どうも、ルリです。
ラピスが助かってから、五年の月日が流れてしまいました。
私達は色々ありましたけど相変わらず幸せなんで、ぜんぜん健康です。
今回はその辺を中心にお話しするそうです。

つまり、今回で二年も続いちゃった『機動戦艦ナデシコD』も、ついに劇場版の時間に突入。

エンディングは間近だそうですが…ホントでしょうか?
ま、作者さんまとめるの下手だから、もうちょっとだけお付き合いしてね。

それじゃ、よーいドン。


















『機動戦艦ナデシコD』
第八十話:Decode-解読する-ライザレポートⅡ・前編























〇地球・佐世保市・町食堂『星天(せいてん)』・住居スペース──ユリ

「ふぁ~~…。
 相変わらずひっきりなしにお客さん来てくれるよね~」

「ええ、
 開店以来、赤字はたったの一日もないです」

私とユリカさんはのんびりお店の帳簿なんかをつけながらお茶を飲んでいました。
ラピスの救出、そして精神的な治療で一段落したあの頃から色々ありましたけど…。
…もうあれから丸五年ですか。
いろんな準備をしては居ましたが、あっという間でした。
大変ではありますが楽しいことばっかりで、
こんな面白おかしい生き方してていいのかって思っちゃいます。
…このお店のこともそうなんですけどね。

「…私ね、あの結婚式のこと、毎日思い出しちゃうの。
 すごく嬉しかったねぇ…」

「…私もです。
 もう二年になりますけど…」

私達はあれから三年経過して、ようやく結婚式を挙げました。
敵に対抗する準備期間が必要なのが主な理由ではありましたけど、
本来起こるべきテンカワさんとユリカさんの結婚の時期をずらし過ぎるのも因果律に影響を与えると想像されましたし…。
そもそも私とアキトさん、テンカワさんとユリカさんもは、
結婚して子供を持つ前に、しっかりとお互いの時間を持ちたかったから。

…そして二年前にピースランドで行われた結婚式…。
私とアキトさん、テンカワさんとユリカさんのダブル結婚式は、それはもう盛大に行われました。
世界的に注目されてしまうのは避けられませんでしたが…。
マスコミをシャットアウトしての、にぎやかだけど楽しい『身内向け結婚式』の一日丸々とり、
翌日にマスコミさん向けの『外向けの結婚式』の日を取る、
という極めてめんどくさいことをしなければなりませんでした。

そうしないと、落ち着いた結婚式はできないし、疲れるし、
注目されるのは仕方ないとしても単純に思い出を切り売りするのは避けたかったので。
でもおめでたいことは何度もしてもいいから、と納得して無理矢理そういう日程にしました。

ちなみにブーケトスは普通一回きりですが、
アキトさんが関わるブーケ、あまりに希少性が高すぎて、危険を鑑みて百回以上行うことになってしまって…。
肩が痛くなっちゃいましたね、あれは。

幸せいっぱいな結婚式でしたけど…。
私もアキトさんも、ラピスもユリカさんのウェディングドレス姿にボロボロ泣いちゃって、
式の開始が一時間近く遅れちゃったのは申し訳なかったですね…。
まあ、お父さんが号泣したら急に涙が引っ込んでくれたんで、この時ばかりは助かりましたけど。

ハネムーンは、ピースランドにこもり切りになりました。
警備の都合もあるので王城で守ってもらいましたし、
ピースランド内も私達が歩くエリアだけは貸し切りにしてくれましたし…。
一ヶ月ほどの逗留期間、アキトさんでさえも気を緩ませてました。
ちなみに、護衛の兼ね合いもあってルリとラピスもこの期間一緒にピースランドに来てました。
出来る限り二人っきりの時間を過ごしてほしい、と言ってましたが、
それでも三日に一日くらいのペースで合流して楽しんでしまいました。
…すごく幸せでした。

でも…今は…もっと…。

「…ユリカさん、だんだんおっきくなってきましたね」

「ユリちゃんだって。
 予定日まで一緒なんて、すごいよね♪
 あ、ユリちゃん、泣かないでってば…」

「…うれし涙なんですから、いいじゃないですか」

「…うん」

私達は…妊娠三ヶ月になっていました。
私はユリカさんのお腹が大きくなっているのを見ると、いつも涙がこぼれます。

ああ、ユリカさんが幸せでいてくれる。
私達が見たかった世界が、現実になってくれている…。

このかけがえのない、大事な光景を守るために、私達は今でさえも戦っているんですから…。

「…ユリちゃん、私、幸せだよ。
 私とアキトの幸せを守るために、みんないっぱい頑張ってくれたんだもん…。
 世界一幸せになって、喜ばせてあげるから。
 ユリちゃんだって、幸せになっていいんだよ」

「はい!
 ばっちりです!
 私、こうしていられるだけで、幸せなんです!」

私とユリカさんはぎゅっと抱きしめあって…。
そしてお互いのおなかに触れて、鼓動を感じました。

「…これから、アキトさんの子供が生まれるとまた大変です。
 でも、この子たちには…戦いのない世界で温かく生きてほしいから…」

「…そうだね。
 でも…本当にアキト君と別れて、ラピスちゃんと結婚してを繰り返すの…?
 別に私達はそれくらい平気だけど…」

「いいんです。
 噂が流れたりしますし、いいことだとは言い切れないですけど、
 目の前で子供にお父さんの奪い合いを見せるよりはマシです。

 まっとうな夫婦でトラブルがある家庭より、
 複雑な家庭事情を抱えていようが円満な家庭の方がずっといいはずです。

 …まあ、そのせいで生まれた子が調子に乗ってハーレム作ろうとするようだったら、ビンタしてやります」

「あ、はははは…」

…そんなことになったらビンタでも大甘ですけどね…。
ただでさえ、将来的に私達の子供に手を出して取り入ろうとする者が出てくる可能性があります。
その部分は厳しくするしかないでしょうね…。

…まずは子供が生まれて、かつ敵との戦いが一段落してからです。
皮算用を先にできるほど能天気で居られる状況じゃありません。
一応考えておく必要はありますけど、家族会議で何とかしていくしかないでしょう。

全員が命懸けでラピスの計画で生き残らないといけないんです。
…そう、私達が身ごもったことすらも、計画の一部なんです。
そのためもあって、アキトさんとテンカワさんは共同で店を一つ持つことになったんですから。

結婚して、幸せになってゴールじゃありません。
フィクションならそれでハッピーエンドでもいいんですが、
その先の未来を奪われた瞬間を目の当りにした私達は、それで終わりじゃダメなんです。


「……幸せを守っていくのも、大変なことですね」




















〇地球・佐世保市・町食堂『星天(せいてん)』・店スペース──ホシノアキト


ごわぁっ!ぼうっ!かんっ!



「「うおおおおっ!」」




…俺とテンカワは灼熱の厨房の中、無数の鍋を同時に振り回し、
中華の技を極めんとするために集中していた。
嵐のような調理は俺とテンカワの担当。
盛り付けや食材の準備、食器洗いなどはPMCマルスの食堂班だったみんな。
フロアはホウメイガールズのみんなが担当している。
今はユリちゃんとユリカ義姉さんが妊娠して抜けてることもあって、手が少し足りてないな…。

繁盛というか、常に昼のピークが続いているような状況の、この町食堂『星天』。
最初は、俺とテンカワは独立して別の店を持つ方がいいだろうという話になっていたが…。
一緒に住む、ユリちゃん、ユリカ姉さん、ルリちゃん、ラピスを、
警護する兼ね合いがあって一つの店にまとまって、かつ店自体も防衛機能を豊富にする必要があった。
隣の喫茶店を経営してるナオさんが居るから万全ではあるんだがな…。
立地は、元々飲食店が少なく、かつ元倉庫で道路へのアクセスが簡単なPMCマルスの敷地にできた。
…しかし、念願かなって経営しているこの店もかなり特殊になってしまったのは、辛いっちゃ辛かったが…。


・・・・・。
・・・・。
・・・。
・・。
・。


「「よし、営業終了!お疲れ様!」」


「「「「「「お疲れ様でした!!」」」」」


俺とテンカワが声をかけると、みんなは一礼して食事を取り始めた。
まかない飯を食べて解散するのがこの店の営業終了の合図だ。
この町食堂『星天』は、一日六時間営業とかなり短い。
常に昼時のピーク並みの集客があり、かつ信頼できる人員の確保が難しいので、
俺とテンカワがいくら体力的に持つとはいえ、長時間営業は厳しい。
そして…なにより…。

「はぁ…。
 全部予約して、おおげさに期待されてってのは、ちょっとなぁ…」

「今更だろ…」

そう、『ホシノアキト』の人気絶頂はまだ続いていた。
そのこともあって、全部予約制、抽選制で一日千人限定。
ファミレスよりだだっ広いこの店に毎日押しかけてくる。
しかも今もって抽選倍率は平日でさえ、百倍以上。
一応、四人までの家族、団体来店も同じ確率になるようにはしてあるが…。
出前も当然厳しいし、完全に…普通の町食堂ではないんだよな…。
もう普通であることはあきらめてはいたが、なんていうか…寂しい…。

「ホシノさん、私達と午後から収録の予定ですよね?」

「あ、いけない。
 ナオさんと北辰さんに二人の護衛を頼んどかないと…」

テンカワ一人でも問題はないが、身重の二人を守るとなると厳しい可能性がある。
…で、俺は芸能界に週一、二で出ているし、ホウメイガールズのみんなも未来と同じくアイドル活動中だ。
これはラピスの計画…『バトルアイドルプロジェクト』の一環で、まだ続いている。
敵ににらみを利かせるため、そして世の中に影響力を与え続ける目的だったが…。
はぁ…本当に、完全に引退したい…。

