・・下がれ」

「はっ、失礼いたしました」

かぐらづき艦長・・・・・・草壁春樹が報告を聞き頭を痛めていた

「あれほどの戦力が敗れたと言うのか・・・・仕方あるまい・・・・不本意だが・・・」

草壁はそう言うとどこかに通信を入れ始めた・・・・・・・・・




機動戦艦ナデシコif
『新たなる刻の歌』
第十七話 もう一人の『戦神』



舞台は変わって木連軍優人部隊・・・別名『東軍』旗艦シャクヤク

そこの格納庫では龍斗が補給した物資の確認をしていた

「・・・・・これで一通りか?チェックシートを渡してくれないか」

龍斗がそう言い同じく確認していた千沙からチェックシートを受け取る

現在、龍斗はシャクヤクの機動兵器部隊長を引き受けており千沙はその補佐にあたる事になった

その龍斗がなぜ補給物資の確認をしているかと言うと・・・・・実は補給物資は主に龍斗の個人物資なのである

龍斗と舞歌親衛隊『影』が西欧で稼いだ物資は現金換算すれば一国の国家予算にもなる

龍斗は翡翠の保護の恩賞の一つとして物資の確保を行ったのだ

当然他の部隊にも分けているがおもな物資の行き先は『東軍』の元となっている

今回はボソンジャンプでかぐらづきの近くまで行き預けていた補給物資を受け取りに来たのだった

「ダリア、並びに神皇タイプの予備パーツ、夜天光用の追加武装と予備パーツ

食料物資に・・・生活用品、・・・後は・・シャクヤクの予備パーツか・・・・・一つ書き忘れているな」

「え?何か余分な補給物資がありましたか?」

龍斗は無言でチェックシートに何かを書き、千沙に手渡すとある場所へと向かっていった・・・・・

千沙は手渡されたチェックシートを見て絶句した、そこには・・・・こう書かれていたのだ

白鳥ユキナ×1


千沙が龍斗のほうを向きなおしたとき・・・・龍斗は一人の少女を片手で・・・猫をもつ様にして掴んでいた

「あ・・・・あははは・・・・・ひ・・・ひさしぶり、千沙さん、龍斗さん」

龍斗に捕まっている少女が乾いた笑いをあげ、片手を挙げ千沙と龍斗に挨拶した

「ああ、久しぶりだな・・・・・で、お前がなぜここに乗っているんだ、ユキナ?」

龍斗もその挨拶に答えた後、質問し返した

「そ・・・・それは・・・・」

「・・・まあ良いだろう、翡翠にも同年代の知り合いがほしかったところだ

翡翠とあわせてやろう・・・・・・普段どおり接してやってくれて構わんからな」

龍斗の質問に答えが上手く返せないユキナを無視し

龍斗はそのままの格好で自室で休憩中であるはずの翡翠の下に向かった

格納庫には・・・・・・突然の事で行動を停止した千沙だけが残っていた・・・・・・・・





約三時間後・・・・・シャクヤクブリッジ

そこには・・・舞歌の命令で呼び出された優華部隊、龍斗の独断で通信士となったユキナ、そして龍斗と翡翠が集まっていた

「皆集まったわね・・・今回もクリムゾンからの依頼よ

なんでもピースランドと言うところで舞踏会が開かれるらしいわ

ロバート・クリムゾン氏もこの舞踏会に参加するらしいわ・・・・・

そこで・・・クリムゾンSSとは別に護衛を数人回してほしいといってきたの

諜報部隊が調べた結果・・・・ナデシコのテンカワ・アキト達も参加するらしいわ・・・・

こちらから喧嘩を売るような事はしたくないから・・・・まずは龍斗殿が行って頂戴」

「俺が・・・・か?」

「ええ、出来る限り冷静でいられる人物と言う点で考えれば・・・龍斗殿が一番向いてるわ

招待可能な人数は後三人・・・・龍斗殿が決めて頂戴」

龍斗は優華部隊全員の顔を見渡した後、口を開いた

「まずは・・・・たまには外の景色を見せてやりたいからな・・・翡翠、次に保護役としてユキナ

後は・・・・千沙、お前だ」

「え!?わ・・・私ですか?」

予想もしなかった龍斗の指名に千沙は慌てた

「ああ、優華部隊ではお前が一番冷静さを保てるだろう」

「決まったわね、舞踏会は明日、今日は先に地球に降りて明日の為の衣装をもらっておいて頂戴

迎えは一時間後に来る予定よ」

舞歌の言葉に龍斗と千沙の二人が頷きそれぞれ用意をするためにブリッジから出て行った

翡翠とユキナはよくわかっていないようだったが龍斗に連れられる形でブリッジから出て行った・・・・







そして・・・・次の日・・・

当初の予定通り舞踏会は開かれ、そこに龍斗達は招待客としていた・・・

「地球の祭りか・・・・・随分と着飾っている連中が多いな」

