〇地球・東京都・某ホテル─ユリ

私はアキトさんに口付されながら、今日までの事を思い返していました。

この世界にボソンジャンプで飛ばされる前…。
…火星の後継者を電子制圧し、北辰たちをアキトさんたちが倒し…。
すべてが完全に終わったとホッとしていたのに…。
…遺跡に融合していたユリカさんが実はクローンで、
脳髄の記憶の部分だけを移植され、都合よく操られていたと知り…。
私はユリカさんのクローンを殺す事で、二度とボソンジャンプを操れないように、
そして、ユリカさんの人生に幕を引くのは私以外に許されないと覚悟して引き金を引いた。
こうすることでしか幕引きができないと思っていたのに…。

…でも、まさかあの状況から逆転されるなんて思わなかった。

火星の後継者の切り札の女性…北斗と言いましたか。
彼女も何かしら事情があったようですが…彼女一人で状況をひっくり返してしまうとは。
その為に私、アカツキさん、エリナさん、イネスさんが捕らえられ、
私以外全員撃たれてしまった…。

…本当に、あの時ばかりはもうダメかと思いました。

ラピスの体を借りたアキトさんがあの時現れなければ、
きっと私はアキトさんやユリカさんと同じように人体実験を受けていたでしょう…。
とはいえ、あの場面でアキトさんがボソングレネードを使ったことで、
この世界への道が開いたわけですが…。

…まさか、本当に別人になってしまったとは、
もう一度この世界の住人として生まれ直してしまうとは思いもしませんでした。

やっぱりこれ、遺跡に残ったユリカさんの記憶のせいなんですか?

…そんな気がします。
その後の事も色々思い出しそうになってきましたけど…。

この長いキス…胸がいっぱいで、胸が高鳴ってて…ああ…。
そんなこと考えてる余裕が…。

「んぐっ!?」

どすっ。

アキトさんについにベットに倒されてしまって…。
ああ…ユリカさんごめんなさい…今度こそ私…。

アキトさんに幸せにしてもらいます──。



















〇地球・首都高速・ハイヤー内─エリナ

私は車を手配して、ラピスとともに佐世保に向かっている。
ラピス曰く、『悪巧み』に付き合わされている状態。
…正直言うと、アカツキ君と一緒に居たいんだけど…。
ラピスにアカツキ君の命を救ってもらった側なので、強く言えないのよね…。
病院を脱走したラピス自身、すごい無茶をしたのでそれについても叱るべきなんだけど、
あまりにも借りが大きすぎて口を出せない。
いい大人が年頃の女の子を叱れなくて情けないわ…。

「ラピス、私にここまでさせるんだからそろそろワケを話なさいよ。
 …ナガレ君も明日には退院できるのに、遠出させるんだから」

「んー?
 そうだね、そろそろ話しとこっか」
 
ラピスはアキト君をけしかけてユリと一晩時間を作らせた。
そこまでしてでも先んじて佐世保に乗り込むべきだと言った。
それに行ってたわよね、ラピスは『明日の夜には病院に戻る』って。
つまり、それまでは動くってことよね。
…どういうことなのかしら。

「今のアキトはね、想像以上に甘いんだよ?
 半年以上様子を見てたけど、
 アキトの記憶にある、ナデシコ時代より甘ちゃんだったの」

「…そんな気はするけど、この間も撃たれたし。
 でもラピスがどうしてそんなことを気にするの?
 ナガレ君だって私だって今後は手をこまねいているつもりはないわよ?」

「ちっちっち。
 エリナ、ちょっとやそっとの護衛だの状況的なセーブだのアテにできないよ。
 アキトがいくら強いって言ってもね。
 
 何しろ『世界一の王子様』『稀代の英雄』だよ?
 
 いつ何が起こるか分からないんだから。
 エリナやアカツキはアキトを見るファンの目線なんて見たことないんだから分からないよ。
 …暗殺者の冷たい目線も、すごかった。
 北辰みたいな狂気がない分だけ、処理対象って感じでぞっとしちゃった」

…そういえばラピスは意識がない間だけはアキト君の視覚と聴覚を傍受できるのよね。
色々と手を尽くしてラピスも暗殺者を探したけど…それでも特定できなかった。
ラピスの追跡から逃れるなんて、本当に凄腕ね。
PMCマルスという閉じた空間での出来事だったからなおさらなのかもしれないけど。

「なるほどね。
 だからこそ、絶対的に協力してくれる身内に、
 ある程度アキト君の事を話して、より連携を強固にしたいわけね」

「そう。
 PMCマルスのみんなを集めて、これからの事を協議しようと思ったの。
 ナデシコに乗る前だし…色んな意味で頼れる人が多いから。 
 
 もちろん、私達が遡行者である事も、クローンであることも内緒だよ。
 でもこれからPMCマルスに新しい人間を入れるのは危険だから…。
 そのあたりの事も、エリナと話し合っておきたかったし」

「…抜け目ないわね、ラピス」

「良い先生が二人もいるもん」

…本当に私とナガレ君の子供にしたいわ、ラピスは。
ネルガルが落ち目になってもラピスが居るだけでなんとかできちゃいそうだわ。

「それにアキトとの事に気づかれることはないにしても、
 エリナが私を連れまわすのは世間的にちょっとまずいじゃない?
 空路で移動するのは避けたかったの」

「そうね、山口県の出撃の時も結構気を使ったわけだし」

「アキトの妹ってだけで目立っちゃってしょーがないからね」

今日はそれにだいぶ救われちゃったけどね。
ナガレ君を助けに来れたのもラピスがアキト君のファンを捕まえられたからだし。

「そんなわけで、私、眠るわ。
 折り返し地点に来たら朝になっちゃうだろうから、
 サービスエリアで一緒にご飯食べよ。
 早朝ならちょっと工夫すれば目立たないだろうし」

「そうね。
 私も寝るわ。
 …あのバカ二人のせいで久々に疲れちゃったから…」

このハイヤーは自動運転で佐世保まで行ってくれる。
私も車の運転はあまり得意じゃないし、夜中は空いてるし…。
ひと眠りして、今日の疲れを取りましょ。
…ふあぁぁ…。
























〇地球・埼玉県郊外・テツヤの隠れ家──テツヤ

──俺はタバコをふかしながら、コーヒーをすすって、
ホシノアキト関連の特集記事が掲載されている雑誌を読み漁っていた。
…もっとも、この程度の雑誌の情報はあまりあてにならない。
新聞も、何もかもがホシノアキトの情報を推測で書いてしまう。
メディアとはえてしてそういうものではあるが、その一番の理由は、
ホシノアキト自身がかなりメディア露出が多く、主義主張まであけすけに話しているせいだ。
綺麗事しか言わないやつだが、実際それを忠実に通している。
…暗殺未遂という危険に見舞われてなお、そうだ。

俺はこいつが人間なのか怪しく感じている。

能力があまりに高いのもそうだが、あまりに欲がなさすぎる。
コスプレ喫茶、芸能界と女性関係が疑われる業界に連続していたにもかかわらずだ。
女性関係についても色々考えていたが…どうやら妻とすらも関係をほとんど持っていないらしい。
たった一度だけホテルで一夜過ごしていたそうだが…普段の雰囲気からも、
あまり積極的に関係を持っていないのが良く分かる。

そして趣味らしい趣味はほとんどない。
せいぜい料理くらいだ。世間の評判通り。
それどころか会社からほとんど出てこない。
…ライザのレポートの途中経過をみてもそれが良く分かる。
俺は小さく舌打ちをして、煙草を灰皿でもみ消した。
そして最後の一本に火をつけてもう一度ふかした。
わずか1時間の間にひと箱空けてしまった。
隣でライザがレポートのチェックと印刷を行っているのを、俺は待っている。
ライザはかなり時間がかかったが、今までのレポートをまとめ上げた。
こいつも一般社会で十分やっていける能力を持っているくせに、俺から離れる気がない。

そういうヤツはどう転んでも役立つ。

手放すつもりは全くない。
だが、どこかライザは俺に捨てられることにおびえている節がある。
まあ俺は信用できる人間とは言い難いからな。
どれだけ信じようと、そこまで無邪気には居られない。
報告書をプリントアウトし終わり、2冊の本にまとめ上げた。かなり分厚い。
このわずか1週間と少しばかりのPMCマルスへの潜入で、これだけ書き上げたか。
中々やるな、ライザ。
古風にワープロを使い、かつ紙を選んだのは、セキュリティ上の都合だ。
普通にパソコンでやればハッキングされる可能性がゼロじゃない。
俺達はそういうところには神経質にならざるを得ない立場だからな。

「…出来ました」

「ご苦労。
 こいつの出来でお前に与える罰の量が決まるからな。
 楽しみにしてな」

「…ッ。
 は、はい…」

ライザは怯えたような、だがほのかに期待が混じったような顔で頷いた。
無論、クリムゾン会長から失敗の制裁をしろと言われているわけじゃない。
俺とこいつが個人的に、失敗の罰をどうこうしているだけだ。
…こいつは何されても堪えないどころか離れる気もなさそうだから、
罰にはならんのだろうがな。

俺は咥えていた煙草を口から離すと、そっとライザに咥えさせてやった。
俺なりの労いだ。
言葉をかけてやってもいいが、こいつは俺の言葉をあまり信じない。
俺の言葉に従うしかない。それしか考えようのない立場だ。
こいつも俺を信じきれるほどおめでたくはないからな。
だからこうやって動いてやるのが一番喜ぶ。
ライザは静かになれない煙草をふかして、小さくむせ込む。
それでもわずかに頬は赤い。
恐らく根性焼きだって喜んで受け入れる女だ。
傷モノにさらに傷をつけるほど趣味が悪くはないのでやったことはないがな。

