〇地球・東京都・ミスマル邸──ミスマル提督

「ぅぅ…あ、あの日…私も一緒に診察行こうってさそったけど、
 危ないから一人ずつ行こうって断られちゃって…それでユリちゃんが…。
 無理にでも一緒に行けばよかったよぅ…ぐず…ぅぇぇ…」

「ユリカ…お前のせいじゃないって…。
 ユリさんだって本当は離れたくなかったんだろうから、な?」

…ユリカが縁側でうつむいる。
テンカワ君が隣で慰めているが、それでも押し殺したような嗚咽が聞こえる…。
私は二人を遠目に見ていたが、思わず深いため息を吐いてしまった。

…こんな状況では仕方がない。
私とて泣きたい気持ちは同じだ。
日中ずっと眉間にシワが寄ったままで、もはや仕事も手につかん。
ユリとホシノ君が居なくなってから、すでに二ヶ月近く経過している…。

二人の生存は状況から見れば絶望的だが…。
ユリが死亡した可能性が高いという報告が入った頃、
ラズリとラピスとルリ君からレーザー通信が来て、私達を励ましてくれた時に言っていた言葉…。

『どんなことになっても、どんな結末になってもおかしくない状況だけど、
 私とルリが戻るまではアキトとユリの生存を信じてあげて。
 根拠はないけど、二人が生きてるって今も信じてる。
 もしそのころになっても帰ってこなかったら、一回諦めようよ。
 
 …お父様、それまでテンカワとユリカのことを守ってあげてね』

私はその言葉に強く頷いた。
娘たちが信じているというのに、私が信じない訳にもいかないだろう。
辛い気持ちはみんな一緒だ。二人が生きているのを信じるしかない。
…だが、歯がゆいな。
何もできずに信じることしかできないというのは。
二人が生きているとしても、私達に言わないで居なくなったというのはどうしても気になる。
何かしらの考えがあってのことかもしれないが、ラピスの様子からは分からなかった。
ホシノ君のためにラピスが何か企てていたというのは事実のようだが、
あの様子だと企てが失敗している可能性も高い。

…いや、考えまい。
ホシノ君はどんなことになっても帰ってくると約束してくれたのだから。
きっとユリを連れて帰ってきてくれるに違いない。
そして……最期まで信じよう。

二人の、生存を…!










『機動戦艦ナデシコD』
第八十九話:die-hard&die-hard -頑強な抵抗者と頑固な保守主義者-その7










〇地球・東京都・『大和』合宿所・会議室──青葉
私達は全員で会議室に集まって話し合っていた。
ライザと、チハヤ、イツキさんとアサミちゃんをのぞく、ツインツイスター全員…。
つまりはPMCマルス初期メンバーの12人…の、さつきとレオナをのぞいた全員。
あ、新人練習生のメイと文も外れてるわね。
ライザさんは仲間外れにしたくはなかったんだけど、重子がどうしてもはずして欲しいって言って…。

…ここまでのことで、どうしても秘密裏に話し合う必要があった。

このところ、世間ではアキト様を再評価する動きと同時に、メディア主導の戦争再開の動きが強くなっている。
戦争反対の立場だったアキト様を利用して、木連との対立を煽ろうとしている…。

まだ一般市民は呼応している状態ではないけど、結構危ない状態になってる。
この戦争の象徴とも呼ぶべきアキト様を失って、精神的支柱を失った市民、政治家、そのほか問わず、
かなりの不安に襲われてて…ヤマサキ博士とアイアンリザードを止められたとしても、収まるか分からない。
例のアギトが、ヤマサキ博士や木連からの刺客だったという無理筋を飲み込んでる人も少なくない…。

私達はイツキさんたちに押される形で、それに対抗するためのアイドル活動を再開したので…。
反戦を促すアイドル活動を心がけて動いていた。
でもあまりに表立った動きを見せると危ないので、あくまでアイドル活動の範疇で、歌で伝えていった。
本当はデモだとか政治的な活動をしないと、戦争再開へのカウンターとしては不十分なんだけど…。
頼れる護衛も、もう居ないから表立ってそういう行動はとれない。

北斗も北辰さんも、死亡してるかもしれない状態で、枝織さんもルリちゃんとラピスちゃんについてって居ない。
残るテンカワ君と、ナオさんも、ユリカさんとミスマル提督の護衛で居なくなってる。
一応、私達の護衛はアカツキさんからの応援で、
ネルガルのシークレットサービスも来てくれてるけど、状況は決して良くなかった。
戦闘訓練を少しは出来てるPMCマルスの保安部も私しか生き残らなかったし、
連合軍の訓練を受けてるから心得のあるジュンさんとイツキさんもいるけど、
プロの殺し屋が来たらどうなっちゃうのか分からない状態で…。
しかも、護衛対象の私達はやたら人数が居る。

ゴールドセインツ&ツインツイスターの13人、
メグミさんとホウメイガールズの合体ユニットの『食の恵』は6人、
そしてアキト様を欠いた『Peace Walkers』は4人。

サイボーグのカエンさんが居るとは言っても、彼も戦闘はプロとは言い難いらしい。
能力を使った戦闘を前提に訓練されているため、多数の相手や銃器を持った相手との戦闘は不慣れだとかで…。
身体の八割が機械のDさんが居てかろうじて戦える状態だったのに、Dさんは三年前に亡くなっててもう居ないし。
カエンさんは体の三割が機械なので、どうしても接近戦以外には弱いんだって…。
参ったわね。本当に。

「…それで、一応みんなに聞いときたいんだけど…。
 こういう事態になった時、受け取ってもいいと言われていた…。
 アキト様とラピスちゃんからの『プレゼント』は受け取るつもりない、でいいのよね?
 遠慮しないで忌憚なく意見が欲しいんだけど」

「そりゃ…」

「欲しいは欲しいけど…」

「アキト様が死んだって、受け入れることになるんだよね…」

重子がついに私達に問いかけた。
すると全員が顔を見合わせて小さくため息を吐いた。
そう、私達にはアキト様とラピスちゃんに託された『プレゼント』がある…。
私達にとってこれ以上ない、でも受け取るのを躊躇うプレゼントを。
アキト様とユリさんが死ぬようなことがあったら、受け取りに行ってもいいと言われてる。
もし将来取り返しがつかないような世の中になった時に遺す、最後の希望…。
奇跡を起こせるかもしれない、私達の希望そのものだった。

ただし、できれば半年ほど待って欲しいとも言われている。
どうしても我慢できなかったら、受け取ってもいいと付け加えてた。
私達が自発的に受け取りに行けないようなプレゼントだけに、その言葉は重くのしかかっていた。

これを受け入れると言うことはアキト様とユリさんの生存を信じないということだから…。

…それだけはできない、信じない選択はとれない。

「焦ってうっかり受け取ってたら、アキト様が生きてたら嫌われるわよね…」

「…嫌うってことはないでしょうけど、縁は切ることになるでしょうね。
 そこまでの覚悟、ないわよ…」

…全員、そう思ってたみたい。
そりゃそうよね…。

「それで、重子──。
 …あんた、やっぱチハヤは黒だと思う?」

私は耐えきれず、重子に話を振った。
眼上さんが新メンバーとして入れた以上、それほど危険だとは思いたくなかったけど…。
この合宿所にいるメンバーの中で唯一、部屋に籠ってる事が多いのも気になる。
普通の職場だったら気にしないところだけど、
息を合わせる必要のあるアイドルではもう少し仲良くなっといた方がいい。
それなのに、一人でいる時間が多すぎる。
遊びに行くでもなく、かといってゲームやパソコンをしている様子も、テレビや映画に浸ってる様子もない。
ということは…。

