機動戦艦ナデシコif
『新たなる刻の歌』
サイドストーリー

地球ネルガル本社ビル、会長室

「ナデシコの反応が火星で途絶えた・・・・」

桃色の髪をした少女・・・・ラピスがそう呟いた

「へえーーールリ君の言葉を信じるなら次に会うのは八ヵ月後って事になるのかな?」

「はい、艦長の命令通りB案を開始しておきました」

「おいおい、会長である僕の意見は無視するのかい?」

「貴方が会長らしくおとなしく仕事をしてたら無視されないんじゃないの?」

「いやーーー、相変わらずきついなーーエリナ君」

「ところでラピス、あの計画の方はどうなってるの?」

「・・・八ヵ月後には一応完成する、でも防御面に不安がある・・・・

射撃重視の方は装甲を硬くできるからいいけど・・・・・」

「射撃重視の方はいいとしても、もう片方はどうするんだい?

あんなじゃじゃ馬使いきれる人間なんているのかい?」

「艦長からの報告で、ほぼ同性能の試作予定だった機体を扱いきった人がいるそうです」

ラピスと同年代と思われる少年・・・・ハーリーがウィンドウにアキトのシュミレーションでの戦いを表示する

「敵側の機体レベル、戦術レベルは下げていますけど、試作予定だったブラックサレナの能力はそのままです」

「へえーーー、アキト君か・・・確かに、彼なら扱いきれるかもしれないね」

「彼の戦闘能力は桁違いだものね、貴方と比べて

エリナは極楽トンボ、アカツキの方をじと目で見ながら皮肉交じりで言う

「はっはっはっはっは・・・・・・、それよりもよくあれを三メートルまで小型化できたね」

アカツキは話題を急に変更する

「僕達は五年後の技術を応用してますからね、といってもあんまり詳しくは無いですけど」

「最後はルリもアキトに頼ったって言ってた」

「そう言えば彼も相転移エンジンの改良スタッフだったね」

「けど凄い考えね・・・・相転移エンジンを直接エステバリスに組み込むなんて・・・・」

「その結果十メートル近い大きな巨人の完成か・・・・ナデシコに入るかな?」

「一応入る、ナデシコの格納庫の高さは二十メートルあったはず・・・」(私設定です)

