『時の流れに』アフターストーリー



コンサート



木星と地球、この両者で行われた不毛な戦争は一人の英雄の活躍によって終結を迎えた。




……其の名は、テンカワ・アキト。またの名を『漆黒の戦神』…。



だが、彼を良く知る者は言う…。

彼は決して幸福な男ではなかった…と。



過酷な幼少時を過ごした上、『ユートピアコロニーの悲劇』を身をもって体験した男。

…そして、過酷になる戦争の中…生きながら伝説と化し、それ故に周囲から疎まれ続けた…。
(一部に熱狂的な味方はいた)


…不幸である…何処までも。


だが、それに対し同情するものは少なかったりする。


だって…もてまくるから。(爆)


…強さと優しさを兼ね備え、料理も一流で大金持ち。

その上付き合っている女性は20人近く…!?



…更にこの物語の頃はそんな女性関係に冷却期間をおくという名目(そんな物があったのか?)で、

逃亡集団『自由への脱出』を率いるテロリストでもある。


…はっきり言って、こんな男に同情できたら大した物だ。

少なくとも男なら、出来る奴はそう居まい…。


…。


いやね、何がいいたいかって言うと…ここまで幸せ要素揃ってて、それでも幸せになれない辺り、


アキトって、

何処までも救われない奴だな…って事。(ヲイ)


…。


…想い人が振り向いてくれないハーリーが不幸なのは当然である。

…アキトに敵対する立場である草壁が事実上敗北したのも当然だ。


ヤマダの自業自得も、当たり前の結果ではあるし、

アカツキの『大関スケコマシ』陥落も、相手(アキト)が悪かったのだから当然である…。



…だが…現状でここまでの力を持つアキトが不幸なのはどういうことだろう…?

普通なら嫌でも幸福になりそうなものだが…。(汗)


…。


と言う訳です。…判りますかアキトさん?」

「いやー…判らないんだけどね…縄、解いてくれない?…ルリちゃん?」


…ここはナデシコ内の「お仕置き部屋」

遂に捕らえられたアキト他数名が、ここに軟禁されていた。


…なお、今までのは長々としたスライドであったりする。(笑)


…なお、軟禁と監禁の違いは、食事の有無なのだとか…。

故にアキトは、輪を掛けて不幸であったが。(笑)



「あのー…アカツキの奴は?」

「アキトさん。アカツキさんなら既に結婚式の会場に向かわされました。


その言葉づかいは…何気に強制執行であった事を示唆している。

なお、結婚相手が誰であるかは、BA−2の旧作を読んでくれれば良くわかると思われる。(爆笑)


「さて…本題です。…アキトさんは何故、幸福になれないのでしょうか?

「そんな事こっちが聞きたいよ…。(泣)」


「ラピス!」

「ルリ、OKだよ!!」


…そして出てくる報告書。

よく見ると、精神科の病院名がズラズラと並べ立てられていた…。(汗)


「アキト、これはアキトが気絶してる間に精神科の医者に見せた結果だよ。」

「…一応催眠術を掛けてもらいました。…で、結果が出たんです。」


「…へぇ…それで?」


…その瞬間、部屋の温度が確実に5℃は下がった。(何故)


「…アキト。逃亡中の浮気遍歴は記録しといたからね…。」

「後でお仕置きです。(何故か嬉しそう)


「…げべーっっ!!」


正体不明の叫び声を上げるアキト。(声的にはダンジョンキーパーのインプが死ぬ時の音か?)


ただ…考えてみれば、その『お仕置き』の内容は、男なら生唾物である可能性が高いはずだが、

…何故ここまで怖がる必要があるのだろう…?(極爆)


但し、アキトがそれを喜んで受け入れるようになったら、
家のSS内でアキトが
生きていける場所は無くなると断言しておくが…。(爆)


…。


「さて…では早速報告します!!」

「アキトは…強迫観念に捕らわれてるんだよ!」


「は?…強迫観念?」


「そう…幸せになったら、何時かしっぺ返しが来るのではないか…?という思いがアキトさんには渦巻いているんです!!」

「…ほら…前のユリカとの事とか…。」


…確かに、アキトの半生は幸福と転落の繰り返しだったと言えるかもしれない。
(落ち続けてるだけと言う説もあり)


「そうか…俺は…無意識の内に、幸せになるのを怖がっていたのか…。」

「はい、ですから…」


ズラッ…


某同盟主要メンバーが、なにやら派手な衣装で登場した。

見ると、横からプロスも入ってくる。


「こ、これは…!!」

一番星コンテストですよ。テンカワさん。」


「ほわーっつ?」

「ふっ…以前のコンテストは貴方が居なかった所為でおじゃんになるところでしたがね…。」


…そして、プロスはゲンドウ張りのニヤリを浮かべる。


「誰も一位が居ないので、希望者全員テンカワさんとデビュー…と言う訳でしてハイ。」

「キボーシャゼンインーーっ!?」


そういえば、優勝ならアキトとデビューだったな…確か。

成る程、上が誰も居ない=1位なら、全員一位を名乗っても良い訳か。(屁理屈)


「さあ、世界に希望を…ネルガルに莫大な収益をもたらす為に…行きましょう!!」

「プロスさん…アンタ一体何の権限で…!!


