『時の流れに』アフターストーリー

ディアの気持ち      

 

 

 

 

 

 

木星と地球、この両者で行われた不毛な戦争は一人の英雄の活躍によって終結を迎えた。      

 

 

……其の名は、テンカワ・アキト。またの名を『漆黒の戦神』…。  

 

今回は、彼の愛機、ブローディアのAI、ディアのお話…。  

 

…戦いが終わり、強すぎる存在とされたブローディアは政治家やその他諸々の権力者達によって封印されてしまい、

今は戦争博物館の真ん中に展示品として並んでいた。  

「あーあ、退屈だなあ…。ねえ、ブロス。」  

「なに?」  

「ラグナ・ランチャーを…。」  

「だめだってば。」  

「だって、退屈なんだもん。」  

「…仕方ないさ。アキト兄はよく僕たちの事を隠し通してくれたから良かったけど…。」  

「…わかってる。…けど。」  

 

そう。ブローディアにこれだけのAIが搭載されているのはナデシコクルー達だけの秘密であった。

…もし喋っていたら今ごろディアやブロスは、良くて新型AI開発用の研究に回され、

最悪の場合には完全に消去されていたであろう事は間違い無い。  

 

だが、それはそれとして…退屈なのは如何しようも無かった。  

 

「…そんな事よりさ…近頃アキト兄、冷たいよね。」  

「まあね。全然連絡も入れて来ないし。」  

 

…実は現在アキト一行は女性関係のもつれから逃れるべく逃亡の旅の最中であったので、

そこまで気が回らないのだった。  

 

…まあ、捕まればこのまま本当の(ピースランドの)王子様にされてしまうのは必然だったので彼も必死だ。

なぜなら、ホシノ・ルリ嬢曰く、  

 

「私と結ばれれば晴れて本当の王子様です。王族なら奥さんの15人や16人居たって問題は無いはずです。

 …ね、アキトさん?」  

 

…ドサクサに紛れて正妻の座を手に入れる気らしい。  

 

「ルリ姉も策士だよね。」これが、ブロスの反応。  

「……。(怒)」ディアは…どうやら面白くないらしい。

 

…。  

 

……。  

 

「…いま、瞳に光が灯っていたような…まさかな。解体された機体だし。」  

何も知らない警備員さんが言っている。…確かにブローディアは1度は解体された。

しかし、ここに展示するために『外装だけ』を復元するように命じられた整備員は、

レイナ・キンジョウ・ウォンその人だったので(出来る人が他にはウリバタケしかいないと言うだけだが)

完全に復元されていたりする。  

 

「…アキト兄に、逢いたいな…。」  

「…無理だよ……。」  

「何でよ!…ルリ姉やラピス姉だってそうだよ。近頃来てくれるのってハリ兄だけじゃない!!」  

「皆、注目されてる…もし僕らの所に来たらそれだけで反逆の疑いをかけられちゃうよ…。」  

「…そう…か。…そうだよ……ね…。」  

何処と無くハーリーは酷い事を言われている。  

「…私達、ここから動けないし…。」  

「厳密には、動いちゃいけない…だけどね。」  

「…夜中にこっそり抜け出して…。」  

「…すぐ、ばれるって。」  

「…グスン…。アキト兄。逢いたい…な。」  

「…。(ディア…)」  

そしてブロスは一計を案じる。  

「…と、言うわけ。」  

「……で、僕を呼んだのかい?」  

「よろしく。ハリ兄。」  

動くのは当然(笑)ハーリー、後ろでディアが(ちょろい)なんて言ってるのは多分気のせい。  

 

…。  

 