「…まだ読めないわ。
 やっぱり占い力が弱ってるみたいで…。
 いえ…ちょっと違うわね。

 チハヤを占って分かったの。
 私の占いの力は弱ってなかった。
 
 でも運命の方がいまだかつてないほど入り組んでいるから、
 アキト達のことはもう読めない。
 なにか…占いがダブっているような、見える像がぼやけているような見え方しかしないの。
 だからはっきりと読めないんだと思うの。
 
 それと、チハヤの事だけど…この際だからハッキリ言っておくと…。
 
 彼女は黒。
 
 だけど、まだ彼女は悩んでる。
 
 自分のやり方に戸惑っていて、
 目的にたどり着けるかどうかわからなくて、揺れてるのよ。
 もしかしたらこっちに寝返ってくれるかもしれない」


「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」


重子の爆弾発言に、私達は激震した。
チハヤが黒…敵だってことでしょ!?
それじゃ、放っておくこと自体が危険じゃない?!

「かもしれないって…そんな爆弾抱えていられる状況じゃないでしょ!?
 追い出すなりなんなりしなきゃ…」

「そうよ!
 アキト様とユリさんの件にも関わってるんじゃないの!?」

「それはなかったわ。
 かなりきっぱり出てきた。アキト様たちの事件には関わってない。
 
 そもそもだけどチハヤがユニット加入時に占って、危ないことは分かってた。
 でも、直接的に私達を危険に陥れるような運命は全くなかった。
 
 一応チハヤの端末にはラピスちゃん特製のアプリが入ってるでしょ?
 連絡してる内容は私がマークしてるから、動きは逐一把握できてる。
 
 …まあ、とんでもない人と付き合いがあるのも事実なんだけど。
 まさかのあの人。
 しかも異母兄妹らしいのよ」

重子が伝えた人物の名前はとびっきりの極悪の、最悪最低のあの人だった。
ラピスちゃんの一件にも絡んでて、ライザさんにも関係のある、あの人…。

「じゃあ、早く動かないと危ないんじゃないの?」

「いえ、彼女の存在が私達を救うかもしれないっていうのもあるの。
 今は様子を見させて。
 …それにうかつにチハヤを問い詰めれば、彼が動く時期が分からないようになるわよ。
 
 …身動きが取れない状態なのに、これ以上不利になることはできないわ。

 今はチハヤ自身が貴重な情報源なの。
 逆転の目を引くにはチハヤの端末の情報が不可欠になる。
 もっとも、逆手にとられて追い詰められるかもしれないけどね」

「…そういえばだけど、メイと文の事はどうなのよ。
 あの子たち、アキト様が飛び立ったころにアリーナから居なくなったそうじゃない」

「気分が悪かったから医務室に行ってただけよ。
 本人も言ってたでしょ?
 ちゃんと医務室の人にも確認を取ったわ。
 ネルガル系のスタッフだったから嘘は言わないはず。
 
 …それにアキト様の一件で、あの子たちも私達も寝込んで三日は戻れなかったでしょうが。
 そのほか経歴も占い結果も真っ白。
 私達に協力してくれる仲間だと思って大丈夫よ」

「そっか…」

でもあの二人も…ちょっと経緯が読めないのよね。
実力はさつきとレオナに見劣りしないんだけど。
…ま、重子の占いで判定して、眼上さんがスカウトした子ならそんなに警戒しなくても大丈夫よね…。

「アキト様とユリさんの生存に関わる情報は得られないのが辛いのはあるけど、意見は一致したわ。
 まずは、一番危険なチハヤ、そしてライザさんをしっかり見てあげること。
 …みんな忘れがちだけど、ライザさんは戸籍上はアキト様の妹扱いなんだから、
 敵から狙われるかもしれないんだから、ちゃんと守ってあげないといけないわよ」

…そういえばそうだったわね。












〇地球・東京都・『大和』合宿所・会議室──チハヤ
私はアイツと端末でやり取りをしていた。
今端末で開いてるのは特別性の、独自のネットワークを使って通信する秘匿性の高い通信方法のアプリ。
焦って連絡を取ろうとしたのは、あれから全く音沙汰がないから。
ホシノアキトが死んでから二ヶ月以上経過しているにも関わらず、アイツは連絡を寄越さない。
時期が来たらライザを連れてくるように指示すると言って、それからずっとだもの。
明らかにすべてが終わってる状態にも関わらず…。
でもアイツは暇みたいで、すぐに連絡を返してきてくれた。

『…もう大丈夫じゃないの?
 ホシノアキトもホシノユリも死んだし、世間も失望に落ち込んでて…。
 だったらもうアンタがこだわるような状況じゃないでしょ。
 まさか、命でも惜しくなったの?』

『そんなだからお前は三流以下なんだよ』

返された短文に、私はムッとした。
理由もちゃんと書いてほしいわよ、全く。
と思ったらすぐに続きが送られてきた。

『ホシノアキトは間違いなく生存している。
 ミスマルユリの方は確信は持てないが生存している可能性が高い。
 
 状況が不自然すぎるんだよ。
 
 ホシノアキトの死体どころかブローディアの機体の一部も発見できてない。
 敵が持ち去った可能性はあるが、例のボソンジャンプでもないかぎり完全には無理だ。
 
 だが一番妙なのは、背後組織が居るとしても、
 あのクローンが相討ち覚悟でホシノアキトを殺すことにメリットがないってところだ。
 
 量産が出来ないなら、失うリスクを負ってまで無理にけしかける必要は無い。
 何かしらの理由で後がないにしても、
 貴重な成功サンプルを失うかもしれないのに、無理にホシノアキトを殺す必然性がない。
 
 もし本当に後がないなら、
 アギトを、反ホシノアキト勢力に売り込んで、量産をするはずだろうが。
 だがあれから二ヶ月経った今でさえも、どこの勢力からも資金が流出した様子がない。
 アギトの背後組織は、どの勢力にも協力を仰いでなかったと言うことだ。
  
 そして背後組織の存在がいまだ明らかになってない。
 未だにまったく尻尾をつかませないままだ』

『…それじゃ、ホシノアキト側の演技だって言うの?』

『断言できる要素はねぇが、その可能性が一番高い。
 もっともホシノアキト側の資金も流れてないから、こっちも断言できねぇがな。
 
 だが、生死不明の状況になって一番助かるのがホシノアキトだというのも事実だ。
 
 そして、もしそのホシノアキトが生きているとしたら…?』

『ミスマルユリの方も生存してる可能性もある、ってこと?』

『ああ。
 間違いなく死亡している状況が転がってようが、
 最初から仕組まれていたとすれば話は早い。
 仮に本当にミスマルユリが暗殺されかかっていたとしても、
 ホシノアキトが助けられる状態にあるとしたら…。

