〇地球・西欧方面・ドイツ・市街地──アリサ

『アリサ少尉、チューリップの周囲の民間人の避難が間に合いません!』

「ちぃっ!
 シャクヤク到着の政府広報が裏目に出たかしらね…!
 こちらアリサ!
 シルバーバレッツ小隊各機へ!
 シャクヤクが来てくれるまでの時間持たせればいいわ!
 地上部隊に敵主力を任せて、敵の誘導に専念せよ!」


『『『『了解ッ!』』』』



私達はドイツの市街地の奪還作戦に動いていた。
敵のチューリップは近くで軍事行動を行わない限り大きな動きを見せない。
しかし、市民を安心させるためにシャクヤクの到着をいち早く教えてしまったのが災いしたのか、
傍受されてしまったのか、かえってチューリップの動きを速めてしまったらしい。
チューリップは人間相手には無理に攻撃しないが、
大型車両一つでも逃そうとはしないため、走って逃げるしかない。
そうなると体の弱いものが取り残されたりしてしまう。
それにこの大きなチューリップを破壊するとなると、街への損害は小さくない。
位置関係的にグラビティブラストは撃てないし…。
砲戦エステバリスとシャクヤクのミサイル攻撃を行えば勝てるだろうけど、
避難が徹底されなければそれもできない。
…もどかしいわね。


ピッ!



『アリサ少尉、上空に敵を誘導してくれ!
 シャクヤクが到着した!
 敵の航空部隊はグラビティブラストで一掃してやるぞ!』

「隊長!間に合ったんですね!」

『ああ、だいぶ無理を言って飛ばしてきてもらったぞ!
 シルバーバレッツ小隊は敵をうまく誘導してこっちに連れてこい!』

私達空戦エステバリス小隊『シルバーバレッツ』は、半年近く戦い続けている。
かなりの西欧諸国の解放に成功してるけれど、まだかなりの地域にチューリップが残されてる。
このようにかなり市街地が近い場合、
航空戦力が中心の連合軍では戦力を集中するのが大変なので、
エステバリスが配備されるまでは対抗策が取れなかった。
今や私達はバッタやジョロどもの扱いには手慣れたもので、
時に闘牛士のごとく華麗に受け流し、時に剣士のように両断し、蹴散らす。
数が多くて時間がかかるところだけど、木星トカゲにとってはエステバリスは天敵。
街中での戦闘に関してもかなり優位に戦えることが多く、被害も比較的抑えられていた。
組織だった戦闘が出来るようになったのは効果が大きかったみたいね。
虫に対する鳥類のごとく、一方的に蹴散らすことすらできる性能がある。
故に驚異を覚えて私達を追い回す癖がある。
それでも蹴散らせちゃうくらいの力の差があるんだけどね。
…そういえば、あのホシノアキトの映画には獣の形をした…鳥の形をした敵が出てきたっけ。
あれは結構生々しくておっかないけど、こいつらはもう雑魚もいいところ。
グラビティブラストって網で一網打尽よ!

『よし、グラビティブラスト広域放射だ!
 
 

 ……ファイエルッ!』


ぎょぱっ!!



シャクヤクから放たれたグラビティブラストはいとも簡単にバッタたちを爆散させた。
敵はナデシコ級に対する警戒を強める傾向にあるけど、
突如現れたシャクヤクに混乱してるみたい。
距離がありすぎて一方的に攻撃されてしまう状態だから、もう手遅れ状態なんだけどね。

──その後、あっさりと戦況は覆ってしまった。

私達のエステバリス小隊各5機、4組の編成でも負けはしないだろうけど…。
それでもそれなりの損傷は覚悟する必要があった。

それがナデシコ級一隻で楽勝の領域に入ってしまう。

チューリップがいくつもあったらそうもいかないんだろうけど、出口が一つなら限度がある。
私達はさっさと敵戦力を押し込んで勝利した…すごい、全然違う。
この調子なら、コスモスが向かった月もあっさりと取り戻せるはず。
地球も、もしかしたら後一年もかからず木星トカゲを追い出すことが出来てしまうかもしれない。
…そうなったら、いいな。
そうなったら…どうしようか。
しばらく休暇をとって、家族と仲直りしに行こうかな…。
でもまた軍をやめろって怒られるんだろうなぁ。
……でも、やめてもいいかもしれない。
私も世界一のパイロットにはなれないかもしれないし…。
年齢的にもまだいろんなことをやり直すことができるだろうから。
少し前までこんな風に思えなかった。
おじい様のこともあって、軍で人を救う道を探そうとしていた。
誰も死なないように、私が命を賭けて守ろうとしていた。
でも、そうじゃない世界中の声を聞いた。肌で感じた。

みんな、戦争を捨てたがってる。

私も少しだけ影響され始めている。
みんながそう考え始めたのはホシノアキトの映画のせいみたい。
敵が人間なんじゃないか、もしそうだったらどうするべきだろう。
あの映画でそれを真剣に考える機会を得た。
押し返せる状況が整いつつあるからこそ、そう思っていた。
憎しみはゼロにはできない。
でも敵が戦う理由はなんなのか、考えなくていいとも思えなくなった。

あの映画を主演したホシノアキトに、
婚約者を救えなかったホシノアキトに、
あんなに強くても戦いを好まなかったホシノアキトに、
そして戦争を乗り越えて自分の夢をかなえようとしているホシノアキトに…。

悲しみを乗り越えて進もうという姿に心を動かされた人は数知れない。
自分も同じように乗り越えたい、夢を叶えたい、失った愛する人の分までしっかり生きたい…。
全人類が、先の見えない、どうしようもない戦争の先に、希望を見た。
確かにまだ、公で明確に反戦を口にする者はそう居ない。
でも戦争の起こりについて追及し始めている人が出始めている。

本当に敵は異星人なのか、言葉の通じない機械の王国なのか…。

そう問い始めた人がどんどん増えている。
今までは被害を与える悪の帝国であるというのを信じるほど追い詰められていた。
けど勝てるかもしれない希望が見えてきたところで、
ホシノアキトの提示した問いを考える余裕が出てきた…。
地球がなぜこんな戦争をしなければならなかったのか、根本的なところを考え始めた。

あのとぼけた人が世界を変えてしまいそうになっている。

それほどまでの影響をホシノアキトは与えてしまった。
どうしてこんなことになったのか…いい事だと思うけど。
…確かに才能を感じる人だけど、私にはあの人の良さが今一つ分からない。
姉さんにそのあたりの事をメールしたら、『それは私も思う』って言ってたし…。
まあ、映画はちゃんと面白かったんだけど。
とにかく世の中は大きく動いていた。

そう。
今は予定通りシャクヤクが来た、2月1日。
目立ちすぎる英雄、ホシノアキトが騒がしい面々とともに、
機動戦艦ナデシコで火星に飛び立ってから、すでに一ヶ月が経過してしまっていた…。






















『機動戦艦ナデシコD』
第五十五話:『director-ディレクター-』

























〇地球・東京・繁華街──エリナ
この一ヶ月、いえ12月から1月のすべてをナデシコ級の配備とエステバリスの納入、
対ディストーションフィールドミサイルの配備計画、そしてナデシコが火星に行くまでの根回し、
もろもろなことで奔走しまくってたら、私達は過労で倒れそうなところまで追い込まれていた。
ようやく一段落して、私達は業務から解放された後、デートを楽しむことにしたんだけど…。

