機動戦艦ナデシコ  アナザーストーリー


世紀を超えて

第102話 命の価値(後編)




…アキトが地下深くをさまよっている頃…ナデシコはアキトを追って、

ここ、ユートピアコロニーまでやって来ていた…。


「…アキトアキトアキト…なんでユリカを置いていっちゃうかなぁ?」
「ブツブツブツ…失策です…なんでこうなる事が判っていながら…。」
「アキ君ってば…よりによってミナトさんだなんて…クスッ。(邪)



…目を血走らせた夜叉3人の決定により、全速力でナデシコは行く…。


「とほほ…完全に備品の私物化ですな…。」

「プロスさん、耐えましょう…全てはテンカワが悪いんです!!」


…既に決定事項に関わる事すら出来ないプロス・ジュンのコンビは、

さめざめと泣きながら復権の時を待つ…。


現在のナデシコはそんな状況だった。


…。


「…あ、艦長!…ミナトさんです!サフィーも居ますよ!!」

「よーし、抜け駆けさんを捕まえちゃいましょう!!」


暫くして、ナデシコはユートピアコロニー跡地に辿り着く。

そこでミナトたちを見つけて意気あがる二人だが…、


「…あ、二人とも待ってください!」

「「いい所なのに!!」」


…メグミに遮られる。

そして、彼女の指差した方向にはと言うと…。


「あ、ゴートさんが手を振ってます。」

「…見慣れない人も居るねルリちゃん。」


「…では回収します。(それ、イネスさんですね。)」

「…それにしてもいっぱい居るねぇ…。」


「…はい?」


よそ見をしながら回収指令を出したルリだが、ユリカの一言に驚いて外を見る。

すると…なんと数十人もの人数がぞろぞろとナデシコに乗り込んでくるのが見えた…。


「…凄い数ですね。(イネスさんだけじゃないんですか?)」

「そうだね。」


…内心びっくりしながらも、努めて冷静を装うルリ。


「なんだかお金持ちそうな人がいっぱい居ますよ。」

「…そうですね。」


…内心ビックリしながらも、何時もどおり…に見えるメグミ。


「…あれ、なんで地球に居る筈のお父様のお知り合いが…?」

「…そうなんですか。」


内心ビックリし、外側から見てもビックリしているのがありありと判るユリカ…。

そして…。


「…なんでこんなに!?…食費が、日用雑貨が…酸素がぁぁあぁああっ!!」

「プロスさん!…まさかぎりぎりしか積んでこなかったとか言わないですよね!?」


…ぴたっ


「…今日はいい天気ですなぁ…ハイ。」

「…そのまさかかぁあああっ!!」


…いきなりの冷たい方程式。(笑)

しかも、冷たい方程式の本来の出番はまだ先…。(TV版の副題ね)


その上…プロスが明後日の方向を向いてるし、

珍しくジュンがまともなツッコミ役!


…。


そして、そうこうしている内に…ブリッジにゴートとイネスが上がってきた。

…ついでにミナト&サフィーも。


「ミスター。フレサンジュを連れて来たぞ。」

「…このままでは…このままではぁぁっ…。」


…しかし、プロスは崩壊している。(爆)


「ゴートさん、プロスさんは壊れてるんで…。(苦笑)」

「むう、では艦長…ナデシコ開発者の一人をお連れしました。」


…ゴートがそう言うのと共に、イネスがユリカの前に一歩踏み出す。

そして、開口一番こう言い放った…。


「…とっとと帰りなさい。(爆)」


…。


「…ぶにゃ…?」

「ナデシコの基本設計をしたのはこの私…ナデシコでは木星蜥蜴には勝てないわ…。」


…しーーーん。


黙り込む一同。

今回は、心当たりが大有りだったからだ。(爆)


「だが、私達は今までの戦闘で常に勝利してきた。」

(((そりゃ嘘だ!!)))


…ゴートの台詞に、取りあえず全員で突っ込む。(爆)


少なくとも、ここに居る以上勝っているのは間違いないが、

とてもじゃないが勝っている気にはなれないのだ…。(あの内容では仕方ないが)


「これからもそうとは限らないわ。」

「フレサンジュ…だが、そうならないとも限らんだろう!」


「なるわ!!」

「ならん!!」


「間違いないのよ!!」

「99.9%そうだとしても、0,1%は大丈夫だ!!」


子供の口げんかのような応答が続く。(汗)

それに気付いたのか、イネスは脱線した話を元に戻した。


「こほん…じゃあ、貴方達は木星蜥蜴について何を知っているの?」

「うーん、メス美少女オス化け物面ってことぐらい?」


…ズサササーッ!