 単純すぎる推測だが、それを裏付ける状況証拠が多すぎる。
 奴らはシンプルに俺たちを欺きに来てやがるんだよ。

 どんな企みも、不確定要素が多すぎる計画は絶対に破綻する。
 どれだけ緻密だったとしてもな。
 
 確定要素を積むくらいなら、シンプルに組む方が成功率は高い。
 リスケもしやすいし、予想も立てやすい。
 
 もしこれが最初から仕組まれたことだとしたら、
 やっぱりアイツは稀代のペテン師だぜ』

ああ、やっぱりあの記事書いたのはアイツだったわけね…そんな気はしてたけど。
納得はしたけど、本当にそうかしら…。
それこそ不確定要素の塊のような推測に思えるけど。
と、私が返信しようとしたところでアプリが消えた。
私の端末の半径五メートル以上に誰かが来た時、このアプリは自動でシャットダウンされる。
アイツとのやり取りを対人の距離を測定するセンサーが入っている他は、普通の端末だけど…。

「…チハヤ?
 ちょっといいかしら」

「…ライザ?」

ノックの音もさせずに、ドア越しにライザが話しかけて来て、私は慌てて端末をしまった。
通話していたわけじゃないから気づかれてないはずだけど…。

「なんの、用?」

「リーダーとして個人面談して回ってるの。
 これからユニットのイベント参加の事もあるし、方針を考えようと思って。
 開けてくれる?」

「え、ええ」

ライザを部屋に入れるしかない状況だと気づいて、私はライザを招き入れた。
脅かさないでよね…私は顔に出る方だから気をつけないと。


・・・・・。
・・・・。
・・・。
・・。
・。


それから私とライザは、他愛ない個人面談を行った。
アイドル活動について嫌々やってると勘付かれるわけにもいかないけど、
どうしても消極的な答えしか出てこない。
…はあ、無理に入るんじゃなかったかしらね。
ライザはメモを取りながら私に話しかけていたけど、はぁとため息を吐いた。
面談はこれで終わりみたいね。

「じゃ、最後に質問。

 …テツヤは元気?」

「!?」

私は不意をついて聞かれたことに、大きく肩を震わせて驚いてしまった。
勘付かれるわけがない、気づかれるわけがないと高を括っていたのが仇になった。
ライザは私の反応を見て、再びため息を吐いた。

「…まったく、バレバレなのよ」

「う、動かないでっ!」

私は机の下に隠していた拳銃を手に取って、ライザに突き付けた。
私がアイツの…テツヤの妹であることに気付かれてはいないにしても、
テツヤの送り込んだスパイだと気づかれてしまっている。
このままライザを外にだしたら、私は…!

「…そんなもんじゃ私は殺せないわよ?」

「えっ!?」

「このカッコ見て気付かなかったの?
 私の身体には、アキトと同じナノマシンが入ってるのよ。
 銃弾の一発や二発じゃ、死ねない身体なんだから、
 マシンガンくらいは持ってきてほしかったわね。
 もっとも…」

ライザはすっと立ち上がると私の拳銃を取り上げた。
弾倉を外して、スライドを引いて、チャンバーに何も入っていないのを確認した。

「拳銃を向ける前にセーフティも外してない、装弾もしてない。
 こんなじゃ人を殺したこともなさそうじゃない…0点ね」

「う、ううっ…」

ライザににらまれて、私は情けなくて涙がこぼれた。
テツヤにたどり着けもしないで、こんな形でボロを出して終わりなんて…。
スパイとして殺されるにしろ、逮捕されるにしろ、もう私にはチャンスがない…。

「あなたテツヤに似てなくて、マヌケで泣き虫なのね」

「ほ、ほっといてよっ!」

「…まあ、いいわ。
 安心して、殺したり通報したりしないから。
 私も同じ穴の狢だし」

「…え?」

ライザは少し困ったように笑いながらもう一度座り直した。
さっきの言いようだと、私の事をテツヤの妹とすら見抜いてそうだけど…。
弾倉の弾丸を一個一個手で取り出しながら、私を見た。

「私の事を探りにきたんでしょ?
 テツヤに言われて…。
 私が、ラピス誘拐事件の時に死んだはずのライザかどうかを確認しに来たんでしょ?
 私の両親が急に訪ねてきた時点で、気づいてたわよ」

「あ…うう…」

「あなたの身の上も聞きたいけど…。
 とりあえず私のことから話していいかしら。
 …あと、一応端末の電源は切っといてくれる?
 テツヤもさすがに四六時中聞いちゃいないだろうけど、
 今知られるわけにはいかないから」

…結局、私に話したら同じことだと思うけど。
私がテツヤに話したら意味ないじゃない。
でも、私は生殺与奪権をライザに握られているから、従うしかない。
私あh狼狽えながら、頷くしかなかった。


・・・・・。
・・・・。
・・・。
・・。
・。


私はそれから一時間ほどかけて、ライザに起こった出来事を聞かされた。
ラピス誘拐事件の時、テツヤに見捨てられた後、
アオイジュンに説得されて、テツヤを裏切った…?
しかもそれで身柄を保護されるついでに、準マシンチャイルドとなってホシノ家に入って身元を隠し、
それでナデシコのオペレータを交代してたって…。
あ、頭痛くなってくるわ…一部は世間にも広まってるけど、詳しく聞いても理解できないわ…。
どうしたら敵をそんな風に優遇できるわけ…。

「そんなわけでそこそこ大切にされちゃって…。
 下手に脅されるより離れづらくなっちゃってて…」

「…元殺し屋がそんな顔して、
 そんな人生を送って許されると思ってんの?」

私はライザの自慢話のような長話に飽き飽きしてきていた。
いい加減黙って聞いてるのも嫌になって、
ライザの出自…テツヤに殺し屋に仕立てられたことを突いた。
ライザは少しだけ黙り込んだけど、すぐに私の目を見て話し始めた。

「…許されると思ってないわ。
 遅かれ早かれ、あなたが私を殺さなかったとしても、
 結局どこかで帳尻を合わせて死ぬことになると思う。
 
 だけど、だからこそ…命の使い方は選ぼうと思ってる。
 
 罪深い私を、助けようとしてくれたあの人たちのために…。
 人並みの生活も、人間関係も、恋だって…ちょっとくらいはできたもの…。
 私がここにいることだって、本来許されない。
 …分かってるわ」

「そりゃそうよね。
 あんたを匿ってる事自体が、でっかい爆弾を抱えてるようなものだもの。
 テツヤはあんたを直接殺さなくたって目的が果たせるはずなのよ。

 あんたが元殺し屋だって暴くことだって出来る。

 そうすればホシノアキトにだって大打撃を与えられたはずなのに。
 …なのに、私になんて言ったと思う?
 ライザが本人か確認して、時期が来たら連れて来いって言ったのよ、あいつ」

「…でもあの人らしくないわね、回りくどい手を使うなんて。
 さっさとそうしないんだから、何か別の思惑があると思わない?」

「知らないわ、そんなこと」

私も少しだけ疑問に思ってたことだけど…。
そう、テツヤが…あのクソ野郎が私に命を差し出すと言ってまで提示した条件…。
それはライザが本人か確認し、テツヤの下に連れてくるという条件だった。
裏切者を始末するためには大げさだし、自分の下に連れて来て再度部下にするというのには妙な状況…。
どうしてそんなことをするのか、全く分からなかった。
なんでわざわざライザを連れてくる必要があるのかしら。