「…とんでもないことになったわね」

「…うん」

どこを見てもアキト君の顔が、今まで以上にたくさん見える。
町中のポスターは言うに及ばず、
小さい映画館は全時間の上映が『ダイヤモンドプリンセス』で埋まってる映画館も少なくない。
ちゃんと他の映画を上映してる大きな映画館でも、
ナイトショーの上映はすべて『ダイヤモンドプリンセス』の上映。
どんな時間帯でもナイトショーでも常に満席が確保できるということで、重宝がられてる。
老若男女、すべての世代、すべての国、すべての人間ほとんどがアキト君、そして彼を取り巻く人間に魅せられてる。
テレビ、書店、ネット、ありとあらゆるメディアがアキト君に占領されてしまっている。
本人が居ないので眼上マネージャーとラピスが取り仕切ってるそうだけど…こ、これは…。
…手が回らなくて監修まで出来てないんだろうけど、ひどいことになってるわ…。

私達は以前から超ブームだったアキト君の人気が、
さらに新星爆発してしまった現実に、乾いた笑いが出てしまった。
元々戦争終結に導くレベルの英雄とは言われてたんだけど、それはあくまで戦闘のみの話だった。
木星トカゲ以上の技術を使ったエステバリスとナデシコの売り込みに大成功したので、
地球が助かるきっかけを作った英雄という話だけになるはずだった。

でもIFSのための人体実験、そしてネルガルに強い兵士を作るための実験台にされたという事実。
木星トカゲに婚約者を奪われたという話…。
それらがアキト君個人に起こった出来事が広まるにつれて戦争に関する嫌悪を育てた。
計算したわけじゃないんだろうけど、アキト君が望む方向に世の中ごと変わってる…。
も、もしかしなくても…取り返しつかないわよね、これ。

「あ、落ち目のアカツキ会長だ」


「落ち目っていうなよ!?ネルガルは絶好調なんだからね!?」



……映画で落ち目を演じるのを許可したせいで、ナガレ君はたまにアキト君のファンにいじられるのよね。
実際はもう独走ぶっちぎりって感じなんだけど…。

「ま、まあいいか…。
 エリナ君、今日はどうしようか」

「食事とったらレイトショー行かない?」

「えっ!?」

「なによぅ。
 今月も忙しくて結局アキト君の映画見れなかったんじゃない。
 ようやく明日お休み取れたんだから見ましょうよ?」

「あ、あははは…そだね…」

私達は楽しみにしていたこの映画を一本ずつ見ることもできなくて、一ヶ月も経っちゃったんだから。
その後、私達は結局朝までぶっ通しで見たんだけど…。

…何回か吹きそうになってそのたびににらまれそうになっちゃったわ。
救われる気持ちになった部分もあったんだろうけど、逆にすごいわね。
へ、変な方向で吹っ切れてるのは分かってたけど…こ、これを演じてたのアキト君…。

でも最後にまとまるところはご都合主義ながらも、いいエンディングよね。
いい顔してたわ、みんな。
私達もなんだかんだ言いながら、結構ほろっとしちゃった。
あんな未来があればって、私達も本当に思っちゃった。

……でもこんな大事になってしまったら、
アキト君は普通の生活に戻れない可能性の方が高い。

どうするつもり、ラピス。
あなたは何があってもアキト君を普通の生活に戻すと言っていたけど。
最近じゃあんまり連絡も寄越さないから心配なのよね…。
私自身も忙しすぎて声をかけられないし…メールチェックくらいはしてるけど、
有益な情報は届けてくれるけど個人的な連絡はあんまりしてくれないのよね…。





















〇???
とある特殊な暗号化されたプライベート回線に通話が開かれている。
軍の上層部の人間をも含む、かなりの大企業の要人、政府要人などが集まっている。
クリムゾンを筆頭とする、木連と手を結んで利益を共有するために手を結んでいる人物たちである。
最も、現在は木連との交信が途絶えており、有用な情報が得られないまま時間が過ぎてしまっている。
……が、今回の彼らはとんでもなくあたふたしていた。


『どうなってるんだ!?
 ホシノアキトがこの戦争どころか世界中の思想そのものを変えてしまっているではないか!?』

『この状態は木連が、ネルガルが、どうとかの問題ではない!
 企業活動はまだしも、
 このままでは通常より大きな軍縮が起こって我々もただじゃすまん!!
 か、完全な誤算だった…』

『政治もだ!
 戦争に賛成した派閥が激しい追及にさらされて、
 このままでは戦争反対に舵を切らなければ政治生命が断たれる!
 木星との接触の前に手を打たねば!!』


『それもこれも!』


『なにもかも!』


『『『『『お前が放置した孫娘のせいだぞ、クリムゾンッ!!!』』』』



この場で針のむしろにされたのはクリムゾンの会長だった。
クリムゾンは完全に流れを読み間違えたことに頭を抱えていた。
何しろ創作が現実に影響を及ぼすことは通常、絶対にあり得ない。
数あるプロパガンダ作品も、高揚を促すことこそあれどそれは元々持っている感情を増幅するにすぎない。
20世紀まではプロパガンダ作品が活用されることが多かったが、それ以降はだいぶ下火になっていった。
思想を転換する、現実の活動に影響を及ぼす映画というものは存在しえなかった。
しかし、『ダイヤモンドプリンセス』そして主演したホシノアキトという人間の特殊性が、
このトカゲ戦争を反映した内容が通常の映画の枠を超え、映画公開の一ヶ月の間、
戦争の起点がどこにあったのかを市民に考えさせることになった。

劇中のカエンの『機械なんだから誰かが作ってるに決まってるだろーが』というセリフどおり、
木星トカゲが異星人の作ったものであるという仮説ではなく、
誰もが考えていた『木星トカゲ、地球の関係者説』をより強く追及するきっかけを生んでいた。

またホシノアキト本人の戦争に対する忌避感が世間に伝染したのも彼らには想定外だった。
木星トカゲに対して、家族を失った憎しみをぶつけようとする市民は少なくなかったが、
ホシノアキトほど戦って戦いを止めようとする人間が、
婚約者を失ってなお、殺人を嫌っている事実に揺れた。
劇中のスサノオのように、自分たちは次の戦争を起こす火種になる可能性を考えたのだ。

ここまでの出来事は、このプライベート回線に集まった一部の権力者の想像をはるかに超えていた。
クリムゾンを責め立てた彼らも、アクアの行動を甘く見て対策を取らせなかった。
先を読めなかったという点において彼らの想像力も責任もクリムゾンと変わりはない。

彼らは決定的な世の中の変革を目の当りにして、手も足も出ない有様にいら立っていた。
世の中をひそかに牛耳ることのできる力を持っていた彼らの立場も、今後揺らぐ可能性がある。
数十年、あるいは百数十年続いた権力の座が失われる。
その恐怖に打ち勝つことなど、誰もできなかった。

『…だったら、今からでもアクアたちを殺すか?
 今となっては政治的な思惑があると疑われてしまうだろうがな』

クリムゾンの言葉に全員が黙り込んだ。
確かに証拠を残さずに殺すことはできるだろう。
しかしアクアを殺したとしても事態の進行は止められない。
逆に殺してしまえば木星トカゲが人間だったと発覚した後に、
人類に重要な問いを残した映画の制作者として、
アキトほどではないにしても英雄視されることもありえた。
世界全土が戦争を止めようとし始めた状態ではかえって危険だった。

『……ホシノアキトを揺さぶるために、
 お前らがけしかけたミスマル家の姉妹を狙った殺し屋も撃退された。
 様々なリスクを覚悟してけしかけたにもかかわらずだ。
 もはやホシノアキトが死ぬことを願うしかあるまい』