…俺は軽くめくって中身を確認したあと、
レポートを外回り用の記者姿に見合う俺のくたびれた鞄にねじ込むと、
俺は立ち上がって、鞄の中から新しい煙草を出した。

「クリムゾンの会長にこいつを手渡してくる。
 お前は少し寝てろ。
 外出するなら勝手にしていいが、髪は染めとけよ」

「…はい」

──PMCマルス襲撃事件以来、金髪女性へのマークが厳しくなった。
ホシノアキト暗殺未遂事件は世間の注目の的だ。
ライザが変装用のマスクをして潜入していたとはいえ、
その辺をうろうろしていれば職質される可能性がある。
まあ染めちまえば、関係ないんだが。
ライザは偽造の戸籍、DNA登録を行っているが、
当然、深く調べられてしまえばバレる可能性がある。
職質されてDNAまで調べられれば、危険は増すだろう。
まあ、この辺だったら外国人なんて珍しくないからな。
そんなに危険はないだろうが。
そうでなくてもこの一週間ほど、
徹夜して必死にこのレポートを書き上げたライザは、既に限界が近い。
俺が寝ていろと言わなくても、深く眠ってしまうことだろう。

俺はクソ暑い中、ジャケットを羽織って空港へ向かった。






























『機動戦艦ナデシコD』
第二十六話:Decode-解読する-ライザレポート































〇地球・佐世保市内・PMC本社・会議室─テンカワアキト

まだ日も高いが、黒カーテンで閉め切られた薄暗い会議室に、
ホシノとユリさんを除く、PMCマルスの主要人物が集まっていた。
俺、眼上さん、ナオさん、マエノさん、シーラちゃん、パイロット候補生12人…。
それにユリカとルリちゃんまで居る。
モニターが彼らの顔をかろうじて照らしていた。
…ったく、休日の真昼間から何をあつまってるんだか。
俺はユリカと出かける予定だったので外出の準備をしていたが…。
ナオさんやパイロット候補生たちはややラフに、寝癖を付けてきている子もいる。
ナオさんは普段のオールバックではないし。

「ユリカさんおめかししてますね。
 デートですか?」

「えへへー!
 実はこれからアキトと初デートなの!!」

「「「「「おおー」」」」」


「これは、PMCマルスに二組目のカップル誕生?」

「テンカワ、ついに勇気を出したな」

「きゃー!」

「ゆ、ユリカ…広めるな…」

「えー?なんでー?」

ルリちゃんに問われて、ユリカはでれでれしながら俺とのデート宣言を堂々と…。
ナオさんはからかうわ、パイロット候補生のみんなは色めき立っているし…。

…はぁ。

こんな時に招集かけるなんて、一体何があったんだよ。
いや、いろんなことがあったのは事実だけどさ。
ホシノは相変わらずだし、死にかけたし、決闘するし、
ユリさんも何度も記憶喪失になるし、ミスマルおじさんの事も大変だったし…。
今まで何もそのあたりを話してこなかった事自体、不思議ではあるけどさ。

「──みんな、集まったわね」

眼上さんが俺達に話しかけた。
眼上さんは近々離脱するそうだけど、ユリさんやホシノが居ない時はやっぱりまとめ役だ。
芸能界に居て、ホシノをプロデュースした敏腕プロデューサーだもんな。
年齢の事もあって、彼女に逆らう人なんかまったくいない。
…でも、始める前に一応聞いておくか。

「あの、なんなんすかこの集まりは…。
 緊急招集ってことなんで、出かける予定があったのに来たんすけど…。
 理由を聞かせてほしいっす」

「テンカワ君…。
 今回の話はかなり…かなり深刻にあなたに関わる話なのよ」

「へ?」

「これを見なさい!」


俺が間抜けな声を上げているのを尻目に、
眼上さんがモニターに表示した文字…。


『ホシノアキトとホシノユリを何としても生き延びさせる会議』



と書かれていた。

…どういうことだ?

「…あの、なんすかこの…。
 俺達でホシノとユリさんを守るって事ですか?
 ちょ、ちょっと過保護過ぎないっすか?」



「「「「「「あまーーーい!!!」」」」」




「いっ!?」

全員の指摘で俺ははうろたえた。
何かおかしい事を言ったのかと周りを見る。

「ただでさえアキト君はこの間暗殺されかかったのよ?
 もう彼が生きるか死ぬかで、地球圏の平和に関わる問題になるのよ」

「そうだよアキト!
 アキト君もユリちゃんも、
 これからも狙われるかもしれないのに!
 ぷんぷん!」

「…あのなぁ」

俺は呆れたようにユリカを見るが、
周囲の人間の鋭い視線に声をひっこめるしかなかった。

「あのな、テンカワ。
 お前、気づいてないのか?」

「は?」

「お前…ホシノのほうが死んだら、
 間違いなく影武者にされるんだぞ」


「うげっ!?」



「俺達がそうするのか、
 外部的にそうせざるを得なくなるのかは分からんが、
 そうなるのは間違いない。
 士気が相当違うからな」

「…勘弁してくださいよ」

俺は頭を振ってうなだれた。
そしてナオさんが指摘したことを考え直して、
冷静にテレビで流れる情報、自分の身の回りで起こった出来事を振り返り…。
分析し直したところで、それが大げさな予想ではないということに気がついた。
…顔と名前が同じというだけで、そんな目に遭うのはゴメンだぞ。

「テンカワさん。
 私もそうでなくてもアキト兄さんとユリ姉さんを死なせたくありません。
 …お願いです、協力して下さい」

「わ、分かったよ…」

「あー!
 アキト、ルリちゃんのお願いなら聞くんだ!!」

「だからユリカ!
 お前はそういうところにつっかかるなよ!?」


「…おほん。
 いいかしら?
 それでいっそのこと、命を賭けてアキト君を守ろうとしたことのある、
 特に身近な人も含んで、あの二人の情報を共有して、
 今後の対策を取ろうと考えたわけ。
 時間はそんなに取らないわ。2時間くらいかしらね。
 そこの初デートの若人二人をあまり束縛すると後が怖いから」

「め、眼上さんまで…」

…まあ、今は11時だ。
13時に終われば、それなりにしっかりデートも出来るだろう。
もーなんか逃げたくなってきたけどさ…。

「アキト君の経歴、そして過去に触れる話をするつもりなのよ。
 で、その前に私達の知る限りの情報を集めていくのよ」

「きゃー!
 アキトさまの過去を知れるの!?
 幸せー!」

…相変わらずファン集団だな、パイロット候補生たちは。
あの一角だけは黄色い声が絶えない。
いや…さつきちゃんだけは、少しうなだれている。
何か知っているのか?

「それじゃ、出会った順番に話してちょうだい。
 まず、芸能界デビューする前からの付き合いのある…」

「あ、俺です」

マエノさんはようやく届いた、義手の右手をぎこちなく挙げた。
まだ慣れないみたいだ。
話はちょっとだけ聞いたけど、コスプレ喫茶で働いて、
PMCマルスの資金集めをしてたらしい。
…まあしかし、飲食店始めるならまだしも、
ホストまがいのコスプレ喫茶がいくら稼げるとはいえ、
エステバリスを買うのは無理だと思うんだが…。

「あいつはコスプレ喫茶で働くのはあんまり乗り気じゃなかったんだ。
 本当は厨房担当希望だったんだが…兼業って事で、
 接客もすることになってさ。
 笑っちまうくらい演技が下手でな。
 あ、それでこの間の戦闘服みたいな服で、ハードボイルド役をしてたこともあるぜ」

…あいつらしいといえばらしいが。
コスプレ喫茶をやるような性格ではないし…芸能界なんかもっと向いてない。
まあ、この辺は眼上さんの話で出てくるだろうけど…。

「…で、IFSのテスター実験のせいとか言ってたが、
 ルリちゃんと同じであいつあんな見た目してるだろ?
 『天然銀髪金瞳の堕天使』とかすんごいうわさになってさ。
 テレビ取材とかも来てたのに、その頃は断り続けててさ。
 でもそれが逆に噂が噂を呼んで、話題になっちまってな。
 あいつ最終的に時給3万円くらいまでいったんだぜ」

「三万!?」

「でも、私…三万円でアキト様と一緒に居られるなら払っちゃうなぁ…」

「わかるー!」

…だから、パイロット候補生のみんなって…。
一緒の職場で過ごしててもそう思ってるって…なんなんだよホシノは…。























〇地球・クリムゾン本社・会長室─テツヤ

俺はライザのレポートをロバート・クリムゾン会長に渡した。
会長はご苦労、と一言告げて俺を横に呼んだ。
レポートの内容はかなり詳細だが、捕捉が必要になることも多いだろうからな。
…まずは、構成員の話からだな。
マエノヒロシゲ、か…。





PMCマルス構成員についての報告
________________
マエノ・ヒロシゲ(19)
PMCマルス役職:パイロット
経歴:中学卒業後、
   「学業は成人してからでも遅くない、それよりも経験だ」
   という偏った教育方針を受け、様々なアルバイトに手を出した。
   簡単なところでは倉庫の軽作業、大きなところでは高所作業員など。
   両親が海外で活躍するビジネスマンで、整備員のシーラは内縁の妻状態にある。
   弟と妹が4人の大家族で、彼らを養うことを両親に命じられている。
   収入が高い仕事を求めてコスプレ喫茶に専業で働いていたが、
   ホシノアキトとの縁でPMCマルスに就職。
   マエノ自身が身軽で居たいという希望でアルバイト契約をしている。