「相転移エンジンを組み込んだことで、今のエステとは比べ物にならない性能をもつ事ができた・・・

けどその代償として現存のフレームは使えなくなった・・・・それを補う為に万能戦用に創ることになった・・・・」

「その結果相当量の資金を使うことになった・・・・少なくとも量産はできないね両方とも」

「そうね・・・機体だけならまだしもサポート用にオモイカネ級のAIを搭載することになったものね」

『正確には僕らより性能は落ちるけどね』

「ダッシュ・・・どうしたの急に?」

『ラピスに頼まれたシステム完成したよ♪』

「本当?・・・・試してみた?」

『うん♪それじゃあいくよ』

オモイカネ級AIダッシュはどことなく嬉しそうにそのシステムのテスト状況を表示する

「ラピス君、どんなシステムを開発したんだい?」

「観てればわかる」

現在、ウィンドウには開発中である相転移エンジン搭載型の白兵戦重視型と射撃戦重視型が映っていた

「ラピス!!俺に力を!!」

「「「え!!」」」

急にアキトの声がスピーカーから流れ出したので驚く三人

『ちなみに音声はラピスの希望通りにしました♪』

「貴方に・・・・・力を」

射撃戦重視の方からレーザーらしき物が白兵戦重視の方に放たれる

「照準用レーザークリア、マイクロウェーブ来る!!」

射撃戦重視が放ったレーザーがさらに太い物となる

それとともに白兵戦重視の方が手にもっていた剣の柄らしき物を前面に出す

「ラピス・・・最近何かを見てると思ったら・・・」

「たしか・・・ガ○ダム○だったかな・・・・昔暇つぶしに見た覚えがあるんだけど」

「・・・・・で・・・・どうなるのかしら?」

その状況を見ている三人は思い思いの感想を出す

「グラビティカノン、発射!!」

白兵戦重視がもっていた柄からグラビティブラストを発射する・・・・

そこで映像は終わった

「で・・・・威力はどれほどなのかしら?」

エリナが呆れたような感じでラピスに訊ねる

「今のナデシコの約2ー3倍ってぐらい。チャージするのに時間がかかるし隙は大きいけど」

「相手が遥か前方ならいい戦法になるね。

まさかとは思うけど他のシステムまで開発してないよね?」

「開発してない・・・・・まだ実験中だから

「ラピス・・・なんか今相当不穏なこと喋らなかった?」

「ハーリー・・・煩い」

「うわああああああああああああん!!!!」

「おやおや、でたねーーー伝家の宝刀ハーリーダッシュ、しかしあの程度で出されてもねーーーーー」

「ラピス・・・もしかして彼になにかしたの?」

「煩くしたらルリに失敗の報告をするって言っただけ」

「「・・・・・・・・極悪人」」

「・・・・・極楽トンボも煩い・・・・・あればらまいちゃおっかな

「いやーーー冗談だよ冗談!!他にいいシステムを思いついたら開発してくれて構わないよ!!」

「だからあのことだけは後生だからばらさないでくださいーーーー!!」

・・・・このやり取りだけで誰が実権を握っているのかがよくわかる・・・・・・

「はあ・・・・ネルガルも長くはないかしら・・・・・」

子供に手玉に取られているネルガル会長をみて、エリナはそう呟いていた















木星・・・某所地下室・・・・座敷牢

「・・・・はいれ」

「やれやれ・・・・厳重なことだな、俺一人にここまでするか?」

「・・・我を容易く一蹴した男が何を言う」

「そういうアンタこそ本気じゃなかっただろう?」

「ふん・・・・」

一人の・・・黒ずくめの男が数人の男に囲まれ牢の中に入れられる

「貴様が脱走せん限りはこちら側も条件を飲もう」

「ふん・・・もし裏切る事があれば・・・わかってるな?」

「ふ・・・承知」

黒ずくめの男を連れてきた爬虫類のような顔をした男が僅かに笑った

そして男たちは静かにその場から去っていった・・・・・

「おい、貴様」

黒ずくめの男がいるところの正反対のところにいた赤髪の人物が話し掛けてくる

「なんだ?」

「なぜ貴様はそんなところで大人しくしているんだ?貴様ならやつらを殺すことなど容易いだろうに」

「そういうお前こそ同じだろうが、お前ほどの技量を持ってすれば逃げることなど容易いだろう?」

「ふん・・・俺は外にでても何も面白いことなどないからここにいるだけだ」

赤髪の人物が先にここにいる理由を伝える

「俺は・・・命を救ってくれたやつを守る為・・・になるな」

「そう言えば条件がどうとかいってたな・・・・お前なら守りきることなど容易かろうに」

「ふ・・・その人物が俺に人殺しをさせたくない・・・の一点張りでな・・・

俺はそんな事気にするつもりなどないんだが・・・社会的にその人を殺されても厄介だからな

やむをえんから交換条件として俺がここにいる代わりに安全は確保してもらうと言うわけだ」

「ふん・・・親父なら考えそうなことだな」

「親父?・・・・誰のことだ」

「お前が容易く倒したとか言うあの男のことだ」

「ああ・・・北辰・・・とか言ったな・・・あいつの力は正確には俺と同等・・・といったとこだろうがな」

「そうかな?・・・・・俺がわかる限りでも貴様の秘めている力は底が知れんぞ」

二人の間にしばらくの間静かな・・・しかし非常に危うい空気が流れる







「お前・・・名は?」

「北斗・・・先程言った通りあいつの愚息だ、貴様の名は?」

「・・・今は黒龍と名乗っている」

「黒龍?・・・・本名か?」

「いや・・・俺を助けてくれた人達のうち・・確か・・・各務・・とかいったか?

