機動戦艦ナデシコ アナザーストーリー

 

世紀を超えて

第7話 前途多難

 

 

 

 

アキトが100年前に降りたって暫く過ぎ・・・歴史に干渉し始めて数日・・・時が流れていた。  

アキト達の乗ったバギーは一路、独立派の拠点へと向かっていた。  

 

・・・。  

 

数日後・・・たどり着いたそこは、完成されずに放置された食料供給用のファームと、

その作業員達の住宅になるはずだったで有ろう町…の建設現場であった・・・。  

「なあ、ここが君達の本拠地かい?」  

アキトが尋ねる。  

「・・・ああ。・・・だが、その言い方は少しばかり違うな・・・。」  

ツキオミがそう言う。  

「アタシ達の戦いは最後の一人が倒れるまで続くと思う。

 ・・・本拠地は構えないわ。そこが落ちたら終わりだもの。・・・しいて言うなら拠点全てが本拠地なのよ!」  

強い口調でナツメが続ける。  

「・・・アキトさんが加わってくれて、本当に良かったです。

 ボク達には戦える人が数えるほどしか残っていません・・・。」  

アムがそう補足する。  

「じゃあ、場所を確保したら直ぐにエステを取りにイコ。」  

ラピスである。  

 

・・・。  

 

「で・・・何でここには誰も居ナイノ?」  

ラピスの冷静な声が辺りに響く・・・滑稽なほど。  

「ああ、アタシ達は言うなればレジスタンスだからね。・・・地下に隠れ住んでるのさ。」  

「でも・・・それじゃあ、あのファームはどうスルノ?」  

「・・・残念ですが使用はしません。敵の目を欺く為です。」  

「本当なら、あそこから全員分の食料を供給する予定だったのだがな。」  

 

・・・。  

 

どうやら、形勢は余り芳しくないらしい。  

「その前に聞いておきたい。・・・戦力はどのくらい有るんだ?」  

アキトの質問。

・・・だが、途端に皆の表情が暗くなる・・・。  

 

・・・。  

 

・・・しばしの沈黙。・・・やがてアムが重い口を開いた。  

「結論から申し上げます。・・・拠点防衛に当たるものが訳十名。

 ・・・その外は、アキトさんを除いて一人だけです・・・。」  

「但し、相棒の『菊』の傷が癒え次第俺も戦線に復帰する・・・もう、そろそろのはずだ・・・。」  

ツキオミが少しだけ笑う。・・・笑うしかなかった。  

「ふふ・・・正気か!?たったそれだけの人数でどうするつもりだ?」  

アキトが呆れかえった。  

だが、  

「・・・そうです、絶望的です。・・・けど。」  

「アタシ達には、もう逃げ場はない。・・・火星の向こうには人の住める星なんてないんだ…やるしかないのよ!」  

アムとナツメは力説する。  

・・・本来ならば、もう既に脱出している頃合である。

…ここまで追い詰められたのだ。

…木連が地球を恨んでも仕方の無い話だろう…。  

 

だが、  

 

今、ここには『テンカワ・アキト』が居る。  

この世界を変えられるだけの力と知識を持った存在が・・・。  

 

・・・。  

 

そこに…地下から男が飛び出してきた!  

スタっ・・・。  

「フム…クサカベ閣下…そ奴がテンカワ・アキトですかな?」  

 

「ククク…大層な面構えよ。」  

その声は、その顔は、忘れようとも忘れられなかった顔。  

「…我には分かるぞ。貴様、かなりの場数を踏んでおろう?」  

 

…爬虫類じみた男。  

 

「我は!」  

 

・・・北辰!!  

 

「…ちょっと待って。タックン…。」  

 

…あれ?  

 

「如何なされましたか。閣下。」  

「…いや、その…閣下って、アタシ?」  

…おーい。  

「はっ。先代が亡くなった今、我が主はナツメ様ただお一人。」  

「…んー。でも何かしっくり来ないし。」  

「…我は閣下に忠誠を誓い申す!」  

…もう良い。  

「ん…言い忘れたが。」  

…お、名前か?  

「ツクオミ」  

…は?  

