全ては・・・・・二つの歯車がかみ合ったことから始まった

その歯車は・・・・決して大きな物ではなかった

しかし・・・その歯車が・・・全ての流れを変えていくことになるとは・・・まだ誰も知らなかった・・・・







刻まれゆく神話
プロローグ
『噛み合い始めた二つの歯車』



一つ目の歯車が生まれたのは2185年の火星だった・・・・

空港から飛んで行く地球行きの星間宇宙艇が一機

そしてそれを見送る少年達・・・・・

星間宇宙艇も見えなくなり、少年は一人の少女を連れて空港の入り口で両親を待っていた

「はあ・・・お父さん達遅いね」

「そうだな・・・・・・、おっ、忘れないうちに渡しとかないとな」

そう言うと少年はズボンのポケットから青く光る石を出した

「お兄ちゃん・・・なにこれ・・」

「父さんからもらったんだよ、二つもらったからお前にもやろうと思ってな」

「わあ・・・・・綺麗・・・」

「僕が近くにいないときはそれを僕だと思ってくれよ」

「うん・・・・わかった」

「よし、・・・・にしても父さんたち遅いな・・・・・」

『ドッゴーーーーン!!』

「なっ!!爆発!?」

「お兄ちゃん!?」

「いいか、ここを動くんじゃないぞ。僕は父さんたちを探してくる」

「お兄ちゃん!!お兄ちゃーーーん!!」

少年は妹の制止の声を振り切り両親がいるはずの場所へ向かった・・・・・



「はぁはぁはぁ・・・・・とうさ!?」

息を切らせた少年が見たものは・・・・来ていた服を赤く染め、床に倒れていた両親の姿だった

「父さん!!母さん!!」

「に・・・・げろ・・・・・アキ・・・ト」

「父さん!!」

「おやおや・・・・とんだ邪魔が入ったな」

「・・・・誰?」

「ふう・・・・大人しく外にいれば生き延びれたのにな、恨みはないが、これも仕事なんでね」

黒服の男が銃をアキトの方に向ける

「や・・・めろ・・・・息子に・・・アキトに・・・手を出すな・・・」

「・・・・・・申し訳ありませんがそれは聞けません、少年・・・・覚悟はいいか?」

「う・・・・・うわああああああああああ!!」

カァァァァァ

少年が恐怖のあまり悲鳴をあげると共に少年が持っていた青い石が光り始めた・・・・

「な・・・何だこの光は!?」

「ま・・・まさか・・・アキト!!」

「うわああああああああああ!!」

「ぬ・・・・何も見えない!!」

「く・・・・アキト・・・無事で・・・いてく・・・・れ」

その光が収まった後、その場に少年の姿はなかった・・・・・

「なに!?・・・・・まあいい、仕事は完了した」

黒服の男は特に気にするでもなくその場から去っていった







それからしばらくたったころ・・・・・

「う・・・うう・・・ヒック・・・うう・・ヒック」

「どうしたの?こんな所で?」

「お兄ちゃんが・・・ヒック・・お父さんたちを探すってヒック・・・いったまま・・かえって・・ヒック・・・こないの」

「そう・・・・そうなんだ・・・・」

「どうしたの?・・・あら・・・その子は天河博士の・・・」

「お母さん、この子の事を知ってるの?」

「ええ・・・ところで何があったの?」

「うん・・・・」





「そう・・・・・・そうなの・・・・」

「お兄ちゃん・・・・大丈夫かな・・・」

少女は落ち着いてきたのか泣くことはしなくなった

「わからないわね・・・・そうだ、家にきなさい、貴方のお兄ちゃんが来るまでうちにいるといいわ」

「え・・・・でも・・・」

「大丈夫よ、貴方のお父さんたちとは知り合いなんだから、後でちゃんと説明してあげるわよ」

「うん・・・・・わかった・・・・」

「ところで・・・・私、名前を知らないんだけど・・・・」

「私の名前は・・・テンカワ・ルミ・・・・」

「そう、ルミちゃんね、まずはこの子の名前からね、この子は・・・・」





同時刻、地球西欧方面

「御爺ちゃん!!御爺ちゃん!!」

