テンカワ・アキト。

彼は肉体を解剖され、五感を失った。

しかし、ラピスとの感覚リンクによってある程度の感覚を取り戻した彼は、復讐に燃え妻を救う事を決意した。

その結果、復讐は成功を遂げ、妻であるユリカは保護された。

アキト本人はどうかというと、悪性ナノマシンが入りこんでしまっているようで、余命は五年だった。

それに上乗せされたコロニー連続爆破犯の濡れ衣。

家族に迷惑をかけまいと彼は旅立った。

火星の後継者の残党狩りに。

妻の元に戻ろうともせずに彼は呟いた。













「ふ・・・俺にはもうやりのこしたことは無い・・・このままのたれ死ぬのが妥当だな」










そんな言葉を聞いた一人の女が居た。












物語はここから始まる。

合言葉は



 「r」


 「e」 


 「l」


 「o」


 「a」


 「d」




「reload」=リロード






r=return

e=end

l=long

o=over

a=akito

d=drive






終わりの場所から戻る。長い時を越えた場所から。









アキトは、やってくる。









自分で、選んだ道を。








ただ、突き進むために。







そこには何がある?





終わり?

忘却?

後悔?

絶望?

幸福?

居場所?








・・・・・ナデシコ?






nadesiko.



なでしこ。



撫子。


ナデシコ。



機動戦艦ナデシコ

「時の流れに・reload」




〜第一章・時空を超えても世界が違っても俺はあんな悲劇を二度と見たくない!!〜







第0話「今ごろだけど責任ぐらいはとってもらいたい」








「アキト、イネスって人からネルガルに来いってメールが届いたよ?」

「イネスさんからか?今ごろ俺に何の用だ?」

アキトはここで少し疑問に思う。

今、アキトはテロリストとして各国に追われているのだ。ネルガルから見ても、

アキトは保護できる対象ではない。

それがアキトの責任でないにしても、だ。

「アキトは地下室へ、私は社長室に来いってさ」

「?俺はともかく何でラピスまで呼ばれてるんだ?」

「来ない場合は今の居場所を通報する・・・だって」

「俺にそんな脅しが通用するとは思っていないだろうが・・・・まあいい」

実際、アキトはボソンジャンプによってどこにでも逃げる事ができるのだ。そんな脅しは意味を成さない。

だが、脅しをかけてでも呼ぶ理由があるのだろう。

ここは断る理由もない。

ーネルガル地下

「・・・何のようだ・・・イネスさん」

「来たわね、アキト君」

白衣を着た金髪の美女、イネスがそこには居た。

「アキト君、実はあなたの体の中にある悪性ナノマシンを除去する方法が見つかったのよ」

「・・・俺はよしんば生き延びられていたとしても

ユリカ達の元に戻るつもりはない。俺は血に汚れすぎた。その手で触れる事なんか許されない」

アキトは家族に自分の罪で迷惑がかける事も、自分の変わり果てた姿を見せるのも忍びないのだ。

「いいえ、アキト君にはそんな事は求めないわ。むしろどちらでもいい」

「なんだと?」

イネスの意外な一言にアキトはあっけに取られる。

まあ、火星の後継者との戦いの時は戻るように声をかけてもらっていた事から考えれば意味が分からないと思うのは当然である。

「今回はネルガルは関係ないわ。私個人の用事よ。もっとも、今のあなたには選ぶ権利なんてないけどね」

「・・・どういうことだ?」

「今の問いに戻る気がないといわれたらこの毒薬を飲んで死んでもらおうと思っていたのよ。

私も犯罪者と言われるあなたを死なせた以上は生きていられないでしょうから、私も逝くわ」

「・・・・何を考えている?俺に付き合って死ぬ事なんて無いだろう?」

「ええ、そうね。極悪人と罵られている自分の家族も大切に出来ない男といっしょに心中なんて考えるのはおかしいと思うわよね」

「フン」

イネスの言い様にアキトは鼻を鳴らす。

「あなたに生きる理由が無いように、私にもそれが無い。