「まあ近所だし…さっさと済ませてこようか」

…実を言うと俺は、いちいち東京まで出ていかないことが多い。
理由は俺の芸能活動そのものに、テレビ局が『支援』を申し出てしまったことが原因だった。
俺が『完全引退』すると経済的、社会的損失が大きすぎるので、
全国ネットのテレビ局が談合…いや協力して、俺を出演しやすい状況に追い込んだ。
ラピスもこのテレビ局の提案に大賛成して見せた。
…いや、確信はないがたぶんラピスがそうさせたんだろう。

復興中の佐世保に、せっかくだからと建てた超高層ビル『ダイヤモンドビルディング』。
当然、これは許可もなく映画『ダイヤモンドプリンセス』にあやかって名付けられたものだが…。
このビルのフロアを複数階全国ネットのテレビ局が一括借り上げ、
俺が関東に出向かなくてもいいようにして、週一、二のがっつりしたテレビ出演だけではなく、
たまに一時間くらいちょっと呼ばれて出演するようなことが大幅に増えた。
俺も負担が少ないだけマシだが、そこまでされるのはちょっと落ち込んだ…。
佐世保に首都機能を移転させる計画を立てようとしたバカな議員もいたりで、
その防止にラピスに動いてもらわないといけなかったりしたのには閉口せざるを得なかった。

まあラピスの計画が完遂するまではこれ以上テレビへの減らすのは危険だから、仕方ないが…。

「テンカワ、ユリちゃんのことを頼んだぞ」

「ああ」

いや、これも幸せを守るために必要なことだ。頑張ろう。
……そう言うことにしておこう。

















〇地球・東京都・テレビ局・スタジオ──さつき

「ゴールド・セインツのみなさーん、
 次出番ですからセットお願いします」


「「「「「「「「「「「はーい!」」」」」」」」」」」


私達は楽屋でコスチュームに身を包んで歌番組に出演する。
こなれたもんだけど、もう四年かぁ…。
もうちょっとしたら、新しいユニットに追い抜かれちゃうかもなぁ…。
私達ってアイドル邦楽ベスト10には入れるトップアイドルの領域までは来れてるけど、
メグちゃんやホウメイガールズのみんなには追いつけないんだよねぇ…。
アキト様の威光を借りてこれじゃあ、ちょっと情けないなぁ。
まあ、実際あの子たちほど見た目行けてないし…。
リーダーが乗り気じゃないから多少しょうがないかもだけど…。

「みんな、今度新メンバーが入ることになってるんだから、
 気を引き締めなさいよ」

「「「「「「「「「「「はーい!」」」」」」」」」」」

ひょっこりと顔をだした眼上さんが告げたこと…。
そう、そろそろこのゴールド・セインツにもテコ入れが必要ってことで、
計画のこともあって私と重子がいったん抜ける必要があるって話になってたんだよね。
でも『バトルアイドルプロジェクト』…良く考えられた計画よね。
アキト様は相変わらず嫌がってたけど…。

「ほら、早くいこうよ!
 リーダーなんだから笑顔笑顔!」

「……分かってるわよ。
 はぁっ。
 いい加減慣れないといけないんだけどね…」


ぱんっ!


「私達の輝き、見せつけてやろうじゃない!
 
 ……ゴールド・セインツ、行くわよ!」


「「「「「「「「「「「おーっ!」」」」」」」」」」」


頬をはたいて、私達を率いるのは──。

ライザさんだった。

その髪はアキト様と同じ真っ白いまま、瞳も同じく金色。
私達を率いて、ずんずんと進んで行った。

















〇東京都・池袋・アイドルプロダクション『大和』合宿所──ライザ

「「「「「「「「「「「お疲れ様!!」」」」」」」」」」」

「…お疲れ様」

歌番組が終わって、大型バスで合宿所に戻った。
私はいつも通り、PMCマルスのパイロット達と別れて、一人部屋に戻った。
彼女たちは大広間でワイワイ騒いだ後、各自の自室で眠るが…。
私は発足から四年も経過してるというのに、彼女たちになじめなかった。
…居心地がいいとはおもってるんだけどね…。

…今でも、どうしてこんなことになっちゃったのか分からないわ。
なんていうか、罰というには微妙で…半分くらいは私の希望が入っているけど。
まあ、いいか…。

私は現場で食べる余裕がなかった仕出しのロケ弁を持ち帰って、
食べながらこの数年書いていたレポートをまとめていた。

これは、本来テツヤに提出するために書いているはずのものだ。

テツヤとは縁が切れた以上、
もう提出の義務はないけど、なんとなく書いてしまっている。

色々趣味をしてみたり、さつきたちに付き合ったりはしてみたけど、
どうも熱中できない時がある。
そんな時に、このレポートを書いていると落ち着く。
手持ち無沙汰になった時、たまに整理したり、書いたりする。

…テツヤに見つかった時に、これを差し出したら助かるかもしれないしね。
彼のことだからとっくに私のことには目をつけているはずなんだけど。
名前も顔も変えずにアイドルなんてやってたらバレバレだもの。
生贄になっても仕方ないし、私から言い出したことだし…アイドルっていうのは想定外だったけど。
このレポートも…ラピスがお得意のハッキングで読んじゃってるだろうけど。

テツヤに撃たれた脚のリハビリが終わった頃に、私の新しい人生は始まった…。












【四年半年前】
〇東京都・ネルガル付属病院・VIP用病室──ライザ
私のリハビリが一段落して一人で歩けるようになったころ、ラピスラズリに呼び出された。
病室に現れたラピスの隣にはホシノアキトと、ホシノユリもいた。
本当は二人はミスマル姓だけど、まあこのあたりはどうでもいいわね。

「私の処遇が決まったのかしら?」

「うん。
 前に言った通り、協力してもらえると助かるって話だよ」

「…内容を聞いてからでいいかしら?」

「いいよ。
 ちょっと、突拍子もないことだし。
 アンタの新しい戸籍と、新しい仕事をあげたいんだけど、
 その前に、名前と顔を変える必要はあるから…。
 まずはこれに了承するかどうか、確認とりたくて」

「…どっちかは残したいわね。
 私にとっては、どっちも忌むべきものだけど…。
 何も残ってない私から、私が私であることを照明するものを奪われたくないの」

ラピスラズリは少し戸惑ったが、やがて頷いてくれた。
彼女も実験体であり、バックグラウンドはかなり暗いものだったそうだから分かるわけね。

「…それじゃそこは保留して話を進めるよ。
 できれば、なんだけどだけど…。
 
 ナノマシンを投与して…。
 『準・マシンチャイルド』になってほしいの」

「え…」

私は耳を疑った。
まさか、私に実験台になれっていうの…?
確かにそれくらいされても仕方ないくらいのことをしでかしたけど…。

いえ、ラピスラズリはまだ『希望』でしか言ってない。
強制力は感じない…なら交渉する余地はあるはずよね。

「…事情を聞かせてくれる?」

「…ナデシコから私もルリも下りないといけなくなってるの。

 子供が戦地でオペレーターするのは問題があるからって。
 成人したユリも戦いから降りるつもりだし。
 でも、まだナデシコはあと二年か三年は戦う予定がある。
 連合軍もまだまだナデシコ級の扱いには慣れてないし。
 だからオモイカネをすぐに降ろすのは問題がある状態なの。
 
 ──だから、あなたに代わりにやってもらいたいの。
 
 当然、これは私が死ぬかもしれなかったこと、アキトを殺そうとしたことに対する罰。
 マシンチャイルドとなれば、同じように危険な目に遭う可能性もある。
 そのための護衛もしっかりするつもりだけどね。
 
 それにアキトとユリと同じ、後天的なマシンチャイルドを作るための実験体だった、
 というカバーストーリーさえつけられれば、戸籍の準備もしやすい。
 ホシノ家に…アキトと、ルリの里親だった二人に頼めばいいの。
 
 …もちろん、最終的にはナノマシンを除外して元に戻してあげるけどね」

「…突拍子もないわね」

無茶苦茶だし、私にもリスクはあるけど…一応私を案じてくれているのも事実のようね。
戸籍の準備についても、事実でしょうね。
ただでさえ、今はこの手の不正が厳しく見られる時期だし…。
そうそううまく手続きできるわけもない。
でも、メリットはそれくらいしかないのよね。
私にとって、得な取引とは言い切れない。

「…それも断ったら?」

「…死んじゃうかもしれないのに放っておくわけにもいかないし、
 しょうがないからまたPMCマルスで事務員さんしてもらうよ。
 こっちもテツヤが何とかなるまでは危ないから、軟禁に近くはなるけど」

「それでも不満はないわね…」

このプランでは自由ではない状態だけど、守ってくれることには代わりがないようだし…。
意地を張って協力しないと言っても助けてくれるつもりでいてくれるのは、かなり嬉しいわね。
相変わらずの甘ちゃん軍団だこと。

「テンカワたちも守りたいし、
 本当はバトルアイドルプロジェクトの兼ね合いもあるから、
 オペレーターやってくれると嬉しいんだけど」

「…バトルアイドルプロジェクト?」

私は聞きなれない言葉に戸惑った。
何か…奇妙な言葉だ。

ラピスラズリが説明してくれたことには…。
バトルアイドルプロジェクトとは──。

『連合軍、ナデシコやPMCマルスで、木星トカゲと戦う人たちをアイドル化して、
 好戦派の勢力が擁立するアイドルを伸ばさせず、
 かつ、ホシノアキトの影響力を保持、戦争が終わるまで持たせるのが目的』

ということらしい。
で、私がナデシコでオペレーターとして働くと…バトルアイドルとして売り出せる。
しかも、ホシノ家に入って、ホシノアキトとの関係性を持たせれば十分売り出せると…。
…なんていうか、めちゃくちゃよね、それ。

「…あんた、そんなことしたらそれこそ敵に選択肢を与えるものじゃないの。
 ホシノアキトだけじゃなくて、参加した人たちに危険が及ぶのよ」

「そこも目の付け所だよ。
 芸能界に出ている、戦っている人たちは目立つわけ。
 彼らが失踪するようなことがあれば即ニュースになっちゃうでしょ?
 