『何を悠長な!?』

『まあ聞け。
 情けない、策にもならんことだが…。
 奴はナノマシンの過剰量のせいでいつ死ぬか分からん。
 火星に向かった理由の一つも、
 取り残された主治医を見つけるためだという。
 
 主治医が見つかったところでナノマシンに侵された体では何年も持つまい。
 我らよりよほど寿命は短いはずだ。
 
 体質による病死ということなら世間も納得せざるを得まい。
 そこから先は、逆に我々がホシノアキトを使って世間を出し抜けばよい。
 奴を英雄として担いでやるのは癪だが、便乗してでも次の覇権を得るしかないだろう』

『なるほどな…確かに情けないが、
 くすぶっているよりはよほどマシな考えだ。
 「死んだ英雄」ならいくら弄んでも抵抗する術はないわけだな』

『ああ。
 そうなれば逆にアクアに取り入る方法もあろう。
 …あいつに頼みごとをするのは屈辱だが』

クリムゾンは小さくため息を吐いて、うなだれた。
ネルガルに対して技術的には完全に負けてしまっており、追いつく見込みもないが、
軍需以外の分野では収益を出す方法がないわけではない。
それでもクリムゾンを落ち込ませたのは、
おそらく自分の代ではネルガルを追い越す算段が付かない可能性が高いということだった。
息子、もしかしたらアクアと同い年の他の孫の代にならなければ元の状態に戻れない。
望むものをすべて手に入れてきたクリムゾンには認めたくない現実だった。

(…テツヤは何か策がある様子だったが…。
 奴といえどたまに小言を言いに行くくらいしかできない状態だろうに…)

クリムゾンはテツヤとの会話で何か含みのある言葉があったことを思い出したが、
その根拠がまだ不明なままだった。
そして彼らは、少しだけ気分が良くなっただけで何の収穫もないまま、
希望的観測にすがって何とか精神を保って会議を終了した…。

































〇地球・埼玉県・川口市・テツヤのセーフハウス──ライザ
私は半年前のホシノアキトの暗殺失敗以降、ここでずっと潜んで暮らしていた。
今もホシノアキトとPMCマルス関係の資料を編集し続けて、
次の機会を狙うための準備を進めている。
もっとも弱点が少なすぎて、手を出すこともできないだろうけど…。
そもそも火星に向かっている彼らをどうこうするなんて無理。
でも…。

「くっ…くくくく…」

「て、テツヤ様…?」


「くははははははははははッ!

 やりやがった!!

 

 こいつらついにやりやがったぞ!
 
 
 ふはははははははははははははは…!!」



「ど、どうしたんですか…?」

突然、発狂したかのように高笑いをし始めたテツヤに、
私は怯えた声を発することしかできなかった。

「どうしたもこうしたもあるか。
 この状況を考えてもみろ。
 
 …いくら改造された身体と、優れた才能、コネがあるとはいえ…。
 たった三機の兵器で連合軍を圧倒する木星トカゲを倒し…。
 心臓に銃弾を受けても、五人のサイボーグとやりあっても、生きて帰るような男だった。
 
 次は何だ?何をやらかす?
 
 次に倒すのは何だ?
 
 木星トカゲか?それとも宇宙怪獣か?宇宙海賊か?
 そんな風に思っていたところに…だ。
 
 まさか映画で世界中の思想を変えるなんて誰が考える?
 
 あいつはあんな馬鹿げた方法で自分の思う通りにすべてを変えようとしているんだよ。 
 もっとも白痴のホシノアキト本人が考えてるとはとても思えねぇがな。
 優れたブレーンが別に居るんだろうが…。
 仮にそうだとしても、こんなでたらめな奇跡を起こした奴が歴史上いるか?
 
 一国を動かす英雄も独裁者も山ほど居たろうがな…。
 世界をたった一人で戦争を止めた英雄なんて見たことがねえ。
 
 血なまぐさい戦争を、あのバカが、
 バカげた理想で埋め尽くして革命しようとしてンだぜ?
 
 俺たちのような地獄でも煉獄でも足りないクソ虫以下の下衆野郎も!
 世間のバカどもに寄生して数限りない命を吸い取って生きてる老人どもも!
 戦争の憎悪さえも!

 まるで最初から存在しなかったように世界を塗り替えようとして、
 それが現実のものになりかかっているんだぜ?!
 
 
 こいつはもはや喜劇じゃねェか!?
 
 
 なあ、ライザ!!」



テツヤは言い切ると、再び狂った高笑いを上げた。
……確かに、ホシノアキトは私達が手に負える相手じゃない。
すでにどうやっても勝てる見込みはない。
ホシノアキトはもう戦争の象徴になりつつある。
どんな政治家も、どんな国家も、そしてどんな武装集団も敵う者はいない。
あとは何年、これが続くのか。
この人気もさすがに永遠に続くとは考えづらい。
権力者たちは早いうちにこれが収束するのを祈っている。
それくらい…すごいことになってる…。

…でもテツヤの言う通り腹立たしいのよ、あいつ。
世の中に暗いところなんてなさそうな顔してる、のんきなやつ。
あの冷たい笑顔も演技…いえ、普段が演技なんじゃないかしら。
意外と映画の役もしっかり演じられてたみたいだし…。
ネルガルが仕掛けた、ネルガルに都合の良い動きをとるだけの人形かもしれない。
そうよね、軍縮でネルガルの利益が薄まっても、
ホシノアキトが味方に居ればネルガルは安泰…。
あくまで戦争を嫌っているというのはネルガルだけを勝たせるため…!

…だとしたら、とんだペテン師よね。

たった一つの企業を勝たせるために、ほかの企業をつぶして…独占するつもりね。
まさかクリムゾンと木星の交信が途絶えたというのはネルガルに鞍替えしたから!?
ネルガルはクリムゾンとそれに与する連中よりも重い何かを持っているとでもいうの!?

推測だけど…それに足るだけの状況はある。

火星に向かったのだって…木星と裏取引をしているからかもしれないわ。
シャレになんないわね…。

「…くくくっ。
 なあ、ライザ。
 あいつを倒す方法が一つだけあるんだが、やってみねぇか?」

隣の部屋から壁を叩く音が聞こえて、テツヤはようやく静かになった。
そして続いて出てきた言葉に、私は耳を疑った。
おそらく超低確率の、そして命を捨てる必要性のある賭け、とはいえ…。

一つだけでもホシノアキトを打ち倒す方法があるっていうの?

テツヤはホシノアキトから何かを見抜いている様子だった。

「…嫌っていってもやるんでしょう、テツヤ」

テツヤは上司として、そして主人として問いかけた。
でも私はあえて呼び捨ててそれを返した。
だけどかえって満足そうに、私の心身を差し出す覚悟を見取って笑った。

「ああ。
 お前は断らないからな」

ああ、やっぱりだ。
この人は私を、今度こそ捨てるつもりだ。
本当の本当に捨て駒にするつもりだ。
なんとなく、そう分かった。
私達、付き合いが長いものね…。

「ええ、断らない。
 …汚名返上、してやるわ」

「…だったら褒美くらいはくれてやる。
 何がいい?」

「…珍しく優しいじゃない…テツヤ…」

「ああ、優しいぜ。
 俺はな」

…私もバカよね。
こんな風に、こんな奴に惚れなきゃよかったのに。
でも…拾われた段階で私の運命は決まっていた…。
分かってる、本当に私ってバカ。
さんざん利用されてボロ雑巾にされて死ぬって分かり切っていたのに。
今…テツヤの首筋に刃を立てることくらいは出来る。
テツヤは腕っぷしが強くないもの。
そうしたら、きっと逃げ切れる…。