・・・暗殺だのなんだのやってきた会社の下で死ぬまでこき使われるのは嫌なのよ。

だったら・・・」

「いっそのこと、心中相手でも探して一緒に死のう、か?」

「平たく言えばそうね。一人で悲しく死ぬよりは二人・・・。

旅は道連れ、世は情け。地獄めぐり・・・してみない?」

その提案にアキトは少し考えてから言った。

「ラピスの面倒は誰かに見てもらえるんだな?」

もし、自分に残された責任があるとすればーラピスの事だった。

「ええ。ユリカさん達が責任を持ってくれるそうよ。

・・・できれば戻って欲しかったのよ。でも、アキト君・・・ううん、お兄ちゃんについていければ地獄でもどこでもいいのよ」

「・・・二人で地獄めぐりも悪くない・・・だが、よくあの二人がそんな事承知してくれたな」

「あの二人はもうアキト君がこっちを向いてくれないなら後はアキト君の意思に任せるって言ってたわ」

「見捨てた、か」

それでいいと思った。

今の自分と一緒に居ても、多分、幸せになる事など出来ないだろうから。

「ふ・・・「毒薬で自殺」この俺にはふさわしい最後かもしれないな」

そう言うと、アキトは一粒の錠剤を水で飲み込んだ。



ごくっ。



「うっ・・・」




ばた・・・。




アキトは倒れた。

「お休み・・・お兄ちゃん」

イネスはどこか悲しそうな・・・いや、何か裏がありそうな笑みを浮かべた。














「?・・・地獄にでもついたのか?」

アキトは今まで失っていた五感が戻っている。

ラピスとリンクが繋がっているのか確認してみる。

だが通じない。

やはり、完全に五感が戻っているらしい。

「体が・・・だるい・・・ん?」

アキトはある事に気付く。

そう。ここはさっきの地下室なのだ。

すると、アキトは自分のからだ全体が柔らかく、丸みを帯びている事に気付く。

「!?・・・ない・・・」

股をさぐってみるものの手応えはない。

「あー、あー。・・・声が高い?」

甲高い自分の声に何か嫌な予感を感じた。

「・・・イネスさんは治療薬の方をよこしたな」

「ええ。そうよ」

そこには少女が立っていた。

8歳くらいの少女・・・いや、子供といったほうが良いほどの。

「お目覚めかしら?」

「・・・ちょっと待った」

「説明して欲しい?」




「いや、それもあるがとりあえず待て。」




「何で俺はこんな姿に?」

「え〜とね、ちょっと待ってね」

さっきまで着ていたぶかぶかの白衣のまま、ホワイトボードを取り出す。

「悪性ナノマシンは基本的に女性の体につきやすいの。

でも、摘出する時は女性の体でないとホルモンに取りついて摘出する事そのものが困難になりやすいのよ。

だからお兄ちゃんに飲んでもらったほうは性転換も兼ねてるの。

でも、それだけじゃなくて十代の体でないと体も耐え切れない。

今、お兄ちゃんの・・・お姉ちゃんかな?体は16歳ぐらいになっているはずよ。

あと、悪性ナノマシンはこの薬の除去作用によって完全に消滅し、良性ナノマシンが体を健康体に戻した・・・ってこと」

「・・・そこまでは分かった。しかし、何故アイちゃんに戻る必要がある?」

今、イネスはアイ、昔アキトに励まされていたあの小さい女の子になっていた。

「それはね・・・半分勢い・・・と、これからはじめることに関係があるかな」

「?」

アキトは疑問そうな顔をした。

「私はボソンジャンプにおける時間移動の法則を発見したの。だから、

この悲劇の事実を歴史から消してしまおうかと思って・・・・」

「・・・おい・・・まさか・・・」

その言葉が意味するものーそれは。

「ボソンジャンプをタイムマシンとして使うの。そしてこの事実を訂正するのよ」

「大それたことを・・・」

「で!!私がこの姿になったのはお姉ちゃんに責任を取ってもらう為なのよ」

「は??」

アキトは訳がわからないという顔をした。

「だって・・・お姉ちゃんが居ない間どれだけ悲しい思いをしてどんなに会いたかったか分かる?」

「・・・・」

「ラピスちゃんには悪いけど・・・あの子にはまだ家族となりうる人がいる。

私も養女になったけどー肩身が狭くてこんなひねくれた大人になっちゃうのよ?