 誘拐や暗殺するのもリスクの割に利益がない状態にするの。
 アキト本人、もしくは私達みたいなアキトに身近な人間でないと効果が薄い。
 ってなると、目立っている方が安全ってことになるんだよね。
 敵もそこまでバカじゃないし、外堀を埋めても本殿が遠けりゃやらないんだよ。
 
 これは今まで全くアキトやユリ、
 私以外に狙われる人が皆無だったことからも明らかなの。
 
 最初はちゃんと頼りになる護衛を出すつもりだけど」

……なるほど、一理あるわね。
ホシノアキトという人間を殺せなければクリムゾンたちの目的は達成できない。
私がホシノ家に入って関係者を装った場合でも、一緒に暮らしてなかったり、
直接的な関係がないと分かってしまえばターゲットにされづらいでしょうね。
護衛がきついとなればなおのこと…。
それに…。

「…やっぱりテツヤの見立て通り、ラピスラズリ。
 あんたがホシノアキトのブレーンだったみたいね」

「「!!」」

「…テツヤってやつ、とんでもないね。
 わずかな情報から私の存在と役割を割り出すなんて。
 ライザがピースランドに潜んでたのも参っちゃったよ」

ホシノアキトとホシノユリは驚いていた様子だったけど、
ラピスラズリは納得したのか、ため息を吐くばかりだった。
…テツヤはどうやったらあの情報でラピスラズリを当てられるんだか。
本当に常軌を逸してるわよね。

「で、そのやり方なら牽制はできてそうだけど…。
 あんた達、敵をあぶりだす方法は見つかってるの?」

「一応ね。
 五分五分くらいだけど。
 …なにしろこちらから攻撃するのが難しいんだよ。
 アキトは殺すなっていうし」

「…相変わらず甘ちゃんなのね」

この期に及んで…呆れるしかない。
ラピスラズリも呆れている様子だわ。

「攻撃方法がないってことは…。
 …アングラから、本気になって攻めてくるテツヤをどうにかする方法がないんじゃないの」

「…それも悩みどころだね。
 アングラに迫るってことは、アングラに飛び込むってこと…。
 でも私達はアングラに飛び込むのはやっちゃいけない。  未来みたいな状況だったらまだしも、今は簡単に人殺しに手を染めらんないんだよね」

…でもちょっとだけ安心したわ。
ホシノアキトたちがテツヤを見つけても殺すつもりがないっていうなら…。
クリムゾンたちがうまく倒れてくれるなら、テツヤはもしかしたら…。
…でも、テツヤはどうやってもホシノアキト達に逆襲するはず。
……。

………!

「ちょっとまって、ラピスラズリ。

 …さっきの話、受けるわ。

 マシンチャイルドでもなんでもなってやるわよ。
 バトルアイドルプロジェクトも…」

「え?
 どうして急に?」

「…テツヤの目をこっちに向けさせて様子を見るのよ。
 あの人は説得に応じてくれるとは思えないけど…。
 でも、あなた達が殺さないと言ってくれるなら、クリムゾンたちが倒れるまでの間、
 彼を捕らえておくことくらいはできるかもしれない…から…」

「…あんた、やっぱりテツヤを助けたいの?」

私の態度の急変とテツヤの話にラピスラズリはむっとした表情で私を見た。
…助けたい、のかしらね。
助けたい…んだと思う、でも…。
 
「……あの人はきっと答えてくれないでしょうけどね。
 自分の生き方を曲げるくらいだったら、死ぬって言い出しかねないけど…。
 でも私はあの人が、ただ死ぬのを黙って待つのは…」

「…自分を、殺そうとしたのに?」

「…ここから先の事は、テツヤに会って決めたいの。
 彼が変わることなんてありえないけど、意趣返しにはちょうどいいと思う。
 一回助けられて、一回殺されかけたんだから帳消しってことにしてね…」

「…だから自分の命を的にしてでも、
 テツヤを振り向かせるってことね…」

「そう。
 私が目立っている間はホシノアキトから一度目線が外れるわ。
 テツヤのやり口だったら、私を足掛かりにして攻撃をしようと考える。
 私はそこでテツヤに接触する機会を得られる。
 
 …ダメだったら、その時は…」

──その先は飲み込んだ。
結局、私はテツヤと無理心中したいだけなのかもしれない。
それを口に出してしまったら、もうそうしないといけないと道を決めてしまうことになる。
私のためらいを感じ取ったのか、ラピスラズリは頷いた。

「……分かった、ライザ。
 あんたの気持ちは、私もユリも分かるから」

ラピスラズリは、ほぼためらいなく頷いた。
…そうなのよね、この子、私と境遇が近いのよね。
私はホシノアキトをじっと見た。
未来の世界の話での『黒い皇子・テンカワアキト』の持っていた、
絶望と失望から生まれる、全てを喰らいつくす狂気…。
テツヤは同じものを持っていたと思う…。



・・・・・。
・・・・。
・・・。
・・。
・。



【十一年前】
テツヤは自分の過去を詳しく話してくれたことはない。
ただ…私が初めて仕事を失敗した時、彼は言葉少なげに語った。
あれは、13歳の頃だったかしら…。

『──俺がここにいるのは、すべてを失った後、
 知った真実のせいで、すべてが馬鹿らしくなったからだ』

『あの日、俺はこの世に生まれ落ちたことを呪った。
 世間知らずに育った自分を憎んだ。
 『英雄』と呼ばれる偽善者を、絶望させて殺したいと願った。
 そのためには地獄に堕ちて、業火で焼かれたって本望だと考えるようになった』

『…お前はどうだ、ライザ。
 いい気になってる連中を、
 昔の自分以上に絶望させて殺したいと、今も願ってるか?』

私は、かろうじて小さく、自信なさげに頷いた。
──その後、失敗した仕事を、一緒になってやり遂げてくれた。
耳栓ほどの大きさのインカム越しに届くテツヤの指示通りに動くだけで、
ターゲットは面白いように思う通り動いてくれた。

そして裏路地でターゲットを捕らえた私に…。
テツヤはターゲットを殺すように命じた。

ターゲットはクリムゾンの子会社の元社長。
クリムゾン本社の不正を暴こうと必死に、懸命に走った人、ということになっていた。
だが──結局、彼は別の企業に魂を売っていた、ただの、卑怯な裏切者だった。
クリムゾンという会社を徹底的に貶めるために、彼は誠実なフリをした。

──彼はクリムゾンを貶めるだけでなく、『英雄』になろうとしていた。

自分が逮捕されても不正を暴く、立派な英雄になり…世間の注目を集め、
支援者の協力の元、無事に釈放されるところまでこぎつけ、
クリムゾンを貶めるように依頼した企業の元に、亡命するがごとくスカウトされるという筋書きだったらしい。

私はターゲットの脚を撃ち、迫った。
うまく当たらず、かすり傷だったが痛みに怯えて身動きは取れなくなった。
年端も行かない少女に撃たれると思ってなかったのか、絶望に沈んでいた。

最後の一発を撃とうとした時、銃がジャムった。

ターゲットはすかさず銃を奪うと、ジャムった弾丸を排出して、
逆に私を捕らえて組み敷いた。
テツヤに助けを求めたい気持ちになったけど、それより先に何度も殴打されて、
…ターゲットがズボンを降ろそうとしたことに気付いて、暴れたが無意味だった。
でも乱暴される少し前に、警官の声がその男を制止した。

私だけではなく、ターゲットも身体をこわばらせた。
直後、テツヤからのインカム越しの声が聞こえた。

『撃て』

私は、ターゲットが体を浮かせていたのを見て、
言われるがままに男の手に握られた拳銃を、ターゲットの口に押し込んだ。
ターゲットの指がトリガーに触れて、暴発して…血煙が立ち上る中、ターゲットは息絶えた。

その後、警察官に保護されそうになって、
慌ててめちゃくちゃに走りまわった後、テツヤの指示でなんとか逃げ延びた。
離れた場所にあった大型犬用のドッグキャリーケースに飛び込んで、テツヤに回収してもらった。
…帰ってから、ターゲットの事はニュースになっていた。

『─クリムゾンを告発していた元子会社の社長が、
 少女を拳銃で脅して暴行を働こうとしたところで、
 警官に発見されて自殺を図りました』

私は呆然とそのニュースを見つめることしかできなかった。
手袋をしていたから指紋は残っていないし、両親に売られた子供の私は、
行方不明期間が長くて死亡扱いになっているから遺伝子登録からは外されているので、
現場に残った毛髪があったとしてもDNA鑑定されても身元が割れない。

──そうなると、ターゲットが自殺したという結果しか残らない。

テツヤは、あの土壇場でそこまで計算していたのだと気づいて背筋が凍った。
単純に殺すだけでは飽き足らず、英雄になろうとした男の本性を知っており、
それに向いている私を派遣して…もし、失敗するようなことがあったら乱暴されてる瞬間を、
あらかじめ近場に呼んでいた警官に目撃させて、助けるつもりだったのだろうと…。

単純に殺される以上の、名声がズタズタになる方法をテツヤは考えていたのだ。
…今考えると、あの銃のジャムすらも仕組まれていたんじゃないかと思うけど。

でも、それ以上に…私はテツヤが抱きしめて褒めてくれたことが嬉しくて、
背筋の寒気がすっ飛んでしまっていた。
テツヤによって危険にさらされたはずなのに、

テツヤに助けてもらった。テツヤに褒めてもらった。

そんなことにはしゃいでいる自分を、正しく理解できず、
私はあの時、本当にテツヤに心をつかまれてしまったんだと思う。
……この人は、私を助けてくれる。
そして、この人の心の寂しさを埋められる自分でありたいと、恩を返したいと願うようになっていた…。










【四年前】
〇東京都・ネルガル付属病院・VIP用病室──ライザ
……そう、本質的に『黒い皇子』とラピスラズリは、テツヤと私とそうは変わらない。
孤児だった私を利用したように…ホシノルリとラピスラズリという少女を利用した。
ラピスラズリがホシノアキトを好いている、無邪気に懐いているというのは…自分を思い出して嫌になる。
…でも実は厳密にはテツヤとはだいぶ異なる。

テツヤは…本当に孤独で、誰も信用していない。

一人でなんでもするし、人をそそのかすのがうますぎる。
…テツヤは、たぶん、ううん、絶対救えない。
それでも…。

「あの人から逃げ出したくてしょうがなくて、
 自由が欲しくて、あなた達に助けられるのを選んだのに…。
 こうして話していると、寂しそうなあの人を放っておけない気持ちになってる…。
 私は…一生、テツヤから離れられないのかもしれないわね…」

「…ライザさん」

ラピスラズリは、急に態度が変わって私の手を取った。
これは…例の、未来の、ユリカの人格…?