イネス顔面を滑っていく!

…しかし、北辰達のせいで木連に妙な偏見が生まれつつあるのは事実のようだ。(汗)


「…いや、そうじゃなくて…あ、アレを見なさい…。」

「…はい?」


…イネスが指差した方を見ると、数匹のバッタが乱れ飛んでいる。


「…共食いよ、何でかは知らないけどね。」

「…あー、ホントだ…。」


…ヒューン。


「決着がついたみたいね、こっちにも一匹飛んできたわ。」

「…敵機の機体温度、急激に上昇。」


…くるーり。


「るりちゃん?」

「…自爆する気みたいですね。」


…ピキシッ

その時、ナデシコブリッジの時が止まった…。


…。


…ボン!!


けどまあ、それでも敵の動きは変わらないわけで。(笑)

ブリッジ至近距離で、そのバッタは自爆した…。


「…けほっ、危ない所だったぁ。」

「普通なら死んでるところでしたけどね。」


…無論、全員ア


…あれ…ルリだけ無事だ?

ルリはサフィーを両腕で抱き上げながら言う。


「ありがとうサフィー、身を呈して守ってくれたんですね…。」

「けほっ。…お姉ちゃん、酷いのー−−っ!!」


にしたんかい!!(汗)


それはさておき、もう埒があかないと判断したのかイネスはそのまま喋り続ける。

…黒焦げのままで。(極爆)


「とにかく、私達はこの船に乗る気はない」


…ゾロゾロゾロ


「おおー、ここがナデシコのブリッジか?」

「いやー、旦那様…美女揃いというのは本当なんですねぇ…。」


…いきなり、10名ほどの避難民(?)がブリッジに上がってきた。

但し、格好は観光客にしか見えない。(爆)


「…イネスさん、この人たちは乗る気満々なんですけど。」

「…一緒にしないで。(汗)」


…イネスが吐き捨てる理由をいぶかしむユリカ。

だが、怒涛の展開はそんな感傷を許さなかった!


「のう、艦長さん?」

「え、あ、はい?」


…避難民?の一人がユリカに近寄る。

いかにも金持ちそうな、初老の男である。


「ハイ、チーズ!」

「え、ええ?」


…パシャ…

とられる写真。


「…あのー、これは一体?」

「記念じゃよ記念。…うー、可愛いのう。」


…すりすり


ひぃいいいいっ、ヒゲゾリゾリと気持ち悪いーっ!!」

「ほっほっほ。」


謎のヒゲ面のほお擦り攻撃に身悶えるユリカ。

…しかし、ユリカはまだマシな方だった。(汗)


…。


「お・嬢・ちゃん、出・て・おいで♪」


「絶対嫌ですーッ!!」
「同じくなのーッ!!」



…怪しい目つきをしたマニアによく似た人種(爆)風の男が、

通風孔に立てこもったルリたちを呼んでいる。


…だが、年頃の子が、ハァハァとっている野郎に前に出て行くわけが無い(汗)

半泣きのルリ達の運命やいかに…というところだろうか…?


…。


そして、ミナトはと言うと…、


「なあ、ミナト君…うちに戻ってきてくれないか?」

「…社長、そんな事言いたくてわざわざこんなとこまで?」


…以前の勤め先の社長から再勧誘を受けている。

因みに、彼女の前歴は社長秘書だ。


「…じゃあ、これでどうだい?」

「ひぃふうみい…1000万…?」


「…そうだ、これでも戻って…。」

「…二桁足りないわね。…私は高いわよ?(爆)


…パタッ

倒れる名も無き社長さん。(爆)


…しかし、流石はミナトさんである…。

それからも、彼女はやんわり?敵の猛攻?をかわしていくのだった。



そして…更にもう一人。


「メグたーーーん!!」

「…ちょ、離れてください!!」


…メグミは声優マニアに襲われていた。(汗)


「ライチの声やって、ライチの!!」

「お断りします!!」


…ダダッ

堪らず逃げ出すメグミ!!


「ああっ、待ってよー!!」


…ドタドタドタ


おっかけ野郎もその名の通り追いかけていく…。

そして、二人の姿がブリッジから見えなくなったその瞬間。


…ドガッ!…バキッ!…メキッ!!