それでもそうしないの…。

私の命には価値がない。
だって…テツヤに救われなきゃなくなってた命だもの…。
それ以前の人生も散々だった。
人に言えないような、虫ケラ以下の生きてるだけの無意味で空虚な時間。
だからいいの。
あなたと過ごした時間が、私の人生の最高点なのよ。
恩返ししてあげる、命も、心も、すべてあげるわよ…。

愛してるわ、テツヤ…。





















〇宇宙・火星航路・ナデシコ・トレーニング室──ホシノアキト
火星に向かうまでの二ヶ月と少しの間…すでに一ヶ月が経過した。
俺はホシノに徹底的に鍛えられている。
俺の力がどうしても必要だというこいつの頼みに応える形で。
今も、ホシノに全力でありとあらゆる技を繰り出している。


「でやああああああっ!!」


「いいぞテンカワ!
 だんだんと体裁きが良くなってきた!」

ホシノは俺を褒めてくれはするが、全くかする様子もない。
パンチも、貫手も、つかむ手もなにもかも。
蹴りを出そうにもホシノの動きが早すぎておっつかない。足場が固まらないんだ。
地球での訓練で基礎は作ってきたつもりだったが、
熱中すると攻撃が単調になる癖を克服しないといけない。
だからホシノは反撃もせずに軽々と避け、俺に相手を追いかけることと、
体のコントロールを覚えさせようとしている。
技の基礎練習を二時間、体力づくりを二時間、そして組み手を二時間。
そして厨房の仕事も仕込みの一時間、昼のピークの三時間、行っている。
ハッキリ言ってオーバーワークだ。
一応筋肉の回復も考慮して厳しい訓練は三日ごとだが、
だが火星に着くまでの時間が限られてることを考えて訓練は毎日やっている。
身体に限界が来ると、シミュレーターでの練習に移行。
これも極限状態から限界を引き出す練習を兼ねている。


びきっ!!



「ぐあっ!?
 あ、足が…」

「うおっと、すまん。
 …今日はここまでだな。
 明日は全休にしてやる。
 よくやったぞ、テンカワ」

だがさすがに限界だったらしい。
俺は足がつって倒れ込んでしまった。
一ヶ月も続けて死ぬ気で特訓したからな…。

「あ、アキトぉっ!」

「ユリカ…大げさだよ…」

「おおげさなんかじゃないよぅ!
 アキト君、鬼軍曹なんだもん!」

「お、おいおい…」

「はは、ユリカ義姉さん、ごめんです」

ユリカは俺に抱きついて、心配そうに見つめてきた。
実際、ホシノの容赦ないしごきに俺はかろうじてついていっている。
ユリカも一見ホシノに怒っている様子にもみえるが、止めようとはしない。
……ユリカも何かただ事じゃないって分かってるんだろうな。

「ほら、アキトさんも結構疲れてるんでしょう?
 ちゃんと水分補給してください」

「ありがとう、ユリちゃん」

ユリさんはスポーツドリンクを二本持ってきて、ホシノと俺に渡してくれた。
そして整理体操をして、一段落して少し休んでいたが…。

「…ホシノ、どうして俺を鍛えようとする?
 必要なのは分かるが…な、なんかさ。
 俺に、自分を守れるようにしろって言ってるみたいで…」

俺は不思議で仕方なかったことをホシノに聞いてみた。
だが、ユリカとユリさんのほうが驚いた顔をしてこっちを見ている。
…二人とも何か知ってるのか?

「何言ってるんだ、テンカワ。
 …お前が守るユリカ義姉さんは、世界一のヒロインなんだぞ?
 地球に戻ったら、俺と同じくらい危ないかもしれないんだ。
 だ、だからその…当たり前だろ?」

……俺はホシノの、とってもらしくないはぐらかし方に開いた口がふさがらなかった。
ユリカも、静かにポ~っと顔を赤らめて恥ずかしがってる。
…ユリカ、お前そんな恥ずかしがりかた出来たんだな。
いっつも騒がしくて、どこか自信を持ってるユリカ…そんなユリカがこんな風に悶えてるなんてな…。
…いや。

「ホシノ、お前…ユリカを口説いてないか」

「え!?そんなわけないだろ!?」

ホシノは言いながらも目が泳いでいた…こ、こいつは…!!
ユリカの方をちらっと見る。
ユリカは、じぃっと俺の方を熱っぽい視線で見ている…。
な、何かカッコよく口説いてくれるのを待ってるようだ。
いや、今はホシノだ…。

「…そもそもな、お前がユリカや俺を映画に巻き込んだんだろ?!
 そ、それで俺に強くなれって、矛盾してるっていうか、めちゃくちゃっていうか…。
 な、なんなんだよ!?何のつもりだよ!?」

「そ、それは…その…」

「て、テンカワさん…あんまり特別なことはないですってば…」

「そうだよぉ。
 もういいでしょアキト。
 わ、私がマッサージしてあげるから…ね?」

「ま、マッサージって、お前…」

……俺はユリカに言われて、つい顔が真っ赤になってしまった。
この一ヶ月くらい、食事の時くらいしか顔を合わせない生活が続いてしまってた…。
近くに居るのに関係が希薄な感じで…良くなかったよな、それは…。
で、こ、このタイミングでこんなことを言われてしまうと…。

「…テンカワさん、あんまり甲斐性ないと本当にユリカさんとられますよ」

「うぐっ!?」

「ゆ、ユリちゃんまで!!」

ユリさんの言葉で、俺はつい握りこぶしをほどいてしまった。
…ホシノが本気でユリカを口説こうとしたら…きっと俺は敵わない…敵うビジョンがない…。
ユリさんが居る限り、そしてホシノの性格的にそんなことはありえないし…。
ユリカも俺を本気で好きで居てくれてて、俺も…。
でも、か、可能性がゼロじゃないんだよな…ホシノの婚約者の件も、映画のこともあるから…。

「ほら、テンカワさん。
 私がアキトさんを抑えてる隙に逃げた方がいいですよ?」

「は、はい…ユリカ、行くぞ…」

「あ、うん。
 じゃあ二人ともお休みね」

……ホシノに抱き着いて、あからさまに追い出しにかかってるユリさんをしり目に、
俺はユリカの手を引いて足早に歩いていった…。



・・・・・。
・・・・。
・・・。
・・。
・。



その後、シャワーで汗を流した後、俺たちは寝る前に少しだけ話す時間を持った。
どうしてもホシノのことを聞いておかないといけないと思ったんだ。

「あのな、ユリカ。
 …なんかさ、大事なことをさせられてる気がするんだ。
 今まで、起こった出来事からじゃ想像できないような何かがあるって。
 俺にも、話せないことなのか?」

ユリカは申し訳なさそうにうつむいた。
…いや、ユリカを責めるのはお門違いだ。
ホシノに問うべきだよな。

「…ごめんな、無理に言わなくてもいい。
 言いたくないことだって、あるもんな」

ユリカは俺の言葉に小さく何度か頷いて俺の目を見た。

「…でも、言いたくないことでも、言えないことでもないの…。
 なんていうか、推測に近いことなんだけど…状況証拠みたいなのが多くて…。
 ルリちゃんとも話したんだけど決定的じゃないっていうか…」

「なんだそれ。
 …けど俺が頑張った方がいいのは変わらないんだろ?
 だったら、ユリカもホシノもユリさんも信じるよ」

「ごめんね、アキト」

「いいって…」

……そういえば佐世保の忘年会料理教室大会の時に、何か、
ホシノに関する疑問があった気がするけど…思い出せない。
あの後、未成年だってのにお酒飲まされてダウンしちゃったんだよな。
またどっかの勢力に襲撃されたらどうすんだと思ったもんだけど…。
…まあPMCマルスの主要人物たちが出払った状態で襲撃するバカもいないだろうけど。
思い出したら聞いてみるか…。

…ユリカは約束通り、律義に俺の身体をマッサージしてくれて…。
その後、久しぶりに二人きりの時間を過ごした後…すぐに深く眠ってしまった。

火星に着いた後とか、未来のことは分からないけど…。
ユリカの嬉しそうな横顔を見たら…こいつを守れる力くらいは欲しいって思った…。
もうちょっとだけ、こいつとうまくやってけるようにもなりたいし…。
でも…。


……俺がホシノ以上に強くなれるかもって、ホントかよ?





















