機動戦艦ナデシコ  アナザーストーリー


                             世紀を超えて

                         第59話 終わりと始まり




…火星の大地が光に包まれていく…。

それが…アキトの残した、最後の軌跡…。



…。


…ひとつの物語が…終わりを…迎えようとしていた…。



…。



…火星・廃棄シャトル集積所…


「…な…何が起きたんだ!?」


あれから数分…ようやく視力を取り戻した月臣が、唖然とした声を上げる。

まあ…無理も無いが。


そこに…何処かからの通信が入った…。


『…誰かそこに居る?…僕だよ!』

「…山崎!?」

『この声は月臣さん?…良かった、無事だったんだね。』

「…そんな事より…何が起きたんだ?」


だが、それへの答えは…沈黙。


「山崎…何が起きた!?」


…再度の質問。

…それに対し…山崎は今度こそ…ゆっくり静かに…だが、震えた口調で答えた…。


『テンカワさんが…消えた…。』


…。


「…テンカワが消えるのはいつもの事だろう?」

『ううん、さっきの光と熱は、アキトさんの機体からだった…。』

「なっ!?」

『以前見たときは、本人は無事だったはずなんだけど…今回は、何も残っていなかった…。』

「どう言う意味だ!?」

『しかも…その前に敵の攻撃をかなり食らってたみたいだし…。』

「…だから…どうしたんだ!?」


…山崎は一旦そこで区切る。


『信じたくは無いけど…。』

「いいから早くしろ!!」


『…自爆…しちゃったのかも…。』

…。

…かぽっ…ゴクッゴクッゴクッ…

月臣は栄養ドリンク(1、5gサイズ)一飲みにしてから一言だけ言う。


「…冗談は止せ。(滝汗)」


…山崎は半泣きで答える。


『だって、何処にも反応が無いんだよ…。』


「だっても買っても無い!!…探せ!探すんだ!!(狂)」

『でも、しかし…そんなこと言われても…。(汗)』

「しかしもカカシも無い!!…急げぇっ!!(血涙)」

『は…はいぃっ!』


狂気を浮かべる月臣…何故だろう?(爆笑)

そして、声の裏返る山崎…ご愁傷様。

…。

…だが…真の問題はこれからであった…。


『そこのシャトル…止まれ!』


「…その声は…アオイ・マスミか!?

『ああ、月臣さん?…お久しぶり。』


…マスミ達…連合の降下部隊が遂に追いついた!!

…アキトの暴走が無ければ、もう出発出来てた筈なのに…まったく。(爆)



…更に…。



プシュン…


「月臣君…今の何!?」

(な、ナツメまでっ!?)


…ばたっ


「…月臣君?…し、心臓止まってるー!?


…遂に…ナツメがやってきた…。

しかし…月臣は一体何を恐れているのだろう?(爆)

…。

がばっ!


「はぁ…はぁ…い、一体俺は!?」

つっきー叔父ちゃん…さっきまで死んでたよ、絶対。」


「全く…心臓マッサージが遅れてたらどうなった事か…。」

「…ハクチョウの叔父ちゃん。…でもアレ、力入れ過ぎだよ。(汗)」


そこまで言われて…月臣が気づく。


(肋骨、折れてるーっ!?)


…もしかして…コイツ、アキトの分も不幸を背負い込んでるんじゃ…。(汗)


…。


『アレ…もしかしてナツメ!?』


…そして遂に、外のマスミがナツメの存在に気づく…。(汗)


「え…もしかしてマスミ…久しぶり!」

『うん、…元気だった!?』

「勿論!…あ、ラピスちゃんの事…ありがとうね!」

『いやいや…構わない構わない…。』


ザザッ…月臣は逃げ出した。


ザザザッ…だが、つっきー叔父ちゃんは回り込まれてしまった!(笑)」

「…頼む…ここから出してくれ…。(泣)」


…だが…月臣の願いも空しく…


「…所でマスミ…ちょっと待って、紹介したいのが居るんだ!

『…何々?』


…ヒョイ…月臣の進路を阻んで居た、『ハクチョウ発言』の女の子を抱き上げるナツメ。


嗚呼…遂に来たか…。(放心)」


…月臣の魂の叫びは誰にも届かず…


「へっへー、見てこの子…可愛いでしょう!!」

『うわー、可愛い!…ねぇねぇ…ナツメの子?』

「そ、アタシの娘で『アキラ』って言うんだ!!」

『ええっ…家の子とおんなじ名前!…家のは男の子だけど…。


朗らかに笑う二人。
そして…それを好意的な目で見る周囲の者達…。



だが…月臣の顔からだけは、みるみる生気が消えていく…。(汗)


「へぇ…父親は誰なの?

