機動戦艦ナデシコ  アナザーストーリー


世紀を超えて

第103話 それは変わり果てた…



この日、ナデシコは何時ものように火星の空を飛んでいた。

…アキト達がいないことを除けば普段と何も変わらないように見える。


だが…、


「…ルリちゃん、レーダーに何か反応してるけど?」

「整備班から、電力が安定しないって文句が来てますよー?」

「ルリルリーっ、ファイトぉ!」


…。


「…一人でどうしろと言うんですかー−−−ッ!?(泣)」


…。


オモイカネを失った(落とした)ナデシコは、ただ飛び続けるだけが精一杯の状態であった。(汗)

…因みにサフィーもお手伝いはできるのだが、現在はお昼寝タイムで留守。


「このままじゃあ脳神経やられて廃人ですよーッ!!(滂沱)」


…よって、全ての負担がルリへと集中。かなり精神的にやばい状況に追い込まれていた。

そして、よりによってそんな時…。


「飯はまだかいのう?」

「…!!(激怒)」


…無神経に話し掛けるボケ老人が一人。(汗)

無論、それは崩壊寸前少女の逆鱗に触れた。


…。


…しゅぽーーーーん!!


…ブリッジから突き飛ばされ、そのまま遥か彼方にすっ飛ばされるフクベ提督。

…いいのか…一応責任者だが…?


「…る、ルリちゃん?」

「艦長、この間ウリバタケさんに頼んでつけてもらったVIPガード機能です…くすっ。


…妖精には似合わないニヤリ系の笑みを浮かべるルリ。

一応彼女のために言えば、ルリはこの数日ブリッジから離れられずかなり寝不足である。


「…ところで…。」

「なんですかメグミさん?」


「…艦のバランス崩れてるけど。」

「…へっ?」


…ぐらーり。


ナデシコは前方にぐぐっ…とつんのめる。

…ルリの集中が一瞬切れた所為だ。


「オモイカネ・カムバーック!(泣)」

「…何時になったら追いついてくるのかなぁ?」


…普段何気なく使っているものという物は、無くなって初めて価値がわかるものである。

もっとも、こんな形で判りたくは無かったろうが…。


…。


…そして、そんな時…メグミがアッと声をあげた。


「艦長!ルリちゃん!…アレ!」

「…え、アレは!?」

「…護衛艦クロッカス…ですね?」


…実は、ルリは何気なく其方に向かっていたのである。

勿論、クロッカスの位置は元々把握済みだ。


「ええ、それにパンジーも!

「…は?(呆)」


ガクッ!


「ルリちゃん!?」

「ちょ、ルリルリ!…艦体制御が無くなって…!!」

「…な、なんでパンジーまで?」


…艦の体勢が崩れるが、ルリの心は疑問に支配され、それには全然気付かない。

ほんの僅かな動揺が艦の制御に影響を与える時に、これは致命的である。


そして、遂にナデシコは…。



ズズズズーーーーーッ!!


…地を這う羽目になるのであった…。(汗)




…。




勝手に地面に落っこちたナデシコ。

そして、遥か彼方でそれを見つめる3対の瞳がある。


「おい、元一朗…なんだか勝手に落ちたが…?」
「…ま、一応指定の場所におびき寄せたからよしとしよう。(汗)」

「『虎穴に入らずんば虻蜂取らず!』…さあ突っ込むぞ!!」


…ガシイッ!!


「「突っ込んでどうする!!」」

「…あ、そうだな。…と言うか、ツッこんでるのはお前らだ!」


秋山の腕を二人がかりで止める月臣・白鳥ペア。

…相変わらず三羽烏もっているようだ。(汗)


「源八郎…貴様、婚約者てられてから人格変わってないか?」
「九十九…女に逃げられたのはお前もだろうが!!」
「落ち着けお前ら、それは俺もだ!…ついでに言えば全ては三郎太が悪い!


…何故そうなる!?(汗)

しかも婚約者に捨てられた…って…どういう事?