〇地球・東南アジア諸国上空・ユーチャリス・格納庫──さつき

「さつき、着艦します!」

私はエステバリスを着艦させると、ため息を吐いた。
今日も作戦が終わって、無事に帰投出来た。
生き残れたという安堵の気持ちに満たされて、私はしばらくシートに体を預けて脱力した。
私達も一ヶ月の実戦でそれなりに慣れては来たけど…。
こんな緊張感にさらされながら、
ナデシコのエステバリス隊のみんなはあんな軽口を言えるんだからすごいよね。
私達じゃ一生かかってもあの領域には行けそうもないよ…。
強くなるつもりだったけど…まだまだだなぁ、本当に。
私達12人のPMCマルスパイロットは、
12人全員の出撃となると兵器の消耗が大きいのと、
控えが居た方がいいという点から、私達は6人ずつの小隊に分かれて、
常に半々の出撃体制になっている。
元々ユーチャリス自体が連合軍とPMCマルスの協力運営なので、
兵器の損耗の費用も半分PMCマルスが半分持ってるから、
貧乏くさいけど全機出撃はどうしても必要な時だけ。
そうなるとこの状態がベストなんだとか、ラピスちゃんが言ってたけど…。

『さつき、フォローありがとね!』

『はいはい、先戻ってて』

さっき直撃を受けそうになったレオナを助けたので、
同じく着艦したレオナは足早にアサルトピットから抜け出ていく。
レスリングやってたレオナは体力が抜きんでてるのがちょっとうらやましいわね…。

『さつきちゃん、早めに戻って寝てね。
 休むのも仕事なんだから』

『ラピスちゃんこそ。
 ずっと目のクマがとれてないじゃない』

『それでもちゃんと八時間は寝てるよ。
 いいから早く早く』

『分かったわよ』

私は息を吐いてアサルトピットから降りた。
心配してくれてるのは嬉しいけど、ラピスちゃんの方がよっぽど心配なのよね…。
アキト様が火星に発ってから一ヶ月、あんまり深く眠れてないみたい。
こんな姿を見られたらアキト様泣いちゃうわよ、普段は涙もろいんだから…。
ラピスちゃん、心労がたたって体を壊さなければいいんだけど…。

…でもなんか重子が不穏なことを言ってたのよね。

ラピスちゃんがアキト様に失恋したのは確かだけど、それで病んでるわけじゃない。
別の何か根の深い問題があって、そっちが主な原因で失恋したんだって…占いで出たって。
根の深い問題…ラピスちゃんに何かあったのかな。
でもラピスちゃんの境遇が特殊とはいっても、
不倫上等みたいな態度が見え隠れするラピスちゃんが引き下がる理由なんて…。
……いえ、情報が少なすぎて推測もできない私達がでしゃばるのは間違ってるわ。

少なくともラピスちゃんが長く眠っているっていうのは確かだし、
心労となると素人の私達がどうこうするのは危ないし。
ムネタケ艦長に相談しようかしら…。
でもむしろムネタケ艦長とたまにゲームで遊んでるくらいなのよね、ラピスちゃん。
ムネタケ艦長も精神的に病んでて通院してたこともあって優しいから悩みくらいは話してるかな…。

…うん、ラピスちゃん心労はありそうだけど、仕事に支障をきたすことはなかったし、
態度自体はいつも通りだし、遊べるくらいの状態ならまだ大丈夫だよね。
控えのハーリー君もいるし、多少の不調があっても大丈夫。

そもそもユーチャリス、全体的に絶好調だし。
不利な状態でも連戦連勝、ムネタケ艦長の指揮のすごさがすごいんだから。
ユーチャリスという艦の強さを差っ引いてもすごい大戦果。
連合軍も一目も二目も置いてるって、サンシキ副長も褒めてくれてたし。
みんなと毎晩アキト様映像とかダイヤモンドプリンセスの上映会してて士気もばっちり。

忙しくて大変だけど、弱気になる必要なんてないよね。
挙句にラピスちゃんに心配させちゃだめだよね!
確かにこの一ヶ月、週六で戦ってるから疲れちゃったけどまだまだ!
アキト様の芸能界のスケジュールに比べれば天国もいいところだもん!

今日もアキト様の眩しい姿で元気をもらって明日も頑張らないと!!


























〇地球・東南アジア諸国上空・ユーチャリス・ブリッジ──ムネタケ

「ラピスちゃん、そろそろ寝ないと」

「分かってます、あと十五分だけ」

「ムネタケ、面倒見がいいのはいいが時間は守れよ」

「すみません、副長。
 この子、意外とやるもんで」

私とラピスラズリは、例の『ラインハルトの野望・現代戦艦アレンジバージョン』で対戦を続けてる。
戦闘が終わって、すでに三時間が経過している。
今日の戦闘報告書を三十分ほどで書いて、この子と遊んでいる…ことになっている。

でも…遊んでるなんてとんでもないわ。

遊んでる風に平静さを保ちながら、この稀代の戦術士に全力で挑まないといけないんだから。
この子はありとあらゆる手段を講じて、対戦相手の私をつぶしに来る。
一ヶ月、ずっと対戦を続けているけど一度も勝てたことはない。
本当にミスマル家の長女、ユリカ艦長以上の実力…。
いえ、おそらく地球で一番強いわ。
パパでもミスマル提督でも敵わないかもしれない。
明らかにゲームで不正をするような真似をしていない、どうやってこんな強さを…。

でもラピスラズリは、私にとって最高のコーチでもあった。

こうやって数限りない模擬戦を毎日行い、
そして現実の戦闘指揮中でさえも、
危ない手を取りそうになったらその場でシークレットウインドウを見せて止めてくれる。
どうしてIFSの実験のために改造された少女が、
こんな才能を持っているのかは分からないけど…。
恥も外聞も捨ててユーチャリスの艦長になろうとした私にとって、
この恵まれた環境を生かさないという選択肢はなかった。
だからこのラピスラズリに対する恐怖心を、ひとまず抑え込んで言う通りにした。
…この子、謎が多すぎるけど付き合う価値があるわ。
悪魔に魂を売るような感覚すらあるけどね…。

「中々やるようになりましたね、ムネタケ提督」

「そりゃどーも」

といいつつ、ラピスラズリは私の軍にとどめのグラビティブラストを撃ち込んだ。
もう手がない状態で降参を宣言する間もないまま幕切れ。
相変わらず容赦ないわね。

「この調子なら英雄と言われるにふさわしい戦いができますよ、きっと」

「…ラピスラズリ、あなたは何を考えてるのよ?
 こんなことして…私が英雄になったとして何の得があるの?」

「得はありますよ。
 一つはアキトのため。
 もう一つは罪滅ぼしみたいなものです」

…罪滅ぼし?
こんな年端もいかない…実力はともかく年相応で危険なことはしてなさそうな少女が、
そんな犯罪に手を染めてるっていうの?
いえ、罪滅ぼしって…私に対して?なんで?
これは聞いてもはぐらかされるわね、たぶん。
それよりもう一つの方を聞こうかしら。