そいつが俺のことを『黒き鎧を纏った龍』とか言ってな・・・そのときからそう名乗っている」

「・・・各務・・・そう言えば親父が優華部隊の隊長にそういう名前のやつがなったとか呟いてたな」

「・・・あいつはここに来ているのか?」

「ああ、何か用事があるときか食事をもってくる時は基本的にあいつだ、

あいつがいないときはあいつの親衛隊の誰かがきているようだがな」

「ふん・・・下手なやつだと、殺されかねない・・・そう考えているようだな」

「・・・お前、優華部隊の誰かに助けられたのか?」

「ん?・・・ああ、正式には違うようだがな」

「?・・・どういうことだ」

「俺を助けてくれた人の名は東舞歌・・・何でも優人部隊の総司令官らしい」

「ほう・・・四方天の舞歌か・・・ならなぜお前はそこまでして舞歌を守ろうとした

舞歌を今殺せるほど木連の状態は良くはないぞ」

「そうでもない・・・女が総司令官であることに不満を持つやつも多いようだ

もっとも、舞歌の実力を知る者はそんなこと言ってはないようだがな」

「・・・・ならなおさらだな、なぜお前はそんなところにいる」

「ふ・・・あくまで舞歌を認めているのはその実力を知るものだけだ。

草壁・・とかいったか、やつは隙あらば舞歌を殺し、その代りに他の人間を入れるだろうな

俺が見ただけでも・・・司令官としては舞歌より下だが一応やっていける人間は何人かいた。

今までは西沢とか言うやつが何とか守っていたようだが・・・・・・・・

これ以上敵の動きが厳しくなれば舞歌も無事ではないだろう」

「・・そこで貴様が保険となった・・・そういうことか」

「草壁と言う男は俺に司令官をやってみないかといってきたが・・・・・・・・・

恩を仇で返すようなことはいやなんでな、その場であの男を叩きのめしてこの条件を飲ませた」

「・・・先程お前がいったとおり今のお前の力は親父と同等だろうな・・・なぜ容易く倒せたのだ?」

「演義・・・だろうな、草壁は舞歌よりも俺を恐れていたのかもしれん。

舞歌を生かすことで俺を手駒にできるのなら・・・・そう安い条件ではない・・そう考えていたのかもしれんな」

「ふん・・・・なるほど、貴様の力を良く見抜いていた・・・というわけか」

「さあな・・・・」

「まあいい、貴様がいる間は少しは暇つぶしができそうだ」

「といっても手合わせはできんぞ、俺はここで大人しくしてなければいけないのだからな」

「かまわん、牢から出なくてもできることはある」

「やれやれ・・・これはなかなか退屈しない牢獄生活になりそうだな」

二人はにやりと笑いあった、それは・・自分とよく似た者を見つけたことによる喜びの笑みなのかもしれない

「地球の連中に貴様ほどの実力者がいれば外に出るのも面白くなるだろうにな」

「今はまだ陰に隠れているだけでいるかもしれんぞ」

「ふふふ・・・そう願いたいものだな」

漆黒の龍と深紅の羅刹・・・この二人の出会いは後に大きな運命の輪を動かすことになる・・・・・

だが・・そのことを知る者は・・・まだ誰もいない・・・・・・・・

















あとがき

サイドストーリーその1・・・何故か木連サイドが主体になってしまってました

黒龍の正体・・・・もう皆さんお気づきだと思います

もっと他の名前を与えても良かったんですけど・・・・・

言い訳するなら時ナデのアキトが『龍』であったところから考え付いた名前であります・・・・・

我ながら・・・安直な名前だとは思っています・・・けど・・・

名前が思いつかないんですーーーー!!

・・・・そういうわけで自分で考えたオリジナル機体の名前も安直な名前になってしまうと思います・・・

どうか、名前に関しては・・・大幅に甘めの目で見てくださいお願いいたします!!

次回・・・コスモスとともに二体ほど最新鋭機体を出す予定です・・・

またしばらく無敵状態が続きますが・・・・どうか北斗登場までお許しください!!

 

 

 

代理人の個人的な感想

だからドリルはとれネーミングには気をつけろといったのだ・・・・ぐふ(謎)。