…まさか、ホシノアキトをおびき寄せるため?
それこそないわよ、いくらあの英雄がお人よしだったとしても。
そもそも死んでるかもしれない状態になっても続ける意味はないと思うけど。

「…ま、いいわ。
 チハヤ、個人面談は終わり。 
 だけど拳銃は没収させてもらうわ。
 どうせ大した武器を持ち込んではいないでしょ?
 テツヤは最低限しか荷物を持たせてくれないんだから」

「…いいの?」

「いいもなにも、あなただってテツヤに遭うまでは死ねないんでしょう。
 それに私達に危害を加えるつもりもなさそうだし。
 今まで通り一緒にアイドル頑張って待ってればいいじゃない。
 私だってテツヤには文句の一つも言いに行きたいと思ってるし、付き合うわよ。
 
 …どんな結果になっても、私はアキト達の代わりに見に行く義務があるわ。
 
 だからチハヤ、私と手を組んでくれる?」

「…選択権なんてないじゃない」

「断ってもいいわよ?
 ずぅっとアイドルしててもだぁれも責めないもの。
 でもその代わりテツヤとも手を切ってくれないと困るけどね。
 …それにあなた、テツヤに使われるけど、惚れちゃいないみたいだし」

「だ、誰がッ!?
 あ、あんな最低な…」

「じゃ、顔立ちが似てるから兄妹かしら?」

「…」

私はうつむいて答えることが出来なかった。
これが肯定になってしまうのは分かっていたけど、何も言いたくなかった。
やることなすこと、最低最悪のアイツとのことを話すなんて…。
でも…。

「…手を貸しなさいよ、ライザ。
 私は…どうしてもアイツを…。
 
 あのテツヤを殺したいの…。
 
 あんたと同じ、最低の人殺しになってでも。
 そうしなきゃ私の人生は始まらないの…。
 …私はあの日から死んだままなのよぅ…」

ライザは私の言葉を聞いても、何も言わなかった。
ただ、聞いてくれている…憐れんでもいない、止めるでもない。

「…テツヤに会えたら、私はあいつを殺すつもりでいる。
 それでもあんたは手を貸してくれるの…?」

「…ええ、いいわよ。
 テツヤを殺す前に、少し話す時間をくれれば」

「…それだけ?」

「何?仕返しでもしに行くと思ったの?」

「…そうじゃないの?」

ライザは…自分と唯一つながりのある、テツヤを自分の手で殺したいと考えても不思議じゃない。
…でも、考えてみればそう考えていたらさっきみたいな会話はしないわね。

「あなたが命懸けでしようとしてる復讐を邪魔したら、後ろから撃たれそうじゃない。
 …付き合うわよ、チハヤ。
 
 あ、ついでにもう一つだけ、条件いいかしら。

 …このことは私達だけの約束にしといてくれる?
 ゴールドセインツの…ううん、ここにいるみんなは巻き込みたくないの…。
 みんなのことは、そんなに嫌いじゃないから…。
 だから…」

「…はぁ、元殺し屋も絆されるとこうもお人よしになるのかしらね。
 分かったわよ、約束してあげるわよ。
 あのバカたちには手を出さないわ、そこまで落ちぶれちゃいないわ…」

「ありがと、チハヤ」

…。
ライザはなんでこんな、優し気に笑うんだろう。
決して明るい笑顔ではないけど、その控え目な表情の端々になにかを感じた…。
暗い過去が、人殺しに堕ちた原因が、迫っているのに何故?

もしかしてライザは…。

…そんなことはどうでもいいわ。
どんなことがあってもライザを死なせてでもあいつにたどり着く。
あのクソ兄貴だけは…殺さなきゃ、私は先に進めない…きっと空っぽの人生で…終わってしまうから…。
ここの生活を捨てて…あいつを殺して…私は…!

私の人生を取り戻すの…!



















〇地球・東京都・『大和』合宿所・小劇場・ステージ───メグミ
私はジュンさんに呼び出されてこのステージに来た。
私達はこの合宿所にずっとこもって暮らしていて、時々ステージをネット中継したり、動画を撮ったりするけど、
外に出ることもかなり厳しく制限されてて…。
そのせいか、ジュンさんと過ごす時間が増えてきた。
もっぱら映画を見たり、テレビを見たり、ちょっと歌詞を考えてたり…なんてことないけど、
今までアイドル活動で忙しくて、休みも合わなくて大変だったけど、時間がいっぱい取れた。
世の中がどうなるか分からない中で、不謹慎だとは思うけど仲が深まって…嬉しかった。
それで…。

「め、メグミちゃん、結婚、してくれないかい…」

「え…」

ジュンさんは、小さな箱に入った指輪を見せて、私に差し出してくれた。
顔も真っ赤…女の子みたいに目を潤ませて……かわいい。
じゃなくて!

「ど、ど、どうしたんですか?!
 指輪、どうやって、うそ、どうして…」

「ちょ、ちょっと無理いって出かけてきたんだ。
 だ、ダメかな…」


「だ、ダメじゃないです!

 嬉しいです!

 わ、私、私っ…!」


ジュンさんが、こんなに頑張って、勇気を出してプロポーズしてくれるなんて思ってなかった…。
こんな状況で危険なのに外に出て、私のために…。
もしかしたら、一生ジュンさんとはこんなことないんじゃないかって諦めそうになってたのに。
自信失くしそうだったのに…。
私は嬉しすぎて、指輪を受け取るのも忘れて、ジュンさんに抱き着いた。

…ライザさんと一時期付き合ってたのも知ってるし、
今もジュンさんがライザさんを気にかけてるのも知ってた。
でも、それを振り切って、私の事を…!


「うっ…ううぅっ…!

 五年も待たせて!不安にさせて!
 
 バカバカバカッ!
 
 ジュンさんのバカッ!!」


「あ、う、はい…ば、バカでごめんなさい…」

「いっ、いい…嬉しかったです…。

 …でも、なんで急に…?」

「…ホシノの事もあって、いつ死ぬかもわからないし、世の中がどうなるか分からないから。
 もしかしたら、一生こうやってここで過ごさなきゃいけなくなっちゃうかもしれないし。
 
 そう思った時…後悔したくないなって。
 
 メグミちゃんを、ちょっとでも幸せな気持ちにしてあげたいって…。
 
 思ったら、止まんなくなっちゃって…」

「ジュンさん…」

「あ、も、もちろん、まだホシノが死んだなんて信じてないけど、さ!
 でも、僕はそんな特別じゃないから、どうなるかわかんないから、
 こうやって無理して出かけて、無事に指輪を買ってこれたら…。
 メグミちゃんにプロポーズ、する勇気がでるんじゃないかって…」

「…やっぱり、ジュンさんもそんな風に思ってたんだ。
 私、ホシノアキトさんあんまり好きじゃなかったけど…。
 …でも色々聞いてたら、未来の事を幸せになってほしいなって思ったの。
 重子ちゃんが占って『アキト様はきっと将来二股する』って言ってたけど、そんなことどうでもよくなるくらい。
 …愛のカタチって一つじゃないんだなって、なんか嬉しくなっちゃいました。
 