「あ、申し忘れました。…私、マネージャーを勤めさせて頂きます。(任命:ルリ)

「なぁ?…何処まで決まってるんですか…。(泣)」


…すると、一枚の紙がアキトに手渡される。(回答:歌う曲まで決まっている)


「コレをテンカワさんに歌ってもらいます。」

「…練習するんですか…これから?」


…歌詞の内容は、勝手にご想像ください。(爆)

因みに…アキトには感傷に浸る暇など与えられる訳が無かった…。


「アキトさーん、急いでください!」

「アキトー、もう本番だよーっ?


「…なんですとーっ!?」

「大丈夫ですよ、取りあえず歌うふりだけで結構!!」


…どうやらプロスは、アキトをネルガルの宣伝に使いたい様子だ。


「うう…コレの何処に幸せにつながる鍵があると言うんだ…?」

「決まってるじゃないですか。」


突然アキトの前に現れるルリ達。


「疾風のように現れて、世界中の人気を独占する新鋭アイドルグループ!!」

「しかし!…リーダーである男はある日突然、電撃引退を発表するのです!!」


「俺…リーダー…なの?(唖然)」


「理由はメンバーとの結婚の為…。(ぽっ)」

「そして二人(?)は皆に祝福されて幸せになる…と言う訳です。(ぽぽっ)」


…二人で済むのか!?(ヲイ)

いや…それ以前にマスコミに追い立てられて幸せになれるとは思いがたいが…。


いや…まず最初に、同盟側の幸せしか考えてないように見えるのは俺だけでしょうか?(爆)


…。


そして…アキトは無理やりステージに引きずり上げられた…。(涙)

恐らくかなりの数は強制的に集められて来た物だろうが…10億を軽く越える観衆がそこに居る…。


…なお、舞台は宇宙空間に浮かぶ急造のコロニーである。



「あ…あの…その…(滝汗)」


上がりまくるアキト。だが、突然これでは仕方ない。

そこで、こういう場に一番慣れている方が代役を務める事に…。


「みなさーん!こんにちはーっ!!(にこっ)」

「め…めぐたーーーーーん!!」


…観客席の一角から、狂信的な声が上がる。

そして、それに同調しなかったものに対し、攻撃を開始した!!



「な、何故!?」

「…ね、熱狂的ですね。(汗)…では、ここは私が納めて見せます!!」


「…落ち着いて下さい。」

「る…ルリルリだーーーッ!!」



その一声は更に喧騒と暴力を加速する!!(滝汗)

デビューする頭数が半端ではない為に、ファンの間に既に派閥が出来ているらしい。(ヲイ)


…。


どがっ…ばきっ…がしゃーーーん…


台風の如きバイオレンスの嵐!

時折ステージに登って、お目当ての子に近づこうとする連中を排除しながら…アキトは泣いていた。


「何でこうなるんだろう…俺って…幸せになんてなれないのかな…。」

「大丈夫だよアー君、きっと平和は直ぐそこ…。(何かずれた答え)


混乱に乗じ、不埒な事を企んでいた男の返り血を全身に浴びながら、枝織ちゃんが答える。

あれ?…彼女はコンテストに出ていない筈では…?
(プロス談:細かい事を気にしてはいけません)


「でもこれじゃ、コンサートは中止だね。」

「ええ、むしろ警官隊の突入が要りますね。


…その時…ステージの下から声がした。


「そうかよ…なら!!」


がばっ…

突然ステージがまっ二つに割れ、中から赤い機体が姿を見せた!!

当然吹っ飛ばされる同盟メンバー他!!