『じゃ、そっちのも教えて!』


…嗚呼…。(滝汗)


「えっへっへ…アキトだよ!」
アキトの子だよ…!』


「『…え?』」


…ピキッ(凍りつく空気)


…周囲に蔓延していた『朗らかフィールド』が突如崩壊!!
代わりに『不穏な空気』が立ち込め始める!!


白鳥  は青くなった!
山崎  はモニターから目を逸らした!
ヤマダ は大口をあけた!
エド   は笑顔のまま固まった!
月臣  は
三途の川を見た!!


…以上が、この修羅場に立ち合うハメに陥った不幸な方々である…。

そして…。


「へ、へぇ…結構居るものなんだね…アキトって名前…。」
『あ、アハハハハ…本当…偶然って怖いなぁ…。


…さっきまでの顔を崩さない二人。

でも…目が…目がぁっ!!(泣)


「ねぇ…マスミの方のぉ…アキトさんってぇぇ…どんな人かなぁっ!?」

『…ナツメぇ…貴方の考えてる通りの人だよぉぉぉ…。』


…しかも、額に青筋!!

理解してる…

間違いなく理解してるよこの人達!!(滂沱)


…。


プシュン…


突然、おもむろにナツメがシャトルから出ていく…。

…すると、当然の如くラティフォリウムから降りたマスミがそこに立って居た…。


「ハローぉっ…ナ・ツ・メっ…。」

「マスミ…貴方は良い友人だったわ…でも…アキトを囲ったのは拙かったわねぇ?(邪笑)」


「ふふふ…負け犬の遠吠え…。」

「ふーん。でも、家の娘が先なのよぉ?」


「クスクス…『正妻』に敵うのかしら!?」

「な…なんですって!?」


…すっ…。

ナツメは何処からか、金属バットを取り出す…。
否…この大きさは金棒だ!!


「マスミ…お休み。…二度と目覚めないで!!

「…ふーん、じゃ、ナツメ…さよならよ!


ガチャ…!

…マスミはサブマシンガン!?
…ちょーっと卑怯じゃないかい!?



一族郎党…皆殺しよ…!!」
「やれるもんなら殺って見なさい…ナツメ!?」


「…しねぇええええい!!」
「くたばれぇぇえぇぇえええい!!」



…少しばかり、目がイッちゃっている二人…。

そして…文字通りの死闘が始まる…。

…。(戦闘中)

「…凄い…ナツメさん…金棒でマシンガンを打ち返してる…。(汗)」

「ママ…。(溜息)」

「しーらない町をぉ〜あるいて…みーたい〜…。(崩壊)」


「…弦悟郎?」

「ハクチョウの叔父ちゃん…今は放っておいてあげようよ…。」


…ああ、月臣よ何処へ行く…。(涙)


(…はぁ…。)


そして、火星のアキラちゃん(明ちゃん)は、地球の弟、アキラ君(章くん)に電話をかける…。

…知り合いだったんかい!!


『もしもしー、火星のお姉ちゃんです。』
「はーい、地球の弟だよ。」

『…ばれちゃいましたー!(泣笑)』
「うわー。でも…良くここまで騙し通せたよねぇ…。」

『うんうん。』
「じゃ、《いんぺーこーさく》はこれでお終い?」

『そゆこと。』
「りょーかい。…ごくろー様です。」


…ブツン
…お子様達…気を使ってくれてたのね…。(泣)


…そして…アキラ(火星)がふと外を見ると…。


ナツメがマスミの髪を引っ張ると、マスミは鼻をちぎる!!
更にマスミが顔を引っかくと、ナツメは脛を蹴る!!

…最終目標は…下腹部!!(滝汗)

…嗚呼、鋼の友情は今いずこ…。(爆)



「ハクチョウのおじちゃん。ママたち…もう、子供のケンカだね…。」

「…そうか?…しかし…。」

「なぁに?」


「…アキトさんは…どちらが良かったのだろうか?」


…。(汗)


ガバッ!!…シャトルの窓に張りつく二人…。(滝汗)


「「それよっ!!」」

「はいぃっ?」


「…そうよ…アキトに決めてもらいましょう。…ふふ、悲劇の別れをした方に転ぶ…間違いないわ!