「諦めないでいいんだよ、ライザさん…。
 無理かもしれないけど…納得できるまでやろうよ…」

「……下手したら裏切るかもしれないわよ?
 それどころか、あんた達を、あんた達の仲間を殺すかも…」

「ううん、そんなことない。
 ライザさん、優しい人だもん」

…優しいって、どこを見てそう思ったのかしらね。
でもこう言われると裏切りづらいわよね…考えてんだかどうなんだか…。
…今更テツヤの言いなりになる私じゃないけどね。
私のわがままで、テツヤを死なせたくないだけなんだから…。

…この場で、私の運命は決まってしまった。
テツヤをひきつけるためだけに、私は準・マシンチャイルド…。
ホシノアキト、ホシノユリの研究成果を元に、後天的にマシンチャイルド処理をされることになった。

準・というのはホシノアキトたちに使われた、
『後天的にマシンチャイルドにするためのナノマシン』は劇薬で、
失敗すると廃人になるか死亡する可能性が高い。
遺伝子改造で適合する可能性はゼロじゃないが、この手の不確実な人体実験は避けたい。

そこでホシノアキトに使用されたナノマシンの一部を導入し、
身体の耐久力を高めた上で、通常のオペレーター用IFSを改良したナノマシンを体内に入れる。
そうすることで、比較的負荷が低いまま性能の高いIFSを手に入れることが出来る。

この方式ではホシノルリやラピスラズリには到底及ばないものの、
それでも通常のオペレーターの二倍から三倍程度の効率を獲得することに成功した。
あとは私とオモイカネとうまく同調できるように、
ホシノルリとラピスラズリが徹底的なチューニングをしてくれることで、
ホシノルリの八割の伝達速度でなんとかナデシコを操れるようになった…。

…っていうか、今更だけど元敵に艦のコントロール任せるなんて何考えてんのかしらね。
そもそも私の場合、マシンチャイルドじゃなくてマシンアダルトなんだろうけど…。













【現在】
〇東京都・池袋・アイドルプロダクション『大和』合宿所──ライザ
とにかく…こういう経緯で私はナデシコのオペレーターになってしまった。
ついでにバトルアイドルプロジェクトのせいで、
重子たちとアイドルユニットまで組まされてしまったし…。
戸籍の問題も、ホシノ家に入ることで決定した。
年齢的に、ホシノアキトと同い年の妹になった…。

……味方にするだけじゃ飽き足らず、一応家族関係になれって?
ホント呆れるわよ…まあ、ホシノ家も私の両親に負けず劣らずのろくでなしみたいだし、
名義貸し程度だからあまり接触はないから気にしちゃいないけど。
けど、そこまでして、名前も顔も変わらずにいればテツヤだって食いつくわよね。
はぁ…ったく。

……やっぱりロケ弁一つじゃ足りないわよね。
ホシノアキトのナノマシンのせいで三人前くらいは欲しくなっちゃうんだもの。
気付くと自室の冷蔵庫がカラになってるし。
…シャクだけど、さつきたちにインスタント食品でも貰おうかしらね。
私ら、コンビニ行くのだって気をつけないといけないんだから…。
















〇東京都・池袋・アイドルプロダクション『大和』合宿所──さつき

「…すまないわね。
 また買って返すから」

「いいよいいよ、ライザさん!
 良ければ一緒に鍋食べてかない?」

「……あんた達、そろそろ夏だってのに鍋なんて…。
 いいわよ、ちょっと一人で居たいの」

ライザさんは私達に大量に押し付けられたカップ麺やらスナック菓子やら、
ボトルジュースやらを抱えて、部屋に戻っていった。
ライザさんは心を開いてはくれてるけど…元々シャイな性格なんだよね。
…そういうところ、割とアキト様に似てるんだよね。
ユリさんが居ない状態のアキト様みたい、って感じかなぁ。

「しかしまぁ、色々あったよねえ、アイドル始めてから結構経つけど…」

「大変だよね~めっちゃ楽しいけど」

「トップアイドルの一員ではあるけど、ここからの壁も厚いもんねぇ」

アキト様が芸能界に出る頻度が激減してるので、
私達はバトルアイドルプロジェクトで、アキト様の影響力を維持する役割。
女の子のアイドルが、代わりになるかは微妙だと思ったけど…効果はあったみたい。
でもメグミさんとホウメイガールズのみんなには敵わないんだよねぇ…。
眼上さんは『新世代のアイドルって感じでいいと思うんだけど』と言っていたけど…。
私達は頭数が多いアイドルなんで、ホシノライザとなったライザさんが居ても、
微妙に人気がばらけてしまうっていう欠点がある。
しかもメンバーが『予定に合わせて出れる人だけ出る』みたいな形式で、
ライザさんだけが固定メンバーっていう、かなり奇妙なアイドルだから、
このやり方でここまで上り詰めているのが奇跡に近いんだよね…。

「むつみー?
 そこはアキト様突っ込ませるだけでいいんだってばー」

「だぁって、アキト様に傷ついてほしくないんだもん」

「だからぁ、精神コマンド使って、
 山に下りておけば敵の命中率は0%に抑えられるんだってば!」

「分かんないよぉ~~~~~!」

今、むつみとカンナがプレイしてる『第二次熱血ロボット大戦Z』の画面には、
アキト様の駆る龍王騎士が映っていた。

実はあまりにも大人気になった『ダイヤモンドプリンセス』三部作を、
何とかして『熱血ロボット大戦シリーズ』に出せないかという声はそこかしこに上がり、
アクアフィルムの社長のアクア社長もゲーム会社に持ち込んだものの、
『アニメじゃないとダメ』というお断りが入った。

でもアクア社長は「だったらアニメ化します」と言い返し、
少女漫画作品『ダイヤモンドプリンセス外伝・プラチナナイト』のアニメ企画と連動、
全五十二話の、テレビシリーズとして開始することになって…。
その結果として『熱血ロボット大戦Z』への参戦は間に合わなかったけど、
去年発売された『第二次熱血ロボット大戦Z』への参戦が決まったの。

ちょっとややこしい話だけど、これは大きなニュースになって、
私達みたいな熱血ロボット大戦シリーズ未経験の人間にへの救済措置として、
ゲームスタート時に『ダイヤモンドプリンセス三部作は好きかどうか』の問いが出て、
好きと答えると、さらに三部作のうちのどれが好きかを答える選択肢が出るようになる。

第一部の黒龍伝説を選択すると、
熱血ロボット大戦の主人公枠の機体がダイヤモンドランドに召喚されるところからスタートになる。
こちらは映画で死ぬユリカ団長が生存するルートになる。

同じく第二部の『土偶人形の襲来』を選ぶと、邪馬台国のヒミコが生きてるところに、主人公が召喚。
テレビシリーズと映画では語られなかった、ヤマタノオロチとの戦いからスタート。
このルートを通ると、ヒミコの生存を勝ち取ることが可能で、熱血ロボット大戦マジック全開の展開。
そこにアイアンリザードと黒龍が割り込んできて、ダイヤモンドランドの世界から、
アキト様が助けにやってくる、っていう展開になる。

第三部『ダイヤモンド・プリンセス』が好き、と選んだ場合は、
ナデシコ世界でアキト様とテンカワ君が共闘しているところにオリジナル展開からのスタートになる。
なんと現実世界ともリンクしていて、アイアンリザード、黒龍、そして木連の人たちとの戦いになる。
原作通りに黒龍だけは倒すけど、大和や他の人たちとは和解することが出来る。
代わりに、映画の三部作同様に登場人物の死亡はすでに起こってることになっている。
ある意味じゃリアル路線だよね。

それぞれシナリオ選択をすると、それぞれ初心者用の強力な機体が手に入るようになっていて、

第一部の龍王騎士は魔力を利用しているという毎ターン気力が+5、高火力、高装甲、高運動性がある上に、バリア持ち。
さらに武器は近接武器しかないものの、エネルギー消費なしのオリジナル技『魔力斬り』『超魔力斬り』が、
とんでもない破壊力を出すため、ぶっちゃけアキト様だけで勝てるくらい強い。
しかもユリさんとの二人乗り扱いで精神コマンドもかなり強力だし。

第二部のクサナギも龍王騎士に近い性能を持っているけど、武装の火力はそれほどないし、
二人乗りじゃない分だけ精神コマンドは不足気味。
代わりに戦艦カグヤが邪馬台国に譲渡されてる設定になってるから、
最初期から強力なマップ兵器付きの戦艦が手に入るからかなり有利。
しかもヒミコ、ユリさん、ルリちゃんの三人が戦艦に乗ってるから、支援系の精神コマンドに不足しない。

第三部の場合は龍王騎士のパワーアップ版の翼の龍王騎士と、ブローディアを両方持ってる状態になるし、
戦艦も最初からナデシコ、戦艦カグヤがいる状態でのスタートになるから、めちゃくちゃ有利なんだよね。
ただし、その分だけ前半戦は敵戦力が倍増するし、助からない登場キャラが出るので、
調整はしっかりしてある状態ではあるんだけど、その強さは圧巻だもん。

