機動戦艦ナデシコ アナザーストーリー

 

世紀を超えて

第25話 後悔先に立たず・・・そして

 

 

 

 

 

…火星から、数十隻もの艦隊が飛び立っていく。

連合本部は、遂に火星を見捨てる決定を下したのだ。

 

…そして…。

火星には独立派の人間のみが残った…。

 

…。

 

…アキトの部屋…

 

…壁に、例の黄色いジャケットが掛かっている。

…アキト曰く、「今の俺には相応しくない」との事だ。

 

謎は多い。…例のビデオもそうだが、

悩みぬいたものの、結局解らない物と言う結論に達する他無かった。

 

…だが、確かにゲキガンガーの劇中に『機動戦艦ナデシコ』と言うアニメがあったのは確かだ。

(TV版14話『熱血アニメで行こう』参照)

…偶然にしては出来すぎているが、確率がゼロで無い限り、頭から否定する必要は無いだろう。

 

だが…アキトはそれ以上の難題に見舞われていた…。

 

・・・。

 

…アキト全快パーティーの次の日…

早朝五時…アキトはナツメの部屋に居た…。

 

「…アキト…そろそろ部屋に戻らなくて大丈夫?」

 

「ああ、…しかし、何やってるんだろう…俺…。

 

「…なにって…。(赤)」

 

…。

 

何やってる…アキト(汗)。

大人の事情で詳しい事は言えないが(爆)、

アキトは何時も、次のような夜を送っていた。

 

夜10時…ラピスに添い寝をしてやりつつ就寝。

夜11時…アムがベッドに潜り込んでくる。

深夜2時…コソコソとベッドを抜け出し、ナツメの元へ。

早朝5時…コソコソとベッドに戻る。(汗) 

朝7時頃…何事も無かったかの様に起床。

 

それで良いのか!?

…普通は良くないが…(汗)。

 

ただ…この地道な努力によって、3人娘の間での全面戦争が勃発するのを防いでいる事を考えると…

 

…。

 

それでも許せん!!

 

…。

 

…まあ、それはともかく…。

アキトはその日も、コソコソと自室に戻ろうとしていた。(ヲイ)

 

…そんな自分に苦笑しつつ、気分転換がてらに屋上で深呼吸…。

 

…はっ!

 

「…何で、この時代でテラフォーミングが完了している!?」

 

…史実で核が撃ち込まれたのは、小さな実験区…。

…火星のテラフォーミングは、まだ始まったばかりのはず…。

何故…息が出来る!?

 

ダダダダダダッ!!

 

…そして、アキトは真相を知るべく、コンピュータを動かす…。

 

検索中…

 

《火星のテラフォーミングについて…》

今から数年前、突如として火星の大気組成が地球に酷似した物に変化するという異常事態が発生。

…連合政府は即座に調査団を派遣。

そして、未知の物体が大気の浄化を行っていると言う事実が判明。

…人体には無害だと証明された事もあり、放って置かれることとなった。

なお、この物体は後にナノマシンである事が判明。

広がり方から何者かが火星に散布した物と見られるが詳細は不明である。

 

・・・。

 

「…何者かがナノマシンをばら撒いた?」

 

…驚愕するアキト。…歴史が変わっている!

 

…。

 

「ええ、…それ以来、急速に火星の開発が進んだそうです。」

 

「うわっ!?」

 

いきなりアムが現れた!…驚くアキト。

 

「…まったく、最近夜中に出歩いてると思ったら、勉強してたんですか?」

 

「…ま、まあね。(汗)」

 

…ばれかかってたんだね…。(滝汗)

 

「そうそう…ラピスちゃんが探してました。」

 

「わ、解った!」

 

ダダダダダ…

 

「…アキトさん…何であんなに急いでたんでしょうか?」

 

知らぬが仏…少女の問いに答える者は…当然居なかった。

 

…。

 

「アキトー♪」

 

「はぁ…はぁ…どうした?ラピス。」

 

「なんで息切らせてるノ?」

 

「…いきなりお前が呼んだからだ。」

 

ラピスの元に駆け付けたアキト…いきなり大ウソをつく。

…しかし…後ろめたいんだろうなぁ…。

 

「むー。朝起きたらアキト居ないんだもン!」

 

ギクッ!