なら……俺の歌を聞けーっ!!」



…バサラさん。アンタ…何故ここに?(汗)

…だが…誰も疑問をはさむ余地も無く、彼は一通り歌うとさっさと行ってしまった…。


「う…あの人に…女性問題あったっけ?(メグミ)」

「痛た…。メンバーの女の人と…花束の女の子でしょうか?(ルリ)」


「違うな…奴は聴衆が居る所ならば何処にでも行くだろ…。(北斗)」


…そう、『自由への脱出』は女関係からの逃亡者だけで構成されているわけではない。

こういう、一種の趣味として参加している連中も居るのだ…。


…なお、そう言う連中ほど厄介である事は言うまでも無い。(笑)


なにせ今回も…バルカンから発射された小型マイクに直撃されて倒れる連中が随分出ていた…。

なお、小型と言っても機動兵器レベルでの小型であるし…。


初速も大きいはずだ…人に当たったら即死だろう。(ヲイ)


「でも…おかしいよ。…それならあれだけで帰る訳が無い…。」

「そうですねアキトさん…アキトさん!?」


…アキトは居ない。

そして…顔を付き合わせる同盟メンバー!!


「「「「「「まさか…図られた!?」」」」」」


その通りである。しかも…よく見ると、屋根の上に誰かが居る。


「…!!…貴方はヤマダさん!?」

「違う!!」


「では…あ、いえ…聞くだけ野暮ですね。」

「俺の名はダイゴウジ・ガイだっ!!…今日は故あってここにやってきた!!」


「アキトさんを…連れ出すためですか!?」

「いや、全然。」(なお、アキトの情報を同盟に売ったのもコイツ)



…。(痛い沈黙)



「…あー、まあ何だ。…バサラの奴に手伝ってもらったのは他でもない。」

「…何ですか?(怒)」


「時空を渡り歩いてた時に、ある熱い男と出会った…そいつは歌手デビューを目指しているらしい。」

「そんなの勝手にすればいいでしょ?」


「だがっ!!…そいつは家業を継がねばならなかった。…そこで俺は考えた!!

「ガイにも…考える脳みそあったんだ…。(驚)」


…今日はいつもにも増して熱い語り口のヤマダ…。

だが、奴が出てくるということは…これのオチも見えたな…。(爆)


「じゃあ始めるぜ…バサラの撒いたマイクも絶好調だぜ!!」


そして現れる今回のメインゲスト!!(なお…こいつに歌わす為だけに、アキトは捕まったのである)


「有難う、心の友よ!!」


とてとてとて…っ

何故かラピス…全力で逃走開始!!(爆)


「皆…今日は俺のリサイタルに集まってくれて有難うよ!!」


…その姿を見た瞬間、彼に見覚えのあった観客たちが全力で逃げ始める…!!

なお、彼を見に来たものはこの中に一人も居ない…と言う事実は語るまでも無い…。


「じゃあ始めるぜっ!」

「おお、タケシ…全力でいけっ!!」


…そう言うわりに、耳栓装備のヤマダ…。(汗)


『あー、あー、マイクテストマイクテスト…ん!…おお、心の友よ!!


…その時…不幸な目撃者たちは見た…。

白い装束を身に纏う、頭に三本毛を生やしたオバケが…コロニーのゲートに入り込んでくるのを…。


そう、オバケのQ太郎だ!!(知ってる?)

実はコイツらの住んでいた場所は意外と近くにあるらしい…。(カミナリさん宅より推測)







…。(嵐の前の静けさ)








「俺ーは、ジャイアーン!!…ガーキ大将ーーーっ!!!(ある意味、伝説の一曲)」

「頭に三本毛を揺らし…浮かぶー青空風任せーーーっ!!(最悪音波)」(コレ…判るかな?)
なお、昔のオバQのオープニングテーマです…若い人には分からないかも…。



…。(崩壊)




…その後の惨劇は語るに及ぶまい…。(ヲイ)


…。


そして…当のアキトは…脱出ポッドで宇宙をさ迷っていた。
偶然見つけたにしてはたいした
悪運である。


…なお、彼はこの後、窒息寸前の所で味方に救われる事となる…。


…こういう事に幸運を使ってばかりだから、アキトは幸せになれないのかも知れないが…。(ヲイ)

だが、彼は今…。



「ああ、静かだ……何か、こう言うのって…幸せだな…。」



テンカワアキト…極め付けに不幸な男であった…。(汗)


::::後書き::::

BA−2です。最近アフターが進んでいないのでリハビリ代わりに書いてみました。

…何気にヤマダ迷惑劇場です。(ヲイ)


でも、実際この状況では、そっとしておいてくれる方が幸せだと感じるかもしれませんよね。

アキト…不幸だな(ヲイ)


なお、作中の人物・団体は、実際に存在するいかなる物とも関係がありません。(いやマジで)


では!

 

 

代理人の感想

迷惑劇場だったのかっ(爆笑)!

 

 

取合えず、歌声でコロニーが分解しなかったことを祈りましょう(爆)。