「何でもこの国の姫がやっと見つかったそうで・・・・そのお祭らしいですよ」

「・・・・暇、シャクヤクでヤマトと話してたほうがまだ良かった」

「・・・そんなこといってさっきから次々と料理を平らげてるのは何所の誰よ」

上から龍斗、千沙、翡翠、ユキナの順である、ヤマトとはシャクヤクのオモイカネ級AIの事である

「しかし・・・・・もののついでだ、少しは踊った方が良いだろう、千沙」

「は・・・・はい、なんでしょうか」

「暇つぶしだ、舞踏会に参加するぞ」

「え・・・・?あ・・あの・・・」

龍斗は混乱を起こしつつある千沙の手を半ば強引にとり舞踏会に参加していった・・・・

漆黒のスーツに身を包んだ龍斗と青いドレスに身を包んだ千沙・・・

その二人の踊りは・・・・幻想的な物といっても過言ではない・・・・事実・・多くの人々がこの二人の舞に見惚れていた



その二人のちょうど反対側で・・・・暇だからと潜伏していた枝織とアキト、イツキが出会っていた

「へえ・・・・枝織ちゃんは踊るのが好きなんだ」

「うん、だから・・・・アー君、踊ろ?」

「へっ?俺は・・・・うわ!!」

イツキと話していた枝織がいきなりアキトの手をとり無理矢理舞踏会に参加させた

そして・・・・真紅と純白の舞踏が始まる・・・・・

その二人の舞踏に・・・・龍斗達のほうに魅入られていなかった者達ほぼ全員が魅入られていく・・

だからこそ・・・・ある一人の存在に気がつけなかった・・・・たった一名を除いて

『ヒュン、パシィ!!』

「もう、危ないなあ」

枝織は・・・・何所からともなく飛んできたナイフを、即座に離した片手で掴み取った

「なっ!!(まるで殺気がなかったぞ・・・・・一体何所から)」

枝織が受け取ったナイフを見てアキトは驚いていた・・・ナイフは自分を狙っていた・・・殺気も何も感じさせずに

「あっ!!逃がさないよ」

枝織は・・・・まるで鬼ごっこでもする様な無邪気な笑みを浮かべて突然逃げ出した男を追いかけ始めた

アキトも・・・・一瞬遅れてその後を追い始める



「うん?何か事件があったようだな・・・」

「そのようですね・・・・・」

龍斗と千沙は突然聞こえてきた悲鳴を聞きダンスを中断した

「・・・・・・この気配・・・・北斗・・・いや、枝織だな」

「枝織殿が・・・・潜伏したのですか?」

「そのようだな・・・・俺が後を追う、翡翠たちを頼む」

龍斗はそう言うと返事を待たずに枝織の気を追い始めた・・・・・・



「枝織と同じくらいの速さだね・・・・・・でも・・・負けないよ!!」

枝織は・・・なかなか縮まらない差を見て相手の速さを把握し・・・より一層嬉しそうな声をあげて追跡を続けた

「くそっ、なんて速さだ・・・・・」

『アキト・・・聞こえるかアキト、私だ・・・ホップだ』

「(ホップか・・・・急にどうしたんだ)」

『あいつは・・・・間違いなく守護者が送ってきた奴だろう・・・・

おそらく・・・・追いつくことは出来ないだろうが・・・・何時攻撃に移るか分からない・・・警戒しておけ』

「(言われなくても分かってるよ!!)」

アキトはホップの注意を聞き・・・・今まで以上に警戒を強めながら追跡を続けた・・・・・





「あーあ・・・・・逃げられちゃったか・・・」

「なんて速さだ・・・・・」

約三十分近い追跡劇は・・・・・逃亡者側の勝利に終わった・・・・・・

そして・・・・・それからまもなく・・・・・

「あっ・・・・もう十二時だ・・・・・アー君、また会おうね」

「え?」

急に枝織がそう言い・・・・・枝織が纏っていた気の質が変わり始めた・・・・・・

「ふぅ・・・・・やっと変わったか・・・・直接会うのは初めてだな・・・・テンカワ・アキト」

そういい・・・・枝織・・・いや、北斗が・・・アキトを見てにやりと笑った

「その気質・・・・・まさか!!」

「そう・・・・俺の名は北斗・・・・影護北斗だ・・・・悪いが・・・手合わせをしてもらうぞ!!」

北斗はそう言い・・・・アキトに殴りかかる、アキトは・・・かろうじてそれを受け流し反撃に移った



「気質が変わったか・・・・・ふぅ・・・北斗・・・何も生身で戦わなくてもいいだろうに・・・・」

龍斗は・・・動き、ぶつかり、弾きあう気の流れを読み二人の戦いの流れを察していた・・・・





北斗とアキトが戦闘をはじめて十分後・・・・龍斗もその場にたどり着き戦いを眺めていた

「ほう・・・・予想以上か・・・・だが・・・」