所感:ホシノアキトとは親友というほどは親しくないものの、
   家庭の事情で経済的に助けられるきっかけがあったため、
   ホシノアキトにかなり信頼を置いている模様。
   襲撃後、片手を失ってもなお在籍する。
   器用で人懐っこいタイプで、世渡り上手。
   稼ぐのがうまい反面、経済的感覚はあまりない。
   しかしいい加減に見えて義理堅いので不正を持ち掛けるには向いていないタイプ。























〇地球・佐世保市内・PMC本社・会議室─テンカワアキト

…5分ほど経過した。
マエノさんがおおむね話し終わり、話を締めくくろうとしている。
書記をさつきちゃん、ホワイトボードに書くのをレオナちゃんがやっている。

「…と、いうような感じだな。
 もういいか?」

「あ、私も」

シーラちゃんも手を挙げたな。
…マエノさんはちょっと冷や汗をかいているけど。

「…ヒロシゲさん、眼上さんにそそのかされて、
 ギャラ200万円で誘拐ドッキリしたんですよ。
 妹さんの進学のための資金が必要だったからって…。
 私、ホントに心配したんですから」

「…す、すまねぇ」

…何やってんだ。眼上さんとマエノさんは…。
まあ、話を聞く限りそれなりにちゃんと謝ったようだし、
ホシノも信頼を置いているんだ、ひどいやり方ではなかったんだろうけど。

「それじゃ、次は私が話す番ね」

眼上さんは改めて咳ばらいをして話し始めた。

「私はね、
 アキト君が大食いチャレンジャーとして名をはせつつ、
 コスプレ喫茶で働いているアキト君の、
 見た目と素朴さと面白さ以外に、何かを感じたの。
 輝ける何かを…」

「眼上さん、見る目ありますよね」

「「「「うふふふふ…」」」」

パイロット候補生の子たちはあらぬ方向を見ながら笑っている。
…眼上さんがホシノをスカウトしなければこの子たちもここにはいなかったな。
ホシノよ、結構大事をしてないか、お前。

「それでね、調べれば調べるほど謎が増えていくのよ。
 経歴が不自然で空白が多くて…ほとんど通信の学校を出てることになっていたの。
 体が弱い子だったら分かるんだけど、
 でもその割には必死に体を鍛えているのも見かけて、
 コスプレ喫茶でも不器用ではあるけど心身共に問題を感じなかった。
 
 …まあ、今となってはその謎も半分くらい解けつつあるけどね」

…なるほどな。
ホシノも必死に鍛えていた時期があるんだな。
ネルガルに居たころだけじゃなく、その後もか。
…ネルガルに引き取られていたせいで経歴に空白が多いんだろうけどな。

「ちょっとまだつながらないポイントがいくつかあるけど、
 この辺は追々分かっている人にゆだねるわ。
 そういうこともあって、私はアキト君をスカウトするのを決意したの。
 …第一印象を最悪にしちゃったのはちょっと焦ったけどね。
 
 で、やっぱり断られたの。
 でもコスプレ喫茶を続けたいという雰囲気がない。
 行動もぜーんぶ謎だらけ。
 …なにか別の事を考えてると見抜けたの。
 相談を密にしていったら…PMCで木星トカゲと戦う、って言いだすじゃない。
 その時もう…私…。 
 
 
 

 エモくてエモくて叫んじゃいたかったわ~~~~!

 
 
 
 あのおとなしそうなアキト君がこんな大胆な事考えるなんて思ってもみなかった。
 だから私、芸能界にデビューすることを条件に、
 PMCマルスの準備資金を50億円、集める約束しちゃったの♪」

…いや眼上さん、そんな楽しそうに言われても。
この人は自信があってその約束をしたんだろうけど、無茶なことを…。

「…でもね、やっぱり苦戦はしたのよ」























〇地球・クリムゾン本社・会長室─テツヤ

俺はコーヒーをすすりながら会長の読んでるレポートを盗み見ている。
当然、ここに来る前にすべて目を通したが、質問される可能性があるわけだからな…。
会長は次のページを見て、感嘆の声を上げた。

「驚いたな…。
 あのリチャードの娘か」

呟いた会長の人物…シーラ・カシス。
整備員としてPMCマルスに所属している。
彼女は数年前までクリムゾンの兵器開発の主任だったリチャード・カシスの娘だった。
…リチャード夫妻はクリムゾンの中でも珍しく人型兵器に入れ込んでいたが、
人型兵器はバランサー制御が難しく、
かつ陸海空宇宙でそれぞれ専用機を作るというとコストがどうしても高くなりがちで、
リストラの対象になってしまった。
…だが、リストラされたリチャード夫妻は、
ネルガルに研究データを持って亡命就職をしようとした。

これにはさすがにクリムゾン幹部も、
研究費を使いこんだくせに、恥知らず、とリストラしておいて激怒した。

…そういうこともあって、リチャード夫妻は暗殺された。
シークレットサービスも、結構エグい仕事するからな、ここは。
ただ結局研究データはネルガルにわたってしまったので、
エステバリスの基本制御機能の一部はリチャードの作を改良して作られたらしいが。

しかし、夫妻には娘が居た。
娘は社検を受かっているものの、一人ではどうしようもないと捨て置かれたが…。
どうもそれを拾ったのがマエノの両親だったらしい。
リチャード夫妻と面識のあったマエノの両親が、居候させる形で引き取ったのだとか。
本人は意識しては居ないだろうが、クリムゾンの敵になるとは…何とも因果だ。





PMCマルス構成員についての報告
________________
シーラ・カシス(19)
PMCマルス役職:整備士

経歴:中学卒業後、社検を取得。
   受験科目は整備士。
   両親は既に死亡、マエノ家に引き取られたものの、
   彼女が社検を受かっているため成人扱いで、養子にはなっていない。
   その後、マエノと良い仲になったらしい。
   整備員として15歳からずっと働いており、
   車の整備、改造などが趣味で整備員の人脈が広い。
   そのため、PMCマルスの整備員はほぼ彼女が集めたらしい。
   日米ハーフ。

所感:家庭的に問題があるためか、
   性格が極端で、趣味も極端。
   明るいが基本的にはナード・ギーグ系。
   その極端さゆえに、きっかけさえあれば引き込むことは可能かもしれないが、
   まったく思考が読めないのでおすすめしない
   



PMCマルス構成員についての報告
________________
眼上マリア(52)
PMCマルス役職:?
経歴:10代はボクシング選手のマネージャー、
   20代半ばまではアイドルとして活動した経歴があるが、
   根本的に自分自身が輝くより、セコンドとしての位置に居るべきと判断。
   以後、事務所を持たず、才能がある人物をスカウト、
   プロデュースしてから芸能事務所に引き取ってもらうやり方で、
   各芸能事務所、テレビ局との太いパイプを獲得。
   今回、ホシノアキトの芸能活動を主導し、
   開業資金集めを行ったPMCマルスの立役者であり、中心人物。
   各営業、指導経験が多いことから若輩者の多いPMCマルスの基礎を作った。

所感:彼女はあまりに表舞台にいすぎるため、
   引き込むことは出来ないと思われる。
   恐らくこちらになびいてくる可能性はゼロ。
   自分のやりたい事をやりたいように叶えている人生を送っている。
   …また、彼女がPMCマルスに居る間は連携が強いと考えるべき。























〇地球・佐世保市内・PMC本社・会議室─テンカワアキト

…なるほどな。
眼上さんでも、30億円集めるのが限界だったのか…。
とはいえ、そこまでできたのがスゴいことだけど。

「それじゃ、ナオくん。
 あの試合の事を話してあげて」

「え?いいんですか?」

「他言無用の試合でも、この子たちは墓まで持ってってくれるわよ。
 それにナオくん、そろそろ説明しないと元ヤクザとか言われてるじゃないの」

「…泣いていいっすか」

……そうなんだよな。
ナオさん、気の良い人だとは思うんだけど、微妙にカタギっぽくないんだよ。
いやボディーガードだし、そういうものだと思い込もうとはしていたんだけどさ。

「…くぅっ。
 俺とアキトが出会ったのは、出資金をめぐる賭けファイトなんだ。
 眼上さんの昔の友達が、非公式に出資金をかけてファイトする趣味を持っててな。
 アキトはあの華奢な体でプロの格闘家を5人もやっつけて5億を稼いだんだ」

「「「「きゃーっ!!さっすが!!」」」」


……いや、ナオさんやっぱカタギじゃないじゃないか!?
賭け試合とか、非公式ファイトとか…。

「一応俺は観客側だったんだけど、
 どうしても戦ってみたくなってさ。乱入しちまったんだ。
 俺もアキトを追い込んだんだけど、必殺技を出されて負けちまった。
 合計で15億、あいつは一晩のうちに稼いだんだぜ。
 
 …それでその後、俺はたまたまボディーガードの仕事をクビになってたんで、
 せっかくだからPMCマルスに就職したってわけさ。
 幸い、その甲斐あって襲撃事件では頑張れた。
 アキトもみんなも辛うじて無事に生き残れたし、な」

…うん、この際ナオさんがカタギかどうかは置いておこう。
命の恩人だし。多分昔ワルだったとかそういうタイプじゃないだろうし。

……どー考えてもホシノのほうがヤバい奴だしな。




















〇地球・クリムゾン本社・会長室─テツヤ

一度ロバート会長も一息入れて、紅茶をすすっている。
そしてもう一度レポートに目を通すと、
ヤガミ・ナオという文字に目が留まった。

「…これは、例のクローン計画の男だな」

「ええ、そうですね」

クリムゾンでも相当数のクローン研究を行っていた。
…まあ、そのせいでミスマル提督の調査にひっかかりまくったんだが。
ナオはクローンの中でも特異な個体だ…こいつまでクリムゾンの敵か。
こいつなしでは襲撃事件も乗り切れなかっただろう。
ったく…ホシノアキト、強運にもほどがあるだろうが。


PMCマルス構成員についての報告
________________
ヤガミ・ナオ(27)
PMCマルス役職:警備主任

経歴:元来、クリムゾンのクローンであり、
   彼自身の経歴はすべて偽造であるので省略。
   この数年はボディーガードとストリートファイトに明け暮れていたらしい。

所感:論外。
   ホシノアキトにやたら入れ込んでいる。
   …もしかして男が好きなの?

