 だから、生きてるって信じてるんです。
 英雄だから、じゃなくて…本当に、一心に大切な人たちを愛してるあの人が、きっと無事だって。
 
 それで…」

私は、どんどん顔が真っ赤になってるジュンさんをじぃっと見つめた。
もう。一緒に夜を明かしたこともあるのに、今更そんなに照れないでもいいのに。

「そんな特別な王子様じゃないのに、私のために無理しちゃうジュンさんは…。
 
 私にとって最高の…。
 
 世界一の王子様なんだよ」

「メグミちゃん…」

私も、涙でジュンさんの顔が見えなくなってきた。
こんなに幸せな気持ちになっていい状況じゃないと思うけど…。
でも、ここには私とジュンさんしかいない。誰も見ていない。
だから…いいの…。


・・・・・。
・・・・。
・・・。
・・。
・。


それから私達は部屋に戻って、一夜を明かした。
本当の本当に、心が通じ合って、二度と離れたくないって思えた。
…きっと結婚式は何年か先になっちゃうんだろうけど、それでもよかった。
こんな最高の王子様が、私を迎えに来てくれたんだもん。

翌朝、私達は寝坊して、焦って二人で食堂に出てきた。
みんなは直接からかわなかったけど、視線と表情のせいで、私達に何があったかを悟ってるのが分かった。
私達は、足早に食堂を後にしたけど…。

「…『食の恵』解散の危機ね」

「まーいーんじゃない、ここだったらバレないから。
 …ことと場合によってはできちゃった婚扱いになっちゃうかもだけどねー♪」

最近明るい話題が全くなかったこともあって…そして女子が集まってしまっている事もあって…。
立ち去ってドア越しにさえ聞こえてくるみんなの声に、私達は顔を真っ赤にしてうつむくしかなかった。

早く、なんとか事態が収束してほしいな…。















〇神奈川・大磯町・ミナトの家──ユキナ

「ほらーユキナちゃん!
 私と九十九さんの出てるドラマがもうちょっとで始まるわよー!」

うー…。
ミナトさんが呼んでるけど、あんまり行きたくない…。
アキト様が死んじゃって、が~~んって落ち込んでるのに、放っといてくれないんだもん。
ドラマで見たらまた泣いちゃうのに…。
インターハイは優勝までいけなかったけど、結構いいところまで行けた。
でも、それからのアキト様のあの事件のことで…受験勉強に身が入らないよぅ。


がらっ。


「ユキナ、いつまで落ち込んでるつもりだ。
 木連女子たるもの、しっかり気を張ってだな…」


「女の子の部屋にノックもなしに入るな!
 バカおにいちゃんっ!」


ぼふっ!


私は手元にあった「SDアキト様クッション」を投げつけたけど、
おにいちゃんはあっさり片手で受け取ると、小さくため息を吐いた。

「お前なぁ、ホシノ君柄のクッションを投げつけるなんてどうかしてるぞ。
 大切な思い出は、どんなことになっても手放しちゃいけないだろう」

「あーもう、おにいちゃん嫌いっ。
 落ち込んでるのに説教なんて聞きたくないっ」

「はぁ…。
 それじゃあ、ホシノ君が悲しむぞ。
 生きて帰ってきたら、嫌われてるんだから」

「…どこをどうやったらあの状況で生きてるって思うの」

「死体が上がってなければ生きてるかもしれないだろう?
 そんな男じゃないか、ホシノ君は。
 『木連一のホシノアキトファン』を自称してるお前が信じてあげないでどうするんだ」

「むー…」

…それはそうなんだけど。
何しろ、私はラピスに『木連・ホシノアキトファンクラブ会長』として任命されてる立場。
火星向けのホームページや会報の作成、ファンクラブ管理、ブロマイドやグッズの火星行き便も手配してる…。
学業、部活、アイドル活動と忙しい中で夜なべして…最近はアイドル活動なくなったけどね。
インターハイの期間でさえ、端末持ち込んで、時には部活仲間に手伝ってもらって完遂してた。
とはいえ地球側の圧倒的人口を一人で管理してるラピスには負けるわね。
で…まあ、私は根負けして居間に降りてきた。

「け~っきょく見に来ちゃうのよね、私ってば。
 悲しい女の子のサガってやつ」

「まぁまぁ、いいじゃないいじゃない」

・・・・・。
・・・・。
・・・。
・・。
・。


それからアオイさん主演、アキト様も出演してるドラマ『超者ライディーン』を見た。
お兄ちゃんは俳優兼アイドルの役、そしてミナトさんは敵の超魔『エキドナ』役。
コテコテのロミオとジュリエットを、地球を救う天使と怪物である超魔という立場で描く…。
分かり合うことを求めても、気持ちが通じ合っても、恋は果たされない悲恋かぁ…。
横にいる親しい人が演じてるって思うとちょっと笑っちゃうけど、でもちょっとだけ染みた。
でも…。

「あ、あ、あの…。
 み、ミナトさん、あの…放していただけませんか…」

「うふふ、い・や♪」

…現実の方で、感情移入して目を潤ませながらイチャイチャすんのはどうかと思うわよ。
ま、悲恋や悲劇は創作物の中でやった方が健康的だと思うけどね…。

ドラマが終わって、私達はお茶なんかを飲みながら一息ついた。
それでアキト様生存をやたら信じてるお兄ちゃんに、根拠はないか聞いてみた。
だって、生きてるならすぐに出てきてくれてもいいと思うんだもん。
そうしたら…。

「根拠はない。
 私は、ただ信じているんだ」

…聞いた私がバカだったわ。

「ユキナちゃん、そんなこと言ったって分かるわけないじゃない。
 私達は神様じゃないんだから」

「そりゃ、そうだけどあれじゃ…」

「そうだな、生きてる根拠はないがな、ユキナ。
 ホシノ君が生きていた場合に、すぐに出てこない根拠はある。
 
 …自分が死んだことにして、
 自分とみんなの安全を確保しようとしてる可能性があるんだ」

「…どゆこと?」

「ほら、ホシノ君っていまだに命を狙われてるでしょ?
 英雄視されてるし、恨みも死ぬほど買ってるし…。
 そうなると、親しい人を殺したり誘拐してホシノ君をうまくおびき寄せようとするかもしれないでしょ。
 それだけじゃなく、ホシノ君自身が生きてるだけでも命を狙われるかもしれない。
 一緒に過ごしてる人も危なくなるかもしれない、そう考えると自然じゃない?」

「…でもアギトって人は敵だったでしょ?
 本気で殺し合ってたようにしか見えなかったし…」

「そこはわからないわよ。
 でも、そうだと仮定したらユリユリの時の事件も、もしかしたら…。
 だったら可能性はゼロじゃないでしょ」

「…屁理屈じゃない」

状況証拠的に生きてるかもしれないって希望的観測の、屁理屈じゃない。
でも、それを否定できるほどの要素は私にもないから…。

「それにもう一つだけ、可能性がある」

「…なに?」

…。
それからお兄ちゃんが語ったことには、妙にリアリティがあった。
アキト様の性格からするとやらなそうなことなんだけど…。
でも、ラピスが裏についていたとしたらあり得る。
アキト様の希望を、本当の意味で叶えるとしたらそうせざるを得ないもの。
でも…この推測がもし、本当に当たっていたとしたら…。