「私が英雄になったとしてホシノアキトに得はないでしょ?」

「ありますよ。
 アキト以上の戦果を挙げていけば、
 アキトは戦争の英雄と言っても二番手に落ちます。
 提督にアキトの人気をそらす避雷針になってほしいんです」

「……めちゃくちゃじゃない。
 そりゃ無理よ、ラピスラズリ。
 顔立ちじゃこんな鼻の高さくらいしか取り柄のない私が、
 ホシノアキトにとって代わるなんて無理無理。
 全世界のアイドルにして英雄のホシノアキトの人気を落とすなんて」

常識的に考えて無理よね。
仮に戦果で上回れたとしても、あんな風に世間を騒がせた『王子様』を追い落とせるとは到底思えない。
この間の映画で世間の盛り上がりはより高まってて、戦争そのものが動こうとしている。
単なる英雄から象徴になりつつあるホシノアキトを超えるなんて無理よね。
見てくれでは勝てっこないし、そこまで盛り上がってくれるわけがないわ。

「いえ、できますよ。
 私ほどの策士が居たらそういう状況に持っていける気がしませんか?」

「…確かにあんたならマジでやりかねないし出来かねないとは思うけどね」

…本当にこの子に悪魔の尻尾が見えてきそうだわ。
地球上で一番の戦術士と保証してもいいくらいの実力、頭脳…。
人を動かす凶悪な人心掌握術…。
もしかしたら世間の不条理をすべて覆して、
自分の望みをかなえてしまうような気がしてくるわ。
きっと何かまた別の恐ろしいものを隠してるに決まってるわ、この子。

「でしょう?
 じゃ、また明日」

「ま、待ちなさい」

明るい笑顔で去っていこうとするラピスラズリに、うすら寒い気持ちになって…。
つい呼び止めてしまった。

「何ですか?」

「あんた、なんでこんなことができるのよ!?
 改造されてるからってレベルじゃないわ!
 そういう意味でも異常なのよ!


 あんたも!ホシノアキトも!!」



以前から疑問に思っていたことを、ついぶつけてしまった。
ホシノアキトもこの子も、才能があるだけじゃない。
経験がありすぎるのよ。
確かに十代の若輩者でもどんどん就職して出世もできる世の中ではあるけれど…。
訓練してきただけの若者だったら相手の手を読むだけの経験を積むのは無理よ。
少年兵だったというわけでもなさそうだし…どうなってるのか分からなかった。
ラピスラズリもそう。オペレーターとしての実力が超一級品。
にもかかわらず、全世界の提督を上回る戦術レベルを持っており…。
しかも、それがユリカ艦長に比べてもより実戦的な内容になってる。
経験がなければあんなことはできないわよ、本当に。

「……知りたいんですか?」


ラピスラズリがただ小さく発した言葉に、私は背筋が凍り付いた。
彼女が警句を発しているわけでもないのに、
これ以上踏み込んだら本当に魂を売るところまで許さないと言わんばかりの…。
視線と態度が、私の胸に深く突き刺さった。

「…知りたかないわ。
 地獄に引きずり込まれそうだもの」

「いい勘してますね、提督」

……。
私はしばらく絶句して立ち尽くしていた。
言うだけ言って立ち去ったラピスラズリが肯定した言葉は、冗談に聞こえなかった。
本当に地獄でも見てきたかのような黒い笑顔を見て…動けなくなってしまった。

冗談だと思いたかった。

私も星軌道上の戦いで地獄を見てきたつもりだったけど…。
そんなのが生ぬるいと思えるような…最悪の最悪を見てきた目だったわ…。

……でもね、あんな年端もいかない子が、死んでもいいわけがない。

あの子の目は…ホシノアキトのためにできることを全てやって、
命をすべて燃やし尽くそうとしているようにも見えた。
…私もそうだったもの。あの火星で、木星トカゲに敗北した時からずっと…。

どんなに憎まれてもいい、どんなに最低の人間になってもいい。
出世にこだわってたのだって…そうしないと力を得られないと思っていたから。

あのトカゲどもを滅ぼせるなら、
友達の仇を討ち、そして力のない民間人を守れるなら…戦争が終えられるなら、
私の命くらいくれてやってもよかった。
でも、それは間違っていたって分かったのよ…。

人ひとりの命でどうにかできるほど戦いは甘くない。

それが分かってなかったから出世して、上に立って、
部下に命を捨てることを強要しようとしていたのよ。
パパもしていると思った、大を生かすために小を殺すための戦いを…。

でも違う、違うのよ。

戦局はともかく、戦争そのものは特攻の一つや二つでは覆らない。
兵士を効率よく敵を倒すために死なせるのが将校とはいえ、
自分の命を最初から投げ捨てる気でいる奴が戦地に立つのは間違っているのよ…。
そんな指揮官が居たら生きられたはずの兵士だった生き残れないわ。
私達将校は、例え敗北しても…何人死なせても…首をくくりたくなっても…。
泥をすすってでも生き延びて、生き続けて、
次の機会を待つか、敗北の責任を背負って、
兵士たちに責任がいかないようにしなければいけない…!

それにラピスラズリ、あなたが死んだところでホシノアキトはきっと助からないわ。
私が英雄になろうがどうなろうが…あなたが居なければ助からない。
今のあなたを見てれば分かるわ。
今までもこうやって彼らに助言してきたのよね?
大好きなホシノアキトを、死んでも助けたいって本気で思ってるのよね?
だったら助け方を変えてはいけないわ!
PMCマルスの指揮官はあなたなんだから!

あなたは生き続けて、誰にも負けない優れた頭脳でホシノアキトを助け続けるのよ…!

ラピスラズリを戦いから引かせる…!
どんな過去があろうと、どんなことを考えていようと、そうするべきなのよ!

早く実力的で追いつかなければ、今のじゃ反論してもつっかえされるだけ…。
それだけの覚悟をラピスラズリは持っている…でも覆して見せるわ!


いい歳した大人が、あんな小さい子に命を賭けさせてたまるもんですか!




















〇宇宙・火星航路・ナデシコ・フクベ提督の部屋──フクベ提督
私は突然現れたホシノアキト君に、紅茶を差し出してもてなした。
どうして私などを訪ねてきたのかは分からなかったが、
どうも私にどうしても話したいことがあったんだそうだが…。

「フクベ提督。
 …火星で、生き残りの人たちに命を差し出そうとしたりはしないで下さいね」

「な…」

急にホシノ君が口に出した言葉に、私は絶句した。
ホシノ君が…私が火星でしでかした出来事について知っているとは思わなかった。
…それに私の気持ちを見抜いていたとは。

「どうして気づいた?
 …いや、なぜ知っているんだ?」

「…必死に戦って、成果が伴わなかった時、
 どんな気持ちになるかは知ってますから」

「そうか、君も確か婚約者を…」

ホシノ君の事は話にも聞いているし、
映画撮影の時もそういうシーンを熱っぽく演じてたので良く知ってはいたが…。

「あの時は…たまらなく自分を責めたくなりました。
 そのまま愚かしい戦いをしようとしました…。
 でもそれじゃいけないって…ユリちゃんに怒られました。
 …そこで止まってしまったら、意味がないんです。
 俺が夢を諦めたり、死ぬようなことがあれば、
 彼女は犬死にですから…」