〇地球・佐世保市内・PMC本社・会議室─テンカワアキト

「びゃーっくしょいっ!

 すまん、ちょっとくしゃみな。
 俺はこんなもんだな…」

やたらでかいくしゃみをして、ナオさんはティッシュを手に取った。

「ナオさん、冷房強い?」

「んやーだいじょぶだ。
 次行こう。
 眼上さん、次は?」

「とりあえず開業前の事は終わったかしら。
 テンカワ君…いえ、違うわね。
 出資金が集まった直後、
 アキト君が一時期、記憶喪失になっていた時期があったの。
 その後、ユリさんが遺伝子上の父に見つけてもらったって言っていたから…」



「あっ、私!?」




ユリカがびっくりしたように大声で応えた。
…そういえば結構前から会ってたんだよな、ユリカは。

「ユリちゃんは…見ての通り、私とそっくりだよ。
 でもなんだか性格や喋り方はルリちゃんによく似ているけど。
 
 あ、でもIFSを使うとルリちゃんに見た目までそっくりになるの。
 
 とりあえず出会った頃の話をするね。
 
 みんな知ってると思うけど、ユリちゃんは代理出産で生まれたの。
 昔、私が生まれる前にお母様が中々妊娠できなくて…。
 それで試験管ベイビーとして生まれる予定だったの。
 でも、その受精卵を奪われてしまって…。
 
 …ユリちゃんの育てのご両親も不妊で悩んでいたの。
 でもお母さまと違って、そもそも卵子が作れない身体だったの。
 だから非合法と知りながらも、子供がどうしても欲しかったって…。
 本当の子供と変わらないくらい、ユリちゃんを愛してくれていたんだって。
 …だから、その、なんていうか…」

「ユリカさん、あまり焦らないでいいのよ。
 それに別にそこまで言わなくたってみんな助けてくれるわよ」

「…いいえ、話しておくべきだと思うんです。
 世間にはまだ公表できないことではありますけど…。
 命を賭けて支えてくれるみんなには、
 過度に心配してほしくないんです」

眼上さんはユリカを案じているが…ユリカの言う通りだと思う。
既に隠し通せる話じゃなくなりつつあるからな…。
ミスマルおじさんを助ける時に、代理出産で生まれたと話さざるを得なかった。
ユリさんが実子と判明して、それでようやく身の潔白が証明できた。
…まだユリさんについてはホシノほどじゃないが謎が多い。
これも追々知ることになるんだろうか?
…みんなはユリカの次の言葉を待っている。

「それでね……どうやって見つけたかっていうと、
 お父様、すごいんだよ。
 テレビでユリちゃんを見つけただけで、ピンときちゃったんだって。
 DNAの調査依頼をすぐに行って、
 PMCマルスの設立の相談の時に、一度顔を合わせて、
 その時は動揺しちゃったらしくて一度離れちゃったけど…。
 
 それから数日して、すぐに会いに来てくれたの。
 
 色々と話したけど…なんか不思議なの。
 ユリちゃんもアキト君も、
 私を昔から知ってるみたいに優しく、親しくしてくれるの。
 …すごくうれしかったなぁ」

…ユリカはしみじみと、目に涙を浮かべて振り返っている。
みんなもその姿を見て色々と思うところがあるのかしんみりしている。
…そういえばホシノもあんなに強いくせによくピンチになるな。
限度はあるっていうのが良く分かるよ。
ユリカもそれでよく不安になってるんだろうな。

「……あ!それでね!
 テレビで見た時はわからなかったんだけど、
 アキトそっくりだから間違えちゃったの!!
 
 でもね、そのおかげでユリちゃんが私とアキトを引き合わせてくれたの!
 
 うんうん!これってやっぱり運命だよね!!」

「……お前なぁ」

「「「「ああ…いいなぁいいなぁ…」」」」

ユリカは勝手にひとりで…いやパイロット候補生の女の子たちともども盛り上がっている。
…女の子って色恋沙汰にはすんごい敏感だもんなー。

「……バカ?」

…いや、ルリちゃんだけは別だな。

「でもね、ユリちゃんってやっぱりすごいの!
 いつも会社でがんばってるのもだけど…。
 士官学校の戦術シミュレーターで無敗の私に、
 同じシステム使ってるゲームで10回中2回も勝ったんだよ!!
 やっぱり血筋だよね!うんうん!」

…うーん、それってすごいのか?
ゲームはゲームだろ?
いや、士官学校で主席のユリカがすごいというんだから本当にすごいんだろうな。
それにPMCマルスでもまとめ役として慕われている。
ユリカよりはずっと静かだけど、優れた上司って感じだ。
歳は変わらないってのに、すごい人だよホント。

「……色々あったけど、凄い子だとずっと思うよ。
 でもユリちゃんも年相応の女の子なんだ。
 ホントはもっと静かに、普通に過ごしたいんだって分かるの…。
 アキト君ともっと時間を過ごしたいって、
 私やお父様や、ルリちゃんともっと居たいって分かるの。
 …だからみんな、これからも二人を…」

ユリカがユリさんを案じる時、本当に苦しそうに見える。
そうだよな…。
戦いがユリさんとホシノを穏やかに過ごさせないんだからさ…。
























〇地球・クリムゾン本社・会長室─テツヤ

ロバート会長が次のページをめくったな。
…おっと、ここであのミスマル提督の娘のレポートか。
PMCマルスに一度だけ顔を出し…その時は単純にホシノユリの姉と思われていたが、
後から衝撃的な事実が判明した。
…PMCマルス襲撃事件の謝罪会見で明らかになった事実には、俺も驚いた。
これに最初っから気づいていたら、襲撃事件もなかっただろうが…。
そういうこともあって、襲撃事件後に調べ直す必要があった。
ライザも結構面食らって、レポートを書くのに時間がかかったんだ。
しかし、このユリカという女もネルガル所属か…。
敵対している組織の関係者とはいえ、あまりに続くな。



PMCマルス関係者についての報告
________________
ミスマル・ユリカ(20)
PMCマルス役職:なし(ネルガル社員)
経歴:ミスマル提督の一人娘として育ち、
   士官学校を首席で卒業するほどの天才。
   性格・人物的に問題が多いと評されるが、
   戦闘シミュレーターでは教官相手にすらも無敗を誇る。
   彼女が連合軍に所属した場合、かなりの指揮官になる可能性が高かったが、
   その実力を恐れられて配属が決まらず、ネルガルに就職したらしい。
   
所感:接触した回数は私も少ないため、評価しがたい人物。
   しかし、ホシノユリが明らかに絶対的に信頼している人物であるため、
   間違いなく引き込むことが出来ない。
   誘拐、もしくは殺害することが出来ればかなりの打撃を与えることが出来ると思われる。
   ただし、彼女の護衛はかなり完璧で、付け入るスキがない。
   また、ホシノアキトの義理の姉であることからも、段々と目立つようになっており、
   彼女に接触することそのものが困難。


かなり大物の連合軍関係者の娘ということもあって、彼女のマークはキツい。
彼女自身はあまり意識していないだろうが、
外出時それとなく監視を常に付けられているだろう。誘拐しようものなら、即座に勘付かれる。
彼女自身がGPSでの監視をされていると考えるべきだろうな。

…おっと、今度はホシノアキトとホシノユリの妹たちか。
彼女達はまだ情報が少ない。
いや、一応情報はあるが、ライザが調べられる範囲ではないからな。
どうしても報道から抜き出すしかない部分も多い。
ここは特に苦労した様子がみられるな。





PMCマルス関係者についての報告
________________
ホシノ・ルリ(11)
PMCマルス役職:なし(ネルガル社員)
経歴:公式的には、彼女はネルガルの研究所職員であるホシノ夫妻に引き取られた養子。
   ただ、このネルガル研究所は公にされている中ではかなり曰く付きで、
   IFSとコンピュータの研究を行っている研究所であり、
   彼女もここで何かしらの実験に携わっていた可能性が高い。
   学校はほぼ通っておらず、通信教育のみで社検に合格、
   そのままネルガルにスカウト、就職している。
   何かしら重大なプロジェクトに関わっている可能性は示唆されている。
   ホシノアキトとは義理の兄妹関係に当たるが、
   血縁関係が無い割に見た目があまりに酷似しているため、
   兄妹ともにIFS・ナノマシンの実験をされていた可能性がある。
   
所感:接触がほぼなかったので、なし。







PMCマルス関係者についての報告
________________
ホシノ・ラピス・ラズリ(12)
PMCマルス役職:なし
経歴:彼女の過去は完全に謎。
   カバー用の経歴すら未公表。
   恐らく長い間実験体として秘匿されていたと思われる。
   ホシノユリの家に養子にとられたとの事だが、
   ホシノユリ自身は彼女と顔を合わせたのは2回目の出撃時、
   ほとんど偶然のような形で初対面。
   見た目の通り、何かの実験体に使われた可能性があるが、能力は不明。
   彼女も社検に受かっているらしく、PMCマルスに在籍する可能性が高い。
   