アキト様が本当に生きていても、二度と遭えないかもしれない。

…でも、それでもいいのかもしれない。
あの人は永久に、誰とも争って欲しくない…平和に生きていてほしいから…。

「…分かったわ。
 だったらやらなきゃいけないことが出来た。

 私、命を賭けてでもやらなきゃいけないことが出来ちゃったわ。
 
 …ごめん、ミナトさん。
 受験失敗して一浪になっちゃうかもしれないけど、いい?」

「…うん、ユキナちゃんがやけっぱちで言ってるわけじゃないみたいだし、いいわよ」

ミナトさんは、内容を聞かないでも頷いてくれた。
…ううん、もしかしたら気づいてくれてるのかもしれない。
嬉しいな…。

「おいおいユキナ、俺に聞かずにミナトさんに言うのか?」

「お兄ちゃんはミナトさんの判断に反対しないでしょ?
 だったら同じことじゃない」

「…それはそうだが」

それから私は、二人に詳しい話をした。
かなり危険が伴うことだから、ミナトさんは一時休職してお兄ちゃんと同行、
お兄ちゃんにも木連の信頼できる人が固まっている艦に一時的に移動する事をお願いした。
ミスマル提督に相談すれば二つ返事で了承してもらえるだろうから。

二人は私の人生を…私の命を賭けた、
『アキト様に依存しているだけの私』を捨てる戦いを許してくれた。

「無茶はしちゃダメよ、ユキナちゃん。
 …私達の子供を見ないで死ぬなんて許さないんだから」

「「ええっ!?」」

「ごめんね、黙ってて。
 …九十九さんにも言おうと思ってたんだけど、先月くらいにね。
 ホントは、もっといろんなことが落ち着いてからって思ってたんだけど、
 世の中がどうなるか分からないから、九十九さんにもお願いしてたでしょ?
 
 …ユリユリが生きてて、子供が無事に生まれたら後輩になるかな?
 ふふふ、そうなったらいいわね」

「み、ミナトさぁんっ!」

「あっ、九十九さん…」

お兄ちゃんはミナトさんを強く抱きしめた。
二人とも抱き合って幸せそーな顔しちゃってまぁ。
…あーあ、なんか急に気持ちが冷めて来ちゃったわ。
私の決意のほうがかすんできちゃって。
でも、嬉しいな…。
大切な二人が、幸せそうにしてくれてるんだから。

「ミナトさん、おめでとう。
 この歳でもう叔母さんになっちゃうなんてね…やれやれ。

 あ、そうだ。
 …ね、二人とも。
 もし、この推測が、本当に当たっちゃってて…。
 アキト様が生きてたとしても二度と私達の前に現れなかったら、
 二人が知ってるアキト様の秘密を教えてくれる?」

「…ええ、いいわよ」

「ミナトさん、それは…」

そう、私がうすうす勘付いていたこと。
私がアキト様の事を話す時、たまに二人の態度が硬くなることがあった。
時折起こる、私をたしなめる態度…。
アキト様の事を深く知ってないとまず出てこないような、断言するような発言だった。
…知ってはいけない、表に出てこない、アキト様の秘密を知ってるはずだと思ったの。

「いいのよ、九十九さん。
 …ちょっと外で聞かれても与太話としか思われないでしょうし。
 でもユキナちゃん、本出したりホームページとかネットに書いちゃだめよ?」

「もちろん!
 アキト様の幸せのために、私の胸の中にしまっておく!
 世界でも数少ないアキト様の秘密を知る一人になれるんだもん、それくらい我慢できるってばぁ!
 命を賭けないといけない戦いの前だから、楽しみをいっぱい持っておきたいの!

 あー、ホント死ねないわねっ!」

「…ユキナ、立派だぞ。
 お前も、やはり木連女子ってことだな」

「まーね。
 マンガ嫌いだけど」

お兄ちゃんはまだ顔が緩んでるけど、ミナトさんの懐妊だけじゃなく、
私の決意と成長に喜んでくれてるみたい…。

…うん、私も驚いてる。

もう、アキト様に会えないかもしれないのに。
もう、アキト様に関わることなんて二度とないかもしれないのに。
私にとって、得にならない、もしかしたら死んじゃったり大損するかもしれないのに。

それなのに…。


アキト様が欲しがっていた世界を…!


今度は私達が!


私達の手で!私達の責任で!


作り、紡ぎ、永久不滅にしていかないといけないの!


そうしたいの!













〇地球・佐世保市・市街地・居酒屋
居酒屋で、二人の男が口論をしていた。
一人は地球連合軍の兵士、もう一人は木連出身だが一般人だった。
彼らの言い合いを周りは止めなかった。
それどころかその内容に聞き入って、感情移入すらしている様子だった。

発端はホシノアキトの死亡説についてだった。
ホシノアキトとアギトの相討ちがあったあの日から、人々は不安に襲われ、
地球と木連の和平について懐疑的になる者が少なくなかった。

アギトを送りこんだのはどの勢力なのかがまだ分かっていない。
地球側なのか木連側なのか、それともヤマサキ博士なのか。
平和を壊そうとしてのは一体だれなのか。
まだそれで直接的な暴力事件は起こっては居なかったが、
この三ヶ月あまりの不安定な情勢、ホシノアキト死亡扱いに伴う世界経済の不安定化で、
いつ仕事を失うか分からないような人間が増え始めてしまっていた。

ナデシコ艦隊が木星での決戦を一週間後に控えたこの時期に、緊張は極限まで高まっていた。
ナデシコ艦隊が勝利するにしても敗北するにしても、戦争を継続してお互いを叩き潰さなければならないと思い始めていた。

「このトカゲ野郎ッ!
 ホシノアキトを殺しやがって、許さねぇっ!」

「あれは木連の手のものじゃない!
 貴様ら地球人こそ、我々の平和交渉を潰したのは地球人だろう!
 自分たちの利益のために、開戦のために、
 地球側の交渉役まで殺すような恥知らずが地球人だろう!」

「やる気かっ!?」

「煽りやがって、俺の木連式柔を見たいようだな!
 二度とそんな口がきけないようにしてやるっ!」

二人が立ち上がって店から出ようとした時。
周囲の目が、二人にくぎ付けになろうとしていたその時。

『皆さん、おひさしぶりです。

 ホシノルリです』

テレビから聞こえてきたルリの声に、振り向き、全員が動きを止めた。
計ったように届いた、小さいが涼しげでよくとおる声を全員が聞いている中で───。
誰も聞こえないほど小さく、一人の男が舌打ちをしてカメラを引っ込めた。












〇宇宙・火星⇔木星航路、ナデシコC・ブリッジ───ハーリー

「…連絡が遅れてすみません。
 ナデシコ艦隊のみんなをなだめるのに時間がかかっちゃって。
 
 ホシノ兄さんが死んだってことになって混乱してると思いますけど、ひとまず落ち着いて下さい。
 ホシノ兄さんのおまけの私が、こんな風に言うのは差し出がましいとは思いますが…。

 ホシノ兄さんのことで喧嘩したり、憎み合ったりはしないで欲しいんです。
 せっかく戦争を止めて助かった命を、ムダにしないで下さい。
 ホシノ兄さんのせいにして喧嘩するなんて最悪です。
 