「大変だよ!!」

「どうしたんだ二人共、そんなに慌てて」

「庭に誰か倒れてるの!!」

「なんだって!!どこにいるんだい」

「こっちだよ」

一人の老人が孫と思われる二人の少女に手を引っ張られその現場に急ぐ

そこには一人の少年が倒れていた

「ここだよ、御爺ちゃん」

「うん・・・大丈夫か。・・・・いかん衰弱しとる・・・・急いで屋敷に運ぼう」

「御爺ちゃん・・・・その子・・・大丈夫だよね?」

「ああ・・・特に怪我もなさそうだしただ弱ってるだけだろう」

そう言うと老人は倒れていた少年を抱きかかえると屋敷へと戻っていった







「疲労がたまっていただけのようです、もうしばらくしたら目覚めるでしょう」

「そうか・・・わざわざすまなかったな」

「いえ。これが仕事ですから、では」

医者が少年を寝かしてある部屋から出て行った

「この子・・・大丈夫なんだね」

「ああ・・・・大丈夫だよ」

老人はまだ不安げな孫娘を落ち着かせる為に頭をなでながら静かな声で言った





「う・・・・ん・・・・・・」

「御爺ちゃん!!」

「う・・・・うわああ!!・・・・・・」

「どうしたんだ!!」

いきなり少年が大声をあげたので老人も驚き声を大きくする

「あ・・・・・あれ・・・・ここは何所・・・・」

「ここは私の屋敷さ・・・・・大丈夫かい」

「あ・・・・はい・・・・えっと・・・ここは火星のどの辺りなんですか?」

「火星?・・・・寝ぼけているのか・・・・・ここは地球だよ」

「え・・・・地球!!・・・そんな・・・確かに火星にいたのに・・・・そうだ!!女の子は側にいませんでしたか!!」

「い・・いや・・・・屋敷の庭に倒れていたのは君だけだ・・・・?」

「そうですか・・・・・・」

「その子は君の妹かなにかなのかい?」

「はい・・・・僕の・・・・たった一人の・・・大切な妹です・・・」

「フム・・・・(先ほどの発言・・・この少年が嘘をついているようには見えん・・・ん?)」

「?・・・・どうしたんですか」

「いや・・・・君の目の色が珍しくてな」

「そうですか・・・・まあ珍しいでしょうね・・・金色の目なんて・・・」

「ふむ・・・・その眼はどうしたのかね?」

「さあ・・・・生まれ付き見たいなんです・・・気が付いたらもうこの色だったし・・・・」

「ふむ・・・うん?・・・君はIFSを持っているのか?」

「ああ・・・こっちも生まれ付きなんです、父さんと母さんには目とこれはあんまり人には見せるなって言われてましたけど」

少年はそういいながら右手にある不思議な形をしたタトゥーを撫でていた

「ええーーーもったいない・・・綺麗な色なのに・・・」

先ほどから黙っていた孫娘が急に発言しだした

「君・・・・地球に知り合いはいるのかね?」

「・・・・・・いえ・・・・いません」

一瞬少年の脳裏に髭を生やした男性と自分を振り回してくれた少女の姿が見えたがそれは記憶の隅に追いやりそういいきった

「ふむ・・・・・・・・君だけではとても生きてはいけまい・・・どうかな・・・わしの息子にならんか?」

「「御爺ちゃん!?」」

「息子・・・・ですか?」

「そう・・・といっても形だけだご両親のもとに戻る時は「父さんたちは・・・死にました・・」・・・そうか・・・すまない」





その場を沈黙が支配する・・・・そして・・・その沈黙を破ったのは・・・

「その話・・・・・受けさせてもらいます」

少年・・・・だった

「そうか・・・・受けてくれるか・・・・」

「僕の名前はテンカワ・アキトといいます・・・・貴方の名前は・・・・」

「私か・・・・私の名は・・・・・」







一つ目の歯車は・・・それからしばらく回り続けた・・・しかし・・・2195年・・・ついに二つ目の歯車が生まれた・・・





火星・・・ユートピアコロニー・・・

多くの火星の人たちが非難していたところに、青い石のネックレスをした一人の女性がいた