所感:報道の通り、彼女はホシノアキトにかなり入れ込んでいる。
   それ以上のことは不明




…まあ、あっさりしたものだ。
これはライザを責めるわけにはいかんだろう。
流石に情報が少なすぎる。




























〇地球・佐世保市内・PMC本社・会議室─ルリ

…ユリカさんはなんていうか裏表がない人なので、急に明るくなったり暗くなったりします。
その中にカリスマみたいなものがあるのか、みんな口を挟めなかったみたいですね。
ユリカさんが話し終わって…静かな空気の中、眼上さんが話を進めました。

「それじゃ、次はアキ─…じゃなくてテンカワ君」

「うっす」

テンカワさんが立ち上がります。
名前も声も見た目もそっくりなので、ちょくちょくみんな間違えます。
テンカワさん自身も「アキト」と呼ぶのはユリカさんくらいなのに、
たまに間違えます。

…なんかアキト兄さんと本当に同じ空気を持っているんですが厳密には違う感じがします。

そう言えば、アキト兄さん…自分をクローンの9歳児と認めましたけど、
まさか、テンカワさんのクローンとか?
……あり得ないとはいいきれないですね。
オリジナルがだれかは教えてくれませんでしたし。
まあ、いいんですけど。
私もそうですが、本人が自分の出自を知らないパターンというのも大いにあり得ますし。

「…ちょっと情けない話なんだけど、
 ホシノがエステバリスで戦うってテレビで言い始めてた頃、
 俺は顔立ちがそっくりなんで良くからかわれたんだ。
 勇敢なホシノアキトに対して、木星トカゲにおびえる無能なテンカワアキトってさ」

…テンカワさん、辛かったんですね。
詳しくは話していませんけど、テンカワさんも木星トカゲで故郷を失って、
バッタに襲われてトラウマを抱いてしまったのだとか…。
ユリカさんも、テンカワさんが告白したことにいたたまれなさを感じているようです。

「ユリさんがスカウトしに来た時は…気が気じゃなかったよ。
 でも、俺もコックになるにしてもこのトラウマじゃどうしようもないから、
 サイゾウさんに励まされてパイロットをパートでいいからと始めたんだ。
 本当は戦いたくはないんだけどさ…。
 ホシノのせいで結構、最初は…いや、今も結構迷惑はしてるんだけどさ。
 
 でもあいつの将来の夢を直接聞いて、調理の腕を見た時、俺は驚いたんだ。
 年も一つしか変わらないのにここまで腕があって、
 でも木星トカゲが居ることで始められない状況だって…。

 …なんかあの時、こいつとならやれるんじゃないかって思ったんだ。
 
 出会ったばかりのホシノを、妙に信じられたんだ。
 それで、実際木星トカゲをやっつけられるようになって、
 もうトラウマは大丈夫になったんだ。
 だから…」

ユリカさんの時と同じく、みんなしんみりしてます。
テンカワさんは不器用な方で、あんまり自分の事を話しません。
意地っ張りで自己表現が苦手で…それで情けない自分を露呈したがりません。

実際情けないので隠しててもバレバレなんですけど。

けど、こういう風にちゃんと自分の事を話すと、やっぱりみんな聞き入ります。
特にパイロット候補生の人達は未熟で無力な自分たちを知っているせいもあって、
テンカワさんとは立ち位置が近いせいもあって、感情移入しているようですね。

「だから、もうちょっとだけ、俺もパイロットとして手伝うよ。
 立ち直れたのはホシノとみんなが居てくれたからだ。
 俺、みんなが仲間で本当に良かったと思ってる。
 …ホシノは本当に俺にいろんなものをくれたから」


























〇地球・クリムゾン本社・会長室─テツヤ

…そういえば、PMCマルスには同じ顔の、同じ名前の男がいるんだったな。
こいつはホシノアキトのクローンじゃないか?
いや…名前までは一致しないだろうが。
それにクローンだったとしても、
実験体だったと思しきホシノアキトのほうがクローンだろうが…。
とはいえオリジナルより強いクローンがいるか?
いや…贋作だからオリジナルを超えられないとは限らんが。




PMCマルス構成員についての報告
________________
テンカワ・アキト(18)
PMCマルス役職:パイロット

経歴:火星出身で、両親を失くして児童養護施設にて育つ。
   火星での木星トカゲ空襲、そしてユートピアコロニーの全滅があったため、
   高校を半ば中退している状態。
   ただ、不思議なのは火星のジャパンエリアから地球に渡航した記録が無く、
   かといって密航した様子もないということ。
   彼自身が誘拐され、記憶を操られた可能性もあるが、
   経歴の欠けが少なく、また経歴と人格がずれておらず、
   世間知らずではあるものの、常人と同じ程度の常識を持っているので、
   現状では特別な事情は抱いていないと思われる。

所感:基本的に世間知らずのガキ。
   若輩者が多いPMCマルスの中でも飛びぬけて未熟で、
   木星トカゲのトラウマを持っているため、命令違反未遂を一度起こしている。
   パイロットの素養は壊滅的に見える。
   コックになりたいだけの器量のない、単なる小さな男。
   危険もないが未熟な自覚があり、コンプレックスはそれなりにある方と思われる。
   コンプレックスを刺激すればあるいは駒として操れるかもしれない。
   ただし不正を好むタイプではないので、そういう面で利用できるタイプではない。
   見た目があまりにホシノアキトに似ているので、目だって利用しづらいものの、
   うまく利用すれば偽物として活動させることはできる…?






















〇地球・佐世保市内・PMC本社・会議室─ルリ

テンカワさんも一通り、話し終わって席に座りました。
…テンカワさんも大変なんですね。
まあ、アキト兄さんとはタイプは近いんですが…。
意地っ張りな性格で、いろんなものの吸収が遅くなってる気がしますね、テンカワさん。
とはいえ、不器用でまっすぐな性格がユリカさんには好まれているみたいですけど。
…いえ、ユリカさんの場合、ユリカさんのほうがテンカワさんにまっすぐだからかもしれないですけど。

「それじゃ、テンカワ君はこれで終わりね。
 …パイロット候補生のみんなは?」

「あ、ははは。
 私達ファンだから芸能の方は知ってるけど、
 そうなると役に立てなさそうで…」

……そりゃそうよね。
だってこの人達、勢いばっかしだし。
ま、いいけど。



























〇地球・クリムゾン本社・会長室─テツヤ

とりあえず、主要な人物はすべて抑えられたか…。
能力が高い奴もいれば、何しにきてるのか分からん奴も多いな。
あまり利用できそうな奴がいないのは参ったが…。
とはいえこんな連中で戦って、あれだけの戦果を挙げるとはな。
ホシノアキト抜きでもそれなりに戦える可能性があるくらいに、
エステバリスという機動兵器は強いんだろう。

…そういえば、整備班の有象無象の連中もデータは少ないが、
生活班と兼業のパイロット候補生も結構居るらしいな…。




PMCマルス構成員についての報告
________________
最近入ってきた、パイロット候補生
彼女達とは過ごした日数がさらに短いので、かいつまんで報告。

〇パイロット候補生の一覧

─事務担当─
クリス=増田(くりす ますだ)。
…彼女はイギリス系と日本人のハーフらしい。
日本育ちである事もあり、流ちょうな日本語を話す。
名前のせいで、クリスマスシーズンはからかわれるらしい。
茶髪系で三つ編みをしている。
大人しそうな感じがある。

─事務担当─
エイプリル・オックスフォード
…彼女は血筋はアメリカは白人系の純血だけど、
小さな頃に日本に来て、それからずっと日本育ち。
彼女もクリス同様、日本語は流ちょう。
ウエーブがかった赤毛。
活発なタイプ。

─経理担当─
葉狩 節子(はかり せつこ)
おかっぱ頭で地味な顔をしている、無口な女。
しかし、計算能力、キーボード操作が群を抜いて早く、
『表計算ソフトを扱わせれば右に出るものがいない』らしい。
無口な反面、口を開くとドギツイ皮肉が出てくる。

─生活班─
奥藤カンナ(おくとう かんな)
ポニーテールが特徴的な女の子。
清掃を得意としている。
性格は基本的に明るいが、ややキツく、しつこい。
ホシノアキトを遠くから観察する癖があり、よく注意されている。

─生活班─
八木澤 むつみ(やぎさわ むつみ)
ロングの髪のおっとりしている子。
洗濯を得意としている。
やや鈍いものの体力と腕力に長けている。

─生活班─
水野 重子(みずの しげこ)
生活班の中で唯一、決まった仕事がない雑務担当。
買い出し、消耗品管理などが一応彼女の役割だが、いろんなところで呼ばれる。
一見昼行燈のような子だが、相談役として頼られる事が多い。
占いが得意で、かなり的中率が高く、
パイロット候補生は全員が彼女に悩み事を相談に来るという。
彼女がPMCマルスに行く事を提案した。
考えが読めない不思議っ子。

─食堂班─
町谷やよい(まちや やよい)
ツインテールが特徴的な子。
背が小さく、パイロット向けではないが、
体格的に狭い食堂ではかなり有利に動ける。
元気で、体力がある方で、持久走が得意。
人懐っこい。

─食堂班─
蟹屋敷ジュンコ(かにやしき じゅんこ)
パイロット候補生の中では唯一成人している。
両親が農家で、祖父がマタギをやっていることから、
狩猟免許を持っている。
銃の腕と度胸が良く、また動物・食材の解体などを得意としている。
動物をシメるのも得意らしい。
性格はややドライで、生き死にを割り切っているタイプ。

─食堂班─
匙足弓子(さじたり ゆみこ)
食堂班で唯一、料理が不得意。
ただ手先は元々器用な方で気遣い上手。
下準備やウエイトレスとしての役割で活躍する事が多い。
元々、名前の通り実家で弓道を叩きこまれ、
彼女自身も趣味でアーチェリーもやっており、どちらも全国大会に出れる腕前。
性格的に愛想は良いが、腹黒いタイプ。