龍斗がそう呟いた時・・・・二人は間を開いた

「くっ・・・・機動兵器戦であらかた推測はしていたが・・・・ここまで出来るとはな・・・・」

「ふふふ・・・・まだ俺は本気では無い・・・・・いくぞ」

北斗がそう言うと共に・・・・北斗の右手が・・・・朱金の輝きに覆われ・・・そして・・・攻撃に移る

『ドスッ!!』

「グッ・・・」 バッ、ドサッ

アキトは・・・・その一撃をまともに喰らい・・・・吹き飛んだと思うと・・・即座に体制を立て直した

「ほう・・・・手加減したとはいえまだ気を保っているとはな・・・・うん?」

北斗は・・・アキトを覆い始めた・・・・蒼銀の昴氣をみて言葉を止めた・・・・

「昴氣に目覚めたか・・・・・面白い・・・いくぞ!!」

「まて!!」

再度攻撃に移ろうとした北斗を止めたのは・・・・今まで傍観していた龍斗だった

「・・・・なぜ止める」

北斗の・・・殺気混じりの問いかけに・・・龍斗は無言で小石をアキトに向かって投げた・・・・

ヒュン・・・・・サラァ・・・・・・

その小石を・・・アキトは・・・まるで見向きもせずに拳を振るい・・・・粉と化させた

「・・・・・今のテンカワ・アキトは反射的に動く事しかできん、そんな相手ではつまらんだろう」

「・・・・その通りだな・・・・だが・・・あいつはどうする?」

「俺が気絶させナデシコの連中に渡しておく・・・・・お前は先に帰っておけ」

龍斗がそう言いアキトに向かって戦闘態勢に入るが・・・・北斗はその場で待機していた

「・・・・どうした?」

「・・・・・帰り方が分からん」

「・・・・・・・千沙か?北斗がここにいる・・・・ああ・・・・・・そうだ・・・・・・」

北斗の発言に龍斗は一瞬呆気にとられたが、すぐに千沙に連絡をとった

「約一時間後に迎えが来る、それまでそこで待機していろ」

龍斗はそう言うと再度戦闘態勢に移った・・・・北斗は龍斗の言うとおり静観の体勢でいる

「コォォォォ・・・・・・」

龍斗の呼吸音と共に・・・・・龍斗の全身が漆黒の炎に覆われる

「黒河龍斗・・・・・・参る!!」

龍斗は掛け声と共にアキトに向かって突撃する

『ヒュン、フォンフォン・・・・・トッ・・・・・・ドサッ』

「・・・・あの速度の攻撃を回避し・・・首に一撃を入れ気絶させるか・・・・・流石だな」

常人では影すら見えないような動きを・・・・北斗は完全に把握していた・・・・・

「ふぅ・・・・・俺はこいつを渡してくる、お前はそこでじっとしていろ」

龍斗はそう言うとアキトを担ぎその場から去っていった・・・・

その場に残った北斗は千沙が来るまで瞑想をしていた・・・





「あ・・・・貴方は・・・・アキト!!」

「イツキ・・・・だったか?安心しろ、気を失っているだけだ」

そう言うと龍斗は背負っていたアキトをイツキに託した

「テンカワ・アキト・・・・・また戦える日を楽しみにしているぞ」

龍斗はそういうと北斗と千沙が待っているであろう場所に急いでいった・・・・・

「ふっ・・・・無意識の攻撃とはいえ・・・・俺に手傷を負わせるか・・・・あの力・・・・何所まで伸びるか楽しみだ」

龍斗は・・・・頬を流れ出した血を指で拭いながらそう言い・・・・北斗たちが待つところへと急いでいった・・・・



無意識でのアキトの昴氣の目覚め・・・・それとともに・・・・歴史は大きく動こうとしていた・・・・

その大きな動きは・・・・・アキトが気をうしなった当日・・・・・つまり・・・今日・・・・

その動きに気付かず・・・・・傷ついた白騎士・・・いや・・・幼き純白の戦神は・・・・その身体を癒すべく眠りについていた・・・

全ては・・・・戦神の目が開いた時に動き始める・・・・誰も予想だにしない事件とともに・・・・・











後書き

今回は繋ぎ・・・と言うかアキトの目覚めだけが目的だったので少なくしました

次回以降・・・・オリジナル編に入って行きます

それと共にシナリオの穴も多くなるかもしれませんが・・・・何とか穴は少なくしていこうと思います

では・・・・次回以降オリジナル編・・・それなりに暖かい眼で見守っていてください

 

 

代理人の感想

本当にあっさりしてますねぇ。

まぁ原作と同じ展開を続けても飽きるだけなんですが・・・・

いまんとこ「それ以上」のものが見当たらないのでちょっと苦しいですね。

次回以降に期待。

 

 

 

「補給物資:白鳥ユキナ」はウケましたが(笑)。