そして、数週間後。  

「できたよ。ハイこれ。」  

「わー。アリガト、ハリ兄。」  

「………いや、良いんだけどね。」  

「一応、戸籍は用意したから。…後、ここが今日アキトさんが隠れてる場所だから、早速行こうか?」  

「…ハリ兄。僕の分は?」  

「また今度。」

「……ウワ−ン!」  

「…。(良し、これで僕の後の不幸役は押しつけられたな。)」  

「…ハリ兄。なんか言った?」  

「いや、何にも。」  

…二人はアキトの元へ連れ立っていく。

…現在のディアは、あの一番星コンテストにラピスと一緒に出た際の姿をしていた。

原料はラピスとルリの髪の毛…そう、ディアの体はクローン体であった。

 

(サイボーグの逆で、脳だけが機械なのである。)

 

アキト達の隠れ家に到着する二人。  

「アキト兄!」  

「デ、ディア!?」  

感動の再会。抱き合って喜ぶ二人…忘れ去られるブロス。  

「「「「「…見つけましたよ…。アキトさん。」」」」」  

ガサガサガサ・・・・・・。  

(自称)アキトの婚約者達、登場。  

「ハーリー君にしては良い仕事ですね…。」  

「ルリさん…。(ジーン)」  

…ハーリー君!?  

「ハーリー君。…もしや…。」  

「(小声で)ディアと一緒なら近寄れると思いました。済みません。」  

「あ・・・あ・・・・・・あ嗚呼……。」  

哀れ。アキト、声も出ず。  

「…時にアキトさん。」  

「「「「「それは何ですか?」」」」」  

「は?」  

ルリ達はディアだと気づいていない…。

ディアはアキトに抱きついたままトリップしている…。

アキトは混乱している…。

ルリ達の怒りは頂点に達しようとしている……。  

 

…。  

 

「ハーリー君。あの子は何でしょうね(怒)。」  

「…なに言ってるんです。アキトさんにとって…。」  

「「「「「アキト(さん)にとって?」」」」」  

 

……。  

 

「…あなた達と同じ位大切な存在ですよ。ね、アキトさん?」  

「「「「「!?」」」」」  

「え…あ…あ…あ…の…その…。」  

「「「「「そこのあなた!」」」」」  

「ふぁい?」(ようやく気づいた)      

「あなたにとってアキトさんは…どう言う人…何です?」  

「……だいじなひと。」  

確かに。  

「結婚できたらしたいなって思ってるよね?」  

は、ハーリー君!?  

「……うん…(ぽっ)。」(またトリップした)  

「あ、が画が……画が画が…呼嗚呼・…あ・…あ牙アa…。」  

アキト、精神崩壊。  

「…ディア、行くよ。」  

ハーリー、ディアを連れ去りゆく。  

「ディアさん…ですか。何処かで聞いたような…まあ良いでしょう。」  

気づかない人達。まあ、この状況では無理もない。

 

 「「「「「アキト(さん)説明してください!!」」」」」  

 

…合唱。

 

 

 

 

−−−その後、某組織−−−  

「ハーリー、腕を上げたじゃねえか。」  

「…発案はブロスです…。と言えますしね。」  

「…嘘はついていない…か。」  

「ええ。」  

…どうやらこの人達の差し金らしい…珍しくアリバイ工作も完全だ。  

ふっふっふっふ……。  

某組織の現在の戦績、40勝−−−敗(計測不能)…。  

 

::::後書き::::

2度目の投稿となるBA-2です。

連載をしたかったんですが、出張で今月末まで更新不能です。

今年の終わり頃か来年始めには始められたら良いなと思っています。

良ければ応援よろしくお願いします。

 

 

管理人の感想

 

 

BA-2さんからの投稿第二弾です!!

ディアが主役のSSは初めてですね。

まあ、キャラ的には結構面白いですからね。

今後も活躍してくれる事を祈りますよ。

しかし、ハーリー・・・お前クローンはヤバイだろ、流石に(笑)

そもそも、何処で作ってきたんだ、そのクローン?

・・・こいつも、結構謎が多いキャラだよな(爆)

 

ではBA-2さん、投稿有り難う御座いました!!

次の投稿を楽しみに待ってますね!!

 

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