機動戦艦ナデシコ  アナザーストーリー


                             世紀を超えて

                   第49話  メギドの炎は解き放たれし(後編)

 

…カツ…カツ…カツ


アキトは山崎と別れ、一人…奥へと突き進んでいた。

周囲に動く物は何も無い。


靴音と…時折入ってくるダッシュの『解説』だけが、周囲に響く…。


『以前…ナノメタルは、相転移によって得られたエネルギーを物質化するって教えたよね。』

「ああ、それには莫大なエネルギーがかかる…とか言ってたな。」

『さっきの現象はその逆なんだよ。』

「…?」


つまり…物質化したナノメタルが、またエネルギーに戻ったと言う事だ。

1グラムの物質を作るには、石油にして4000リットルものエネルギーが要ると言う。(by空想科学読本)

ならば…1グラムの物質が完全にエネルギーに変われば、石油4000リットル分のエネルギーが得られるという事だ。

…それが一度に開放された時…生まれ出でる熱量は想像もつかない…。


「…だが、何であのタイミングで?」
『…ナノメタルの制御はアキトの意識下にあるんだよ?』


…あの時…アキトは確かに一瞬意識を手放した。
その時に、暴走か何かしたと言う事なのだろうか?


「だが、最初に使った時…俺は、何も考えてはいなかったが?」

『でも、無意識下には…生き延びたいという明確な意思があったでしょ?』

「…では…。」


そう、形が定まった後ならともかく…物質化しかけている最中に呆然としてしまうのは危険だと言う事だ。

…意識を手放すと共に、ナノメタルはあるべき形を見失い、物質化をせずに四散してしまうのだ。

…無論、持ち主のアキトに危害が及ぶ様にはしないが…。


『…最終奥義みたいでカッコイイかな?と思って対処をしなかったんだけど…。』

「どうにかなるか?」

『無理だね。』


…結局…アキトはナノメタルを封印する事にした。


更に、よく聞いてみたら有害な放射線を放つらしい。

だとしたら、少なくとも味方がいる場所ではつかえない。

…それなら使わない方がいいと判断したのだ…。


…。


「ちょっとお待ちを。」


…横から突然声がかかった。

アキトがフッと横を見る…と!


…ドン!
「くうっ!?」


…突然投げナイフが壁に突き刺さった!

…そして…暗闇から歩み出る影が一つ。


「流石ですな…おっと、怪しい物じゃ御座いません…私は『聖教団三鬼衆』最後の一人!

「何いっ!?」


「…その中でもリーダーを務めさせていただいております。」

「な、名はなんというんだ!?」


…アキトの様子がおかしい。
しきりに名前を知りたがっている。


「はい、私はネゴシエーター現世の名は捨てました。


…アキトは思った。


ロンゲのプロスさん…
こんな所で何を!?)


…いや、当人じゃないんだから…。(汗)

しかし…ついにプロスの先祖まで!!


「…なんの用だ。」

「おやおや…血の気が多い。私は交渉をしに来ただけですが?」


相手はプロス以上に油断のならない笑顔を浮かべる。


「…悪いが、如何しても信用できそうにない。」

「…何故ですかな?」


何故か警戒態勢のアキト。

プロスの先祖なら、もう少し柔らかい対応でも良いだろうに。


「…その格好はなんだ?」

「敵意のない事を証明する為の正装ですが?」


…だが、それにしても酷すぎる…と、感じるアキト。


「…海パンにネクタイのみでか?」

「失礼な。ネクタイさえあればフォーマルな場でも通用しますよ。


…する訳無いって。(汗)


「ま、まあいい…で、話はなんだ。」

「…えい。」


…ズドッ!


アキトの頭にまたナイフが投げられる!!

…間一髪で避けるアキト。


「…どう言う交渉なんだ…ヲイ!」

「はは…前準備ですよ。」


脅かして、有利な条件を飲ませるつもりなのだろう。

だが…力押しを前提とした交渉など、誰にも信用されんぞ。(汗)


「もういい!…邪魔するなら力づくで通らせてもらう!」

「…何と野蛮な!」

…アンタが言うか!?

「…交渉は決裂…ですか。」

「当たり前だっ!!」


…最初から、交渉にすらなっていない。

…その事に気づかないのは、あるいは幸せな事だったのかも知れないが。


…。


「では、さ〜よお〜な〜ら〜♪」


ダダダダダッ…!!


「あ、逃げた!?」

「…勝てない戦いはしない主義なので」


びゅぅぅぅ…


…その時である。

割れた窓から…何故だか(ご都合主義とも言う)女物の下着が、風に煽られ飛び込んでくる。

…しかも…そのままネゴシエーターの顔に!


…ぼふっ


「…。」
「…。」


…奇妙な沈黙が場を支配する。


…だが!


…突然ネゴシエーターがそれを被ろうとする!!



「気分はっ…エクスタシ」


ゴォッ……ドゲッ!!

ゴガン!…ボコボコ…ゲシッ!!…ズカッ!ゴキッ…ズガゴカズガスカゴガガン!!

…ポイッ!


…。


「はあ…はあ…あのまま放って置いたら…何かが危ないと…本能が言っていた…。」


…全くその通りである。


しかし…このネタを解る人がいるのだろうか?(ヲイ)

…一応、かつてジャンプで連載されて居た事もある漫画が元ネタ。(激爆)


アレと戦う事になったら、流石のアキトでも分が悪かろう…。


「さらばだ…もう会う事はあるまい…いや、もう会いたくない。(泣)


そして、アキトは先に進む。

…そして…遂に最後の部屋へと辿りついたのだ…。


…何故解ったか?

…何故なら部屋の前に大きく


『神の領域』


って書いてあったから。


…しかも壁にそのままスプレーか何かで、でかでかと…。

…まるで落書きだ。


「…こんな連中に負ける訳には行かない!!」


アキトはそう誓うのであった…。


…。


だが…アキトは思い知る事になる…。

世の中…上には上がいる事を…。


そして…、


勝敗は戦闘能力だけで決まる物では無い事を…!!


…。


扉に手を掛け…アキトは思う。


「そう言えば…さっきの人、三鬼衆の最後の一人って言ってたな。」


…そして、首を捻る。


「…カタオカって奴と…もう一人は誰だったんだ?


そう言えば、アキトに名乗りすら上げられなかったな、あの人。

…合掌。

続く

::::後書き::::

BA-2です。

さて…もうじき50話なので、敵ボスの出番をあえて遅らせました。


…プロスの先祖…その名もネゴシエーター…。

…要は『交渉人』です。…全然交渉しなかったけど。


…ゲスト扱いにするのが惜しいほどに、壊れてくれました。

…次こそ『ホーリー様』の登場です。


…こんな物でも応援して頂ければ幸いです。

では!

 

 

 

代理人の感想

 

ずばりそ〜ゆ〜名前の映画があったな〜(笑)。

エディ・マーフィー主演だったけど、あの人が渋い役を演じたのって実はあれが初めてじゃなかろか(爆)?

 

 

あ・・・・・・・・・ふと思ったんですが、もしかして先行者の格闘戦闘プログラムを作ったのって

このネゴシエーター氏じゃなかろうな(爆汗)?

いやその・・・動きというか・・・いえ、忘れて下さい。(聞くのが怖い)

 

後、ボスの出番を遅らせた件ですけど・・・・

 

五十回記念を「アレ」が飾るわけですか(爆)!?

 

 

 

次回、何故か短距離走で勝負をつけそうな予感(爆)。

・・・多分ないとは思うけど(笑)。