「はい、どうぞ」

その女性・・・・テンカワ・ルミはこちらを見ていた一人の少女に持っていたミカンを渡した

「わあ・・ありがとう!!お姉ちゃん」

「どうもすみません」

その少女の母親と思われる女性が謝ってきた

「いえ、仕入れの途中でしたし、放って置いて腐らせてしまうよりはよっぽどマシですよ」

「ふふふ・・・・確かに」

「アイ姉ちゃーーん!!」

二人が話をしていた時、一人の・・・小さな子供が手を振りながらこっちに向かって走ってきていた

「ああ!!アキト君!!」

「ご無事だったんですね」

「ええ、何とか助かりました」

その子供の母親と思われる女性がアイの母親と話をし始めた

ルミはやってきたその少年とアイと三人で話をしていた・・・

「やっぱりあの時の避難勧告を信じればよかったですね」

「ええ・・・でも悔やんでも仕方ないですよ」

「へえ・・・お姉ちゃんのお兄ちゃんの名前もアキトなんだ」

「僕と・・・同じ?」

「そうだよ」

そんな何でもない会話をしていた時・・・・・悲劇は起きた

『ドッゴーーーン!!』

何かが壊れるような物凄い音が周りに響き

音のした方ををみると割れた壁の奥からふたつの紅い光がこちらを見ていた。

「く・・・市民の安全を確保せよ!!」

その言葉と共に銃を壁から出てきたバッタに向けて乱射する軍人達

しかし・・・バッタは何一つ怯まずに少しずつ間合いを詰めていく

「ちょっとどいてください!!」

ルミは近くにあった車に乗り込むと自分の右手につけていたIFSを使い車をバッタに向けて突撃させる

「おねえちゃーーーん!!」

「いっけえええええええええ!!」

『バキ・・・バチバチバチ・・・・・プシューー』

そんな音を出しながらバッタはその動きを止めた

「お姉ちゃん凄い凄い!!」

「ふう・・・」

ルミはバッタが動かなくなるのを確認すると軽くため息をついた

しかし・・・・休むのはまだ早かった・・・

『ドッゴォォォォォンン!!!!』

「な・・・なに!?」

背後から聞こえてきた爆発音に驚きとっさに振り返ったその目に映ったのは・・・・

脱出していく人たちではなく・・・・無数のバッタ達であった・・・・

「い・・・いや・・・・・・」

カァァァァァァァ

「いやああああああああああああああああああ!!」

カァァァァァァァ!!

ルミの叫びに呼応するかのように発生した光は・・・・そのままその周辺を照らすほどに大きくなり・・・

その光が収まった時・・・・・・その場にルミの姿はなかった・・・・・



こうして生まれた二つの歯車。

この歯車がかみ合うにはもうしばらくの時間がかかった・・・

この歯車がかみ合う時・・・・時は・・・新たなる神話を刻み始める・・・・・・













あとがき

色々と伏線を張ってみたこのプロローグいかがでしたでしょうか

といってもほぼ全ての伏線の先を読んだかたもいるかもしれませんが(苦笑)

その方達はどうか知らなかったふりでお願いいたします

この作品は・・・いかにして時ナデにせず、

TV版の状態に近くして時ナデキャラを出すか・・・と言う考えの元に造りました

その結果・・・・性格変更が凄まじいキャラや登場シーンが格段に減るキャラも生まれそうです

さらに時ナデに近い話の構成になる可能性もありますがあくまでTVを参考オリジナル状態にするつもりです

次回は・・・ナデシコが出るかどうかは微妙です、まず次回で言えることは・・・・

アキト、並びに西欧組の性格が基本的に変わっているのでご注意を・・・です

では・・・・次回またお会いしましょう

 

管理人の感想

B−クレスさんから新連載を頂きました。

そうですか、西欧にいきなり跳びますか(苦笑)

となると、爺さんはあの人で、孫娘は・・・どちらかな?

なかなか面白い試みだと思いますので、続編が楽しみです。

妹のルミちゃんがどう物語に絡むのかも、興味深いですね。