私達ももれなくプレイしてるし、ゲーム苦手なむつみでさえ取り組んでるように、
第二次熱血ロボット大戦Zは前作の三倍以上のセールスを記録して、ゲーム機本体も爆発的に売れたんだって。
世界規模だと十倍売れてるともいうし…さすがだよね、アキト様。


ちなみに、私達だけじゃなくて、
木連の人たちが感動したらしいのが、ゲキガンガーとの共闘シナリオが存在する事。
自分たちのヒーローであるゲキガンガーに、地球侵略をした自分たちの罪を責められながらも、
熱血を通じて分かり合い、平和な世界を目指すために結託して未来を考える。
そしてキョアック星人との和解もあったりだとかで、
いかにもな感じのシナリオだけど、木連の人たちはもれなく熱血ロボット大戦のファンになっちゃったとかでもう大変。

そういえば、火星の事についても…。
半年前に地球上のチューリップが全部撃破、連合軍は火星に遠征した。
ムネタケ提督のナデシコBを中心とした、ナデシコA’とユーチャリスⅡの大艦隊で攻め込み、
火星の制空権を完全に取り戻し、今は木星への出発のために全戦艦のオーバーホールが始まってる。
私達もはぐれトカゲの駆除の仕事はまだあって、でも回数が激減したのでアイドルの方が本業になってる。
バトルアイドルプロジェクト、そろそろ完結になっちゃいそうだけどね…。
あーあ、これから私達どうなるんだろ。
PMCマルスはまだ続けるかもしれないけど、そろそろ年齢的にアイドル厳しくなってきちゃったし。
人気も頭打ちでずるずるやるのもちょっと面白くないんだよねぇ…。

「あ、そういえばそろそろ朝ドラ『なでしこ』の総集編の時間じゃない!?」

「ああそっか、今日日曜日だもんね!
 オンタイムで見なくちゃ、セーブセーブ!」

むつみはさっさとゲームを中断セーブすると、テレビを国営放送に切り替えた。
朝に15分だけやる、連続テレビ小説『なでしこ』は、アキト様とユリさんを中心にした実録朝ドラ。
メインキャストはダブルドラゴンの天龍地龍兄弟、サブキャストにはなんとPMCマルス、そしてナデシコクルーが出演。
バトルアイドルプロジェクトの影響もあって、この辺はあっさり叶った。
退役済みのナデシコAを使うからドキュメンタリー的な側面もあるけどね。
本当はアキト様達が出演するのが筋だけど、本人が猛烈に拒否するので監修に回ったの。

夫婦ものが多い連続テレビ小説にあって、題材として最適、かつ全国民が待ち望んだ、
アキト様の生き様を描くドラマだから朝ドラなのに平均視聴率60%越えだもんね。
本当はあまりにドラマ化のスパンが短くて、朝ドラとしても特例的すぎることもあって、
『せ、せめて二十年後にしてほしいんですけど…』とアキト様は抗議したものの、
今の時期にやらないと当事者が望まない改変があるかもしれないとラピスちゃんにくぎを刺されて、
ほぼほぼ実際の出来事通りに書いてある。

……ちなみに、ラピスちゃんの誘拐事件も、
『この部分はまだ未解決なのでフィクションです』と書いてあるけど、ほぼ完全再現してる。
て、テツヤって人をおびき寄せるにしてもやりすぎじゃないかと思うけど…。
だからオンエア後も、私達とライザさんのための警戒を強めて、
すごーく信頼できる護衛がついてる状態ではあるんだけどね…。

ちなみに、この朝ドラを皮切りに、
『戦争と食堂ものドラマ』が一世を風靡する勢いで作られてるの。
戦いたくない食堂の少年と結ばれたい軍属の女の子、
親に反対され、また少年は戦いに駆り出され、ボロボロになりながら真実の愛を守ろうとする…。
思いっきり参考元が分かっちゃうし、コテコテなんだけど結構受けてるんだよね。
父親役もミスマル提督そっくりだったり、邪悪になったりするし。
芸能界の部分は似合わないからカットしてる…。
っていうかどっちかって言うとテンカワ君とユリカさんが元ネタっぽい?

「そういえば、ゲキガンガーの新作って見た?
 次回の『第二次熱血ロボット大戦Z・混沌編』で、出てくるそうなんだけど」

「…あれ、結構過激だからあんたは見ない方がいいわよ」

私は結局見たんだけど…。
この作品は過激を極めた作品だった。
自分たちの信じていた正義に裏切られた木連将校たちは、
その罪すらも紛れもなくそれは自分たちで選んだものだという反省を込めた、
現実とリンクした、『真なるゲキガンガー』を目指して新しいアニメを、自らの手で紡ぐことを選択した。
白鳥さんたちは眼上さんとアクア社長に協力してもらい、
ゲキガンガーを作ったプロダクション関係者、彼らの子孫に声をかけて新作を創るために動いた。

そして封切りされたのが、
『真(ゲキガイン)!~熱血最後の日~』

味方だったはずの博士が、事件の発端だったと描かれ、彼らの正義が脆くも崩れ去る。
それでも前に進み、正義を貫こうとする主人公たちの姿勢が描かれた。
特に敵と和解するために自分たちの憎しみを乗り越え、努力する姿が評価されて、
シナリオの熱さ、三話で十二話ぶんの予算を使い切るほどの作画、
絶望から立ち上がる人々の心の熱さで、地球でも大ヒットを記録した。

この新しいムーブメントを『新・熱血主義』と木連の人たちは呼んでるけど…。

……人を選ぶわよね、あれは。
私もちょっとだけ盛り上がっちゃったけど。

「そーいえばアキト様がライバル役で出るドラマってどんなだっけ?
 ラピスちゃんに絶対に見てほしいって言われたけど」

「それは23時からだっけ?
 録画、絶対しないとね」

…そういえば、そんなのもあったっけ。
バトルアイドルプロジェクトの中でも結構攻めた設定だとかで…。
たしか、主役は…。


















〇東京都・池袋・アイドルプロダクション『大和』合宿所──ライザ
私はさっきさつきたちからもらったスナック菓子をむさぼりながら、
インスタント食品に湯を次々に注いで、レンジにも冷凍食品をぶち込んで、
ここまで書いてあるレポートを読み直していた。

四年前、一ヶ月以上の研修を経て正式にオペレーターとなり、
研修に付き合っていたホシノルリはすこしだけ残念そうにナデシコから降りた。
とはいえ、艦長であるミスマルユリカの妹であることを利用して、週に二日くらい割り込んで、
私が休む時にシフトしてくれたりはしていて、ちょっとだけ助かった。

ナデシコに乗っている間は、なんていうかうんざりはしていた、けど…。


・・・・・。
・・・・。
・・・。
・・。
・。


【四年前】
私はオペレーターとしてナデシコで働いた。
時々降りる時はアイドル営業をさせられる羽目になってはいたけど、
テツヤとともに生きている時の緊張感はなく、そこそこ穏やかに生活出来ていた。

そして、ホシノアキト達の語った『本来の歴史』通りの、ナデシコクルーが召集された。

アカツキナガレ、エリナ・キンジョウ・ウォン、アイ・フレサンジュ、プロスペクター、ゴートホーリー。
ホシノアキトたちが居なくなったぶんを補うように史実通りの面々がナデシコに乗ることになった。
彼らは本来はナデシコに乗っている場合じゃない重要人物だけど、
警護の観点から危険を避ける目的もあり、
空に浮いたナデシコに乗っていた方が安全であるというのも理由の一つだった。
もはや、彼らは史実以上に、立ち位置が危うい。
ホシノアキトの関係者の中でも特に危険な立場だった。
ネルガルはもはや戦争の立役者同然なのだから…。
そして、ホシノアキトの妹分にされてしまった私も、それは同じことで…。

「ライザちゃんってば、意外とルリルリに似てるのよね」

「…どこが」

「出会ったころのルリルリってそんな感じで不愛想で、
 人付き合いを嫌うタイプだったのよぉ。
 ちょっとずつちょっとずつ仲良くなったんだけどねぇ」

操舵担当のハルカミナトは、私を見てニヤニヤしていた。
…私は例のホシノルリの育ての親に養子にとられ…ていたことにされた。
実験の後遺症で数年眠っており、目覚めてマシンチャイルドとしての性能は劣るが、
ホシノルリの代わりに入るのに適しているため、入れ替わりで入ることになったと設定された。
無理が生じる可能性はあったが、元々戸籍がなかったことが幸いして、
秘匿された人体実験の実験体として再登録されることになった。
…で、その結果として。

「ライザちゃん!
 アキト君とルリちゃんの家族ってことになったんだから、
 私もお姉さん扱いしていいよ!」

「い、いい加減にしてよ…。
 あんた達ほんと、正気なの…?
 家族扱いしたり、オペレーターやれって言ったり…。
 わ、私のしたことは…」

私は妙にブリッジクルーに猫かわいがりされた。
…私が、自分の境遇について洗いざらい話した後、メグミは同情して気を使うし、
ユリカもミナトも本当にホシノアキトたちの姉妹分のように扱ってくる。
私はそれを、うまく受け取れないまま、戸惑うことしかできない。
だから自分のしてきたことをうまく盾にしようとしていたけど、それも無駄だった。

「ええー?なんでー?
 確かに危ない目にあったけど、アキト君もユリちゃんもラピスちゃんも無事だったでしょ?
 ある意味命の恩人でもあるじゃない。
 しかもルリちゃんの代わりにオペレーター引き受けてくれるんだもん、
 悪い人じゃないって分かるもん」

「けど…私は元々…」

「ホシノアキトさんの話を聞いてたらライザさんの事くらい気にならなくなります。
 …ライザさんと同じような境遇の人もいますし、
 巻き込まれた人のことを考えると…確かに許せない気持ちもあります。

