機動戦艦ナデシコ アナザーストーリー

 

世紀を超えて

第21話 敵はご先祖

 

 

 

 

輸送車の荷台に乗り、帰還するヤマダとエドワード。

…その視界に敵基地の方向に降り立とうとするパラシュートが入ってきた。

そして…それに吊るされた人型に気づいた時、ヤマダはアキトに同情した…。

 

「遂に…大佐が動いたぞ。…黒帝伝説もここまでか。」

 

…そこまで言われる大佐の実力とは?

 

・・・。

 

一方、アキトは驚いていた。

この時代に人型の機動兵器があるとは思わなかったのだ。

…例のキャノンな連中の事はともかくとして。

 

そして…思わず尋ねた。

 

「…お前は一体?」

 

その…アキトの問いに大佐が答える。

 

「連合軍、テンカワ・リューマ大佐だ。初顔合わせになるな、黒帝!」

 

…運命の神は残酷極まりない。

最強の敵は…自らの先祖なのだ…。

 

・・・。

 

驚きを隠せないアキト。

…だが、ここで負ける訳にも行かない。

スラスターをふかせ、飛び立とうとする。

が!

 

ドグァ…ン!!

 

背中に衝撃が走った!!

 

!!…スラスターが破壊されている…。

どうやら、敵は降下中に爆発物を落としていたようだ。

そして、それはスラスター自身の熱によって着火…爆発。

 

…既にアキトは第一撃を食らっていたのだ…。

 

「く…もはや飛べないか!」

 

そう判断するや否や、すかさず横に跳ぶアキト!

 

ズヴァヴァッ!!

 

その刹那…銃弾が今までいた位置に浴びせられる!

 

「なんて奴だ!…く…被弾した!」

 

…敵の片手にはショットガンが握られていた。

散弾は、高速で動き回る敵に対して高い確率で命中すると言う利点がある。

その広範囲な攻撃の前に、流石のアキトも苦戦していた。

 

(…せめて…飛べたら!)

 

アキトにそんな思いが生まれた…。飛べるのなら高確立で避けられただろう。

…だからこそ、大佐は最初にスラスターを狙った訳だが…。

 

アキトが駆るのは飛べない空戦フレーム。

確実に不利な状況だった…。

 

・・・。

 

*ここで補足*

大佐の乗るヴァンツァーと言う機体ですが、

フロントミッションと言うゲームに出てくる機体で、

(SFCで1、PSでセカンド・サードが出ています)

人型戦車…と言う言葉がしっくり来ます。

通常の戦車に比べ、機動性で勝り、火力で劣る。

機体はボディ・アーム・レッグに分かれ、ボディが破壊されるまで戦う事が出来る…

但し、両腕が破壊された場合、攻撃不能で壁にしかならないだろう。

*因みに*

…この世界ではスーファミのIの事件(ハフマン紛争)の後、ニューロン・デバイスの実験が世界中に知れ渡り、

その煽りで開発が全面的に中止された事になっている。(但し、SSに使用する機体はサードの物です。)

その後地球連合が発足。世界が一つになった為、兵器開発資金が大幅に減少。

その為、何時の間にか忘れ去られていた…。

 

…そして現在…突如として現れた『黒帝』に対抗するべく連合軍は軍事予算を倍増、新兵器開発に血眼になる。

…そんな折、この『忘れられた兵器』も開発が再開された…。

以上の設定でお送りします。

 

 

・・・。

 

…激戦が続いている。

 

バシュ!

 

アキトのライフルが大佐の機体を抉る!

 

「黒帝…ただでやられる気は無いぞ!」

 

ズヴァーン!!

 

それと同時に大佐のショットガンがB・カイザーの装甲を削っていく…。

 

…。

 

「…手ごわい!…ん?」

 

ウィーン!…ヴイーン!

 

…アキトの周囲にエマージェンシーコールが鳴り響く!

機体が限界を超えようとしているのだ…。

 

ギギギギ…ギギ…ギギギ…

 

嫌な音が辺りに響く…。

…空戦用の機体を、陸の上で良くここまで持たせたものだが、

本来とは違う使い方をされた機体が悲鳴をあげている。

長くは持たない…。

 

「…それなら!」

 

…突然アキトが敵に突進した!!

それは…最後の賭けだったかも知れない。

 

そして、肉迫すると…敵の肩部にライフルを突き付け、零距離射撃を敢行する!!

 

ドォン!!ドォン!!

 

…ボグァーン!!!

 

大佐の機体が限界を超えた!

…肩が爆発し、腕パーツが吹き飛んだ!

同時にその手に持っていたショットガンも地面に叩きつけられ折れ曲がる。

 

…。

 

だが…大佐もそれで終わらなかった!!

 

残った腕が即座にアキトを殴りつけた!!

 

グワッ…バキィッ!

 

吹っ飛ばされるB・カイザー。

 

「ぐッ…だが!」

 

アキトは即座に態勢を立てなおす。

だが…既に…

 

ぐら…

 

「な!?」

 

ガク…ン

 

ズズー−−ーン・・・

 

 

それは…悪夢だったろうか?

エステバリスから勝手にアサルトピットが外れた…。

 

ビーッ!…ビィ−ッ!

 

『ダメージ過多、強制脱出』

 

…辺りにそんな情報が表示される。

 

 

「…まだ、そこまでの損害を受けちゃいない筈だ!!」

 

ガン!!