─エステバリストレーラードライバー兼保安部─
明野さつき(めいの さつき)
元々自動車部でドライバーを担当していた経歴があり、
車にかかわる事が基本的に得意。
ベリーショートが特徴。
明るく純真で、周りの事を良く想うリーダー気質。
格闘技の類は出来ないが、素質があると見込まれた。

─エステバリストレーラードライバー兼保安部─
早乙女 青葉(さおとめ あおば)
お嬢様学校に居たものの、彼氏に振られたのがきっかけで暴走族に入り、
一時期は高校に来なくなったりもしたものの、
元々は素直な性格で、喫煙や暴走行為に付き合わない事が多く、
先輩に『お前本当に向いてないよ』と諭されて暴走族を辞め、順当に卒業。
実家からはPMCマルスを辞めるように未だに言われているらしい。

─エステバリストレーラードライバー兼保安部─
樹雷レオナ(じゅらい れおな)
元々体育系の大学に通っていた、女子レスリングでも好成績を残した女。
性格は穏やかで静かなものの、感情的なところがあり、暴発しやすい。
185センチという体躯をしており、レスリングに打ち込んだものの、
本人は可愛い物好きで、身長の大きさにコンプレックスがある部分がある。
全体的に脳みそが筋肉で出来ているタイプで、手先が超不器用。




…バリエーションは豊かだが、利用できそうな奴が一人も居ないな。
まあ、有象無象の類だ。そりゃそうだろう。
ホシノアキトに心酔しすぎているだけって連中らしいしな。


─そろそろ、メインディッシュを拝みたいところだな。
























〇地球・佐世保市内・PMC本社・会議室─ルリ


「さて、じゃあ…アキト君とユリさんについて、
 それぞれ言える範囲でいいから、なにか二人の詳しい事情を話せる人はいる?」

「え?
 眼上さん、そんなプライベートなことを…」

「確かに普通の人だったら失礼に値するわよね。
 …でも、二人が戦っている理由を知りたくない?
 
 なぜ、自分で会社を興したのか。
 なぜ、エステバリスを選んだのか。
 なぜ、対人戦闘を禁じるルールを導入したのか。
 
 …この会議に参加している人は、知る権利があるわ。
 身内、そして命をかけてアキト君を守ろうとしてくれる人なんだから。
 
 これから新しく人が入ってきたとしたら、
 その人が暗殺者だったりすることもまたあり得るの。
 事情を知らずに守る決意は出来ない。
 
 …この会議を招集した人は、そう思っているみたいなのよ」

「眼上さんが招集したんじゃないんですか!?」

「ええ。
 私もそこまで踏み込むつもりはなかったの。
 後から到着する予定だから、楽しみに待っていなさい」

…テンカワさんの驚きようももっともです。
まとめ役のこの人が、考えた末に始めた会議と思っていました。

「…じゃ、気は進まないっすけど」

テンカワさんが立ち上がって、話し始めました。

「…どうやら、ホシノは木星トカゲの攻撃で、
 一時期重傷を負っていたみたいなんだ。
 それで…その間、ユリさんに支えられて立ち直ったらしい」

…なるほど、ネルガルに所属していた後に重傷を負って、
それでユリ姉さんとリハビリをしていたってことですか。

「…じゃあ私も」

ユリカさんも手を挙げて立ち上がりました。
表情は重たいですね。

「…二人とも元気に見えるけど、
 健康状態には不安があるそうなの。
 すぐにどうこう、ってことはないみたいなんだけど…。
 だから無理をできるだけさせたくなくて…」

…みんな、驚いてます。
確かに普段の二人からは想像ができないくらい、重たい過去です。
…とはいえ、テンカワさんもユリカさんも、まだ何か隠している事があるみたいです。
詳しく話すのが、ためらわれる内容のようですね。
…私が握っている情報もよっぽどですけど。
前世の記憶がどうとか、この場で言えるわけがありません。

「…そうね、私も言える情報は持ってないわ」

眼上さんも、静かに頷きました。
…『言える情報』ってことは、『言えない情報』はあるんですね。



・・・・・。
・・・・。
・・・。
・・。
・。



その後、しばらく、私達は知りうる限りの情報を、
ホワイトボードに箇条書きしていきました。

・二人は何かしらの健康状態の不安を持っている
・アキトは木星トカゲの攻撃で重傷を負ったことがある
・アキトのあの戦闘能力はネルガルで鍛えられたもの
・ユリは代理出産で生まれたがミスマル家の次女
・アキトは出生が不明
・アキトとユリの付き合いは4~7年程度と推測される
・二人の間には『思い出のラーメン』がある
・アキトとルリが兄妹、ユリとラピスが姉妹。
 ただし、血縁関係はない。
・アキト、ルリ、ラピスの見た目は体質によるもの

…こんな所でしょうか。
しかしテンカワさんとユリカさん、眼上さんは、さつきさんは
アキト兄さんの人間関係についてさらに何か握っている様子です。
この場で言えないというのは相当の事だとは思いますが…。

…しかし見てみると、矛盾こそありませんが、
ちぐはぐな印象がありますね。
アキト兄さんは実年齢が9歳で、どうやってもこんなストーリーは出来上がりません。
…まさかアキト兄さんのいう『前世』になにか関係が?

……いえ、まさか。
前世ってことは生まれ変わってしまったということです。
人が死んだとして生まれ変われるのかどうかはしりませんが、
仮にそうだったとしても生まれ変わった者同士が出会うことなんてありえないでしょう。

あるとしたらそれは奇跡に他なりません。

60億人いるこの地球、そしてスペースコロニー、月などを含めてしまえば、
70億以上の人類でそんな奇跡を起こせるとは思いませんし。

それを除いたとしても、欠けているものがあまりに多すぎます。
結論を出すには…あまりにも材料不足ということです。
これを補うことが出来る人は……。

…ラピスとエリナさん?























〇地球・埼玉県郊外・テツヤの隠れ家──ライザ

…うーん。
今何時?12時…ちょっとか…。
徹夜でPMCマルスのレポートを書き上げたけど…ふぁぁ…。
始発の飛行機でクリムゾン本社にテツヤが向かうからって、
何とか仕上げたのはいいけど疲れ切っちゃったわ…。
…テツヤに失望されてなければいいけど。

それにしても…。

PMCマルスは、若くて綺麗事をいう連中の集まりだったけど、
意外と居心地は悪くなかったのよね。
ベンチャー企業って、あんな感じなのかしら。
少しPMCマルスに居た、たった一週間の事を思い出す。



・・・・・。
・・・・。
・・・。
・・。
・。



「事務員さーん、これお願いしますー」

「はいはい」

私は矢継ぎ早に送られてくる書類を処理していく。
…まあ、無防備だこと。
入ってきたばかりの人間にこんなに意図もあっさり機密情報を…。
会社としての暦が浅すぎるとはいえ、こんなふうになっているなんてね。

──私はこの事務室で、PMCマルスの事務員として内部事情を探っていた。
内情を探る都合上、そして本当は辞めてから襲撃するために一ヶ月以上はほしかったんだけど…。
初出撃の直後、ということで不自然にはなるものの襲撃事件直後の脱出予定になっていた。
私は名前を覚えられないように『事務員のお姉さん』と呼ばれるように気を使った。
名前なんて普通は一人くらいは覚えているものだけど…。
そういう人の記憶に残らない術というのは心得ている…育ちが育ちだから。
人間なんて意外といい加減だもの。

そして、最近入社したパイロット候補生達についても良く調べた。
彼女達はいずれも18歳前後の娘で、エネルギーだけはやたらにある子たち。
女性同士というのは、とりあえず表面上なら優しく付き合ってくれるものだ。
彼女達を知るのは容易だ。
まだ愛社精神というのも芽生えてすらいない彼女達であっても、
利用する価値がありそうだから、話したりして情報を集めた。
…まあ、本当に普通の子たちだったからやるだけ無駄だったけどね。
──しかし。

それにしても謎なのは…。

場内に設置されたバスケットコートで3対3で遊んでいる、
このPMCマルスの会長にして、戦闘教官、エステバリスのパイロット、
ホシノアキト。

「うおおおおおお!」

ガコンッ!


ホシノアキトが豪快なダンクを決めて、周囲は盛り上がっている。

「アキト、お前が入ると試合にならんだろーが」

「だからナオさんが居ない時にやらないほうがいいって言ったじゃないですか」

ガードのナオ…かつてボディガード業界でも指折りの実力を持っているとされた男。
そのナオと格闘技とはいえ互角以上に戦うホシノアキト。

この男には謎が多い。
まずその白い髪と金色の瞳…。
彼自身は少し肌が白いがけっして色白ではなく、健康そのもの。
アルビノ体質というわけでもないらしい。
これだけであれば別に珍しいだけなのだが、純日本人には金色の瞳はあまり例がない。
しかも経歴とかみ合わない戦闘能力を有していることから、
どこかの組織に属していた可能性が高い。
経歴も、芸能界以前の経歴がほとんど偽造らしい。
そしてその芸能界にすらあまり乗り気でないまま、
PMCマルスを立ち上げるためだけに芸能界入りしていたという。
…極めて謎ね。
恐らく人体実験の類を受けているのは確かだけど…どこの組織かしら。

ただ、その場合でも噛み合わないことが多い。

人体実験を受ければ、人間はどこかしら歪んでしまう。
人間不信で済めば御の字、精神崩壊や発狂、廃人化もあり得る。
にも関わらず、この男は平気な顔をして普通に会話をしている。
何か装っていたり、壊れている風には全く見えない。
…あり得ないわ。

……しょうがない、お昼にしましょ。

…私は食堂で、ホシノアキトが作ったラーメン・ヌードルを食べている。
チャイニーズヌードルの類にも関わらず、日本流にアレンジされたこの料理、
はっきり言っておいしい。
病みつきになりかねないほどおいしい。
スープのダシの風味と、麺の味、香りが一体化して食欲をそそる。
食べているにもかかわらず、どんどんと食べたくなってしまう味。
…いずれあの男には死んでもらわないといけないのに、私って結構のんきしてるわよね。

そして私が食べ終わって食器を返却する頃、
ホシノアキトも自分の分の食事を作って、ホシノユリと一緒に食べている。
…メニューは、ラーメン、チャーハン、レバニラ炒め、野菜炒め、ヨーグル1パック…牛乳1パック。
しかも料理はすべて超が付くほどの大盛り…。
…腹が出っ張ってもおかしくないほど食べているのに、まったく見た目が変わらない。
どこに入っているのかしら…。

「事務員さーん」

「ひゃっ!?」

「なーにアキト様の食事内容をメモしてるの?」

私の後ろにさつきが立っている。
…この子たち、存在感が薄いから気が付きづらいのよね。
ば、ばれたかしら?