「そうか…。
 …そうだな、君の言う通りかもしれん。
 私のしたことは許されないことだが…。
 
 …木星トカゲに一矢報いたかったという気持ちすらも否定しては、
 あの場で死んだ兵士たちにも、
 巻き込んで死なせてしまった人たちにも失礼なことだ…」

「ええ…必死に戦って生き残ったあなたが、
 生きることを諦めては元も子もありませんよ」

あの時…絶望的な戦いの中で、多くの兵士を、将校を死なせてしまった。
だが、彼らが必死に戦っていたとき、木星トカゲに勝ちたくないという者など誰も居なかった。
死んだ人たちだって…私達に勝ってほしいと思っていたはずだ。
…その先に最悪な事態が起こってしまったのは覆しようもないがな。
こんなおいぼれのために、老いも若きも命を失ってしまったのだから…。

「でも、このことを言わなきゃいけない時は…俺が居る時にして下さい。
 テンカワが…火星育ちのあいつが暴発するかもしれないですし。
 あいつも結構強くなってきてあぶないっすから」

「はは、すまんな」

ホシノ君の警句に、私は苦笑を浮かべるしかなかった。
…私は殴り殺されても文句が言えない人間だが、
私などを殺してテンカワ君のような前途ある若者の未来を…。
自らの手で断たせるような真似をしてはいけないからな。

だが…何故だか、ホシノ君は私と同じ…。
いやそれよりも重たい何かの罪を背負っているような気がした。
愚かな戦いを実際にして…私のように故意ではない犠牲ではなく、
自分の意のままに誰かを殺してしまったと懺悔するように話している。
私はそれに気づいたが、ホシノ君が誰も殺したことがないという言葉の方も信じている。
矛盾はあるが何かあったのかもしれない…が。

「しかし、なぜ今それを?
 せっかくの僅かな休みに、私ごときに忠告しに来るのはもったいないと思うが」

「昔、フクベ提督のように苦しんでる人を責め立ててしまったことがあって…。
 その人は元々死に場所を探していたようで、意味がなかったんです。
 …結局生き延びてくれたんですけど。
 もし火星で追い込まれた状態で言っても間に合いませんから」

「ほう、早い段階で釘を刺しに来てくれたということか。
 気遣いに感謝するよ」

「それに…」

「ん?」

「生きてさえいれば、
 とりもどせるものもきっとあるんです」

「…そうだな」

ホシノ君は涙を一つだけこぼすと、笑って見せた。
先ほどまでの少し暗い表情ではなく、未来を夢見ているような嬉しそうな笑顔だ。
その先にあるのは、きっとミスマル家の家族のことなんだろう…。
…取り戻せる、という言葉に少しひっかかりを感じたが、
私が深く知る必要などあるまいよ。

「まだやれることはたくさんあります、提督。
 これからもよろしくお願いします」

「…ふっ、このおいぼれに、
 君ほどの男が期待できることなどあるまいよ」

「たくさんありますよ。
 …俺たちじゃ若すぎて交渉事があったら困ります。
 舌先三寸で丸め込まれるのがオチです」

「なるほどな、それなら役に立てそうだ。
 ぜひ承ろう」

「お願いします」

ホシノ君は艦長の戦術や頭脳は信頼しているが、
交渉事や政治的な判断では未熟さがあると判断したんだな。
そういうことなら私にも役立てる場所があるということだろう。
…ただ、木星トカゲが人間だったとしても、火星に居るかは分からないし、
何らかの交渉をできるかどうかも分からないがな。

「死ぬなよ、英雄」

「やめて下さいよ、提督。
 俺は英雄じゃありませんし…。
 
 英雄なんていませんよ、この世には」

出ていこうとしたホシノ君に、つい私も警句を発してしまった。
ホシノ君は結構無理をしてでも人を助けようとしすぎるからな…。
もっとも、テンカワ君の力も借りようとしているし、孤高であろうとはしていないんだろう。
あれだけ無理していても生き延びるつもりがあるんだろう…なら安心だ。

「そうか…そうだな。
 君は英雄志望ではなく、コック志望だからな」

「ええ」

「映画のエンディングのようになるといいな」

「…はい!」

屈託なく笑って部屋から出ていくホシノ君を見送って…。
この世の何者よりも眩しいものを見たような気分に満たされていた。

…そうだな、英雄はいつだって良い世の中を目指して人を殺すものだ。

彼のように誰かを死なせるのを良しとしない男を…英雄と呼ぶのは少し違うんだろう。
では彼を何と呼ぼうか…ヒーローか?それも違うか…。

…王子様、だろうか。

……自分で変な方向に思考が向かっていることに気づいて、私は思考を打ち切った。

それにしても、なぜ私が火星でしでかしたことに気づいたのかは聞けなかったが…。
引っ掛かるが知る必要もないだろう。

……火星では何が起こるんだ。
いや…火星には何か、この戦争そのものに関わるものがあったんだろうか。
火星トカゲに占領されたあの地には…何が眠っているんだ。
それを知った時、私は…。

私は……また後悔をするんだろうな…。

ホシノ君にあれだけ言われてもなお…あんなことをすべきではなかったと……。

















〇地球・東南アジア諸国上空・ユーチャリス・ラピスの部屋──ラピス
私は瞼が重たいのを感じながら、ダッシュちゃんの送ってきてくれた情報に目を通して、
計画が着々と進んでいるのを確認した。
資金集めは7割方終わってて、早速下準備にかかった。
極秘裏に設備を建てるということもあって、下準備にはかなり骨を折った。
私が死ぬまでの間にすべての準備が終わって…全部で半年内に決着がつけばいいんだから。

大事なのはタイミング。

最後の最後まで私が死んだ理由を突き詰められなければ私の勝ちなんだからね…。

『…ラピス、本当にこんなことをやるの?』

「…やるしかないの。
 ごめんね、ダッシュちゃん。
 もう遊べなくなっちゃうね…」

『…ラピスはいつもアキトのために頑張って、
 全部投げ出すつもりで戦ってきたから仕方ないよ…。
 ハーリーは僕がちゃんとサポートするから、大丈夫だよ』

「……うん」

私はこの間、こっそり受け取った荷物に入っていたアンプルを握りしめた。
準備がすべて終わって…あと二ヶ月くらいしたらこのウイルスにかかって…死んでなきゃ…。

『…でもラピス、やめておいた方がいいよ。
 その…死の恐怖って僕はわかんないけど、辛そうだから…』

「仕方ない…じゃない…。
 わ、わたしだって…私だって怖いよ…。
 せっかく生きてるのに…苦しんで死ななきゃいけないんだから…」

私はぽろぽろと零れ落ちる涙をぬぐう余裕すらもなかった。
怖い。
もう一度、あの闇に落ちなきゃいけないなんて…。
二度と目覚めない、真っ暗闇に落ちて何もできなくなる眠りに…。
安らかさとは無縁のあの眠りに落ちなければいけない。
生々しいあの頃の悪夢よりはマシだと思うけどそれでも怖いよ…。

『…こんな風にしたって、アキトは喜ばないよ』


「分かってるよっ!!」



私は声を荒げて、泣きわめくことしかできなかった。
何が起こっても、何があっても、アキト達を助けなきゃいけない。
それがアキトを裏切る最低の行動だと分かっていても、絶対に…。


「分かってるんだよダッシュちゃん!
 全部!!
 でもアキトも私も、もう取り返しのつかない変わり方をしちゃったの!