 

「あはは…で、用はなんだ?」

 

逃げが入るアキト。

ラピスは怪訝そうにしながらも、大きな箱を取り出す。

 

「オモイカネがこれを指定した時間に飛ばして欲しいんだって。」

 

良しわかった!…この時代だな…行くぞ!!」

 

…誤魔化すかのように、急いで飛ばすアキト。

 

…。

 

「…そう言えば、あの箱の中身は何だったんだ?」

 

「大気浄化用のナノマシンだっテ。」

 

 

何ィ!?

 

(アレは数年前の火星に飛ばした…。)

 

「アキト?」

 

(で、あれは大気浄化用のナノマシン…。)

 

「あーきーと!」

 

(そして…さっきの情報。)

 

ふにふに…ぐにー(ほっぺたを引っ張る音)

 

(まさか・・・まさか・・・。)

 

…にや…スリスリ(頬擦り)

 

「…なんてこったい!!」

 

「ひゃッ!?」

 

大声を上げると、早速ダッシュを呼び出す!

 

「ダッシュ!?…聞こえてるんだろ!…返事!!」

 

『…何?』

 

「何?…じゃない!!…歴史書き換えて良い訳無いだろう!?」

 

『今日、アレを過去に送らなかったらどうなったと思う?』

 

「?」

 

『火星到着直後にアキトもラピスも死んでたよ?』

 

「う。」

 

…覚えておいでだろうか?

アキト達は漂流同然で宇宙をさ迷った挙句、火星の引力に引かれて落ちてきたのだ。(第3話)

そして、墜落は免れたもののユーチャリスは大破・・・。

当然…生命維持機能も完全にオシャカだったのだ。

 

『今さっき、あの時の僕に通信入れといたから。どうすれば助かるかって。』

 

「…俺は…俺は…。」

 

『まあまあ、ここにアキトが居る以上、歴史は変わり続けてる訳だし。

 

「だが…俺はあまり歴史を変えたくない。」

 

『もう修復なんて無理なのに?』

 

「嘘だろ?」

 

アキト…この期に及んで…。

 

まだ、どうにかなるって思ってたんかい!?

 

…。

 

「テンカワさん…ここに居たんですか?」

 

…山崎だ…何だかうれしそうにやって来たが?

 

「…新型機が…出来たんです!!」

 

「はい?」

 

…どうやら、アキトが気を失っている間に何やら作っていたらしい。

 

「エステバリスを改造して作ってみたんだけどね…。」

 

「名前は『リモニウム』。」

 

「花言葉に『驚き』って言うのが有るんで、コイツにはぴったり!」

 

そこに鎮座するのは、

…アキトのパーソナルカラーである黒に、黄色いラインが入った機体。

 

「…黄色のリモニウムは『誠実』って意味があるらしいんだ。」

 

・・・。

 

「…しかし…でかい肩アーマーだな。」

 

そう、リモニウムは一見普通のエステと変わらない。

ただ、ショルダーアーマーがデカイ。(サレナに酷似)

…後、スラスターも。

 

「…内部に武装を色々隠せる様にしてあるんだ!」

 

…そう言うと、ゴソゴソと設計図を取り出す。

 

「…因みに重量が増した分はスラスターの大型化で対処したんだ。」

 

「で、…あった…これが、今製作中の武器だよ。」

 

…因みに通常の武器は全て製作済みらしい。

作れない部品も多かったが、作業機械の設計図から渡して解決したようだ。

…いいのかラピス?…この時代じゃ拙いんでは?

 

・・・。

 

「何だ…五寸釘か?

 

「パイルボム…この細長い爆弾を専用のハンマーで敵に打ち込む。」

 

「敵の内部で爆発するから威力が高いんだ。」

 

…丑の刻参りか?

 

「…で、これは?」

 

「レーザースプレー…前方180度全域にレーザーを広範囲照射するんだ。」

 

「欠点は味方にも当たるって事と、威力が殆ど無くなる事。」

 

…それじゃあ役に立たんだろ?