だが、彼らの背後で美女に囲まれウハウハ(死語)しているサブを見ると、

さもありなんと思ってしまうから不思議だ。


「ふふふ、逆行してきてよかったなぁ…うんうん、この際艦長も落としますかねぇ?」


どうやらサブの逆行目的(三郎太ハーレム)は果たされているらしい。

…だが、一言いっておかねばなるまい…。


…それが目的かい!!…と。(爆)


何にせよ、実に自分本位な逆行理由である。

…しかも、データ収拾済みだから攻略本付きでゲームやるようなもんだし…。


…。


まあ、そんな訳で逆行者約一名の所為で
割りを食った三羽烏。(爆)

後ろでウハウハ(死語)の馬鹿一名を艦から突き落とした後、こっそりナデシコを囲む。


「よし、一・二の三で一気に突っ込むぞ!」

「ああ、悪の地球人に鉄槌を!!」


…何気に八つ当たりが混じっている気がしてならない。(汗)

そして…。


「だから…俺達の存在をばらすのは早いって…。」


…すっかり苦労人が板についてしまった月臣。

何処と無く頬がこけて見えるのは気のせいではあるまい…。


「そうだったな元一朗…。」

「ああ…ん?…ナデシコから連絡艇が!」

「…ほぉ…これが例の…護衛艦への偵察…か。」


…例によって、ナデシコから護衛艦クロッカスへの偵察が出たようだ。

だが、フクベもアキトも居ない現状で…一体誰が出たと言うのか…?


因みに、酷使の果てに疲れ果てたルリは自分の席で居眠り中である。(爆)


…。


「よし!…あれには黒帝が乗っている筈だ。…早速接触するぞ九十九。」

「ああ、これでこちら側に来てくれると良いんだが…。」


「では、俺はナデシコを落とす!!」

「「…はい?」」


…ガチャ!

ぽかんと大口を開けたままの白鳥・月臣ペアを尻目に、秋山は早速無人兵器に攻撃命令を下す。


「ちょっと待て源八郎!!…落とすのはまだ早い!」
「え…黒帝が降りたから良いんじゃないのか?」
「つーか、
冷静な判断は貴様の領分だろうが!!」


…だが、秋山は不満そうにぶつくさと言う。


「ぬ、だが『獅子は兎を倒すにも虎穴に入る』と言うし…。」

そんな諺は無い!!…そうだな九十九!」


「そうだ!この場合は『情けは人の為ならず!』…情けはその人の為にならない!」

「それ、意味違う!!(汗)」


冗談抜きで間違えてる人の多い諺である。

…正確には


「情けは人の為だけではなく、自分の為にもなる…だから人には親切に…」


と言う意味合いがあるのだが、むしろ「親切にするな」と勘違いする輩は多い。

…いやマジで。(爆)


…。


「ともかく!…黒帝と接触するまでは派手な行動は慎め!」

「…そうだな元一朗。…ナデシコも無傷で接収したいし…」


…ボムッ!!

そういった瞬間、二人の背後で突然巻き起こる爆発音。


「「…は?」」


…くるーり

ギチギチと首を回すと…
ナデシコに大穴黒煙。(爆)


「おー、流石に爆弾持たせて特攻させると、虫型と言えどもすさまじい攻撃力だな。」

「「…源八郎ぉっ!?」」


「あ、いやな…攻撃命令取り消しそこなった。…はははははは。」

「「…笑い事じゃねぇ!!」」


…努めて笑顔で言う秋山に、残り二人の突っ込みが入る…。

だが、どう考えても楽しそうな秋山…実はわざとなのかも知れない。(汗)


他人の不幸は蜜の味…自分が不幸なら尚更。(爆)

と言う事なのだろうが…。



「なんにせよ…これで黒帝には戻るところが無い。」

「…成る程、流石は源八郎だ!」

「おい二人とも…仲間皆殺しにされて味方になってくれるのか…?」


…しーん。


「いや、どうしても仲間になってくれない時は元々倒さねばならなかったわけだし…。」

「…わざわざ敵を増やしてどうするんだ…!」


…ごもっともである。(爆)


…。


「何にせよ…様子見はしないといけないだろうな…。」


そう言って、月臣は身を乗り出す。

…だが、その瞬間、突風が吹き…、


























ヅラ


























…。


…しぃいいいいいいん…。


すぎるほどに沈黙が続く。

…そりゃそうだろうが。(汗)


「げ、元一朗…?」

「円形脱毛症にかかっているとは聞いていたが…これは…。」


…月臣はヅラを追って遥か彼方を走っている。

キラキラ光る頭頂部が眩しい…。(物理的に)


因みに現在月臣の頭がどう言う状況かと言うと、

耳から上がすっきりとして…だが、襟足は長髪のままだ。


…波平さん?


いや、それだけでは足りない。


…落ち武者…?