 こうでもしないと…アキトは…もう…」


『…アキトはひどい奴だね。
 ラピスがこんなに思いつめてるなんて全然気が付かないんだから』


「アキトを悪く言わないでよぅっ!
 ダッシュちゃんのばかっ!!」



私は情けなく枕の下に頭を隠してダッシュちゃんを拒絶することしかできなかった。
……私のやろうとしてることは人間として最低で…
ダッシュちゃんの考えの方がよっぽど人間らしいけどね…。

『…ごめんよ、ラピス。
 でもこれだけは覚えておいてよ、ラピス。
 
 君が死んじゃったらみんな悲しむよ。
 
 アキトもユリも、この戦艦に乗ってるみんなも。

 もちろん、僕もだ。
 
 君に二度と会えないなんて嫌だよ。
 どんな死に方をしてもそれは変わらないんだよ。
 
 君の計画なら、僕が代わってもいいんじゃないかな。
 
 コンピューターの僕が暴走して、悪事を成して、君を守るために消えていく。
 
 …それでいいじゃないか』

私は今まで思いつかなかった、
とてつもなく魅力的な方法に縋り付きたかった。
…でもその直後、すぐに私の脳髄はそれを否決した。

「…駄目だよ、ダッシュちゃん。
 そこまでの出来事が起きたら、
 オモイカネ級のコンピューターが処分の名目で接収されて、
 逆に利用されて同じような事件を…裏の世界で起こすようになる…。
 そうなったら、それこそアキトは真っ先につぶされちゃうんだ…。
 
 あくまでトリガーを引くのは私じゃないといけないの…」

『人間の代わりをするのがコンピューターだ。
 僕はその選択が君らしくない、賢くない選択だと思うよ。
 …確かにそのトリガーの引き方なら確実に動くよ。
 何もかもが。
 でもアキトの会社の、大事な人達が結構な数死ぬことになる。
 アキト自身も無傷じゃすまない。
 きっと立ち直るのに何年もかかるよ。
 
 ……それでもやるっていうのかい?』

ダッシュちゃんの気遣いに…。
そして言ってることの正しさに…私はくじけそうになる気持ちを押し殺した。
そう。
私と、誰かが死なないとアキトは助からない。
そしてアキト自身の名声を下げないといけない。
そうした場合、アキトがコックになれなくなる可能性もゼロじゃないけど…。
二人が一生、毎晩涙を流す人生を送ることになるかもしれないけど…。
それでも…今のままよりはずっと…。

「やる。
 …私が自分から始めたこと、一回でも引っ込めたことがあった?」

『……全くないね。
 分かったよ、ラピスの頼みじゃ聞かないわけにはいかないもんね…』

「…ありがと」

最後の最後に、ダッシュちゃんは私の提案をすべて飲んでくれた。
ごめんね、ダッシュちゃん。
こんな…支離滅裂なことに巻き込んで。
でもこれ以外に方法がないんだ…。

一日一日、近づく私自身の命日予定日…。
奇しくも、その日はテンカワユリカの命日でもある…。
私はあの日に、もう一度死ぬんだ。
今度はラピスラズリとして…。

……私は寝る前に、また『ダイヤモンドプリンセス』のディスクを再生した。
ユリカを呼ぶ、アキトの声…私はもうあんな風に呼ばれることなく死んでいくんだ…。

そう思うと悔しくて悔しくてしかたない。

『黒い皇子』時代のアキトみたいに、
あの木星の人たちを自分の手で殺すことが出来たらどれだけ救われるだろう。
…アキトが生きて戻れないって分かったら何をどうしても木星全土を焼き尽くしちゃうけどね。
だからアキトが生きて帰れるのが確定するまでは何としても生きてないといけないの…。
でも…死ぬことには変わりがないんだ…。

でも、アキトとユリちゃんが私を忘れないでいてくれて…。
私のためにまた泣いてくれるなら……それはそれで…いいのかもしれない。
少なくともいい思い出のまま、二人の胸の中には生きていられるんだから…。
…悪夢に追われて生きていくのが辛くて…すぐにでも死にたいって思うけど…でも……ホントは…。


………死にたくないなぁ。





























〇作者あとがき
どうもこんばんわ、武説草です。
今回は『ダイヤモンドプリンセス』が世の中にとんでもない影響を与えてしまって、
それに対してかなり色んな人が揺れて、時に励まされ、時に窮地に立つ状況を描きつつ、
自分の目的を叶えるために動くアキトとラピスがトレーナーになるお話でした。
でも死にたがりがちらほらいる中、本当にうまくいくんだろうか?
もうすぐ火星に到着するけど大丈夫?なお話になりました。
っていうか火星はどうなってんだ!?イネスさんは大丈夫か!?

ってなわけで次回へ~~~~~~~~!!


















〇代理人様への返信
>ばれなきゃイカサマじゃあないんだぜ・・・の精神なルリちゃん。
>うん、君ってそう言う子だよねw
実際テレビ版映画版ともにサクサクやるんですよね、あの子w
それを上回る不正があったらもう問答無用。ハーリー君大困惑。
時ナデのルリの判断が出来ないユリちゃんが心配。



>そしてラピスはもっとひどかった!
当然、黒い皇子の相棒はもっと黒いです。


>ハッカーってやっぱりその辺の倫理観薄いよなあw
>社会から遠ざかってるのもあるし、ネットの裏で色々やってるのもあるし、
>どうしてもそう言うイメージがつきまとうからなあw
ハッカーは侵入行為に対する倫理観が薄いですね。
攻撃しないなら無害と思ってるあたりがこわい。
現実的にホワイトハッカー募集とかの話があったりしてもヤバそうに感じますし。
完全に先入観ではありますけど…w

















~次回予告~
ルリです。
今回のお話では出番が一切なかったんでむくれるところではありますけど、
いちゃついてる兄姉たちに口突っ込むほどヤボじゃありません。
ていうかミナトさんにかまってもらってたんでそこはいいんです、別に。
事情、なんとなくわかってますし。
それで次回なんですが、テンカワさんの成長ぶり、
そしてついに火星に行っちゃうみたいです。
ラピスの不穏な動きも、ちょっとはお休みみたいですけど大丈夫かな?
ま、無事に火星から出られたらさすがに通信の一つもしてくれるでしょう。
火星では、何が、誰が待ってるんでしょうか。
アキト兄さんの主治医が生き残ってるかもってことですが…。
まさか…。


火星が暴力が支配する世紀末な世界になっちゃいませんよね?


…なんですか、私がボケちゃいけないっていうんですか。
まあそれはそれとして…。
私も生きて帰りたいので、演習には全力でつきあってますよ。
実戦で成果が出れば文句なしなんですけど。



大体予定より尺も話数も執筆時間もオーバーしがちな作者が贈る、
もうちっと圧縮できるんじゃないか系ナデシコ二次創作、












『機動戦艦ナデシコD』
第五十六話:duo-二重奏-























を、みんなで見れば?















感想代理人プロフィール

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代理人の感想

黒い皇子ならぬ黒い姫になりつつあるラピス。
危ういなあ。


>「なにもかもお前が放置した孫娘のせいだぞ、クリムゾンッ!!!」

(爆笑)
いやその通りなんだが、あんなん予測できるかwwwwww


>攻撃しないなら無害と思ってるあたりがこわい。
>現実的にホワイトハッカー募集とかの話があったりしてもヤバそうに感じますし。
>完全に先入観ではありますけど…w

「やる」じゃなくて「できる」ってだけで怖がるのが人間というもの。
別に人を傷つけるつもりはなくても、抜き身のナイフ持って歩いてたらそりゃ怖いよ。





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