「ひょっとして…」

ご、ごくり。



「あなたももしかしてファンなの!?
 それとも週刊誌に売るの!?」


ずこっ!!



…私はずっこけてしまった。
そ、そりゃそうよね…こんな平和な国で、平和な会社で私をスパイと思うわけないわよね。

「あ、あのね…私の家族がファンだからどういう食事してるかって聞かれてて」

「へー!
 そりゃそうだよね!
 アキト様、かっこいいもん!」

……のんきにもほどがあるでしょうに。
平和なのもあるけど、ホシノアキトが芸能人であるために、
それなりに調べてても不思議がられないっていうのは助かったわ…。



・・・・・。
・・・・。
・・・。
・・。
・。



そして、初出撃当日─。
私はホシノアキトの戦闘能力に驚いていた。
エステバリスは最新鋭の機体で、ここまで習熟している人間は少ない。
にも関わらず、ここまでの性能を引き出せるとは…。
食堂で私達は戦闘の報道を見ていたが、
黄色い声援を送るパイロット候補生ほど気楽には見て居られなかった。

…これは相当に大事だ。

クリムゾンの産業スパイ、掃除屋としての活動はそれなりの年数やってきたけど…。
クリムゾンとネルガルの犬猿の仲は当然知っている。
しかしこの戦闘映像は、連合軍、そして世間へのとてつもない宣伝効果を生む。
しかも、ネルガルは別にテレビに売り込みに行っているわけではない。
テレビ局が、ホシノアキトに頭を下げて取材の許可を得て、
出撃資金まで出して、ネルガルの兵器を宣伝してしまっている。
宣伝を禁じる傾向のある、国営放送のニュース番組ですらも…。

このレベルのブームを引き起こしたホシノアキトを放置することは、
クリムゾンの滅亡につながりかねないほどの大事だと、私ですら分かる。

…本当に、失敗できないわね。この暗殺。

もっとも、連合軍の特殊部隊に勝てるとは思えないけどね。



・・・・・。
・・・・。
・・・。
・・。
・。


そして戦闘終了後、
祝勝の宴会が進む中、私は一人、会場を後にした。
後は、最悪連合軍が失敗した時に、ホシノアキトを暗殺する準備をするだけ。

私はこの宴会をどこか遠くの世界の出来事のように…。
この中に、私はいてはいけないと、居られないと分かり切っているというのに。
ほんのすこしだけ後ろ髪を引かれる気がした。
私もバカね、住む世界が違うのに…。

「事務員さん、会社辞めちゃうの?」

ドキッとした。
…後ろにいるのはパイロット候補生の…水野重子。
まさか、バレたの?

「な、何でそんなことを?」

「私が占いが趣味なの知ってる?
 そういう占いが出たの」

…なんだ、脅かさないでよ。

「でもね、辞めるつもりならちょっと考えた方がいいよ」

「え?どうしてよ?」

「辞めた後、直後にやる仕事、
 失敗するって占い出てるから。
 …あと男運が悪いみたいね、別れた方がいいかも」

…また占い?
バカバカしいわ、そんな占い、アテになるわけないじゃない。

「御忠告ありがと。
 でも好きでやることは、なかなかやめられないわよ」

「…それもそうね。
 ごめんなさい、余計な事を言ったみたいね。
 お別れ会するなら、呼んでね」

…誰が呼ぶもんですか。
今日の宴会があんた達とのお別れ会よ。



・・・・・。
・・・・。
・・・。
・・。
・。



…それで今日、レポートを仕上げてたわけだけど…。
あの占い、本当に当たったみたいね…。
ホシノアキトが起こした、一日の中で3回も起こしたあり得ない奇跡、そして逆転劇…。

駆逐艦を陸戦兵器で撃墜し、
連合軍の特殊部隊を殺さず全員捕らえ、
心臓に撃ちこんだ銃弾から生き延びた。

…なんか、勝利の女神でも付いているんじゃないかしら。
はぁ…。
持ってるところはもってるのよね、そういうの…。

もう一回、寝ましょ…。

























〇地球・クリムゾン本社・会長室─テツヤ

ついにロバート会長がホシノアキトとホシノルリのページを見た。
いよいよ本題だ。


PMCマルス構成員についての報告
________________
ホシノ・ユリ(19)
PMCマルス役職:社長兼戦闘指揮・オペレーター

経歴:報道の通り、育ての両親がミスマル夫妻に無断で受精卵を不正使用、
   育ての母親が直接出産し、
   複雑なことに法律的には育ての親が実の親になっている。
   ユリは高校を中退後、2年の経歴の空白を持つものの、
   ホシノアキトと結婚。
   この2年の空白の間に、彼女の秘密があるかと思われる。
   どういうわけか訓練もなしに戦闘指揮、そしてオペレートを完璧に行い、
   戦闘を実行した。

所感:彼女はPMCマルスの実質的なブレーンで、
   会社経営に携わることはユリと眼上の二名が中心となって行っていた。
   ホシノアキトとのなれそめは不明なものの、
   忙しさゆえにセックスレス気味でありながら関係が険悪ではなく、
   妙なプラトニックさを感じる夫婦。
   また、同い年でありながら、お互いを年下のように扱う場面がみられる。
   謎がとにかく多い。
   ただ、二人とも共依存の関係にある節があり、
   どちらかを倒せばもう一人もつられて倒れる可能性が高い。





PMCマルス構成員についての報告
________________
ホシノ・アキト(19)
PMCマルス役職:会長兼パイロット
経歴:ほとんどが偽造、空白が多い。
   通信の学校を出ていることになっている部分が多い。
   ネルガル会長の言うことを信じるのであれば、その間にネルガルに引き取られ、
   兵士のサンプルとして訓練され、IFSのテスターをしていたことから、
   現在の見た目、そして戦闘能力を有していることになる。

所感:謎が多すぎる人物。
   戦闘能力については納得できる情報が出てきたが、
   彼自身の主義主張がかみ合っていない。
   戦いたくない、コックになるのが夢だ、と言いながら戦い始め、
   ネルガルに鍛えられて、今はPMCマルスを始めている。
   木星トカゲが居る限り夢がかなわないという言葉に嘘はないものの、
   それにしてはやっていることがあまりに大げさ。
   何より、普通にやっていたら二足の草鞋を履くようなやり方で、
   白兵戦能力・パイロットの腕も、
   料理の腕も両立してここまでのものを得られるとは考えづらい。
   まるで一人の人間の体に二、三人が居るかのような状態。
   なぜこのような状態になったのかは不明なものの、
   ホシノユリがホシノアキトを支えているからこそ、
   ホシノアキトが全力を持って戦えるのは明らか。
   
   戦闘能力は高いが、一人で抱え込む性質があり、
   また仲間が傷つくことに対して極端な拒絶反応を示す傾向がある。
   
   そのため、矢面に立つ事が多い。
   つまり、彼を殺すためには、
   
   仲間を一人死なせる、もしくは孤立させて消耗戦に追い込む…。
   そう言った策が必要になると思われる。
   
   ちなみにかなりの奥手でハニートラップの類は通用しない上に、
   彼自身が会社からなかなか出てこない、
   出てくるときは大概誰かとなりにいるので無理、という状態。



…なるほど、ライザの分析はもっともだ。
連合軍特殊部隊をけしかけた時は、全員があの場所にいて、
協力体制をとることが出来たから倒しきれなかった訳だ。

ま、この程度は既に分かっていた事だ。
仲間を死なせることでショックを与えたりするというのも、すでに試した。
実際、効果は抜群だったしな。

…だが、今後はそんな作戦を通すのは無理だろうな。
恐らく、PMCマルスを不利な状況に追い込むのは軍が許しても世間は許さない。
しかも今では軍も味方に付けてしまっているしな。
…ったく、あの時殺せなかったのは手痛い失敗だったぜ。























〇地球・ネルガル本社・重役会議室

ネルガルの重役たち─ただしアカツキは除く重役がすべて集まっている。
彼らはアカツキとエリナが出払っている状態で、会議をしたいと思っていたようだ。

「えーそれでは…スキャパレリプロジェクトと、
 エステバリスの売り込み、ナデシコシリーズの建造状態について、
 会議を行いたいと思います」

「ちょっと待ってくれ」

「はい、社長どうぞ」

「…その前に、アカツキ会長とホシノアキトの関係について、
 知っていることを聞いておきたいんだが…」

「社長、その事は…。
 ホシノアキトのことについては、あまり触れないつもりだったのでは」

「そんなことを言っている場合ではないだろう!!