 でも、居ないことにされて、ひどいことされたり、ひどいことやらされたり、
 そんな人を放っておきたくないんです。
 
 生まれ変わったと思って、明るく生きてみましょうよ」

私は目をそらして小さくうつむくことしかできなかった。
私が、元殺し屋で…クリムゾンに加担してきた、人殺しであることを明かしても、
彼らは気にしない様子だった。

確かにみんなの方が正論を言ってると、私もそう思う。
…でも、そんなことはできそうにない。
だって…テツヤをどうにか止めたい気持ちを、いまだに抑えきれないんだもの…。
私の魂は、まだ完全には彼から離れていない…。

「ライザさん、気にしてるなら僕を責めてくれればいいさ。
 君に無理を言ったのは僕なんだから」

「…ホント、あの時はさんざん言ってくれたわよね、あんたは」

私はあの時を思い出して急におかしくなった。
…あの時、意地にならずに済んだのはアオイジュンのおかげだった。
あの出来事があったから…私は今ここにいる。
挙句、そのことを責めるなら自分を責めろなんて…。
いい人すぎよ、ホントに。

「え、えっと…その…」

「そこのニブチンの艦長に同じくらい好き放題言えるようにならないと、
 あんたも吹っ切れないんじゃなくて?」

「ほへっ?」

「うぐっ…」

私に言い返されてアオイジュンはうめいてうなだれた。
メグミと付き合ってるわりに、ハッキリと言わないあたりがらしいわよね。
まあ、関係が切れてるというか最初からなかった感じだからいいんだろうけど。

「いや~、なんというか微笑ましい光景ですな~」

「…堂々としているがいいのか、これは」

「ふぉっふぉっふぉ、やり直せるというのはいいものだ」

……ゴート、プロス、フクベ提督のおっさん連中は、私達のやり取りを遠目に見ている。
…はぁ、もう怒ったり突っ込む方がヤボなのかもね…。

…。
でも結局、私はナデシコという場所には、あまりなじめなかった。
いつもちょっと遠慮するしかなかった。
私の事情を知っている人は限られてはいたけど…。

でも、不思議と居心地は良くて…。
からかわれているようなノリの軽さの中に、私は安らぎを覚えていた。
PMCマルスに居た頃と同じような…。
ユリカ艦長もルリも、テンカワでさえも…遠慮する私を、家族として扱ってくれた。
本当に、些細でどうってことないやり取りの中に…私が覚えたものは…。

…生まれて初めて味わう、本当の『家族の温かさ』だった。












元ナデシコクルーについての報告
________________
テンカワ・アキト(23)
経歴:火星に住んでいたが地球に移住し、食堂で働く傍らPMCマルスのパイロットになった。
   当初は素人である以上に素質を感じさせない動きしかできなかったが、
   経験を積み、ナデシコに乗るころにはかなりの実力をつけた。
   また、火星へ向かう途中の特訓で驚異的な成長を見せ、
   ホシノアキト以上の戦闘能力を、パイロット、白兵戦ともに発揮するようになった。
   火星軌道上でのブラックサレナでの激闘、バルト海上空での戦闘は、
   記録に残る限り、ハーデット姉妹以外にはそれを超える戦果がない。
   白兵戦に関してはホシノアキト同様、ミステリアスパワー『昴氣』を扱い、
   自分の体格以上の相手を吹き飛ばすほどの威力を発揮する。
   
   ホシノアキトに代わり、ナデシコAに残り奮戦。
   ブローディアを駆り、ここぞという時はスバルリョーコと組んでDFSを使用した。
     
   二年前のナデシコAの現役引退に伴い、パイロットを引退。
   佐世保で町食堂『星天』でホシノアキトともども働き、
   時々芸能界でも手伝わされている。
   また年末には格闘技のリングで、ライバル視されている北斗との戦いが見られる。
   
   配偶者はテンカワ・ユリカ。
   現在はテンカワアキト、テンカワユリカ、ミスマルアキト、ミスマルユリの四人暮らしで、
   基本的に佐世保市から離れることがない。
   週末にはルリとラピスが戻ってくる。
   
   ちなみに私は…まだ家族慣れしてないのを心配されてか…。
   …戻るとユリカに猫かわいがりされるので、あんまり帰ってない。












元ナデシコクルーについての報告
________________
テンカワユリカ(25)
経歴:ミスマル提督の一人娘だったが、ユリが発見され、
   ラピス、ルリと次々にミスマル家に入ったことで四姉妹の長女になった。

   彼女は艦長としての素質、頭の回転以外はあまり優れているようには見えないが、
   人に強制しない性格ゆえか人望が厚く、信頼されている。
   カリスマがある、とでもいうべきなのか、
   ユリやラピスとは異なるパーソナリティを持っている。
   
   元々士官学校を首席で卒業する天才で、ナデシコの戦果は彼女あってのことだと評価されている。
   また、現在の対木星トカゲ戦闘の事実上の戦闘方針の決定者であることもよく知られている。
   二年前にナデシコAの退役とともにネルガルを退職。
   直後に結婚式を挙げて、晴れてテンカワアキトとゴールインした。
   その後『星天』で働きながら、ラピス『バトルアイドルプロジェクト』の一環で、
   たまに芸能界に顔を出すことになったりしていたが、
   三か月前に懐妊したこともあり、芸能活動は打ち切り、
   現在は産休を取りつつ、ミスマルユリともども店の会計、予約の受付などを行ったりしている。
   連合軍に籍を残しており、パートタイマーの戦術教官、戦術アドバイザーをたまにやっている。











元ナデシコクルーについての報告
________________
ミスマルアキト(24)/芸名:ホシノアキト
経歴:元々偽造の経歴を持っていることになっているが、
   真実はここにかけないほど…というか信じられないことが多すぎて、
   書く方が馬鹿らしい内容になってしまうし、書くべきじゃない。
   
   私が秘密を握ってはいるが、誰にも話すつもりはない。
   命を賭けてでも私は話さないつもりだ。
   それほどまでに彼には借りがある。
   
   ラピス曰く、『テンカワアキトとそれほど素質も正確も元々変わらない』らしい。
   彼を変えたのは婚約者の死だったそうで、木星トカゲに対する憎しみで強くなった。
   だがユリに諭されて、憎しみで敵を殺すのではなく、いびつな戦いを止めることを志した。
   火星での木星勢力との接触時に、彼らにはすでに戦意がなかったことを認めると、
   ヤマサキ博士との戦いを連合軍にゆだね、自分は引退することを決意。
   
   その後、都内テレビ局の近場に町食堂『撫子』を建て、芸能活動の傍ら、
   配偶者のユリ、妹のルリ、そして自称後妻のラピスと共に毎日超満員をさばいていった。
   この時からPMCマルスのパイロットたちは店の手伝いをしている。
   
   PMCマルスは完全には解散せず、戦闘業務の傍ら、
   眼上プロデューサーを中心としたアイドルプロダクション『大和』を設立。
   かつての百人のユーチャリススタッフを再度雇い、
   『バトルアイドルプロジェクト』の中核をなすことになった。
   
   このバトルアイドルプロジェクトは、ナデシコクルーも多数参加しているが、
   『戦うアイドル』を標榜している都合上、全てのアイドルがほぼ兼業。
   専業アイドルもいなくはないが、数少ない。
   
   そして二年前、ナデシコAの退役のタイミングで佐世保に戻り、
   町食堂『星天』をテンカワアキトと共同経営する形になった。
   彼自身はここで芸能界を引退したがっていたが、
   ラピスの策略…もとい計画で、佐世保にテレビ局のスタジオ機能の一部が引っ越してきたせいで、
   現在もそれなりにテレビ局に付き合わされている。
   …まあ、好きに生きられない義兄に幸あれって感じね。
   
   ちなみに、私は事情が事情なのでミスマル姓は貰っていない。









元ナデシコクルーについての報告
________________
ミスマルユリ(24)
経歴:育ての親が、実子同然に育てていたが、
   彼女をミスマル提督が発見したことでミスマル家に戻ってくるきっかけとなった。
   彼女はホシノアキトと十代のころに結婚していたそうだが、
   二人の間に何があったのか、詳しく聞いている私でも理解できないことが多い。
   
   しかし、ユリが居たことで『ホシノアキト』という人間の伝説が始まったと言っても過言ではない。
   木星トカゲへの復讐を止めさせ、その後支え続け、ミスマル提督とのコネクションが出来、
   元々のネルガルとのつながりもあって、ナデシコに乗り込むきっかけになったと推測される。
   
   また、彼自身がテンカワユリカが死んだ婚約者に酷似しているため、思い入れがある。
   テンカワアキトを鍛え続けたのも自分の後悔と未練があったため、だとか。

   同年齢、同年代のスタッフが多いはずの、PMCマルスをまとめ上げる、母親的なポジション。
   ホシノアキトの戦闘からの引退後は、ほぼ四六時中一緒にいる。
   護衛の問題もあるので、芸能界への付き添いはラピスと交代制。
   
   ちなみにストックホルムでの誘拐劇の際、ユリが必死でラピスを救出したことで、
   彼女たちの関係は深くなったようで、ラピスはホシノアキト並みにユリに懐いた。
   
   そのほか、彼らの関係は想像以上に特別なものがある。
   








…まあなんというか、もう愛情が『家族愛』を超えてるらしいのよね、ユリとラピスは…。
ホシノアキトたちの関係を作ったものこそが、この戦争の鍵──ボソンジャンプだ。
彼らはボソンジャンプを故意に操作され、『遺跡ユリカ』によってやり直すチャンスを得た。
もし、彼らが積極的に『遺跡ユリカ』に力を借りようとしたら…彼らは無敵になれたに違いない。
鍵を、直接手に入れたに等しいのだから…。
だが、彼らはすでにその鍵を手放してしまっている。
火星でボソンジャンプを封印する契約を結んで、逃げた。