だから・・・せめて薬をつかってでも・・・体だけでもあの時に戻りたかったの・・・・」

「・・・俺は血に汚れすぎた・・・そんな俺でも良いと?」

「そんなことは気にしないわ。ユリカさんたちだってそういうはずよ。・・・それに私も別の意味で汚れちゃったし・・・」

アイの言葉は真実味があった。

彼女も色々と後ろめたい研究をしていたのだろう。

そんな彼女についに根負けしたのか・・・いや。

罪悪感と、アキト特有の「小さい女の子に逆らえない体質」のせいで

(もちろんルリやラピス、精神年齢は低めのユリカも含む。)

断れなかったのだろう。

「・・・本当に選択の余地は無いようだな。仕方ない。責任ぐらいは取ろう」

「言葉より行動。さあ、新しい歴史を作りましょ」

「い、いやちょっとちょっと待ってくれ」

「何?お姉ちゃん?」

「この世界に未練はないがこれはこれでいいのか?」

「何が?」

「この後どこの当たりにジャンプするんだ?」

「出航前のナデシコ」

「おい」

アキトは軽い突っ込みを入れる。

「いきなり戸籍もない二人が入ってきたって誰も信用してくれないだろ」

「それぐらいだったらごまかせるわよ」

「なんでだ?」

「私は元々ネルガルの社員、それも結構いい位置にいたのよ?ネルガルのコンピューターセキュリティぐらいなら簡単に進入できるわ」

どうやら、ネルガルの社員として乗り込むらしい。

「・・・・・」

「ついてきて」

アイはアキトを格納庫につれてきた。

ブラックサレナが置かれている。

だが、ただのサレナではない。

黒だったボディは赤く塗りなおされ、ピンクが多く使用されている。

なんとなくシャア専用ザクを彷彿とさせる。

そして、そのサレナには背中に大きいブースター・・・いや、ランドセル(ガンダムより引用)が装着されている。

「何だ?これは」

「これこそが私の最高傑作・タイムジャンパー。時間軸を自由に行き来できる様になっているの」

「・・・色には何か意味があるのか?」

「お姉ちゃんになったからね♪ランドセルもそうでしょ?男の子は黒、女の子は赤」

「・・・・・」

「さ、いきましょ♪」

(イネスさんの面影はあるが既に精神的に退化してきている・・・俺も女性的になるのか?)

妙に軽い元イネス・現アイを見てアキトは少し不安になってきた。

「?どうしたのお姉ちゃん」

「い、いや。なんでもない」

「いくよ〜・・・ジャンプ!」


続く。

作者より一言。

これから未来を変えるために飛び込んだ過去でアキコの悲壮とも言える戦いが始まる・・・








訳がない。






思い切りギャグはいります♪

え〜と。活躍の場が少ないイネスさんを中心にお送りしたいと思っている武説草良雄です。

イネスさんの言ってる事はかなりむちゃくちゃだとは思います。

この先はある意味面白味を出そうとしているので、頑張って読んで下さい。批評は・・・

あまり貶さない方針で。

ちなみにタイトルは西遊記ではなく、ギルティギアからとってます。

ついでに、俺はここで宣言します。

俺は絶対女性化(ブリセル)を貫く小説家だとここに宣言します!

では次回へ。



改定後の一言。

えーと。

ネタと設定を改めて考えるために作品を見直してたんですが・・・。

>ネルガルの治療により何とか肉体を元に戻した

しかし悪性ナノマシンが入りこんでしまっているようで、余命は五年だった。




・・


・・・



ハウァッ!?

うぉいっ!治療の意味ねーじゃん!つーわけで修正しました。ボリュームも少し増やしました。1.5倍ほどです。

タイトル前が偉く混沌としてますが、これが素なんで。これがかっこいいとか思い込んでますんで。

それにしても俺・・・・・・初っ端から恐ろしいミスを犯していましたね。

04年2月22日。武説草良雄。
 

 

管理人の感想

武説良雄さんからの投稿です。

あー女性化を貫くと宣誓されてますが・・・

それでいいのか、アキト?(苦笑)

すくなくとも、イネスさんとの間に子供は出来ないよなぁ。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・クローンでも作りそうだな、いざとなれば(汗)