 あの異常な戦闘力、
 
 ホシノアキトの出生を知らぬはずのアカツキ会長が固執していた上に、

 そしてアカツキ会長とエリナ秘書までが急変し、

 人体実験を次々に止めさせた!

 危険だとは思わんのかァッ!!」


社長の激昂に会議室の人間全員がひるんだ。
社長はモニターに、アキトとアカツキとの戦闘映像を映した。

「これは、アカツキ会長がスタッフに撮影させた映像だ。
 エステバリスのCMの宣材に使うように言って、広報部に回したものだ。
 言っておくが、合成ではないぞ。
 しっかり見るんだな」

「おおっ!?」

「なんと…」

アキトとアカツキのエステバリスが次々に繰り出す、
人間離れした戦闘の映像に会議室全体がどよめいた。
ホシノアキトの戦闘能力については全員が知るところになっているが、
まさかアカツキまでもがこのレベルの戦闘をできるとは知らなかった。

「マシンチャイルドはともかく、
 ボソンジャンプの人体実験は必須のはず…。
 しかし強硬に中止させた上に、実験体であるホシノアキトとラピスラズリと友好関係にある。
 …説明を求めても、罪滅ぼしとしか言わない。
 
 だが、ホシノアキトは異常すぎる。
 
 アカツキ会長がでまかせにパイロット養成所で数年鍛えたと言っていたが、
 パイロット養成所はボソンジャンプ研究所を最近になって改装して作られたものだ。
 どこで、どうやって、あのホシノアキトがあれだけの技量を付けたのか…分からんのだ。
 しかもアカツキ会長が、そこまで彼らに入れ込んでいるのかが全く分からない」

重役たちは黙り込んだ。
人体実験を行う前々会長の腹心だった彼らでさえ、クローン研究は汚点だと振り返っていた。
禁忌を伴うクローン研究…。
劣化をしない完全なるクローン複製…しかしそれは見返りがあまりに少なかった。

マシンチャイルドを作るには、本人のDNAの適性が必須だった。

DNA適正のある者は探すのが難しいため、クローンで株分けするのが良いとされた。
しかし通常のクローニング技術では、マシンチャイルド適性を示すDNA配列が崩れやすかった。
そのため、莫大なる費用を投じて施設を建造、
ナノマシン適性が高くなりやすい火星の幼児の健康調査の血液を大量に手に入れ、実験を続けたが…。
成功したのはホシノアキトとラピスラズリの二例のみ。
しかもラピスラズリはDNA配列が完璧だったものの、オリジナルであるユリカと顔立ちが違う。
とても成功したとは言えない状態だった。

「…では社長はどうお考えで」

「…会長にどうしても話を聞かなければなるまい。
 納得のいく説明をしてもらわなければ、とてもではないが…」

「しかし社長、
 ホシノアキトとアカツキ会長の仲が良いのならそれに越した事はないのでは。
 ホシノアキトはネルガルにとっても救世主と言って過言ではありません。
 この試合はエステバリスの限界性能を試すものだったそうではありませんか。
 今後のためを思ってのことでしょう」

「……だが…恐らくアカツキ会長も彼に触発されて鍛錬を積んだんだろうが…。
 利敵行為ではないだろうが、理由が今一つはっきりしない。
 ホシノアキトもエステバリスを手に入れたからと言って、
 急にあんなに戦えるようになるか?それにしてはあまりに期間が短い…」

重役たちは再び黙り込んだ。
そしてアカツキが変わり始めた10ヶ月まえの出来事を思い返す。
ボソンジャンプの実験の中止を言いだされ、彼らも反発した。
対立しているところがあるとはいえ、
同じ組織に属する以上、そして仮にも上司に、過剰な反応は出来なかった。

「…とにかく、会長には一度、ご説明に伺ってほしい。
 痛くもない腹を探られるのは心外と笑われるかもしれんがな」

社長の言葉に彼らも小さく頷いた。




























〇地球・クリムゾン本社・会長室─テツヤ

ロバート会長は、一通り読み終えて、小さくため息を吐いた。
…ホシノアキトという人間を倒すのは容易じゃない。
あまりに目立ちすぎている。
俺でも手が出しようがないんだ。

「テツヤ、お前でもなんともならんか」

「なりませんねぇ、さすがに」

俺は正直に答えた。
…確かにホシノアキトが注目される前だったらなんとでもなったんだが。

ホシノユリやミスマルユリカは無理でも、
二人の妹の内一人を誘拐するか殺すか…それなら何とか出来たかもしれんが。
だが、すでに彼女達は注目の的だ。
ネルガルも彼女達の動向をマークしているだろう。
実験体を盗ませて自分たちの悪事を暴かせるバカは居ないだろう。

かといって仲間をむごたらしく一人殺すか?
いや、あいつの戦闘能力からすればどうやっても反撃してくるだろう。
そこまでしたら連合軍・ネルガル・テレビ局、
ついでに全国のホシノアキトファンまで敵に回すかもしれん。

…それは流石に無理だ。
そこまでされたらさすがにアシがついちまう。

今、この瞬間でさえもPMCマルスをストーカーのように、
監視している連中がゴロゴロ居ることだろう。特定の勢力、ファン問わず…。
しかしチューリップを何台かけしかけようとやっつけるのは無理だろう。
エステバリスの増台で、戦力が整いつつあるうえに、
巡洋艦までそのうち手に入れる。そりゃ無理だろう。
しかもホシノアキトとホシノユリ自身は会社からほとんど出てこない。

…八方ふさがりにもほどがある。

まだ弾道ミサイルを一本かっぱらって佐世保にブチ落とす方が可能性があるくらいだ。
そんな馬鹿げたプラン、通せるか。

…こんなに目立ってるヤツを相手にしたことはないからな。
やり方が全く思いつかん。

「当面は無理でしょう。
 機会をうかがって観察するしかありません」

「…それまでクリムゾンが持てばいいがな」

ロバート会長がいつになく弱気だ。
ため息を吐いている。
…まあ、木星との通信が途絶したらそうもなるだろう。
とはいえこの狸ジジイの事だ、何かしら新事業に金をぶち込んで生き残る算段はあるんだろう。
…そういえばPMC事業にも金を出し始めていたっけな。クリムゾングループも。
相変わらず商流を見抜くのが得意だ。

「…バール少将を失ったのも痛手だ。
 金を積めば何とか呼び戻す事は出来るだろうが、半年は必要だ。
 それにヤツは無実ではないからな」

「工作があだになるとは思いませんでした。
 …ま、会長には害が及びませんよ。
 及ぶようなことがあれば運悪く『心臓発作』でも起こしてもらいます」

いつものやり方が通用しないということで無理を言ったのが響いたな。
…実のところ連合軍の特殊部隊をけしかけさせた少佐を暗殺してもらったのは、
ミスマル提督を押しのけてバール少将を極東方面軍の司令官にするための計画だった。
そうすればいくらでもPMCマルスを潰せたからな。
まあ、まさかホシノユリがミスマル提督の娘と判明して覆され、
逆にその線でバール少将がスケープゴートにされるなんて思いもしなかったが…。

それでもロバート会長も俺以外のコマを選ぶ余地はない。
俺ほど裏の世界でも恐れられているやり手は居ないと自負してる。
今回だって俺の足はつかませちゃいないんだからな。

「それでは、監視は続けます。
 あいつらの悪評は途切れないようにしときますんで、なにとぞ」

「…頼んだぞ」

期待にそえるとは思えんが、やるか。
…不利だからって逃げるほどつまらん男じゃないんでな。








































〇作者あとがき

というわけで総集編でした。
様々な角度から、アキトとユリに関わる話を、そしてPMCマルスの軌跡を描くことにしてみました。
色々と次の話にかかっているところもありますが、それはそれ。
26話分の総括としてこういう話を書いてみたかったんです。
もちろん元ネタはパトレイバーの「香貫花レポート」です。
もっとも話に絡む部分は次回になりそうですが~~~~。

ってな具合で次回へ~~~~~~~~ッ!!



















〇代理人様への返信

>あーなるほどね、アカツキもアキトの「ファン」だったわけか。
>ホシノの方のアキトがホストやらアイドルやらやってたのを考えると中々深いw
書いてて「アカツキ、アキト好き過ぎない…?」って思ってたんですが、
まさに「ファン」という言葉がしっくりぴったりですね。
エリナの件もあるとはいえ、なんていうかめんどくさいファンと化してましたねw
『なんでアクション俳優やめたんだー!』みたいな感じで殴り込みに来てるみたいな状態になってました。
準ホストであるコスプレ喫茶、そして歌わないけどほぼアイドルをしていたアキトのファン、しっくりきました。
…そうなると、場合によってはエリナとラピスと一緒に追っかけしてる事態ってのもありえたんかなぁ…。




















~次回予告~

やほっ、ラピスだよっ。
アキトの為に色々やらなきゃいけないから大変だけど頑張るよ!
あの二人、甘ちゃんすぎて困っちゃうよ。もう。
私に甘ったれるなら、将来高くついちゃうよ?
私の借りはとっても高いんだから!

そんなわけで、次回はPMCマルスのみんなと答え合わせいってみようっ!
一応、アキトの事ちょっとは知ってもらわないと困るから。

やりすぎたか…?みたいに書きすぎてしまってからようやく気付く鈍い作者が贈る、
今度はラピスのターン!で話が回っていくナデシコ二次創作、










『機動戦艦ナデシコD』
第二十七話:Disclose-暴露する-














をみんなで見てよ!




















感想代理人プロフィール

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代理人の感想 
うーんw
総集編というかデータまとめというか・・・
まあ香貫花レポートではあるw



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