「…菊が直った。」  

「おおぉ、菊がか!?…さびしい思いをさせた…。」  

 

・・・。  

 

「うむ。物は…これよ。」  

ひょい・・・。  

刀が一本投げられる。

 

…ぱし  

「おおオオオおオオっ、菊っ!我が愛刀…菊一文字よぉぉぉっ!!」  

 

スリスリ・・・・・・・・・・・・。

 

…ツキオミは刀にほお擦りしている…血まみれになって。(ヲイ)  

《…ゲンゴロウさんはああ言ってますけどボク知ってるんです。

 …あれ、無銘なんですよ…あの人が個人的に菊一文字って呼んでるだけで。》  

《アキト。ツキオミ・・・刀剣マニア?》  

《…聞くな。》  

 

・・・正直、皆の余りのギャップにアキトでさえもついていけない。

・・・これが本当にあいつ等の先祖かと、アキトは疑い出していた。  

が、  

「・・・テンカワ・アキト。言い忘れたが我が名は『北方 辰彦』(キタカタ タツヒコ)覚えておけ。」  

(…!何時のまに背後に!?)  

そう、アキトの意識が離れた一瞬を突き、男はアキト達の背後に回りこんでいたのだ。

そして・・・!?  

 

 

  ヒュン!

 

タツヒコの手刀がアキトに迫る  

 

ズザッ!

 

…それをスウェーで避けるアキト。  

「貴様!…何を!!」  

…と言う暇も有ればこそ。…第2撃は回し蹴り!  

 

ズガッ・・・・!  

 

・・・。  

 

…アキトは回し蹴りを腕でブロックした後、軸足を払っていた…。  

 

・・・。  

 

「…ククク。やはり大した物だな、テンカワ。…我とまともにやりあえた者は今までおらなんだ・・・。」  

「・・・このまま、最後までやるか?」  

…先ほどより数十分。

…二人の戦いにより倒壊しかかったビルが一棟完全にチリになっていた・・・。  

「それは良い…が今は遠慮させてもらう。…時に汗を掻いた。風呂場まで案内してくれよう。」  

・・・で、ここは銭湯になるはずだった建造物。  

「・・・くっくっく、テンカワ。我は貴様を一目見たときから分かっていたぞ。

 貴様は我の真の正しき友になるべき者だと・・・な。」  

頭にタオルを乗せ、湯船に漬かりつつ…そう言い放つタツヒコ。  

「…どうしてそう思う?」  

アキトは流石に直ぐには信用できないようだ。

…こちらも湯船の中だが二人は5m程離れている。  

「我が友になるべき者は屈強なる漢で無ければならぬ。」  

「…ツキオミはどうした?」  

「あやつは我が正しき友になるのを拒否した。…ただの友よ…あやつは。」  

タツヒコはことさら不機嫌なようだ。  

「・・・ただの友と・・・正しき友?・・・どう違う。」  

アキトが怪訝そうに聞く。

・・・まあ、いきなり突きを入れて来るような奴の友人などやっていられないだろうが・・・。  

 

・・・。  

 

どうやら・・・聞いては・・・いけなかったらしい・・・。  

 

・・・。  

 

《アキトさん!逃げてください!!》  

は?  

じり・・・。  

 

アキト・タツヒコ間・・・4m50cm。  

 

じり・・・じり・・・。  

 

アキト・タツヒコ間・・・4m10cm。  

 

じり…じり…じり…じり・・・。  

 

アキト・タツヒコ間・・・3m20cm。(汗)  

アキト・タツヒコ間・・・2m50cm。  

アキト・タツヒコ間・・・2m40cm?  

アキト・タツヒコ間・・・2m!  

 

・・・。  

 

「おい、お前、なんで近づいて来るんだ?」  

 

ず・・・。  

 

アキト・タツヒコ間・・・1m30cm  

 

「ふっふっふ。・・・さあ、」  

 

ずずず・・・。

じり・・・じり・・・じり・・・。  

 

アキト・タツヒコ間・・・40cm!(大汗)  

「正しき友よ・・・。ぐっふっふ・・・。」  

 

ズズズズズズ…ドン。(壁)

じりじりじりじりじりじりじりじり・・・・・・・・。  

アキト・タツヒコ間・・・20cm5mm(冷や汗)  

 

「熱い友情について・・・。」  

 

じ・・・り。  

 

アキト・タツヒコ間・・・10cm!!!  