 そんなこと、ホシノ兄さんが一番望んでなかったことです。

 私だってホシノ兄さんが死んだなんて思いたくないですけど…。
 まだ、生きてるって思いたいですけど…。
 
 少なくとも、ホシノ兄さんが犬死になるようなことは誰にもしてほしくないんです。
 ホシノ兄さんが願っていた、平和を、自分の手で打ち砕かないで欲しいんです。
 
 犯人探しは何年もかかるかもしれません。
 ずっとずうっと苦しい戦いになるかもしれません。
 もしかしたら、捕まえることもできないかも…。
 
 でも思い込みや決めつけでは、無関係の人を傷つけるだけです。
 それだけはやってはいけないんです。
 
 …戦争を再開しないでほしいです、けど。
 再開するならするまでの間は…。
 
 それまでは誰一人の心身を傷つけることなんてあってはいけないんです。
 ホシノ兄さんを少しでも想ってるなら、少しだけ我慢して下さい。
 
 …お願いです」

…ルリさんが頭を下げると、すぐに放送は打ち切られた。
この放送は、ピースランドに資金を借りて、ゴールドセインツの人たちと眼上さんによって企画された、全国同時中継。
地上波も、衛星放送も、ケーブルテレビも、ネットの動画サイトでさえも…。
全ての放送を、ほんの数分とはいえ、完全に抑えて放映された、ルリさんのお願い。
今までは、ルリさんが注目されるのを避けるために黙っていることになっていたんだけど…。

ルリさんの親友、ユキナさんがゴールドセインツに呼びかけてこの放送をすることになったんだ。
地球と木連の仲は、放っておいたら終わってしまう。
だから、まずはルリさんに呼びかけてもらって、衝突が起こらないようにしたいと。

「…はぁ。
 ちょっと緊張しましたね」

「艦長でも緊張するんですね」

「あったりまえです。
 私そんなに図太くありません。
 …まあ、ひとまずしばらくは落ち着くでしょう。
 あとは地上のみんなに任せましょう。
 火星の方は、もはや大丈夫でしょうから」

ルリさんはそういうと、ラピスさんのところに向かった。
ナデシコ艦隊のスケジュールではもう就寝一歩手前の時間だから…。

それで、ユキナさんが何を考えていたかというと…。
ゴールドセインツのみんなと一緒に合宿所に集まってるアイドル達と一緒に、
平和の、反戦の狼煙を上げようとしていた。

この二ヶ月半余りの間、彼らは危険を避けるために積極的に反戦運動はしなかった。
でも、これからは危険を顧みず動かないといけないと判断したんだって。
そうしないと、不安に駆られた世界全体がまた争い、憎しみ合ってしまう。
既に政治的論争は広がり、市民の間でもトラブルは増え、邪推ともいうべき疑い合いは世界中を飲みこもうとしていた。
あと一押しで、再び戦争が起こってしまうかもしれないところまで来ていた。

だからどうしても、まずはホシノアキトさんの妹であるルリさんの言葉が必要だった。
ユキナさんとゴールドセインツのみんなは、まずルリさんにお願いをした。

地上に居て狙われる可能性が低くない、表にでるのが危険なユリカさんやテンカワさんではなく、
味方が多く、暗殺を防げる可能性の高い、ナデシコCのルリさんに。
ラピスさんやラズリさんではなく、あくまで義妹として、ホシノアキトの妹として認識されているルリさんに。
この点について、ラピスさんは判断が適切だったって高く評価してたけど…。

ルリさんの言葉でホシノアキトさんの訴えを再確認して、ひとまず争いを我慢してもらう。
でも、我慢と言ってもそう長く続くわけがない。
きっかけなしに自分の気持ちを、抑えきれるわけがない…。
だからホシノアキトさんの気持ちを思い出すほかに、もう一息必要なことがある。

自分たちが、本当にお互いを憎んでいるのか。
それは本当に、戦争を起こして、自分たちの大切な人を失ってまで叶えたい願いなのか…。
全世界の人たちに、もう一度考え直してもらうこと。

…その上で、本当に全人類が平和を望まなければ、戦争は終わらない。
『ホシノアキトさんに与えられた平和』ではなく、
『自分たちの怒りも悲しみも飲み込んでつかみ取った平和』を、選ばないといけない。
そうしなければ、本当の意味での平和を得ることはできない。
そうでなければ、ホシノアキトさんなしに人類は何もできない、何も選べないってことになってしまう…。

だからゴールドセインツのみんなは、そしてユキナさんは、選んだんだ。
人を安易に殺せる戦争という場を作ることも、憎しみで相手を殺すという安易な方法も捨て…。
自分の信じた人の信念を、自分の信念と重ね合わせて進んで行こうとしている。
それをみんなの前で示そうとしているんだ。
…もしかしたら誰かに暗殺されるかもしれないのに。

僕も何か手伝いたいけど、ちょっと無理かな…。
…いや、ナデシコ艦隊で戦い抜こう。
もう、僕たちが地球に対して出来ることなんて、ほとんど残ってない。
地球の事は、地球のみんなが何とかしてくれるはず…!









〇地球・佐世保市・市街地・居酒屋───テツヤ

「……聞いたな」

「…ああ。
 俺たちが間違っていた。
 今日は、もう止めだ」

…先ほどまで一触即発の空気を出していた男たちは、毒気を抜かれたように握り拳をほどいて、
飲みの代金をそれぞれ払うと、気まずいようににらみ合って、別の方向に歩いて行った。

チッ、失敗か。
久々に古巣の編集長とコンタクトが取れて、世論を徹底抗戦に持ち込ませようと仕組むように頼まれた。
険悪になるように話題を誘導して、うまく喧嘩に持ち込ませることができたと思ったが…。
それで頃合いを見て不利な方に包丁でもビンでも持たせて片方が死ねば、
この手のトラブルでまだ死人が出てねぇだけに、いい刺激になると思ったんだがな。

ったく、タイミング悪くホシノルリが邪魔しやがって。
あっちは距離が離れすぎて手が出せねぇのが厄介だな。
ま、クリムゾンの連中からの依頼のようだったから、失敗しても気にしちゃいねぇがな。
…だが、思ったよりは世間の動きが硬い。
まだあのホシノアキトの発言に引きずられてんのかよ。
ったく、嫌になるほど影響力のある野郎だ。

クリムゾンの連中もさぞ慌ててんだろうな。
アギトの件も、まだ解決しちゃいねぇ。
かといって世論操作もまだ時間がかかる。
この上、手の出しようのないホシノルリにさらに遅らされて、ってくればな。

…しかし、ホシノアキトの周りの連中も攻撃に転ずるようだな。
チハヤの連絡からもそれが分かった。
てっきりホシノアキトが居なくなったことで気落ちして動けなくなるだけだと思ってたが…。
思ったよりは骨がある連中のようだが、それはそれでこっちとしちゃ都合がいい。

せいぜいあがけ、バカ女どもが。












〇宇宙・火星⇔木星航路、ナデシコD・ラピスとラズリの部屋───ラズリ

「…ラピス、あなたの見立てではアキト兄さんとユリ姉さんの生存率はどれほどですか?」

「五分五分かな。
 生きてるか、死んでるかだけ。
 ユリに話した通り、『私の仕込み』はほとんどないの。
 ルリにお願いしてもらった、『ピースランドに無制限に融資してもらえる権限』を与えた、
 『私の代理人』が裏切っていたら全部おじゃん。
 