 

「…期待はしないが…次。」

 

「攻撃型ダミーバルーン…ダミーバルーンに遠隔操作型マシンガンを装備。」

 

「ダミーが攻撃を手伝ってくれるんだけど…、」

 

「…また欠陥か?」

 

「…いや、ダミーにしては異常に高くついちゃうんだ。」

 

…数時間経過。

 

…山崎は嬉々として説明を続けていた。

…アキト達は呆れて帰っちゃったけど・・・まだ気づいていない・・・。

 

「で、これの最大の特徴としては…」

 

…誰も聞いて無いよ…山崎。

 

「最近知ったナノマシンってのを組み込んであって、」

 

「少しづつだけど自己進化・自己修復をする能力があるんだ!!」

 

…続く。

 

 

 

 

 

 

−−−その頃−−−

 

「やれやれ、山崎君にも困ったもんよね…。」

 

ナツメとアキトは並んで夜空を眺めていた。

…無論横にはラピスとアムも居るが。

 

「まあ…な…。軍が引き上げて、もう戦争も終わりだろうに。」

 

…。

 

「…今は…ね。」

 

「!?」

 

…驚いてナツメの顔を覗き込む。

 

「元々、アタシ達は『月』の独立派だからね…。」

 

「…月を取り返すまで戦うって言うのか!?」

 

「…まさか…今はここまでよ。…力が足りないもの。」

 

「ここで、静かに暮らすって言う選択肢もあるんだぞ?」

 

…。

 

ナツメがすっ…と月を指差す。

 

「綺麗よね…。」

 

「…ああ。」

 

怪訝そうにしながらもアキトも応じる。

 

「…知ってる?今、火星って以前ほど赤くないんだって。」

 

「…ああ。」

 

何故か…ナデシコの最初の航海の時、ゴートの言った台詞が頭に浮かぶ。

『思ったより、赤くない』

 

・・・。

 

「…火星の大気が突然変化した時…散布された物体を月にも分けようって言う話が持ち上がったの。」

 

「月にもテラフォーミング計画があったのか?」

 

「ええ、でも結局実行される事は無かったわ。」

 

「なんで?」

 

「…未知の物体を月に持ち込む事は出来ない。」

 

「…それに大気が出来ても、いずれ地球の引力に引かれてしまう…。」

 

「…って言う事になってるわ。…表向きは。」

 

「裏があるのか?」

 

・・・。

 

ナツメが顔をこちらに向ける…まるで般若だ!

 

「…連合の幹部連中はお月見をしながら話し合ったそうよ…。」

 

『いやぁ…名月ですなァ…。』

 

『…黄色く無い月で花見…いや、風情が無い。』

 

『では…やはり。』

 

『…月はこのままにしておきましょう。』

 

・・・。

 

…それが真相!?

 

ぽかーーーん

 

 

開いた口が塞がらないアキト。

 

「…別に黄色く無くても良いじゃない!…皆が便利に暮らせたら!!」

 

逆にテンションの高いナツメ。

 

…。

 

急にナツメがアキトにしなだれかかってきた。

 

「最近ね…アキトが居れば何でもできる気がするの。」

 

「…世界をひっくり返す事さえ出来るかもしれない。」

 

「月に…何時か連れて行ってね?…お願い。」

 

・・・。

 

(俺は…

 ここに来るべきじゃ

 無かったんだ・・・!!)

 

…歴史は変わっていく。

本人の望む望まないを別にして…。

 

アキトは後悔する。

誰も見捨てられないばかりに、世界その物を狂わしていく自分自身に。

 

そして…。

ナツメの『お願い』は、意外に早く叶う事となる。

 

 

 

 

 

::::後書き::::

BA−2です。

…さて、大変な事になってきました。(ヲイ)

木星に何時行くのかと、よく聞かれましたがまだ行きません。

…勝っちゃいましたし。

 

新型機リモニウム…最初は別な名前だったんですが変える事にしました。

…こんな物で良ければ応援宜しくお願いします!

では!

 

 

 

 

管理人の感想

 

 

BA-2さんからの連載投稿です!!

関係を継続してたんかい、アキト!!(爆)

そりゃあ逃げられんわ(苦笑)

しかし、元の時代に帰るとどうなるんでしょうかね?

・・・ナツメ、連れて帰っちゃって。

 

ではBA-2さん、投稿有り難う御座いました!!

次の投稿を楽しみに待ってますね!!

 

感想のメールを出す時には、この BA-2さん の名前をクリックして下さいね!!

後、もしメールが事情により出せ無い方は、掲示板にでも感想をお願いします!!

出来れば、この掲示板に感想を書き込んで下さいね!!