「ええ、ナツメ。…年季の違いを見せてあげる。


くっくっく…と笑う二人。
…怖いってば…。(汗)


『でも…テンカワさん、自爆…しちゃったし…。』


…山崎の阿呆がぁっ!!(泣)


「「…自縛?」」

『…いや…自爆。』


…。


「うそっ…。」
「ぇ…。」



…………ばたっ。
二人は倒れた。


…。


ガバッ!!

月臣…再起動!!


(今だぁっ!!)


月臣は即座に二人の元に駆け寄ると、さっさとロープでがんじがらめにする!!


「さあ、急ぐぞっ!!…連合の援軍が来る前にっ!!」


ダダダダッ!!

ナツメを抱え、さっさとシャトルに戻る!


「さあ行くぞ!!…発進!!


そして…安全の確認もせずに、さっさとエンジンに火を入れた!

…全てを誤魔化すのは、
今を置いて他に無い!!



「馬鹿!…まだベルトも!」
「…黙れ五十六!!」


ドォッ…


「うわぁぁぁぁ…。」
「五十六…黙れと言ってるだろう!!」



…そして…シャトルは天空高く、舞いあがって行ったのであった…。


…。


「…行っちまったな…。」
「ええ…イッてしまっています…。」


…ヤマダは空を見ながら…エドはマスミを見ながら…そんな会話を成立させていた。

なお…マスミは放心している…。


「アキト…アキト…アキト…。」


「大丈夫ですかね?」

「…なぁに、アキラの奴がどうにかするだろ?」

「はぁ…。」


「…しかしよ…テンカワの奴…結局、死んじまったな…。」

「私はそうは思わないんですけどね…。」


「…ほお?」

「だって、あの人…窮地から生き残る事には長けてたじゃないですか…。」


「…だな。…所でエドワード?

「…はい?」


「…以前、この星で見つけてきた娘だけどよ…ヲイ、逃げるな!!

「…いや…まあ、その…情が移ったと言うか…。


「…婚約…したんだってなぁ!?」


「あ…あはははははははは…。」

「誤魔化すなぁ!」


「はは…はは…アキト…アキト…。」

「ほら、マスミはとっとと正気に戻れ!!」


…ヤケクソな笑いと、虚ろな笑いが響き渡る中、
この戦乱は幕を閉じる。



…最後までドタバタ気味なのが、ナデシコ関係らしいと言うか何と言うか…。(汗)

 

…。

 

そして…90〜100年の月日が流れ、『約束の艦』…ナデシコが出航するまでの間、

『黒帝伝説』は、あくまで伝説として語り継がれる事となるのであった。



…そして…歴史の裏での暗闘も始まる…。

だが…それが顕在化するまでには、未だ数十年もの月日が必要であった…。


…。


アキトのした事は…川上に石を落とし、僅かに流れをせき止めただけに過ぎない…。

だが…上流での水流の変化は…、
下流での水の流れ…川の形を変えてしまう程の影響力を持つのだ…。




…哀れなるかな…咎人よ、報いは自らに返って来る…。



ひとつの終わり…それは…ひとつの始まり。

…そう、既にもう一つの物語は…胎動を…始めていたのだ…。



…過去編…終結…



…現代編に続く…

::::後書き::::

BA−2です!

遂に…過去編が終了しました!!

…え、木星に行った連中はどうなったか?
…それは…「59・5話」を用意しますんでそちらで…。


さて、舞台が元の時代に戻ってきます。

今まで、未来編と呼んでいましたが…考えてみると、元の時代に戻っただけ…。
故に、『現代編』と呼ぶ事にしました。


…さて…今回は如何でしたか?

思ったより長くなってしまったんですが…。(汗)


…ようやく次からは現代になります。

…当初は、変化のあった各キャラを紹介する意味で、短編的に進めるつもりです…。


こんなのでも良ければ応援お願いします!!
では!

 

 

 

代理人の感想

 

いや、親がアレだと子供がしっかり育つものですねぇ(爆)。

兄弟仲もいいみたいだし(笑)。

にしても。

 

 

 

エドがルリとくっつくとは。(核爆)