…そしてその鍵は、もう二度と誰の手にも渡らなくなった。
ホシノアキトたちも、何が起こっても使おうとはしないだろう。

そうすることでしか、この戦争に幕を引くことなどできはしない。
レポートにかけっこない、この部分は胸に止めておくしかない…。
そうしなければ…きっと…。


ピロリン…。


私の端末が小さく鳴った。
確認すると、ルリからの連絡だった。
…彼女も、私を放っておいてくれない一人だ。
ルリは「私にもアキト兄さんにもラピスにも似てる」と評して、たまに食事に誘う。
話すことはそれほどないから黙々と食事をして帰るだけのことが多いけど…。
…それでも、私を誘うことを辞めない。
彼女は、私の何を見抜いたんだろう…メールの内容を見てみる…。

『こんばんわ。
 ライザさんが今日も無事みたいで良かったです。
 さつきさんたちから偏食がひどいって聞いてます。
 せっかくたくさん食べれるんですから、色々食べて体を労って下さい』

…余計なお世話よ、と返そうとして…もう一つ浮かんできた言葉に、私は戸惑った。
普通の、カタギの人間でいるような気持ちになってしまう…。
もう、四年以上こんな生活をしてるものね。
まだテツヤのことは思い出すけど。
ことが終わったら…もし、生きていられたら…。

私も、まともに生きていいのかしらね…。















〇神奈川・大磯町・ミナトの家──ミナト

「…ミナトさん」

「九十九さん…」

私と九十九さんは、のんびりと晩酌をして過ごしていた。
何度も目線を合わせては、顔を赤くしている九十九さん…。
付き合い始めて四年、結婚してからもう二年になるのに、うぶなところは全然変わってない…。

九十九さんは、連合軍…ううん『統合軍』に勤めてるから、なかなか戻ってこれないんだけど…。
でも、にぎやかな家族がいるから寂しくはなかった。
久しぶりに帰ってこれて、お互いの顔を見て、こうして一緒に緩やかな、大事な時間を過ごしていた。
まだ時期が時期だから、私達は子供はまだなんだけど…そろそろ欲しいな…。
艦長とユリユリの子供とそう歳の変わらない、かわいい子供が…。


「あ”あ”ーーーーーー疲れたぁーーーーっ!!」


「お邪魔します、ミナトさん」


「おじゃましまーーーーっす」


その直後、聞こえてきた、元気な声に私は玄関に向かった。

「お帰り、ユキナちゃん!
 それにルリルリにラピラピも!
 さ、入って入って!」

三人は居間に入ると、遠慮なくどさっと座り込んだ。
ルリルリもラピラピも、ミスマル提督の家に泊まらない時は私の家に寄ってくれる。
何しろ三人…ううん、四人ユニットだもんね。
今日も大変だったみたい。
…遅れて入って来た、こっそり外を警戒している、枝織ちゃんもいるわね。
いつも通りの四人…実は五人、が来てくれたわ。

「ユキナ、だらしないぞ。
 木連女子たるもの、いついかなる時もおしとやかさをだな…」

「お兄ちゃんだってくたくたじゃない、
 お風呂かごはんか私か聞かれて真っ先にご飯を選んだって感じでしょ?」

「お、お前なぁ…」

…私達はユキナちゃんの発言でぼっと顔が赤くなった。
九十九さんとそういうことは普通にあるんだけど、なかなか会えないのもあって、
二人して期待してたのも実はホントで…。

「でも、ユキナちゃんたちもご飯食べるでしょ。
 ルリルリもラピラピも、いっぱいおかわりしてね」

「それはもちろん!」

「はい、いっぱいいただきます」

「ミナトのごはん美味しいから、楽しみなんだよね」

「外は大丈夫そうだからご相伴に預かるねー♪」

枝織ちゃんも、中にすっと入ってきた。
私は彼女たちが来るって連絡を聞いていたからばっちり準備しといた。
本当にごはんもおかずが足りなくなっちゃうから気を付けないといけないのよね。


・・・・・。
・・・・。
・・・。
・・。
・。


「ほんと憎らしいわよ二人とも。
 私は二人と違ってマシンチャイルドじゃないから摂生しなきゃいけないのに。
 モデルの仕事だって、私は引き立て役なんだから」

「えっへっへー。
 マシンチャイルドになりたいならアイに相談すれば?
 そうじゃなくてもアキトのナノマシン入れればいいんだし」

「…ちょっとマジに考えてる」

「ダメよユキナちゃん。
 ナノマシンの導入は18歳以上からって変わったんだから。
 そもそも、食費が倍増するようなことしちゃダメッ!」

「ミナトさんのいけずー!」

ルリルリとラピラピ、そしてユキナちゃんの三人は、アイドルの仕事をしている。
バトルアイドルプロジェクトの一環で、特に目立っておくべき三人。
でも歌や踊りなどは本人の希望であまりやってないの。
モデルの仕事や、俳優業なんかの方が多くて…。
まあルリルリはなにをやってもルリルリだし、
ユキナちゃんもてんでダメダメ。脚本の方が合わせないといけないくらいひどいの。
ラピラピくらいなのよね、演技うまいの。
でも、ユキナちゃんは高校生やりながらだから二人ほど精力的に活動はしてないのよね。

「あ!そういえばミナトお姉ちゃんとお兄ちゃんが出るドラマって、
 そろそろ放映されるんじゃなかったっけ!?」

「今晩からだけど、登場は三ヶ月先だ。
 …まあ、楽しみに…してほしくないが…」

「ふふっ」

「「「「?」」」」

私達はドラマの内容について詳しく知っているだけに、
身内に見られた時にどうなるかはちょっと不安というか、恥ずかしいのよね。
あれじゃねぇ。私はすごく楽しかったけど♪

「そういえばラズリ。
 あんた、最近大人しくしてるけどなんかあった?」

「あ、うん。
 ちょっとラピスちゃんがやることあるから休んでたの」

「そんなに気にしないで、ユキナ。
 ちょっと計画の準備が立て込んでるから、私の時間が多いだけだから」

…ラズリ、と呼ばれたラピスちゃんの髪の色と瞳の色が、一瞬黒く切り替わった。
ミスマル・ラピス・ラズリ…呼ばれるときはラピス、と呼ばれるけど…。
…未来の艦長、『テンカワユリカ』の人格を内包しているラピスちゃん。
あの救出作戦以降、二人の性格が頻繁に切り替わることが増えてしまい、
二重人格ということはすぐに広まってしまっていた。
ホシノアキト君とユリユリみたいに人格的な融合が不可能だったと判明したため、これは防ぎようがなかった。

そこで、ホシノアキト君とユリユリのように、きっぱり分けてしまう方法をとることにしたの。

テスト用の『マシンチャイルド状態か判別するための』ナノマシンを入れ、
その切り替えを自発的にできるように調整し、それを人格の切り替わり時に色を切り替えることにしたらしい。
見た目で分かりやすくなるっていう利点のためだけじゃなく、
色が変わるだけでも『テンカワユリカ』の人格の精神的な安心感が得られるという点もあったとかで…。

…で、人格が切り替わった時も『ラピス』と呼ぶのは、別人格なのに分かりづらい。
そこでラピスちゃんが、

「だったら、私の名前半分こしようよ。
 私が『ラピス』で、ユリカが『ラズリ』。
 二人で一人なんだから、それだけでいいじゃない」

……とばっさり一言で決着が付いた。

その後、ラピラピちゃんの提案で、
ルリルリ、ラピラピ、ラズラズ、ユキナちゃんの四人のアイドルユニット、
『Jewelry Princesses』が結成されたの。
ダイヤモンドプリンセスという名前がすでにあったけど、
ダイヤモンドというよりは宝石でそろえるべき、という話になった。
その時に、ユキナちゃんをルリルリが誘ってくれたんだけど、
ユキナちゃんは珍しくちょっと怖気づいて、

「わ、私宝石って感じじゃないでしょ?」

って言ってたんだけど、

「雪の結晶は"Crystal of snow"って言いますからオッケーです」

ってこれまたルリルリがバッサリ。
…ちなみにアイちゃんも希望してたんだけど、

「どこで解説が入るか分からない人とアイドル組みたくないです」

と、ルリルリが言うと、しゅんとして帰っていった。
そんなこんなでこのアイドルユニットは結成されたけど、
主な目的が「ホシノアキト君の芸能活動の負担を減らす」で、
バトルアイドルプロジェクトの中核とまでは行かないらしいんだけど…。
…そもそも、ルリルリとラピラピ、ラズラズは週の四日は佐世保にいるし、
東京都で活動してる間は、私達の家かミスマル提督の家に泊まってるみたいだから、
アイドルとしてはどっちつかずな感じなのよね…。

















〇東京都・池袋・アイドルプロダクション『大和』合宿所──ライザ
またお腹減っちゃったわ…ピザでも頼もうかしらね。
続いて、ルリとラピスの事…。



元ナデシコクルーについての報告
________________
ミスマル・ルリ(16)
経歴:ネルガルの研究所の職員であるホシノ夫妻に引き取られた養子。
   しかしその実態は、ネルガルの遺伝子研究、IFS強化体質の実験台として育てられた、
   ピースランドのプレミア国王とイセリナ王妃の人工授精の受精卵から生まれた子供だった。
   育成後、ナデシコのオペレーターとして利用されることが決定していたようだが、
   子供を戦艦に乗せるという非道を批難される危険を冒してまでそうした理由は未だ謎のまま。
   なにか重要なプロジェクトがあったのかもしれないが、
   ネルガルから退社している今となっては謎のままだ。
   
   しかしそんな彼女が連合軍に籍を置いていることに、何かの目論みがあるのかもしれない。
   
   ピースランドでの『世紀末の魔術師』事件以降、
   ミスマル家に養子にとられるが、ピースランドとの縁も全く切れていない。
   そのため、彼女を殺すということはピースランドをも敵に回すことを意味する。
   一説には、あの『世紀末の魔術師』事件はリアルファイトだったといわれるが、
   それが事実かどうかは彼らしか知らない。