…嫌な音が聞こえる。

…そう、強いて言うなら骨が折れたり筋が切れたりするような。(汗)


…。


…プシュン

そして、再び扉が開いた時…メグミのみがブリッジに戻ってきた。


「ふう、ようやく逃げ切りました。」

「メグ…ちゃん?」


しかも両腕をハンカチで拭きながら、メグミは爽やかに言ってのける。


「もう、艦長聞いてくださいよ、あの人私にコスプレまでさせようとしたんですよ!」


「…えーと、で、あの人は…?」

「うーん、途中で巻いちゃったから判りません。」


…メグミのその言い方には全くよどみが無い。


訝しがりながらも、ユリカはふと目を外にやる…と、

赤い点が地面に見えた。(汗)


「…あ゛。」

「あ、あの人エアロックから落っこちちゃったみたいですね。(微笑)」


…しかも、簀巻きでだ。(爆)

少なくとも、間違って落ちたという雰囲気ではない。


「…あの、メグちゃん?」

「何ですか艦長?(にっこり)」


…この瞬間、ユリカは全ての詮索を諦めた。(汗)


「…いいのかなぁ?」

「…いいんですよ。」


そして、その回答を聞いたユリカは艦長として言い放つ。


せっかくだから全部放り出しちゃってください!!

「「イエッサー!!」」


…ポポイポイポイポイポイ…!!


放り出されるセクハラ集団。

…少なくとも、ユリカ達は彼らを避難民としては認めなかったようだ。


…。


…ガチィッ!!


だが、カギヅメがナデシコに投げつけられた。

そして、そこから彼らはよじ登って来る…血まみれのままで。


「か、艦長!…ディストーションフィールドを!!(絶叫)」

「…待ってくださいルリさん!…あの方達の中にはネルガルの大株主が!!」


…ギロリ


ルリ達の一睨みで、プロスは退散せざるを得なかった。(汗)

だが、彼にも企業人としての意地がある!!


「しかし、例えばあの方…ネルガル株の18パーセントを所有…。」

「…してません。」


…きっぱりと言い切るルリ。


「…は?」

「あの人は数日前に殆どの持ち株を手放しています。…いえ、殆どがそうです。」


「何故、そう言い切れるのです?」

「私…マシンチャイルド(少女)ですから。」


…取りあえず、プロスはそれで納得した。

だが、実はルリ…裏でネルガルの買収を進めていたのだ。


(これで世界を牛耳って、アキトさんとの幸せな生活を…。)


…ただその為だけに、既にネルガル株の約60%を手中に収めている。

…但し、なんでそんなに手に入ったのかは不明だ。(爆)


そんな訳で、現在ネルガルにはルリとアカツキ以外の大株主は居なかったりする。

無論、ルリの方は何人分もの偽名を使って居るのでそんなに大きな株主には見えないが…。


…。


…まあ、何にせよ…それは大きな効果を上げたようだ。


「つまり、アレは大株主でも何でもない、無礼な集団という訳ですか。」

「そんなのがユリカを…ユリカを
…おのれえええっ!(滂沱)


…ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


凄まじい擬音を立てながら、怒りをあらわにするジュン&プロス。

特に、ジュンは血涙を流している。


そして…ここに、男性陣からも承認を受けたユリカは、



























TV版第6話をなぞるかのように…

…静かに唇を…動かした…。(爆)



























…。


そんな訳で避難民?達をぺしゃんこにして排除したナデシコは、

何処と無く無駄に爽やかな風を巻き起こしつつ火星の大地を飛んでいく。


イネス・フレサンジュはきっちり仲間に加わったので結果オーライというところだろうか?


それに、今回はユリカが苦悩を背負い込む事が無かった分、

多少は良かったとも言えるかも知れない。


…。


そして、それから暫くして…ユリカの元にウリバタケがやってきた。

ちょっと冷や汗かきながらウリバタケはユリカに聞いてくる。


「なあ艦長、コウの奴は何処いった?」

「…え、コウさん…って誰だっけ?」


…何気に全部忘れてるユリカ。(苦笑)


「…金色の人なの。」

「あ、そうだった。…で、コウさんがどうかしたんですか?」


「おお、奴の姿が見えないんだが。」

「…ええっ、何処行ったんですか?」


…それに対し、ミナトさんが言いにくそうに割って入った。


「…さっき、例の連中と一緒に艦長が叩き落してたような。」

「…あ。」


…なんてこったい!!

まあ、彼がこんな所で死ぬとは思えないが…。


「あはは、ドンマイドンマイ!…人間失敗する事もありますって!」

「そうですよ、艦長の言うとおりです。」

「私もそう思います…ホント、馬鹿ばっかだけど。」


「…テンカワもいないんだが。」


…ピキシッ!!