 

「熱く語り合おうぞ!!・・・一晩中!!!」      

 

ガバッッッ・・・・・・!!!!!!!      

 

そんな擬音を立ててタツはアキトに跳びかかった!

逆光の中を・・・!

海老反りで・・・!!

ビクンビクンと筋肉を誇示しつつ・・・!!!(嘔吐)

爽やかさなど微塵も感じさせない不気味な笑みを浮かべ・・・!!!!

ヨダレ滴らせながら・・・!!!!!  

 

・・・。  

 

「ウォォォ…

 大大オオオオオオg帆rhレオ四得お四mンゐCン23b3tj二つ四名アアアアアアアアアアアアアアアアアア

 嗚呼アアアアアアアアアアアア嗚アアアアアアアアああアアアアああああアアアアアアアアアアアアアアアアアア

 嗚呼アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアああアアアアアアア

 ア・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!!!」  

 

…アキト、危うし!  

 

・・・。  

 

…ダムッ!  

 

・・・。  

 

ぼちゃん…。  

 

タツはアキトの目の前10cm手前に墜落した…。

湯船に赤いのが広がる。  

 

スタッ・・・。  

 

「『ボクの』アキトさんを性的倒錯者の餌食になんかさせません!」  

アム、登場。

…手には・・・対戦車ライフル!?  

 

「あ・・・助かった・・・のか?」  

「はい。…良かったです。間に合って。」  

「・・・そ、そのライフルは?」  

「あ、大丈夫です。」  

「・・・そうなのか。」  

安心するアキト。これで死んでたら流石に寝覚めが悪い。  

「私でも扱えるよう、反動を抑えてありますから・・・。」  

アムちゃん。それ、論点が違う・・・。  

ちなみにラピスは改造ライフルからの後方への爆風(反動を抑えるため)に吹っ飛ばされて気絶中。  

「・・・うう、アキト・・・。」  

それでも考えるのはアキトの事。…健気だ。  

 

・・・。  

 

そんなこんなで最初の1日が暮れる・・・。  

「ねえ、ツキオミ君。アタシさあ、思うんだけど・・・。」  

「ん?なんだ。(スリスリ)」  

「アキトにタックンの事、教えとけば良かったかな?」  

「!・・・忘れてたのか!?」  

「うん。」  

「…。(テンカワ、哀れだな)」  

 

・・・。   こうしてアキト達の新生活は最初からつまづく事となった・・・。  

はたして今後のアキト達の運命やいかに?

・・・数ヶ月後、間違い無く連合軍はまたやってくる。…それまでに策を講じられるのか?  

ちなみに…歴史書に書いていない事にはそれなりの訳が有るのだなと思わず感心してしまうアキトであった。  

 

 

−−−その頃−−−  

 

「凄い!・・・そうか、ここはこう言う風に・・・う、こんな精度の良い部品なんてどうやって手に入れたんだろう?」

 

  ・・・。  

 

「・・・しかし、無茶苦茶な機体だよねぇ。

 ・・・異星人の技術!?・・・まさかね…あはは。」  

 

・・・ヤマサキはエステを調べる為、まだシャトル集積所にいた・・・。  

 

::::後書き::::  

BA−2です。第7話はギャグです。面白かったですか?

刀剣マニアのツキオミは意表を突いたと思うんですが。  

書いてから気づいたんですが・・・全国のタツヒコさん。ごめんなさい!

・・・早く機動兵器戦を書きたいです。…最初の方はとにかく一方的で笑えるものになると思うんで・・・。

ただ、BA−2は気まぐれなんで…現実での気分で作風が変わっちゃうんですよね。

では、こんな物で良ければ応援よろしくお願いします!!

 

 

 

 

管理人の感想

 

 

BA-2さんからの連載投稿です!!

美味しい処を独り占めだな・・・タツヒコさん(爆)

BA−2さんの作品の中で、これだけ異彩を放つ人物は珍しいですね(苦笑)

ま、ゲンゴロウさんも結構アレだけど・・・

血塗れになりながら日本刀にほほずりって(汗)

深い愛情が伺えますね(なんか違うだろ、それは)

 

ではBA-2さん、投稿有り難う御座いました!!

次の投稿を楽しみに待ってますね!!

 

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