 …その代理人が、失敗しててもおじゃんだけどね」

「それが誰かは教えてくれないんですか?」

「教えてもいいけど、結果が出てからの方がいいと思うよ。
 どのみち、私達は地球には手も足も出ないんだから。
 ルリには平和関係でクチは出してもらったけどね」

「…まあ、そうですけど」

「一応全部コミコミで考えてみたけど、私達の手から離れた運命の事は計算が付かない。
 神のみぞ知るってとこだね」

「それでよくいつも通り平静を保っていられますね」

「私だって結構心配してるんだよ?
 さすがに手が出せない、口も出せない、結果どころか途中経過も分かんないんだから」

「…まあ、下手に通信で確認したら危ないのは分かってますけど」

「一応、成功してるかどうかの確認は、一個だけ準備してあるんだ。
 ひょっとしたら、明日には届くかもしれない」

「…何ですか?
 新聞広告で『13年式Gトラクター買いたし』とか出てくるんですか?」

「うん、そんな感じかな」

ルリちゃんとラピスちゃんは、二人きりで秘密の会話を続けていた。
一応私も聞いてるけど、私はまだ気持ちが落ち込んでるから引っ込んでるの。

私達はラピスちゃんの指示で、『アキトとユリちゃんが死んでいるつもりで動く』ことになっていた。
もちろん、これは対外的にそうしないとアキトとユリちゃんが生きてるように思われちゃうから。
そうなった場合、世界の戦争に対する判断を揺らすだけじゃなくて…。
アキトとユリちゃんが生きてる場合でも、二人が追われる遠因になっちゃうから。

…でもラピスちゃんが言っている通り、二人の生存はまだ未知数。
ラピスちゃんが身体を使っている間も、私はラピスちゃんの行動を見れるから隠し事が出来ないはずだし。
ラピスちゃんは最低限の仕込みだけをして、いざという時にピースランドに避難する計画だけを立てていたと思う。

…でもラピスちゃんの代理人って、重子ちゃん、だよね?
運命を読めるってこともあって、重子ちゃん以外にはそんな話をしてなかったような…。
なんでわざわざルリちゃんに隠すんだろう?
重子ちゃんならいざという時以外はそんなに無理をしないはずだし。
うーん…。

「ま、そろそろ木星に到着するし、最終決戦に向けて明日以降はお休みだし。
 残りの三日間くらいはのんびりやろうよ」

「…この半年くらい、暗殺者とアキト兄さんとユリ姉さんの件以外はのんびりしてた気がしますけど」

「いーのいーの。
 こんな時でもなきゃ、私らだらけてらんない立場なんだから」

「…はぁ、否定できないのがしんどいです」

ルリちゃんとラピスちゃんはお話が終わるとすぐに布団に潜り込んだ。
…疑問はたくさんあるけど、私達にはもうどうすることもできないことばっかりだもんね。

(…ラズリ、やっぱり不安?)

(…うん。
 アキトとユリちゃんの事は信じてるけど…。
 もし死んじゃってたらどうしようって)

(その時は仕方ないよ。
 もし二人とも死んじゃった時は、私達が二人の分まで幸せに生きる。
 …そのための予備策もあるでしょ?)

(そうだけど…やっぱりつらいよぅ…)

(…だよね。
 私も正直なところ…二人が死んじゃったら、首吊りたいって思っちゃってるもん…。
 それくらい、大切な人だから…。
 でも…)

(…ユリちゃんが未来で受けた悲しみ、私達も乗り越えないといけないもんね…。
 私とアキトが死んだと思っても、生きててくれた。
 一生懸命、生きようとしてくれてた。
 だから、私達も…死んじゃダメなんだよね…)

(うん…まだまだ、大切な人がいるから)

…私達は、どんなことがあっても自分の命を断ってはいけない。
少なくとも、二人の分まで生き抜かなきゃいけない。
大切な人がいるから、きっと心の傷は消えなくても、乗り越えることはできる。

何より、ユリちゃんが受けた悲しみと同じものを、乗り越えていくべきだって思った。
アキトとユリちゃんが、居なくなっても、世界が回るなら。
私達も生き抜いてそれを見届けなきゃいけないんだから。

(でも、ラピスちゃん。
 アキトとユリちゃんが生きていたとしても…本当に、あの方法で逃げ延びさせるの?
 その…全部、投げ捨てることになるでしょ?)

(仕方ないよ、死ぬよりましなんだから。
 …でも、アキトの事だからみんなが危なくなったらきっと出て来ちゃうんだと思う。
 自分の安全のためにすべてを捨てるより、
 みんなの安全のために自分の安全を投げ出しちゃうだろうから。
 それに敵はそんなに甘っちょろくないでしょ?)

そう、だよね。アキトって、そういう性格だもん。
そのせいで、また英雄としての人生を歩まなきゃいけなくなるかもしれないけど…。
ううん、世界が変われば…。
ほんの少しだけ、大人になって、争いを少しだけ我慢できるようになれば…。

アキトは、きっと…!
























〇作者あとがき
どうもこんばんわ、武説草です。
アキトにつづいて、ユリまで襲撃される事態に。
そして英雄を失った世の中は、少しずつ立ち直れるか、な展開でした。
色々な憶測はありますが、真実はいかに。

ってなわけで次回へ~~~~~~~~!!













〇代理人様への返信
>昭和は最近(エミヤ感
もう最近ってなんだっけ感。
ナデシコが25年前になっててもう、えらいことに。
アニメの同期がコナンとかポケモンとかも生き残ってるし、
時間が経ってるのは分かるんだけどリメイクやリバイバルとかもあって感覚がマヒしてきますねw


>それはさておき北辰弱いw
>このインフレについて行けなくなった亀仙人感よw
時ナデ版もブーステッドマン化したりで無理矢理追いついたりしたりしてた気がしますが、
昴氣出て来ちゃうとやっぱりメガノイド北辰にならないと追いつけなくなるんだろうか…。
同じくドラゴンボール的に言うと「スーパーサイヤ人にならないと戦力外通知がくる」感覚に近く…。


















~次回予告~
…チハヤよ。
アイツがどういうつもりなのか分からないけど、やることやってすべてを終わらせないと。
ホシノアキトが生きてようが死んでようがどうでもいいけど、
死んでることになってるくせに世界まで巻き込んで、いまだに影響を与えてるって、どういうことよ。
…まあ、もうどうでもいいんだけどね。決着は近そうだし。




世の中の動きに不安を覚えながらもしゅくしゅくと動いてる作者が贈る、
世の中がどうなろうが戦況がどうなろうが恋愛を忘れないキャラが多い、ある意味原作準拠なナデシコ二次創作、












『機動戦艦ナデシコD』
第九十話:die-hard&die-hard -頑強な抵抗者と頑固な保守主義者-その8
















をみんなで見なさい?


































感想代理人プロフィール

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代理人の感想
まあこんな感じかなあと言う回。
合間回は正直感想書くのが困るw

>メガノイド北辰
あれは結構納得したw
その後の「我と勝負せよ復讐者」と出てきたのを「お前なんかもういい、邪魔だからどけ」ってアキトにあしらわれたのも痛快。


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