   四年前に私と入れ替わりでナデシコから降りた後、
   都内テレビ局近くに作られたホシノアキトの店『星空』で働く傍ら、
   アイドルユニット『Jewelry Princesses』でアイドル活動を始めることになる。
   彼女たちは基本的に歌の活動をしないので、人気の割にアイドルとしては中堅程度の実力と言われている。
   モデル、俳優の仕事が多く、音楽活動がほぼゼロ。
   そんな中、どうしてもと頼まれて『一枚だけ』という約束で作られたアルバム、
   『電子の妖精』は超絶ヒットを飛ばした。
   でもライブはしたことがない。
   暗殺の危険が常に付きまとう都合上、大勢の人の前に出るのは危険と判断されたらしい。
   
   そして現在、アイドル活動は高校生のユキナに合わせる形で週に二日か三日だけ行っている。
   週四日は佐世保で町食堂『星天』で働くか、休日を過ごしている。
   これからの彼女の事は私も聞かされては居ないが…。
   将来的にどのようなことをするのか、まだ不明だ。










元ナデシコクルーについての報告
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ミスマル・ラピス・ラズリ(17)
経歴:ネルガルの研究所の中に秘匿されていた少女だが、
   ナデシコやユーチャリスのオペレーターとしての実績以上に、
   ホシノアキトの専属マネージャーとしての働きが大きい。
   地球圏に十億人ものホシノアキトファンクラブを抱えているという噂もあるが、
   彼女がいることによって、ホシノアキトの芸能活動のトラブルがだいぶ軽減されている。
   ちなみに、彼女とホシノアキトはテレパシーがつかえるという噂があるが、これは事実。
   ただし、地球と月程度離れてしまうと音信不通になってしまうらしい。
   
   そして彼女はPMCマルスの中心人物の一人でもある。
   
   ホシノアキトとユリを欠いたユーチャリスを、ハーリーとともに支え続けた。
   ラピスがユーチャリスを事実上まとめ上げていたと言っても過言ではない。
   
   テロリストのウイルス送付事件、
   ストックホルムでの誘拐監禁事件では奇跡的な生還を果たした。
   
   そして彼女にはもう一つの人格、『ラズリ』が存在する。
   彼女はラピスほど突き抜けた性格はしていない上に、ひそかにドジだ。
   明るさと元気さでは並んでいるが、急に遠慮がちになることがある。
   だが、連合軍の戦術シミュレーターにおいて無敗のテンカワユリカに勝利したことがあるという。
   …とにかく、ラピスもラズリも要注意人物だ。
   
   PMCマルス、アイドルプロダクション『大和』、自分自身のアイドル活動、
   そして佐世保の町食堂『星天』での労働もしている…。
   ……若いとはいえ過労で倒れないのが不思議なくらいだ。
   基本的にはホシノアキト達と居るか、ルリと行動を共にしている。
   
   彼女も連合軍に籍を置いている。
   ルリともども年齢的にまた戦艦のオペレーターとして復帰する可能性があるということだろうか?
   …彼女たちのことは、家族になった今でさえも読めない。
   
   そして彼女はホシノアキトの取り合いを、まだあきらめてないというのがもっぱらの噂らしい。
   本人も堂々とそれは公言しているので、もう一波乱ありそうだ。








元ナデシコクルーについての報告
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ハルカ・ミナト(27)
経歴:大学卒業後、社長秘書を経て、ナデシコの操舵手になった。
   彼女の操船技術があることでナデシコはかなりの危機を脱したと言われている。
   ブラックホール弾を繰り出すナナフシの一撃を完全回避したのは記憶に新しい。
   
   二年前にナデシコAが退役したのと同時に、白鳥九十九と結婚。
   ちなみに、式はピースランドで、ホシノアキト達が結婚する一日前に、行っていたらしい。
   白鳥九十九、白鳥ユキナの三人暮らしだが、火星を取り戻したあとに、
   『統合軍』が発足することになり、この一年ほどは会えない生活が続いていた。
   現在は私立高校で非常勤講師しつつ、バトルアイドルプロジェクトに参加。
   先生の癖に俳優業をかじっているためか、ルリとラピスと仲が良く、ナデシコに乗ってたことから、
   生徒からの絶大な人気を持っているらしい。
   
   派手そうな見た目の割に、ナデシコの中ではかなり常識人よりだった。








「……まあ、知られて困らない範囲だとこんなもんかしらね」

私はレポートの添削を行って、一息ついた。
気が向いた時にしたためる程度だから、かなりのんびり書いてるものだけど…。
…この数年のことだし、まだまだ分量があるから徹夜仕事になるかもしれないわね…。
明日はオフだし、構わないでしょ…。
それにしても…。

「……しかしまあ、
 人間ってこうも変わるものかしらね」

私はコルクボードにピンで飾ってある、今の『家族』の写真を見た。
私は彼らに、返しきれないほどの借りがある。
何度も傷つけようと、卑劣な手で、心を踏みにじってきたのに…。
今だって、このまま裏切らないとは言い切れないのに、信じてくれている…。

…私には帰る場所が無かった。
テツヤとの関係も極めて不安定で…。
ただ、与えられたセーフハウスの中で待ち、
時に訓練を受け、仕事をさせられるだけの人生で。

そこには安心感というものは皆無で、彼の胸の中だけが私の安息の場だった。

……そんな私が、彼らの屈託のない笑顔に、負い目のない愛情にほだされるなんて。
こんな風に、写真を飾ってみたくなるような生き方を選ぶなんて、思いもしなかった。

彼らに、借りを返すとしたら……。
……その先を考えるのは、今はやめよう。
そうしなければいけない時が、来るかも知れないけど…。
いえ、きっと来るけど、今は…。

…一人で居たいのは、私の部屋にみんなを入れたくないのはこの写真を見られたくないから。
笑われたり、からかわれるのが嫌だからじゃない。

…この私を知られてしまったら、これ以上想われてしまったら。
いざって時に、勇気が出せなくなるもの…。

……。
私は考え事をしてしまったせいで、伸び切ってぬるくなってしまったカップ麺を適当にかっこむと、
物足りなさを覚えてしまっていることに気付いて苦笑した。
空腹を満たすためだけだった食事が、心を満たす大事なものになってしまって…。

……恨むわよ、ホント。




























〇作者あとがき
どうもこんばんわ、武説草です。
ついに劇ナデ時空に入りました、ナデD。
連載丸二年かかってようやくです。いやぁ、長かったぁ…。
そしていろいろと彼らの事情が変化しつつ、わりと史実通りに生きてる人も多いなんて状況説明です。
ここまで戦ってた彼らがほぼ引退状態で五年を過ごしているということですね。
ちょっと『ラピスの中のユリカ』とか『未来のユリカ』と呼ぶのもめんどくさい、
ラピスという風に呼ぶのもややこしいので「あ、ラピスも普段自分で使ってないラズリって名前があるじゃん」って、
思いついて設定に押し込んでみました。結構便利ですね。
各々結構幸せにこの数年生きてますが、自分たちの身と立場を守るための、
『バトルアイドルプロジェクト』が生活でつねにちらつくような仕様になってるのでした。
もはや『ナデシコクルー&PMCマルススタッフ、ホシノアキト化計画』とも。

そして『熱血ロボット大戦』はもちろんスパロボです。
現実にこういうことあったら嫌かもな~とおもいつつ、ここまでのことになるとあるだろうな~と書いてました。
で、第四次のめっちゃ強いダンバイン系をイメージしつつ、初心者救済向けの激強化機体扱いと。
相変わらず暗躍するアクア。
もともと外伝の『黒龍伝説』自体がOVAダンバイン的に設定を作ったので、
ブローディアに対する龍王騎士は、ポジションがダンバインに対するサーバインですw
そのせいでナデD版ブローディアが黒でなくてダンバインっぽい色になったりとかもありましたけどw

そして木星に向かうルートの主役が夏樹だと判明して、
地球に残る主役になるのはライザ、というのが明らかになる回でした。
まさかまさかの『マシンチャイルド化』『ホシノ家入り』を果たしてしまいました。
クリムゾン率いる、敵対連合との戦い、テツヤとの戦いの要になれるかぁ!?

敵だって手をこまねいてはいないぞ!

ってなわけで次回へ~~~~~~~~!!











〇代理人様への返信
>うーむ、まさか夏樹がここまでの重要キャラになるとはこのリハクの目をもってしても(ry
>いやほんと、ただの毛の生えたモブだと思ってたのにw

ぶっちゃけラピスを救う作戦だけで十話近く使ってしまったので、
目立たない状態で放っとくしかなかったんでその印象が順当ですね(爆
アキトくんが、たぶんどこのナデシコ二次創作、三次創作でも、
滅多に見れないくらいピッカピカに漂白されてしまってるので、
最後の罪を清算するためにアキトの因子をラピスが動くというのは結構前から決定していたんですが、
ここをつながるようにするキャラをどうするかを考えたら、
ナデD内ではヤマサキと運命を共にしたいキャラである夏樹しかいないだろうと。
アキトが完全に戦いから降りられるようにするためにもラピスは率先して行動するだろうと。





















~次回予告~
メグミです。
ついにランキングトップを奪取!
トップアイドル街道を突っ走ってます!
私達だけじゃなくてナデシコ発、PMCマルス発のアイドルがランキングを席捲しちゃってるの。
そろそろ終戦も間近だし、世の中戦争が嫌いになってきてるし、いいよね!
戦争なんてもう二度と起こらなければいいのに!

鬼滅の刃を見ようと思って時間が経ってるなーな作者が贈る、
流行りに乗るのが苦手だけど、作中で流行りが主軸になっている系ナデシコ二次創作、







『機動戦艦ナデシコD』
第八十一話:Decode-解読する-ライザレポートⅡ・後編











をみんなで見ようよ!

































感想代理人プロフィール

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代理人の感想
あーほんとだ、いつの間にか二年経ってたのかw
二周年おめでとう御座いますw

そして熱血スーパーロボット大戦ワロス。
男の子の夢やなあw


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