急激な速度で固まる空気。


「あああああああああああああっ!!」
「アキトさん…帰ってきてません!!」
「ど、ど、…どこに居るんですか!?」



「…多分、あそこの地下にまだ…。(汗)」


…混乱極めるトップ女性陣に、ミナトがボソッと言った。

ちょっと冷や汗かいているところを見ると、彼女もものの見事に忘れていたらしい。(爆)


もっとも、その一言は混乱を悪化させるだけだったようだが。


「ど、ど、どうしよう…アキトーーーっ!」

「か、艦長…急いで戻りましょう!!」


「…お、オモイカネ…急いで………え?」


…ルリが固まる。


「…ど、どうしたのルリちゃん…?」

「…お、お、お、オモイカネが…、」


愕然としながら続けるルリ。

…無意識に凄い事をやってのけている自分に半分驚き、半分呆れながら彼女は次の言葉を発する。


「オモイカネがいませーーーん!!(泣)」

「まさか、さっきの所に落っことしちゃったの!?」


…何時の間にやら、ルリはオモイカネ無し艦の基本制御が出来るレベルに達してしまったらしい。

たれまくっている割に、(能力的には)成長しているようだ。(汗)



…。



そして同時刻、ディストーションフィールドに押しつぶされた跡地に人影が見える。


「オモイカネ君。…アキトさんは…。」

『もっと下だね。』


…ザック…ザック


「…まだかな。」

『まだまだ…。』


…ザック、ザック


「もっとかい?」

『予測地点はここより更に250メートル下。』


…そう、必死に地面を掘り起こすコウ&オモイカネの姿だ。

但し、オモイカネは砂場遊び用のプラスチックのスコップだが。(爆)


「…み、水…。」


「さて、急いで掘り起こさないと…。」

『まだ、50メートルほどしか掘ってないよ。…間に合うかな。』


助けを求める声を無視して彼らは一心不乱に掘り続ける。

…尤も、声の主はさっきルリ達を襲っていた奴(苦笑)だが…。


…。


…こうして、ナデシコは一応の予定をクリアした。

…アキトを忘れている事を除けば一応予定通りといえるだろう。


それにしても…今回救出を待っていたのは困窮した避難民ではなく、

暇を持て余したツアー客の群れだった。


…彼らは横暴に振る舞う。

描写は無かったもののナデシコ内は彼らの残した
ゴミえらい事になっていたりもした。


救出される者にも、それなりのマナーがあるということだろうか?(当然かも知れないが)

…何にせよ、彼らには
『救出を待つ者』としての資格は無かった。


ただ一つだけ言える事。それは、助けに来た者達のマナーの余りの悪さに、

ナデシコクルーの士気が
これでもかと言うほど落ちていたという事だけ。


…。


そして…それでも敵は待ってくれない。


「…ナデシコか。…たった一隻で…悪の地球人め、生かしては置かん!」

「確実に仕留める為に我々がよこされた。…相手が相手だ、油断はするなよ!!」


「九十九!源八郎ッ!!…仕留めるんじゃあ無いって何度言ったら判るんだっ!!(怒)」


「「ええーーーーっ(不満そう)」」

「仕留めるのはどうしても仲間になってくれない時だけだ!!」


「そうか…元一朗!」

「つまり、黒帝以外は倒していいのだな!」


「そう言う考え方を改めんかーっ!!」


…いきなり出番の三羽烏である。(汗)

しかも、2人ほど血の気が多くなっているようだ。


…いきなり血管浮かび上がらせる月臣が哀れでならない。

しかも、彼は本来暴走する側の筈なのだが…。(汗)


「ともかく!…ナデシコを例の場所へ追い込む!!」


そして、飛び立つ無人兵器たち。


…。


…アキト・そしてコウ。

人外の力を持つパイロット達はいまだ戻らず…ナデシコの戦力は落ちている。


…その上、オモイカネも居ないのだ。(爆)


それでも構わず迫る無人兵器たち。

…ナデシコに未だかつてない危機が訪れようとしていた…。

続く


::::後書き:::::

どうも、BA−2です。


…ナデシコ大ピンチ!(何時も通り)

果たしてナデシコは助かるのか?三羽烏の豹変の理由は?
…つーか、アキトは間に合うか?

次回をこうご期待!!


…今回の後書きは次回予告風にやってみました。(苦笑)

…こんなのですが、応援していただけると嬉しいです。

では!

 

 

代理人の予想

三羽烏豹変の理由について・・・

 

一、九十九は実は洗脳されたガイ(この前死んだのは実は九十九(爆死))

二、元一朗と源八郎は手術で脳味噌を入れ替えられている

 

 

 

どうだい、納得できるだろうスティーブ!

HAHAHAHAHAHAHAHAHA!

 

 

 

え、駄目?