…まだだ、まだ足りない…こう、なにか…象徴的な…!

…あ、頭頂部に毛が3本!!


…オ〇ケのQ太郎!?(極爆)


…。


つまり、そういう事だ。

月臣は気苦労のせいで若禿げになった。

そして、現状は…、


















ロンゲの波平in落ち武者オ〇Q















頭のてっぺんに揺れる3本のロンゲが痛々しい…。(笑)

しかも、このまま髷でも結えそうな勢いだ。


…。


ゆらっ…と月臣が振り返る。

…思わず後ろにずり下がる二人。


「見るなぁっ!!…見るんじゃないィッ!!」


…完全に逝っちゃった目をした月臣が、

ゆっくりと二人に近づいていく…。


「み、見たくて見たんじゃないぞ元一朗ぉっ!」

「ま、待て…こっち来るな!!」


…ドドドドドドドドド!!


直後、凄まじい勢いで突っ込んでいく月臣。(ズラ装備)

血走りまくった目のまま、残り二人にショルダーチャージをかます!


…ドゴォッ!!


「うごっ!?」
「がはっ!!」


…ガシィッ!!


「みたな…見たんだなぁッ!?」

「「見てないッス!!」」


思わず体育会系になる白鳥&秋山ペア。

ビシッと決まった敬礼がモノの哀れを誘う。(爆)


「いいか、言っておくがこれは貴様らが俺に気苦労をかけ続けた所為なんだぞ!?」

「「し、知らないッス!!(泣)」」


「最早、先祖伝来の胃薬でも対処し切れなかった…。」

「「マジですかい!!」」


…そう言う二人の視界にはどう考えても自分の身長よりでかいビンに入った胃薬を、

何事も無いように数秒で飲み干す月臣の姿が写っている。


「…いいか、これは秘密だ。…もし、誰かに話したら…!」

「「イエッサー!!」」


…すっかりイエスマンと化した二人は背筋まで伸ばして応える。


「よし、それならいい…それならいいんだ…。」

「絶対喋らんから安心しろ元一朗…。」

「…俺らもまだ死にたくない…。」


これを聞いて、ようやく落ち着きを取り戻す月臣。

そして、ようやく3人が一息ついたとき…。


…ひゅー…。

月臣のヅラから一本のロンゲが飛んでいった…。



…。(汗)



…つつーーーっ。


月臣はヅラと表皮の隙間に指を入れ、何かを探る。

…そして…ヅサッ…と膝を付いた。


…顔色は真っ青を通り越して真っ白。

…目にも光は無い。(汗)



「…まさか。」

「…まさか…な。」


…びゅーーーーっ


そしてまた吹き飛ぶヅラ。

そこで、彼らが見たものは…!!


























ロンゲの海平in落ち武者(爆)


























…。


「い、一本減ってるーーッ!?」
「さっきの…
地毛かぁっ!?」


もう、殆どセク〇ーコマンドーのような雰囲気が漂う中、

月臣が怪しくゆらり…と、立ち上がる…。


…。


「もう…帰る…。」


…憔悴しきったその顔に覇気は無い。


「おい、任務はどうする!?」

「…お前らに…任せる。」


…もはや、白鳥にはかける言葉は見つからなかった。
だが、秋山は気力を振り絞って(余計な事を)言う…。


「そうか。…だが、一つだけ教えてくれ!」

「…なんだ。」








































「禿げたから振られたのか?」


































…。


…三羽烏、同士討ちで自滅!!


…その後のことは多く語るまい。(爆)


ただ…何とか木星に帰りついた3人が暫く使い物にならなかったことだけは言っておこう。

そして、その頃ナデシコでは全員が髪の再セットに奔走していた…とだけ付け加えておく。


しかし…こんな事で本当にナデシコは脱出できるのであろうか…。

続く


::::後書き::::

どうも。BA-2です。


…過去編から月臣の一族は素晴らしいギャグメーカーとして活躍(?)してもらっていますが、

このたび、新ギャグを引っさげて再登場です。

お気に召せばよいのですが…。


なお、最後の秋山の質問の答えは「振られたショックで禿げた」です。(爆)


今後も頑張るんで応援宜しくお願いしますね。

では!

 

 

 

代理人の感想

・・・・・・・・・・・・・を・・・・・・・・・・・

うをををををををををををっ!(号泣)

な、ナニも・・・・・これ以上ナニも言えないっ!(爆死)