 

そう言いながら激昂し、コクピットに拳を叩きつけるアキトの思いとは一体いかなる物だろうか…。

 

・・・。

 

アキトがアサルトピットから這い出してきた。

目の前の機体が残った腕を振り上げてアキトを捕らえている。

 

「…王手、だ。」

 

目前の機体はあちこちにライフル弾の穴が空き、カメラも片方が潰れている。

だが、アキトを片腕だけで叩き潰すのは簡単なはずだった…。

 

・・・。

 

「……さらば!」

 

ゴォォッ!!

 

…グワシャッ!!

 

 

ドゴォ…ン!!!

 

 

アサルトピットが爆発四散する…。

 

…が、

 

「そう簡単にやられてたまるか!」

 

アキトは間一髪で避ける!

そしてそのまま、逃走態勢に入った!

 

「…待てっ!!」

 

大佐自身も慌てて後を追う!

 

「徒歩で逃げられるとでも思ったか!?」

 

そしてアキトに追いつき、再度拳を振り上げる…だが、アキトもこれで終わる程ヤワではない!!

 

バシュ!…パキ…ン…!

 

「ク…カメラが死んだか!」

 

…カメラを失いアキトを見失った大佐。

やむなくコクピットのハッチを空け、直接外を見る…。

だが、既にアキトの姿は無かった。

 

…風の中、一人取り残された大佐…。

 

「この短時間に…一体、何処へ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここだ!!」

 

ガバッ……バシュ・バシュ…!

 

アキトは大佐の機体に取りつき、身を伏せていたのだ。

…そして、視界を失った大佐が出てくるのをじっと待っていたのである。

 

そして、強襲。

 

「グ…食らったか!」

 

大佐が肩に血をにじませる…。

 

 

…グラ…ドササッ…!

 

だが、何故か両者はほぼ同時に地面に落ちる…。

 

「…分かっていたか。」

 

よろめきながらもアキトが立ちあがりヨタヨタと後ずさる。

 

「…当然だ、アレは基本だろうが…。

 

大佐も立ち上がった。

片手は先ほどの負傷で動かせないらしくブラリと垂れ下がっているが、

逆の手にはまだ煙がほのかに立ち昇る大型拳銃が握られていた。

 

…。

 

両者ゆっくりと距離を取る。

 

アキトは再度ブラスターを構えた…。

 

「!!?」

 

突然、視界が歪む!

暗転…そして世界がモノクロになった…と、思う暇も無く

 

ブツン・・・

 

まるでTVが消えた時のような光景が目の前に広がり…気づくと全てが闇に染まっていた…。

 

(…一体…何が?)

 

…そして、ある結論に達したアキトは手を顔に持っていく。

 

・・・。

 

(バイザーが…無い!!)

 

…その時、バイザーはアキトの足元でまっ二つになって落ちていた。

大佐の反撃はあろう事かアキトのバイザー…即ち感覚を破壊していたのだ。

 

…感覚の殆どを失ったアキトに勝ち目はあるのか!?

 

続く

 

−−−その頃のヤマダ達−−−

 

 

ジタバタ

  バタバタ

 

 

「ヤマダ大尉…これは、何でしょう!?」

「…大佐の切り離したパラシュートに決まってるじゃねえか!」

 

ワタワタ

  もそもそ

 

「…何処が、出口でしょうね?」

「外側にいきゃあそのうち行き当たる…と、思う。」

「…。」

 

その頃、ヤマダとエドは大佐の機体を支えていた巨大パラシュートの直撃を受けてしまい、

何とかしようと悪戦苦闘のまっ最中だった…。

人間を支えるだけでアレだけの大きさになるパラシュート。

…巨大な戦闘兵器(しかも完全武装)を支えるのにかなり巨大化していてもおかしくは無い…と、思う。

 

::::後書き::::

BA‐2です!第21話、如何でしたか!?

…今回フロントミッションネタを使いましたが、知らない方でも楽しめるように調整したつもりです。

(結構古いですからね…。)

まあ、ある意味命くらい大切なバイザーを失って大ピンチのアキトの方が気がかりかもしれませんがね。

さて、今後どう言う展開を見せるのでしょうか?

 

…こんなので良ければ応援お願いします!!

では!

 

 

・・・フロントミッション関係に詳しい方に補足。

アキトのアサルトピットが勝手に外れたのは、

大佐のバトルスキル『イジェクトパンチ』が発動した為です。

…あのゲームでは何故か戦車からでも強制排出が掛かりますからね…。

BA−2は強制排出とは衝撃でコクピットからはじき出される現象だと解釈しています。

ホントの所は知りませんが…もしそうだとして、これをエステが食らったら、

恐らく脱出装置であるアサルトピットごと飛ばされるだろうな…。

と、思ったのがこのネタの始まり。

…ま、エステに対抗できるような兵器…と、考えてのことです。

恐らくこの戦闘の後は出て来る事も無いでしょう…。

 

 

 

 

 

管理人の感想

 

 

BA-2さんからの連載投稿です!!

強いじゃないですか!!

アキトのご先祖様!!

う〜ん、まさかこんに良い勝負になるとはね〜

しかし・・・B・カイザーが使えなくなった以上、やはりアレの登場ですか?

いや〜、楽しみですね〜

 

ではBA-2さん、投稿有り難う御座いました!!

次の投稿を楽しみに待ってますね!!

 

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